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January 11, 23
スライド概要
RSGT2023 での講演資料です。参考になれば幸いです。
解説・補足説明はこちら: https://www.servantworks.co.jp/posts/rsgt2023-outcome-with-measurement/
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MORE EFFECTIVE SCRUM シリーズ 長沢 智治 サーバントワークス株式会社 代表取締役 © Tomoharu Nagasawa
長沢 智治 略歴 Rational ▷ IBM ▷ Borland ▷ Microsoft ▷ Atlassian ▷ 独立・起業 サーバントワークス株式会社 創業者・代表取締役 Helpfeel Inc. Advisory Board Member DASA Ambassador RSGT 登壇履歴 長沢 智治 サーバントワークス株式会社 代表取締役 © サーバントワークス株式会社, Tomoharu Nagasawa RSGT 2017 基調講演 RSGT 2020 講演 RSGT 2021 講演 MORE EFFECTIVE SCRUM シリーズ RSGT 2022 講演
長沢 智治の関連書籍とホワイトペーパー BOOKS 寄稿 監訳 GUIDES & WHITE PAPERS NEW! NEW! 協力 執筆 監訳 監訳 共著 監訳
本日の概要 アウトカムとスプリント活動に集中するには アウトカム • 結果指標(遅行指標) • 改善は困難 アウトカムの動力 • Build the right thing 適切なものを作る • Build things right スプリント活動 • 計測して事実を共有する • 地に足ついた改善策 ものを適切に作る • 生産性”中毒” • リスクを管理 • やった感の錯覚 • 予測性を高める • フローと内発的動機
アウトカムとスプリント活動 アウトカムとスプリント活動は直結していないが、連動している 遅行指標 従来の指標 《直結する前提?》 知識/組織的価値 先行指標 ビジネス価値 社会的価値
アウトカムとスプリント活動のアツレキ ステークホルダーと現場の温度差 問題領域の錯覚 プロダクトマネジメントの”すきま” 企業ビジョン 複雑 煩雑 complex complicated ビジネス戦略 プロダクトビジョン プロダクト戦略 無秩序 disorder 価値と開拓 混沌 明確 chaotic clear デリバリー と検証 壊滅的 catastrophic 複雑適応系(CAS) 生産性が高ければ、成果がでる 完璧な計画を遂行できれば、達成できる • ビジネスと現場の分断 • ビジネス変化とアウトカムからの乖離 • 「プロジェクト化」とタスクへの依存 • マイクロマネジメントと生産性への執着
適切なものを作る - Build the right thing RSGT2022: プロダクトゴールとは?あるいはプロダクトのゴールを設定するには何が必要か? プロダクトビジョン 目指すもの 期待するもの プロダクトゴール 実現するもの プロダクトバックログ スクラムチーム インクリメント ステークホルダー スプリントゴール スプリントバックログ 完成の定義 ものを適切に作る – Build things right
経験的アプローチ スクラムもEBMも経験的アプローチ: 網点のように 事実を置いていき、観察により判断 わかった事実「・」を置いていく 透明性 わかっていることが増えてくる 適応 目指す先が合っているか、 やり方が馴染むかわかってくる 検査 目指す先も検査できるようになる 画像引用: http://mkagaku.jugem.cc/?eid=333
経験的アプローチ スクラムもEBMも経験的アプローチ: 複雑系思考 客観的なデータを収集し、判断する 無秩序へ あるある 適応 検査 止める 実験 少数派 ファシリ 直感や賭け 混沌系へ 性 同調圧力 貫 同調する集団 チャレンジ 一 透明性 煩雑系へ 再現性がある 異端児 疑いの余地なし 無秩序へ Dave Snowden の複雑系サブシステムの解説をもとに長沢が作成
アウトカムと実験に集中する アウトカムは遅行指標(結果指標)なので、実験ループで探究し続ける PBIとアウトカムは直接つながらない ? PBI 実証データ 実験ループ PBI PBI PBI PBI PBI 作る量ではなく、価値を最大化したい|開発者にできるのは価値を生むこと PBI
スクラムの狙い リスクと予測を手の内に リスクと予測可能性 未完成の作業によるリスク PBI コード DoD/AC KEEP! リリース可能 リリース済み 予測可能性 • 鮮度のあるプロダクトとチームの力 • アウトカムに適応させる 完成・アウトカムへ (時間)
スプリント 一貫性を保つ心臓の鼓動 (フィードバックループのフロー) ビジネスに合わせた短さ アイデアを価値にするだけの長さ • アウトカムによってプロダクトを適応 • スクラムチームの”歩幅” • ステークホルダーの期待値管理と協力 • スクラムチームのケイデンスと成長 • プロダクトゴールに近づくペース • 短期ゴールと集中 時間で(を)制御している • 時間は、誰にとっても平等で一貫性がある • 時間は、都合よく恣意的に扱いにくい • すくなくとも1つの価値を生み出す
1つの価値を生み出すことに集中 効果性と反応性が先で、効率性は後回し 段階的アプローチを取る必要がある Crawl, Walk, Run スプリントで少なくとも1つの価値を生み出す プロダクトビジョン プロダクトゴール ? PBI インクリメント スプリント
スプリントで価値を生むための戦略を立てる 価値を中心にスケールさせていくのはどうか 価値 × 1 価値 × 2 価値 × n ワンチーム 1 2 3 チームはいくつの価値を作れるのか WIP × 2 4 5 6 チームが2つ並行して作業できたらどうか (WIP × 1) 臨機応変 柔軟にモブ / 個人ワークで、 スプリントゴールに適応できたらどうか 7 ※ とあるチームのアプローチの例
チームは何を計測するとよさそうか サイクルタイムで、事実を検査しやすくする 顧客サイクルタイム リードタイム アイデア サイクルタイム PBI リリース コードコミット 変更のリードタイム PBI サイクルタイム サイクルタイム スプリント期間 ※ サイクルタイム: 着手してから、完成するまでの経過時間
サイクルタイムは改善を促す 横槍、タスク切り替え、重複作業、PTとWT、VAとNVAを議論しやすい PBI PT PT WT PT WT PT WT WT サイクルタイム(フロータイム) それぞれのPBIの固有の特性に依存しない共通の改善要素が多い
チームはどう傾向を把握するのか サイクルタイム散布図で傾向を知る サイクルタイムのローリング平均 標準偏差 サイクルタイムの平均 7 6 サイクルタイム(日) サイクルタイム(日) 8 PBI 5 4 3 2 1 0 6 5 4 3 2 1 0 着手から完成に移動した日付 Jira Software: 管理チャート 着手から完成に移動した日付 Azure DevOps: scatter-plot control charts
チームは何を計測するとよさそうか WIPで、事実を検査しやすくする WIP: 着手しているが完成していないPBI PBI PBI PBI PBI PBI PBI PBI PBI PBI スプリント期間 PBI スプリント期間
チームはどう傾向を把握するのか 累積フロー図(CFD)で傾向を知る スループット PBIの数(累積) 60 サイクルタイム 40 WIP 20 10 0 時間経過 Jira Software: 累積フローダイアグラム Azure DevOps: cumulative flow https://demo.actionableagile.com/ で体感できる
チームは何を計測するとよさそうか PBIの経過期間で、事実を検査しやすくする PBIの経過期間: PBIが開始してからの経過時間(日数) (開始して完成していないPBIのみ計測) PBI PBI WIP制限 作業切り替えコスト WT PBI スプリント期間 結果指標であるサイクルタイムを改善する先行指標として活用 ※ 「PBIの経過期間」は一般的には、「作業項目の年齢(Work Item Age)」と呼ばれる
チームは何をもとに予測するのか SLEで、事実を検査しやすくする SLE: PBIの経過期間に期待する割合 例)PBIが3日以内に完成する確率が80%であること done! PBI done! PBI done! PBI done! PBI PBI undone 例)PBIが2日以内でプルリク (MR) に到達する確率が80% (というのも有効だった) ※ SLE: サービスレベル期待値(Service Level Expectation)
PBIのサイズは気にしなくていいのか 予測可能性とWIP数とスループットに影響を及ぼすほどの問題でない PBI PBI スプリントに収まらないのはそもそも無理 Tシャツサイズ リファインメント / プランニングで分割できる PBI PBI おそらくバラツキ(誤差)の範囲内 PBI PBI スプリント期間 https://www.agilealliance.org/estimation-and-forecasting/ • • • 1 TFB: to f*ck*ng big NFC: no f*ck*ng clue
PBIのサイズは気にしなくていいのか 予測可能性に影響を及ぼすほどの問題でない ポイントとベロシティによる予測 PBIの個数とスループットによる予測 ? 16 21 SLE 30 20 23 27 60pt くらい 見込み 37個 40pt くらい 実績 51pt 16個 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 1 3 5 7 9 ポイントはアウトプット、PBIの個数はアウトカムの候補 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 ※ 各数値は正確ではない
イベントでの検査と適応 事実を観察し、ゴールに向けてチームを適応させる スプリント スプリントプランニング デイリースクラム スプリントレビュー スプリント レトロスペクティブ • スループット • WIP • スループット • サイクルタイム • PBIの経過期間 • PBIの経過期間 • (サイクルタイム) • WIP • (WIP) • スループット • PBIの経過期間 SLE CFD SLE CFD SLE “変化の兆し” に気づけば、対処できる CT散布図
WIPに制限をかける 状況を知った上で、現実的な効果性を高める制限をかけていく WIP制限 • 作る量を増やすためのWIP制限ではない • 価値をできるだけ最大化するためのWIP制限 • 少なくとも1つの価値を生み出すため • 集中してチームで取り組むため • シンプルに改善のタネを浮き彫りにするため • 生産性中毒にならないため ※ あるチームでは、WIP制限のことを「トランキーロ」と呼んでいる WIP以外の制限 • スクラムイベント以外の 会議を減らす • 兼務などの切り替え数を減らす • 意思決定にタイムリミット (一定時間経過したら自己承認) • 助言を「サイクルタイム」に 寄与するものに限定する
PBIの種類ごとにアレンジする 状況を知った上で、現実的な分類をしていく WIP制限: • それぞれのサイクルタイムとスループットから スプリントで取り組むそれぞれのWIPを制限する 例) 最大値: フィーチャー (5), 欠陥 (3), リスクと負債 (1), 改善 (1) PBI • 他の分類が空いているからと言って 最大値を超えないようにすべき • フィーチャー プロダクト バックログ • 欠陥 / バグ スプリントバックログ スプリントゴール • リスク • 負債 • (改善) フィーチャー • フィーチャー • リスク • 欠陥 / バグ • 負債 欠陥 リスク・負債 改善 レトロスペクティブ
コツ アウトカムのタネと時間を上手に運営する • KISS(Keep it short and simple) • 内発的動機による改善は疲れない よくある指標を見つめ直してみる 「時間」を事実把握に利用する • この指標でないといけない理由はあるか • 理解しやすい、協力しやすい、改善しやすい • 何がわかるようになるか • 白黒つきやすい(改善・次への判断しやすい) • 何の改善につながるのか • ごまかせない • 合わない指標は途中でも変える・他を試す • タスクにまで適用しない チームのために設定し、活かす • 押し付けや強制になるのを避ける • ステークホルダーとの約束事としない • 予測に使わない、事実にのみ使う
測 れ ば わ か る さ ︒ 迷 わ ず 測 れ よ ︑ アントニオ猪木、『無常断章』清沢哲夫より、改変 そ の 一 足 が 道 で あ る ︒ そ の 一 足 が 道 と な る ︒ 踏 み 出 せ ば ︑ 危 ぶ め ば 道 は な し ︒ 危 ぶ む な か れ ︑ ど う な る も の か ︒ こ の 道 を 行 け ば ︑
得られた効果 アウトカムのタネと時間を上手に運営する • 「時間」の事実は計りやすく、受け入れやすい ▶ 改善しやすい • スループットは、ベロシティよりも説明しやすい(でも約束しない) • スクラムイベントで、「変化の兆し」を検査し、適応させやすい • 特に、効果性を妨げる要因が浮き彫りになる • すぐに試せる改善が浮き彫りになる • アウトカムへつながる価値の供給フローを実感しやすい • ビジネス指標に動じない • 安定供給できていると、邪魔されない、横槍が入りにくい
自ら判断し、選択すること 長沢 智治 サーバントワークス株式会社 代表取締役 © サーバントワークス株式会社, Tomoharu Nagasawa 半分正しい WHAT/HOW WHY/WHO 可能性を制限する WHY/WHO WHAT/HOW 可能性を引き出す
情報リソース 本講演に関連する資料 カンバンガイド • カンバンガイドの定義集 • カンバンガイド《付録》実現手段と詳細説明 取り扱った指標の詳細や活用の仕方を知りたい https://kanbanguides.org/ スクラムチームのためのカンバンガイド 取り扱った指標をスクラムチームで扱う際の基本ルールを知りたい https://www.scrum.org/resources/kanban-guide-scrum-teams
情報リソース 本講演に関連する資料 フローシステムガイド • 複雑性思考: 複雑適応系、ウィークシグナル検知、経験的プロセス制御、制約マネジメント • 分散リーダーシップ: 共有メンタルモデル、意思決定、行動第一 • チームサイエンス: チーム設計、状況認識、認知形成、チーム効果性 スクラムチームが置かれている状況の根拠やキーワードを知りたい https://flowguides.org/ チームリーダーのための「スクラムガイド」手引き スクラムチームを組織のリーダーに支援してもらい https://www.scrum.org/resources/scrum-guide-companion-leaders
情報リソース 本講演に関連する資料 スクラムチームの成果を伸ばすための計測方法(仮題)《翻訳中》 USING MEASUREMENT TO IMPROVE SCRUM TEAM PERFORMANCE • 価値提供の成果の計測 • 価値提供の能力の計測 この講演の根拠と発展について関心がある https://www.scrum.org/resources/using-measurement-improve-scrum-team-performance エビデンスベースドマネジメントガイド ビジネスアジリティのための投資戦略 上記概念のガイド EBMをポートフォリオ管理に拡張するガイド https://www.scrum.org/ebm https://www.scrum.org/resources/ investing-business-agility
More Effective Scrum RSGT2020 〜 RSGT2022 Build the right thing Why/Who ▶ What/How Tools RSGT 2022 講演 長沢 智治 サーバントワークス株式会社 代表取締役 © サーバントワークス株式会社, Tomoharu Nagasawa RSGT 2021 講演 RSGT 2020 講演 MORE EFFECTIVE SCRUM シリーズ 長沢 智治 サーバントワークス株式会社 代表取締役 © Tomoharu Nagasawa RSGT 2023 講演 Build things right
手を伸ばせば、必ずその手を掴みます 感謝! 代表取締役 長沢 智治 [email protected] @tnagasawa © Tomoharu Nagasawa