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April 15, 22
スライド概要
2022年4月15日(金)に出島メッセ長崎にて「6th長崎QDG」を開催しました。
ご講演者より許可を頂いた資料につきましてNaITEにて公開いたします。(公開版資料は当日版資料と内容が異なっていることがあります)
★6th長崎QDG
https://nagasaki-it-engineers.connpass.com/event/222448/
★NaITE(長崎IT技術者会)
https://naite.swquality.jp/
NaITE(長崎IT技術者会)です。 イベントや勉強会の資料を公開していきます! ★NaITE(長崎IT技術者会) https://naite.swquality.jp/
プロセスの見える化から設計へ - 仕事、 改善、 品質の基本 - 派生開発推進協議会 古畑 慶次 [email protected] (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG
自己紹介 古畑 慶次 (こばた けいじ) <所属> : 派生開発推進協議会 (AFFORDD) / (株) デンソー 技術企画部 - 博士 (数理情報学) / 産業カウンセラー(JAICO認定) <業務> : 技術支援・指導、研修開発、講師 - 派生開発、要求開発、システム設計、プロセス設計の技術支援・指導 - 高度ソフトウェア専門技術者研修の企画、運営 - 産業カウンセラーとしてカウンセリングも行う <略歴> 1988年 : 名古屋大学大学院 電子機械工学専攻修了 携帯電話 PHS ナビゲーション 1990年 1994年 2002年 2004年 2015年 2019年 2021年 (C) copyright 派生開発推進協議会 : : : : : : : (株) デンソー 入社 研究開発部 配属 基礎研究所 ・・・ 音声認識、デジタル信号処理 通信技術部 ・・・ ソフトウェア設計 / ハードウェア設計 ITS 技術部 ・・・ プロセス改善 / 現場支援 CMM (株) デンソー技研センター: 技術者育成、現場指導 南山大学大学院 数理情報専攻 修了 技術者育成 (株) デンソー コアスキル開発部 現場指導 技術企画部 ・・・ <現在に至る> 6th 長崎QDG 1
XDDPトライアングル • 派生開発を支える3つの技術 派生開発の プロセス技術 XDDP 要求を仕様化 する技術 プロセスを 設計する技術 USDM PFD (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 2
清水吉男氏 -XDDP・USDM・PFDの発案者- 清水吉男氏 第5回世界ソフトウェア品質会議(2011年@上海) (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 3
はじめに 「自分の仕事をプロセスとして何をしているか説明できますか?」 この問いどれだけの人が「説明できます」と答えられるだろう? デミング賞で有名なウィリアム・エドワーズ・デミングは、 「説明できないのなら、あなたは何をしているのか分かっていない」 また、 「管理職の80%はこれらの一見単純な質問に答えることができない」 としている。 (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 4
Agenda 1. プロセス設計の必要性 - DXも品質もプロセスから - 2. プロセスをPFDで表現する - プロセスを可視化し設計する - 3. まとめ (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 5
1. プロセス設計の必要性 ー DXも品質もプロセスから ー ・ ソフトウェア開発を取り巻く環境 ・ DX (Digital Transformation) とプロセス ・ 品質はプロセスで確保する (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 6
1.1 ソフトウェア開発を取り巻く環境 • 市場要求の変化 ソフトウェア・ファースト Software Defined – IoT (CPS)、AI のインパクト • あらゆる Device がソフトウェア上で成り立つ – 機能の競争から価値の競争へ Device • 価値の継続的な提供 Device Device アプリケー ション edge サービス AI DB edge インターネット (クラウド) 市場の急激な変化が、ソフトウェアの在り方を変え始めた (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 7
1.2 DX:Digital Transformation • デジタル・トランスフォーメーション(DX) – DXとは?[DXレポート] • 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム (組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、 ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しい ビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで 価値を創出し、競争上の優位性を確立すること 出典: データ主導社会へ、総務省、http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/pdf/n1000000.pdf (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 8
1.2 DX:Digital Transformation • デジタル・トランスフォーメーション(DX) – DXとは?[DXレポート] • 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム (組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、 ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しい ビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで 価値を創出し、競争上の優位性を確立すること 第3のプラットフォーム ビックデータ クラウド 顧客・市場 モビリティ ソーシャル技術 [外部エコシステム] 製品、サービス、ビジネスモデル アナリティクス ネット、リアル 開発 顧客 エクスペリエンス 利用プロセス 開発プロセス 組織、文化、従業員 業務プロセス [内部エコシステム] プロセス 再設計 (開発プロセス) 企業 (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 9
1.3 開発プロセスの再設計 ▪プロセスで時代変化に対応する IoT(CPS)、ドローン、 AI、インターネット 、機械学習、 自動運転 etc 時代の変化 [要求の変化] 時代に対応 <変化への対応> ソフトウェア開発 開発プロセス 競争力 || リソース制約 標準プロセス 工夫・創意 知恵 ソフトウェア開発の課題を開発プロセスで解決する (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 10
1.4 プロセスとは何か? ▪プロセスとは? • 投入物を成果物に変換する行為/仕掛け − 個人の習慣の中に入ったまま ? / 組織の「文化」として固定している? 投入物 入力 成果物 プロセス プロセス プロセス 成果物 成果物 プロセス プロセス 支援 成果物 支援 支援 <管理> <技術> 分析・設計技法 レビュー技法 変更制御 テスト技法 要件開発 データ構造・アルゴリズム プロセス設計 見積り技術 (C) copyright 派生開発推進協議会 外注管理 出力 進捗管理 リスク管理 要求管理 品質保証 抽象化技術 スケジュール管理 プログラミング能力 チーム・マネジメント 構成管理 プロジェクト計画立案 プロセス管理 6th 長崎QDG <基本能力> 法務知識 文章作成能力 11
1.5 品質はプロセスで確保する ▪ 品質 = 製造品質 + 製品品質 「テスト」で製品の品質を “上げる” ことはできない • 成果物の品質はプロセスの品質に依存する • 最終成果物の品質 = プロセスの品質 品質はプロセスで 作り込む ▪ 品質コスト = 予防コスト + 評価コスト + 失敗コスト • ものごとを正しく行わないことの代償 • 適切なプロセスを適切な時に実施すれば品質はついてくる Qpd(製品) = x x Qpc :プロセス(仕掛け、仕組み) Qrq :実際の要求仕様 x Qom :実際の組織、人材、知識、教育 Qit :実際の技術、情報、部品、環境 x Qmt :モチベーション 出典:情報処理1995.5 p406 (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 12
1.6 品質問題の解決 • 不具合の原因はプロセスにある – プロセスの不備や欠落が問題の主な原因 ⚫ プロジェクト遅延も プロセスの問題として扱える プロセスの欠落 ➢ 必要なプロセスが組み込まれていない ✓ 仕様を顧客と確認するプロセスはあったか? 品質問題 ・不具合他 ⚫ プロセスの不備 ◆ プロセスの実施 ➢ 必要なプロセスが不適切に扱われた ✓ 仕様化のプロセスでは何をしたか? ✓ レビューはどんな手順で実施したか?・ プロセスの 再設計 ◆ 成果物との連携 ➢ プロセスと成果物が連携していない ✓ 設計書がソースコードを書く際に活用されたか? ✓ 仕様書に○○機能について書く欄はあったか? 品質問題はプロセスの問題として解決する (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 13
2. PFDのエッセンス - プロセスを可視化し設計する - ・ プロセスの「定義」から「設計」へ ・ PFDでプロセスを表現する ・ Plan Backward、 Do Forward (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 14
2.1 プロセスの「定義」から「設計」へ ▪プロセスを設計する • 要求を満たすソフトウェア・システムを作る「開発プロセス」を設計 ✓ プロセスを固定しては、時代の変化 (市場要求) に対応できない [ プロセスを「定義」する: 「固定する」 というイメージ ] 要求 機能要求 ソフトウェア・システム 品質要求 開発プロセス 作業要求 (制限) ソフトウェア工学の知識 開発プロセス を設計する ・プロセスの設計技術 ・これまでの経験 1 5 2 3 4 設計者の思想 システムへの要求を満たすように プロセス を 「設計」 する (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 15
2.2 プロセス設計技術 ▪激変する市場の変化に応え、品質を確保し続けるには ・・・ • 開発プロセスの設計 − ソフトウェア開発に同じ要求は無い / 品質はプロセスで確保する ① ツール • プロセスの着実な実行 − 事前に設計したプロセスの シミュレーション が必要 シミュレーション のツール ② スキル • プロセスの変更 − 状況に合わせてプロセスを変化させるスキル プロセスを自在に 設計できる能力 * 自分で設計したプロセスだから変化させることができる プロセスを設計し、結果を振り返り、小刻みに改善する (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 16
2.3 PFD:Process Flow Diagram ▪ PFD とは? • 有効な作業 (プロセス)と成果物の連鎖 (関係) を表現したもの ✓ PFD = ダイアグラム + 成果物定義書 + プロセス定義書 <ダイアグラム> <成果物定義書> D02 成果物名 入力物1 D04 入力物3 成果物の目的 D10 入力物8 作成日 プロセス番号 成果物の構成と簡単内容 検証 プロセス レビュー 記録 更新 作成日 入力情報 出力情報 作業内容 D12 成果物7 プロセス名 編集方針 入力物2 成果物6 変換 プロセス D07 D03 変換 プロセス <プロセス定義書> 担当者 プロセス実施条件: 変換 プロセス 必要スキル: D14 担当者: 成果物9 作業内容: D005 入力物5 プロセス終了判定: ▪ プロセスの可視化/設計 • 現状のプロセスを “見える化” する • プロセスを設計する [To-be] (C) copyright 派生開発推進協議会 [As-is] 6th 長崎QDG プロセスを シミュレーションする ・ ムダの見える化 ・ 合理性の確保 17
2.4 PFDで使用する記号 (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 18
2.5 2つのプロセス ▪開発プロセスの構成 • 「変換プロセス」 「検証プロセス」 • 効果的に組み合わせて合理的なプロセスを設計する D02 入力物1 D04 入力物3 変換 プロセス 成果物6 D12 成果物7 D07 入力物8 (C) copyright 派生開発推進協議会 レビュー 記録 検証 プロセス 6th 長崎QDG 更新 入力物5 入力物2 変換 プロセス D10 D005 D03 変換 プロセス D14 成果物9 19
2.6 Plan Backward / Do Forward ▪計画は後ろから:Plan backward • 最終成果物を定義し、作成するプロセスを設計する ▪実行は前から : Do forward(Check constantly, Act immediately) • プロセスを前から実行する (常に振り返り、すぐ改善する) Plan backward 入力物は何か? Step3. 必要な情報を決める 入力物 入力物 どうやって作るか? Step2. プロセス Step1. 必要な情報・ 作る方法を決める 成果物 何を作ればよいか 成果物の目的・ 構成を決める Do forward (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 20
2.7 PFDのサンプル • 派生開発: 変更を扱うプロセス (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 21
3. まとめ ・ 改革・改善はプロセスから ・ PFD -プロセス設計のソリューション- (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 22
3. まとめ • 改革・改善はプロセスから – DX : IoT、AIによる市場の急激な変化 – 品質: 品質は製品・サービスの生命線 プロセスの再設計 時代変化と品質に対応する • PFD : プロセス設計のソリューション – プロセスを設計し、結果を振り返り、小刻みに改善するツール – プロセスの可視化 (分析) / 設計 シミュレーション(合理性の確保) <ダイアグラム> <成果物定義書> 成果物名 D02 入力物1 D04 入力物3 D03 変換 D10 成果物6 変換 プロセス D07 入力物 8 入力物2 プロセス 成果物の目的 入力情報 編集方針 出力情報 成果物の構成と簡単内容 D12 更新 プロセス名 作業内容 作成日 担当者 必要スキル: 変換 プロセス レビュー 記録 プロセス番号 プロセス実施条件: 成果物 7 検証 プロセス 作成日 <プロセス定義書> 担当者: D14 成果物 9 作業内容: プロセス終了判定: D005 入力物 5 (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 23
ご清聴、ありがとうございました 派生開発推進協議会 古畑 慶次 [email protected] (C) copyright 派生開発推進協議会 6th 長崎QDG 24