アタッチメント脱離のリスク要因のついての研究(2021)

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December 05, 22

スライド概要

アタッチメントはクリアアライナー治療において重要である。しかし、接着不良や患者の不注意によりアタッチメントが脱離するケースがある。この研究はそのリスク要因を特定することを目的とした2021年の研究である。

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マウスピース型矯正論文紹介 Risk Factors of Composite Attachment Loss in Orthodontic Patients during Orthodontic Clear Aligner Therapy : A Prospective Study Chen Yaosen , A. M. Mohamed , Wang Jinbo , Zheng Ziwei , Maher Al-balaa , and Yang Yan BioMed Research International Volume 2021, Article ID 6620377, 6 pages https://doi.org/10.1155/2021/6620377 紹介者:矯正歯科海外論文紹介サイト https://kyousei-kaigaironbun.com

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目次 1 2 3 4 5 6 • Background • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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目次 1 2 3 4 5 6 • Background • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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1. Background クリアアライナーで用いられるアタッチメントは、矯正治療の重要な補助装置としての役割を 担っている。 しかし、 アタッチメントの接着不良や患者の不注意によって、アタッチメントが脱離する可能性がある。 アタッチメントの脱離は、治療期間の延長など臨床上重大な問題を引き起こす可能性がある[11]。 本研究の目的は、 クリアアライナーの治療におけるアタッチメントの脱離の発生率を評価し、 そのリスクファクターを分析することである。

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目次 1 2 3 4 5 6 • Background • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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2. Materials and Methods 対象患者 94名(男性27名、女性67名、平均年齢27.60±0.86歳) 武漢大学中南病院歯科矯正科の受診患者 包含基準 1:2017.9~2018.9に治療を開始した患者 2:上下顎アーチの包括的クリアアライナー (インビザライン、アラインテクノロジー、米国)治療を受けた患者 3:矯正治療歴なし 4:歯のフッ素症、エナメル質低形成、象牙質低形成、その他の歯質異常なし、 5:歯ぎしりなし 6:フルカバークラウンや頬側修復なし 7:初期咬合における咬頭干渉、装着干渉なし 倫理審査 武漢大学中南病院の施設審査委員会(コード番号2019054)により承認された ヘルシンキ宣言に従って実施された

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2. Materials and Methods Bonding Method 患者にアタッチメント装着後14日間、取り外しの頻度と毎日の装着時間の記録を求めた Data Collection アタッチメントの脱離や破損は、すぐに連絡をして受診するように求めた 1:アタッチメントの脱離前のアライナー進行状況 2:脱離したアタッチメントの位置(歯科医師による確認) 3:アタッチメントの脱離の原因 4:1日のアライナーの除去回数の平均 5:1日のアライナーの平均装着時間 6:咀嚼習慣 7:食習慣 8:アライナーの除去方法 9:チューイーの使用 10:食事時のアライナーのあり・なし Statistical Analysis アタッチメント脱離の発生率はχ二乗検定を用いた。リスクファクターの特定にはロジスティッ ク解析が行われた。 SPSS software for 2 BioMed Research International Mac (version 23.0, IBM, USA)を用いて行い、 0.05未満のP値は統計的に有意とみなした。

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3. Results アタッチメント脱離54名の患者を対象とし、アタッチメント脱離は94件であった。 アタッチメント装着数は1397個であり、1人当たりの平均装着数は14±0.96個であった。 アタッチメントの部位によって脱離の発生率に有意差が認められた。

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3. Results

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3. Results

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4. Discussion 4.1 Position 上下顎、左右の装着の違いは、アタッチメント脱離率に影響を及ぼさないことが示された。 一方、歯牙の違い(前歯7.54%、小臼歯3.34%、大臼歯11.49%)はアタッチメント脱離に影響を及ぼす可能性 があることが示された。 4.2 Having food with Aligners inserted アライナーを装着したまま食事をする患者は、アタッチメントの脱離率が低いことが示された。 ⇒食事中のアタッチメントにかかる衝撃をアライナーが減少させている可能性がある。 しかし、 アライナーを装着したままの食事は衛生面やアライナーの保護の観点から推奨されていない。

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4. Discussion 4.3 Using Aligner tray seaters Huang[12]の知見とは対照的にチューイーの使用はアタッチメントの脱離率を上げることが示唆された。 ⇒チューイーの使用はアライナーがよりアタッチメントにフィットするにもかかわらず、咬合力が1つの歯 やアタッチメントに集中しアタッチメントの脱離率が高くなる可能性がある。 4.4. Aligner Removal Frequency 94本のアタッチメントの脱離はアライナーの取り外し時に発生していることが明らかになった。 1日に5回以下の取り外し頻度のアタッチメントの脱離率は高くはないが、1日に5回以上の頻繁な取り外しは アタッチメントの脱離率の顕著なリスクファクターである。 4.5. Wear Time アライナーの装着時間が1日18時間未満であると、アタッチメントの脱離率が高くなることが示唆された。 アライナーの装着時間を長くすることで、アタッチメントの脱離のリスクを軽減することができる[27]。

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4. Discussion 4.6. Mastication Habit 片側交互咀嚼は両側交互咀嚼に比べて、アタッチメントの脱離率が高くなることが示唆された。 両側交互咀嚼は健康的な咀嚼習慣と考えられ、顎関節の保護効果があり両側臼歯の咬合関係のバランスも 助長する[28.29]ことから両側で交互に咀嚼する習慣をつけることが必要であることが示された。 4.7. Limitation of This Research 本研究は患者からの自己申告によるものであり、患者が認識していない複数の要因が同時に起こっている 可能性がある。 今後は、有限要素解析(FEA)のような試験管研究を用いて検証する必要がある[31]。

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目次 1 2 3 4 5 6 • Background • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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5. Conclusion ・歯牙によってアタッチメントの脱離率は異なり、臼歯部のアタッチメントの脱離率が高いことが 明らかになった。 ・アライナーの装着時間(18時間以上/以内)、咀嚼習慣(両/片)、チューイーの使用(有/無)は、 アタッチメントの脱離率に影響を及ぼす要因であることが示された。 ・本研究で明らかになった要因のほとんどは、患者に関連するものであることからこれまで以上に 患者に丁寧な説明を行うことで、アタッチメントの脱離を回避することができる。

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目次 1 2 3 4 5 6 • Background • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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6.References

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記事監修 Dr. 堀井和宏 (Kazuhiro Horii) 日本矯正歯科学会 臨床指導医(旧専門医)・ 認定医 日本舌側矯正歯科学会 American Association of Orthodontists 〒520-0832 滋賀県大津市粟津町4-7 https://www.horii-kyousei.com