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July 23, 23
スライド概要
矯正海外論文サイトからの最新論文をご紹介します。2023年Angle Orthodontistに投稿された論文です。クリアアライナー矯正におけるオーバーコレクションに関する臨床情報を提供しています。本研究は、クリアアライナー治療の計画にオーバーコレクションが含まれることが重要であることを示唆する。研究は150名の患者に対して、オーバーコレクションによる治療の変化について調べた。プレスクライブとオーバーコレクションの値を比較して、アライナーの治療範囲である傾斜、角度、回転において明らかな違いがあることがわかった。初期治療計画に含めるべきオーバーコレクションに関する臨床的な情報を提供することがこの研究の目的である。プレスクライブではなくオーバーコレクションを考慮した場合、目的の矯正が行われる範囲であるオーバーコレクションが含まれることが重要である。オーバーコレクションによって、治療の範囲を制限でき、治療コスト、治療期間、チェア時間などが削減できる可能性がある。
矯正歯科の海外最新論文をPubMedから紹介します。特にマウスピース型矯正(インビザライン)論文中心にお届けします。
Keywords: Clear aligner therapy; overcorrection Analysis of overcorrection to be included for planning clear aligner therapy: a retrospective study Mario Palone, Andrea Pignotti , Eugenia Morin, Carolina Pancari, Giorgio Alfredo Spedicato, Francesca Cremonini, Luca Lombardo Angle Orthodontist, Vol 93, No 1, 2023 DOI: 10.2319/052022-371.1 紹介者:矯正海外論文サイト https://kyousei-kaigaironbun.com
目次 ©kyousei-kaigaironbun.com 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
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1. Introduction ©kyousei-kaigaironbun.com 【背景】 クリアアライナー治療(CAT)において、finishing phaseが一般的でありfinishing phaseも治療の延長と考える べきである[10]という意見もある。 しかし、その分追加のアライナーを使うことになり、必然的にコスト、治療期間、チェアタイムの増加 につながるという問題がある。 【目的】 CATの初期治療計画に含めるべきオーバーコレクションに関する臨床的な情報を提供すること。
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Materials and Methods ©kyousei-kaigaironbun.com 【期間】2016年から2020年 【装置】F22アライナー(Sweden & Martina, Due Carrare, Italy) 【デザイン】 Ferrara大学の電子データからの後ろ向き研究 【選択時の適格基準】 ・上下顎の叢生3mm、クラスⅠの不正咬合、片顎あたり12~20のクリアアライナーで治療したもの ・顎間ゴム、補助具(捻転改善のパワーチェーン、歯の挺出を目的としたエラスティックなど)、ミニスク リュー、カンチレバー、固定装置の使用がないこと ・グリップポイントやIPRの使用は許可 ・初期設定は近遠心や前後の移動がなく、25°以下の小臼歯と犬歯のローテーションを規定 ・10°以下の捻転の改善のためのグリップポイントを設定する ・矯正治療歴や歯周病がないこと ・アライナー総数12枚で一回のfinishing phase ・ finishing phaseのアライナーは除外 【対象者】150名(女性80名、男性70名、平均年齢33.7歳±12.7歳)
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3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com Palone et al. (2023)より Inclination全体の平均:prescribed 4.87°±2.52°、corrective 0.85°±1.20° Angulation全体の平均:prescribed 3.35°±1.26°、corrective 0.45°±0.56° Rotation全体の平均:prescribed 9.01°±6.2°、corrective 2.29°±3.08°
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com Palone et al. (2023)より Extrusion全体の平均:prescribed 0.67±0.33mm、corrective 0.07±0.15mm Intrusion全体の平均: prescribed 0.75±0.41mm、corrective 0.14±0.2mm
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com Palone et al. (2023)より finishing phaseで必要な補正量(平均)は、 inclination 20.5%、angulation 14.5%、rotation 28.4%、extrusion 11.7%、intrusion 22%であった。 最も補正が必要であったのは Rotationの切歯40.2%/39.7%(上顎/下顎)、犬歯28.8%/28.7%(上顎/下顎)であった。
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com corrective必要量は prescribedによって異なる ≦10.1°→0.77° >10.1°→ 2.13° corrective必要量はprescribedに よって異なる ≦12.2°→1.24° >12.2°→ 2.49° corrective必要量0.44° Palone et al. (2023)より
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 下顎の切歯、小臼歯、臼歯のcorrective必要量 の平均は0.35°であった。 上顎の切歯と犬歯はprescribed によって Corrective量は異なる。 4.2°より小さいと0.49°、 4.2°以上だと0.79°必要である Palone et al. (2023)より
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com 上顎切歯と下顎犬歯以外は Prescribedによってcorrective必要量が変わる Palone et al. (2023)より
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com Palone et al. (2023)より
3. Results ©kyousei-kaigaironbun.com Palone et al. (2023)より extrusionに関して、歯のタイプやprescribedに関係なく平均0.07mmの移動が行われた
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4. Discussion ©kyousei-kaigaironbun.com 本研究の目的は、finishing phaseの期間を短縮するためにCATの初期計画に含めるべきオーバーコレ クションの量に関する臨床情報を得ることであった。 その結果、inclinationは平均20.5%、angulationは平均14.5%、rotationは平均28.4%、extrusionは 平均11.7%、intrusionは平均22%のオーバーコレクションが必要であることが示された。 このことから、inclinationとrotationは最も精度が低く初期の計画段階で最もオーバーコレクションを 必要とすることが示唆された。 classification and regression trees分析により、必要とされるcorrectiveの量はprescribedの量と歯の 種類に関連することが明らかになった。
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5.Conclusions ©kyousei-kaigaironbun.com CATの性能を最適化するためには、初期設定にオーバーコレクションを組み込む必要がある。 本研究のinclinationやrotationのような難しい動きについては、約20%(19.42%)のオーバーコレクション が処方されるべきである。そのほかの動きについては、それよりも少ないオーバーコレクションが有効 である。 Inclinationとrotation のオーバーコレクションは、歯の種類とprescribedの大きさの両方と関連がある。 Extrusionの精度は、歯の周囲とprescribedの大きさと弱い関連があるが、intrusionは関連が示されな かった。
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References ©kyousei-kaigaironbun.com
記事監修 ©kyousei-kaigaironbun.com Dr. 堀井和宏 (Kazuhiro Horii) 日本矯正歯科学会 臨床指導医(旧専門医)・ 認定医 日本舌側矯正歯科学会 American Association of Orthodontists 〒520-0832 滋賀県大津市粟津町4-7 https://www.horii-kyousei.com