2-3 薬効の個人差

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October 26, 23

スライド概要

2-3 薬効の個人差
・小児
・高齢者
・妊娠

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「くすりのことをわかりやく、基本から臨床まで」 をモットーに、初学者向けの薬情報をまとめています。 資料は、薬剤師が作成しています

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各ページのテキスト
1.

2-3 薬効の個人差 薬効の個人差につながる要因

2.

2-3 薬効の個人差 -小児小児の薬物動態の特徴

3.

小児 は 小さい大人 ではない Children are not miniature adults. 小児は成人の縮小図ではない 薬物療法のポイント 量 質 小児の 薬用量 小児に 使える薬 ※小児に特有の副作用・投与禁忌に注意

4.

小児の薬物動態の特徴 身体が 成長過程 BBB が 未発達 薬物代謝 未熟 質 細胞外液 多い PK は成長に 薬物感受性 伴い変化する →高い 酵素ごとに 水溶性薬物 成熟度が違う →薄まる 骨発育に 影響する薬 →禁忌 薬物血中濃度 →上昇

5.

量 小児の薬用量 ①添付文書に記載されている薬用量 ②成人の薬用量から換算する 換算式は数種類ある ➢ Augsberger の式 体表面積に比例していると言われており、 臨床でもよく用いられる式 (体表面積は血液量と比例する) 小児量=成人量× (年齢×4+20)/100 ➢ von Harnack の換算表 未熟児 新生児 3ヶ月 6ヶ月 1歳 3歳 7.5歳 12歳 1/10 1/8 1/6 1/5 1/4 1/3 1/2 2/3

6.

小児と解熱鎮痛薬 ウイルス 疾患 急性脳症 インフルエンザ 水痘 サリチル酸系薬剤 (アスピリンなど) ジクロフェナク メフェナム酸 ライ症候群 インフルエンザ脳症 死亡率上昇 ウイルス性疾患後の急性脳症 “因果関係は不明” アセトアミノフェン

7.

補 足 小児に与薬する時の注意事項 水、白湯 飲 料 ミルク • ミルク嫌いの原因に なり得る • 薬物相互作用 ジュース 嬌 単シロップ 味 はちみつ 生後1歳未満に禁止 (乳児ボツリヌス症)

8.

2-3 薬効の個人差 - 高齢者 高齢者の体内動態の特徴

9.

高齢者の特徴 服用薬剤数が多い 感受性が高い 薬剤の副作用に要注意 ふらつき ・転倒 対策 物忘れ うつ せん妄 便秘 排尿障害 (例)ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬 必要最低限・少量から開始 (上限量あり)

10.

高齢者の特徴/体内動態 A 吸収 D 分布 M代謝 E 胃酸分泌↘️ 脂肪組織↑ :脂溶性蓄積 排泄 機能低下 機能低下 CYP 活性 腎血流量 胃腸管血流量↓ 水分量↓ 低下 減少 :水溶性濃縮 胃腸管運動↓ 血清アルブミン↓ :遊離型薬物↑ 薬物血中濃度↑ 薬物血中濃度↑ 薬剤の副作用に要注意 ※薬物が蓄積しやすく、副作用がでやすいので、注意

11.

2-3 薬効の個人差 -妊娠妊婦の体内動態の特徴

12.

妊娠と体内動態の変化 循環血漿量が著しく増加 →水溶性薬物の血中濃度減少 血中アルブミンが減少 →遊離型薬物が増加 心拍出量が増加 腎血流量が増加 →腎臓からの排泄が増加 胎児への薬物移行 妊娠時期と薬物の影響 胎盤を通過し、胎児へと移行する ・低分子量 移行しやすい ・脂溶性が高い薬物 等

13.

妊娠中の薬の使用 妊娠前から、妊娠中の薬物治療を検討する 児の健康な発育 胎児への悪影響 • 催奇形性 • 胎児毒性 母体の治療効果 母体の副作用 ベネ フィット リスク がん化学療法‥妊よう性(妊娠するため力)を損なうものもある →医療者との十分なコミュニケーションのうえ、妊よう性を考慮した治療を選択

14.

催奇形性 母親が使った薬 薬 父親が使った薬 放射線 ベースラインリスク 薬が リスクを 上昇させるか? 要因 あり 要因 なし 先天異常 自然発生 3%

15.

胎児毒性 胎児毒性が知られている代表的な薬 薬効分類 薬 効 胎児毒性 NSAIDs 解熱消炎 鎮痛薬 動脈管早期閉鎖、新生児遷延性肺 高血圧、 羊水過少 妊娠後期 降圧薬 胎児腎障害・無尿・羊水過少、肺 低形成、 Potter sequence 抗菌薬 歯牙の着色、エナメル質形成不全 抗菌薬 非可逆的第VIII脳神経障害、先天性 聴力障害 ACE 阻害薬 ARB テトラサイ クリン系 アミノグリ コシド系 Potter sequence ポッター症候群:両側の腎無形性や形成不全により羊水過少をきた し,肺低形成や四肢変形を生じる

16.

妊娠 週数 妊娠時期と薬の影響 母体の変化 胎児の変化 0 最終月経 4 月経予定日 (妊娠成立していない) 4 器官 形成期 8 15 16 All or None の法則* 絶対過敏期 相対過敏期 器官形成期・ 機能熟成期 潜在過敏期 40 出産 授乳 薬剤の影響 催奇形性が 問題となる 特に重要 な時期 胎児毒性、分娩への 影響が問題となる 薬物の母乳への移行 が問題となる *残留性のある薬物には注意が必要である:エトレチナート(角化症治療薬)、 乾燥弱毒生風しんワクチン、金チオリンゴ酸ナトリウム(関節リウマチ治療薬)

17.

胎児への影響について ⚫ ヒトを対象に調べることができない 妊婦・授乳婦は治験の対象外 ⚫ どのように調べているか? 動物実験からの推測 薬を使用している時に、後から 妊娠が判明した人の、相談事例の集積

18.

パートナーが妊娠する可能性のある男性 アザチオプリン 催奇形 性 サリドマイド リバビリン 胎児 毒性 ‥免疫抑制剤 ‥多発性骨髄種治療剤 ‥抗ウイルス剤(C型肝炎等) がん化学療法 男性が服用した薬が、胎児に影響することもある 投与中・投与後一定期間は信頼できる避妊法 等