406 Views
September 01, 17
スライド概要
CEDEC 2017
http://cedec.cesa.or.jp/2017/session/PRD/s58be51695c98e/
ソフトウェアだんどり - 階層型の計画立案によるプロジェクトマネジメント - 東京工芸大学 今給黎 隆 URL: https://www.slideshare.net/imagire/ss-79342034
本日のテーマ 俺の開発手法を 進化させよう
アジェンダ • アイスブレイク • 歴史のおさらい • 開発手法の進化を考える • ソフトウェアだんどり
アジェンダ • アイスブレイク • 歴史のおさらい • 開発手法の進化を考える • ソフトウェアだんどり
最近の開発手法のバズワード • モブプログラミング Mob programming explained - Architecture Corner, episode #22 https://vimeo.com/139863959
モブプログラミング概説 • 1台のPCでチームでわいわいプログラミング • 歴史は古い – Moses Hohman; Andrew Slocum (2003), "Chapter 28. Mob Programming and the Transition to XP“, Extreme Programming Perspectives. Addison-Wesley. • Agile2014 Conference での Woody Zuill 氏ら のHunter社での事例の発表で再注目 • Mob Programming Conference (Agile Games 併催, 2016/5/1-2)も開かれるように
日本でのモブプログラミング • モブプログラミングという働き方 – Takao Oyobe (楽天) – 2017/6/18 DevLOVE 200 Bridge • https://speakerdeck.com/takaking22/mobupuroguramingutoiudong-kifang-number-devlove • 技術なきマネジメントの衰退とその対策 – 牛尾 剛 (Microsoft) • http://simplearchitect.hatenablog.com/entry/2017/06/19/080036 • モブプログラミング体験会 – 新井 剛(ヴァル研) • A DAY OF MOBBING at Agile Japan 2017
モブプロは今回のテーマではありません • 技術の広がるパターン – – – – – 海外のカンファレンスで発表 海外の事情通が日本に話を持ち込む 影響力のある人が広める 他の人も試してみて広がる 雑誌などの記事になる • 開発手法に限った話ではない – 物理ベースレンダリング、フェイシャルキャプチャ
問い • 我々はただ与えられた手法を使えば良いのだろうか? – 海外の技術をただありがたがるのダサいよね • 公開された(古い)技術を学ぶ時には敵は先に進んでいる • 海外から技術入手を否定してるわけではないよ – GDC 行きたい! – 知の高速道路は使おう • より良い手法を自ら考えるべきではないだろうか? – 欧米では文章化する文化が強いのでバイアスはかかるが、 我々もより手法の提案をしていきませんか
本日のお話 • 開発手法を自分で発展させてみたお話
開発手法の進化の方向性の考え方 • アジャイル開発はトヨタ生産方式に影響を受け てきた • しかしアジャイル開発手法が出きてから10年以 上達っている – トヨタから海外が学んだのはさらに昔の筈である • 進化した現在のトヨタのやり方を取り込むこと によって、アジャイル開発も進化させられるの ではないか
アジェンダ • アイスブレイク • 歴史のおさらい • 開発手法の進化を考える • ソフトウェアだんどり ここまでで「5」分経過の予定
歴史のおさらい • トヨタの生産方式 • アジャイル • 生産方式以外への拡張
トヨタの生産方式の歴史 自働化 ジャスト・イン・タイム ( ) ) ( ) 統計的品質管理(デミング) 日科技連のセミナー(1950) か ん 書籍(大野):和書 1978, ば 英語版 1988 ん 方 トヨタ生産方式 式 19 61 19 リ 55 John Krafcik (1988) ー TQC( 豊田商会(1905) トヨタ自動車工業(1937操業) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 方 式 19 54 ザ・トヨタウェイ (2004) ン 生 産 方 式 米国での現地 生産(1984) トヨタ再出発の日(2010) 海外展開 新たな品質保証体制
トヨタとアジャイル 自働化 ジャスト・イン・タイム 海外展開 新たな品質保証体制 ) 統計的品質管理(デミング) 日科技連のセミナー(1950) The New New Product Development Game (竹内, 野中 1986) ン 生 産 方 式 Agileソフトウェア開発 (2001) DevOps (2008) scrum (Ken&Jeff 1995) ) RAD, RUP, DSDM, Crystal, XP, FDD(1991-) UX, ANZEN モ ダ ン ア ジ ャ イ ル 20 15 ( ホンダの生産システム トヨタ再出発の日(2010) ) ) 山 治 ( 鐘 紡 1 9 1 3 ) ザ・トヨタウェイ (2004) ) ( ラ ー 1 9 1 0 年 代 米国での現地 生産(1984) ( ( F.W. 科 科 学 学 的 的 管 操 テ理 武 業 イ法 藤 法 か ん 書籍(大野):和書 1978, ば 英語版 1988 ん 方 トヨタ生産方式 式 19 61 19 リ 55 John Krafcik (1988) ー TQC( 豊田商会(1905) トヨタ自動車工業(1937操業) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 方 式 19 54
トヨタとアジャイル 自働化 ジャスト・イン・タイム 海外展開 新たな品質保証体制 ) 統計的品質管理(デミング) 日科技連のセミナー(1950) The New New Product Development Game (竹内, 野中 1986) ン 生 産 方 式 直接のつながりはない Agileソフトウェア開発 (2001) DevOps (2008) scrum (Ken&Jeff 1995) ) RAD, RUP, DSDM, Crystal, XP, FDD(1991-) UX, ANZEN モ ダ ン ア ジ ャ イ ル 20 15 ( ホンダの生産システム トヨタ再出発の日(2010) ) ) 山 治 ( 鐘 紡 1 9 1 3 ) ザ・トヨタウェイ (2004) ) ( ラ ー 1 9 1 0 年 代 米国での現地 生産(1984) ( ( F.W. 科 科 学 学 的 的 管 操 テ理 武 業 イ法 藤 法 か ん 書籍(大野):和書 1978, ば 英語版 1988 ん 方 トヨタ生産方式 式 19 61 19 リ 55 John Krafcik (1988) ー TQC( 豊田商会(1905) トヨタ自動車工業(1937操業) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 方 式 19 54
トヨタとアジャイル 自働化 ジャスト・イン・タイム 海外展開 新たな品質保証体制 リ ー ン 思 考 リーンソフト ウェア開発 Poppendieck & Poppendieck (2003) Agileソフトウェア開発 (2001) scrum (Ken&Jeff 1995) UX, ANZEN モ ダ ン ア ジ ャ イ ル 20 15 ) RAD, RUP, DSDM, Crystal, XP, FDD(1991-) DevOps (2008) 補強 ( The New New Product Development Game (竹内, 野中 1986) ン 生 産 方 式 Womack & Jones (1996) 統計的品質管理(デミング) 日科技連のセミナー(1950) ホンダの生産システム トヨタ再出発の日(2010) ) ) ) 山 治 ( 鐘 紡 1 9 1 3 ) ザ・トヨタウェイ (2004) ) ( ラ ー 1 9 1 0 年 代 米国での現地 生産(1984) ( ( F.W. 科 科 学 学 的 的 管 操 テ理 武 業 イ法 藤 法 か ん 書籍(大野):和書 1978, ば 英語版 1988 ん 方 トヨタ生産方式 式 19 61 19 リ 55 John Krafcik (1988) ー TQC( 豊田商会(1905) トヨタ自動車工業(1937操業) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 方 式 19 54
アジェンダ • アイスブレイク • 歴史のおさらい • 開発手法の進化を考える • ソフトウェアだんどり ここまでで「8」分経過の予定
アジャイルをどう進化させていくか • 日本ならではの発展をさせていきたい 生産 日 本 トヨタ生産方式 欧 米 リーン生産方式 開発 アジャイル開発
アジャイルをどう進化させていくか • 日本ならではの発展をさせていきたい 生産 開発 日 本 トヨタ生産方式 あたらしい何か 欧 米 リーン生産方式 アジャイル開発
アジャイルをどう進化させていくか • 日本ならではの発展をさせていきたい 生産 開発 日 本 トヨタ生産方式 あたらしい何か 欧 米 リーン生産方式 アジャイル開発
生産方式以外への拡張 自働化 ジャスト・イン・タイム 新たな品質保証体制 Jones & Jeffrey(2006) リ ー ン 思 考 リーンソフト ウェア開発 Poppendieck & Poppendieck (2003) Agileソフトウェア開発 (2001) scrum (Ken&Jeff 1995) UX, ANZEN モ ダ ン ア ジ ャ イ ル 20 15 ) RAD, RUP, DSDM, Crystal, XP, FDD(1991-) DevOps (2008) 補強 ( The New New Product Development Game (竹内, 野中 1986) ン 生 産 方 式 トヨタ再出発の日(2010) トヨタ製品開発システム Womack & Jones (1996) 統計的品質管理(デミング) 日科技連のセミナー(1950) ホンダの生産システム 海外展開 ) ) ) 山 治 ( 鐘 紡 1 9 1 3 ) ザ・トヨタウェイ (2004) ) ( ラ ー 1 9 1 0 年 代 米国での現地 生産(1984) ( ( F.W. 科 科 学 学 的 的 管 操 テ理 武 業 イ法 藤 法 か ん 書籍(大野):和書 1978, ば 英語版 1988 ん 方 トヨタ生産方式 式 19 19 61 リ 55 John Krafcik (1988) ー TQC( 豊田商会(1905) トヨタ自動車工業(1937操業) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 方 式 19 54
生産技術でない方式を探して • 「ホワイトカラー」と「TPS」で調査 – 「自工程完結」活動 • 「トヨタ生産方式」等で培ったノウハウを生かし、事務部門 にまで横展開した全社活動 • 「品質は工程で造りこもう」社内パンフレット(1962)表題 – 心がけではなく科学的にアプローチする取り組み • 2007年からスタッフ部門に展開 • 2010年にカスタマーファースト推進本部を創設 – TQM推進部をその下に移してTQM(全社的品質経営)を推進 – 統括者は佐々木眞一副社長
生産方式以外への拡張 自働化 ジャスト・イン・タイム 自工程完結 米国での現地 生産(1984) 海外展開 ン 生 産 方 式 新たな品質保証体制 Jones & Jeffrey(2006) リ ー ン 思 考 リーンソフト ウェア開発 Poppendieck & Poppendieck (2003) Agileソフトウェア開発 (2001) scrum (Ken&Jeff 1995) UX, ANZEN モ ダ ン ア ジ ャ イ ル 20 15 ) RAD, RUP, DSDM, Crystal, XP, FDD(1991-) DevOps (2008) 補強 ( The New New Product Development Game (竹内弘高, 野中 1986) Womack & Jones (1996) ザ・トヨタウェイ (2004) トヨタ再出発の日(2010) トヨタ製品開発システム ) ホンダの生産システム か ん 書籍(大野):和書 1978, ば 英語版 1988 ん 方 トヨタ生産方式 式 19 19 61 リ 55 John Krafcik (1988) ー ) ) 山 治 ( 鐘 紡 1 9 1 3 ) ) ( ラ ー 1 9 1 0 年 代 統計的品質管理(デミング) 日科技連のセミナー(1950) スタッフ部門への導入(2007) ( ( F.W. 科 科 学 学 的 的 管 操 テ理 武 業 イ法 藤 法 「品質は工程で造りこもう」 社内パンフレット(1962) TQC( 豊田商会(1905) トヨタ自動車工業(1937操業) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 方 式 19 54
自工程完結:より高いレベルでの品質の追求 • シャワーテストレスへの挑戦 – シャワーテスト(完成車に降水をして水漏れがないか確認する)を しないと検出できない不具合の撲滅 ゲーム開発で例えると、マスター前の • ゴムの押し込み不足、ゴムの変形など • 約800工程、2000項目の可能性 テストなしにリリース品質を保てるか? – 対応 • 全ての工程を洗い出す • 工程ごとに検査を行う • 改善 – きちんとはめ込んだ時にきちんと音が鳴るパッキングなど • 標準化 – 動画によるカン・コツの指導(百聞は一見にしかず) – マニュアルの定常的な更新 • 知識教育 – ミスをするとどうなるのかという点まで理解させる
自工程完結のスタッフ部門への展開 • トップダウンで推進 – 会議の増大による意思決定の遅さが問題に • ホワイトカラーでの自工程完結 – 自身が仕事を行うその場で自信を持って良しと判断しなが ら仕事を進められる状態を目指す – ダンドリ重視の考え方 • 仕事の目的・目標を明確にする • 物事を決定する順序であるプロセスを決める • 各意思決定が判断できる基準と意思決定に必要なモノ・情報を 明確にする
[再掲]生産技術でない方式を探して • 「ホワイトカラー」で調査 – 「自工程完結」活動 • 「トヨタ生産方式」等で培ったノウハウを生かし、事務部門 にまで横展開した全社活動 • 「品質は工程で造りこもう」社内パンフレット(1962)表題 – 心がけではなく科学的にアプローチする取り組み • 2007年から展開 • 2010年にカスタマーファースト推進本部を創設 – TQM推進部をその下に移してTQM(全社的品質経営)を推進 – 統括者は佐々木眞一副社長
佐々木眞一 • 佐々木眞一 – – – – 1970年トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 2009年取締役副社長就任副社長 トヨタ自動車株式会社顧問・技官 株式会社名古屋グランパスエイト 代表取締役社長 • 著書 – 佐々木 眞一、"自工程完結-品質は工程で造りこむ", JSQC選書, (2014/12/18) – 佐々木 眞一、"現場からオフィスまで、全社で展開する トヨタの自 工程完結―リーダーになる人の仕事の進め方", (2015/11/13) – 佐々木 眞一、 トヨタ自動車株式会社 業務品質改善部、"トヨタ公 式 ダンドリの教科書", (2016/11/26)
ダンドリの教科書 • トヨタの段取りに関する本をい くつか読んだが公式のものが良 さそうだった • 会議のプレゼンテーションを行 うための一連の流れ等を自工程 完結の考え方を基にマンガを用 いて解説 企画 する 準備 する 当日 運営 結果 まとめ
アジェンダ • アイスブレイク • 歴史のおさらい • 開発手法の進化を考える • ソフトウェアだんどり ここまでで「13」分経過の予定
ゲーム開発にどのように適応するか • プロジェクトは長い – 半年から数年 • 全ての工程を洗い出して段取りを決めるのはハード • 作ってから軌道修正することは当たり前 – 最初から全ての段取りを定めるのはムダ どのような工程があるか?
Value Stream Map • レベル制作ワークフロー – 自工程完結を対象とできるシステムの1つ コ アン ーセ トプ ト 1 背 景 配 置 作 業 # 不 足 機 能 開 発 第 2 レ ベ ル デ ザ イ ン 背 景 配 置 作 業 # レ ベ ル 企 画 デ ィ レ ク タ ー チ ェ ッ ク グ レ ー ボ ク シ ン グ 固 デ有 ザプ イロ ンッ プ ア ウ ト ソ ー ス 開 始 受 領 確 認 イ ン ポ ー ト 開 始 不 足 分 追 加 発 注 受 領 確 認 イ ン ポ ー ト 作 業 2 修 復 ・ 最 適 化 湊 和久、『「ゲームエンジン」と「極め本」の教育活用における落とし穴を避けるには』資料より再構築
だがしかし • 卒業制作 – 5名:1GD+2PG+2VA • 卒業研究 – 1名 • ゼミ(B3) – 7名 大規模開発を試すのはムリ
体制 • 「コーチ」として指導 – プロセスの導入支援 – ストレッチ コーチ (教官) スクラム マスター プロダクト オーナー コーチ (教官) 学生 個人研究 チーム チーム制作
ストレッチ • よくある質問:ベロシティは上がった方がいい? – 安定すれば良いのか? – 常に改善していかないといけない? トヨタでは? – 安定したら、リーダーは在庫を減らしてみる ゲーム業界だと、残業可能時間を 減らしていく? • 自働化ができていれば問題が発生して生産が止まるはず • 工程を改善することで「1個流し」の理想に近づける 在庫を減らすことは直接ベロシティを上げるわけではないが、 ムダが減るためベロシティは上がっていくはず – 常にチームを高い状態に引き上げる存在がいることは、 組織を強くする秘訣となりうる • スクラムマスターが担えるのであれば、それはそれで問題ない
小規模イテレーション開発 プロジェクト イテレーション 1 イテレーション 2 イテレーション 3 イテレーション 4 … イテレーション N
小規模イテレーション開発 • イテレーションのタイムボックスは自分たちで調整可能 – 工程の粒度を変えられる可能性を内在 プロジェクト イテレーション 1 イテレーション 2 スプリント 計画 バックログ 1 イテレーション 3 イテレーション 4 実装 バックログ 2 バックログ 3 … レビュー バックログ 4 … バックログ M イテレーション N ふりかえり
アジャイルにおける段取り(1/2) • 受け入れ条件 – バックログの項目ごとに定める終了の条件 • Doneの定義 – 実施しなければいけないことの一覧 • バックログ項目、スプリント、リリース 「目的」を意識するための仕組みではない
アジャイルにおける段取り(2/2) • インセプションデッキ – プロジェクトの向かう先を最初に定めるツール – 更新されることが念頭に置かれていない • 憲章(Agile Charter) – 利害関係者で目的等を共有するためのメンテナンスされ 続ける文章 • チーム、プロジェクト – 更新のためのプロセスが明確ではない
ソフトウェアだんどり • 新たなチェック手法の構築 – トヨタのダンドリを基にして新たに構築
工程の分析 • 段取れる工程 • 工程ではないモノ 半年~数年 プロジェクト 1週間~1か月 イテレーション 1 イテレーション 2 イテレーション 3 イテレーション 4 … イテレーション N プロセスでの PDCAの基本周期 AP CD スプリント 計画 実装 レビュー ふりかえり 数時間 バックログ 1 バックログ 2 バックログ 3 バックログ 4 … バックログ M この中をそれぞれ 段取るのは大変
基本的アイデア • 工程はないが段取る 半年~数年 段取り 階層1 プロジェクト 1週間~1か月 段取り 階層2 イテレーション 1 イテレーション 2 スプリント 計画 イテレーション 3 イテレーション 4 実装 … レビュー イテレーション N ふりかえり 数時間 バックログ 1 バックログ 2 バックログ 3 バックログ 4 … バックログ M 段取らない
命名 • 呼びやすいように新たに名前を付ける 半年~数年 プロジェクト ダンドリ プロジェクト 1週間~1か月 イテレーション ダンドリ イテレーション 1 イテレーション 2 スプリント 計画 イテレーション 3 イテレーション 4 実装 … レビュー 数時間 バックログ 1 バックログ 2 バックログ 3 バックログ 4 … バックログ M イテレーション N ふりかえり
だんどりシート • GitHub上で管理 – どこでも編集可能 – 差分が色分けして確認可能 – 後から古い内容も確認できる • 構成 – プロジェクト・ダンドリ – イテレーション・ダンドリ – ふりかえり
だんどり項目 • 「ダンドリの教科書」から項目を抽出 • 更新していく中でだんどり項目も補正を行って いく
だんどりをする手順とノウハウの抽出 • • • 仕事の目的・目標(到達レベル)を明確にする – 仕事のシーンを思い浮かべる – 前回の目的と共に目標を結果のギャップを把握する – まずは手順を大まかに考えてみる – 仕事の背景との整合性を確認する – 一般的な手順を参考に考える – 現状のレベルを確認する – 関係部署を考え、各手順のつながりを考える – 予算や納期など制約条件を確認する – 他の同じような仕事の手順をベンチマーキングする – エンドユーザーまでのつながりを理解する – ゴールから書く大まかな手順の実施タイミングを考える – 目標はQCDなどの視点で考える – リスクを想定し、対応策を手順に盛り込む – ベンチマーキングできるものを考える – 自分が行動できるレベルまで手順を分解する 仕事の最終的なアウトプットを明確にする • 要所・要所で「これでよし」と判断できる基準を明確にする – 前回がどのような最終的なアウトプットだったかを把握する – 前回までに設定されていた判断基準を確認する – 仕事の依頼者に最終的なアウトプットイメージを聞く – 前回までの問題点を把握し、再発防止策を考える – 仕事の最終的なアウトプットイメージを思い浮かべる – 失敗したら影響の大きい手順(要所)から優先して判断基準を考える – アウトプットイメージを書き出し、関係者に相談する – 客観的な判断基準を考える – ばあいによっては複数の案を考える – 他の同じような仕事をベンチマーキングする 仕事の手順を明確にする • 各手順で必要なモノを明確にする – 前回までの必要な「もの」を確認する – 前回までの問題点、うまくできたことを把握する – 前回までの仕事の手順を確認する – 「情報」「道具」「能力」「注意点・理由」の視点で考える – 前回までの問題点とうまく進められたことを把握する – 仕事のシーンを思い浮かべてみる – 前回からの変化点を考え、変化に対応する手順を考える – モレがないか考える – 関係者と一緒に考える 「ダンドリの教科書」より
だんどりをする手順とノウハウの抽出 • 仕事の目的・目標(到達レベル)を明確にする – 仕事のシーンを思い浮かべる – 前回の目的と共に目標を結果のギャップを把握する – まずは手順を大まかに考えてみる – 仕事の背景との整合性を確認する – 一般的な手順を参考に考える – 現状のレベルを確認する – 関係部署を考え、各手順のつながりを考える – 予算や納期など制約条件を確認する – 他の同じような仕事の手順をベンチマーキングする – エンドユーザーまでのつながりを理解する – ゴールから書く大まかな手順の実施タイミングを考える – 目標はQCDなどの視点で考える – リスクを想定し、対応策を手順に盛り込む – ベンチマーキングできるものを考える – 自分が行動できるレベルまで手順を分解する 書き出しただけでも 要点が多すぎる • • 仕事の最終的なアウトプットを明確にする • 要所・要所で「これでよし」と判断できる基準を明確にする – 前回がどのような最終的なアウトプットだったかを把握する – 前回までに設定されていた判断基準を確認する – 仕事の依頼者に最終的なアウトプットイメージを聞く – 前回までの問題点を把握し、再発防止策を考える – 仕事の最終的なアウトプットイメージを思い浮かべる – 失敗したら影響の大きい手順(要所)から優先して判断基準を考える – アウトプットイメージを書き出し、関係者に相談する – 客観的な判断基準を考える – ばあいによっては複数の案を考える – 他の同じような仕事をベンチマーキングする 仕事の手順を明確にする • 各手順で必要なモノを明確にする – 前回までの必要な「もの」を確認する – 前回までの問題点、うまくできたことを把握する – 前回までの仕事の手順を確認する – 「情報」「道具」「能力」「注意点・理由」の視点で考える – 前回までの問題点とうまく進められたことを把握する – 仕事のシーンを思い浮かべてみる – 前回からの変化点を考え、変化に対応する手順を考える – モレがないか考える – 関係者と一緒に考える 「ダンドリの教科書」より
ポイント • 重要な点を読み取る – 仕事の目的を明確にする – 仕事の目標を明確にする • 目的よりも短期で具体的 – 現在のレベルを確認する – 制約条件を確認する • Quality(品質) • Cost(予算) • Delivery(納期) – 前後の工程の繋がりを理 解する – ベンチマークを考える
だんどり項目案 • 目的:そもそもの目的は何か? • 状態:現在はどのようなレベルにいるのか? • 目標:目的を実現するためにやることは何か? • 品質:どのようなレベルまで実現すれば良いか? • 納期:いつまでに行えばよいのか? • 入力:他から受け取るものは何か? • 出力:生み出すものは何か?
ためしに当てはめてみたら… • 2つの階層のだんどりの共通化は難しかった – プロジェクトの「目標」はイテレーションの「目的」 • しっくりくるが記載が誤解しやすい – プロジェクト全体には「入力」の項目は不適切 – 時間の制約は長期的には納期に依存するが短期には各 人の予定に依存 プロジェクト ダンドリ イテレーション ダンドリ プロジェクト イテレーション 1 イテレーション 2 イテレーション 3 イテレーション 4 … イテレーション N
初期だんどり項目 • だんどりの項目を別々に設定 プロジェクト・ダンドリ • • • • • • • • コピペ イテレーション・ダンドリ プロジェクトの目的 • 目的が設定された背景 • 現在のプロジェクトの状況 • 目的のために次に実現したい目標 • なぜその目的・目標が設定されたのか? 納期とその理由 • プロジェクト全体の制約条件 • 求められるレベル • • プロジェクトの目標 現在のプロジェクトの状況 現時点で求められていること・制約条件 次のイテレーションでのスケジュール(個別 案件含む) 次のイテレーションで受け取る予定のもの イテレーションの目標 今回、つくりだすもの 数値目標
だんどり項目の更新 • 更新する際にだんどり自体が不適切であれば修正 – 記入しにくい – しっくりこない – いつの間にか修正されていた… 項目自体も定期的に更新
ソフトウェアだんどりのセレモニー • 大学には「時間割り」が存在しているため、 1週間スプリント – レビュー:一週間の確認とディスカッション(ゼミ活動) – だんどり:ふりかえりと段取りの確認と次週計画 月 火 水 木 1 レビュー 2 だんどり 3 4 5 金 「木」曜日の実施は 他との予定の関係
だんどりセレモニー • ふりかえり+スプリント計画 – だんどりの中に現在の状況の確認が含まれているの でレビュー直後に計画を持ってくるのは適当 – セレモニーを分けるのは集中時間を減らす • 一週間スプリントのため切り替えコストがもったいない • ステップ – ふりかえり – プロジェクト・ダンドリの更新 – スプリント・ダンドリの更新
だんどりステップ1:ふりかえり • KPT – メジャーな手法程度の理由 – 規模に応じて手法を変更 • チーム制作:ホワイトボード • 個人研究:GitHub
だんどりステップ2:プロジェクトダンドリの更新 • プロジェクトの状況を 再確認する • 一部はあまり変更され ない。が、必ず目に触 れることは重要 – プロジェクトの目的 – 目的が設定された背景
だんどりステップ3:イテレーションダンドリの更新 • 次のイテレーションの状況を確認する • イテレーションの目標は GitHub Project でかんばんで管理 – チーム制作では付箋紙で管理 • 一部、他の情報をコピー – プロジェクト・ダンドリから • プロジェクトの目標 • 現在のプロジェクトの状況 – KPTから • 挑戦すること
現だんどり項目 • 別の進化 プロジェクト・ダンドリ • • • • • • • • • イテレーション・ダンドリ プロジェクトの目的 • [研究]目的が設定された背景 • 現在のプロジェクトの状況 • 目的のために次に実現したい目標 • なぜその目的・目標が設定されたのか? • 納期とその理由 プロジェクト全体の制約条件 • 求められるレベル • [チーム]チームモットー • • • プロジェクトの目標 現在のプロジェクトの状況 現時点で求められていること・制約条件 現在不安な点 次のイテレーションでのスケジュール(個別 案件含む) 次のイテレーションで受け取る予定のもの イテレーションの目標 [研究]今回、つくりだすもの 挑戦すること 数値目標
アンケート • メンバーにソフトウェアだんどりを用いた感想 をヒアリング – 計画的に確認しながら進められると思っている – 数値目標があって目的がわかりやすい – 細かくやるとか日程を確認するとプロジェクトらし く(何をやっているか把握しながら)進められる – GitHubだと、いつでもどこでも見れる – 時間が長い(2時間は取られる)
まとめ • プロジェクトの段取りを抑える仕組みを提案 – フォーマット • プロジェクト・ダンドリ • イテレーション・ダンドリ – セレモニー • ふりかえりと同じタイミングで行うことで、放置されない活 きた段取りを維持
最後に 自分で開発手法 を進化させよう 私は好きにした、君らも好きにしろ
ありがとうございました • 参考文献 – トヨタ自動車 75年史, – 出水 力, "本田宗一郎の生産思想とホン ダエンジニアリング--二輪の生産体験で 築かれたホンダ生産システムの展開", 大 阪産業大学経営論集 11(2) 229-268. – 右の書籍 https://www.toyota.co.jp/jpn/company/ history/75years/index.html
時間が余った際の資料 • おまけ • 歴史のおさらい
時間が余った際の資料 • おまけ • 歴史のおさらい
目標のだんどり • イテレーションは工程ではない • 目標は工程となりうる • 目標を作成した際に工程を洗い出し、タスクと して追加 – ホワイトボード利用 論文執筆の段取り
マンガを読んでいるのはさぼっているわけではありません • 更新している時は、あまり関与をしない気遣い – 更新している時に見られることを嫌う人は多い – しかし、更新した直後にフィードバックを行いたい
チームメンバーのスケジュール確認 • イテレーションの作業時間の見積もり
時間が余った際の資料 • おまけ • 歴史のおさらい – より深く
歴史のおさらい • トヨタの生産方式 • アジャイル • 生産方式以外への拡張
歴史のおさらい • トヨタの生産方式 • アジャイル • 生産方式以外への拡張
トヨタ自動車工業株式会社 • 豊田自動織機製作所から自動車部が分離独立 – 社長:豊田利三郎、副社長:豊田喜一郎 • 1937年8月27日:創立総会、翌28日:設立登記を完了 • 1937年11月3日(創立記念日):挙母(ころも)工場の竣工式 – 「ジャスト・イン・タイム」生産を提唱(豊田喜一郎) • 私は之を「過不足なき様」換言すれば所定の製産に対して余分の労力と 時間の過剰を出さない様にする事を第一に考えて居ります。無駄と過剰 のない事。部分品が移動し循環してゆくに就いて『待たせたり』しない 事。「ジャスト、インタイム」に各部分品が整えられる事が大切だと思 います。これが能率向上の第一義と思います。 • 挙母に行く前から、『ジャスト・イン・タイム』は口癖のように言って いましたから。「岩岡次郎氏への聞き取り記録」
ジャスト・イン・タイム • • 喜一郎の考えた生産方式を要約していうと、「毎日、必要なものを必要な数 だけつくれ」と言うことである。これを実現するには全工程はいやでも流れ 作業にならざるをえない。「ジャスト・イン・タイム」というのも、そのと き喜一郎が言い出した言葉で、要は「間に合えばいい。余分につくるな」と いうことである。(豊田英二) その日の計画数量を製造して後工程に渡したら、その部署はラインを止める – 製品の一定数量を1口(1グループ)として各口に連番を付し、その号数で製品の 生産進行を管理する • 仮に当日最初に完成する製品10個のグループを第1号口と呼ぶとすれば、2番目以降の グループは第2号口、第3号口となり、各号口がどの工程にあるかということがわかる • ジャスト・イン・タイムの提唱の背景の一つ – 車両品質の改良に要する時間の短縮や費用負担の軽減 • 自動車の不具合が発見された場合、問題点を迅速に改良して設計変更を行い、従来の部品を取り替え なければならない。その際、旧部品の廃棄処分による損失を最小限に抑えるには、部品の在庫や仕掛 品は少ないほうが望ましかった
自働化の起源 • 38年式織機:豊田商会(1905) – たて糸が切断すると、ただちに織機が自動的に停止する 「経糸停止装置」を導入 • 機械を見張る必要がなくなり、一人で 多数の織機を運転することが可能になった また、糸が抜けたり絡まったりする 品質不良も減少し、織物にキズが生じる 恐れがなくなった。 – 「緯糸停止装置」を採用 • よこ糸が切断するか、なくなったときには ただちに織機が停止するようにした – 機械の見張りを不要にする機能 自動停止して、品質不良や手直しによる損失などを防ぐ発想 1924 Non-stop shuttle change Toyoda automatic loom, Type G, "無停止杼換式豊田自動織機(G型)", invented by Sakichi Toyoda.© Morio https://commons.wikimedia.org/wiki/File:1924_Non-Stop_Shuttle_Change_Toyoda_Automatic_Loom,_Type_G_1.jpg
ジャスト・イン・タイムの取組の中断 • 1939年には自動車生産用資材の割当配給制が実 施され、必要なものを、必要なときに、必要な 量だけ入手することは不可能になった。「ジャ スト・イン・タイム」生産への取り組みも、中 断を余儀なくされた
戦後の需要の増大 • 1945年8月15日:ポツダム宣言受諾 • 1949年10月25日:GHQにより乗用車の生産が解禁 • 1950年6月25日:朝鮮戦争勃発 – 米国第8軍調達部からトラックの引き合い→月産1,000台の生産計画 • 1951年の生産:14,228台 – 小型乗用車:1,470, 大型トラック:8,989, 小型トラック:3,769 • 需要の増加に従い生産管理が重要になってきた – 対策 1. 機械加工の種類別規格化・標準化と、それに基づく工作機械の配置 2. 品別加工ラインについての標準作業票の作成と、同票による標準作業の指 導 3. 機械の日常点検と、予防保全の実施 4. ムダ、ムリ、ムラをなくすための作業改善
スーパーマーケット方式 • 1954年春 • 機械加工工程から機械組付工程への部品の運搬作業の見直しが急務 • 業界紙による米国ロッキード社の航空機工場での事例を参考に導入 • 後工程を「お客さん」、前工程を「スーパーマーケット」に見立てて 、お客さんが店の棚から必要な商品を取り出す方式 • 「かんばん」と呼ばれる生産指示票(品名、品番、個数を記載したカ ードや表示板)が追加され、「かんばん方式」へと進化 • 必要なものを、必要な時に、必要なだけ生産する「ジャスト・イン・ タイム」生産の確立へと発展 – 仕入先を含めた広い範囲に適用される壮大なシステムが構築されることになる。
TQC(全社的品質管理, Total Quality Control) • 人員は2倍になり、生産は約7倍になりましたが、品質の向上は能率の向上に釣り合って進まな かったのであります。また、新人の増加、教育の不徹底、管理者の力不足と未熟練、横の連絡 の悪さが目立ってきました。それとともに、同業者間の品質競争が激しくなってきたのであり ます(豊田英二副社長(当時)) • 1961年:従来から行っていたQCを、さらに全社的なものとして推進 – – • TQCの方針 – – – • トップにおいて品質目標をもっと明確にし、従業員に徹底させる必要があった 部間の機能的な連携が図られるような体制をつくる必要があった 品質意識と原価意識を高めるとともに、機能別管理体制を充実する 新製品について企画の充実と立ち上がりの円滑化を図る トヨタ自販や仕入先各社との協力を緊密にする 一年後の全社監査の結果 – – – – 会社方針の真の目的についての理解が十分でなく、従ってこれを展開した各部方針が一貫していない 長期計画の質的向上が必要である 全般的に「事実にもとづいて物事を考える」という習慣、すなわちQCの手法を駆使してデータをまと め、それによって判断するという仕事のやり方がまだ足りない 縦のQCに対して横のQCが弱く、また部間の連携がまだ十分でない
具体的な目標 • 1965年5月:デミング賞実施賞に立候補 • 品質管理実情説明書を提出 – TQCを導入した直後には「検査をすれば品質がよくなる」とい う考え方が残っていたが、TQCの考え方や手法が浸透するにし たがい「品質は工程で造りこむ」という意識に変わり、明確な 目標に向って各部が協力していく体制ができ上がっていった。 • TQC導入以来“品質は工程で造りこむ”ということが会社のすみずみまで しみわたった • 1965年はデミング賞創設15周年にあたっていたことか ら、授与式は米国からデミング博士を迎えて行われた
William Edwards Deming • 1900/10/14 - 1993/12/20 • アメリカの統計学者、著述家、講演者、 コンサルタント – 統計的品質管理 • デミングホイール – Plan – Do – Study - Act • 戦後の品質向上の転機 – 1947年:来日(国勢調査の支援) – 1950年:日本科学技術連盟 の依頼で講義 • 「品質の統計的管理8日間コース」等 • QCサークルの源流
デミング賞 • 総合品質管理の進歩に功績のあった民間の団体および個人に授与 • デミングからの寄付を契機として設立 – • セミナーの講義録、書籍の日本語版の印税 デミング賞 – – – – – – – – – – 1951年 1952年 ... 1956年 ... 1960年 1961年 1964年 1965年 … 田辺製薬(現・田辺三菱製薬) 旭化成、武田薬品工業、NEC、古河電気工業 小西六写真工業(現・コニカミノルタ)、富士フイルム、三菱電機 日産自動車 帝人、日本電装 (現・デンソー) 小松製作所 トヨタ自動車
トヨタ生産方式の確立 • 2本の柱 – – ジャスト・イン・タイム 自働化 • • • 1963:かんばん方式の導入 – – • 共存共栄のための有効な手段として定着 生産の平準化をあわせて推進 – • 「かんばん」の指示に従って部品をつくれば、常に必要数量だけが各工場間で受け渡されることになり、各工程における 在庫は解消する。 生産ラインにスムーズな流れがつくり出されていった。 1965年~:協力会社からの部品引き取りにも「かんばん」を採用 – • 機械に自動停止装置を取り付け、異常発生と同時に自動的に停止させることで、不良品と知らずに作るムダを生じさせない 「目で見る管理」:「アンドン」と呼ばれる表示装置を各ラインの監督者からよく見える位置に置き、異常発生と同時に自動あ るいは手動によりアンドンを点燈させ、監督者はすぐに異常現場に飛んでいき処置をとる(1966) 各工程で過剰な人員や設備を抱え込むことのないよう、生産品目と生産量の平均化 生産量の変動にきめ細かく対処していく – 可動率(設備を動かしたい時にいつでも動かせる割合)を高めること、つまり設備の信頼性を高めることが重要 • 重要工程についての可動率向上対策が強力に展開された – 異常の早期検出、日常点検と定期点検の強化を図るとともに、工程・設備上の改善などあらゆる角度からの対策
通商摩擦 • 1980年:日本の自動車生産は1,000万台を突破し、 米国を抜いて世界一に – 商用車を含む輸出比率が54% – 米国の乗用車需要 • 日本車は9%増の191万台へと増加、シェアは21.3% • 米国車は21%減少 • ゼネラル・モーターズ(GM)社、フォード・モーター社、クライ スラー社のビッグスリーおよびアメリカン・モーターズ社は、軒 並み赤字に転落 – オイルショックによる低燃費(小型)車への興味の変化 » 部品の品質(精度)が小型化に寄与 • 米国国際貿易委員会(ITC)に通商法201条の発動を提訴→白判定 • 1981年:通産大臣が自主規制を合意
現地生産 • 貿易黒字の削減 • 日本の自動車会社の現地生産 – 1980年1月:本田技研工業 • オハイオ州で乗用車の生産 – 1980年4月:日産自動車 • テネシー州に小型トラック工場を建設 – 1984年2月:MUMMI(ニュー・ユナイテッド・モー ター・マニュファクチャリング) • トヨタとGM社の合弁会社
欧米での日本の産業の研究が進展 • Norman Bodek (PCS Press) – 日本の管理技術をアメリカに紹介 • Fukuda, Ryuji (1983). Managerial Engineering: Techniques For Improving Quality And Productivity In The Workplace. Stamford, CT: Productivity Press • hingo, Shigeo (1985). A Revolution in Manufacturing: The SMED System. Stamford, CT: Productivity Press. • Ohno, Taiichi (1988), Toyota Production System: Beyond Large-Scale Production, Productivity Press (トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして). • Ohno, Taiichi (1988), Workplace Management, Productivity Press(大野耐一の現場経営).
リーン生産方式 • Triumph of the Lean Production System – John Krafcik (1988) • 元NUMMI出身の品質エンジニア • リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える。 – ジェームズ・P.ウォマック,ダニエル・ルース,ダニエル・T.ジョ ーンズ(1990) – 国際自動車研究プロジェクトの成果 • ザ・トヨタウェイ (2004) – ライカー教授の20年の研究成果 – トヨタウェイ2001を踏まえて • 経営上の信念や価値観を目に見える形にまとめたもの
SLIM (Sales Logistics Integrated Management) • 2009/6 導入 – 広汽トヨタ自動車(GTMC)(中国の広州汽車との合弁会社) • 生産・物流・販売からアフターサービスに至るまでを高 度なIT活用で管理する新流通システム • 生産からアフターサービスまでの各プロセスに存在する 全車両をGTMCのモニター上で正確に把握 • 1台1台のプロセスを時々刻々と掌握することで不要な 滞留を減らすだけでなく、店頭の在庫・販売情報を生産 計画や販売店への配車計画に高頻度で反映させるリーン で効率的な流通につなげている
品質問題 • 2009年8月28日 – レクサスが高速走行中に制御不能となり、土手に激突して炎上 – サイズの合わない別の車種の全天候型フロアマットを留め具に引っかけず に使っていたことから、マットにアクセルペダルが引っかかり全開のまま 戻らなくなっていた – リコール • 米国で426万台、全世界610万台 • 2010年1月21日 – アクセルペダルの戻り遅れでカローラ、RAV4、カムリなど、主力車種を含 む8車種のリコール • 2010年2月9日 – 3代目プリウスのブレーキに、路面の状況によっては運転者の予測しない制 動フィーリングが生じることがわかった • ABS制御のプログラムに起因
トヨタ再出発の日 • オールトヨタ緊急ミーティング – 2010年3月5日 – オールトヨタで品質に対する取り組みの重要性を原 点に立ち帰って再認識 – 2月24日をトヨタ再出発の日に • 下院の監督・政府改革委員会の公聴会に出席・証言 • 豊田社長とトヨタ・モーター・ノース・アメリカ(TMA)の 稲葉良睍社長
新たな品質保証体制の構築 • 「グローバル品質特別委員会」による取り組み強化策 – – リコールなどの市場処置決定 情報収集力の強化 • SMART隊(Swift Market Analysis Response Team) – – • お客様や販売店から収集した安全にかかわる情報を分析し、スピード重視で原則24時間以内に技術スタッフがお客様とコンタ クトを試みる活動 指摘された現象の再現・確認のほか、必要に応じて車両運行状況を知る手がかりとなるデータの収集や部品回収なども行う サービス技術分室 – 安全に関する事象に対して、現地現物で迅速な調査や分析が行える体制が強化 – – タイムリー・的確な情報開示 製品のさらなる安全性と安心の向上 – 人材育成 • 2010年7月に「カスタマー・ファースト・トレーニング・センター」(CFTC) – 教育プログラム別に各地域でトレーナーを育成し、品質の基礎や専門的な教育のほか、地域固有のテーマに特化したプログラ ムを展開 » • 私たちの心構えを提唱 – • 基礎教育:「お客様第一主義」や品質重視の考え方に焦点を当てた「品質のトヨタウェイ」、専門教育では品質事例に基づく実務 的カリキュラムなどが組まれた 「お客様第一」「チャレンジ」「改善」「現地現物」「質実剛健」「チームワーク」「当事者意識」「謙虚・感謝」 「正直」「愛社精神」の10項目 ハード面でのさらなる「安全」の追求に加え、「安心感」という分野への取り組みも強化してお客様の 期待や要望に応えていく
トヨタの生産方式の歴史 自働化 ジャスト・イン・タイム ( ) ) ( ) 統計的品質管理(デミング) 日科技連のセミナー(1950) か ん 書籍(大野):和書 1978, ば 英語版 1988 ん 方 トヨタ生産方式 式 19 61 19 リ 55 John Krafcik (1988) ー TQC( 豊田商会(1905) トヨタ自動車工業(1937操業) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 方 式 19 54 ザ・トヨタウェイ (2004) ン 生 産 方 式 米国での現地 生産(1984) トヨタ再出発の日(2010) 海外展開 新たな品質保証体制
歴史のおさらい • トヨタの生産方式 • アジャイル • 生産方式以外への拡張
アジャイルソフトウェア開発 • アジャイルソフトウェア開発宣言 (2001) – 以下の価値を重視する開発方法 • • • • プロセスやツールよりも個人と対話を 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを 契約交渉よりも顧客との協調を 計画に従うことよりも変化への対応を – Kent Beck, Mike Beedle, Arie van Bennekum, Alistair Cockburn, Ward Cunningham, Martin Fowler, James Grenning, Jim Highsmith, Andrew Hunt, Ron Jeffries, Jon Kern, Brian Marick, Robert C. Martin, Steve Mellor, Ken Schwaber, Jeff Sutherland, Dave Thomas – 技法 • • Rapid Application Development (1991), the Unified Process, Dynamic Systems Development Method (1994), scrum (1995), Crystal Clear, eXtreme programming (1996), Feature-Driven Development (1997) モダンアジャイル (2015) – アジャイルを今どきの技法で再構築 • CI等のツール、UX、イテレーション開発の普及
例えばscrumの歴史 • Jeff Sutherland、Jeff McKenna – Sutherland, Jeffrey Victor; Schwaber, Ken. Business object design and implementation: OOPSLA '95 workshop proceedings (1995). • 先行研究 – 竹内弘高, 野中郁次郎. “The New New Product Development Game". Harvard Business Review (January 1, 1986). • 富士ゼロックス、キヤノン、本田技研工業、日本電気、セイコーエプソン、ブラザー 工業、3M、ゼロックス、ヒューレット・パッカードなどを参考に研究 – ホンダの生産システム • SEDシステム – – 営業(Sales,本田技研工業),生産(Engineering,ホンダエンジニアリング/本田技研工業),開発( Development,本田技術研究所)を一緒したプロジェクトチームを作り製品開発 スピード(工程密度の高い加工)と独創的な生産技術の開発
日本の大量生産方式(トヨタ・ホンダ)の基本思想 • 科学的操業法(1913) – 武藤山治 (鐘淵紡績) – 目に見えざる無駄なる手数の損失を有利に利用し、 之を変じて物質的の効果を収め、 雇用者・被雇用者 双方の利益を増進せしめんとする – 骨子 • 仕事の段取り:待ち時間をなくす • 仕事上の規律:仕事を標準化する • 疲労の軽減:適切な道具を使う – テイラーの科学的管理法を参考にまとめられた
科学的管理法 (テイラー・システム) • 20世紀初頭:現代の経営管理論や生産管理論の源流の一つ • 目的:管理についての客観的な基準を作る事で、労使協調体制を構築し、 結果として生産性の増強や、労働者の賃金の上昇に繋がって、労使が共存 共栄するための方法の確立 • 科学的管理法の原理 – 課業管理 (ノルマ、成功報酬など) – 作業の標準化(標準的作業時間の設定、作業手順・工具の標準化) – 作業管理のために最適な組織形態(職能別組織) • 部請負制度・徒弟制度の解体 • 批判 – ホワイトカラーとブルーカラーの対立 – 人間性を軽視(効率だけを追求・)
トヨタとアジャイル 自働化 ジャスト・イン・タイム 海外展開 新たな品質保証体制 ) ザ・トヨタウェイ (2004) ン 生 産 方 式 The New New Product Development Game (竹内弘高, 野中 1986) Agileソフトウェア開発 (2001) DevOps (2008) scrum (Ken&Jeff 1995) ) RAD, RUP, DSDM, Crystal, XP, FDD(1991-) UX, ANZEN モ ダ ン ア ジ ャ イ ル 20 15 ( ホンダの生産システム トヨタ再出発の日(2010) ) ) 山 治 ( 鐘 紡 1 9 1 3 ) ) ( ラ ー 1 9 1 0 年 代 統計的品質管理(デミング) 日科技連のセミナー(1950) 米国での現地 生産(1984) ( ( F.W. 科 科 学 学 的 的 管 操 テ理 武 業 イ法 藤 法 か ん 書籍(大野):和書 1978, ば 英語版 1988 ん 方 トヨタ生産方式 式 19 61 19 リ 55 John Krafcik (1988) ー TQC( 豊田商会(1905) トヨタ自動車工業(1937操業) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 方 式 19 54
トヨタとアジャイル 自働化 ジャスト・イン・タイム 海外展開 新たな品質保証体制 ) ザ・トヨタウェイ (2004) ン 生 産 方 式 The New New Product Development Game (竹内弘高, 野中 1986) 直接のつながりはない Agileソフトウェア開発 (2001) DevOps (2008) scrum (Ken&Jeff 1995) ) RAD, RUP, DSDM, Crystal, XP, FDD(1991-) UX, ANZEN モ ダ ン ア ジ ャ イ ル 20 15 ( ホンダの生産システム トヨタ再出発の日(2010) ) ) 山 治 ( 鐘 紡 1 9 1 3 ) ) ( ラ ー 1 9 1 0 年 代 統計的品質管理(デミング) 日科技連のセミナー(1950) 米国での現地 生産(1984) ( ( F.W. 科 科 学 学 的 的 管 操 テ理 武 業 イ法 藤 法 か ん 書籍(大野):和書 1978, ば 英語版 1988 ん 方 トヨタ生産方式 式 19 61 19 リ 55 John Krafcik (1988) ー TQC( 豊田商会(1905) トヨタ自動車工業(1937操業) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 方 式 19 54
リーンとアジャイルのミッシングリング • リーン・シンキング (1995) – ジェームズ・P・ウォーマック, ダニエル・T・ジョーンズ • 「リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える。」の著者 – リーンの考え方を自動車の生産以外でも実践 • リーンソフトウエア開発~アジャイル開発を実践する 22の方法~(2003) – Mary and Tom Poppendieck – リーン思考をアジャイル開発に当てはめるための思考法 • アジャイル開発の本質が浮かび上がってきた • Agileの各手法の構築者はリーンを以前から熟知
トヨタとアジャイル 自働化 ジャスト・イン・タイム トヨタ再出発の日(2010) 海外展開 新たな品質保証体制 ) ザ・トヨタウェイ (2004) ン 生 産 方 式 リ ー ン 思 考 リーンソフト ウェア開発 Poppendieck & Poppendieck (2003) Agileソフトウェア開発 (2001) scrum (Ken&Jeff 1995) UX, ANZEN モ ダ ン ア ジ ャ イ ル 20 15 ) RAD, RUP, DSDM, Crystal, XP, FDD(1991-) DevOps (2008) 補強 ( The New New Product Development Game (竹内弘高, 野中 1986) Womack & Jones (1996) ホンダの生産システム ) ) 山 治 ( 鐘 紡 1 9 1 3 ) ) ( ラ ー 1 9 1 0 年 代 統計的品質管理(デミング) 日科技連のセミナー(1950) 米国での現地 生産(1984) ( ( F.W. 科 科 学 学 的 的 管 操 テ理 武 業 イ法 藤 法 か ん 書籍(大野):和書 1978, ば 英語版 1988 ん 方 トヨタ生産方式 式 19 61 19 リ 55 John Krafcik (1988) ー TQC( 豊田商会(1905) トヨタ自動車工業(1937操業) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 方 式 19 54
歴史のおさらい • トヨタの生産方式 • アジャイル • 生産方式以外への拡張
TPSは生産方式 • トヨタ生産方式は「生産」技術 – 作り方が決まっているものを大量に作る • バリエーションはあったとしても、マニュアル(標準)は存在 • ゲームのような個別のプロダクトに適切なプロセ スなのだろうか?
トヨタ生産方式の生産以外への拡張 • トヨタ製品開発システム (2006) – ジェームズ・M・モーガン, ジェフリー・K・ライカー(ザ・ トヨタウェイ著者) – トヨタの研究として製品開発を形式知化 • 自工程完結 – 「品質は工程で造りこもう」 • 社内パンフレット(1962)の表題 • このスローガンを心がけにせず科学的にアプローチする取り組み – 2007年から全社展開 • 事務部門にまでTPSのノウハウを適応する
トヨタとアジャイル 自働化 ジャスト・イン・タイム 自工程完結 米国での現地 生産(1984) 海外展開 ン 生 産 方 式 新たな品質保証体制 Jones & Jeffrey(2006) リ ー ン 思 考 リーンソフト ウェア開発 Poppendieck & Poppendieck (2003) Agileソフトウェア開発 (2001) scrum (Ken&Jeff 1995) UX, ANZEN モ ダ ン ア ジ ャ イ ル 20 15 ) RAD, RUP, DSDM, Crystal, XP, FDD(1991-) DevOps (2008) 補強 ( The New New Product Development Game (竹内弘高, 野中 1986) Womack & Jones (1996) ザ・トヨタウェイ (2004) トヨタ再出発の日(2010) トヨタ製品開発システム ) ホンダの生産システム か ん 書籍(大野):和書 1978, ば 英語版 1988 ん 方 トヨタ生産方式 式 19 19 61 リ 55 John Krafcik (1988) ー ) ) 山 治 ( 鐘 紡 1 9 1 3 ) ) ( ラ ー 1 9 1 0 年 代 統計的品質管理(デミング) 日科技連のセミナー(1950) スタッフ部門への導入(2007) ( ( F.W. 科 科 学 学 的 的 管 操 テ理 武 業 イ法 藤 法 「品質は工程で造りこもう」 社内パンフレット(1962) TQC( 豊田商会(1905) トヨタ自動車工業(1937操業) ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 方 式 19 54