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March 18, 24
スライド概要
JAMA Psychiatry. 2014; 71(4): 397-403.
PMID: 24554232
ラメルテオンのせん妄予防効果を検討した論文。
日本発で有名ではありますが、内的妥当性、外的妥当性に注意が必要だと感じました。
某病院精神科後期研修医が運営するアカウントです。日々の勉強会の内容など情報発信をしていきますので、 よろしくお願い申し上げます。
Preventive Effects of Ramelteon on Delirium A Randomized Placebo-Controlled Trial JAMA Psychiatry. 2014; 71(4): 397-403. PMID: 24554232
導入 せん妄予防は大切 ラメルテオンの有効性は?
セッティング 2011/9/1-2012/10/31 4つの大学病院 1つの市中病院
対象 ⚫ 65-89歳 ⚫ 深刻な身体疾患で救外から入院 ⚫ 内服可能 除外基準 ⚫ 48時間以内に亡くなる可能性 ⚫ 認知機能が変動する可能性がある疾患(ex. DLB) ⚫ フルボキサミン内服 ⚫ アルコール離脱 ⚫ 統合失調症または双極性障害
ランダム化 ⚫ 乱数表を用いてランダム化 盲検化 ⚫ 評価者のみブラインド ⚫ 封筒を用いて盲検化 ⚫ 担当看護師、患者は投与薬を把握 ⚫ 薬剤の見た目は異なる
薬剤投与 7日間, 21時に A. ラメルテオン 8mg B. プラセボ *屯用としてヒドロキシジン使用可
評価項目 ベースライン 年齢 性別 BMI アルコール 睡眠薬 内服薬 せん妄の既往 入院理由
評価項目 ベースライン 合併症 Charlson comorbidity index 認知症 Clinical Dementia Rating ADL Performance status
評価項目 毎日 せん妄 Delirium Rating Scale–Revised-98 疾患重症度 APACHEⅡ
評価項目 プライマリーアウトカム DSM-4によるせん妄の診断 DRS-R98>14.5によるせん妄の診断 セカンダリーアウトカム 有害事象 睡眠の質 看護師、看護記録から情報収集
統計 両群のせん妄発症率比較 Kaplan-Meier法 単変量解析 時間も考慮 探索的なロジスティック回帰分析?? 多変量解析 時間は考慮なし
目標症例 せん妄発生率の想定 プラセボ群 28% ラメルテオン群 3% せん妄の発症率は3-56%だから・・?? 必要症例数 32x2=64例
患者組み入れ 緊急入院: 1,126例 ICU: 697例 一般病棟: 429例 除外 658例: 挿管 または 48時間 以内死亡 ICU: 39例 除外 306例: 48時間 以内死亡 61例: 精神疾患 など 一般病棟: 62例
患者組み入れ ICU: 39例 一般病棟: 62例 除外 15例: 同意せず 除外 19例: 同意せず ICU: 24例 一般病棟: 43例
患者組み入れ 緊急入院: 1,126例 除外: 1059例 ICU: 24例 一般病棟43例 計67例
患者の特徴 平均年齢:78歳くらい 入院理由:脳卒中、感染、心不全、骨折など 重症度:一般病棟かICUか悩むくらい 慢性疾患:1-2個くらい ADL:なんとか自立 認知機能:大半は保たれる
患者の特徴 67例 プラセボ群:34例 5例: 7日以内に 退院 1例: 肺炎重症化 プラセボ群:28例 ラメルテオン群:33例 8例: 7日以内に 退院 ラメルテオン群:25例
結果 せん妄の発症頻度 プラセボ群:11/34 (32%) ラメルテオン群:1/33 (3%) P=0.03 ※プラセボ群でDRS-R98が閾値以上だった患者が2名いたが、 DSM-4ではせん妄と診断されなかった
結果 せん妄発症まで、5.74日vs6.94日 P=.02
結果 せん妄の発症頻度(多変量解析) OR 0.07 (95% CI=0.008-0.54, P=.01) ※年齢、認知症の診断、感染症での入院のみ調整 ※せん妄の既往、睡眠薬、合併症、ADLなどは調整なし
内的妥当性 ランダム化 割付の隠蔽化 マスキング ベースライン ITT解析 脱落がないか サンプルサイズ 〇乱数表 ×知りうる方法がある ×容易に割付がわかってしまう 〇おおむね同等 △不明 ×サンプル数に比較して脱落が多い ×サンプル設計が疑問 統計 △交絡因子の調整が不十分 △解析の選択根拠が不明 エンドポイント ×診断基準が一つではない
外的妥当性 除外が多く一般化できるか疑問 48時間以内の死亡者が多い 認知症の頻度が少ない ⇒ 一般病棟の入院患者と異なる可能性
全体的に・・・ ラメルテオンの効果予測が極めて高い 極めて高い効果が予測と同程度に出ている ⇒割り引いて判断する必要性がある