実践的な制作から先端的な開発まで~工科系大学・大学院におけるUnityの活用~

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October 26, 22

スライド概要

東京工科大学では文部科学省との助成などを受けて2004年よりゲーム開発者育成とゲーム開発技術研究のためのカリキュラムを整備しました.カリキュラムを進化させていく過程で,2010年よりUnityの導入をはじめました.
Unityを利用することで現場のプロと同じ環境で実践的な制作技術を学べる点は,即戦力として社会に通じる力を醸成する点でメリットがあります.また,Unityは様々な周辺ソフトウェアやハードウェアとの親和性が高く,卒業研究や大学院の学術研究においてインタラクティブなシステムやコンテンツを駆動する上で重要な役割を担っています.本日はその導入におけるポイントについてお話しします.

こんな人におすすめ:
・専門学校・大学等でゲーム開発のカリキュラムを作成/改訂しようされている方
・Unityを用いたプログラム等を学術研究として発表される方
・学生の研究指導をされる方

受講者が得られる知見:
・Unityを用いたゲーム開発者育成カリキュラム構築のポイント
・学術研究においてUnityを利用する上でのメリットと注意点

出演:
三上 浩司 (東京工科大学)

--
初出: SYNC 2022 #UnitySYNC
https://events.unity3d.jp/sync/

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リアルタイム3Dコンテンツを制作・運用するための世界的にリードするプラットフォームである「Unity」の日本国内における販売、サポート、コミュニティ活動、研究開発、教育支援を行っています。ゲーム開発者からアーティスト、建築家、自動車デザイナー、映画製作者など、さまざまなクリエイターがUnityを使い想像力を発揮しています。

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各ページのテキスト
1.

実践的な制作から先端的な開発まで 工科系大学・大学院におけるUnityの活用 東京工科大学 メディア学部 教授 三上 浩司 2022

2.

三上 浩司 博士(政策・メディア) 大学での活動 東京工科大学 メディア学部 教授, 東京工科大学大学院 バイオ・情報メディア研究科 教授 社会活動(学会・業界) 芸術科学会(元会長) 日本デジタルゲーム学会(副会長・理事・編集委員長) 情報処理学会DCC研究会(運営委員) CESA人材育成部会(企画コンテストWGリーダー) CEDEC運営委員会委員(AC / Int担当)

3.

専門分野 アニメ,ゲーム,CGの制作技術研究開発 3DCGを利用した手描きアニメ表現 アニメ表現のゲームへの応用 プレイヤ分析を使用したゲームデザインや動的レベルデザイン 職歴 日商岩井株式会社(現:双日)メディア事業部(現:ITX) 株式会社エムケイ 日商岩井での担当案件 オンライン通信対戦サービス 「X-BAND」(1995) 日商岩井での担当案件 3Dメタバース「Worlds Chat」(1996) https://archive.org/details/worldschatgold 株式会社エムケイでの担当作品 「太平洋の覇望」(1997)

4.

Unity導入により享受できたメリット     プロと同じ開発環境の体験 • 実践的な環境での制作経験が積める • 開発事例が多くオンライン上に技術情報が充実 産学連携や国際的な協業において共通の環境構築が容易 • 言語は異なってもツールが同じという安心感 Global Game Jam 最新事例の作品・研究への利用 • 作品や研究の最新事例が比較的容易に再現可能 研究アイデアの迅速な実装 • 提案手法やアルゴリズムをより早く実装し評価できる Playing Bauhaus (ドイツのハルツ大学とのプロジェクト)

5.

Unityを活用した実践的な制作演習

6.

東京工科大学が目指した人材  ゲーム教育が始まる以前のコンテンツ教育系教育から一貫 • 今のニーズへの対応以上に,将来のニーズを生み出す人材 •  •  基本は「制作経験」と「基礎技術力」+「学士力」 理系 開発力や技術的知識を持ち,ロジカルな思考ができる将来のプロデューサ/ ディレクタ 大学の理工系カリキュラムをマスターし,制作プロセスを理解し,開発経験も持つゼネラリスト 新たな表現や技術を生み出せる,イノベーティブなアーティスト,エンジニア 新しい制作手法や技術を取り入れて,開発現場に変革を与えられる人材 • 制作経験を有し,国際会議レベルの研究開発ができる人材 •

7.

実現するうえでの課題  ゲームは総合芸術であり総合技術,そのすべてを個人が高めるのは困難 • 大学は主に半期ごとの講義や演習 • ゲーム専門の学部でないため必修化が困難 •  制作経験を積ませることのむずかしさ 研究開発スキルを高めることと制作経験の両立のむずかしさ チームでの作業による制作経験と個人の研究開発力向上 • 実践的な開発環境(プロと同等の環境)での制作経験 • 当初はカリキュラムの工夫により対応 2010年頃よりUnityをはじめとしたゲームエンジン恩恵を得る

8.

ゲーム教育のフレームワークとコンセプト 1年 演習 講義 導入教育 2年 基礎演習 3年 4年 メディア専門演習 卒業研究 プログラミング プロジェクト演習(1年から3年までの一貫教育) 基礎教養科目 TGS GGJ 専門教育 ゲーム系講義 • • 短期開発プロジェクトや海外の大学とのプロジェクトは,共通の環境になりやすいUnityを利用 長期の開発プロジェクトでは各チームで企画に適した開発環境(ゲームエンジン含む)を選択

9.

プロジェクト演習  • 1年生から3年生を対象にした選抜制の長期演習 導入期(1年次) 前期:コンピュータを使わない「ゲーム」の根幹となるあそびのデザインと開発 • 後期:すべての学生がC#で3Dのゲームを作る • • 訓練期(2年次~3年次前期に合同開催,4年生,院生もアシスタントとして参加) • • チームを結成しオリジナルの作品を作る(3年の夏にTGSに出展) • ゲームプロジェクトの開発環境の選択は自由 • チームの規模は自由,ゲームとしては挑戦的なものを推奨 • 基本的に自発的に学習(教員はスーパーバイズ) 再確認・挑戦期(3年後期) • 獲得した開発スキルを活かし,海外の大学との共同開発やプロとのゲームジャムで,訓練期の失敗 のリベンジや新たな挑戦 ハードルを高く設定しているが,必修ではなく卒業に必要な単位ではないため 失敗しても糧にはなるが学業上のダメージは少ない 9

10.

実際に利用されている開発環境  • 開発環境 学生は企画に合わせて開発環境を自主選択 Microsoft Visual Studio,FK(独自ツール) • ゲームエンジン (Unity, Unreal Engine…) • Maya, 3dsMAX, Motion Builder, Adobe製品,Vicon8i Motion Capturing System •  FK 東京ゲームショウ出展ゲームでの開発環境の使用状況 2007 XNA 2008 1 UE Unity 他 3 3 2009 1 2 1 2010 5 2011 3 2 2 2012 4 2 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 1 3 5 4 5 4 5 5 7 6 3 1

11.

東京ゲームショウ出展     東京ゲームショウ出展ゲームの開発期間は10月~9月の約1年 6月頃よりオープンキャンパスで高校生向けに3回ロケーションテストを行う 初見プレイヤーが特別な説明なしでステージクリアできるよう心掛ける オンラインの2020年,2021年はCluster上で出展 井田真,三上浩司,脅威からの避難時における性格を考慮した群衆シミュレーション (映像表現・芸術科学フォーラム 2018 (Expressive Japan))2018.3 TGS2022出展 ロケテの様子 TGS2021バーチャル出展

12.

卒業研究・大学院研究におけるUnityの活用

13.

ゲームのさらなる発展のための研究  学部3年までの制作経験を土台にテーマを設定 • 新規性,有用性,信頼性を有する科学論文を執筆 •  • •  ゲーム開発における問題発見と問題解決 国内外の学会で発表 海外 • Siggraph,Siggraph Asia • 情報処理学会(EC,DCC),芸術科学会,日本デジタルゲーム学会 博士卒 Fernandez Henry君 (SIGGRAPH2016) 国内 独自の手法やアルゴリズムの実装にUnityを利用 博士卒 遠藤雅伸君 (NICOGRAPH International 2017)

14.

FULCutter(切り抜く感覚の提示)  • 物体を切り抜く力覚を提示するVRデバイスの開発 Unityには多彩なデバイスの制御事例が多い 古堅耕太朗,兼松祥央,三上浩司 「材質の違いを考慮した 切り抜いた感覚を与える力覚フィードバックデバイス」(イ ンタラクティブ発表),インタラクション2020

15.

Ogrone(浮遊感を与えるゲームデバイスの研究)   コントローラー操作に応じてドローンを制御し ユーザーに浮遊感を呈示する研究 ユーザーのゲーム体験を拡張 小黒由樹,兼松祥央,三上浩司「OGRone:マルチローターを 用いた浮遊感覚提示デバイスの開発」映像表現・芸術科学フォ ーラム(ポスター発表),2019.3.12

16.

まとめ  実践的な開発経験を積みやすい • ゲームの質やプロデュースに気を配ることができる •  ユーザーが多くインターネット上に情報が豊富にある 新たなデバイスや技術への対応が早い • 試行錯誤の集合知がネットに広がっている • 作品制作,研究開発の両面で価値がある •  プロが使用するツールを学生が自由に使える ゲームは集団でのモノづくり,サービスづくり ゲームに興味のある学生がUnityを通じて自発的に開発スキルを身に着ける • 様々なインタラクティブなコンテンツの研究に活用できる土壌ができる •

17.

Thank you @mkmtut mkmlab.net