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June 10, 19
スライド概要
5つのリーダーシップ・パターンについて
カイゼン・ジャーニーで学ぶ リーダーシップ 市⾕聡啓
市⾕ 聡啓 Ichitani Toshihiro (My KeyWord) 越境 正しいものを正しくつくる 仮説検証型アジャイル開発 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
Profile https://ichitani.com/ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
4刷 https://www.amazon.co.jp/dp/4798153346/
本⽇のテーマ
カイゼン・ジャーニーの登場⼈物 =私が⾒てきたリアルを通じて 「リーダーシップ」とは何かを考える。
…実は、リーダーシップみた いな解像度粗い割には重視さ れる前提のワードは苦⼿。 ただ、カイゼン・ジャーニー で、こういうのがやりたかっ た。 https://www.amazon.co.jp/dp/B01G8G9KC8
そもそも、リーダーシップって何?
リーダーシップ = Leader(名詞) + Ship Shipが付与されることで前⽅の名詞が表す状態を⾔う。 つまり、リーダーシップとは 「リーダーであり続けるために必要な能⼒や姿勢」 のこと。
ピーター・ドラッカー 1905年-2005年 “20世紀の偉⼤な経営学者”
カイゼン・ジャーニー 第13話「お互いの期待を明らかにする」 ドラッカー⾵エクササイズ ①⾃分が何が得意なのか? ②⾃分はどうやって貢献するつもりか? ③⾃分が⼤切に思う価値は何か? ④チームメンバーは⾃分にどんな成果を期待していると思うか? “いかにもドラッカーが使いそうな⾔い回し”
“リーダーシップとは、組織 の使命を考え抜き、それを⽬ に⾒える形で明確に確⽴する ことである” “リーダーとは⽬標を定め、 優先順位を決め、基準を定め、 それを維持する者である” https://www.amazon.co.jp/dp/B0084065M0/
“リーダーたることの第⼀の要件は、 リーダーシップを仕事と⾒ることである。” “リーダーたることの第⼆の要件は、 リーダーシップを地位や特権ではなく責任と⾒ること である。” 「プロフェッショナルの条件」
全員がリーダーシップを持つべきか? 改めてリーダーシップとは、 ⽬標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それをチーム に⾏き渡らせる能⼒。 リーダーシップが地位でも特権でもない。 仕事であり責任である、と捉えるならば チーム全員が持ち合わせていた⽅が⾼い成果が期待される (⾃⼰組織化に⾄る道)
だからといってリーダーシップのあり⽅が 全員同じになるわけではないよ。 どんな時でも教科書どおりのリーダーシップで… これまでの⾃分⾃⾝の学びを無に帰して… では、現実眼前の問題に対処できない。 「⽬標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを チームに⾏き渡らせる能⼒」について、 基準として何を第⼀(ファースト)に置いてあたるのか?
状況突破ファースト プロダクトファースト (江島) (砂⼦) 5つのリーダーシップ・パターン チーム成⻑ファースト (蔵屋敷) タスクファースト (神⼾橋) チームファースト (御涼)
タスクファースト (神⼾橋) 与えられた仕事(タスク)、役割をこなすことが第⼀。 そのためのコマンド&コントロール。 タスク達成に過度に最適化しようとして、⾃分の命令 (コマンド)と統制(コントロール)を最優先にしてしまう。 「お前らプログラマーのせいだ」 「原因を聴けば、忘れてました、忘 れてました、そして、忘れてました、 だよ」 「当たり前だろ。そのあいまいな仕様 を詰めて、詰めて、そして、詰める。 それもお前の仕事だ」 神⼾橋 ⾃分が状況を把握できれば良いと いう考えの持ち主だから 朝礼はリーダーが⼀⽅的に気になるこ とを⾔ったり聴いたりする、進捗報告 どのくらい⼯数を取るの? それでどのくらい効率的のなるの? の場になってしまった 俺もなんかしたい と思ったよ
タスクファースト (神⼾橋) 与えられた仕事(タスク)、役割をこなすことが第⼀。 そのためのコマンド&コントロール。 Pros ・タスクはこなせる可能性が⾼い。 Cons ・メンバーが「俯瞰する⼒」を伸ばせない。 ・リーダー⾃⾝も全体像を⾒失いかねない。 ・動機づけが弱いままになる。塹壕化。 神⼾橋
プロダクトファースト (砂⼦) プロダクトの作り込みや状況の進捗を第⼀とおく。 どうあるべきかに強いこだわりがある。 理想的なプロダクトを作り上げるためにチームがある という前提。メンバーを振り切ってしまいがち。 どうやら、差し⾦は砂⼦さんのようだ。 (江島を強引にリーダーに据えた) こうした変更を随時僕に相談する形を とると、僕が実現可能かどうかの話を し始めることが砂⼦さんはわかってい るのだ。 「江島くん、どう?できる?できな い?」 「ワイヤーがないと最終的なイメージ 合わせができないままなので、認識違 いが起きそうだ」と⾔い張った。 「今度こそ、⼀緒に開発をやりきりた いねえ」 Uiを中⼼としてプロダクトの質を⾼め ることに妥協しない姿勢
プロダクトファースト (砂⼦) プロダクトの作り込みや状況の進捗を第⼀とおく。 どうあるべきかに強いこだわりがある。 Pros ・プロダクトづくりのスピード感が⾼まる。 ・プロダクトとしての成果を短期的にあげられる Cons ・チームビルドが置き去りになりがちで、チーム⼒ が育ちにくい。 ・リーダーがカリスマ化しやすく、メンバーが指⽰ 待ちになってしまう。
チーム成⻑ファースト (蔵屋敷) チームが成⻑できるか、できているかを第⼀に置く。 ⿊⼦役にまわり、時にメンバーへの試練も課す。 リーダーというよりは、コーチの役回りをつとめる。 答えより、問いかけを重視し、チームに思考を促す。 「江島、お前が進めてくれ」 「このチームのリーダーは俺が務めま すが、実質的には江島にリードしても らおうと思っています」 「これは、ひどいベロシティになりそ うだな」冷静に予測した。 「江島、これらかのやり⽅を考えてく れ」 「⾏動することは⼤事だが、考えがな ければただやみくもに動いているに過 ぎない」 改めて 「江島がリーダーだ」と宣⾔ し、みんなの疑問を押し切ってしまっ た。 僕に⾃⼒で答えを辿り着かせようとし ているからなんだろう
チーム成⻑ファースト (蔵屋敷) チームが成⻑できるか、できているかを第⼀に置く。 ⿊⼦役にまわり、時にメンバーへの試練も課す。 Pros ・チームの成⻑(チームで考え、乗り越える)が促される。 ・メンバー⼀⼈⼀⼈リーダーシップが求められる。 Cons ・まだ練度の低いチームの場合は適切な「段階」 設計をしなければチーム活動が崩壊する。 ・最初の開発の進みが遅い。チームの成⻑とともに 挽回するが、"期待”に間に合わない場合もある。
状況突破ファースト (江島) 問題を抱えた状況の進捗、膠着の突破のために、 ⾃分⾃⾝がまずその第⼀歩を踏むことを第⼀とする。 これまでの前提や役割、やり⽅を踏み越える(越境)ことに 躊躇しない。その⼀歩で以って他のメンバーを引きつける やり⽅を受け⽌めてもらうためには、 クライアントも含めた合議、意思決定 (インセプションデッキ)が必要だと考 えた。(由⽐の巻き込み) (⻑⾕に乗り込んで) ⼆つのチームで改 めて、ゴールを⾒据えた向きなおりを 提案した。 対⽴するデザインチームと開発チーム の合同合宿。 この企画が解決したいこととは何なの か、そもそもに⽴ち戻ってみることに した。 「…袖ヶ浦さん、いつまでそうしてい るつもりですか」
状況突破ファースト (江島) 問題を抱えた状況の進捗、膠着の突破のために、 ⾃分⾃⾝がまずその第⼀歩を踏むことを第⼀とする。 Pros ・膠着、衝突、これまでの視座だけでは解決できない問題 を乗り越えていく ・今までは辿り着けなかった価値(状況)到達の可能性 Cons ・メンバーが巻き込まれてくれなかった場合、 孤⽴無援になってしまう。
チームファースト (御涼) チームでの意思決定を第⼀と置き、⺠主的なチームの あり⽅を重視する。成果は、その次。 Pros ・チームプレー感(⼀⽷乱れぬ動き)が⾼まる。 ・チームプレーに基づくメンバーモチベーションの向上。 Cons ・⼀つのあり⽅(意⾒の⼀致重視)に固執した場合 チームから多様性が失われる ・成果が上がらない状況への対処が進まない。
状況突破ファースト プロダクトファースト (江島) (砂⼦) 5つのリーダーシップ・パターン チーム成⻑ファースト (蔵屋敷) タスクファースト (神⼾橋) チームファースト (御涼)
5つのリーダーシップが適した状況 ゴールが明確でとにかく分かっていることを順次こなせば ゴールにたどり着ける状況。(障害発⽣時) 開発の制約(コスト、期限)が強い下で、成果を上げることが 求められる状況。 既に運⽤されているプロダクトがあり、安定度の⾼い開発が 求められる状況。 新しいチームの⽴上げ、特定のチームの底上げが求められており そのための時間が取れる状況。 新しいプロダクトのスタートアップのような不確実性の⾼い状況。 縦割りの度合いが強い組織や開発でこれまでの前提の突破が求め られるような状況(不確実性が⾼くなる)
チームを考える上でもう⼀つのシップの存在。
メンバーシップ チームメンバーが、⼀⼈ひとり各⾃の役割を果たして チームを⽀える能⼒、姿勢のこと。 チームワークとは、チームが機能するように(成果に 繋がるよう)、⾃分のふるまい⽅を⾒極め、⾃律的に 動き合えること。
理想的なフォロワーシップ (⽚瀬) 「これ、⼀緒に運⽤しません?」 「…いいすよ」 「⽯神さんですよ」造作もなく ⾔ってのけた。 逆張りのメンバーシップ (七⾥) 「スクラムマスターって何のた めにいるんですか?」 「だいたいな!江島さんだって、 ⽇報書いてないじゃないか!」 ⾃分が⾒落としていることにも きっと気づいてくれる。 代替するメンバーシップ (浜須賀) 「実に、開発するページの3分の 2に変更があり、半分はどれもこ れも機能にも影響する内容です よ!」 「冗談ですよね、この開発期間」 「あー、もう!ストーリーが合っ ているかどうかなんて、ユーザー に直接でも聞かなきゃ、わかりっ 来ないでしょう!」 3つのメンバーシップ・パターン
(⽚瀬) 逆張りのメンバーシップ (七⾥) 代替するメンバーシップ どんな時でもリーダー をフォローする (エナジャイズする) リーダーとは逆の ⾔動も時には辞さず 気づきを与えてくれる リーダーの代わりに 素の感情、反応を先じて リーダーを冷静にさせる 理想的なフォロワーシップ (浜須賀) 状況突破リーダーに 状況突破リーダーに 状況突破リーダーに とっては強⼒な⽀援 とっては独りよがり とっては⼼が折れそ 者になる。安⼼して にならないようにす うな時でも切り替え 越境ができる。 る、検証役になる。 る余裕ができる。
理想的なリーダーシップ × 補完的なメンバーシップ ・理想は、5つのリーダーシップのいずれかに偏り切ら ないこと。状況に応じて”帽⼦”を被り直すように、 リーダーシップを使い分ける。 ・適応的リーダーシップは理想。だが、容易ではない。 だからこそ、リーダーシップを補完するメンバーシップ が必要となる。
“リーダーシップは仕事” ゆえに使い分けを指向できる。時にリーダー時にはメンバー。 https://www.slideshare.net/papanda/ss-142143920
「リード」とは? ・「リーダー」は、⼈に張り付いた⾔葉のイメージが強い。 ・「リード」は、ある状況において前進を先導する「役割」。 役割なので、他の⼈に変わる、 変えることもある、 より動的なイメージを実現したい。
楽しいジャーニーを。 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.