バズるとは記号化である

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October 18, 26

スライド概要

本スライドでは、バズとは情報が記号化され文脈が抜けて再生産される現象であると説明し、記号は交換可能でアイデンティティは交換できないと対比しています。アルゴリズムが同一の記号を推奨すると特筆性が失われ、アイドルや作品はコモディティ化します。記号化が進むと本人の個性やストーリーが伝わらず、ファンは消費行動に留まります。そこで、単なるバズではなく、体験としてのWOWを創出し、文脈とアイデンティティを燃料にして長く残る感動を生むことが重要だと結論付けています。

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各ページのテキスト
1.

「バズる」とは記号化である アイドルとSNSとコモディティ化について つっか

2.

今日話すこと バズる仕組みをたどると、アイドルの特筆性とぶつかるところが見えてきます 1 2 3 バズるとは記号化のこと 記号化はアイデンティテ ィとぶつかる 最適化の先にコモディテ ィ化がある 文脈を知らなくても通じて、真似 して再生産できる形に圧縮される と、ものは広がっていきます。 記号は交換できることで成り立ち 、アイデンティティは交換できな いことで成り立ちます。 みんなが同じアルゴリズムに合わ せると、似たものが増えて特筆性 が消えていきます。 おひさまでぃすこーど 1

3.

【バズるとは記号化である】 文脈なしで通じて、真似できる形になったとき、ものは広がります 元の文脈 圧縮する 再生産される 拡散する 作品・人・出来事。ここに は厚みがある 一瞬で通じて、真似できる 形に削られる 見た人が受け手から送り手 に回る 〇〇構文、〇〇チャレンジ 、決めポーズ 広がる燃料は、元ネタの面白さより「それを使って自分を表現できること」のほうです おひさまでぃすこーど 2

4.

【バズるとは記号化である】記号化には代償がある 記号として広まった時点で文脈は剥がれ、本人はあまり理解されません 入口としては強い 名前とキャラは 知っている人 バラエティでウケたキャラや決めゼリフは、認知を広げる入口としてと ても強いです。 でも運ばれるのは一面だけ 本人を 知っている人 ライブで見せる表情や、ブログの文章の温度感は、ほとんど一緒に運ば れていきません。 記号が本人を縛り始める 記号が強すぎると、本人がそこから外れたときに「キャラと違う」と言 われることがあります。 おひさまでぃすこーど 3

5.

【バズるとは記号化である】本来記号とアイデンティティは対立する 記号は交換できることで、アイデンティティは交換できないことで成り立ちます 記号 アイデンティティ ・誰にでも当てはまり、誰でも使える ・その人でなければならない理由 ・役割が先にあって、そこに人が入る ・記号に収まりきらない部分に宿る ・別の誰かが入っても成り立つ ・要約した瞬間に消えてしまう ・例:メンバーカラー、決めポーズ、サビの振り ・例:言い間違いのクセ、ブログの一文、メンバー 同士の空気 名前や顔も記号なので、人を知るときは必ず記号を経由します。 特に昨今のSNS時代 レコメンドは「似たもの」をアルゴリズムで紹介するので記号になればなるほど おひさまでぃすこーど TLに出やすくなる 4

6.

【実際の宗教においても】偶像崇拝にはアイデンティティが要る そもそも「アイドル」とは偶像崇拝という意味。 偶像は確かに記号ではあるが、崇拝には、「この人」や思想が必要。 像(記号) 原型(本人) カラー・キャラ・振り この人でなければ 崇敬は像を通り越して向かう 【実際の宗教の文脈においても】 ビザンツの聖像破壊論争で、イコンを擁護した側は「像への崇敬は像を通り越して、その原型に向かう」と説明しました。 像は入口であって、行き先ではないという考え方です。 代わりがきくものに、人は本当の意味で気持ちを預けられない。 代わりがきくものに対して起きるのは、崇拝というより消費です。 実際に 現在の「推し活」という文脈も消費行動が先手に来ることが多い。 おひさまでぃすこーど 5

7.

特筆性はコモディティ化の真逆 本来、アーティストやアイドルの特筆性は「代わりがきかないこと」にあるはずです 見つけてもらう 選ばれ続ける アルゴリズムによる発見 アーティストとしての特筆性 ・既存のカテゴリにある程度当てはまる必要がある ・他と違っている必要がある ・再生数やインプレッションですぐ数字に出る ・時間をかけないとわからない ・バズは瞬間の数字 ・残ったかどうかで決まる 数字ですぐ見えるのは左だけです。計測できるほうに寄せていくと「誰の特別でもない」存在になっていきます おひさまでぃすこーど 6

8.

「バズる曲を作れ」は類似製品の指示と同じ 「バズる曲を出せ」は、意味も知らずに類似製品を作れと言っているのと同じです 製品開発なら アイドルなら ・売れている他社製品と同じものを作れ ・バズっている曲と同じものを作れ ・形だけ真似て、本家より少し劣る似たものに ・型だけ借りて、本家の記号の劣化コピーに ・値下げや物量の勝負になる ・投稿の本数の勝負になる ・「あそこも同じ」とブランドが薄まる ・アイデンティティが削れていく ファン発信の「バズる曲を出せ」は、なぜバズったのかを知らずに形だけを追う声です 「オタク」を名乗るなら、そのアイドルが好きなら、そう言っている僕らこそ自覚しておくべきです おひさまでぃすこーど 7

9.

「バズる曲を作りなさい」の危うさ バズを目的にすると、アイデンティティが削れて、 そのグループ/メンバーでなければいけない理由が消えてしまう。 バズを狙う 1 記号化が進む 僕らオタクが自陣に「死ね」と言ってい るのに近い 自分たちが好きになったはずの「らしさ」を、 自分たちの口で手放せと言っていることになり ます。しかも自分では動かず、結果だけを運営 に求める言葉です。 おひさまでぃすこーど 固有性が削れる 2 そのグループ メンバーでないと いけない理由がなくなる 危ないのは「型を借りること」 バズることそのものより、市場で流行っている 型を外から借りてきて、そこに自分たちを合わ せにいくことが危ないと考えています。 結果的に今中心的に「バズる」と言われるアイ ドルが 「色担当/可愛い曲を歌って踊る」という記号に 集約されるようにコモディティ化が進む 8

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最適化の果てのコモディティ化 みんなが同じアルゴリズムに合わせた結果、 確かにSNSでは話題になる一方で似たものだらけになっています 似てくる 1 冒頭の数秒でつかむ、サビを前に出す、イントロを削る、真 似しやすい振りを入れる。 物量戦になる 2 差がつかないので、勝負が投稿の本数や更新頻度の競争にな ります。 ファンではなく視聴者が生まれる 3 どれを選んでも同じに見える おひさまでぃすこーど 乗り換えるコストがほとんどないので、次の記号へと流れて いきます。 9

11.

【実は坂道は手は打ってる】記号化は曲単体でもできる。そしてやってる。 ショートでダンスを大量投入するのは、コンテンツを自ら記号化する動きです 反復が記号をつくる ↑ 固有性 同じ振りを何十本も流すと、「この曲といえばこの動き」と いう対応が刷り込まれていきます。 ブログの一文 ただし振りは固有性が薄い ダンスは誰でも真似できる分、いちばん「その人である必要 がない」部分でもあります。 表情・掛け合いの間 ダンスの振り 拡散力 → どこを記号にするか 表情や掛け合いのように、固有性が乗ったまま記号にできる 部分を選べるかどうかです。 TLへの最適化という意味ではうまくいってるかもしれないが、 それをアイドルグループ本体に向かわせる仕組みがまだまだ足りない。 おひさまでぃすこーど 10

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バズへの対抗として、本来やるべきはWOW バズに対抗するために本来やるべきなのは、WOWを生むことだと考えています バズ WOW ・記号が広がる ・体験が広がる ・受け取った人は真似する ・受け取った人は語る ・型だけが運ばれる ・文脈ごと運ばれる ・記号のところで止まる ・本人や物語のほうへ人を連れていく WOWは見た人が思わず心を動かされる体験のことです。像を通り越して原型へ向かうのは、WOWのほうです おひさまでぃすこーど 11

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WOWは積み上がり、文脈を知るほど大きくなる WOWは記号とは逆に、アイデンティティを燃料にして広がっていきます 1 2 3 積み上がる 文脈を知るほど大きくなる 真似できない バズは終われば元の高さに戻りま すが、WOWは体験した人の中に 残り、戻らずに積み上がります。 記号とは逆で、ずっと見てきた人 ほど、ある日の一瞬に強く心を動 かされます。 文脈が燃料なので、ほかの誰かが 真似しても再現できません。その グループにしか起こせません。 WOWの積み上げは、特筆性の積み上げとほとんど同じことを言っています おひさまでぃすこーど 12

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実例:JOYFUL LOVE 日向坂46は本来、WOWで積み上がってきたアイドルのはず。 その代表例が「JOYFUL LOVE」 カップリングから代表曲へ デビューシングル『キュン』のカップリング。バ ズを狙った曲ではありません。 虹を作ったのはファン 客席のペンライトが虹色に分かれ、会場全体が一 枚の虹になります。 外からも、知る人ほど 知らない人にも一目で伝わり、文脈を知る人ほど 泣けます。間奏では各期の代表がメッセージを伝 えます。 4回目のひな誕祭 DAY2 おひさまでぃすこーど 横浜スタジアムを外から 13

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WOWをどう広げるか WOWは運営ではなくファンの行動から生むしかない。積み上げるのは既存のオタクです 1 2 3 4 ランキングの順位 同じ日にみんなで動く 動画の再生回数 楽しさの発信 オリコンで、デビューから続 く初週30万枚突破の記録を継 続する 歌番組の放送に合わせて投稿 し、SNSのトレンドに入る ここは地道に頑張るしかあり ません。積み上がった回数は 外からも読めます ミーグリレポやライブレポで 「楽しかった」を外に向けて 書く 例としておひさまマラソンが担っているのは、こうしたファンの行動を見えるようにして、続けやすくする部分です 本来、公開のSNSは罵り合う場所では無い。外から見える場所で 匿名と勘違いしながらの振る舞いは、 そのまま外から読まれます。 短期のバズでは勝てないからこそ、時間をかけてWOWを積み上げる とはいえ「義務」にすると難しい。「楽しい方法」「続く方法」を仕掛けとして考えたうえで実行する必要がある。 =ファンでクリエイティブできるやつが頑張るところ。「呼びかけではなく共感や行動へ」 おひさまでぃすこーど 14