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March 30, 22
スライド概要
小平大輔 - 筑波大学エネルギー・環境系助教。現在の研究テーマは、電気自動車の充電スケジューリング、エネルギー取引のためのブロックチェーン、太陽光発電とエネルギー需要の予測など。スライドの内容についてはお気軽にご相談ください:kodaira.daisuke.gf[at]u.tsukuba.ac.jp
機械学習と地理的な発電分布からの予測を 組み合わせた太陽光発電出力予測 2021/1/21 1
1.研究背景 過去のデータ傾向をとらえる機械学習では 雲の動きを考慮した予測は難しい ・機械学習による予測 ・地理的な発電分布の変遷(オプティカルフロー) 組み合わせた予測手法を提案 2
2.原理 2.1 ニューラルネットワーク(NN) 学習:入力値と出力値を与え、入力層か ら出力層に至るまでの各層間の重みを決 定する 予測:入力値を与え、学習で決まった重 みから出力値を算出 2.2 LSTM(長短期記憶) NNは学習情報を長期間保持できない →LSTMは学習情報を長期間保持でき、 時系列データを扱う学習に有効 x:入力 c:過去のデータ h:出力 f:忘却ゲート g:セル候補 i:入力ゲート o:出力ゲート 図2 図1 ニューラルネットワーク LSTM 3
2.3 k-means法 (1) ランダムにクラスタ数を決め、 各クラスタに重心を設定する (2) 各データを重心との距離に基づ き各クラスタに分類 (3) 各クラスタ内の各データの平均 値を新たな重心に設定 (4) (2)と(3)を各データが最適なク ラスタに分類されるまで繰り返す 2.4 地理的な発電分布の変遷 (オプティカルフロー) 予測時間の30分前から予測時間までの発電分 布の動き(雲の動きに相当)が、予測時間の60 分前の動きと同じ移動距離かつ方向であると 仮定し予測する 図4 図3 オプティカルフロー k-means法 4
2.5 予測結果の組み合わせ方 5
2.6 予測区間 予測区間の求め方 1.テストデータの予測結果と実測値の誤差を求める 𝑒𝑟𝑟𝑜𝑟𝑖 = 𝑦𝑖 − 𝑦𝑖′ (2) 2.予測日当日の予測結果に誤差を加算 𝑏𝑜𝑢𝑛𝑑𝑎𝑟𝑦𝑖 = 𝑦ෝ𝑖 + 𝑒𝑟𝑟𝑜𝑟𝑖 (3) 3.各時刻ごとに、 𝑏𝑜𝑢𝑛𝑑𝑎𝑟𝑦𝑖 の内、値が下から𝑛番目を下限値、上か ら𝑛番目を上限値とし、この上下限値の間を予測区間とする (例:データ数100個に対し、信頼度を95%とした場合、 𝑛は5となる) 𝑒𝑟𝑟𝑜𝑟𝑖 :誤差 𝑦𝑖 :実測値 𝑦𝑖′:テストデータの予測結果 𝑦ෝ𝑖 :予測日の予測結果 𝑏𝑜𝑢𝑛𝑑𝑎𝑟𝑦𝑖 :予測区間の上限値と下限値の候補 6
3.予測の概要 3.1 使用するデータ ・1日のデータは7~18時の間の30分間隔 図5 データの構成 7
3.2 予測手順 各予測手法の学習 重み(𝑤1 ~𝑤4 )の 最適化 予測日前日 テストデータとの 誤差を求める 各予測手法による 予測 𝑦 = 𝑤1 𝑦1 + 𝑤2 𝑦2 + 𝑤3 𝑦3 + 𝑤4 𝑦4 (1) ・機械学習→24時間先の予測 ・オプティカルフロー→30分先の予測 予測日当日 オプティカルフロー による予測 最終的な予測結果 を求める 予測区間を求める
3.3 評価値 ・発電出力の予測値と実測値のRoot-mean-square-Error(RMSE)[kW] (4) ・発電出力の実測値がどれくらいの割合で予測区間内に収まっているか を示すCover rate[%] 1 𝑛 𝑐𝑜𝑣𝑒𝑟 𝑟𝑎𝑡𝑒 = 100 × σ𝑖=1 𝑐𝑖 (5) 𝑛 𝑛:1日あたりのデータ数である23 𝑦𝑖 :発電出力の実測値 𝑦ෝ𝑖 :発電出力の予測値 𝑐𝑖 :予測区間内に存在する実測値の数 この場合のCover rateは80% 図6 予測区間 9
4.予測結果 4.1 晴天日の予測結果 図9 k-means法の予測結果 図7 NNの予測結果 表1 評価値 NN RMSE 3.51 [kW] 図8 LSTMの予測結果 図7~10のRMSE LSTM k-means法 2.35 1.61 オプティカルフ ロー 0.67 NNとLSTMの予測結果のRMSEが大きい →使用しているデータに問題があるのではないか 図10 オプティカルフローの予測結果 10
4.1 晴天日の予測結果 表2 図11の評価値 評価値 機械学習 Cover rate 78.3 [%] RMSE [kW] 1.73 提案手法 100 改善値 +21.7 0.64 -1.09 提案手法の予測精度は 機械学習のみの結果よりも向上 予測精度の高いオプティカルフローを 図11 各手法を組み合わせた予測結果 取り入れたため ・機械学習:NN+LSTM+k-means法 ・提案手法:NN+LSTM+k-means法+オプティカルフロー 11
4.2 出力変動が激しい日の予測結果 図14 k-means法の予測結果 図12 NNの予測結果 評価値 RMSE [kW] 図13 LSTMの予測結果 表3 図12~15のRMSE NN LSTM k-means オプティカルフ 法 ロー 2.62 3.78 2.65 1.43 図15 オプティカルフローの予測結果 12
4.2 出力変動が激しい日の予測結果 表4 図16の評価値 評価値 機械学習 提案手法 改善値 Cover rate [%] 69.6 87.0 +17.4 RMSE [kW] 2.46 1.34 -1.12 ・予測結果は改善 ・急激な出力変動を捉えている 図16 各手法を組み合わせた予測結果 ・機械学習:NN+LSTM+k-means法 ・提案手法:NN+LSTM+k-means法+オプティカルフロー 13
5.結言 ・提案手法は機械学習のみの予測に比べて RMSEが約1kW、Cover rateが約20%改善した ・NNとLSTMの晴天日の予測結果のRMSEが 3.51kW、2.35kWと高い →湿度などの天候データを学習と予測に使用する有効性 14
付録 粒子群最適化法(PSO:Particle Swarm Optimization) ・組み合わせ最適化問題の近似解を求めるためのアルゴリズム →各予測手法による予測結果を組み合わせる際に使用 𝑥𝑖 𝑡 + 1 = 𝑥𝑖 𝑡 + 𝑣𝑖 (𝑡 + 1) (6) 𝑝𝑏𝑒𝑠𝑡 𝑣𝑖 𝑡 + 1 = 𝑤𝑣𝑖 𝑡 + 𝑐1 𝑟1 𝑥𝑖 図17 粒子群最適化法 𝑡 − 𝑥𝑖 𝑡 + 𝑐2 𝑟2 (𝑥 𝑔𝑏𝑒𝑠𝑡 − 𝑥𝑖 𝑡 ) (7) 𝑡:反復回数 𝑥𝑖 𝑡 : 粒子の位置 𝑣𝑖 𝑡 :粒子の速度 𝑝𝑏𝑒𝑠𝑡 𝑥𝑖 𝑡 :反復回数𝑡までの粒子の最適解 𝑥 𝑔𝑏𝑒𝑠𝑡 :反復回数𝑡までの粒子群全体での最良解 𝑐1 、𝑐2 :係数 𝑟1 、𝑟2 :乱数 𝑤:反復回数(𝑡 − 1)の速度を維持させる役割 15