新入社員の呪いの解き方

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September 19, 24

スライド概要

ウェビナー『CTOとVPoEが語る、採用とオンボーディング で失敗しないためのベストプラクティス』での発表資料です。
オンボーディングにおいて 注意すべき力学について共有しつつ、 チームとして工夫していることをご紹介しています。新入社員=中途入社の社員さんを"主に"想定しています。

【運営しているサービス情報】
- ITエンジニアの方向け - https://lapras.com
- エンジニア採用したい企業の方向け - https://scout.lapras.com

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LAPRAS株式会社でSWEをしています

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関連スライド

各ページのテキスト
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新入社員の呪いの解き方 @2024.02.27 - 『CTOとVPoEが語る、採用とオンボーディングで 失敗しないためのベストプラクティス』 ※資料は公開する予定です

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今日のテーマ 「オンボーディング」 新たに組織に参加した人が 早く活躍できるようにサポートすること オンボーディングにおいて 注意すべき力学について共有しつつ、 チームとして工夫していることをご紹介 オンボーディングに失敗する損失はとても大きいので、 悩んでいる組織の方や、これから転職される方へのtipsになると嬉しいです このお話では「新入社員 = 中途社員」を主に想定していますが、 新しい組織に入る人、という意味ではで注意すべき力学かとも思います。 (新卒社員を想起しないようないい言葉ありませんかね) 2

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オンボーディング と LAPRAS LAPRASのオンボーディングの現在地 - 組織サイズ40名弱 / うちエンジニア 15名 + 4名業務委託 現在の形でオンボーディングに取り組み始めてから3年程度 立ち上がらずに退社してしまったケースはここまで0名(11名のエンジニアが入社 )

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⾃⼰紹介 Takanori Koroki (興梠敬典) CTO@LAPRAS株式会社 @rocky_manobi https://github.com/rockymanobi https://lapras.com/public/rocky_manobi 2009年からSWEをしていて、エンプラ/Webサービス等々色々作ってました 4

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新入社員にかけられた呪い

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よく聞くオンボーディング失敗パターン 前職でも活躍していた人が高いモチベーションとともに入社! …とはいえ どのような人でも新しいチームに入った瞬間は”学びのフェーズ” であり、当然チームへの貢献度は相対的に低い 高いモチベーションとは裏腹に自己肯定感も低めの時期が続く 以前の職場でのパフォーマンスが高かったり、重要なポジションを担っていた 人ほどギャップが激しく、精神的負荷が高い この状態を脱しようと、焦って行動する 爪痕を残せそうな課題や改善タスクに手を付けるが、状況理解が粗いが故に 成功確率は低く成果が出でない => 自己肯定感が更に低下 色々と狂い始める - 周囲が本当に疑問を抱きはじめる => 弱さを見せづらくなる => 更にサポートを受けづらい状態に 他者の認識から身を守ろうとして望ましい振る舞いをしてしまう (ミスを認められない / タスクの抱え込み / 他責的振る舞い) 6

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新入社員にかけられた呪いis… ※本当にこう思っていてサポートをしない等は論外。 “この人仕事しているの?” “この人何ができるの?” …と皆に思われているのでは... 自分は役に立っている? 自分は必要?こんなはずでは... 強い不安と疑心暗鬼 本来の力が出せない - 質問し辛さによる確認漏れ 焦りによるミス Issue度の低い課題提議 “防衛反応”としての 望ましくない振る舞い - ミスを認められない/隠してしまう 仕事を抱え込む 他責的振る舞い 7

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新入社員にかけられた呪い : ハイクラスほど危ない “この⼈仕事しているの?” “この⼈何ができるの?” 扱う課題がハイコンテキストかつ、成果を出すために組織内での信頼が必要なケースが多いので、入社時の ⾃分は必要? 周囲のサポートがより重要。 …と皆に思われているはず... ⾃分は役に⽴っている? ハイクラスの人ほど注意 一方で周囲は「お手並み拝見! ハイクラスなんだからオンボーディングいらないでしょ?」 という姿勢になりやすい。 強い不安と疑⼼暗⿁ “新しいチームにうまく馴染む能力”は、 普段の業務でパフォーマンスを発揮する能力とは”別物”として存在する 本来の力が出せない “防衛反応”としての 望ましくない振る舞い そこまで含めでハイクラスへの期待でしょう?は一部その通りではあるけれど... - 質問し辛さによる確認漏れ 「どんな馴染みにくいチームにも馴染める人材」 vs 「究極に馴染みにくいチーム」 - 焦りによるミス - ミスを認められない/隠してしまう - 仕事を抱え込む という勝負を続けるよりも「個人の”新しいチームにうまく馴染む能力”に依存せず馴染みやすい - 他責的振る舞い - Issue度の低い課題提議 チームになる」を考えたほうがよいこともあるはず 8

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呪いの解き方 との付き合い方 (4つご紹介) 呪いの影響を軽減しつつ、 新入社員が成功体験を経験し、信頼を得ている実感を持てるところまで持っていく。

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失敗パターンでいうと... 前職でも活躍していた人が高いモチベーションとともに入社! …とはいえ どのような人でも新しいチームに入った瞬間は”学びのフェーズ” であり、当然チームへの貢献度は相対的に低い ここをうまく乗り切る 高いモチベーションとは裏腹に自己肯定感も低めの時期が続く 以前の職場でのパフォーマンスが高かったり、重要なポジションを担っていた 人ほどギャップが激しく、精神的負荷が高い この状態を脱しようと、焦って行動する 爪痕を残せそうな課題や改善タスクに手を付けるが、状況理解が粗いが故に 成功確率は低く成果が出でない => 自己肯定感が更に低下 色々と狂い始める - 周囲が本当に疑問を抱きはじめる => 弱さを見せづらくなる ここまで来てしまうともう => 更にサポートを受けづらい状態に ”疑心暗鬼”ではなく、事実として対 他者の認識から身を守ろうとして望ましい振る舞いをしてしまう 立してしまっている (ミスを認められない / タスクの抱え込み / 他責的振る舞い) 10

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前提 オンボーディング期間 LAPRASでは入社より3ヶ月間をオンボーディング期間としています オンボーディング体制 新入社員 主人公です トレーナー 新入社員がパフォーマンスを発揮できるようにサポートする役割。 新入社員と同じチームのメンバーをアサインする。 オンボーディング計画の作成や1on1を通じて、新入社員がチームや組織 全体に馴染んでパフォーマンスが発揮できるまで支援する。 メンター 新入社員が組織や業務に馴染む過程での、悩み事や困り事のメンタリングをする役割。新入社員と は別のチームかつあまり離れすぎない業務に従事する人をアサインする。 リモートならではの不安、トレーナーだけではカバーしきれない悩み等に寄り添い、新入社員をト レーナーとは違った視点でサポートする。 オンボーディングPM オンボーディングプロセスの構築と運用の管理 トレーナー/メンターの選任 トレーナー/メンターへのサポートの提供 11

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1 : 期待値を揃える(最も重要) 期待の明文化とスケジュールの作成 - オンボーディング期間3ヶ月で達していたい状態や行動について合意する 達成までの想定スケジュールを週次で定義する - 最初は2,3週間程度引いておき、状況を見ながら徐々に構築していく 期待の例 □ 開発者ロールとして開発Issueを問題なく捌ける □ バグの内容をインプットとして独力で調査/解決することができる □ 安全性を高めるための運用周りのルールや仕組みの改善提案/構築ができる □ 機能アイディアの聞き取り/仕様策定の場における関係者と相談が気軽にできる 12

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1 : 期待値を揃える(最も重要) 13

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1 : 期待値を揃える(最も重要) やらないとどうなるか.... 無限にフルスロットルで頑張り続ける脅迫感に苛まれる ただでさえ精神的負荷がかかっているので直ぐに過負荷になる (のと、解像度が低いままに時間を投下するのは実際効率が悪い) スケジュールがあるから安心して「今日はここまで」と言える いずれも“問題が発生してか らだと触れづらい話題”であ るところも厄介。 平時から会話に盛り込んで おくのが吉 ※発生したときにちゃんと向 き合えるようにファシリテー ションするのも大事 不要なすれ違いや勘ぐりが発生する 例) 開発者兼マネージャ的な期待をうけて入社したが、 まずは開発者として余力をもってチームに貢献できるようになりたい。 なので今は開発者としてのキャッチアップに集中したい この人はマネージャ期待で入社しているはずなのに、 開発者としての活動しかしていない...? (➚のように思われているのでは...??) 14

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2 : 最初の数週間のタスクは原則ペアワークで進める LAPRASでは最初の数週間のタスクをペアワークで進めています ※開発環境構築も含みます(前もってトレーナーのスケジュールをブロックするようにしています ) 開発タスクに単独で挑戦してほしい背景 ”一人増えた分の成果を出してほしい”という期待(推察) スケジュールにはこのスロー ペース(一見)に対する不安を 軽減する役割も 単独で開発タスクを進める上での障壁 社内のローカルルールの知識が無い 技術的な知見が足りていない 手順書が間違っている 手順通りに作業ができていない/前提条件を満たせていない 上記解決のために誰にどの程度頼ってよいか温度感がわかっていない(が故に質問方法等戸惑う) etc… 失敗の因子が多すぎる上に、新入社員にとっては切り分けが極めて難しい。 複数の課題を同時に解決しようとせず、まずは単独で開発タスクを進めるうえでの障壁を取り除くこ とに集中したほうが計画もブレづらく、フロー効率も良いはず。 新入社員の活躍によるアドを得るタイミングは焦らず計画しておく (マニュアル/Readme等のアップデートのチャンスも増えるので実際良いことのほうが多い) 15

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3 : 進捗の認識を合わせる / 実感可能にする 認識合わせは トレーナーとの1on1 で実施 - 頻度は”毎日”からはじめて様子をみて調整していく 週次/月次で進捗確認の振り返りを実施する 進捗状況について共通認識を構築しつつ、 課題解決のサポートやスケジュールの調整などを行う という基本的なところに加えて、 進捗を実感可能にしたり、安心して学習に時間を使うために以下の工夫も - 実績解除マップ ハードスキル履修マップ

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3 : 進捗の認識を合わせる / 実感可能にする 実績解除マップ 理解やできる業務の範囲が 広がっていることの実感を えつつ、次のトライの方向性/ タスクを決めるインプットと して利用 スキルマップ的な運用まで 求めると大変なので、あくま でオンボーディング時の不安 払拭に貢献することが目的

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3 : 進捗の認識を合わせる / 実感可能にする ハードスキル履修マップ 事前に業務で必要になる前 提知識の全体像や、得手不 得手についての認識を合わ せるために活用 履修 要否 についての会話 が行われることが重要なの で、一覧よりもチェックリスト 的なフォーマットが望ましい 例 「React得意だけどVueは はじめてなんですよね〜」 「では公式チュートリアルは 触っておきましょうか〜」 ↑↑ というのを、いざフロ ントエンド開発入ってから〜 よりも事前に話せた方が良 いはず 時間の使い方について合意 しておくことで安心して学習 に時間を使うという効果も 期待 ※全社オリエンテーション期 間中の隙間時間などは特に

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4 : チームメンバーが活躍をアピールする 新入社員の活躍を社内に広めるのはチームメンバー このような情報がなくとも周囲は黙って見守るべき。 でも、活躍が共有されることは当人にとっての安心材料になる。 - チーム横断の振り返り共有会でそれとなくアピール - - 新入社員の方の倒したIssueや共有したTips、振り返りでの発言からの学び... などをピックアップして共有に含めたりする (プレッシャーにならないような雰囲気を保ちながら) Publicチャネルで感謝を共有(Unipos(https://unipos.me/ja/) を活用)

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小話 - 被オンボーディング目線 興梠自身も呪いにかかってやられていました 過去に新しいチームにはいったときに、冒頭に紹介した失敗パターンに近しい状況に陥っていました。 全力で空回りしていたわけですが、今思えば「不安から開放されたい」という強い気持ちが原因でした。 その体験を下に、LAPRAS入社時には期待値の調整を意識的に行ったところ、大幅に不安が軽減されました。 不安が軽減されると「自己防衛=爪痕を残す」のための行動が不要になるので、純粋に「チームへの貢献」を行動の動 機とすることができるようになりました。結果、課題解決に重要な”観察”をする余裕が生まれ、心おれずにキャッチ アップすることができました。

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その他取り組み/参考資料など 今回はエンジニアチームとしてのオンボーディングに特化してお話しましたが、 全社員対象のプログラムにも、主に @Iidasame さんによって施された多くの工夫が散りばめられています(むし ろそちらのほうが洗練されています)。 参考 : オンボーディングに関するLAPRASのアウトプット インプットすべきものを漏らさない工夫や、Welcome感の演出等心理的な部分のケア等色々です。 過去の記事で現在は変更されているものもありますが、心は同じです。 - 【新入社員研修】オンボーディングって3ヶ月間も何やるの? フルリモート用にアップデートした、LAPRASの新入社員オンボーディングを紹介します LAPRASの失敗を公開します。リモートオンボーディングの困難と改善について 社員オンボーディングの3つのメリットと具体的なやり方 - LAPRAS HR TECH LAB 参考 : 被オンボーディングガイド(個人ブログ) LAPRASに入社したときに心折れずに馴染むところまで進めた際の感想をブログにしたものです。 入社時に参考資料として共有しています。 - 新しいチームに加わるエンジニアのための "被" オンボーディングガイド v0.1.0 新しいチームに加わるエンジニアのための "被" オンボーディングガイド v0.1.1|Yuuki Takahashi

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おわりに 新入社員には、 活躍や信頼獲得を阻む「強い不安と疑心暗鬼」という厄介な呪いがかかっています 100%の対策はできませんが、期待と実態の共通認識を丁寧に作り、焦らず向き合い続けて行くこ とで、負の力学をある程度は軽減できそうです 労力は必要ですが、失敗時の損失を考慮すれば取り組む価値はあり、その投資回収時期も思いの外 早いという感覚があります(自動テストやCI/CDの整備などと同じ) また、このような取り組みは「既存社員は新入社員をサポートすべきである」という価値観を発信す る効果もあり、実はこの価値観の共有が何より重要だったりもします 新しい人を迎える方にはオンボーディングTipsとして、新しい組織に被オンボーディングのTipsと して、何かお役に立てるものが提供できていたらすごく嬉しいです 22

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付録1 : 課題解決のサポート方法

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こんなサービスを運営しています - ITエンジニアの方向け ITエンジニアのGitHubやZennなどの活動を集約して ポートフォリオ/ライフログ的なものを作ってくれます! それを見た企業からスカウトが届いたりもしますので、 転職を考えていらっしゃる方も是非。 SpeakerDeckの概要欄の URLより是非! https://lapras.com

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こんなサービスを運営しています - 企業の方向け 企業様向けの、エンジニア採用サービスを運営しています! ご興味お持ちの方は 「LAPRAS SCOUT」で検索 ください。 ※SpeakerDeck概要欄にもWebサイトのURLを記載してあります!! - - いわゆるエンジニア採用ツールです LAPRASに登録頂いているエンジニアさんに アプローチすることができます ハイスキルなエンジニアさんの”実際の活動”をデータベースとすること で、精度の高いマッチングが可能です 上記LAPRAS SCOUTの運用を弊社で代行するという、 オプションサービスメニューです エンジニアを含む専門チームが担当します 既にご契約中のRPO事業者様との同時活用も可能です 25