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May 29, 23
スライド概要
2023/4/21に実施されたHololab Conference 2023のセッションスライドです。
■セッションアーカイブはこちら
https://youtube.com/playlist?list=PLcIuMEVR3eYfERlJDNtlGCdLKFFBjC9Ap
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■公式HP
https://hololab.co.jp/
■公式Twitter
https://twitter.com/HoloLabInc
BIMから3次元モデルを消してみたら、 意外に便利でした 大成建設株式会社 池上 晃司 株式会社ホロラボ 及部 敬雄 2023/4/21 HoloLab Conference 2023
プロジェクトメンバー 役割 メンバー プロダクトオーナー 池上 開発チーム 及部 佐藤 BIMサポート 梁河 宮崎
及部 敬雄 @TAKAKING22 株式会社ホロラボ >AECグループ>Silver Bullet Club AGILE-MONSTER.COM
池上 晃司(イケガミ コウジ)35歳 2012年日本大学大学院理工学研究科建築学を卒業。同年、大成建設株式会社入社。 その後、意匠設計として勤務し、2017年にBIM等の先端技術営業へ異動。 2018年より現在までプロダクトセンターでBIM・デジタルツイン推進担当として勤務し、 全社的なBIM・DX・サービスソリューションに携わる。 社外講義/執筆など ■講師|Building × IT EXPO 2021 秋:「「BIM×サービス」のデジタルツイン」 ■講師|XR Kaigi 2020:「建設業のBIMとxR」 ■講師|JPI (日本計画研究所 ) :「BIM・デジタルツイン」その取組みと今後の展開について ■講演|AutoDeskセミナー2019:「AIラウンドテーブル/AIセミナー」 ■講演|DEXPERIENCE EXECUTIVE FORUM JAPAN2019:「銀座バーチャルモデルについて」 ■雑誌|建築設備と配管工事 2021/8月号 「LifeCycleOS|運用BIMで建物の一生に寄り添う 執筆 ■雑誌|建設機械施工 2021/7月号「 BIMとDX 」執筆 ■雑誌|建設機械 2022/1月号「BIMの情報を連携させた建築のDX 生産とサービスソリューション」執筆 ■雑誌|建設機械施工 2020/7月号「エリアから始めるデジタルツイン」執筆 ■その他 大学/企業/行政での講義など 受賞歴など ■2021年|福岡国際建築コンペティション:入選(30億人の都市-デジタルとフィジカルにおける距離感の再構築) ■2021年|大成建設DXアイデア賞:優秀賞 ■2022年|大成建設設計本部技術アワード×2 ■2023年|TAISEIvision2030:社長賞(ISO19650取得関連)
大成建設
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 R2-BIMのご紹介 R2-BIMの技術 R2-BIMがどのように生まれたのか R2-BIMの未来
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 R2-BIMのご紹介 R2-BIMの技術 R2-BIMがどのように生まれたのか R2-BIMの未来
2024年問題 Photo by Ricardo Gomez Angel on Unsplash
建設業における2024年問題とは 2024年問題とは、日本の建設業界が直面する大規模な労働力 不足問題を指します。この問題は、団塊の世代が大量に退職する 2024年を中心に、若い労働者の流入が減少し、高齢化が進む 現状により、建設業界全体の労働力が激減することが懸念されて います。この労働力不足は、建設プロジェクトの遅延やコスト 増加に繋がる可能性があり、国内インフラの整備や維持に影響を 及ぼす恐れがあります。対策として、建設業界はデジタル技術の 導入や働き方改革を進め、生産性向上や若者の参入を促す 取り組みが求められています。 Via ChatGPT
DX(デジタルトランスフォーメーション) Image by Gerd Altmann from Pixabay
大量の紙
注目した課題 建設プロジェクトにおける設計図書や竣工図書など の多くは現在も紙で作成・運用されている 設計図書や竣工図書から必要な情報を読み取るのは 難しく、専門知識が必要である 建設業では労働力不足が大きな課題となっている
※今回のBIMに3Dモデルはでてきません
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 R2-BIMのご紹介 R2-BIMの技術 R2-BIMがどのように生まれたのか R2-BIMの未来
R2-BIM R2-BIMは、誰でも設計図書(データ)から必要な情報を 探すことができる「検索エンジン」です。 図面に関する専門的な知識がまだ備わっていない 新入社員や派遣社員のような新戦力人材でも 素早く必要な情報を取得、確認することができる Webベースのプロダクトです。
R2-BIMデモ https://bit.ly/3UQinZ6
部屋名や階から絞り込んで 部屋を検索することができる
選択した部屋に紐付いた 床、壁、天井、巾木の仕上げ情報を 一覧で確認できる
部屋の仕上げ情報と連携し、 材料の具体的な情報を確認できる
現状のBIM活用における課題 既存の紙・書類を データ(BIM)に変換する 紙・書類 BIM
現状のBIM活用における課題 変換したデータ(BIM)をどのように活用していくのか が課題だが、BIMによって建設業が高度化し、 BIMスキルを持っている人しか扱えなくなるという懸念 紙・書類 BIM
現状のBIM活用における課題 データ(BIM)をデータベースに入れ、 ユーザーにとって扱いやすい情報に 変換して提供する 紙・書類 BIM データ ベース ダッシュボード
再掲:注目した課題 建設プロジェクトにおける設計図書や竣工図書など の多くは現在も紙で作成・運用されている 設計図書や竣工図書から必要な情報を読み取るのは 難しく、専門知識が必要である 建設業では労働力不足が大きな課題となっている
ユーザーインタビューを実施 Kさん Iさん Kさん Tさん 入社3年目 入社5年目 入社9年目 入社10年目
ユーザーインタビューサマリー 設計図書、施工図書から必要な情報を検索するのに時間がかかっている 効率よく情報を検索できるようになるまでに半年から数年の経験を要する 部屋名を起点として情報を検索することが多い 図書を持ち歩くのは大変なので現場に持ち込むことはあまりしていない 電子データを持ち歩いているが検索しづらいのでほとんど利用していない 事務所に戻ってから図書を開いて検索している
なぜ新戦力人材がターゲットなのか 変化を起こしやすいところからはじめる 実際に問題を抱えているユーザーを対象にする 具体的な問題を解決しにいく
DXの火起こし Photo by Erick Zajac on Unsplash
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 R2-BIMのご紹介 R2-BIMの技術 R2-BIMがどのように生まれたのか R2-BIMの未来
システム構成図
システム構成図 ポイント1: データを自動反映する仕組み
ポイント1: データを自動反映する仕組み Autodesk Construction Cloud上の Revitファイルの更新を検知して、 自動でデータを取り込む 人の手を介さずに 常に最新の情報がユーザーに届くようになる
システム構成図 ポイント2: SQL Databaseにデータを貯める
ポイント2: SQL Databaseにデータを貯める Forge APIを利用して BIMのプロパティ情報をSQL Databaseに 貯める仕組みになっている Revitで自動発行されるIDをもとに 他のデータソースと紐付けるための下準備
システム構成図 ポイント3: 疎結合なシステム構成
ポイント3: 疎結合なシステム構成 R2-BIMで選択した技術 • • インプット:Forge(BIM) アウトプット:Power BI 必要に応じてインプットやアウトプットを 増やしたり変更することを見越して、 疎結合な構成にしている
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 R2-BIMのご紹介 R2-BIMの技術 R2-BIMがどのように生まれたのか R2-BIMの未来
R2-BIMでやったこと アジャイル開発 スクラム モブプログラミング ユーザーインタビュー
R2-BIMがどのように生まれたのか 1. 初手、デモ 2. 直接会話する 3. 共に考え、共に作る
初手、デモ
プロジェクトのスケジュール
初手、デモ プロジェクトの話をいただいて、 最初の打ち合わせにデモを持っていった デモで実現できたこと、実現できそうなことを ベースに最初から具体的な話をすることができた
動くプロダクトをベースにする 最初から最後まで動いているプロダクトをベースに プロジェクトを進めることができた コミュニケーションが空中戦になりにくい インクリメント(機能差分)に集中することができる 1week 1week デモ スプリント レビュー 1week スプリント レビュー 1week ・・・ プロジェクト 終了
直接会話する エンジニアが直接顧客(プロダクトオーナー)と 会話をしてプロジェクトを進めていった 契約から要件定義から検収まで
共に考え、共につくる 集まって一緒に考えてつくる時間を多かった • • インセプションデッキ ユーザーインタビュー • • 業務分析 プロダクトバックログ更新
うまくいかないパタン
うまくいかないパタン 壁 壁 壁 壁 壁 壁 壁
「問題 vs 私たち」の構図にする
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 R2-BIMのご紹介 R2-BIMの技術 R2-BIMがどのように生まれたのか R2-BIMの未来
DXの火起こし Photo by Erick Zajac on Unsplash
火を拡げていく Photo by Benjamin DeYoung on Unsplash
用途、フェーズなどによって 情報ソースが各所に散らばっている 書類 BIM 別のシステム IoTデバイス
必要な情報を集めるために 複数の情報ソースに当たらなければならず 業務コストが大きくなってしまっている 書類 BIM 別のシステム IoTデバイス
R2-BIMによって BIMデータがデータベースにたまり、 ダッシュボードが提供された 書類 BIM 別のシステム IoTデバイス データ ベース
データベースに入っているデータと 他の情報ソースをIDで紐付けて データベースに集約していく 書類 BIM 別のシステム IoTデバイス データ ベース
集約されたデータを用いて、 必要な人に、必要なタイミング、必要な形式で ソリューションを提供できるようになる 書類 BIM 別のシステム IoTデバイス データ ベース
BIM運用に対するフィードバック 番号 カテゴリ 課題 モデル 現状 対応策 1 建具 建具表の配置場所が部屋名と合っていない BML 建具のプロパティ(建具 取付場所)にテキストで ⼿⼊⼒している Revit側の操作で建具に部屋名のプロパティを参照する事は出来ないが、 プラグインでドアの作成及び更新時に、⾃動で⼊⼒する事は可能 2 建具 建具表の階数が実際のデータと合っていない BML 建具のプロパティ(建具階数グループ)にテキストで ⼿⼊⼒している Revit側の操作でレベル名(階数)を参照する事は出来ないが プラグインで⾃動⼊⼒する事は可能 3 部屋 プロパティの⼊⼒ルールがない 共通 ⼿⼊⼒による表記揺れやタイプミスが多い BIM及びプロパティの⼊⼒ルールの策定 4 部屋 複数のプロパティを⼀つのセルに⼊⼒している BML 建具の取付場所が複数ある場合に『男⼦トイレ1,2』の様に⼊⼒ データのリレーションをする為には複数の値が⼊る際には複数のプロパティを⽤意 しているのでデータのリレーションができない状態になってい するかデータ取得の際に複数データは必ずカンマで繋ぐ等のルールを作成する る 5 部屋 BIMデータを利活⽤できる形になっていない 共通 図⾯の為のデータが前提となっている為、 データとして活⽤しにくい形になってる BIM及びプロパティの⼊⼒ルールの策定 6 部屋 BIM⼊⼒ルールの表記揺れ 共通 複数のプロパティを⼊れる際のルールが 決められていない(+や、が混在してる) 複数のプロパティを⼊れる時にはコンマ繋ぎにする等の⼊⼒ルルを作る 7 部屋 プロパティ(パラメータ)の⼿⼊⼒ BML 表記揺れ、半⾓/全⾓スペースなど ヒューマンエラーが多い ダッシュボードで表⽰するデータは全て⼿⼊⼒は避けて プラグインでの⾃動⼊⼒とする 8 部屋 プロジェクトによってプロパティと⼊⼒項⽬が異なる 共通 部屋の仕上げ情報がプロジェクトによってプロパティの種類と Revitテンプレートを⼀つに絞った上でBIM作成ルールを定める ⼊⼒項⽬や⼊⼒ルール(複数の値)が異なっている 9 建具 From/to Roomに値が⼊らない建具(窓、ドア)がある 10 建具 建具に未⼊⼒のパラメータが複数ある 11 シート シートのプロパティと部屋を紐づける事ができない KANSAI ⼀部の建具には所属している部屋の値が ⼊らない事がある 複数の部屋や部屋の⾼さを超えて配置される建具には所属してる部屋の値は⼊らな いのでプラグインや⼿作業で対応が必要 BML 建具の建具番号や建具種類といったパラメータが未⼊⼒のまま データが納品されているので、BIで表⽰したい時にデータとし BIMデータ⼊⼒の仕様を作成し、それに沿ってモデルを作成する て使えない BML 部屋に対してシート⽤のプロパティを追加する事はできるが部屋情報は複数のシー シートのプロパティと直接、部屋が紐づける事がRevitの機能上 トに記載されるので単純なプロパティ追加だけでは解決できないので今後、検討が できない 必要
BIM運用に対するフィードバック プロジェクトを通して見えてきた 現状のBIM運用へのフィードバックを貯めていった これらをもとに運用の整備、ルール化、 プラグインの開発などを進めることで BIMの利活用につなげることができる
R2-BIMの未来まとめ BIMからインポートしたデータと 他のデータソースをIDで紐付けて クラウドに集約していく BIM運用に対するフィードバックをもとに BIMの利活用に向けた整備を進めていく
R2-BIMの未来まとめ BIMからインポートしたデータと 他のデータソースをIDで紐付けて クラウドに集約していく BIM運用に対するフィードバックをもとに BIMの利活用に向けた整備を進めていく これらをベースにさらなる大きな変化につなげる
まとめ
池上からのメッセージ 辞書みたいな本があふれる建設業界を大きく変える可能性を秘めた ソリューションになったと思います。 「図面を詳細な3Dにする/3Dを図面化する」といったことにはあまり興味が わきませんでした。 サポートロボットと一緒に働くようなSF映画の世界に近づくために、 建設業界ができることは・・・? とずっと考えていました。 「建物」をデータで定義しなければ、AIやシステムは「建物」を理解できません。 カメラやスキャンではわからない「人間が決めた情報」をデータにできるのが BIMの最大の利点です。 今後の社会で最も重要で大きな可能性を秘めているBIMで、 建設業界が様々な業界とつなあることを次の目標にしていきたいと思います。
及部からのメッセージ イシューからはじめよ 今回のプロジェクトを通して、 誰のどのような問題を解決するのか、を考えていくことが重要であることは、 Webも製造業も建設業も変わらないことがわかった。 どのような変化を起こしたいのか 紙をBIMにすること(デジタル化)は目的ではなく手段に過ぎない。 まずはBIMをつくろうというアプローチだけではなく、 自分たちの仕事をどのように変化させたいのかを設計し、 そのために必要なBIMやデータを集めていくというアプローチの両輪をまわしていく。