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May 16, 24
スライド概要
2024/4/18に実施されたHololab Conference 2024のセッションスライドです。
■セッションアーカイブはこちら
https://www.youtube.com/playlist?list=PLcIuMEVR3eYegP17SKG_UPgERmmGStEr_
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■公式HP
https://hololab.co.jp/
■公式Twitter
https://twitter.com/HoloLabInc
BIMから3次元モデルを消してみたら 意外に便利だったR2-BIMが AIによってさらに便利になりました 大成建設株式会社 池上 晃司 株式会社ホロラボ 及部 敬雄
チームメンバー 役割 メンバー プロダクトオーナー 池上 開発者 及部 佐藤 宮崎
池上 晃司(イケガミ コウジ)36歳 デジタルマネージャー/データビジネスストラジスト 2012年日本大学大学院理工学研究科建築学を卒業。同年、大成建設株式会社入社。 意匠設計として勤務し、2017年にBIM等の先端技術営業へ異動。 2018年より現在までBIM・デジタルツイン推進担当として勤務し、 全社的なBIM・DX・サービスソリューションに携わる。 2024年社長室DX戦略部を兼務。 社外講義/執筆など ■講師|Building × IT EXPO 2021 秋:「「BIM×サービス」のデジタルツイン」 ■講師|XR Kaigi 2020:「建設業のBIMとxR」 ■講師|JPI (日本計画研究所 ) :「BIM・デジタルツイン」その取組みと今後の展開について ■講演|AutoDeskセミナー2019:「AIラウンドテーブル/AIセミナー」 ■講演|DEXPERIENCE EXECUTIVE FORUM JAPAN2019:「銀座バーチャルモデルについて」 ■雑誌|建築設備と配管工事 2021/8月号 「LifeCycleOS|運用BIMで建物の一生に寄り添う 執筆 ■雑誌|建設機械施工 2021/7月号「 BIMとDX 」執筆 ■雑誌|建設機械 2022/1月号「BIMの情報を連携させた建築のDX 生産とサービスソリューション」執筆 ■雑誌|建設機械施工 2020/7月号「エリアから始めるデジタルツイン」執筆 ■その他 大学/企業/行政での講義など 受賞歴など ■2021年|福岡国際建築コンペティション:入選(30億人の都市-デジタルとフィジカルにおける距離感の再構築) ■2021年|大成建設DXアイデア賞:優秀賞 ■2022年|大成建設設計本部技術アワード×2 ■2023年|TAISEIvision2030:社長賞(ISO19650の取得にて) ■2024年|大成建設設計本部技術アワード得関連)
大成建設
及部 敬雄 @TAKAKING22 株式会社ホロラボ AECグループグループリード Silver Bullet Club AGILE-MONSTER.COM
17:00〜 HallA
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 C3-BIM C3-BIMの技術 建設業とC3-BIMの未来 最後に
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 C3-BIM C3-BIMの技術 建設業とC3-BIMの未来 最後に
2024年問題 Photo by Ricardo Gomez Angel on Unsplash
建設業が抱える社会課題 ⚫ 大量離職問題 高齢化によって技能者が2025年までに100万人規模で離職してし まうと警鐘が鳴らされている。 生産性向上 ⚫ なり手の減少 3K(きつい・汚い・危険)のイメージや他業種の労働環境との 比較で、技能者の離職者が増えると共に入職者も減少している。 ⚫ 労働時間の抑制 働き方改革関連法が施行され、建設業は2024年4月に猶予期限を 迎えたため、時間外労働時間が上限が規制される。 労働環境改善
DX(デジタルトランスフォーメーション) Image by Gerd Altmann from Pixabay
大量の紙
注目した課題 ⚫ 建設プロジェクトにおける設計図書や竣工図書など の多くは現在も紙で作成・運用されている ⚫ 設計図書や竣工図書から必要な情報を読み取るのは 難しく、専門知識が必要である ⚫ 建設業では労働力不足が大きな課題となっている
2023年に実施したプロジェクト https://www.docswell.com/s/HoloLab/ZM1LXX-holoconf23_b6 https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2023/230711_9589.html
R2-BIM R2-BIMは、誰でも設計図書(データ)から必要な情報を 探すことができる「検索エンジン」です。 図面に関する専門的な知識がまだ備わっていない 新入社員や派遣社員のような新戦力人材でも 素早く必要な情報を取得、確認することができる Webベースのプロダクトです。
現状のBIM活用における課題 ⚫ 変換したBIMデータを活用しきれていない ⚫ BIMを扱うためのスキルを持っている人が限られている ⚫ 従業員に貸与されている標準的なPCのスペックでは BIMソフトを扱うことが難しい 紙・書類 BIM
R2-BIMの位置付け ⚫ BIMデータの更新を自動検知し、常に最新の情報を反映 ⚫ ダッシュボード(PowerBI)から簡単に情報を取得可能 ⚫ PowerBIレポートなのでiPadからでも閲覧可能 紙・書類 BIM データベース ダッシュボード
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2023/230711_9589.html
2023年に同時期に世間を賑わせた
meets ?
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 C3-BIM C3-BIMの技術 建設業とC3-BIMの未来 最後に
質問入力フォーム 担当している案件についての質問をする。 ex. この案件の2階にある部屋の仕上げを教えて下 さい 投稿した質問 ユーザーが投稿した質問の内容を表示する。 最近された質問 他のユーザーが投稿した質問も含めて、過去の質 問の履歴を表示する。
AIからの回答 質問に対して、AI(GPT-4)で解析したBIMデータからの 回答を表示する。 BIMデータが関連する場合は、部屋や仕上げの情報につい て回答する。BIMデータが関連しない場合は、一般的な回 答と合わせて「この回答にはBIMから情報を見つけられな かったため、BIMの情報を使用していません」と表示する。 関連する部屋の情報 AIからの回答に関連した部屋名を表示する。 部屋名をクリックすると該当の部屋で検索されたR2-BIM のページへ遷移する。
関連性が高い文書 AI(GPT-4)からの回答の情報を元に、それぞれの項目 の関連度が高い文書を検索し結果を表示する。それぞれ の結果をクリックすると、該当の情報にアクセスできる。 【社外】 ・公共建築工事標準仕様書(令和4年版) ・日建連に掲載されている事例集 【社内】 ・契約図 特記仕様書 ・社内指針(社内の技術資料)
C3-BIM C3-BIMは、誰でも設計図書(データ)や社内外の文書から 必要な情報を探すことができる「検索エンジン」です。 図面に関する専門的な知識が備わっていない、 かつ業務情報が社内のどこにあるのかわからない 新入社員や派遣社員のような新戦力人材でも 素早く必要な情報を取得、確認することができる Webベースのプロダクトです。
業務経験者にインタビューを実施 情報の検索における課題を把握するために業務経験豊富な方に業務に関するインタビューを実施 Hさん(30代) Mさん(50代) Hさん(60代) Jさん(50代) 現場支援業務 意匠設計、品質管理 現場責任者、経営計 画、組織責任者 設計品質管理
インタビューから得られた業務情報収集における課題 ⚫ 業務情報の散在 情報検索の手段やデータソースが多岐にわたり(紙、社内システム、社外Web、 ファイル、人)、情報の取得に手間がかかっている。 ⚫ 必要な業務の散在 業務の経験が浅い場合、取得するべき情報の存在に気付かない・知らないことがあり、 必要な業務が遂行されない。 ⚫ 属人化 各分野・用途の専門の経験豊富な人に依存して情報にアクセスしている。 情報をスムーズに取得できるようになるため、10から15年の長期にわたる経験や現場で の実践が求められる
ダッシュボード データベース R2-BIMの仕組みによってBIMの更新を検知し、 自動でデータベースにBIM情報を取り込む BIM
社内システム 質問 データベース 解析結果 ユーザーの質問文+質問に関連するBIM 情報を元に、社内外の情報ソースから解 析結果を収集し、表示する プロジェクト固有情報 (ファイル) BIM 社外関連情報 (ファイル)
対応した文書データ 契約図 特記仕様書 公共建築工事標準仕様書 社内技術資料 日建連事例集
社内システム 質問 データベース 解析結果 『OpenAI +ユーザーの質問文+質問に関連するBIM データ』の破壊力 プロジェクト固有情報 (ファイル) 文面作成 関連度解析 社外関連情報 (ファイル) 要約 情報を元に、社内外の情報ソースから解 析結果を収集し、表示する データベース(BIM) 社内外の文書データ BIM
インタビューから得られた業務情報収集における課題 ⚫ 業務情報の散在 →BIMと関連付けて社内外の業務情報を集約できる →AIを活用することで、今あるデータ形式のままで関連情報を解析することができる ⚫ 必要な業務の散在 →関連情報を横断検索することで必要な情報を見つけやすくなる →他ユーザーの質問と解析結果を閲覧でき、必要な情報に気づく機会を得られる ⚫ 属人化 →業務経験や高度なITスキルがなくても検索することができれば情報収集することができる →業務情報をシステムに集約していくことで属人化を軽減していくことができる
C3-BIMまとめ C3-BIMはプロジェクトの設計情報(BIMデータ)をベースに、 どこに置いてあるかわからない文書や資料の情報を集約し、AIによる解析を行い、 知りたい情報を横断的に検索することができる。 対象となる文書はプロジェクト固有の情報や社内の技術資料、社内外のノウハウが 含まれる。 専門的な知識がまだ備わっていない新戦力人材でもスムーズに必要 な情報を取得することができる
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 C3-BIM C3-BIMの技術 建設業とC3-BIMの未来 最後に
参考:システム構成図
システムイメージ
システムイメージ クラウド上のBIMデータの更新を検知し、 データベースを自動更新し、 ダッシュボード(PowerBIレポート)から 常に最新のBIM情報を確認することができる
システムイメージ ①ユーザーが質問を投稿する
システムイメージ ②OpenAI(GPT-4)を活 用し、BIMデータから質 問文に関連した情報を抽 出する
システムイメージ ③OpenAI(GPT-4)を活用し、 質問文+BIMから抽出した情報を もとに各文書データから 関連度が高い情報を取得する
システムイメージ
Azure AI Searchのベクトル検索 ⚫ ベクトル化:あらかじめ検索対象となる文書データの内 容を数値的なベクトルに変換しておく ⚫ 類似度の計算:投稿された質問文も同様にベクトル化し、 類似度を計算する ⚫ ランキング:類似度スコアに基づいて関連性の高い検索 結果を返す
PDF解析について ⚫ PDF以外にText、Excel、Word、PowerPoint、CSVなどの ファイル形式を解析対象にすることが可能 ⚫ 現在PDF解析はテキスト抽出を行った上で、 解析をかけている(次ページ)
契約図 特記仕様書のフォーマット … … … … 1 2 3 4 標準的な処理では、文書の構造(4段組み) を無視してテキスト抽出してしまう。 この状態では、日本語としてのまとまりがな いので適切な解析処理をかけられない。 解析前に前処理として4段組みであることを プログラムとして認識させておくことで、 赤枠ごとにテキスト抽出をして、 日本語としてのまとまりをもった状態で解析 処理をかけられるようにする。
LangChain Agentの活用 ⚫ 言語モデルに渡されたツールを 用いて、モデル自体が「次にどのよ うなアクションをとるか」を決定し、 実行し、観測し、完了するまでを 繰り返す機能 ⚫ ユーザーからの質問文をもとに プロンプトを作成し、その中で ツールを指定することで 固有のプロジェクト情報 (BIMデータ)をベースにした 回答を作成する
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 C3-BIM C3-BIMの技術 建設業とC3-BIMの未来 最後に
ここが変だよ建設業 ⚫ 紙の設計図書がAI活用最大の敵 ⚫ 独特の資料構成 • 特記仕様書の4段組み • 凡例が別ページ ⚫ 幅広い年齢層 • ソフトウェアやAIを使う人・使おうとしない人 ⚫ 幅広い関連分野 • 環境、エネルギー、防災、法律 • 家具からトンネルまで
ここがすごいよ建設業 ⚫ プロジェクトの予算規模が大きい ⚫ 関与人口が多いかつプロジェクト参画人数が多い ⚫ 防災・エネルギー・観光・宇宙分野にもつながる ⚫ 建設業の抱える問題が解決できれば社会に与えるインパ クトは大きい
C3-BIMの未来 ⚫ データソースの集約 社内外の文書、社内システムなどデータソースを増やせばさらに便利になる。 ⚫ AIの進化 表や画像や動画の解析ができるようになればさらに多くの情報を集めることができる。 パフォーマンスが上がることでユーザー体験も向上する。 ⚫ データ・ログの活用 プロダクトが利用されることで溜まったデータやログを活用することで、 質問のレコメンドや業務分析に活用することができる。 会社の仕組みとして活用し続けていくことが重要
AI活用の課題 ⚫ 二極化 仕事ができる人はAIを活用して業務を効率化しより生産的に、 (現時点で)仕事ができない人はなにをプロンプトに入れたらよいのかわからないので AIを活用することを諦めてしまう。 ⚫ 海外プラットフォーマーへの依存 表や画像や動画の解析ができるようになればさらに多くの情報を集めることができる。
C3-BIMの方向性 システム データ 文書 プロンプト システム IoT
C3-BIMの方向性 ここを頑張らせるのではなく、 システム データ 文書 プロンプト システム IoT
ここに業務知識 を溜めて、 仕組みで解決で きることを増や していく C3-BIMの方向性 システム データ 文書 プロンプト システム IoT
Phase1 Phase2 デジタイゼーション デジタライゼーション アナログ・物理データの デジタルデータ化 個別の業務・製造プロセスの デジタル化 Phase3 デジタルトランス フォーメーション 組織横断・全体の業務を変革し 価値創出につなげる 設計図書→BIM 文書データ 紙・スペック・経験からの解放
今日のアジェンダ プロジェクトの背景 C3-BIM C3-BIMの技術 建設業とC3-BIMの未来 最後に
及部からのメッセージ 現場DXは一休さん状態であることが多い 「データがあればこんなことができますよ!さあデータを出してください」 業務とデータをどうやってつなぐのか 空間情報をAIは業務とデータをつなぐ橋のひとつ。 小さな問題解決からはじめ、データを溜めていくDXジャーニー。 空間情報 業務 AI データ
池上からのメッセージ 建設は一品生産でありまだまだAIと一緒に働けているとは言えません。 さらに様々な職種がありたくさんの人が従事します。その方々がスムー ズに情報を取得できて、適正なアドバイスが受けられれば本当の働き方 改革が実現すると思います。 新人や建設分野以外の人をいかにスムーズに受け入れて活躍してもらえ る環境を創れるかが、建設の未来のキーと私は考えます。 BIMをこのような思想でこれからも使っていきたいです。