6 末梢神経系

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October 26, 23

スライド概要

末梢神経系に作用する薬剤

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「くすりのことをわかりやく、基本から臨床まで」 をモットーに、初学者向けの薬情報をまとめています。 資料は、薬剤師が作成しています

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各ページのテキスト
1.

6-1 末梢神経系 末梢神経系に作用する薬

2.

末梢神経系 ⾃律神経 中枢 臓器 遠⼼性神経 無意識的に働き、呼吸・循環・体温・消化など の⽣命活動の維持に関わる 交感神経 副交感神経 ON OFF アクセル‥“闘争か逃⾛か” ブレーキ‥“休養と栄養” 体性神経 感覚神経 運動神経 中枢 感覚受容器 求⼼性神経 受容器で捉えた感覚情報を脳に伝える 中枢 ⾻格筋 遠⼼性神経 ⼤脳からの運動指令を⾻格筋などへ伝える

3.

末梢神経系

4.

神経伝達物質と受容体 • ACh の受容体は、ニコチン受容体 とムスカリン受容体に⼤別される アセチルコリン ACh ニコチン 受容体 NN 神経節 NM ⾻格筋 特定の種類の受容体 ノルアドレナリン NA α1 標的 臓器 β1 β2 ムスカリン 受容体 M • NA の α 受容体と β 受容体に⼤別さ れる • さらに細かく分けられる→サブタイプ 標的臓器 β3 特定の臓器に存在 薬物によって受容体の選択性が異なる

5.

⾃律神経系の原則 ① ⾃律性⽀配 無意識(⾃律的に)標的器官を調 節する ② ⼆重⽀配 ⼀つの標的器官は、交感神経と 副交感神経の両⽅から⽀配される ③ 拮抗⽀配 同じ器官に対して、交感神経と 副交感神経は拮抗的に作⽤する (逆の作⽤) 原 則 交感神経 動け! NA β1 休め! M2 ACh 副交感神経

6.

ON OFF

7.

神経終末での情報伝達 刺 激 伝 導 NT, 神経伝達物質 合成 NT 再取り込み トランス ポーター シナプス⼩胞 ⾃⼰ 受容体 分解 分泌 酵素 受容体 刺激 受容体 細胞内反応

8.

神経系に作⽤する薬物の機序 神経の作⽤を 強める薬 刺 激 伝 導 NT, [5]再取り 神経伝達物質 合成 込み阻害薬 NT トランス ポーター シナプス⼩胞 ⾃⼰ 受容体 放出促進 [1]受容体 作動薬 再取り込み 分解 分泌 酵素 受容体 刺激 受容体 細胞内反応 [3]分解酵 素阻害薬

9.

神経終末での情報伝達 神経の作⽤を 弱める薬 [6]⾃⼰ 受容体作 動薬 刺 激 伝 導 NT, 神経伝達物質 合成 NT トランス ポーター シナプス⼩胞 ⾃⼰ 受容体 ⾃⼰受容体 ‥NT放出を抑制している 抑制系を作動させる =作⽤を弱める 分解 分泌 受容体 刺激 再取り込み 酵素 受容体 細胞内反応 [2]受容体 遮断薬

10.

6-2 自律神経による 臓器の調節 代表的な臓器で、自律神経による調節をみてみましょう

11.

β1 アドレナリン作動薬 抗アドレナリン薬 M2 抗コリン薬 コリン作動薬 ⼼収縮⼒↑、⼼拍数↑ ⼼収縮⼒↓、⼼拍数↓ ⼼ 臓 ⼼臓を動かすために使⽤ ⼼臓を休ませるために使⽤ →徐脈、⼼停⽌ 等 →虚⾎性⼼疾患、頻脈 等

12.

α1 アドレナリン作動薬 抗アドレナリン薬 M3 抗コリン薬 コリン作動薬 ⾎管収縮 ⾎管拡張 ⾎ 管 ⾎圧を上げたいとき →ショック 等 ⾎圧を下げたいとき →⾼⾎圧 等

13.

β2 アドレナリン作動薬 抗アドレナリン薬 M3 抗コリン薬 コリン作動薬 気 管 ⽀ 拡張 収縮 気管⽀平滑筋︓弛緩 気管⽀平滑筋︓収縮 (副作⽤反応) →気管⽀喘息, COPD 等 治療薬としては使わない ※β-ブロッカーの副作⽤ 気管⽀をひろげたい時

14.

α1 アドレナリン作動薬 瞳孔散⼤筋 眼 ︵ 瞳 孔 ︶ 抗アドレナリン薬 瞳孔散⼤筋 散瞳 散瞳 縮瞳 瞳孔散⼤筋︓収縮 瞳孔散⼤筋︓弛緩 散瞳させるために使⽤ →眼底検査 等 ※神経の⼆重⽀配の例外 β受容体︓眼房⽔産⽣ →眼圧を下げる働きがある →緑内障治療

15.

M3 抗コリン薬 瞳孔括約筋 眼 ︵ 瞳 孔 ︶ コリン作動薬 瞳孔括約筋 散瞳・眼圧上昇 縮瞳・眼圧低下 瞳孔括約筋︓弛緩 瞳孔括約筋︓収縮 散瞳させるために使⽤ →眼底検査 等 ※神経の⼆重⽀配の例外 縮瞳させるために使⽤ →緑内障 等 (隅⾓を広げて、眼圧を下げる)

16.

アドレナリン作動薬 抗アドレナリン薬 抗コリン薬 コリン作動薬 β3 排尿筋︓弛緩 排尿筋︓収縮 M3 α1 内尿道括約筋︓収縮 内尿道括約筋︓弛緩 M3 膀 胱 尿をためたい時 →頻尿 等 尿を出したい時 →排尿困難 等

17.

M3 アドレナリン作動薬 抗アドレナリン薬 抗コリン薬 コリン作動薬 消化管運動︓抑制 消化管運動︓促進 消 化 管 腸管の動きを⽌めたい時 腸管を動かしたい時 →疝痛(腸管収縮による痛み) →腸管⿇痺 等 ※副交感神経が優位

18.

6-3 自律神経に 作用する薬 薬効群別に、各臓器への作用をみていきましょう

19.

アドレナリン作動薬の薬理作⽤/どんな治療薬として使われているか︖ アドレナリン作動薬 ⼼臓 β1 ⼼収縮⼒↑ ⼼拍数↑ ⼼臓の働きを強くす るために使⽤ →強⼼作⽤ B-① アドレナリン ノルアドレナリン l-イソプレナリン ドパミン 気管⽀ β2 気管⽀平滑筋︓ 弛緩 気管⽀を拡げるた めに使⽤ →喘息, COPD 等 B-① サルブタモール プロカテロール サルメテロール 膀胱 β3 排尿筋︓弛緩 内尿道括約筋︓収縮 尿をためるために使 ⽤ →頻尿, 過活動膀胱 B-① ミラベグロン

20.

抗アドレナリン薬の薬理作⽤/どんな治療薬として使われているか︖ 抗アドレナリン薬 ⾎管 α1 ⼼臓 膀胱 β1 β3 α1 末梢⾎管拡張 排尿 排尿筋︓収縮 内尿道括約筋︓弛緩 ⾎圧を下げたいとき に使⽤ 尿を出したいときに 使⽤ B-② ドキサゾシン 他 B-② タムスロシン 他 →⾼⾎圧 等 →排尿困難・ 前⽴腺肥⼤ 等 ⼼収縮⼒↓ ⼼拍数↓ ⼼臓を休ませるため に使⽤ →不整脈, ⼼臓保護の 治療, ⾼⾎圧, 慢性⼼ 不全 等 B-② β遮断薬 アテノロール カルベジロール 他

21.

コリン作動薬の薬理作⽤/どんな治療薬として使われているか︖ コリン作動薬 眼 M3 膀胱 M3 腸管 M3 瞳孔括約筋 排尿 瞳孔括約筋︓収縮 縮瞳 眼圧低下 排尿筋︓収縮 内尿道括約筋︓弛緩 消化管運動︓亢進 眼圧を下げるために 使⽤ 尿を出したいときに 使⽤ 腸管を動かしたいと きに使⽤ C-① ピロカルピン 他 C-① ジスチグミン 他 C-① ネオスチグミン 他 →緑内障 (点眼) →排尿困難・ 前⽴腺肥⼤ 等 →腸管⿇痺, イレウス 等

22.

抗コリン薬の薬理作⽤/どんな治療薬として使われているか︖ 抗コリン薬 消化管 M3 膀胱 M3 分泌腺 唾液 胃酸 ‥ 消化管運動︓ 抑制 腸管の動きを⽌めた いときに使⽤ →疝痛(腸管収縮によ る痛み)・胆⽯ 等 C-② ブチルスコポラミン 他 排尿筋︓弛緩 内尿道括約筋︓収縮 消化液︓ 分泌抑制 尿をためるために使 ⽤ →尿失禁 胃酸を抑えるために 使⽤ →胃潰瘍治療薬 C-② オキシブチニン 他 胃酸を抑えるため・ 迷⾛神経反射を抑え るために使⽤ →⿇酔前投薬

23.

受容体の選択性が異なる=薬の効果が異なる アドレナリン α1 β1 β2 ノルアドレナリン α1 β1 末梢⾎管収縮 (局所)⽌⾎ ⼼収縮⼒の増強作⽤ →アナフィラキシーショック ⼼停⽌時の蘇⽣ 末梢動脈収縮作⽤ →急性低⾎圧ショック 末梢血管収縮させ 血流を回復させる β2

24.

別名 アドレナリン(エピネフリン) ボスミン 血管収縮薬 • α β 0.25mg , 5 , α 15

25.

別名 アドレナリン(エピネフリン) エピペン 患者さん向け説明︓ 血管収縮薬 アナフィラキシー反応を鎮める薬です α • β 0.15 mg or 0.3 mg , • • • • ,

26.

6-4 自律神経系作用薬 副作用の機序 薬効分別に、副作用の発生機序をみていきましょう

27.

⾃律神経系に作⽤する薬の副作⽤機序 β 受容体作動薬薬(β作動薬) 気管⽀ 気管⽀平滑筋︓ 弛緩 気管⽀を拡げるた めに使⽤ →喘息, COPD 等 主作⽤ ⼼臓 消化管 ⼼収縮⼒↑ ⼼拍数↑ 消化管運動抑制 胃酸分泌抑制 副作⽤ →循環器症状 動悸, 頻脈, 不整脈に注意 副作⽤ →消化器症状 胃部不快感 悪⼼・嘔吐 主作⽤以外の作⽤ 筋紡錘 筋紡錘︓ 振戦 副作⽤ →振戦 (⼿の震え 等)

28.

⾃律神経系に作⽤する薬の副作⽤機序 β 受容体遮断薬(βブロッカー) ⼼臓 眼 瞳孔散⼤筋 気管⽀ 収縮 筋紡錘 瞳孔散⼤筋︓弛緩 ⼼収縮⼒↓ ⼼拍数↓ ⼼臓を休ませるた めに使⽤ →虚⾎性⼼疾 患、頻脈 等 主作⽤ 縮瞳 眼圧降下 気管⽀平滑筋︓ 収縮 眼圧を下げるため 気管⽀喘息患者 に使⽤ には、 →緑内障 (点眼) 禁忌 主作⽤以外の作⽤ 筋紡錘︓ 抗振戦作⽤ 低⾎糖症状を 隠す可能性が ある

29.

⾃律神経系に作⽤する薬の副作⽤機序 抗コリン薬 気管⽀ 眼 膀胱 消化管 瞳孔括約筋 瞳孔括約筋︓弛緩 気管⽀平滑筋︓ 弛緩 散瞳 眼圧上昇 気管⽀を拡げるた 散瞳させる めに使⽤ →眼底検査 →喘息, COPD 等 閉塞隅⾓緑内障 →抗コリン薬禁忌 主作⽤ 蓄尿 排尿筋︓弛緩 内尿道括約筋︓収縮 消化管運動︓ 抑制 ⿇痺性イレウス 排尿困難者 (下部尿路障害) (腸管運動が抑制) →抗コリン薬禁忌 →抗コリン薬禁忌 副作⽤症状︓乏尿 主作⽤以外の作⽤ 副作⽤症状︓便秘

30.

⾃律神経系に作⽤する薬の副作⽤機序 抗コリン薬 分泌腺 ⼼臓 中枢 交感 神経 唾液 胃酸 ‥ ACh 記憶・学習・集中 消化液︓ 分泌抑制 副作⽤症状︓ ⼝渇 ⾷欲低下 汗腺 ⼼収縮⼒↑ ⼼拍数↑ 副作⽤症状︓ 動悸・頻脈 めまい ACh ⽋乏状態 ※BBB通過する場合 副作⽤症状︓ せん妄 認知機能障害 主作⽤以外の作⽤ 汗腺 発汗 発汗↓ 副作⽤症状︓ 発汗減少 ⽪膚⾼温

31.

抗コリン薬 抗コリン作⽤を持つ薬 【消化器】 鎮痙薬 胃炎・胃潰瘍治療薬 不整脈薬 抗ヒスタミン薬 睡眠薬 三環系抗うつ薬 抗精神病薬 総合感冒薬 酔い⽌め薬 【呼吸器】 気管⽀拡張薬 【泌尿器】 蓄尿障害治療薬 【⿇酔】 ⿇酔補助薬(前投薬) 抗コリン作⽤を持つ薬は多いため 注意が必要である