2024_Quantile Regressionを用いた 確率的電力価格予測

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March 28, 24

スライド概要

このプレゼンテーションでは、環境開発工学主専攻3年生が再生可能エネルギー由来の変動的な電力価格を予測するために研究した結果について取り上げられています。本研究では、確率的予測(quantile regression)を使用して、再生可能エネルギー由来の変動的な電力価格を予測するための汎用性のある入力パラメータを開発しました。この予測手法は、英国の電力市場データを使用して開発されました。結果として、この研究は、確率的電力価格予測の品質を向上させるために役立つことが期待されます。この研究は、IEEEの大会への参加が契機であり、入札戦略を構築する能力を持つ発電事業者や需要家の間で範囲的な予測を提供し、柔軟な戦略構築を可能にすることにも役立つでしょう。

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小平大輔 - 筑波大学エネルギー・環境系助教。現在の研究テーマは、電気自動車の充電スケジューリング、エネルギー取引のためのブロックチェーン、太陽光発電とエネルギー需要の予測など。スライドの内容についてはお気軽にご相談ください:kodaira.daisuke.gf[at]u.tsukuba.ac.jp

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各ページのテキスト
1.

Quantile Regressionを用いた 確率的電力価格予測 2024/2/16 Probabilistic Electricity Price Forecasting by quantile regression 筑波大学 理工学群 環境開発工学主専攻 工学システム学類4年 スマートグリッド研究室 201911074 大曽根 佑紀 教員 小平 大輔 助教 1

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1.1 研究背景 • 再生可能エネルギー由来の電力価格 →変動性と不確実性が高く,予測が困難 発電事業者・需要家 →発電事業者や需要家が入札戦略を構築する能力は, 電力価格の予測精度に大きく依存 →範囲的な予測を提供+柔軟な戦略構築を可能にする 気候条件などの不確実要因 確率的電力価格予測 →確率的予測(quantile regression) • IEEEの大会[1]への参加が本研究の動機 →発電量・取引インバランスを予測し,成績を競う 利益と効用最大化 入札戦略 [1] IEEE Dataport. https://ieee-dataport.org/competitions/hybrid-energy-forecasting-and-trading-competition#files 2

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1.2 先行研究・研究目的 予測手法 先行研究の入力パラメータ・特徴 イランの宗教上の祝日効果→[2] ヨーロッパの隣国間の電力輸出輸入関係 (フランス,ドイツ,ベルギー)→[3] 確率的予測 複数のスポット予測の結果を組み合わせた quantile regression averaging→[4] 先行研究の課題 本研究の目的 先行研究の欠点 入力パラメータの 汎用性が低い 複数の モデル設定 他国の電力市場への適用,他モデルとの比較・応用が難しい quantile regressionを用いた予測モデルの簡易化 →汎用性のある入力パラメータのみを使用し,予測性能検証 [2] M.R. Monjazeb, Wholesale electricity price forecasting by Quantile Regression and Kalman Filter method. 2023,129925. [3] Leonard Tschora, Electricity price forecasting on the day-ahead market using machine learning, Appl. Energy 313 (2022). [4] Uniejewski B, Weron R. Regularized quantile regression averaging for probabilistic electricity price forecasting. Energy Econ 2021;95:105121. 3

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1.3 本研究の内容 • IEEEの大会や英国の電力会社より提供される 英国の電力市場データを使用 • 2020/09/20~2023/10/27までのデータを分割 ・8割(905日間)を訓練データ →モデル推定 英国の電力市場データ モデル推定 電力価格予測 ・2割(227日間)をテストデータ →電力価格予測+入力パラメータ影響評価 入力パラメータ影響評価 4

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2.1 quantile regression 実測値 90%の確率で これ以下! 90% 70% 50% • 回帰分析の一種 →包括的なデータ分析が特徴 30% 電力価格 10% • 10%~90%の分位数回帰直線を引く →範囲的な予測を提供 10%の確率で これ以下! • 多数の独立変数(過去価格,需要予測な ど)と,一つの従属変数(電力価格)の 関係性を分析・予測することが可能 日時 • 以上の特徴を電力価格予測に応用5

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2.2 Pinball Loss ペナルティ 大 予測値と 実測値の差 • 予測モデル(quantile regression)の 性能評価のための損失関数 小 電力価格 • 予測を過小評価するコストと 過大評価するコストを異ならせる 90% →目標分位数に対し,正確な予測を 50% 促すことが可能 等しい 日時 なし • 分位数ごとの損失の数値化が可能 →モデルの比較・評価に使用 6

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3.1 入力パラメータ一覧 どの電力市場にも当てはまるような汎用的な入力パラメータのみを使用 𝑷𝑷𝒕𝒕−𝟏𝟏 ,𝑷𝑷𝒕𝒕−𝟐𝟐 ,𝑷𝑷𝒕𝒕−𝟕𝟕 𝑫𝑫𝑫𝑫𝑫𝑫𝑫𝑫𝑫𝑫𝑫𝑫𝒕𝒕 𝑺𝑺𝑺𝑺𝑺𝑺𝑺𝑺𝑺𝑺𝒕𝒕 𝑾𝑾𝑾𝑾𝑾𝑾𝑾𝑾𝒕𝒕 hourSin, hourCos 前日,二日前,一週間前の電力価格 全国の需要予測 全国の太陽光発電量予測 全国の風力発電量予測 30分ごとの連続的時間— 𝒉𝒉𝒉𝒉𝒉𝒉𝒉𝒉 𝒉𝒉𝒉𝒉𝒉𝒉𝒉𝒉 𝑺𝑺𝑺𝑺𝑺𝑺( 𝝅𝝅), 𝑪𝑪𝑪𝑪𝑪𝑪( 𝝅𝝅) 𝟐𝟐𝟐𝟐 𝟐𝟐𝟐𝟐 7

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3.2 電力価格 最終的な取引収益=取引量×電力取引価格+(実際の発電量-取引量) 基本収益 ×(インバランス価格-0.07×(実際の発電量-取引量)) インバランス損益 …(1) • 2つの電力価格の予測を元に,最終的な取引収益が最大となるような取引量を 見つけることが目的 (例:発電事業者目線) →電力取引価格が高いときに取引量を増やしたい(基本収益を増やす) →インバランス価格が高いときは取引量を減らしたい (インバランス損益を0に近づける) • 意思決定には,2つの電力価格予測の精度が重要 8

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3.3 電力価格予測結果 インバランス価格予測 電力取引価格予測 変動の特徴 →価格変動の特徴を捉え, ほぼ正確な予測が可能 インバランス価格 [€/MWh] 電力取引価格 [€/MWh] 実際の電力取引価格 変動幅 実際のインバランス 価格 変動の特徴 →変化幅が大きいものの, 大まかな変動の特徴を捉えている →汎用的な入力パラメータのみを用いても予測は可能と言えるか? 9

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3.4 先行研究[4]との予測結果の変動幅比較 インバランス価格 [€/MWh] 本研究(インバランス価格予測) 変動幅 実際のインバランス 価格 先行研究[4] 変動幅 同一スケールに直して比較→本研究の変動幅が約1.66倍大きい →実際のインバランス損益に生じる影響はどの程度か? 10

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3.5 先行研究[4]とのインバランス損益比較 インバランス損益割合 インバランス損益比較 1.7 先行研究のインバラン 50000 ス損益 本研究のインバランス 40000 約1.5倍 損益 30000 20000 10000 0 インバランス損益割合 インバランス損益割合 インバランス損益[€] インバランス損益[€] 60000 1.6 1.5 1.4 1.3 1.2 0 50 100 実際の発電量と取引量の差[MWh] 実際の発電量と取引量の差[MWh] 150 0 50 100 実際の発電量と取引量の差[MWh] 実際の発電量と取引量の差[MWh] 右図から,インバランス損益割合は,1.5倍前後を推移 →モデルの性能差がインバランス損益に及ぼす影響は,変動幅の差以下 →汎用的な入力パラメータのみを用いても,予測は十分可能であると考えられる 11 150

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3.6 大会の入札システム • IEEE大会において,予測の提出期限は前日のUTC9時20分であるため, 予測モデルの入力パラメータに前日価格を含めることはできない • 全パラメータ使用時の結果と,前日価格を除外した結果を比較 前日 予測日 提出期限 この時間帯の前日価格 を予測に反映できない 0:00 9:20 12:00 24:00 09:20 12

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3.7 Pinball Loss結果 [€] 電力取引価格予測 (全パラメータ) [€] インバランス価格予測 (全パラメータ) 電力取引価格予測に対し,インバランス価格予測はどの分位数においても約3倍ほど 大きい→インバランス価格は外れ値が多く,変動が大きいためだと考えられる 13

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3.8 Pinball Loss結果比較 [€] インバランス価格予測 (全パラメータ) [€] インバランス価格予測 (前日価格除外) • 前日価格除外(右図)が,わずかに大きい→予期していたよりも小さい上昇幅 • Pinball Lossの平均値(分位数50%)は,電力取引価格予測は約18%、 インバランス価格予測は約4%の増加→前日価格の影響は支配的ではない 14

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4.結言 目的 quantile regressionモデルの簡易化+入力パラメータの影響評価 内容 1. 汎用的な入力パラメータのみを用いて,一日後の電力価格を予測 2. 「前日価格」の影響を評価 結論 • 先行研究[4]と比較し,変動幅が約1.66倍,インバランス損益が約1.5倍 →汎用的な入力パラメータでも予測は可能,他モデルとの比較・応用に足るスペック →様々な電力市場への適用・新たな入力パラメータの追加 • 前日価格除外→電力取引価格予測で約18%、インバランス価格予測で約4%の 損失増加→前日価格の影響は支配的ではない 15

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5.終わり ご清聴ありがとうございました 16

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2.2 quantile regression(なしにする) 分位数(quantile)q=0.1~0.9まで 入力パラメータの係数を推定 quantile regressionモデル 𝑞𝑞 𝑃𝑃𝑡𝑡 𝑞𝑞 𝑞𝑞 = 𝛼𝛼 + + 𝛽𝛽2 𝑃𝑃𝑡𝑡−2 + 𝛽𝛽3 𝑃𝑃𝑡𝑡−7 𝑞𝑞 𝑞𝑞 𝑞𝑞 +𝛽𝛽4 𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝑡𝑡 + 𝛽𝛽5 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑡𝑡 + 𝛽𝛽6 𝑊𝑊𝑊𝑊𝑊𝑊𝑊𝑊𝑡𝑡 𝑞𝑞 𝑞𝑞 𝑞𝑞 +𝛽𝛽7 ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑡𝑡 + 𝛽𝛽8 ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑡𝑡 + 𝜀𝜀𝑡𝑡 𝑞𝑞 𝑞𝑞 𝛽𝛽1 𝑃𝑃𝑡𝑡−1 …(1) 𝑞𝑞:分位数, 𝑡𝑡:日時, 𝛽𝛽𝑞𝑞 :係数,𝜀𝜀𝑡𝑡 :誤差項 𝑞𝑞 𝑃𝑃𝑡𝑡−1 ,𝑃𝑃𝑡𝑡−2 ,𝑃𝑃𝑡𝑡−7 :前日,二日前,一週間前の電力価格, 𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝐷𝑡𝑡 :全国の需要予測, 𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑆𝑡𝑡 :全国の太陽光発電量予測 𝑊𝑊𝑊𝑊𝑊𝑊𝑊𝑊𝑡𝑡 :全国の風力発電量予測 17

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2.1 quantile regression • 回帰分析の一種であり,10%~90%の 90% 分位数回帰直線を引いてデータを分析 2000 • 従来の最小二乗法と異なる特徴 食料支出 1500 →より包括的なデータ分析が可能 従来の 最小二乗法 1000 • 「食料支出」との関係分析に 50% (中央値) 500 「家計所得」以外の多数の入力 10% 1000 2000 3000 家計所得 4000 5000 パラメータを使用可能 例:家計所得と食料支出の関係[5] [5]R. Koenker, K. F. Hallock, Quantile regression, Journal of Economic Perspectives 15 (2001) 143–156. 18

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2.3 Pinball Loss(グラフの意味→だからなんなん) 𝑞𝑞 � (y − z), 𝐿𝐿(y, z) = � 1 − 𝑞𝑞 � (𝑧𝑧 − 𝑦𝑦), Pinball Loss 𝑦𝑦 :実際の値,𝑧𝑧:予測値,𝑞𝑞:分位数 25% 特徴 75% 予測された分位数が実際の値よりも高いか 50% Pinball Loss 𝑖𝑖𝑖𝑖𝑦𝑦 ≥ 𝑧𝑧 …(2) 𝑖𝑖𝑖𝑖𝑦𝑦 < 𝑧𝑧 低いかに基づいて異なるペナルティを与える →非対称的なペナルティを与えることで 75% 25% 予測値と実際値の差 特定の方向の誤差に対してより敏感になる 19

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3.1 データセット 2020/09/20~2023/10/27までの英国の電力市場データの8割(905日間)を訓 練データ,2割(227日間)をテストデータに分割 train data Model estimation 2020/09/20 test data Model evaluation 2023/03/14 Real-time forecasting using API 2023/10/27 20

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3.6 係数の表 10% 11.16 SS_Price予測( 𝑷𝑷𝒕𝒕−𝟏𝟏 除外) 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 3.842 1.863 10.64 18.86 27.60 34.89 45.99 85.39 0.172 0.233 0.264 0.316 0.377 0.410 0.420 0.431 0.430 0.112 0.156 0.181 0.202 0.234 0.268 0.309 0.351 0.391 0.075 0.102 0.129 0.152 0.181 0.223 0.270 0.323 0.375 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.000 0.000 0.000 -3.201 -0.000 -0.000 -0.001 -0.002 -0.002 -0.003 -0.003 -0.003 -0.005 -0.015 -0.013 -0.010 -0.007 -0.005 -0.005 -0.005 -0.005 -0.008 -0.171 1.910 2.400 -0.090 -0.331 -0.884 -0.552 -1.445 -5.057 0.513 1.580 1.182 -1.938 -4.417 -5.983 -7.038 -10.12 -17.01 21

22.

date 22 電力価格[€/MWh]

23.

23 [€/MWh]

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90%の分位数線 電力価格予測 50%の分位数線 日時 24

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Revenue = 𝑇𝑇𝑟𝑟𝑎𝑎𝑑𝑑𝑒𝑒 × 電力取引価格 + (𝐴𝐴𝑐𝑐𝑡𝑡𝑢𝑢𝑎𝑎𝑙𝑙−𝑇𝑇𝑟𝑟𝑎𝑎𝑑𝑑𝑒𝑒) × (インバランス価格− 0.07×(𝐴𝐴𝑐𝑐𝑡𝑡𝑢𝑢𝑎𝑎𝑙𝑙 −𝑇𝑇𝑟𝑟𝑎𝑎𝑑𝑑𝑒𝑒)) 25