9.2K Views
February 26, 23
スライド概要
youtuberでもあるらしい
勉強会 ・総論 ・境界性パーソナリテイ症 ・治療論 ・他人の目を気にしなくなる方法 2023年3月4日 益田裕介精神科医YouTuber
総論:脳と現代的治療者 について
・脳と心はどういうものか? 皆さんのイメージをなんとなくでいいので、教えてください
・脳と心はどういうものか? 脳 「記憶の再構築」 「感情構成理論」 確認できない? の 形 客観的物理的水準 様々な神経回路 の集合体 ブラック ボックス 確認できない? 「心理学」的水準 様々な機能 の集合体 ワーキングメモリ 国語力 環境への過敏さ こころの水準 物語や意思 症状など 「予測する脳」 ブラック ボックス 症状ごとのカテゴリー =病気・障害
共同体の破壊 金融 ➕ 少子高齢 化 日本の問題として 家族の破壊 国際化 AI/IT +ロボット 長時間労働 人類の流れ =格差拡大・中間層の没落 =共同体と家族機能の破壊 国際政治 うつ病 社会保障費増 =国力低下 依存症 ➕ 自国だけで 決定出来ない 政治 個人の努力<遺伝子と環境<<運 メンタルヘルスは資源である、孤独はダメ 多様性や違いの理解(心理的安全性) 基本的人権、ニューロダイバーシティ 家父長制、嫁姑 →核家族 →シングルマザー 貧困 精神医学知識 が教養として大事 虐待 発達障害や境界知能 福祉 教育 医療 インクルージョン教育の遅れ カウンセリングが自費
・治癒とはどういうものか? 皆さんのイメージをなんとなくでいいので、教えてください
・脳と心はどういうものか? ・どういうものが治癒を生むか? 脳 の 形 様々な神経回路 の集合体 薬物療法 確認できない? ブラック ボックス 福祉導入 社会・環境問題 遺伝子問題 ブラック ボックス カウンセリング 精神疾患 症状ごとのカテゴリー =病気・障害
精神医学的診断をします ・ストレス管理能力、セルフモニタリング能力:うつ病など ・不安やトラウマに支配されない力;不安障害やPTSD ・快や報酬系に支配されない力:依存症や強迫症など ・複雑な人間関係を捉える力、対応する力:人格障害など ・発達障害、知的障害に関するもの(科学リテラシー) これらを踏まえて、どのような行動が最適か? 心理学的アセスメント ・発達傾向や知的能力、人格障害のアセスメント ・認知の歪みなど、本人の特性 ・過去の記憶、家族とのトラウマなど ・その場で起きている無意識、投影や転移(逆転移) 産業や福祉的アセスメント ・家族などの社会的資源の把握 ・職場の状況の把握 ・どのような福祉制度を適応できるか、把握 学習装置として それをどう伝えるのが良いか? どのように体験させるのが良いか? 1、信頼度 2、認知を変えることへの忌避感 3、不安の感じ易さ 4、リテラシーや理解度
公認心理士に求められる力 医療現場 福祉現場 司法現場 教育現場 産業労働の現場 心理のアセスメントをすること 現場で相談および助言指導 ・倫理的 ・法律 公認心理士カリキュラム作成資料:厚労省2016年 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000138799.pdf
精神科専門医に求められる力 心理のアセスメントをすること 医療現場 教育現場 産業労働の現場 福祉現場 司法現場(人権) 現場で相談および助言指導 ・倫理的 ・法律 脳科学的、精神医学的診断と薬物治療 人権や福祉評価と判断 精神科専門医を目指す人へ(精神神経学会より:会員限定) https://www.jspn.or.jp/modules/specialist/index.php?content_id=181
カウンセリング 催眠術 おしゃべり療法 煙突掃除 無意識の解釈 転移の応用 支持的傾聴(来談者中心療法) 認知行動療法 公認心理士 AIの登場 認知行動療法第3世代 職場、福祉、医療 の具体的なアドバイスへ
カウンセリング 治癒とは何か? アートとしてのカウンセリング 問題解決としてのカウンセリング 生きる、意味、などを問う空間 スキルとして解決策を学ぶ空間
各論:境界性PD について
境界性パーソナリティ症と神経発達症について 早稲田メンタルクリニック院長 益田裕介 精神科医YouTuber
パーソナリティ障害とは? ヒト全体 精神疾患 人格 障害 その文化において正常であると考えられて いるものとは異なる思考や行動のパターン を持つことです。 長期にわたり、柔軟性に欠け、その人の人 間関係、仕事、および人生の他の領域で問 題を引き起こす。 パーソナリティ障害にはいくつかの種類が あり、それぞれ独自の症状や特徴をもつ。 臨床症状からカテゴリー分けをしているのであって、 脳科学(や遺伝子)などをベースにカテゴリーしているわけではない
時代の変化と診断の変化(私見) 診断から脳を研究しても、(ほとんど)違い を発見できなかった。 症状から脳を研究していくと、診断を跨い で、特徴が出てきた。 うつ病、PTSD 強迫性障害、依存症 自閉スペクトラム症 は研究しやすかった 境界性パーソナリティ症とASD/ADHDは 同じような特徴を持つことが多かった →合併症といわれたり、診断変更される 背景になった。
時代の変化と診断の変化(私見)② さまざまな薬物治療を併用しつつ、 発達障害特性をふまえたカウンセリ ングを実施 (心理教育の重要性が増している) また過去の技法なども応用する 境界性パーソナリティ症 新型うつ病 双極2型 ASD/ADHD 人間観、家族観、仕事観などの社会変化などの影響 発達障害にも様々な個性があり、 境界性に近いものもいる (遠いものもいる)
社会全体 科学技術 文化・思想 境界知能/発達障害 虐待/カサンドラ 依存症+α 個人 感情や価値観 少子高齢化/人手不足/貧困 IT/AI/SNS スピード分断 診断・治療技法自体の変化 ティーチングやワークショップの重視
BPDとASD,ADHDの症状 激しい感情や気分の変動 衝動的な行動 対人関係の難しさ 歪んだ自己イメージ 自傷行為 目標や価値観が頻繁に変化する 物事を白黒はっきりさせる傾向 見捨てられることへの恐怖 社会的相互作用やコミュニケーションの難しさ 反復的な行動や興味 感覚処理の問題(感覚過敏) 抽象的な思考や問題解決の問題 日常生活の変化に対応できない アイコンタクトの欠如 非言語的コミュニケーションの難しさ 仲間への関心の低さなど 注意を払うのが難しい 気が散りやすい 指示に従うのが難しい タスクや活動をまとめるのが難しい 過度におしゃべり、そわそわ、衝動的 じっと座って順番を待つことが困難
自傷行為のメカニズム 「脳内麻薬依存症」 ストレスが溜まる 不安が溜まる 一時的に不安が落ち 着く。冷静になる ・スッキリする ・ホッとする ・生きている実感が湧く 痛みに反応して脳内麻薬 (エンケファリン)が放 出される 頭が真っ白になる 自傷行為をする
カウンセリングをする 自分の気持ちを言葉にする練習をする マインドフルネスを身につける 誰にか相談する 一時的に不安が落ち 着く。冷静になる きちんと傷のケアをする 責めるのではなく、傾聴する 本人の辛い気持ちを肯定する ストレスが溜まる 不安が溜まる 具体的な 対処方法 自傷行為をする リラックスできることをする 音楽を聴く/お風呂に入る マインドフルネスを試す 気持ちを書く/相談する 頭が真っ白になる 氷をあてる、輪ゴムでパチン サインペンで傷を書いてみる 大声を出す、歌う 体を動かす、走る、紙をやぶる テトリスやゲームする
自傷行為は「甘え」 ではない 死ぬ気がないから大丈夫。ではない。自殺率は高まっていく かまって欲しい、アピール行為ではない。最初は隠れてやっている その後、ファッションのように見せびらかす人もいるが…。 それは別の疾患によるもの(境界性PD,演技性PDなど)である 境界性PD、ADHDの人は衝動性が高く、言語化も苦手な人も多 いため、「苦しい」「寂しい」などの表現ができず、「死にた い」しか言えないこともある。 #ウェルテル効果 #パパゲーノ効果 SNS時代において、死にたいなどの言葉は他者に影響を与え ることをしっかり説明することが大事
発達障害特性をふまえたカウンセリング 自己理解 自分の特性の理解 他者との距離の取り方 得意/不得意の把握など 定型/社会理解 他人とは〇〇というものである 社会とは〇〇というものである 自分とは違う感じ方をするらしい しなやかな思考 理解してもらいたい? 相手(定型)の立場の理解 こだわりに支配されない工夫
感覚過敏 体調不良(うつ、心身症と誤診される) 女子グループに入れない マルチタスク困難(家事育児できない) パワハラ/性被害に遭いやすい 生理や性行為、男性心理、性風俗産業など 心理教育はとても大事 夫婦不和、カサンドラ 変化についていけない、騙される 孤独、ゴミ屋敷、ひきこもり
治療論について
こころには5つの苦しみがあります (疾患群の臨床機能的に分別) ・ストレスや心に気づけない、理解できない苦しみ =精神疲労が溜まり、うつ病に =心身に注意を払い、適切に休む(ペナントレース) ・不安、トラウマ、恐怖に支配される苦しみ =不快に支配され、日常を満足に送れない =不快と付き合いつつも距離をとり、理性で動く ・快や感情に支配される苦しみ =愚かなことをしたり、依存症になる =快と付き合いつつも距離をとり、理性で動く ・人間関係、社会を理解できない苦しみ =変化や移ろいが多く、理解できない。 本来、意味のない現象に、意味や価値を求め過ぎる。 =思い込みをすて、しっかり観察し、行動する ・知的な問題、できないことがある苦しみ =精神発達遅滞、神経発達症など =機能的に優れていることと、愛されることや心的充足感は別である
振り返れば、治療の 転機は指摘できるこ ともある。 けど、通い続けてい くことが、すべての 治療の共通点。 その人ごとにさまざまな機能を向上させていくのがカウンセリング 筋が違うことはしない/ 苦手なものほど伸び代が大きい
いなさ 化魔誤で葉言ういと性相 ストレート マイルド 子供にもわかるレベル 中高生にもわかるレベル 大学生・大学院生にもわかるレベル 社会人、大人にわかるレベル 専門的なことを考えたことがある人にわかるレベル 専門家にわかる(伝える)レベル 腑 複雑なものを伝えなければ に落ちない。 複雑なものはマイルドには語れない
繰り返すだけ 時間が経てば忘れる 忘れられないから問題? 認知の切り替え、上位概念に移行できない理由 ・そもそも時間が十分過ぎてない ・補助線が足りない、認知を変えるための知識が足りない ・認識を変えることに抵抗がある(感情の過敏さ、知的な問題、人格障害的) ・うつ病など、脳の生物的な問題かもしれない(抵抗も同じ?)
主観 →客観 →主観2.0 変化とは? 記憶の変化、価値観や思想の変化、自己理 解の変化(自己需要) 習慣や環境の変化 主観2.0 「足し算」 愛されている 所属感、楽観性 価値観・思想の付与 主観 客観 「引き算」 ・バイアス:白黒思考 ・転移、投影など 未知を既知に
なぜ変化を拒む のか? 変化を望んでいるにもかかわらず、抵抗に合う 主観2.0 主観 抵抗を解決するために 認知の歪みを指摘する、解釈 する (問題、無意識、転移) 抵抗 抵抗 客観 行動活性化する 集団で動く、ルールで動く 我慢して動くなど
問題はどのように解決するのか? 1、現状分析をする 2、目標を設定する 3、課題と解決を列挙 4、行動する PDCAサイクルを回す 失敗と成功を繰り返す 目標 主観 解決策A-1 解決策A-2 解決策A-3 一つ選んで実行する→成功/失敗 問題点/課題A 問題点/課題B 客観 問題点/課題C
なぜ問題解決できないか? それが病的なのか? 目標 正しく現状分析ができない 主観 実原可能な目標設定ができない 目標が叶うと思えない 問題点がわからない 行動ができない 客観
脳とは何か? 意識とは何か? 心とは何か? 私とは何か? 記憶と学習 経験、知識、認知など 精神療法 ズレ=ストレス 予測する脳 内部活動 不安や怒り、疲労の原因 体質と体調 物理的現実 外部刺激 ズレを最小化するように行動したり、 予測(認知)を修正する 「能動的推論」 「自由エネルギー論」 知的能力、発達障害、不安障害 報酬系の異常、気分障害、妄想 精神的疲労など 薬物療法、 運動
僕らがやるべきこと ズレを最小化するように予測精度を高める(想定内にする) =自己理解、他者理解、社会理解など ズレが生じた時に柔軟に対応する ・感情に飲み込まれない。ただの「感情」であると認識する ・自分の予測を優先するのではなく、現実に沿わせる ・一番合理的な行動をとる 回避行動は休息にはなるが、成長にはつながらない 最適な学習プログラムを作成し、実行するのが自助会(ないし勉強会)の目的である。 精神医学/心理学/科学哲学・ロジカルシンキング/常識など 扱わないが役立つもの:歴史、文学、哲学、宗教、数学、科学、運動や音楽など
学習とは何か? 最適な学習プログラムを作成し、実行するのが自助会(ない し勉強会)の目的である。 精神医学/心理学/科学哲学・ロジカルシンキング/常識など 扱わないが役立つもの:歴史、文学、哲学、宗教、数学、科 学、運動や音楽など 何を学習するか? 自己理解、他者理解、しなやかな思考に関すること 精神医学〜心理学、社会常識全般、メタ認知を高めるものなど 精神疾患の多くは、少なくとも脳における「記憶と学習」 に問題が起きている 精神療法とは誤った「記憶と学習」に対して、薬物以外の アプローチで、関与し、訂正していく作業である と定義し、考え直してみると、さまざまなものがすっきり 見えてくる気がします。 学習のピラミッド。根拠は不明ですが 講義 読書 ビデオ学習/YouTube グループ討論/座談会 自ら体験/カウンセリング/転移 教える/治療する側になる ただ診察を受けるより、自分から予習してから受診し た方が効果が高い(読書<YouTube)。 ワークショップやカウンセリングをした方が 治療効果が高い。 自助会でピアサポートした方が効果が高い
何を学ぶか? 医師に対するさびしさ、冷たさ 医師に対する怖さ 医師に対する理想化 医師に対する怒り 医師に対する諦め 医師に対する感謝、共感 自分の疾患、薬物治療 予測する脳 認知の歪み、白黒思考 無意識の作用、転移投影、投影同一視 行動療法 常識的な生活習慣 他人の立場で考える、多様性、 ゲーム理論 騙す人もいる。多くは良い人ばかり 親のこと 群れの行動パターン 資本主義とは? お金とは? 構造主義とは? 優生思想とは? 近代から現代の歴史 社会的問題 ライフステージ 仏教 キリスト教、イスラム教、ユダヤ 儒教 老荘思想 ZEN、日本的美意識 哲学のこと アリストテレス美意識 カント道徳論 功利主義 道具主義 個人主義、自由主義と共同体主義 ロジカルシンキングの基礎 メタ認知 柔軟に考える 孤独とは? 劣等感とは? 嫉妬とは? 幸せとは? お金を稼ぐとは?
「他人の目を気にし なくなる方法」 について
群れの動物は、他者評価が重要視される生き物であり、人間も様々な脳の神経回路で他 者評価を気にする、影響を受けるようなシステムを持っていそうだ。 単一の神経回路ではなく、かなり膨大な複数の神経回路(ある種の公理体系)がありそ うだし、それらの回路は相互作用して、かなり複雑なものを産んでいるだろう。 僕らの意識に上がってくるのは、この複雑な現象のごく一部である可能性が高い。
社会機能として、 ・子供が親からの愛情や食料を優先してもらうため ・子供同士のコミュニティで、優位な立場をとるため ・教師から優位な環境や教えをもらうため ・異性を獲得するため ・群れの中で優位な立場を取るため ・弱ったり、老いた時に、助けを得やすくするため…
逆も然りで ・子供に愛情や食料を与えるために(できるだけ平等に)、注意を払い、評価を していく必要がある ・友情を育むため、相手の特徴を理解・評価していく必要がある ・学習効果を発揮させるために、相手の特徴を理解・評価していく必要がある ・異性から愛されるために、相手の特徴を理解・評価していく必要がある ・群れがうまく機能するために ・弱っているもの、老いたものを助けるために そして ・良い評価はされたいが、悪い評価はされたくないというジレンマもあるだろう
など様々な理由を考えられるが、それは法律や福祉などが充実してきている現代であっ ても、大事なファクターだ TPOに合わせ、相手に合わせて、できるだけ最適な振る舞いをし、少しでも有利な立 場にいようとするのが、人間という動物の機能だろう
心の水準としては、 ・この複雑で多種多様な状況において、常に正解を出していきたいし、出せていない時 は落ち込んでしまう ・全体的に したり、中長期的に考えることが苦手なので、その場で一喜一憂してし まう ・理性で理解していても、本能レベルでは納得いかず、ストレスを溜め込んでしまう (ガラスで囲まれた安全な部屋ではリラックスできない) 俯瞰 なので、ある程度は取捨選択、割り切りが重要だろう
割り切るためには ・自己理解 ・他者、社会理解 ・しなやかな考え方 が重要だ 疾患ごとに うつ病、過労 社交不安や回避 摂食障害 アルコール依存 境界性とか 発達障害 など
自己理解とは ・自分は弱い存在だとして、完璧な存在ではないとして、受け入れる。それを愛する、思いや りを持つ ・短所ではなく、長所に目を向ける ・自己否定的な考えをやめる ・完璧思考、白黒思考をやめる 他者理解とは ・他人も弱い存在であり、完璧ではない。全てを把握しているかの如く、振る舞うが、無知の 知を理解していないから ・相手はコントロールできない。支配するとしても部分的であり、それは良い結果をあまりう まない。中長期的には必ず破綻する ・境界線を保つ。 しなやかな考え方とは ・認知の歪みが少ない考え方 ・柔軟な考え方〜〜〜