令和8年度診療報酬改定:入院医療システムの「再設計」|⑬看護・⑭薬剤・⑮DPCの3項目解説

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March 20, 26

スライド概要

令和8年度診療報酬改定の入院医療に関する3つの重要改定項目を解説するスライドです。障害者施設等入院基本料の看護補助加算の算定期間延長、生物学的製剤・JAK阻害薬の除外薬剤追加と別表統一、DPC標準病院群の細分化や機能評価係数Ⅱの変更など、経営インパクトと実務対応のポイントを整理しています。
メルマガ『【令和8年度改定】入院医療の評価見直し3項目|看護補助加算・除外薬剤・DPC/PDPSを解説』:https://www.daitoku0110.news/p/r8-inpatient-care-revision-summary

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病院事務長。急性期から回復期まで多岐にわたる医療機関で勤務。 医事、介護事務、経理、財務、税務、監査、総務、設備、情報システム、地域連携、法人業務まで、幅広い部門で自ら実務を経験し全体を統括。福祉業界の知見やイベント開催経験に加え、課題解決のためにAIエージェントを作成し、法人を支援した実績も多数有する。 【公開資料】主に以下の2テーマでスライド・動画を提供。 1. 令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈など)や施設基準、医療DXの解説 2. AIエージェント(miiboなど)の構築・活用

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各ページのテキスト
1.

Executive Summary | 病院経営陣・意思決定者向けプレシジョン・レポート 令和8年度 診療報酬改定:入院医療システムの「再設計」 3つの重要改定(⑬看護・⑭薬剤・⑮DPC)がもたらす経営インパクトと構造変化

2.

令和8年度改定の全体像:包括払いと提供体制の「精緻化」 入院医療の質と効率の向上 ⑬人材の持続可能性(HR) 看護職員と看護補助者のタスクシフト推進と夜間負担軽減。長期入院患者に対する評価の拡充。 ⑭コストの最適化(Finance) 高額薬剤使用患者の円滑な入棟促進。包括払い病棟における不合理な経営圧迫・病棟間格差の解消。 ⑮機能とデータの適正評価(Data & System) DPC/PDPSの精緻化。入院初期の医療資源投入密度の適正評価と、地域ニーズへの応答性の可視化。

3.

⑬ 看護補助加算の見直し:入院31日目以降の評価体系が新たに解放 障害者施設等入院基本料(7対1・10対1)において、長期入院患者への看護補助体制が診療報酬上で明示的に評価される仕組みへ移行。 1~14日以内 15~30日 31日目以降 New Revenue Zone / 新設区分 看護補助加算 【従来】 14日以内:146点 / 15~30日:121点 【改定後】 31日目以降「ハイ及び口以外」:50点(新設) 看護補助体制充実加算 【新区分追加】 31日目以降 加算1:60点 / 加算2:55点 / 加算3:51点 身体的拘束を実施した日は「加算3(51点)」で算定するルールは従来どおり維持。

4.

⑭ 除外薬剤の範囲拡大:高額薬剤による「持ち出し」の構造的解消 抗悪性腫瘍剤・医療用麻薬・腎性貧血治療薬 生物学的製剤・JAK阻害薬 別表の統合 複数の別表が一つに統合され、算定がスリム化。 対象拡大 血友病医薬品の対象が「類縁疾患」まで拡大。 経過措置終了 コロナ抗ウイルス剤の経過措置は「令和8年5月31日」で完全終了。 回復期リハビリテーション病棟等/精神病棟特定入院料 すべての入院料(全包括病棟共通)

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⑮ DPC/PDPSの精緻化:医療の標準化を推進する「5つのチューニング」 01 標準病院群の細分化 群1・群2への分割 02 複雑性係数の変更 入院初期の資源投入評価へ 03 地域医療係数の見直し 4領域の定量評価と新体制評価 04 入院期間IIの基準変更 平均値から中央値への移行 05 再転棟ルールの厳格化 7日以内制限の撤廃 ※次スライド以降で、実務と収益に直結する重要項目をディープダイブして解説。

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DPC機能評価係数II:複雑性係数の評価軸シフト Activation Curve 医療資源投入量 入院期間 25% 在院日数25%tile値 【従来】 「1入院当たりの包括範囲出来高点数」で評価。(入院全体のボリューム) 【改定後】 「在院日数25%tile値までの平均包括範囲出来高点数」により評価。 Strategic Insight: なぜ初期を見るのか? 入院初期に最も高密度な医療資源が投入される実態をより正確に反映させるため。初期対応の集集的・中的な質が直接的に評価される構造へ。

7.

再転棟算定ルールの厳格化:期間制限の撤廃 DPC算定病棟から非DPC算定病棟へ転棟した後に再びDPC算定病棟に戻る場合のルール変更。 DPC病棟 非DPC算定病棟 DPC病棟 7日以内の壁 従来存在していた「転棟後7日以内に限り一連の入院とする」という期間制限が完全に撤廃。 日数を問わず一連の入院として扱われるため、意図的な待機転棟などの不自然な運用が封じられ、純粋な患者状態に基づくベッドコントロールが求められる。

8.

DPC基準・係数の新要件:病院群区分と期間・地域要件の再定義 標準病院群の細分化 救急搬送実績等に基づき「群1」と「群2」に区分。 【群1の必須要件例】 「救急車搬送入院患者数が年間700人以上」等の4要件のいずれかを満たすこと。 地域医療係数の新設 【定量評価】 標準病院群に限り、4領域(がん・脳卒中・心血管・周産期)に着目した評価を導入。 【体制評価】 「認定ドナーコーディネーターの院内配置」「地域の需要変動への応答性」を新設。 入院期間IIの移行 在院日数の変動係数(CV)が「0.6未満」の診断群分類において、平均在院日数から「中央値」へ移行。 ※激変緩和措置:移行に伴う急激な変化を防ぐため、変動率の上限は10%に設定。

9.

総括:3つの改定が描く「現代病院経営のサバイバル戦略」 人材(⑬看護) タスクシフトと適切な評価により、現場の疲弊を防ぎ体制を持続させる。 財務(⑭薬剤) 医療技術の高度化(高額化)による制度と摩擦を解消し、正当な収益を確保する。 機能(⑮DPC) 実態(資源投入密度)に即した評価と厳格なルールにより、提供体制の質を担保する。 医療の標準化・効率化の完成 厚労省の真の狙いは、包括払い制度の「精緻化」を通じたシステム全体の最適化。自院のDPC群の確認と、新たな係数・算定期間の解放に合わせた運用の早期アップデートが、令和8年度以降の経営基盤を決定づける。