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April 02, 23
スライド概要
矯正海外論文サイトがJ.Clin.Medに2022年に投稿された論文を紹介します。インハウスアライナーを製作する際に用いるソフトウエアの比較検討した研究です。比較したソフトウエアは、ClinCheck Pro、Ortho Analyzer、SureSmile、Ortho Insight 3Dの4種類です。
矯正歯科の海外最新論文をPubMedから紹介します。特にマウスピース型矯正(インビザライン)論文中心にお届けします。
Key-words: orthodontics ; virtual tooth movement ; clear aligner Comparing 3D Tooth Movement When Implementing the Same Virtual Setup on Different Software Packages Azad Dhingra , Juan Martin Palomo , Neda Stefanovic , Manhal Eliliwi and Tarek Elshebiny J. Clin. Med. 2022, 11, 5351. https://doi.org/10.3390/jcm11185351 紹介者:矯正海外論文サイト https://kyousei-kaigaironbun.com
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
1. Introduction 【本研究の目的】 インハウスアライナーを製作する場合、矯正歯科医はデジタルスキャナー、アライナーソフトウエア、 3Dプリンターなどが必要である。 矯正歯科医が診断や治療計画の際に利用するアライナーのソフトウエアは様々なものがある。 そこで、本研究では4種類のソフトウエア (ClinCheck Pro、Ortho Analyzer、SureSmile、Ortho Insight 3D)を用いて バーチャルセットアップを実施した歯の移動の違いを比較検討することを目的とする。
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
Materials and Methods 【デザイン】後ろ向き研究 【承認】Case Western Reserve University Institutional Review Board (IRB STUDY20201221) 【対象】インビザライン治療成人患者25名 【除外】顔面損傷、頭蓋顔面異常、歯の奇形、エラスティックの使用、CR/COのずれ、 埋伏歯の既往歴のある者 【方法】ClinCheck Proを参照用とし他のソフトウエアをターゲットとして使用した (図1-4)
Materials and Methods Dhingra et al.(2022)
Materials and Methods Dhingra et al.(2022)
Materials and Methods Dhingra et al.(2022) Dhingra et al.(2022)
Materials and Methods Dhingra et al.(2022)
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
3. Results Kruskal-Wallis一元配置分散分析の結果、4つのソフトウェアパッケージの間で、 挺出/圧下(p=.0001)および、頬側/舌側移動(p=.0004) が有意に異なることがわかった。 他の動きについて有意な差は認められなかった。 Dhingra et al.(2022)
3. Results 挺出/圧下の一対比較検定結果は、 ClinCheck ProとOrtho Insight 3D(p =.026)、ClinCheck ProとOrtho Analyzer(p=.000)、 SureSmileとOrtho Analyzer(p=.000)、 Ortho Insight 3D と Ortho Analyzer(p=.000)において有意な差が認められた Dhingra et al.(2022)
3. Results 頬側/舌側移動の一対比較検定の結果は、 ClinCheck ProとOrtho Insight 3D (p=.004)、ClinCheck ProとOrtho Analyzer (p=.001)、 SureSmile と Ortho Insight 3D (p=.009)、 SureSmile と Ortho Analyzer (p=.002)に 有意な差が認められた Dhingra et al.(2022)
3. Results 上顎アライナー数の一対比較検定の結果は、 ClinCheck Pro と SureSmile (p=.000)、 SureSmile と Ortho Insight 3D (p=.014)、 SureSmile と Ortho Analyzer (p=.009)、Ortho Insight 3DとOrtho Analyzer (p=.000) において有意な差が認められた Dhingra et al.(2022)
3. Results 下顎アライナー数の一対比較検定の結果は、 ClinCheck Pro と Ortho Insight 3D (p=.000)、 SureSmile と Ortho Insight 3D (p=.000)、 Ortho Insight 3DとOrtho Analyzer (p=.000)において有意な差が認められた Dhingra et al.(2022)
3. Results アタッチメント数の一対比較検定の結果は、 ClinCheck Pro と SureSmile (p=.000)において有意な差が認められた。 Ortho Insight 3DとOrtho Analyzerは、アタッチメントを自動生成する機能がないため、 この分析に含まれていない。 Dhingra et al.(2022)
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
4. Discussion 本研究の目的は、4つの異なるソフトウエアでバーチャルセットアップを実施した際の歯の動きの違いを 比較検討することであった。 その結果、挺出/圧下と頬側/舌側移動に統計的な有意差が示され、自動生成されるアライナーや アタッチメントの数も異なることが示された。 ClinCheck ProとSureSmileは、自動セグメンテーションを用いているため、歯の動きに大きな違いが なかったが、Ortho AnalyzerとOrtho Insight 3Dは手動によるセグメンテーションを必要とするため 歯の動きに違いが生じたのだろう。 さらに、ClinCheck ProとSureSmileはCEJ(セメントエナメル境)の1-2㎜付近で回転させるが、 Ortho Insight 3DとOrtho Analyzerは、根尖を中心に歯を回転させることも理由の一つであろう。
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
5.Conclusions 本研究によりソフトウエア間で挺出/圧下と頬側/舌側移動に統計的な有意差がみられた。 また、アライナー数、アタッチメント数にも有意な差がみられた。 インハウスアライナーの普及やバーチャルセットアップが可能なソフトウエアの増加により、 矯正歯科医はこれらの要因を考慮し、適切なソフトウエアを選択する必要がある。
目次 1 2 3 4 5 6 • Introduction • Materials and Methods • Results • Discussion • Conclusions • References
References
記事監修 Dr. 堀井和宏 (Kazuhiro Horii) 日本矯正歯科学会 臨床指導医(旧専門医)・ 認定医 日本舌側矯正歯科学会 American Association of Orthodontists 〒520-0832 滋賀県大津市粟津町4-7 https://www.horii-kyousei.com