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May 08, 18
スライド概要
講演者:京野 光平 a.k.a. ntny(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社)
小林 信行(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社)
こんな人におすすめ
・我儘を言われたくない3Dアーティスト
・我儘を言いたいアニメーション監督
受講者が得られる知見
・新しいワークフローの発見
・今後得るべきスキル
リアルタイム3Dコンテンツを制作・運用するための世界的にリードするプラットフォームである「Unity」の日本国内における販売、サポート、コミュニティ活動、研究開発、教育支援を行っています。ゲーム開発者からアーティスト、建築家、自動車デザイナー、映画製作者など、さまざまなクリエイターがUnityを使い想像力を発揮しています。
2018/05/08 監督だってアーティストだ! Unityで可能になった最後の手段を何発も打つ方法 京野光平 a.k.a. ntny Unity Technologies Japan
京野 光平 a.k.a. ntny Unity Technologies Japan Artist (株)FlightUNITで9年間コンシューマーゲームの開発に 携わり、その後Unity Technologies Japanに移籍。 主にユニティちゃんコンテンツを担当しつつ、Unityを 使いアーティスト視点で作例やTipsを提供中。 自著にローポリスーパーテクニック。 動画作りたい。 @nd_ntny
今回の話
Unityで可能になった新しい映像ワークフロー 現在と少し未来の話
現在はあるべき姿に無い。 • 要は今までめんどくさすぎた。 • 常に前後に人がいて、常に仕事を分担しないといけない。 • でも正直各担当への修正指示って割と精神削る。 • 結局最後の最後でどうにかする以外の道がなくなっていく。 (最後の最後でどうしようもなくなる事もめっちゃ多い)
現在はあるべき姿に無い。 • 要は今までめんどくさすぎた。 • 常に前後に人がいて、常に仕事を分担しないといけない。 • でも正直各担当への修正指示って割と精神削る。 • 結局最後の最後でどうにかする以外の道がなくなっていく。 (最後の最後でどうしようもなくなる事もめっちゃ多い) • そんなに何度もチェックして指示するくらいなら自分でやったほうが早くない?
というわけで
というわけで 監督こそUnityを習得すべきX個の理由
というわけで 監督こそUnityを習得すべきX個の理由 の前に
何故監督? • けものフレンズのたつき監督は今最もホットなクリエイターの一人。 • Twitter上で完全新作動画を公開し、後にそれがTV放送されるなど、その速度感や時代 性が現代に非常にマッチしている作家。 • まさに少数のジェネラリストで作品を作り自ら公開する流れの前線に居る方。
監督ってなんだっけ? • 監督というとなんか偉いっぽい。 • でも実はそんな特殊な立場でもない。 • 平たく言えば「作るべき作品を完成させる責任を持った立場」の人。 • 動画一本作ったならあなたは「監督」である。
いざジェネラリストへ • 因みにntnyさんもFlightUNIT時代にゲームのオープニングムービーを作ったり劇中 ムービーを作ったりしていた。 • 基本的に人が居ない。 (メルルのアトリエOPとか実質二人) • 仕方ないので自分でやらねばならなかった結果… とりあえず一通りできるようになった。
いざジェネラリストへ • 因みにntnyさんもFlightUNIT時代にゲームのオープニングムービーを作ったり劇中 ムービーを作ったりしていた。 • 基本的に人が居ない。 (メルルのアトリエOPとか実質二人) • 仕方ないので自分でやらねばならなかった結果… とりあえず一通りできるようになった。 確か俺 モデラーだったはず…
いざジェネラリストへ 一通りできるようになると何が起こる?
いざジェネラリストへ 一通りできるようになると何が起こる? 知らんのか、全部一人で作りたくなる。
ジェネラリストとは • 完パケまでの道が見える事。 • モデリングやアニメーション、撮影といった実作業を一通りこなせる事。 • これが出来るとワークフロー上のルールの数が減る。 • ルールの数が減るということはワークフローの柔軟性が上がるという事。 • ジェネラリスト同士であればこのルールの共有が出来る。 • 一人が一通りこなせるので多数である必要がない。
身近なジェネラリスト • 今最も身近で最も消費されている動画作品。 • 今最も少人数で最も時間をかけずに作る事を考えられた動画作品。
身近なジェネラリスト • 今最も身近で最も消費されている動画作品。 • 今最も少人数で最も時間をかけずに作る事を考えられた動画作品。 といえば?
Youtuber
Youtuberは現代版見えるラジオ • 5分~10分にコンテンツを凝縮 • カッティングを多用しテンポよく「耳だけでも楽しめる」コンテンツ • 画面を見なくてもよい、短い、頻繁にリリースされる • これらが多くの「暇じゃないのに暇な時間を潰したい」現代人に刺さった • Youtuberのコンテンツは短く、必ずしも視覚を必要としないため「消化できる機会」 が非常に多い 休み時間、移動時間、暇じゃないけど暇な時間。
だが実写(の変顔)はウz…
折角なら可愛い格好いいキャラクターによる だが実写(の変顔)はウz… コンテンツが見たい!
可愛いヤッター! Vtuber
Vtuberは「次回予告」の連続 • 「アニメの次回予告」と言われて出てくる物は人によって違うと思うが、 長年のアニメファンならば「次回予告の為に本編を見る」とまで言われた 「機動戦艦ナデシコ」の存在を忘れる事は出来まい。 • 次回予告が作品になっていたアニメはたくさんあるが、言うて次回予告は次回予告。 • それ単体で抜き出されてきたのが今のVtuberの形式の一つ。 • 「今回のあらすじ!」で分かる本編の内容と「次回もまた見ろよな!」で完結する ミニマムなキャラクターパッケージ。
Vtuberの監督は本人 勿論本人以外に監督が居ることもある
既に時代は変わり始めている • 短い動画がウケるのは暇じゃないけど暇な時間で消化できるから • フォーマットとしてのYoutuber/Vtuberは既に確立しつつある • 鳩羽つぐに至っては最早Vtuberの枠ではなく短編動画作品である • 少数のジェネラリストによる短い動画コンテンツ需要が高まる(既に高い) • しかしそれを達成するには今のワークフローでは無駄が大きすぎる。
リアルタイム化の流れ • 今のアニメ業界は人が多すぎて溢れているにも関わらず手が足りないという。 • それは現行のワークフローが成立しなくなってきているという事。 • 新しいワークフローを作る上で重要なポイントは コンテンツの在り方とチームの作り方。 • トライアンドエラーの敷居を下げる為のリアルタイム化。 • 今は好機である。 • 何故なら今まさに模索され、対話が進み、開発に動き出したところだから。
UnityJapanの映像への取り組み • 複数のアニメ制作スタジオとやり取りしながら必要な機能をリサーチし、時に開発のお 手伝いもする。 • 劇場クォリティへの挑戦。 • UnitychanToonShaderの開発。 • Alembic ImporterやUSD Importerの開発。 • Normal PainterやBlend Shape Editorといった最終兵器級のツール開発。 • Unityのみでの完結は重要視しない。 • 他の様々なツール群との連携を含め、柔軟なワークフローの開発にフォーカス。
Unityで映像制作?
Unityで映像制作!
次の時代の監督へ ジェネラリスト 監督こそUnityを習得すべきX個の理由 ただいま
1.監督チェックが要らない
監督チェックが要らない まぁ、自分ですし!!!!!
2.工程に前後が生まれない
工程に前後が生まれない • 前後が生まれないというのは並列作業が出来るという事。 • 修正や調整の指示を繰り返すよりも自分で作ってしまった方が早い。 • これは「絵コンテからの脱却」として講演したあにつく2017での話にもつながる。 • 絵コンテが設計図になってしまう理由の一つは沢山の人に可能な限りの共通ビジョンを 持ってもらう必要があるから。 • 絵コンテを使うのが自分(少数)だけならば、そもそも絵コンテの形を成す必要はない。
3.完璧にできる
完璧に出来る • 結局のところ自分の頭の中にある物を形にする上で自分以上に最適な人間は居ない。 • が、当然突出したエキスパートの仕事と比較すると、どうしても劣る部分が見える。 • しかして監督は常に自信を持っているべきである。 • 常に自分の作品を自分で評価し、次回に活かし続けるメンタルが必要。 • 幸いにして少人数である事と、サイクルの速さがこれを後押しする。 • 今回は完璧であるが、次回はより完璧であれ。
4.些細な部分にこそ手を入れられる
些細な部分にこそ手を入れられる • 従来のワークフローとの決定的な違いともいえる。 • やるのが自分である以上、自分が気になったところを直接弄れる。 • 弄れるとはいっても全部弄り始めたらキリがないのでは? • サクッとやれるならともかく。 • サクッと出来るんだなこれが。
彼こそが石橋神である 者ども平伏せィ! 彼
強力なツール群の紹介 • Normal Painter • あの手この手の方法で法線をいじくれるスーパーツール。 • 長年の苦しみから解放してくれる全てのアーティストの友。 • Blend Shape Editor(VertexTweaker) • Unity上でBlendShapeを追加したり編集したりできるスーパーツール。 • 0-100の壁を超えられないBlend Shapeの前に現れたマイティ・ソーみたいなやつ。 • Mesh Sync • 外部ツールと謎の力でリアルタイムにデータ連携するスーパーツール。 • モデラーの強き味方だったが最近ボーンにまで対応した(Blender)。ヤバイ。
Normal Painter 法線のペイント、回転、スケーリング 選択範囲によるマスキング 法線のミラーリング 法線の転写 法線と頂点カラーの相互変換 法線をテクスチャとしてエクスポート 法線マップを頂点の法線としてインポート .objやfbxファイルとしてエクスポート
Normal Painterの利点 • カット対応 • なんと言ってもコレ。 • その場でカットを見ながら直接法線を編集し、 それをそのカット専用に割り当てられる。 • 色んな方法での法線保持 • テクスチャや頂点カラーに焼き込んだり、 そこから読み込んだり出来る。
Blend Shape Builder Unity上でBlendShapeの編集 ターゲットの追加や削除 既存ターゲットの読み込みアセット化 その場で頂点を直接編集(VertexTweaker)
Blend Shape Builderの利点 • ノーマルモーフ • なんと言ってもコレ。 • ベースモデルの法線をBlendShapeTargetの法線に モーフィングさせる。 • 人によってはNormalPainter不要なのではまである。 • SkinnedMeshコンポーネントにBlendShapeを追加できる • 何気に標準機能では出来ないコレ。
編集しやすい構造にしておく • Normal PainterやBlend Shape Builderを使う使わないに関わらず! • TPK-Humanoid Unitychanシリーズの構造は割りとよかった。
Timeline
Timeline実際のとこどう? • 我々はAEに馴染みすぎたが、似て非なるものと理解して使うと実は結構イケてる。 • 冷静に考えてTimelineがあるからと言ってAEを捨てる必要はない。 • Timelineに関する新しい知見は明日(Day3) 森 俊之 による 「スクリプトによるTimelineがっつり拡張入門」が非常に面白い物になっているので 是非とも足を運んでみて頂きたい。
当初思ってたよりも面白い事になってきた • 今アニメはどんどん新しいスタイルが提案されてきている。 • 腰を据えず気軽に楽しみたい人たちへのコンテンツの提供。 • ユーザーのフットワークはどんどん軽くなるのに制作側のフットワークは重いままでは しょうがない。 • 昇ったり降りたり、進んだり戻ったりが簡単で、大元の修正からその場対応まで柔軟に 可能であるべき。 • 我儘言いたい人が、我儘を言うタイミングで、我儘を叶えられるワークフローが大事。 • 正直アーティストの我儘でしかないかなーと思っていたら、大分叶っちゃった。
最後の手段を最後に使うなんて誰が言った? • これはインフレであり、チートである。 • これまで最後にしか使えなかった手段は既に最後の手段ではなくなった。 • Unityで可能になった最後の手段を何発も打つ方法とは、 新しい技術や機能を監督自身が体系として取り入れる事。 • ジェネラリストへのクラスチェンジによって攻略できる未来は結構楽しそう。 • モデラーやモーションデザイナーからもクラスチェンジ出来る。 • こういったクラスチェンジ自体は古くから続いてきた物であるが、 今はそこにUnityというツールがある。
少数のジェネラリストがミニマムで高品質な作品を作りたい時 最早Unityがその選択肢から外れることはない。
Thank you for your time !