クリアアライナー治療の遠心移動の評価(2021)

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February 25, 23

スライド概要

矯正海外論文サイト。2021年APOS Trends in Orthodonticsに投稿されたレビュー論文。クリアアライナー治療において、非成長期のクラスⅡ患者の臼歯部遠心移動の有効性をシステマティックにレビューした論文。

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Key-words: Orthodontics, Clear aligner therapy, Molar distralization, Invizalign Efficacy of clear aligners in producing molar distalization: Systematic review Purva Verma , Ashwin Mathew George APOS Trends in Orthodontics • Volume 11 • Issue 4 • 2021 DOI 10.25259/APOS_37_2021 紹介者:矯正海外論文サイト https://kyousei-kaigaironbun.com

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目次 ©kyousei-kaigaironbun.com 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References

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1. Introduction ©kyousei-kaigaironbun.com 【本研究の目的】 クリアアライナーの臨床効果に着目したシステマティックレビューはいくつか発表されて いるが、本研究は非成長期のクラスⅡ患者の臼歯部遠心移動の有効性をシステマティックに レビューすることである

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Materials and Methods ©kyousei-kaigaironbun.com ▶プロトコル PRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analysis)に従った ▶検索方法 200年1月から2019年9月の間に投稿された査読医学論文 ▶検索データベース PubMed、PubMed Central、Cochrane Library LILAC‘s、Scopus、Google Scholar (表 1 参照) ▶選択基準 前向き、後ろ向き研究/ヒトを対象とした研究/クリアアライ ナー(インビザライン)による矯正治療/適切な統計解析 ▶除外基準 アライナー以外の補助的な装置を使用した研究/外科的矯正/ サンプルサイズが10未満の研究

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3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 最終的に4つの研究(すべてInvisalign)が 本研究のレビューに含まれた 3つの論文は後ろ向きの非無作為研究、 1つの論文は症例報告であった(図1) Verma & George (2021)より

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3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com Verma & George (2021)より Caruso ら[6]、Simon ら[21]、Raveraら[5]、Fischer[19]の研究の主要アウトカムは大臼歯遠心移動の評価を目的としていた 治療前と治療後の側面セファログラムによって変化を測定した

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3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com Verma & George (2021)より Newcastle - Ottawa Quality Assessment Scaleに基づく評価 エビデンスレベルの評価

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3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 上顎臼歯部の遠心移動 Simonら 平均1.5㎜ アタッチメントを用いた場合の遠心移動精度88.4% アタッチメントを用いない場合の遠心移動精度86.9% Raveraら 第一大臼歯2.25㎜、第二大臼歯2.52㎜ Carusoら 有意な遠心移動 Fischer 臼歯部の遠心移動の成功 垂直方向 Raveraら/Carusoら 頭蓋顔面垂直方向に治療前後で有意な差はなし 臼歯部の近/遠心傾斜 Raveraら 治療後の第一/第二大臼歯の有意な傾斜あり Carusoら 治療後の第一/第二大臼歯の有意な変化なし Raveraら 治療終了後11^PP° of 2.87°の有意な減少 Carusoら 治療終了後の11^PP°有意な減少 上顎切歯の角度

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4. Discussion ©kyousei-kaigaironbun.com 上顎臼歯部の遠心移動 ◆Carusoら[6] 後ろ向き研究、10名(女性8名、男性2名、平均年齢22.7±5.3歳) 上顎臼歯部の矢状面の位置の変化(6-PP、7-PP)とMR(p < 0.001)で表され、効果的に 上顎臼歯の遠心移動(平均2~3㎜)が行われたと報告されている ◆Raveraら[5] 上顎大臼歯の矢状面の位置が有意に変化 した(p = 0.000) 第二大臼歯は 平均2.52mm、第一大臼歯は2.25mm遠心移動した ◆Simonら[21] 上顎大臼歯の遠心移動を2.6~2.7mm行い、有効率は87%であった ◆Fischerら[19] 2例で上顎臼歯の 効果的な遠心移動によりII級不正咬合がI級関係に改善された 側方セファログラムの重ね合わせで臼歯 部の遠位化が確認されたが、正確な数値は不明であった

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4. Discussion ©kyousei-kaigaironbun.com アライナーによる遠心移動後の垂直制御、アンカレッジロス、臼歯部の角度について ◆Carusoら[6] SN^GoGn°は治療後においてて0.1±2.0°の平均変動のみを示した(p>0.01) 後顔面高さ(S-Go)、前顔面高さ(N-Me)、PFH/AFHの比率も治療後に有意差はなかった (p>0.01) 上顎切歯に対する優れたコントロールが認められ、切歯角度の平均値は13.5±0.01°減少した ◆Raveraら[5] 第一/第二大臼歯の傾斜(p = 0.056, p = 0.27)、第一 /第二大臼歯の歯冠の垂直移動は (p = 0.25, p = 0.43 )なく上顎臼歯の遠心移動が有意であった アンカレッジコントロー ルが良好であり、切歯は後退した( 2.23mm(p<0.01)

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4. Discussion ©kyousei-kaigaironbun.com クリアアライナーとほかの矯正装置との比較 Distal Jet, [29] Pendulum Appliance, [30] Jones Jig [31] などの遠心移動装置は 、遠心移動の過程で 第一大臼歯の遠心傾斜、上顎切歯の 前傾、下顎平面と下顔面高の増加などがみられる[32, 33] このような装置で見られる遠心移動の悪影響は 、クリアアライナー療法ではみられていない 最近ではTADやIZCといった固定する装置が遠心移動のための一般的な選択肢となっている[35,35] Shahaniらのクリアアライナーと頬骨下スクリューの遠心移動の比較研究によると、 クリアアライナーの方が遠心移動を全体的に制御できると報告している

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4. Discussion ©kyousei-kaigaironbun.com hyperdivergent 患者への遠心移動 hyperdivergent 患者には上顎大臼歯の遠心移動は上顎切歯の傾斜、下顔面高の増加など望ましくない 影響等によって勧められていない しかし、 クリアアライナー治療において上顎臼歯の遠心移動が有効であることが示された 具体的には、垂直方向の長さ、アンカレッジロス、上顎臼歯の傾斜のリスクがないことである したがって、 クリアアライナー治療は特にhyperdivergentや開咬の患者において、少なくとも上顎臼歯を 2-3㎜遠心移動するための効果的な手段となる

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5.Conclusions ©kyousei-kaigaironbun.com 本レビューによると、上顎大臼歯の遠心移動はクリアアライナー治療によって 垂直方向の頭蓋顔面のパラメータ、大臼歯の近/遠心角、アンカーロスをうまくコントロールしながら、 ほぼ2-3㎜の遠心移動が可能であることが示唆された。 しかし、本レビューだけでは、エビデンスに基づく結論を導き出すことはできなく、結果は慎重に 解釈されるべきである。

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References ©kyousei-kaigaironbun.com

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記事監修 ©kyousei-kaigaironbun.com Dr. 堀井和宏 (Kazuhiro Horii) 日本矯正歯科学会 臨床指導医(旧専門医)・ 認定医 日本舌側矯正歯科学会 American Association of Orthodontists 〒520-0832 滋賀県大津市粟津町4-7 https://www.horii-kyousei.com