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April 02, 22
スライド概要
統合失調症の予後予測因子についてYouTubeや研修医向けのレクチャーで解説するのに使用した資料です。レクチャーでの使用OKです。
精神科医、大学教員かつYouTuberです。資料は講義での使用OKです。 私がYouTubeで使用している資料につき公開をご希望の方がいたら、該当する動画のコメント欄でお知らせください。
家族歴や併存症、性別、性格からみた 統合失調症の 予後
統合失調症 家族歴や 併存する症状は?
そもそも 統合失調症に 遺伝は影響する?
統合失調症 第一度親族=親・子・兄弟で10%程 一卵性双生児の一致率は48% 二卵性双生児の一致率は17%
初発の統合失調症のうち、統合失調症スペクトラムの第一親族 の家族歴がある28名と、家族歴のない28名 統合失調症スペクトラムの 家族歴があると 知的機能がより低下し 3年後の症状が より強かった Sz Sz Norman et al., J Nerv Ment Dis. 2007 PMID:18043525
統合失調症 • 気分障害の家族歴は • 気分症状を伴うことは 予後良好の因子 Vaillant., Arch Gen Psychiatry. 1964 PMID:14208654 『カプラン臨床精神医学テキスト 日本語第3版/原著第11版』 p.358
まとめると 統合失調症の家族歴 =統合失調症の血が濃い は予後不良因子 統合失調症と気分障害の連続性がある中 気分障害に近い要素 は予後良好の因子
統合失調症 性差はある?
統合失調症の率 男:女=1.4:1 Aleman et al., Arch Gen Psychiatry. 2003 PMID: 12796219 McGrath et al., Epidemiol Rev. 2008 PMID: 18480098
統合失調症の平均発症年齢 男: 18~ 25 女: 初経 40歳25~35 女性は 後と 以後の2つのピーク Ochoa et al., Schizophr Res Treatment. 2012 PMID: 22966451
統合失調症の経過 男性より 女 良 性の方が 好 Canuso & Pandina, Psychopharmacol Bull. 2007 PMID:18227787
統合失調症は 男の方が多く 男の方がすぐ発症し 男の方が予後が悪い 女性であることが 統合失調症への 抵抗力なのかも
統合失調症 どんな人が なったか
統合失調症の予後 未婚、離別・死別より 既婚の方が良 Vaillant, Arch Gen Psychiatry. 1964 PMID:14208654 『カプラン臨床精神医学テキスト 日本語第3版/原著第11版』 p.358
統合失調症 仕事や社会や機能面での •適応水準が高い •知能・学歴が高い は予後良好の因子 『カプラン臨床精神医学テキスト 日本語第3版/原著第11版』 p.358
統合失調症の予後 共感性が高いと良 分裂気質は不良 分裂気質:クレッチマーが提唱した概念。上品で感覚が繊細な人、冷たい 支配家と利己的な人、孤独な理想家、無味乾燥または鈍感な人 Vaillant, Arch Gen Psychiatry. 1964 PMID:14208654 『今日の精神疾患治療指針 第2版』 p.63
まとめると 結婚してる 知的に高く 適応水準が高かった 共感的な人が良
妄想性障害は?
妄想性障害の予後の因子 統合失調症と共通したものが多い 『カプラン臨床精神医学テキスト 日本語第3版/原著第11版』 p.381
統合失調症様障害 の予後は? 症状が 1ヶ月以上6ヶ月未満 のもの
統合失調症様障害のDSM-5基準 以下の2つ以上の存在で「予後の良い特徴を伴う」 の特定用語が用いられる • 日常の行動・機能の最初の変化から4 週以内に顕著な精神病症状が出現 • 病前の社会的・職業的機能が良好 • 感情の鈍麻または平板化がないこと • 錯乱や混乱 DSM-5
短期精神病性障害 の予後は? 症状が1ヶ月未満のもの
短期精神病性障害の予後良好の指標 • 良好な病前適応 • 病前のシゾイド特性がほとんどない • 感情症状 • 感情鈍麻がほとんどみられない • 家族に統合失調症の者がみられない 『カプラン臨床精神医学テキスト 日本語第3版/原著第11版』 p.385