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April 12, 22
スライド概要
アジャイルCoEが持つべき6つの初期バックログ
組織にアジャイルを芽吹かせる アジャイルCoEが持つべき6つの初期バックログ Ichitani Toshihiro 市⾕聡啓
市⾕ 聡啓 Ichitani Toshihiro DX伴⾛⽀援 (株式会社レッドジャーニー) 株式会社リコー CDIO付DXエグゼクティブ 特に専⾨は ・仮説検証、アジャイル開発 ・組織アジャイル https://ichitani.com/
重版決定 https://www.amazon.co.jp/dp/4798172561/
ソフトウェア開発で培われた 探索と適応のすべを組織の運営に適⽤する = 「組織アジャイル」 (組織をアジャイルにする)
アジャイル・ハウス(アジャイルの構造) 3F 2F 1F 基礎 組織運営のための「アジャイル」 探索と適応のための「アジャイル」 (既存事業、新規事業問わず) チームで仕事するための「アジャイル」 (⾒える化とカイゼン) 「アジャイルマインド」の理解 (「協働」のメンタリティ) ※アジャイルが適⽤しにくい領域とは? すべての⾏為が時間割で決められている、またそれを⾒直す余地が少ない場合 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved.
組織アジャイルを広げていくには? 伝統的な組織にこれまでとは異なるプロセス、 技術を採⽤しようとすると必ず壁にぶつかる 総論DX(変⾰)で⼀致していたとしても、個別PJとしては 従来どおりの判断をしてしまう問題 (現在指向バイアス)
ジョン・コッター「変⾰の8段階プロセス」 組織全体の危機感を⾼める 変⾰推進チームを結成 ビジョンの策定 ビジョンの伝達 組織全体の⾃発的な⾏動を促す 短期的な成果を実現する 製菓を⽣かし、さらなる変⾰を進める 変⾰を根づかせる
個別PJで解決できない全社課題をCoEに集める 個別PJから全社⽅針に影響を与える課題を切り離す。 例えば、採⽤する技術、リソースマネジメント、プロセス変更、 新たなスキルを獲得するための教育プラン等。 組織、部署横断のメタ的なチーム (CoE/Center of Excellence) を結成する (もしくはそれに相当する既存部署がミッションを背負う) 経営課題 CoE (Center of Excellence) プロジェクト 既存組織 全社課題 バックログ 経営⼈材 ミドル 現場
CoEをアジャイルに運営する = アジャイルCoE ・組織にアジャイルを広げるためのバックログを⽤意する ・CoE⾃体の活動をスプリントで運営し、探索と適応を回す ・CoEから各プロジェクトや部署への働きかけを⾏う(そして帰る) プロジェクト(新規) フィードバック アジャイルCoE 施策と⼈材 による働きかけ 変⾰ための バックログ 既存部署 (…)
アジャイルCoEが持つべき 6つのバックログ
(1) ⼩さなガイドをつくる (2) 教育コンテンツを備える (3) 社内コミュニティを⽴ち上げる (4) 社外への発信 (5) 組織理念との整合を取る (6) 実践の伴⾛⽀援
(1) ⼩さなガイドをつくる
「⼩さな型」駆動
「⼩さな型」駆動 ⼤きな組織の中で、まず「気づいてもらう」「知ってもらう」 「アジャイルの存在すら知らない」ところでは、その存在が確認できる よう、なんらかの定点が組織内に必要。 新たな取り組みには「⾜場的理解」が不可⽋ 何をやるにしても、最初はまとまった知識が必要。お話ベースでは雰囲気 は掴めても実践は遠いまま(そもそもスクラムだってガイドがある) 「⼩さい=⾜りない」は次の段階を踏むための布⽯ 不⾜を補うために⾃ずと学び動かなければならない。 (参考⽂献から知識の広げ先を辿っていくのは常套⼿段)
「⼩さな型」は「標準」ではない とはいえ、組織の必要⼗分な「標準」という扱いにしない、 ⽬指さない。 最初期の段階から「標準」を⽬指す=作りすぎとなりやすい。 作りすぎると、 ・内容が重すぎて受け⼊れられない、実践できない ・組織にフィットしているのか分からないまま想像で作る 部分が多く、結果のちのち本質ではないことに制約される (そもそも本家のスクラムガイドでも⽇本語版20⾴以下)
(2) 教育コンテンツを備える
ガイドの「次」を備える まずもってガイドを読んだ⼈が最初に受講する研修の⽤意 基礎研修 管理職研修 組織スクラム マスター研修 研修内容は「From (ここから) - To (こうなりたい) 」に則る ごくごく基礎知識を⾝につけるには外部から持ってくるのでも 良いがFrom-Toな⾃組織の為の内容でなければ上滑り、定着しない 組織メンバーがアジャイルを受講する→⾃部⾨に戻る→どうやって マネジメントする??問題が早速起こることになる 部⾨管理職がどのようにアジャイルに向き合うのか、マネージャー 向けの研修が必要。でなければ現場での実践が進まない 実際に組織にアジャイルを定着させるには(6)の伴⾛が必要となる 部⾨管理職がすべてを伴⾛するのには無理がある。となると、組織 アジャイルを担う「組織スクラムマスター」の役割が不可⽋となる その養成のための受け⽫を⽤意しよう
(3) 社内コミュニティを⽴ち上げる
みんなのアジャイルとは (他ならぬ) 「⾃組織のアジャイル」ということ “海外のアジャイル” でも “コンサルのアジャイル” でもない
(4) 社外への発信
https://designthinking-agile.jp.ricoh/
「外」から「内」へ知らせる ⼤きな組織にはそもそも「内部の隅々まで知らしめるチャネル」 ⾃体が無いことがある。組織外で取り上げられるテーマや内容で あれば、むしろ外部経由で内部に伝わるチャネルの形成が期待 できる。 外に発信することで、内部でのコミットメント、覚悟になる (⾔ったからには)
(5) 組織理念との整合を取る
「ウェーイ」の⼒を借りる 伝統的な組織ほど社内理念、ウェイ、ビジョンなどが⾔語化 されていることが多い。 こうした既存の概念と新しい概念(アジャイル)を結びつける、 整合を取ることで新しい概念を社内に広げる⼤義名分が得られる ウェイなどはそれを社内に浸透させる活動が確⽴されていたり する。やはりウェイと結びつけることで、新しい概念を社内に 広げるためのチャネルを獲得することになる
(6) 実践の伴⾛⽀援
Start with Why ⾏為から学ぶ 価値観 価値観 原則 原則 ⾏動 ⾏動 何のために(価値観)、どうやって(原則)、 やるか(⾏動) 型から⼊って、実際にやってみる やってみる(⾏動)過程と結果から、 だから、価値観をあわせるのが⼤事! …⼤事だけど、容易ではない。 何が⼤事なのかを学び直す(原則) その学びをより良くするためには?(価値観)
「伴⾛」の存在によって「学び直し」を逃さない ふりかえり むきなおり ⼩さな型 ⾏為からの学び直しが必要 = 伴⾛の必要なところ (組織スクラムマスター体制の確保、育成、拡充の⽬論⾒を⽴てる)
アジャイルによって アジャイルになる Be agile by Agile Photo on VisualHunt
(1) ⼩さなガイドをつくる (2) 教育コンテンツを備える (3) 社内コミュニティを⽴ち上げる (4) 社外への発信 (5) 組織理念との整合を取る (6) 実践の伴⾛⽀援
実践のための 学びを得たい 教育 コンテンツを 受ける ⼩さな ガイドを読む 実践のための ⽀援が必要 実践の 伴⾛⽀援を 得る まずは⾜場的 理解を得る コミュニティで コミュニティで アジャイルを 認知する 事例になる 補⾜ 外から内を 知る 活動を発信 ウェイ活動 に乗せて布教 補⾜ 社内 コミュニティの 参加・活動 社外への発信 事例になる 活動を発信 社外発信を 届ける 組織理念との 整合を取る 経営の理解を得る ⼤義名分化の許諾 (CoE体制の拡充)
もう⼀度、旅をはじめよう。 Photo credit: digitalpimp. on Visualhunt.com / CC BY-ND