服用薬剤調整支援料2が1,000点へ|令和8年度改定の要件と令和9年6月施行への備え

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August 28, 26

スライド概要

令和8年度診療報酬改定で、服用薬剤調整支援料2は90点・110点から1,000点に一本化されます。算定できるのは研修を修了したかかりつけ薬剤師のみで、同一患者6月に1回、薬剤師1人につき月4回までの上限も新設。施設基準の削除と6つの実施事項、令和9年6月1日施行までの準備を解説します。

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服用薬剤調整支援料2が1,000点へ|令和8年度改定の要件と評価を解説
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病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用

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各ページのテキスト
1.

服用薬剤調整支援料2のパラダイムシフト 1,000点 令和8年度診療報酬改定の完全解読と、 令和9年施行に向けた戦略的ロードマップ

2.

3つの劇的な構造変化が薬局経営の前提を覆す 異例の評価引き上げ 従来: 90点 / 110点 改定後: 1,000点への一本化 (約9~11倍の引き上げ) 意図: 調剤報酬において極めて 異例の水準。薬物治療の「質」 を高める真の介入への対価。 算定要件の厳格化 従来: 全ての保険薬剤師 改定後: 専門研修を修了した 「かかりつけ薬剤師」限定 意図: 薬局の過去の実績では なく、薬剤師個人の高度な専門 性と臨床推論能力を直接評価 する。 適用日の後ろ倒し 適用日: 令和9年6月1日 (1年 間の猶予) 意図: 研修受講、患者抽出、 検査値取得プロセスの構築な ど、算定に向けた実務体制整 備のための不可欠な準備期間。

3.

「減薬数」への依存からの脱却: なぜ評価軸は変わったのか なぜ評価軸は変わったのか 過去の限界 (Legacy Model) 算定回数 薬剤数 時間 アプローチ: 「何種類減らしたか」に固執した減薬 中心の評価。 結果: 算定回数は増加したものの、75歳以上の多剤 服用患者数は5年間で増加傾向。ポリファーマシー の根本解決に至らず。 未来の方向性 (Precision Model) リスク低減 アプローチ: 「どのように薬物治療を適正化したか」 を問う質重視の評価。 具体的手法: 「日本版抗コリン薬リスクスケール」等 を用いたリスク低減。薬物有害事象の回避と服薬アド ヒアランスの向上。 結果: 薬剤数を無理に減らさずとも、薬物治療の安全 性を最大化する。

4.

「薬局の実績」から「薬剤師個人の臨床能力」へのシフト 撤廃される施設要件 薬局 ・削除: 施設基準十一の二 (重複投薬等の解消 に係る実績) ・意味: 過去にどれだけ減薬提案を行ったか という「薬局単位」のハードルは消滅。 新設される個人要件 ・必須条件: 所定の研修を修了した「かかりつけ 薬剤師」 ・専門性の壁: 相当程度の勤務年数 + ポリファ ーマシー対策に関する十分な時間の専門研修。 ・結論: 1,000点という評価は、極めて高度な水 準の専門性を持つ「個」にのみ与えられる。

5.

新旧モデルの比較: 要件と評価の全面的なアップデート 要件項目 [現行] [改定案] 評価点数 イ 110点 / 口 90点 1,000点一本化 実施者 保険薬剤師 かかりつけ薬剤師 (研修修了者) 把握の方法 一元的に把握 継続的及び一元的に把握 提案の前提 重複投薬等が確認された場合 調整を必要と認め、必要な評価等を 実施した場合 提案の内容 重複投薬等の解消に係る提案 服用中の薬剤の調整に係る提案 算定回数 3月に1回 患者: 6月に1回 / 薬剤師: 月4回まで 施設基準 実績要件あり 削除

6.

1,000点を算定するための6つの必須臨床プロセス Inputs (情報の収集) ア. 主観的情報: 患者 ・家族からの薬物治療 に関する聴取 イ. 客観的情報: 検査 値等の薬物治療に 必要なデータの収集 ウ. 生活状況: 服薬支 援に必要な患者の生 活状況・意向の把握 Processing (臨床的評価) 工. 総合評価: 各服用 薬剤の治療効果と有 害事象リスクの評価 Outputs (介入と計画) オ. 課題特定: 解決す べき薬剤関連問題の 特定と整理 カ. 計画立案: 服用薬 剤調整後の観察計画 および対応案の作成 処方箋の点検のみでは算定不可。検査値の入手からフォローアップまでの包括的業務が必須。

7.

算定回数の厳格なキャップと運用上のボトルネック 患者単位の制限 算定可能 1月 2月 3月 4月 5月 6月 ルール: 同一患者につき「6月に1回」のみ 変化: 現行の3月に1回から間隔が倍増。 より長期的な観察と管理が求められる。 薬剤師単位の制限 1 2 3 4 月4回 ルール: かかりつけ薬剤師1人につき「月4回」まで 経営的インサイト: 算定間隔 (6ヶ月) と月間上限 (4回) を掛け合わせると、1人の専任薬剤師が継続 管理できる対象患者群 (ローリングロスター) の 規模は事実上制限される。無制限な算定は不可能。

8.

令和9年6月1日に向けた1年間の準備ロードマップ Checkpoint 1: 人材の選定と育成 アクション: 対象となる薬剤 師の選定と、留意事項通知に 基づく専門研修の受講スケジ ューリング。 Checkpoint 2: 対象患者の抽出 アクション: かかりつけ薬剤 師として関与する「複数医療 機関から6種類以上の内服薬が 処方されている患者」のリス ト化とアプローチ。 Checkpoint 3: システムと記録の整備 アクション: 医療機関からの 検査値入手フローの構築と、 調整後の「観察計画」を記録 する新様式の運用テスト。 令和8年 改定 令和9年6月1日 施行 (Target) 通知の発出 (研修主体や時間数の確定) を 待ってから着手したのでは、令和9年6月の 施行に間に合わないリスクがある。

9.

対物業務から高度な臨床介入へ: 次世代薬局への設計図 服用薬剤調整支援料2の「1,000点」への飛躍は、 単なる報酬改定ではない。これは厚生労働省から 薬局への明確なメッセージである。 Clinical Evaluator Clinical Reasoning Pharmacotherapeutic Analysis Patient Monitoring Collaborative Care Dispenser 1. 減薬という「結果」ではなく、薬物治療の安全性を担保す る「質の高い臨床評価プロセス」そのものが価値となる。 2. 薬局という「箱」の実績から、高度な専門研修を修了した 薬剤師という「個」の臨床推論能力へ、評価の軸が完全に 移行した。 3. 令和9年6月までの猶予期間は、単なる処方箋の応需 から、継続的かつ包括的な『精密臨床薬学 (Precision Clinical Pharmacy)』の提供拠点へ生まれ変わるための 最後の準備期間である。