2024スクフェス新潟登壇資料 「ピンチを抱擁セヨ、逆境に強い組織を目指して」

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May 12, 24

スライド概要

2024/5/10-11 新潟で行われた スクラムフェス新潟の登壇資料です。

ピンチを抱擁セヨ、逆境に強い組織を目指して。 〜 環状島モデル、PTMF、認知ワクチン 〜

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妻の批判はアドバイスをモットーとする 認定スクラムマスター(CSM)ブリーフセラピスト。 世のため人のため人間らしい知性を宿した組織とは何かを探究しています。 老後は猫の置物を作ったり、歴史モノをかいたりできればと思っています。内容は所属・関連する組織とは一切関係ありません。

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

ほうよう ピンチを抱擁セヨ、逆境に強い 組織を目指して。 〜 環状島モデル、PTMF、認知ワクチン 〜 2024/5/11 @warumonogakari / かとうひろし

2.

はい、みなさん、こんにちはー 本日はお集りいただき どうもありがとうござ います。

3.

はじめに このセッションでは予告なく我が家の猫の写真が 出てくることがあります ご承知おきください

4.

はじめに ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ トラウマという言葉を扱います。 過去とても辛い経験をされたことがある方は、 ご無理ならさずに 必ずしも精神医療・臨床心理の専門家ではない ので正確性を欠く部分もあるかと思います ご了承ください。

5.

ところで、おまえ誰よ? わたしは 「かとう」といいます。 あとでこの資料公開。簡単な履歴っぽいものも末尾に。 • • • • • 愛知県の某精密メーカー勤務 Network firmware設計のことなら何でも 製品品質・お客さんのクレーム対応から設備の点検まで何でもやる課 妻 公認心理師・臨床心理士(スクールカウンセラー) 老後は猫や妖の置物を作ったり、歴史モノをかいたりできればと思います 50過ぎのその辺の気の弱いおっさん エラクないので、本日お話する内容は所属・ 関連する組織とは一切関係ありません。

6.

ちょっと唐突ですが トラウマって言葉、知っていますか?

7.

トラウマとは 元々ギリシャ語の「τρᾶυμα」に由来 ⚫ ギリシャ語では「傷」や「怪我」という意味 ⚫ これが転じて「心の傷」に ⚫ 自分の対処能力を超えた出来事を体験したり見 たりした時、その体験がトラウマ体験になると 言われている ⚫

8.

意外と身近なトラウマ 美味しいカレーパンを買えなかった話

9.

意外と身近なトラウマ 美味しいカレーパンを買えなかった話 行列で並んでいたら、 目の前で前のおばちゃんが

10.

意外と身近なトラウマ 美味しいカレーパンを買えなかった話 失われたカレーパンを思ひ出して

11.

意外と身近なトラウマ 美味しいカレーパンを買えなかった話 失われたカレーパンを思ひ出して

12.

3日後 パン屋さんの前の行列で並んでいたら

13.

再び目の前で、前のおばちゃんが

14.

再び目の前で、前のおばちゃんが もうパン屋の前に並びたくなる体験

15.

ところで

16.

環状島とは 引用:https://core.ac.uk/download/ pdf/234600095.pdf 精神科医宮地尚子先生が提唱 ⚫ 「トラウマの語り」が持つ構造のこと ⚫ ⚫ トラウマをめぐるさまざまな関係性を 表したメタファー

17.

環状島とは 中心に近くほどトラウマの核心(当事者) 縦軸が「声」の大きさ 引用:宮地尚子『トラウマ』岩波新書

18.

これってつまり

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身近にいる支援者は 心配だー合唱団に陥りやすい

20.

中心にいる人たちは声が小さくなり

21.

中心にいる人たちはやがてダンマリに

22.

後に残るは ヤギさんと、つらい記憶。。

23.

苦難を与えた当人は既にどこに行っている、 もしくは自覚がない

24.

ここで、事例

25.

事例 〜実際にありそうな話だけどフィクションだよ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 〜 IoT機器、ただ 歴史的な理由で通信経路はE-mail 認証は いわゆるBasic Authentication 静止画像もやり取り 従来は超大手クラウドサービスに接続可能 超大手クラウド2社、Legacy Authentication、 (Basic Authentication)やめると告知 今後は Modern Authentication で認証・認可 (※スライド数値省略)影響の可能性ある台数、 とても大規模

26.

当然、心配だーの合唱が

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厄介なのは 最初は、状況説明のため呼び出し、応対できても

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あっという間に手がまわらなくなる

29.

大きなカエルさんも出現(しかもバラバラと)

30.

どうのこうのやっているうちに対応したい 貴重な時間が去っていく 相手は超大手、しかも交渉できる余地もない正義 対応するにしても開発時間が お届けするにしても全部が全部にどうやって?

31.

このまま行くと。。今回も。。

32.

はて? ここでちょっと思い浮かべた

33.

うまいとらえ直しはできないものか

34.

カチカチの岩石島のように受け止めるのでは なく トランポリンのように柔らかく

35.

サッカーの流行の戦術でいえば 引用:https://www.minato.in/blog/post-10885/ ゲーゲンプレスのように

36.

37.

まずはセオリーどおりに リアクション(だけ) 受け取りましたの応答 問い合わせ わたしたちの 身になにが起 こった? 最悪何が起こ る? 影響範囲は? 誰を含めるか? 起こったこと・進め方 引き出しに関する問い 誰が助けにな りそう? ふりかえり 初回ふり かえり 活動

38.

ちょっとだけ、時間をかせぐ 少しでも時間を味方に 最初の応答は1日以内に(応答のみ、できたら切 迫感は聴く、感想は言わない・評価は下さない)

39.

リソースをさがす リアクション(だけ) 受け取りましたの応答 問い合わせ わたしたちの 身になにが起 こった? 最悪何が起こ る? 影響範囲は? 誰を含めるか? 起こったこと・進め方 引き出しに関する問い 誰が助けにな りそう? ふりかえり ふりかえり 初回ふり かえり 活動 別の専門家も参加 活動 本図は文献[3][4]を参考

40.

状況に応じてメンバ交代 リアクション(だけ) 受け取りましたの応答 問い合わせ わたしたちの 身になにが起 こった? 最悪何が起こ る? 影響範囲は? 誰を含めるか? 起こったこと・進め方 引き出しに関する問い 誰が助けにな りそう? ふりかえり ふりかえり ふりかえり ふりかえり ふりかえり 活動 初回ふり かえり 活動 別の専門家に交代 活動 活動 別の専門家も参加 活動 本図は文献[3][4]を参考

41.

定例会見化 コミュニケーション経路を一元化 大きなカエルさんにも手伝ってもらう

42.

定例会見の際の進め方 何がおこっているのか ⚫ わたしたち(チーム)はど んな影響をうけているのか ⚫ どんな思いでやっているか ⚫ ⚫ 最後、ちょっとだけポジテ ィブに未来を語ってしめる

43.

今の製品群への対処と、これから開発する製品 でチームは分けた

44.

前線にたっているひとのヴォイスを聴く 「どんな種類のことがおこっているとおもう?」 「思い浮かべたこと・今の肌感覚をおしえてくれますか」 お腹をさらけだして(パワーをさげる) 単語・単語を聴くのでなく、表情や声色、全体の文脈を聴く

45.

結果〜実際にありそうな話だけどフィクションだよ 〜 ⚫ みなさんの協力で適切な対処できたこともあり 影響は小さくなった - アプリパスワード設定への誘導 Modern Auth. 開発もすすめることができた ⚫ 時間を稼いでなんとか変化に適合 ⚫ ⚫ 今日もなんとか生き延びることができた(わた しの実感)

46.

まなび ここまでで13分目標

47.

不確実性に耐える ⚫ ⚫ 最初は巨大・超多数にも、極小・なにもないに もみえたり いつ落下してくるかわからない ⚫ 向き合うのはほんと難しい(動物の本能に逆ら っているから) ⚫ 向き合う相手を絵にかいてみる 相手の大きさや形、どのくらいで動いているか 相手から眺めてみる(相手も困っているかも) ⚫ ⚫

48.

理論はやくだつ ~PTMFの紹介~ • 今起こっていることを「心理的苦悩」ととら える • 心理的苦悩を、自分や他人の内部「認知 (Meaning)」を原因の中心ととらえず、 人と人の「力(Power)」を中心にとらえ、力 の相互作用に起因するととらえる • 今おこっている身の回りへの影響は、 • (過去含めた)力がかかった故の「脅威の反 応(Threat Response)」の結果ととらえる • みんなベストをつくしている https://x.com/Juliet_Young1/status/1383693526400081924?s=20

49.

理論はやくだつ ~PTMFの紹介~ • 心理的苦悩(苦労)を軽減し、いきいきと 「今」を送るために、 周りにあるリソースの 「つよみ(Strengths)」を(再)発見し(再)構成 し活かしていく(つなげていく) • (結果として)わたしの、わたしたちなら ではの「ものがたり(Narrative)」を可視化 していく https://x.com/Juliet_Young1/status/1383693526400081924?s=20

50.

システムのバグを憎んで ひとを憎まず ⚫ つい、ひとにとらわれがち(この場合、おばさん) 実は「先に並んだもの勝ち」という「文化」というシス テムのパワーが原因 ⚫ この場合も、よくよく思い出してみると、カレーパンを 買えて幸せな日もあった ⚫

51.

システムのバグを憎んで ひとを憎まず ⚫ 実は「先に並んだもの勝ち」という「文化」というシステムパ ワーが原因 ⚫ 起因しているパワーがみえてくると、わたしたちならではの 「ものがたり(Narrative)」がみえてくる システムのカイゼンの方向性がみえてくる ⚫

52.

おわりに

53.

今日集まった方々はQA・テスターさんが多い のかなと 大変ですよね 本当にお疲れさまです

54.

特にウォーターフォールな進め方でQA・テス ターを担当されている方々な皆さん ⚫ ⚫ 下流に苦労・心理的苦悩が溜まりやすい 上流に働きかけるためのは、パワーがものすごくいる アジャイル vsウォーターフォールの対立が話題になりますが、これが一因じゃないかなーと、 かとうは思っています 今日来ている方々の中には、今まさに苦労されている方も いるのではないかなーと想像しています

55.

誰しもみんなトラウマを持っている トラウマを持っている前提で ケアしていくとよいかなぁと ⚫ 相手も、そしても何よりも大 事なご自身も ⚫ ⚫ TraumaLens こころのケガに配慮するケア https://traumalens.jp/g/html/ トラウマ体験の影響を念頭に 置いた物の見方をすることを 「トラウマのメガネをかけ る」というそうです。

56.

トラウマを知りトラウマの眼鏡をかける ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 誰しもそして自分もみんなトラウマ を持っていること お互いがお互いを配慮すること 言い換えればパワーを下げること 逆境に対してうまく成功できるイメ ージ持つこと 今日話したトランポリンのイメージ

57.

認知ワクチンを接種する ⚫ 誰しもそして自分もみんなトラウマを 持っていること ⚫ お互いがお互いを配慮すること 言い換えればパワーを下げること ⚫ ⚫ ⚫ 逆境に対してうまく成功できるイメー ジ持つこと 今日話したトランポリンのイメージ 繰り返し知ることでトラウマに強い組織を作ることができます あたかもワクチン接種をすれば感染症につよくなるように

58.

おわりに そのための対話 今日のお話(ビデオ)持ち帰って対話してくれたら うれしいです 対話の基本はどこにいっても役にたつ 聴くこと・話すことをわける ⚫ Not Knowingの姿勢 ⚫ 面白がる(自虐ネタとして) ⚫ 今ここを聴く ⚫ 本当の願いに責任を持つ ⚫

59.

おわりに できたら対話についてスクラムフェス金沢でお話しできたら

60.

おわりに のこり人生、世の中を変えていきたい ⚫ ⚫ ⚫ ふりかえり・対話スキルの普及 医療・介護のエコシステム(データリン ク・見える化) 家族・第3者代行システム化 なにか一つでもやり遂げたい 転職を考えています(19年ぶり4回目) もしよろしければ、まずはお話しから 引用:USの電子カルテシステムEpic https://twitter.com/ko__harada/status/1685360113782018 054?s=43&t=vM6kykCVwwJtwpiyqR3M3w

61.

以上で今日のわたしの話はおしまい どうでしたか? 明日からのお仕事にいかせそうでしょうか?

62.

ではでは、みなさん、よい開発体験を。 どうもありがとうございました!

63.

ところで、おまえ誰よ? • 妻の批判はアドバイスをモットーとする 認定スクラムマスター(C SM)。 • エンジニアリングマネジャー / ブリーフセラピスト / チームビルディ ング / ふりかえり / Management3.0 / 実践LeSS • よい開発体験を促すひととして修行中。 簡単な履歴書: むかしむかし(1991~2001) さる大きなSIer勤務 ・機械学習・文字認識の研究、OCR製品開発~技術移転 ・データ分析、ソフトウェアメトリクスに関する調査研究 むかし(2001~2006) 関東・関西のさる複合機メーカ子会社勤務 ・複合機・オプションプリントコントローラーの試作~製品開発 ・共通化プラットフォームアーキテクト・開発リーダー及びマネージャ いま(2006~) メーカ会社勤務 ・組み込み系 Network部ソフト設計リーダー ・Network部ソフト開発チーム エンジニアリングマネージャー ・Network部品質評価マネジャー

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参考文献 [1] 石橋佐枝子他 “オープンダイアローグ1day オンラインワークショップ” 2023.2.5 ODNJP主催資料より一部改変 [2] 森川すいめい ”オープンダイアローグ 私たちはこうしている” 医学書院 [3] ハーレーン・アンダーソン “会話・言語・そして可能性 コラボレイティヴとは?セラピーとは? “ 金剛出版 [4] ウィリアム・ユーリー “ハーバード流 最後までブレない交渉術” 日本経済新聞出版社 [5] アンダーズ・エリクソン “超一流になるのは才能か努力か” 文藝春秋 [6] メアリー・ボイル他 “精神科診断に代わるアプローチ PTMF” 北大路書房 [7] アダム・カヘン “共に変容するファシリテーション 5つの在り方で場を見極め、10の行動で流れを促す” 英治出版 [8]アーノルド・ミンデル ワールドワーク(プロセスワーク)https://www.youtube.com/watch?v=t5uT4MMfRB8 [9]ローゼンバーグ NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 日本経済新聞出版; 新版 2018年 [10]東豊 セラピスト誕生―面接上手になる方法 日本評論社 2010年