【反転】プロダクトゴールとは?あるいはプロダクトのゴールを設定するには何が必要か?

5.6K Views

January 11, 24

スライド概要

profile-image

サーバントワークス株式会社 代表取締役/アジャイルストラテジスト/アジャイルコーチ/エバンジェリスト DASA Ambassador DASA DevOps 認定トレーナー 株式会社Helpfeel アドバイザー 講演や支援のご相談はぜひお気軽に(ご相談は無料です)! PSPO II, PSM II, SPS, PAL-EBM, PAL I, PSU I, PSK I, PSD I, PSPO I, PSM I, CSM

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

(ダウンロード不可)

関連スライド

各ページのテキスト
1.

術式反転 プ ロ ダ ク ト の ゴ ー ル を 設 定 す る に は 何 が 必 要 か ? あ る い は プ ロ ダ ク ト ゴ ー ル と は ? Scrum Fest Osaka 2023 #scrumosaka Tomoharu Nagasawa

2.

概要 みなさんの正解に近づけるきっかけになりたい © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

3.

概要 みなさんの正解に近づけるきっかけになりたい © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

4.

ゴール設定 Goal Settings © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

5.

サノスが本当にやりたかったことは? やりたかったこと 人口爆発 → 資源不足 やろうとしたこと 宇宙の生命を半分に 人間は愚か|平等に|妥協しない © 2023 MARVEL, 「Avengers: Infinity War」 やらかしたこと • 攻め込み、半数を無作為に虐◯ • ◯拐して養女に • 邪魔者も虐◯ • 養女を◯造 • 手段のためなら身内も手にかける • あらゆる犠牲をいとわず © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

6.

サノスはなぜ方向転換できなかったのか? VISION 人口爆発による資源枯渇を解消している世界 生命が半分になってる 効果的に◯せている ストーン手元にある 侵略してほどよく ◯せている © 2023 NAGASAWA, Tomoharu ガントレット作った

7.

サノスから学べること(思ったとおりの未来が来ると限らない) ゴール 開始の状態 • 変化する前提でゴールを設定 • 事実(エビデンス)に基づく計測 • 観察による意思決定 © 2023 NAGASAWA, Tomoharu 予測主義によるマネジメントから 経験主義によるマネジメントへ

8.

3Vs – Vision, Value, Validation Value 検査(対象) Vision 経験主義 Empiricism 透明性 Validation 適応 何がわからないのか、わかるまでわからない We don’t know what we don’t know until we know it. © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

9.

サノスは変化に適応できなかった? VISION 人口爆発による資源枯渇を解消している世界 生命が半分になってる 効果的に◯せている ストーン手元にある 侵略してほどよく ◯せている © 2023 NAGASAWA, Tomoharu ガントレット作った

10.

ゴールを設定する VISION 戦略的ゴール ありたい姿 中間ゴール 目指す先 即時戦術ゴール 今ここ(現在の状態) 実績(事実) 開始の状態 © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

11.

EBMでのゴール設定(ゴールとは「状態」である) 指標 仮説 戦略的ゴ ール 実験と 計測 ありたい姿 実験ループ 中間ゴ ール 目指す先 適応 検査 現在の状態 実績(事実) 即時戦術ゴ ール 開始の状態 時間 © 2023 NAGASAWA, Tomoharu 引用「エビデンスベースドマネジメントガイド」(翻訳: 長沢智治、角征典)

12.

agilekata.org 《お知らせ》アジャイルのカタ • 改善のカタ • コーチングのカタ 次のターゲット 状態を設定する 現状を 把握する ターゲット状態 に向かって 実験する 出典:「 The Toyota Kata Practice Guide 」(Mike Rother)をもとに補足 © 2023 NAGASAWA, Tomoharu 方向性や チャレンジを理 解する

13.

状態(アウトカム)を測る | EBMの4つのKVA(重要価値領域) © 2023 NAGASAWA, Tomoharu 引用「エビデンスベースドマネジメントガイド」(翻訳: 長沢智治、角征典)

14.

市場価値と組織の能力《例示》 何がわからないのか、わかるまでわからない We don’t know what we don’t know until we know it. VISION 未実現の価値 ありたい姿 目指す先 現在の価値 市場に出すまでの時間 (反応性) イノベーションの能力 (効果性) © 2023 NAGASAWA, Tomoharu 今ここ(現在の状態) 実績(事実) 開始の状態

15.

EBMの重要価値指標(KVM)《あくまで例示》 未実現の価値(UV)の指標 ※4keys 現在の価値(CV)の指標 • 従業員1人あたりの • 従業員満足度 • 市場占有率 収益 • 顧客満足度ギャップ • 望ましい顧客体験や満足度 市場に出すまでの時間(T2M)の指標 • プロダクトコスト • 顧客満足度 • 顧客使用指標 比率 イノベーションの能力(A2I)の指標 • デプロイ頻度 • 顧客サイクルタイム • イノベーション率 • 平均修復時間 • リードタイム • オンプロダクト指標 • ミーティング数 • ピボットまでの時間 • 技術的負債 (MTTR) © 2023 NAGASAWA, Tomoharu • 変更失敗率 • マルチタスク率

16.

エビデンスベースドマネジメント(EBM) • 経験主義に基づくマネジメントフレームワーク • 不確実な条件下で、成果や組織能力を継続的に改善 • 戦略的ゴールへの道筋を模索するためのもの • 意図的な実験とエビデンス(指標)を用い、 組織のゴールの洗練と組織能力の体系的な改善が可能 • ゴールと次のステップを検査し、適応する ゴール | 重要価値領域 | 実験ループ © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

17.

プロダクトゴール Product Goal © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

18.

プロダクトゴール from 『スクラムガイド』(2020年11月) 本文で15回言及(ゴールについては40回) プロダクト(対ステークホルダー) • プロダクトの将来の状態であり、 計画のターゲット • POが策定し、明示的に伝達 スクラムチーム • 一度に一つの目的に集中 • 長期的な目標で、 次の目標に移る前に達成か放棄 • インクリメント: 具体的な踏み石 スクラムイベント • プロダクトゴールを達成するために必要な作業は、スプリント内で行われる • スプリントプランニング: 実施するPBIとプロダクトゴールとの関連性を話し合う • スプリントレビュー: プロダクトゴールに対する進捗について話し合う © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

19.

EBMとプロダクトゴール 《あくまで例示》 指標 仮説 戦略的ゴ ール 実験と 計測 実験ループ 中間ゴ ール 適応 検査 現在の状態 プロダクト ゴール プロダクト ゴール 即時戦術ゴ ール 開始の状態 時間 © 2023 NAGASAWA, Tomoharu 引用「エビデンスベースドマネジメントガイド」(翻訳: 長沢智治、角征典)

20.

全員の関心ごと 目指すもの 期待するもの プロダクトゴール 実現するもの プロダクトバックログ スクラムチーム インクリメント 序 列 ステークホルダー スプリントゴール スプリントバックログ スプリント © 2023 NAGASAWA, Tomoharu 完成の定義

21.

ステークホルダーとの共通認識と期待値管理 ① 最上位の期待値 目指すもの 期待するもの プロダクトゴール 実現するもの プロダクトバックログ スクラムチーム インクリメント 序 列 ステークホルダー スプリントゴール スプリントバックログ ③ 次の価値の アイデアを検討する © 2023 NAGASAWA, Tomoharu スプリント 完成の定義 ② 新たな価値を 目の当たりにする インクリメントは プロダクトゴールへの踏み石

22.

プロダクトゴール: プロダクトビジョンへの踏み石 • 検証可能な仮説 • マーケットや社会課題で駆動 • 市場に反応した結果を提示 機能 • 作業や機能の抽象化・正当化 インクリメント リリース計画 • 共通の認識 • 意図を伝える • 解決策を伝える ビジョン プロダクト戦略 • 達成判断が可能なゴールを設定 プロダクトゴール • 計測できる • 順序づけられる © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

23.

プロダクトビジョン: プロダクトへの重要な4つの質問(参考) 我々のプロダクトは何か? 我々のプロダクト でないものは何か? What is our product? What is our product, not? © 2023 NAGASAWA, Tomoharu 我々のプロダクト を構成するものは何か? 我々のプロダクト は何の一部なのか? What are parts of our product? What is our product part of?

24.

プロダクトゴールとロードマップ • 明示されているもの(FAST、もしくは SMART) ❸ • ステークホルダーとスクラムチームで共有 ❷ • 1度に目指すものは、たった1つ • プロダクトゴールを達成したときか、破棄した時に 次のプロダクトゴールを選択できる • スプリントごとに近づいているかを検査 • 主にスプリントレビューで検査 • 計測できなければならない(EBM、HEART) © 2023 NAGASAWA, Tomoharu ❶

25.

プロダクトゴールの例 プロダクトビジョン 日本で「オンラインどら焼き店」のNo.1になる ❸ スマホアプリとそのアプリストア展開で、 オンラインでの存在感を拡大する ❷ 生産と配送の能力を増強し、 日本国内の顧客に販売できるようにする ❶ 金沢の顧客に販売できるウェブサイトを立ち上げる © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

26.

プロダクトゴールの性質: FAST Frequent discussions 頻繁な議論に着目すること Ambitiously 意欲的に設定すること Specific metrics 具体的な指標を計測すること Transparent 透明性を確保すること © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

27.

プロダクトゴールの基準の例: SMART Specific 具体的なもの、明確なもの Measurable 計測できる Achievable 達成可能なもの Relevant 関連するもの(プロダクトビジョンに) Time-bound 期限があるもの(※ もっと長期的なゴールもありえる) © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

28.

プロダクトゴールの基準の例: FOCUS Fun 惹きつけるようなワクワクするゴール Outcome-oriented 価値があるゴール Collaborative みんなで考え、みんなで決める Ultimate 何がなんでも成し遂げる(意気込みと理由) Singular 一貫性をもたらす一つに絞る © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

29.

Uberのビジョンで例えると VISION 10年以内に、自動車や公共交通機関を利用するより 安価な代替手段になっている 戦略的ゴール 中間ゴール 現在の状態 © 2023 NAGASAWA, Tomoharu 2018年1月までに主要都市での待ち時間を5分以内になっている 2017 年1月末までに、 各都市で50人に1人以上のドライバーを確保できている 平均して300人に1人のドライバーがいる

30.

プロダクトゴールをどこに定めるかは◯◯による 拡張インパクトマッピング: マップの中からゴールへの近道を発見するためのツール ゴール (プロト)ペルソナ 顧客アウトカム ビジネス インパクト スプリントゴール やPBI 目標設定 誰に働きかけるか どんな恩恵があるか どう行動を変えるか インパクトのある効果 WHAT WANT WHO • よき乗車体験 HOW • 友人に勧めてくれる WHAT WANT HOW WHAT • 利用者を20%UP WHAT WHO • 女性ユーザー WANT • 安全に目的地に 到着したい © 2023 NAGASAWA, Tomoharu WHAT • リファラ特典機能 • 既存ユーザー WHY • 「シェア」ボタン HOW • 安全に利用できる ものを選択したい • 詳細情報の明記 WHAT • アラート機能 出典 Extending Impact Mapping to Gain Better Product Insights

31.

プロダクトゴールのフォーマット 我々のプロダクトビジョンである[ビジョン]に到達するために、 [具体的な課題]を克服しなければならない。 [ゴール]を達成することで、我々は適切な方向に進むことができ、 それは[指標]が[現在の値]から[目指すべき値]になることで示される。 [プロダクト]は、[ゴール]を達成するために設計された。 我々は、プロダクトが[ゴール]を達成していないことを観察しており、 それが我々のビジネスに[具体的な悪影響]を引き起こしている。 どのようにすれば[プロダクト]を改善し、[計測可能な基準]に基づいて、 顧客がより成功することができるだろうか? © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

32.

プロダクトゴール 特徴 • スクラムチームとステークホルダー • 共通認識・意思疎通 • 行く先を示す • 意図を明確にするもの • ビジョンへの踏み石 注意点 • スコープを固定するものではない • 身勝手や言い訳を正当化するものではない • プロダクトバックログから 抽象化して設定しないこと • 適当に設定して、煙に巻くものではない • 設定し、計測する • 予算を通すためにとりあえず設定 • 達成 or 放棄 • なんとなくで大まかに設定 • 確約 • 一度決めたら見直さないものではない • 集中と透明性を引き出す • 常に指標を計測して検査・適応 • 勇気をもって建設的に貫く • ゴールと価値指標はEBMを参考に © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

33.

ところで確約 Commitment © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

34.

経験主義の柱とスクラムの価値基準 経験主義の柱 スクラムの価値基準 確約 信頼 透明性 勇気 集中 スクラム 適応 検査 尊敬 公開 引用: The Scrum Values (翻訳: 長沢智治、原田騎郎) © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

35.

Whatever it takes © 2023 MARVEL, 「Avengers: Infinity War」 © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

36.

スクラムの作成物(透明性)と確約 プロダクトゴール のための 序 列 スプリントゴール プロダクト バックログ を満たす のための バックログ TODO DOING DONE スプリント バックログ • 各作成物には、透明性と集中を高める情報が必要 • 確約により進捗を測定 © 2023 NAGASAWA, Tomoharu 完成の定義 インクリメント

37.

確約と予測 プロダクトゴール 価値 完成の定義 を満たす インクリメント スプリントゴール 時間 スプリント(タイムボックス) © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

38.

スクラムのイベント(検査と適応)と確約・作成物(透明性) イベント スプリントプランニング 検査 適応 プロダクトゴール スプリントゴール バックログ TO DO DOI NG DO NE デイリースクラム スプリントゴール スプリントバックログ スプリントレビュー プロダクトゴール 次の プロダクトバックログ インクリメント スプリント レトロスペクティブ 完成の定義 スプリントゴール バックログ © 2023 NAGASAWA, Tomoharu TO DO DOI NG DO NE 次の スプリントバックログ

39.

何がわからないのか、わかるまでわからない We don’t know what we don’t know until we know it. © 2023 NAGASAWA, Tomoharu

40.

自己紹介 長沢 智治 NAGASAWA, Tomoharu サーバントワークス株式会社 代表取締役 DASA アンバサダー / 認定トレーナー @tnagasawa © 2023 NAGASAWA, Tomoharu 株式会社Helpfeel アドバイザー

41.

プ ロ ダ ク ト の ゴ ー ル を 設 定 す る に は 何 が 必 要 か ? あ る い は プ ロ ダ ク ト ゴ ー ル と は ? Regional Scrum Gathering Tokyo 2022 #プロダクトオーナーシップと商売 Tomoharu Nagasawa

42.

協賛 アジリティに関する導入・定着化支援サービス、研修サービスを提供いたします servantworks.co.jp ご参加くださり、誠にありがとうございました © 2023 NAGASAWA, Tomoharu