IGDA新年会2024 SIG-体験型エンターテインメント スライド

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February 05, 24

スライド概要

IGDA新年会2024で発表された体験型エンターテインメントの近年の振り返りと2024年以降の展望についてのまとめです。
また、このスライドの解説を「体験型エンタメ情報局」に公開しています
https://arg.igda.jp/2024/02/2024.html

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各ページのテキスト
1.

体験型エンターテインメントの 現在と未来2024 2024/01/13 IGDA日本 体験型エンターテインメント専門部会 (SIG-体験型エンターテインメント) SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

2.

体験型エンターテインメントとは? 2 日常空間や現実メディアを使った インタラクティブなエンターテインメント 【イメージしている主領域および関係領域】 謎解き/ARG(代替現実ゲーム)/xRコンテンツ/マーダーミステリー/ イマーシブシアター/参加型ドラマ・演劇/LARP/アナログゲーム/ TRPG/テーマパーク/参加型アトラクション/トランスメディアストー リーテリング/イマーシブミュージアム/没入型プロモーション etc. SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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体験型エンタメ 全体の状況 3 • コロナ渦を乗り越えて活性化 – 巣ごもりからの反動 生身でしかできない体験への欲求 • 大規模化の動き – イマーシブ・フォート東京、株式会社これからミステリーなど 今までにない資本の参加 • ジャンルを跨ぐようなコンテンツの登場 – 各ジャンル間で影響を与え合い更に進化している SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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4 今回触れるジャンル • 脱出ゲーム/謎解きゲーム [執筆:南晃、田中宏明] • ARG(代替現実ゲーム)[執筆:石川淳一] • XR(AR/VR/MRなど) [執筆:池田奈美] • マーダーミステリー [執筆:石川淳一] • イマーシブシアター [執筆:石川淳一] • その他/全体構成 [執筆:石川淳一] ※なにしろジャンル範囲が広いので情報に若干の偏りがあるのはご容赦ください SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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脱出ゲーム 最近のトピック 5 • コロナ5類化によって各種イベントが復活。 • 「オンライン謎解き」は公演型からパッケージ型に • 「フェス」形式のイベントに企業も参入し増加 • 「脱出ゲーム」の用語が一般化 • 世界大会 ERChampで日本チーム(RIDDLER SUKIYAKI)優勝 • リアル脱出ゲーム甲子園定例化 SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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6 脱出ゲーム 売上規模概算 業界上位6社(※1)の売上と、その他 団体・イベント等の推計値を合算した もの – • 日本の脱出ゲーム/謎解きゲーム売上規模 ¥70.0 ゲーム・アプリ、書籍・出版、教育関連 等も含む 2015年の400億という数字(※2)が 一人歩きしているが、経済波及効果含 めた市場規模予測である事を明示して いなかったために誤解を生んだ ※1 SCRAP、タカラッシュ、STAMPS、RIDDLER、ハレガ ケ、グリーンダイス ※2 成長を続ける謎解きイベント業界の今〜謎解きイベント カンファレンス2015夏 | 国際ゲーム開発者協会日本 (igda.jp)より 一部では500億という数字も見かけるがソース不明。400億 の数値も謎解きイベントカンファレンス2015冬には300億程 度と下方修正している。 ¥60 ¥60.0 ¥60 ¥50 ¥50.0 売上(億円) • ¥50 ¥45 ¥45 ¥40 ¥40.0 ¥35 ¥30.0 ¥20 ¥20.0 ¥10.0 ¥0.0 ¥0.5 ¥0.7 ¥1 ¥3 ¥6 ¥10 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 年 SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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7 脱出ゲーム 今後の予測 • コロナ禍で途絶えていたタイプの謎解きの復活 – 文化祭/学園祭や全国のフェスイベントなど • 隣接分野や他ジャンルとの連動・融合 – クイズ・マーダーミステリー等とのコンテンツの融和 – Youtuber、Vtuverなどのインフルエンサーを取り込んだビジネス展開 – 教育系など実用分野への浸透 • 業界の再編 – リアル脱出ゲーム各店舗の再編 – 同人団体が力をつけ、独自にイベントやコンテンツの提供を行う動き – クリエイターたちがゆるく所属する事務所のような動きもあるかも SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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8 ARG 最近のトピック 2020年から始まったARG『Project:;COLD』シリーズ の成功で久しぶりに国内ARGが活性化 • 新規タイトルの増加 – BlueFairyChallenge、 Avemujica ARGなど • 商品としてのARGの登場 – 人の財布、失踪事件のあった地区の回覧板など • ARG的手法の他ジャンルでの一般化 • 海外では一般化したものの大規模なARGはほぼ影を潜めた SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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9 ARG 今後の予測 国内でARGが本格的に根付くか? • 『Project:;COLD』新作の開始(2月から本格展開) • 一般に認知されるような新作ARGが出てくるか? • ARG的手法の他ジャンルの活用は更に進む ジャンルとしてARGが認知されるか それとも『Project:;COLD』人気だけで終わるかの大切な1年 SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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10 XR 最近のトピック 知覚的・聴覚的な表現により物語世界と現実世界を融合させる 手法として活用ケース・バリエーションが増加 【画像】次元交わる学級会からの脱 出 公式サイトより SCRAP×にじさんじ 次元交わる学級会からの脱出 クロステイルズシブヤ 渋谷もののけスクランブル ゲーム内でOculus Questを使用し仮想 世界にダイブ。 存在するキャラクターから情報を得て現実世 界でその情報を用いる Locatoneアプリを使用し、GPSやビーコンをトリガーにその 場所に行くと場所や進行状況に合わせた音声が流れる。 音声情報と手元のキットを組み合わせて謎を解く。 【画像】クロステイルズシブヤ公式 サイトより NTTコノキュー×円谷プロ ウルトラセブン IF Story 「55年前の未来」 DNP/三井不動産 MIYASHITA MYSTERY PARK 【画像】プレスリリース素材より 実在の宮下公園と、バーチャル空間上の宮下 公園の両方に散りばめられた謎を解く。 双方の謎は連動していて両方の謎を解くことで 完全クリアを目指すことができる 【画像】「55年前の未来」公式サイトよ り XR Cityを使い現実世界で「ウルトラセブ ン」の物語を再現。 巨大怪獣や星人とARを通して会話をする などでストーリーが進行。 ”AR自体での謎解き“というAR活用目的主体から、物語への没入強化を目的と した”体験補完機能“として使用される傾向が見られる SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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11 XR 今後の予測 XR対応ハードの拡大、通信環境(5G)の整備などにより XRと組み合わせたコンテンツが拡大していく スマホ×空間オーディオ による 日常的なXR体験 VRグラスからMRグラス への移行 現実世界と融合したデジタル コンテンツの表現拡張 空間コンピューティングに よる 没入体験/表現の強化 継続的課題:ハード未対応ユーザーへの対応*、使用方法の啓蒙、 UX/UIの改善による没入体験阻害の軽減 *周辺環境における課題である5G普及遅延、高機能端末と格安端末との2極化などによるスマホ対応の多極化による SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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マーダーミステリー 最近のトピック 12 • 従来のマダミスの枠に収まらないものが登場 – 脱出ゲームと同じく少人数で作れる強みでさまざまなタイトルが登場 • 店舗参加者の回復/増加 – YouTube経由などで新規層が拡大 • IPタイトルの増加 • オンラインマダミスの定着 – 無料が多いため玉石混交な状況も • 他業種からの参入 – SCRAP、株式会社これからミステリーなど SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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マーダーミステリー 今後の予測 13 • 市場の拡大なるか? – 株式会社これからミステリーの登場で 今までにリーチできなかった層を取り込めるか? • イベントの増加 – フェスなどで通常の店舗型でない接触機会の増加 • 小規模化と大規模化 – 従来のマダミスは少人数/短時間方向へ 逆に数十人規模の可能性も模索 • 従来のマダミスの枠に収まらないものの拡大 – マダミスファンに向けた新しいタイプの公演の増加 – ストーリープレイングやLARP的なものなど SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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イマーシブシアター 最近のトピック 14 国内作品大豊作の1年 • コロナ禍を超えて一気に公演が増加 • DAZZLE、Ego:pressionなどが狭い会場向けを制作 日本での公演事情にマッチした形で制作できることを実証 • 泊まれる演劇やムケイチョウコクなど対話要素を進化させた作品 • 新規団体やコロナで活動中断していた団体も作品を投入して 更にジャンルの幅が広がった • 逆に海外では大規模イマーシブシアターが次々と終わり ジャンルの節目に来ているのではないかという意見も SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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イマーシブシアター 今後の予測 15 一気に一般層まで浸透するか? • イマーシブ・フォート東京(3月開園)の衝撃 – USJを立て直した森岡氏がイマーシブシアターに本格参入 – テーマパーク形式という形で一般層の取り込みを図る • 競争の激化 – 公演の大幅増加でイマーシブ・フォート東京がなくても過当競争気味 – 一般の演劇以上に「ハマるとリピートする」率が高いため 他の公演まで参加する余裕が生まれにくい – 量から質へ(名前だけのイマーシブシアターは生き残れなくなる) SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)

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16 その他 最近のトピック • テーマパークでの能動的体験型アトラクションの増加 • 宿泊型コンテンツの増加 • 謎解き以外の周遊型コンテンツの登場 – 今まで地方や施設の周遊型といえば謎解きだったが 違うジャンルのチャレンジが増えており更に広がる可能性 • 体験型ミュージアム/イベントの増加 • 各ジャンルの融合/進化が加速 – 体験を生み出すシステムやギミックは共通な部分が多い – この部分の研究分析がジャンルの発展に重要 SIG-体験型エンターテインメント(SIG-immersive entertainment)