公共交通業界でのDXについて

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April 18, 24

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日本鉄道サイバネティクス協議会 2023年度 出改札システム委員会 事業報告会における発表資料。2024年4月18日。

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伊藤昌毅 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 准教授。ITによる交通の高度化を研究しています。標準的なバス情報フォーマット広め隊/日本バス情報協会

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各ページのテキスト
1.

2024年4月18日 東京都豊島区 ホテルメトロポリタン 日本鉄道サイバネティクス協議会 2023年度 出改札システム委員会 事業報告会 公共交通業界でのDXについて 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 伊藤昌毅

2.

伊藤 昌毅 • • • • • • 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 准教授 一般社団法人 日本バス情報協会 代表理事 静岡大学 土木情報学研究所 客員教授 専門分野 – – ユビキタスコンピューティング 交通情報学 – – – – – – – – 静岡県掛川市出身 2002 慶應義塾大学 環境情報学部卒 2009 博士(政策・メディア) 指導教員: 慶應義塾大学 徳田英幸教授 2008-2010 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別研究助教 2010-2013 鳥取大学 大学院工学研究科 助教 2013-2019 東京大学 生産技術研究所 助教 2019-2021 東京大学 生産技術研究所 特任講師 2021-現在 現職 – 運行管理者(旅客) 経歴 資格 2

3.

伊藤×国土交通省 • • • • • • • • • 標準フォーマット関連 – – – – バス情報の効率的な収集・共有に向けた検討会 座長(H28年度) 標準的なバス情報フォーマット利活用検討会 座長(H29年度) バス情報の静的・動的データ利活用検討会 座長(H30年度) GTFS-JPに関する検討会 委員(R2年度) – 公共交通分野におけるオープンデータ推進に関する検討会 委員(H29年度-R3年度) – – 都市と地方における新たなモビリティサービスのあり方懇談会 委員(H30年度) 新モビリティサービス推進事業有識者委員会 委員(R1年度) – 交通政策基本計画小委員会 委員(R1年度-R5年度) – シェアサイクルの在り方検討委員(R1年度-) – – 鉄道の混雑緩和に資する情報提供のあり方に関する勉強会 委員(R2年度) 中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR フェーズ 3 基金事業) 「鉄道駅における安全性向上のための案内サービスの充実に係る技術開発・実証」採択 審査委員(R5年度) オープンデータ関連 MaaS関連 交通政策審議会 シェアサイクル 鉄道 点呼 – 運行管理高度化検討会・ワーキンググループ(R2年度-) – バス事業者の許可申請等におけるGTFS-JPの実務者協議会(R5年度-) – 「地域公共交通計画」の実質化に向けた検討会(R5年度) 申請オンライン化 地域公共交通計画

4.

伊藤×経済産業省・総務省 • 経済産業省 オープンデータ関連 – 官民データの相互運用性実現に向けた検討会 座長(H29年度) – 情報共有基盤 利用促進ワーキンググループ 委員(H30年度) • 総務省 オープンデータ関連 – 地域情報化アドバイザー(R2年度〜R3年度)

5.

伊藤×地方自治体 • • • • • • • 沖縄観光2次交通の利便性向上に向けた検討委員会 座長(H30年度〜) 群馬県バスロケーションシステム実証実験 アドバイザー(R1年度) さいたま市 スマート駅広研究会 副会長(R2年度〜R3年度) 佐賀市 街なか未来技術活用モデルプラン策定業務有識者会議 委員(R2年度) 東京都 東京都における地域公共交通の在り方検討会 委員(R2年度〜R3年度) 熊本市 熊本版MaaS勉強会 有識者委員(R3年度〜) 杉並区地域公共交通活性化協議会 会長(R3年度〜) • その他自治体主催のイベントでの講演多数 – 静岡県掛川市、石川県能美市、群馬県、島根県安来市、沖縄県、富山県、岐阜県、北海道など

6.

公共交通との出会い

7.

2010年〜2013年 バスネット: 鳥取大学発 バス・鉄道乗換案内 の開発 • 年間4万人を超えるユニークユーザ • 年間30万件を超える検索数 • 総務大臣賞 産学官連携功労者表彰,平成21年 • 総務大臣表彰 U-Japan大賞 地域活性化部門賞, 平成20年 • ほか受賞多数

9.

バスネット利用者の行動分析 • Webやアプリの利用データのビックデータ分析から、公共交通 への需要を明らかに 出発地設定 目的地 イオン鳥取北 (バス停) 鳥取駅 (バス停) 県庁日赤前 (バス停) イオン鳥取北 (バス停) 鳥取砂丘 (バス停) 500 450 400 350 300 250 利用数 順位 出発地 鳥取駅 1 (バス停) イオン鳥取北 2 (バス停) 鳥取駅 3 (バス停) 鳥商前 4 (バス停) 鳥取駅 5 (バス停) 目的地設定 200 150 100 50 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 時間帯 h 鳥取駅バス停 区間ごとの需要 地域別の需要分布 バス停ごとの乗降パターン 18 20 22 24

10.

アクセスログ解析システムの開発 • 直感的な解析を実現するWebインタフェースの開発 – Hadoopを使った分散処理でデータ解析を高速に実現 – 総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)地域ICT新興型研究開発に採 択

11.

鳥取駅 • 2025年にICOCA導入 (写真は2019年)

12.

本質的に同じなのにスマホ化されると使いたくなる? • 例)レンタサイクル→シェアサイクル • 逆に「スマホで申し込めるのに、解約方法が 電話のみ」には怒りを感じますよね?

13.

シェアサイクル・カーシェアリング・電動キック ボード • アプリから検索・ 予約・決済 • 会員登録もオンラ イン・即日対応 • 無人のステーショ ンでセルフサービ ス • スマホで解錠 • ワンウェイでの利 用

14.

スマホの親密性が公共交通の親密性に繋がる? • スマホの親密性 – – – – 常に携帯している。風呂やベッドにも 個人に所属し、個人IDが設定された状態でアプリ、サービスを利用出来る 操作に対してすぐ応えてくれる。アプリの操作に即座に反応がある マウスやキーボードなどを介さず、指先で直接操作出来る • スマホアプリのその先に「交通」があるイメージ

15.

MaaS (Mobility as a Service)

16.

MaaSとは? • ドア・ツー・ドアの移動に対し、 様々な移動手法・サービスを組み合わ せて1つの移動サービスとして捉えるものであり、ワンストップでシーム レスな移動が可能となる。 • 加えて、様々な移動手段・サービスの個々のサービス自体と価格を統合 して、 一つのサービスとしてプライシングすることにより、いわば「統 合一貫サービス」 を新たに生み出すものであり、価格面における利便性 の向上により利用者の移動行動に変化をもたらし、移動需要・交通流の マネジメント、さらには、供給の効率化も期待できる。 • 小売・飲食等の商業、宿泊・観光、物流などあらゆるサービス分野との 連携や、医療、福祉、教育、一般行政サービスとの連携により、移動手 段・サービスの高付加価値化、より一層の需要の拡大も期待できる。 (国交省 都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会中間とりまとめより)

17.

MaaS Global社による定義 • あらゆる種類の移動手段を単一の 直感的なモバイルアプリにまとめ ます。さまざまな事業者が提供す る移動の選択肢をシームレスに組 み合わせて、旅行計画から支払い まですべてを取り扱います。オン デマンドで旅行を購入する場合で も、手頃な価格の月額パッケージ をサブスクライブする場合でも、 MaaSは最善の方法であなたの移 動のニーズに応えます。

18.

Whim by MaaS Global • • ヘルシンキ(フィンランド)でMaaSを実現 Whim というアプリを通して鉄道、バス、タ クシー、自転車などの組み合わせ検索や予約決 済を実現 https://whimapp.com

19.

https://note.mu/kakudosuzuki/n/n01c8ab0f9b84 Whimの利用 • xx

20.

変身するLA マイカーなしでも移動に不自由なし モビリティー革命進行する米国 • 牧村和彦氏(計量計画研究所) による現地レポート • 米国にて、車社会から新しいモ ビリティサービスによるまちづ くりが始まっていることを報告 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33296960T20C18A7000000/

22.

「全ての交通サービスが自分の ポケットの中にある」 という、 今までに感じたことのない 異次元の感覚

23.

日本版MaaSの現状

24.

国交省 都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会 • MaaSをテーマにした懇親会 • 委員 – – – – – – – – – 石田東生 筑波大学特命教授 (座長) 伊藤昌毅 東京大学生産技術研究所助教 鎌田実 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 川端由美 自動車ジャーナリスト、株式会社ローラン ド・ベルガー 須田義大 東京大学生産技術研究所教授 高原勇 筑波大学未来社会工学開発研究センター長 森本章倫 早稲田大学社会環境工学科教授 矢野裕児 流通経済大学流通情報学部教授 吉田樹 福島大学経済経営学類准教授 • 2019年3月に中間とりまとめ公表 http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000089.html

25.

My route: トヨタ+西鉄によるMaaSアプリ • 日本初の本格MaaS実証実験 – 2018年11月〜2019年3月→延長 • バス・電車・タクシー・サ イクルシェア・ レンタカーの組み合わせ • 予約・支払がアプリで可能 • 2019年7月 ナビタイムと連 携発表

26.

小田急: MaaSアプリ EMot(エモット) • 観光: 箱根にて観光フリーパス実証実験 • 郊外: 新百合ヶ丘で公共交通へのシフト • 複合経路検索 – 鉄道+バス+タクシー+シェアサイクル等 • 電子チケットの発行 – 企画券、飲食チケット、無料モビリティチケット

27.

JR西日本のMaaS • 観光型MaaS setowa – 瀬戸内エリアの観光促進 • WESTER – 経路検索機能・駅混雑情報などを統合 – クーポン機能 • JR東日本アプリと連携予定 – 遅れを加味した検索

28.

本当の課題は何だったのか? • 様々な移動手法・サービスを組み合わせ – →そもそも検索は出来ていた。交通ICカードでも達成されていた – スマホとの連携は、いちアプリの中ではなく、スマホ全体の機能として達成されつつあ る • 多くのスマホがSuica, Pasmo機能を備える • 一つのサービスとしてプライシング – 様々な割引チケットが開発される – 交通ICカードでは実現不可能な割引のために、アプリが引き続き使われる • あらゆるサービス分野との連携、一般行政サービスとの連携 – 「交通は派生需要である」という一般論としては成り立っている – 「連携」ができてるとは言えない

29.

MaaSアプリの現状 • 伊藤の認識 – 日本においてはスマホによる簡易 な割引チケットシステムに落ち着 いた – 交通系ICカードの欠点(高コス ト・柔軟性の欠如)が存在理由。 現状は利用データの分断の要因で もある。

30.

MaaSアプリによるチケット • x

31.

アプリによるチケットの特徴 • 購入体験 – その時、その場で待たずに購入 • 複雑・柔軟なチケット形態 – 公共交通、観光施設、飲食など – 一日券、定期券、複数社の共通券など – 割引券、クーポン、ポイントなど • 柔軟な企画 – キャンペーン・観光フリー切符 • 設備のコスト・柔軟性 – 自動改札、QRコードリーダー、目視など、複数に対応する場合も • 導入・運用コストや入金タイミングは? • 利用データはどう扱われるか?

32.

MaaSアプリによる囲い込みから連携へ • 経路検索結果から交通事業者のアプリを通したチケット購入へ – Google Mapsからえきねっとへ・Yahoo乗り換え案内から小田急へ https://www.jreast.co.jp/press/2021/20220329_ho02.pdf https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2022/12/15a/

33.

MaaSの現状 • UXの観点: 「ポケットの中にある、スマホと繋がった移動手段」 – シェアサイクル、カーシェアリング、タクシーアプリなどで実現 – 鉄道、バスなど公共交通はまだまだ • 機能の観点: 「複数の交通手段を束ね、一貫した案内とチケット」 – 交通系ICカードを内蔵したスマホ全体でほぼ実現 – 交通事業者よりプラットフォーム企業(Apple, Google等)が強い • 日本版MaaSアプリの観点: 「必要なのはデジタルチケット」 – 柔軟な企画チケット、定期券、一日乗車券 – ポイント、クーポン

34.

Suicaのクラウド化(2023年度〜)に期待 • 現在 – ICカード内に決済情報を持ち、改札機において_運賃計算や決済を実施 • 但し決済装置においては無効カード情報などを同期するため、接続性は必要 • サーバにも決済データは残る。バスなどのオフライン処理の場合は数時間以内にオンライン 化し情報を同期している – 高速処理が可能で、ネットワーク障害の際でも利用出来る – Suicaのカードの機能に依存するため、拡張が困難 • クラウド化 – ICカードはIDのみであり、決済処理はサーバで実施 – QRコード決済など他の決済手段と一元化できる可能性 – カードや改札機のコスト削減 • バスにおいては常時安定した通信が必要になる https://www.jreast.co.jp/press/2021/20210406_ho02.pdf https://www.jreast.co.jp/press/2023/20230404_ho02.pdf

35.

2016〜 2020〜 2023〜 モバイルSuica/PASMO/ICOCA • FeliCa(NFC Type-F )をグローバル端末も内 蔵する流れ – ガラケーのモバイルSuicaは2006年から存在したが・・・ • Android端末 – Google Payの機能としてFelicaに対応 • iPhone, Apple Watch – Apple Payの機能として利用可能に • Suica/Pasmo独自の管理アプリは存在するが、 APIとして解放されてはいない – ICカードの読み書きは可能 – これがMaaSアプリと統合出来たら・・・

36.

一般のスマホアプリからFelicaにアクセス出来るか? • 一般に開発するアプリから、 Felicaの支払い機能にアクセス することは出来ない – 読み取りはiOS 13以降で可能 • Suicaアプリなどは特別な契約 に基づいて開発していると考え られる https://developer.apple.com/documentation/corenfc

37.

公共交通そのものの衰退?

38.

コロナ禍・2024年問題・・・ • コロナ禍、2024年問題などが続き、公共交通事業の縮小が全 国で続いている • 地方における廃線・減便のみならず、十分な利用者がいる都内 の鉄道すら、減便や終電の繰り上げなどが行われている • 窓口の撤去、駅の無人化なども進展 • 人口減少スピードを大きく上回るペースで公共交通サービスの 縮小が進んでいないか

39.

公共交通とは: モビリティ提供に必要な車両・ エネルギー・空間などを共有し有効活用 • 多くの人の要求をマッチングして限られたリソースを有効に活用す るのは、シェアリングエコノミーと同じ • ITを使えばもっとうまく出来るはず 出典: i-SUSTAIN https://www.i-sustain.com/projects

40.

福井での「負の社会実験」 • 2000年、2001年に相次いだ京福電気鉄道越前本線列車衝突事故を踏まえ て京福電鉄全線の運行停止命令 • 代行バスが輸送を代替するも、渋滞やバスの大幅な遅延が続き、地域の 通勤・通学が困難に • 地域社会も巻き込んだ積雪地における鉄道の効用が、運行休止後の降 雪・積雪時の代行バスをも巻き込んだ道路交通の麻痺という形で現れた ことで、経営上の黒字や赤字だけでは計り知れない鉄道存続の必要性を 社会に示す結果に • 第3セクター「えちぜん鉄道」として2003年から路線を継承 https://ja.wikipedia.org/wiki/京福電気鉄道越前本線列車衝突事故

41.

「地域公共交通」 という課題設定

42.

背景: 地域交通における行政の役割の高まり • 地域交通法(活性化再生法) 改正で地域交通のリ・デザイ ンを求めている • 協議会の開催など地方自治体 に期待される役割は大きい

43.

地域公共交通会議など • 市町村が主体となり、地域の交通事業者や利用者などを集めた 協議会を開催できる 出展: 中部運輸局愛知運輸支局 「地域公共交通会議等運営マニュアル」

44.

地域公共交通計画の策定 • 地域公共交通計画は「自分たちの地域 ではこのような考え方で地域公共交通 の持続的な提供を行います」という宣 言文 • 事業実施に当たっての住民・議会への 説明、予算要求時の財政協議などに際 し“法定の”計画に事業が位置付けら • れていることが根拠となる • 地域の関係者は協議への“応諾義務”や “結果の尊重義務” https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/content/001633211.pdf

45.

都市部: そもそも「都市交通マスタープラン」 • 総合都市交通体系調 査の一環として実施 – 管轄:国交省都市局 • 調査だけでな取り組 み全体をPT調査と呼 ぶことも多い 総合都市交通体系調査の手引き(平成19年9月) http://www.mlit.go.jp/crd/tosiko/sougou/pdf/01.pdf

46.

パーソントリップ調査とは • 目的トリップ、リンクトトリップ – 通勤や買い物など「一つの目的」を達成するために出 発地から到着地まで移動 – パーソントリップ調査では「目的トリップ」について も把握できる点が特徴 • 手段トリップ、アンリンクトトリップ – 徒歩→バス→ 鉄道→徒歩など、「交通手段」が変わる ごとにカウント https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000031.html

47.

交通計画 誰がど のように決めて る? • 熊本都市圏の例 • パーソントリッ プ調査 • 需要から計画を 作るための、4段 階推定法のよう な学術的な方法 論がある 2012 2013 2014 2015

48.

全国での実施状況 • 3大都市圏に加え、地方 中核都市圏などでも実施 • 10年に一度の実施であ るが、実際は20年以上 実施されていない地域も 多い https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000031.html

49.

熊本における実施例 • 2016年に熊本地震が起 こっても、粛々と計画作り が進む。。。 • 次は2022年度にPT調査を 実施(2023年度に延期) 2018 • 鉄道会社、バス会社は行政 の管轄下にあるわけではな いので、詳細な路線や運行 計画はこの計画に従うわけ ではない

50.

新谷先生コラム:PT 調査事始(抜粋) • • • • 1962年に,建設省都市局の指導と補助により、主要な都市で2度目の自動車OD調査を実施し、 以後3年ごとに実施した結果,これらのデータを利用して,主要都市の自動車トリップのパター ンや特性が分析され、将来計画の検討作業が各地で行われだした。 我々は,PT 調査を基礎とした交通計画の方法について内外の資料を集めて研究した.1967年に 建設省中国地建から相談があり、広島都市圏の将来を考えると高速道路だけでなく鉄軌道計画も 検討すべきだということになり、中国地建・広島県・広島市・周辺 13 町・関係公共団体・学識 経験者からなる広島都市交通問題懇談会が組織された. 広島でPT調査が着々と進み、かなり実行可能な方法であることが分かってきたため、建設省都市 局は、東京都市群については特別にPT調査を行うことになった。1970年代以降,京阪神都市圏, 中京都市圏等の大都市圏や,仙台,前橋・高崎などの地方都市圏において順次 PT調査が実施さ れ、データ解析・将来推計・計画作業が進むにつれて、この分野における研究は著しく発展する ようになった、 PT調査は、都市の交通計画を総合的かつ戦路的に検討することに役立つはずであったが、道路と 鉄道の計画主体が異なることから、鉄道計画にその成果が十分反映できず、総合的な計画を実現 するという点では問題点を残している。

51.

データという視点が前景化

52.

日本: MaaS関連データの連携に関するガイドライン • 2020年3月 国土交通省が公開 – 現在: Ver. 3.0

54.

ワンソース・マルチユース 乗り換え案内 マイ路線図・マイ時刻表 公共交通 オープンデータ 交通分析 service_id route_name 平日 250号線 [3102](片上→岡山駅) 行ラベル 06:52 08:40 10:35 15:11 17:05 総計 計画 最小 中央値最大 120 83 92 102 106 78 78 83 90 100 76 76 80 84 75 79 81 88 80 85 87 98 111 60 79.4 82 89 96 • • 40 計画 中央値 20 最小 最大 17:05 15:11 10:35 08:40 06:52 0 データを使った様々なアプリ開発や 交通分析が実現 データ分析やアプリ開発によって公 共交通の利便性が向上

55.

データの作成・流通・利用それぞれが課題に • 「データの流れ」の先として以下の課題を捉える • 応用領域1: アプリ・MaaSの高度化・相互運用 – 公共交通のより便利で高度な利用のために • 応用領域2: データに基づく公共交通計画 – 事業者・地域がより良い公共交通サービスを計画するために • 応用領域3: 交通事業者自身の業務の高度化 – そもそもデータは交通事業者にメリットをもたらす

56.

バス事業者に広がるGTFS形式の公共交通オープンデータ バス業界において「標準化」「オープン化」が同時に進行 路線 時刻 運賃 リアルタイム GTFS: 国際的な標準フォーマット(標準的なバス情報フォーマット・GTFS-JPと互換) 乗換案内・MaaS サイネージ・印刷物等 交通分析・計画 64

58.

2019年2月:90 2019年7月:126 66 21年1月 20年10月 20年7月 20年4月 20年1月 19年10月 19年7月 19年4月 19年1月 18年10月 18年7月 18年4月 2018年11月:30 18年1月 2018年7月:23 17年10月 17年7月 事業者数 350 300 250 200 150 100 50 0

59.

標準化: GTFS形式 • 世界で広く使われる形式(GTFS-JP, 標準的なバス情報フォーマットもほぼ 同等) • 乗換案内に必要な情報(バス停・駅+路線+時刻表+運賃)をまとめて格納 したファイル形式 バス停/駅+路線 時刻 運賃

60.

GTFS: Googleによるデファクト スタンダードが出発点 • 2005年オレゴン州ポートラン ドの公共交通事業者とGoogle によりGTFSという標準規格が 作られた – 2010年前後から米国で普及 – オープンデータとして公開 • 現在はGoogleの手を離れ、世 界中でデータが作られている http://qiita.com/niyalist/items/5eef5f9fef7fa1dc6644

61.

オープンデータとして自社などのWebページで公開 • Webページからデータを誰でもダウンロード出来るように

62.

GTFS データリポジトリの開発(2021〜) • 国土交通データプラット フォームにGTFSデータを投 入するために開発 – 国土交通省技術調査課 – 受託・社会基盤情報流通推進協議会 (AIGID) – 協力・ 日本バス情報協会 • 自治体、バス事業者がデータ を公開、管理するためのプ ラットフォームとして 77

63.

GTFSデータリポジトリを利用してデータ公開 • GTFSデータリポジトリにデータを登録、自社Webからリンク

64.

GTFSリアルタイム(バスロケ)提供も増加中(67事業者) • 便ごとのバス停通過時刻、緯度経 度情報などをリアルタイム公開 – Protocol Buffer形式 • 混雑情報も提供可能 – 2020年より宇野バス、横浜市交通局が対応

65.

2020年: 都バス・横浜市営バスの GTFS-JP・GTFSリアルタイムデータ公開 • 公共交通オープンデータ協議会(坂村健会長) による取り組み – 公共交通オープンデータセンター • 都バスは、Google Mapsでバスロケを考慮し た検索が可能に 2019年3月

66.

日本でデータ整備が進んだ経緯

67.

乗換案内サービスで検索出来ますか? 駅すぱあと Yahoo!乗換案内 駅探 乗換案内 NAVITIME ジョルダン 乗換案内 Google Maps Apple Maps

68.

地域の公共交通は乗換案内に出てこない

69.

地域の公共交通は乗換案内に出てこない データ整備にはコストが掛かるため 利用者数が少ない地域のバスにまで 手が回らない 交通事業者が自ら 標準形式のオープンデータを用意して 乗換案内に提供する

70.

日本の公共交通データ流通の現状 JR 私鉄 交通新聞社 私鉄 私鉄 バス バス バス JTBパブリッシング バスデータに関しては、集約して販売する 事業者がなく、乗換案内事業者それぞれが 独自で一社一社のデータを集めている 乗換案内サービス事業者

71.

海外の事例: 交通事業者がオープンデータを提供 • 路線図、時刻表、リアルタイム車両位置情報などのデータの利用を開放 • 自由に使ってもらうことで、アプリの作成や工夫を凝らした印刷物などの情 報提供を促進 • アメリカ、ヨーロッパでは当たり前になりつつある

72.

オープンデータから様々なアプリが開発される • 大企業、ベンチャー−企業、個人がアプリ開発

73.

バス情報の効率的な収集・共有に向けた 検討会(2016年12月〜2017年3月) • 事務局: 総合政策局公共交通政策部交通計画課 • 外部委員 – – – – – – – – – – 伊藤昌毅 東京大学生産技術研究所(座長) ー川雄一 株式会社構造計画研究所 伊藤浩之 公共交通利用促進ネットワーク 井上佳国 ジョルダン株式会社 遠藤治男 日本バス協会 櫻井浩司 株式会社駅探 篠原雄大 株式会社ナビタイムジャパン 丹賀浩太郎 株式会社工房 別所正博 公共交通オープンデータ協議会 山本直樹 株式会社ヴァル研究所

74.

2017年3月31日 「標準的なバス情報フォーマット」公開

75.

フリーのデータ作成ツール開発・提供・利用支援 • 西沢ツール – 西沢明氏開発 – 約40+自治体・事業者が利用 • 見える化共通入力フォーマット – 伊藤浩之氏開発 • 当初は三重県のプロジェクトで利用 – 約33自治体・事業者が利用

76.

その筋屋 • 無償配布されているダイ ヤ編集システム • プロ向けシステムと同等 の機能を備え、バス事業 の運営に利用出来る • GTFS/標準的なバス情報 フォーマット出力機能を 備える – 42事業者がオープンデータ公 開 http://www.sinjidai.com/sujiya/

77.

応用領域1: アプリ・MaaS の高度化・相互運用

78.

Google Mapsへの掲載 • GoogleはGTFS形式によるオープ ンデータを推奨 • 乗換案内に掲載されていない自治 体やバス事業者が利用促進のため にデータ整備 • 訪日外国人が利用するのはGoogle Maps

79.

「駅すぱあと/Yahoo!乗換案内」がオープン データを採用 • オープンデータ化されたバスデータを経路探索に採用 https://ekiworld.net/personal/app/spec/info.html?style=pc

80.

GTFSリアルタイムで攻めの情報発信 • バスロケやアラートを標準フォーマットで積極公開、利便性向上へ

81.

バスロケーションシステムの基礎データ • 群馬県・富山県では2018年度整備したデータを活用しバスロ ケーションシステムの整備を推進 – GTFSリアルタイムデータのオープン化にも取り組む https://toyama.vtfm.jp https://www.pref.gunma.jp/04/h21g_00088.html

82.

MaaSの基盤データとして • 北海道十勝MaaS実証実験の 基盤データの一部はGTFS-JP オープンデータ • 小田急+VAL研究所のMaaS プラットフォームに採用 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/hokkaido-tokachi-maas.htm https://www.slideshare.net/KenjiMorohoshi/20200128shikoku-gtfsjp

83.

サイネージでの活用

84.

市民発のアプリも登場 • Aa 青バスなう! https://sonohino-kibunshidai.org/aobus_now/ UnoMap https://play.google.com/store/apps/details?id=work.momizi.unomap&hl=ja

85.

• x 126

86.

災害対応がついに実現 • 2018年の西日本豪雨を踏まえ てデータ整備の体制や訓練 • 2021年夏の水害による呉線の 運休・代行バス運行の際に、 オープンデータ整備公開・ Google Mapsにて検索可能に 127

87.

GTFS-JPオープンデータ整備の効果 • 北恵那バス馬籠線での調査 – 利用者の多く(76%)は外国人。馬籠宿 から妻籠宿へ向かうルートが大半 – 外国人のうち欧米の旅行者が85% • 外国人の15%がGoogle Maps検索で バスを知る。20代は4割以上 • 沖縄・石垣島での調査 – データ整備前(2018年2月)と整備後(2019 年8月)との比較 – 「バス・船の検索に不便があった」が約5割か ら約3割に改善 • • – 検索する際の不便や困難が大きく改善 • 2018年10月調査(中津川市が実施) http://www.city.nakatsugawa.gifu.jp/page/081195.html 国内: 約5割(n=88)から約3割(n=101) 海外: 約6割(n=9)から約4割(n=34) 検索できなかったとの回答が約7割から約3割に 2019年9月報告(沖縄県 観光2次交通検討委員会資料) https://oki2k.jp/files/ic_20190913_no4.pdf

88.

応用領域2: データに基づく 公共交通計画

89.

人対人ではなく、皆がデータに向き合うように • 部分最適に陥らず、 組織を越えてデー タを共有し課題を 認識・議論 • 客観的なものに向 き合うことで、理 性的な対話が出来 る • 解釈のアイディア が出やすい

90.

全国輸送密度・交通量マップ https://qgis.t-brain.jp/traffic/ 全国の道路と鉄道の分担状況をWeb地図上で可視化 鉄軌道輸送密度[百人] 2019年度鉄道統計年報・各社資料 ■新幹線 ■JR在来線 ■民鉄 道路交通量[百台] 2015年道路交通センサス ■高速道路 ■一般道 バス輸送密度[百人] ICカード2021年10月 ■バス(熊本のみ) 131

91.

都市間比較: 全国の交通研究者に情報提供 熊本都市圏 福岡都市圏 DID人口59万人 公共交通9.7% DID人口149万人 公共交通32.0% (通勤通学) (通勤通学) 市電輸送人員:3万人 JRは日中2-3本/h 福岡・広島より 都市高速だけでなく 鉄軌道も貧弱で 鹿児島と同等 西鉄輸送人員:29万人 1980:都市高速 1984:国鉄4本/h化 1981:地下鉄 鹿児島都市圏 広島都市圏 DID人口48万人 公共交通15.6% DID人口103万人 公共交通24.7% (通勤通学) (通勤通学) 市電輸送人員:3万人 JRは日中1-3本/h 広電輸送人員:15万人 1982:国鉄4本/h化 1986:都市高速 1994:アストラムライン 都市高速だけでなく鉄軌道もバランス良く強化が必要 132

92.

GTFSから都バスの本数を把握するマップを作成

93.

全国鉄道運行本数データ • 鉄道のある区間に何本の列車 (普通列車)が走っているかを データ化 – 作成: 西澤明氏 • オープンデータとして誰でも利 用可能 – 伊藤研究室としてコストを掛けて作成し ているので、業務利用の場合はデータ作 成の継続への貢献を期待します • https://gtfs-gis.jp/railway_honsu/

97.

公共交通の運行本数の直感的把握

98.

人口と運行本数比較

99.

中心地からの到達時間

100.

地域ごとの通える高校数

101.

熊本における増便シミュレーション →渋滞解消効果を評価 • 幹線8方面で1時間あたり8〜2本、23時頃まで運行を仮定 • 簡易で網羅的な推計により効果推定 – 1日あたり543便増 – 年間532万人利用増、10.7億増収、9.3億円減益 • バス利用が532万人増により、車利用が403万人減り、平日朝夕と 土曜夕方を中心に速度が1km/h前後向上し、市民の走行時間が178 万時間、時間価値換算で47.6億円の便益 • 充分な費用対効果だが渋滞解消のたっめにはさらなる施策が必要

102.

幹線8方面 幹線路線 大きい丸:断面以遠 小さい丸:桜町〜断面 143

103.

現状のサービスレベル一覧(平日・上り) area 1_植木 1_植木 2_合志・菊池 2_合志・菊池 2_合志・菊池 2_合志・菊池 3_菊陽・大津 3_菊陽・大津 3_菊陽・大津 3_菊陽・大津 4_長嶺 4_長嶺 4_長嶺 4_長嶺 5_益城・空港 5_益城・空港 6_嘉島 6_嘉島 6_嘉島 6_嘉島 6_嘉島 7_宇土・宇城 7_宇土・宇城 8_田崎・城山 8_田崎・城山 8_田崎・城山 8_田崎・城山 8_田崎・城山 8_田崎・城山 travel direction terminal_time_min terminal_time_max trip_count c06 c07 c08 c09 c10 c11 c12 c13 c14 c15 c16 c17 c18 c19 c20 c21 c22 c23 人数 収入 _time 1A_徳王 up 6:30 22:19 91 5,652 4 8 9 7 7 7 6 6 6 6 6 5 5 4 3 1 1 0 2,615 579,242 1B_池田三丁目 up 7:28 22:38 23 496 0 2 1 1 2 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 1 0 342 49,894 2A_高平橋 up 6:52 21:05 39 2,335 1 3 4 4 2 2 2 2 2 2 3 3 3 3 2 1 0 0 1,138 228,622 2B_須屋小屋 up 6:42 22:52 24 1,927 2 2 2 2 1 2 1 1 0 1 1 2 1 2 2 1 1 0 827 211,034 2C_城北校前 up 6:32 23:21 31 1,760 2 3 2 3 2 2 1 2 2 2 1 2 2 1 1 1 1 1 897 169,435 2D_立田山 up 6:35 22:56 43 2,460 2 3 4 2 4 4 2 2 2 3 2 3 3 3 2 0 2 0 1,346 246,472 3A_高杉 up 6:48 22:03 41 1,831 1 2 3 4 2 3 2 3 3 3 3 3 3 2 2 1 1 0 1,006 185,372 3B_武蔵陸橋 up 6:58 22:33 36 1,862 1 2 4 2 2 3 2 2 2 3 3 3 2 2 1 1 1 0 957 179,801 3C_塚の本 up 6:33 21:00 29 1,489 1 3 1 3 3 2 2 2 2 2 2 1 2 1 1 1 0 0 833 154,294 3D_江南病院前 up 7:03 21:10 30 1,522 0 3 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1 0 0 624 118,985 4A_渡鹿四丁目 up 6:50 21:48 61 2,474 1 5 6 5 3 4 4 3 4 4 4 5 5 4 2 2 0 0 1,412 270,900 4B_熊本学園大学入口 up 6:47 22:52 66 3,261 1 4 7 4 5 5 4 5 4 4 4 4 4 4 3 2 2 0 1,509 305,898 4C_帯山小学校入口 up 6:55 22:44 77 3,496 1 7 8 6 5 5 4 4 4 4 6 6 5 3 4 2 3 0 1,660 290,352 4D_京塚 up 6:17 22:56 95 4,381 5 9 10 7 6 5 6 6 6 5 5 6 5 6 3 2 3 0 2,451 417,513 5A_小楠公園前 up 6:40 22:45 73 3,884 2 7 9 5 5 5 5 4 5 5 5 3 3 3 3 2 2 0 2,033 396,261 5B_東野中学校前 up 7:17 20:18 21 1,681 0 2 4 1 1 1 1 2 1 1 1 1 2 2 1 0 0 0 512 115,456 6A_下江津 up 6:54 21:17 17 873 1 5 4 0 1 0 1 0 0 1 0 1 1 0 1 1 0 0 360 73,507 6B_江津三丁目 up 6:43 19:10 12 521 1 1 0 1 2 0 1 0 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 219 39,683 6C_田井島(浜線バイパス) up 7:54 20:16 20 913 0 1 1 2 1 2 2 1 2 2 1 2 1 1 1 0 0 0 298 48,341 6D_田迎(旧浜線) up 6:09 23:41 94 5,093 7 7 8 6 7 4 7 6 7 6 8 5 5 3 3 1 3 1 1,834 409,502 6E_県立高等技術専門校前 up 6:48 21:08 27 1,083 1 3 2 2 2 2 1 2 1 1 2 2 2 2 1 1 0 0 371 63,821 7A_熊日前(国道) up 6:20 20:45 28 946 2 2 3 1 2 2 2 1 2 3 2 1 2 2 1 0 0 0 362 71,523 7B_熊日前(旧道) up 6:38 22:15 46 1,804 2 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 4 3 1 2 1 1 0 1,002 206,554 8A_新土河原一丁目 up 6:30 22:30 32 966 1 1 0 1 3 3 2 3 2 4 1 3 2 2 1 2 1 0 165 33,049 8B_島団地入口 up 6:37 19:26 16 505 1 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 209 45,301 8C_野口町 up 6:36 21:37 44 1,775 2 4 4 3 3 3 3 3 3 3 4 2 3 3 0 1 0 0 704 158,219 8D_野中公民館前 up 6:33 23:21 35 822 4 3 1 2 2 2 3 1 2 3 4 2 2 2 0 0 1 1 267 48,397 8E_稲荷入口 up 6:57 19:57 25 1,074 1 3 1 2 2 1 2 2 1 1 3 2 1 3 0 0 0 0 300 62,678 8F_高橋中間 up 6:26 21:11 31 987 2 4 3 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 0 0 563 108,426 trunk_name 144

104.

推計表(平日1日) 運転時間削減 短縮時間 バスレーン 短縮 適用 幹線 [分] 率 Lv 方面 路線(断面) 1_植木 1A_徳王 1B_池田三丁目 2A_高平橋 3 50% 2B_須屋小屋 3 50% 2C_城北校前 3 100% 2D_立田山 3 100% 3A_高杉 3 100% 3B_武蔵陸橋 3 100% 3C_塚の本 3 100% 3D_江南病院前 3 100% 4A_渡鹿四丁目 5 100% 4B_熊本学園大学入口 5 100% 4C_帯山小学校入口 5 50% 4D_京塚 5A_小楠公園前 3 50% 5B_東野中学校前 6A_下江津 6B_江津三丁目 6C_田井島(浜線バイパス) 6D_田迎(旧浜線) 6E_県立高等技術専門校前 7A_熊日前(国道) 7B_熊日前(旧道) 8A_新土河原一丁目 8B_島団地入口 8C_野口町 8D_野中公民館前 8E_稲荷入口 8F_高橋中間 2_合志・ 菊池 3_菊陽・ 大津 4_長嶺 5_益城・ 空港 6_嘉島 7_宇土・ 宇城 8_田崎・ 城山 増便率 8 2 3 3 3 3 3 3 3 3 6 6 8 8 6 2 2 2 2 8 2 2 4 2 2 3 2 2 3 時短感度(4%/分)を乗算 比例 反映 ×増便感度(0.5) 往復数 運転時間[h/日] 経費概算[円/日] 混雑 幹線部 輸送人員 収支概算[円/日] 増便 増加 1便人 増便増 増便増 レーン 増加 収入 収支率 収入 収支率 収支 現行 現行 増加 現行 増加 現行 増加計 後 率 数 加 加率 増加 率計 現行 現行 増加 増後 増減 91 123 177 62 35% 1,247千 439千 29.0 5,273 927 18% 0 927 18% 1,179千 95% 207千 82% -231千 23 34 14 7 48% 100千 48千 15.8 726 174 24% 0 174 24% 106千 106% 25千 89% -23千 38 49 71 18 26% 503千 128千 28.6 2,171 314 14% 149 463 21% 435千 87% 93千 84% -35千 24 49 65 65 100% 456千 457千 35.4 1,698 884 52% 155 1,039 61% 432千 95% 265千 76% -193千 33 49 61 24 40% 426千 172千 28.0 1,846 448 24% 275 723 39% 351千 82% 138千 82% -35千 42 49 77 8 10% 539千 55千 30.3 2,541 212 8% 330 542 21% 465千 86% 99千 95% 44千 41 49 58 6 11% 406千 45千 25.5 2,088 204 10% 275 479 23% 384千 95% 88千 105% 43千 38 49 64 14 21% 454千 97千 25.4 1,931 279 14% 265 545 28% 367千 81% 103千 85% 6千 29 49 50 29 59% 349千 206千 25.4 1,475 509 34% 238 747 51% 283千 81% 143千 77% -63千 28 49 45 29 64% 318千 204千 20.7 1,160 435 38% 191 626 54% 223千 70% 120千 66% -83千 61 93 81 27 33% 568千 189千 22.5 2,739 718 26% 691 1,410 51% 523千 92% 269千 105% 81千 65 93 104 29 28% 733千 206千 22.3 2,905 626 22% 706 1,332 46% 593千 81% 272千 92% 66千 78 123 118 59 50% 831千 416千 20.2 3,125 917 29% 404 1,322 42% 545千 66% 230千 62% -185千 93 123 137 44 32% 964千 311千 25.7 4,776 770 16% 0 770 16% 813千 84% 131千 74% -180千 75 93 130 28 21% 919千 196千 27.6 4,108 510 12% 277 787 19% 811千 88% 155千 87% -40千 21 34 55 34 62% 384千 238千 22.6 951 294 31% 0 294 31% 219千 57% 68千 46% -170千 18 34 31 29 94% 215千 203千 21.2 741 349 47% 0 349 47% 149千 69% 70千 52% -133千 12 34 17 33 196% 118千 232千 17.0 390 382 98% 0 382 98% 71千 60% 70千 40% -162千 21 34 30 19 62% 213千 132千 14.6 613 190 31% 0 190 31% 101千 47% 31千 38% -101千 93 123 171 56 33% 1,201千 396千 19.8 3,668 605 16% 0 605 16% 815千 68% 134千 59% -262千 26 34 34 10 31% 237千 73千 13.1 683 105 15% 0 105 15% 118千 50% 18千 44% -55千 28 34 32 7 24% 223千 53千 13.2 726 86 12% 0 86 12% 144千 65% 17千 59% -36千 46 63 61 24 38% 432千 166千 21.8 1,984 382 19% 0 382 19% 403千 93% 77千 80% -89千 32 34 31 2 8% 216千 17千 6.4 405 16 4% 0 16 4% 83千 39% 3千 37% -14千 16 34 16 19 113% 116千 130千 12.7 407 229 56% 0 229 56% 88千 76% 49千 56% -81千 44 49 57 7 11% 405千 46千 15.7 1,382 79 6% 0 79 6% 309千 76% 18千 72% -28千 36 34 27 -2 -6% 193千 -11千 7.3 522 -15 -3% 0 -15 -3% 93千 48% -3千 50% 8千 23 34 33 17 51% 233千 119千 13.4 601 154 26% 0 154 26% 125千 54% 32千 45% -87千 31 49 33 19 58% 230千 134千 17.7 1,096 318 29% 0 318 29% 209千 91% 61千 74% -73千 1日集計 全幹線 1,202 1,698 terminal桜町路線2,998 3,495 all 全路線 4,596 5,093 41%・496便増 1,878 2,571 3,818 723 723 723 39% 13,232千 5,098千 28% 18,115千 5,098千 19% 26,901千 5,098千 39%・510万円経費増 52,731 11,100 65,527 11,100 81,442 11,100 21% 17% 14% 3,958 3,958 3,958 15,058 15,058 15,058 29% 10,436千 23% 12,494千 18% 15,374千 29%・1.5万人利用増 79% 2,986千 69% 2,986千 57% 2,986千 73% -2,112千 67% -2,112千 145 57% -2,112千 299万増収 211万減益

105.

運輸行政全体で データの流れを作る必要性

106.

データの流れからみたバス事業 許認可権限 形式的な要件は確認はするが 地域の状況を踏まえた判断はしない 運輸局 (国) ダイヤ改正・臨時便 路線やバス停の新設・廃止 新規参入・撤退 公共交通 事業者 許認可・申請 紙ベース アプリ 事業者 利用者 GTFSによって デジタル化が進む 利用者への情報提供はデジタル化されつつあるが、 国への申請・届け出はアナログのままではないか?

107.

運輸局への紙による膨大な申請・届出業務 バス会社(永井運輸@前橋) 関東運輸局 太田恒平, 水野羊平, 三浦公貴, 伊藤昌毅, "GTFS-JPデータを用いた乗合 バス事業の電子申請に向けた基礎検討 〜帳票地獄からの脱却による働き 方改革を目指して〜", 第59回土木計画学研究発表会, 2019年6月9日.

108.

利用者向けのデジタル化を進めたところで…

109.

国交省: 地域公共交通計画の実質化に向けた検討会 • モビリティデータ の活用をひとつの 柱として議論 – 2023年12月〜 • 近日中に中間報告 が出る予定

110.

応用領域3: 交通事業者自身 の業務の高度化

111.

2024年3月2日 東京大学 本郷キャンパス 公共交通オープンデータ最前線 2024 バス広告の高度化・高収益化と 放送データ注入の省力化を実現するAOIシステム ケイエムアドシステム・東京大学 伊藤昌毅

112.

車内放送: 音声合成装置から流れる • ワンマンバスを動作させるための放送装置 – 8トラックテープ→メモリと進化 クラリオン CA-9000 レシップ Livu レゾナント FC-8000

113.

課題 • 音声データ準備(録音)コスト – バス停名、運行パターン変更のたびに必要 • データ注入コスト – バス車両に音声データをコピーする手間

114.

AOIシステム • IoTデバイスによるバス車載器の開発 • Webベースのコンテンツ作成システムの開発 • バス事業者 – 車内放送をコストからベネフィットへ • 広告主 – 柔軟でタイムリーな広告配信 • バス利用者 – バスが地域の移動と情報をもたらすように 今、試合は前半終わっ て2-1。 次のバス停で降りて、 今すぐチームを応援し よう!空席まだあるよ。

115.

Webによる広告入稿を実現 広告音声を作成 地図でバス停をクリック 期間と時間帯を設定

116.

チーム体制 • (株)ケイエムアドシステム – 全国114社のバス会社のアナウンスを請け負う広告代理店 • 開発 – (株)ワールドクラフト – エヌ次元(株) • スマートフォンアプリとWeb開発 – (株)プランクユニッツ • 東京電気大学発 IoTベンチャー • 共同開発 – クラリオンライフサイクルソリューションズ株式会社 • アドバイザー – 伊藤昌毅(東京大学) • 実証実験協力 – 川崎鶴見臨港バス株式会社

117.

事業としての可能性 • 今より細かい粒度で広告 が販売できることで、広 告を出稿する機会が増え、 結果として広告収入は向 上するという見込み • →バス会社に還元

118.

技術解説

119.

3層システム • IoT車載器: 次世代車載器アーキテクチャの提案 – 常時接続されたIoT機器がバス運行に合わせてオンライン音声データを再生 – 現状は「アタッチメント」として既存の音声合成装置と連動して動作 • オンライン動的広告システム: 新規広告ビジネス開発 – 顧客向け: Webベースの広告販売インタフェース – 管理者向け: 広告審査システム • 放送オーサリングシステム: 事業者のコスト削減・業務効率化 – Webインタフェースでバス車内放送を編集・生成 – GTFSデータ更新だけで放送を更新。録音やデータ注入が不要

120.

運転席周辺には大量の機器が…

121.

音声合成装置を核に機器が接続・連動 • ドア開閉や発車ボタンなどからバスの状況を認識 • 停車・発車などの状態を他の機器にも通知し制御 整理券発券 運賃箱 運賃表示器 ドア開閉 車速パルス 降車ボタン 通過ボタン カレントループで 系統番号、バス停 番号などを通知し 各機器を制御 方向幕 バスロケ 電子スターフ

122.

音声合成装置の問題点 • データ作成のコスト・難しさ – 細切れにした音声データをメモリ内に記録し、路線やバス停などに応じて組み立 てて放送する – バス停名の変更、広告放送の追加などの際にアナウンサーによる録音が必要 • データ注入の大変さ – 変更のたびに、深夜に車両1台1台にメモリカードを挿しデータをコピー – Wi-Fiによる更新、金庫経由の更新も • 機器が増えて複雑化 – 機能を担う機器が増え、管理なども大変に

123.

車載装置の開発 • 方針: 既存の音声合成装置を残したまま 音声を差し替える装置を開発 – 既存機器は無音化 • Raspberry Pi ベースのreTerminal を使用 して車載装置を開発 – 5inch スクリーン、F1からF3ボタンなどを一体化 • GPSや各種IOを一体化し金属筐体に収めた • 車両から24Vを供給、エンジン連動し起動

124.

開発用機材 • ドア開閉などをシミュレートするボタンを外付け 173

125.

ハードウェア構成 無音化した データ注入 車内 スピー カー クラリオン CA-6000 車外 スピー カー LTE常時通信 放送音声 (外部音声入力) 位置・時刻 カレントループ 設定番号・ バス停通過情報 通過 ボタン 降車 ボタン 放送切替 スイッチ ドア開閉 ウィンカー GPS

126.

車載器ソフトウェア • バスの状態変化に基づくイベントドリブン型のプログラム 放送(車内へ)「次のバス停は○○です」 停車中 走行中 放送(車外へ)「このバスは○○行きです」 • Pythonにより実装 • 状態変化に対応した「アクション」をプラグインとして追加可 能。将来の拡張に備える 175

127.

バス(車載器)の状態遷移を定義

128.

放送データ • JSON形式で、系統ごとにイベントと対応するアクションをまとめ たデータ – イベント例: n番目のバス停を発車 – アクション例: 音声データ「http://xxx.yyy.mp3 」を再生 – 2022年3月までに羽田野さん(当時 電通大)を中心にフォーマット策定 • 動作 – 起動時: 車載器がサーバからプログラムを取得 • その後コンテンツのURLを確認しキャッシュとして取得 • 議論 – 当初案: コンテンツはリアルタイム取得前提。リアルタイム生成コンテンツも想定 – 現行: Eagerにキャッシュするような動作。ダイヤ改正前は複数日分も取得

129.

放送データフォーマット • イベントとコン テンツの組み合 わせを stop_patternご とに用意 • 仕業と route の データも用意 イベント 複数のコンテンツ

130.

サーバ側 管理者:放送オーサリングシステム 一般:オンライン動的広告システム

131.

放送オーサリング • 放送音声を編集するシステム • 録音データを管理し、どの場合 に何を再生するかプログラムを 作成 • 現在のほとんどの場合、車載器 ハードウェアに付属する Windowsアプリが使われている – 大量のデータの用意が大変。手作業で データを操作することも

132.

放送オーサリングにおけるGTFSデータの活用 • GTFSデータを元に放送データを作成する • GTFSで欠落している仕業データなどを追加ファイルとして登録 Additional.csv

133.

GTFSの更新 • ダイヤ改正時は改正後のGTFSをアップロードすることで、差 分を検出し適切に処理 • 例: バス停名を変更→ データ有効日からバス停名が切り替わ る

134.

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135.

193 基礎データ登録 ● GTFSデータ+仕業データを登録 することで放送の基礎データに ○ ● ● 改正日より前に更新データをアッ プロード、必要なら放送を編集 ダイヤ改正、運行日設定、バス 停名称や位置の変更などは全て GTFSから反映 実証実験ではダイヤシステムの 出力データを独自にGTFSに変換 して利用予定

136.

194 放送音声の作成(オーサリング)

137.

195 車内放送の編集 ● 放送を運行放送、広 告放送、業務放送に 区分 ○ 現在は暫定で全て 業務放送として登 録

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196 運行放送はパターン化してまとめる

139.

197 経由地の設定 ● 途中バス停で読み 上げられる行き先 や経由地は三角表 から設定可能

140.

人工音声: コエステーション • あ

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オンライン動的広告システム • Webから簡単にバス音声広告を出稿 – 音声は人工音声を利用 • 出稿者は日々発信内容を変えるなど広告の動的編集も可能

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Webによる広告入稿を実現 広告音声を作成 地図でバス停をクリック 期間と時間帯を設定

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最新の開発状況

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現状: 放送内容をほぼ変えずに人工音声化 • x

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SNSでの反響 https://twitter.com/E235_1001/status/1746054069792465221

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まとめ • バス広告 – 動的に入稿、流せるように – 今より高収益を狙う! • 音声合成装置 – 放送データをクラウドから入力することで「注入」不要に – 「何か変えるたびに録音し直して大変、お金が掛かる」問題を解決 • バスの可能性を広告で引き出す – 移動手段と一体化した広告が地域を繋ぐメディアに

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改めて公共交通DX

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そもそもDXとは? • 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル 技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、 ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、 プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立す ること – 「DX推進指標」における定義, 経済産業省, 2019年7月 • 結果:顧客や社会のニーズに基づいた製品やサービス • 手段:データとデジタル技術を活用 • 波及効果:業務、組織、プロセス、企業文化・風土の変革

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データ: 顧客の姿そのもの • データを使って組織を越えた議論と意志決定 – データに基づいた高度な意志決定を繰り返す風土・技術 • データの流れに注目した業務やシステムの再構築 • 出改札システムは、単なる機械装置ではなく、顧客対応の最前 線で生のお客様の声を拾い上げデータ化している

150.

3月2日 公共交通オープンデータ最前線2024@東大本郷 • x データによって業界を越えた 人材を惹き付け 公共交通の価値増大につなげたい