臨床疫学研究における 傾向スコア分析の使い⽅ 〜観察研究における治療効果研究〜

124.5K Views

May 24, 22

スライド概要

profile-image

一般社団法人臨床疫学研究推進機構

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

臨床疫学研究における 傾向スコア分析の使い⽅ 〜観察研究における治療効果研究〜 奥村泰之 公益財団法⼈東京都医学総合研究所 精神⾏動医学研究分野 第4回臨床研究実践講座ワークショップ 2020/2/27 (⽊) 12:30~16:30 JAM⾦属労働会館3階 301・302会議室

2.

構成                はじめに 活⽤事例 効果の種類 共変量の選択法 傾向スコアの推定 傾向スコアの利⽤①概要 傾向スコアの利⽤②マッチング法 傾向スコアの利⽤③重み付け法 バランスの評価 効果の推定 落ち葉拾い 報告ガイドライン データ解析環境R①マッチング法 データ解析環境R②重み付け法 おわりに 2

3.

英語表記 Propensity (Score) Analysis/Methods/Matching Matching Methods Weighting Methods 3

4.

⽇本発の論⽂急増 150 166 134 100 97 50 71 0 24 28 81 37 7 7 3 11 12 1 0 0 0 0 0 1 0 1999 2002 2005 2008 2011 2014 2017 検索⽇: 2019/01/7 検索式: (propensity score*[tiab] OR propensity match*[tiab] OR propensity analy*[tiab]) AND (japan*[tiab]) 4

5.

傾向スコア分析の使⽤⽬的 アウトカムの測定後に傾向スコア分析を ⾏い,選択バイアスを減らして,治療の 効果を検討する アウトカムの測定前に傾向スコア分析を ⾏い,追跡する集団を限定する Stuart EA: Stat Sci 25:1-21, 2010 . 5

6.

変数の役割と尺度⽔準 1つのアウトカム 量的変数/質的変数/イベント発⽣までの時間 • ⽣活の質,⽣きている/死んでいる,⽣存時間 1つの処置変数 名義尺度 (2⽔準が中⼼) • 処置群/対照群 1つ以上の共変量 量的変数/質的変数 共変量 処置変数 アウトカム 6

7.

傾向スコア分析の流れ 共変量の選択 傾向スコアの推定 反復 傾向スコアの利⽤ バランスの評価 マッチング 重み付け 層化 共変量調整 効果の推定 効果の解釈 Ali MS et al: J Clin Epidemiol. 2014 Nov 26. pii: S0895-4356(14)00347-3 7

8.

活⽤事例 8

9.

急性⼼筋梗塞におけるハロペリドール使⽤ による死亡リスク Park Y et al: BMJ. 2018 Mar 28;360:k1218. 9

10.

研究疑問 抗精神病薬を処⽅された急性⼼筋梗塞を a t i e n t 有する18歳以上の⼊院患者 経⼝ハロペリドールの使⽤ xposure P E 経⼝リスペリドン/オランザピン/クエチ Comparison アピンの使⽤ 処⽅開始7⽇以内の院内死亡 Outcome 10

11.

背景① 認知症の⾏動・⼼理症状に対する,抗精神病 薬の安全性が検討されてきた 「定型薬と⾮定型薬の両クラスとも,死亡リ スクが上昇する」ことを,2005年と2008年に ⽶FDAは添付⽂書で⿊枠警告として含めた ただし,その時点では,定型薬の⽅が死亡リ スクが⾼いか否かを結論づける,⼗分なエビ デンスがなかった その後,外来・介護施設で,定型薬の⽅が死 亡リスクが⾼いことが明らかになってきた 11

12.

背景② ⼊院において抗精神病薬は,せん妄の管理の ために頻⽤されているが,その安全性は⼗分 に検討されていない 抗精神病薬は,QTc延⻑や不整脈など循環器 系への悪影響がある したがって,⼼疾患による⼊院患者は,抗精 神病薬によるリスクに,より脆弱であること が予想される 12

13.

データ源 データベース名 Premier Research Database 国 ⽶国 対象 700病院の退院データ 代表性 約20% 13

14.

適格基準  18歳以上  主傷病が急性⼼筋梗塞  経⼝抗精神病薬(ハロペリドール/リスペリドン/オランザピ ン/クエチアピン)の使⽤  最低3⽇以上の在院  ⼊院3⽇までの間に最低2⽇は抗精神病薬を未使⽤  抗精神病薬の開始時に2種類以上の抗精神病薬が使⽤ されていない  統合失調症/双極性障害の診断名を有さない  冠動脈バイパス術を受けていない 14

15.

処置変数 処置群 定型薬(経⼝ハロペリドール)の使⽤ 対照群 ⾮定型薬(経⼝リスペリドン/オランザピン/クエチアピ ン)の使⽤ 処⽅中断の定義 2⽇以上の間,処⽅がない 処⽅変更の定義 薬剤クラスの変更 (定型薬➠⾮定型薬) 経⼝以外の抗精神病薬の使⽤ 15

16.

アウトカムと追跡期間の定義 アウトカム 院内死亡 追跡期間の定義 抗精神病薬の使⽤開始から7⽇間 打ち切りの定義 死亡,退院,追跡期間の終了 16

17.

解析対象集団 主解析: ITT*集団 *intention-to-treat 処⽅変更・中断を考慮しない 副解析: as-treated集団 処⽅変更・中断を打ち切りとする 17

18.

共変量  患者属性  性別, 年齢, ⼈種など  病院特性  地域,病床数,⼈⼝など  慢性疾患(退院時サマリ)  Charlsonインデックス,パーキンソン病など  処⽅薬(インデックス⽇より前)  抗⾎⼩板薬,抗凝固薬,ヘパリン静注など  処置(インデックス⽇より前)  経⽪冠動脈術,⼤動脈内バルーンなど  その他  抗精神病薬開始までの⽇数 18

19.

流れ図 2003~2014年の間に抗精神病薬の処⽅が ある18歳以上の⼊院患者 (n = 125264) 主傷病が急性⼼筋梗塞 (n = 64140) 経⼝の曝露・対照薬 (n = 28303) 研究コホート (n = 6578) 除外:  在院⽇数<3 (n=1688)  在院1~2⽇⽬に抗精神病薬 (n=17434)  ⾮経⼝の抗精神病薬 (n=477)  統合失調症/双極性障害 (n=783)  冠動脈バイパス術 (n=1342)  背景因⼦に⽋測 (n=1) 19

20.

ロジスティック回帰分析により 傾向スコアを推定 ⾮定型薬 ハロペリドール 20

21.

傾向スコアの利⽤  Patients who received an atypical antipsychotic were matched to patients who received haloperidol using a 1:1 nearest neighbor matching algorithm with a caliper of 0.2 of the standard deviation of the propensity score on the logit scale. Nearest neighbor matching/1:1/0.2SD 21

22.

バランスの評価(抜粋) マッチング前 マッチング後 背景因⼦ ハロペリドール (n=1668) ⾮定型薬 (n=4910) ハロペリドール (n=1659) ⾮定型薬 (n=1659) 平均年齢 77.0 74.6 77.0 76.8 ⽩⼈ 68.9% 73.0% 69.0% 69.6% 緊急⼊院 91.9% 94.2% 91.9% 91.7% ⼼電図 1.0% 0.2% 0.5% 0.6% 抗⾎⼩板薬 90.1% 86.4% 90.1% 90.0% スタチン 65.3% 58.8% 65.3% 65.3% 22

23.

効果の推定 ハロペリドール 7.8% vs. ⾮定型薬 5.5% 解析対象集団 ハザード⽐ (95%信頼区間) ITT*集団 1.51 (1.22 to 1.85) as-treated集団 1.93 (1.34 to 2.76) *intention-to-treat 23

24.

結論 ハロペリドールは,⻑年にわたって,せん妄 管理のために活⽤されてきた。しかし,ハロ ペリドールに脆弱性のある⼼疾患を有する患 者にとって,⾮定型抗精神病薬の⽅が害は少 ないと思われる。 24

25.

効果の種類

26.

平均処置効果 Average Treatment Effect (ATE) ⺟集団の構成員すべてが処置群から対照群に変 化したときの,アウトカムの期待値の差 対照 処置 アウトカム (Yi) ID 処置変数 (Zi) 対照 1 処置 対照 Di 7.6 6.1 1.5 2 処置 7.9 7.2 0.7 3 対照 4.1 5.2 -1.1 4 ・ 処置 7.1 ・ 4.8 ・ 2.3 ・ 8.3 6.9 1.4 ・ 対照 N 注) ⻘⾊は⽋測値 Schafer JL, Kang J: Psychol Methods 13: 279-313, 2008. 26

27.

処置群の平均処置効果 Average Treatment effect for Treated (ATT) ⺟集団の構成員のうち処置群が対照群に変化し たときの,アウトカムの期待値の差 処置 処置 対照 処置 アウトカム (Yi) ID 処置変数 (Zi) 対照 1 処置 対照 Di 7.6 6.1 1.5 2 処置 7.9 7.2 0.7 3 対照 4.1 5.2 -1.1 4 ・ 処置 7.1 ・ 4.8 ・ 2.3 ・ 8.3 6.9 1.4 ・ 対照 N 注) ⻘⾊は⽋測値 Schafer JL, Kang J: Psychol Methods 13: 279-313, 2008. 27

28.

効果の種類の選択法 ある効果研究の 適格基準に合致した患者全員に 当該処置をすることは実現可能︖ はい 平均処置効果 (ATE) Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. いいえ 処置群の 平均処置効果 (ATT) 28

29.

⼼房細動からの脳梗塞予防に対する 抗⾎栓療法の有⽤性(ワルファリン vs ダビガトラン) 両剤とも代替性があるため ⼼房細動診断を有する全ての患者が ダビガトランによる処置を受けられる 平均処置効果 (ATE) Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. 29

30.

プライマリケアの喫煙者への 禁煙推奨冊⼦の有⽤性(冊⼦提供あり vs 提供なし) プライマリケアの喫煙者すべてが 冊⼦による処置を安価に受けられる 平均処置効果 (ATE) Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. 30

31.

妊婦への抗精神病薬による 先天性奇形のリスク(抗精神病薬 vs 無投薬) 安全性の懸念から 統合失調症等の診断を有する全ての妊婦が 抗抗精神病薬による処置を受けられない 処置群の 平均処置効果 (ATT) Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. 31

32.

喫煙者への禁煙カウンセリングの有⽤性 (介⼊あり vs 介⼊なし) 費⽤の懸念から すべての喫煙者が禁煙カウンセリング による処置を受けられない 処置群の 平均処置効果 (ATT) Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. 32

33.

傾向スコアの利⽤法と効果の種類 利⽤法 平均処置効果 (ATE) △ 処置群の 平均処置効果 (ATT) ○ 重み付け ○ ○ 層化 ○ ○ 共変量 ○ ✕ マッチング Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. 33

34.

効果の種類×利⽤法により推定値は異なる 急性⾮代償性⼼不全へのCPAPの効果(使⽤ vs. ⾮使⽤) 解析前に効果の種類を選択すべき 利⽤法×効果の種類 n ⽣存率の差 (95%信頼区間) マッチング-ATT 952 0.03 (−0.02, 0.08) 重み付け-ATT 4953 0.02 (0.01, 0.02)* 重み付け-ATE 4953 0.05 (−0.01, 0.12) ATE=平均処置効果; ATT=処置群の平均処置効果 Pirracchio R et al: Stat Methods Med Res. 2016 Oct;25(5):1938-1954. 34

35.

効果の種類により 推定値が⼤きく異なる2つの要因 正値性の仮定からの逸脱 (violation or near violation of positivity assumption) 傾向スコアの分布ごとに⾮均質な効果 (non-uniformity of treatment effect across the PS strata) Pirracchio R et al: Stat Methods Med Res. 2016 Oct;25(5):1938-1954. 35

36.

記載例 平均値処置効果(ATE)  In our study, the insured were men with health insurance whilst the counterfactual group were those without insurance coverage. Under ideal conditions, the effective strategy would be to obtain the average effect of insurance coverage on prostate cancer screening, also known as the average treatment effect (ATE).[1] 処置群の平均処置効果(ATT)  The question of interest was whether the treated group (the BIC [Breakfast in the Classroom] schools) had different outcomes than they would have if not provided with the BIC program or the average treatment effect among the treated;[2] [1] Kangmennaang J, Luginaah I: J Cancer Epidemiol. 2016;2016:7284303. [2] Anzman-Frasca S et al: JAMA Pediatr. 2015 Jan;169(1):71-7. 36

37.

共変量の選択

38.

共変量の選択法 最重要 領域固有の知識[1] 統計的検定[1] 関連の強さ[1] ⾼次元傾向スコア[2] 共変量 処置変数 [1] Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. [2] Jackson JW et al: Curr Epidemiol Rep. 2017 Dec;4(4):271-280. アウトカム 38

39.

共変量の分類①交絡変数(confounding variable) 交絡変数(X): 処置(Z)とアウトカム(Y)を規定する変数 1歳時点のアセトア ミノフェン処⽅(Z) 喘息(Y) ウィルス感染(X) 調整すべき変数 Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. Williams TC et al: Pediatr Res. 2018 Oct;84(4):487-493. 39

40.

共変量の分類②リスク因⼦(risk factor) リスク因⼦(R): アウトカム(Y)と関連するが 処置(Z)と関連しない変数 抗精神病薬の種類(Z) 死亡(Y) 年齢(R) 調整すべき変数 Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. 40

41.

共変量の分類③操作変数(instrumental variable) 操作変数(IV): 処置(Z)と強く関連するが アウトカム(Y)には直接関係しない変数 昨年の術式選 択割合(IV) 術式(Z) 死亡(Y) ※頸動脈内膜剥離術 vs 頸動脈ステント留置術 調整すべきでない変数 Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. Columbo JA et al: JAMA Netw Open. 2018 Sep 7;1(5):e181676. 41

42.

共変量の分類④中間変数(intermediate variable) 中間変数(I): 処置(Z)の影響を受け 処置とアウトカムの因果関係の間にある処置後の変数 妊娠⾼⾎圧腎症(Z) ⼩児脳性⿇痺(Y) 早産(I) 調整すべきでない変数 Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. Ananth CV, Schisterman EF et al: Am J Obstet Gynecol. 2017 Aug;217(2):167-175. 42

43.

共変量の分類⑤合流点(collider) 合流点(C): 2つ以上の要因から影響を受ける変数 肥満(Z) 糖尿病(C) 死亡(Y) 遺伝など未測定の 交絡変数(U) 調整すべきでない変数 Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. Zahir SF et al: Diabetologia. 2019 May;62(5):754-758. 43

44.

共変量選択の留意点 ① ② ③ ④ 共変量は真に処置前変数であること[1] 共変量を増やすよう重視すること[2] 信頼性のある共変量を選択すること[3] 共変量をカテゴリ化する場合は,臨床的に 意味のある閾値を使うこと[4] ⑤ ⾮線形関係が期待される場合は,⼆次・三 次の項を加えること[4] ⑥ 共変量の測定期間を変えるなど感度分析を ⾏うこと[1] [1] Jackson JW et al: Curr Epidemiol Rep. 2017 Dec;4(4):271-280. [2] Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. [3] Harris H, Horst SJ: Pract Assess Res Eval. (2016) 21:1–11 [4] Yang JY et al: Gastrointest Endosc. 2019 Sep;90(3):360-369. 44

45.

記載例①共変量選択理由  We identified potential confounders that were plausibly associated with both the choice of antipsychotic and the risk of in-hospital death based on clinical knowledge, using information from hospital admission to the day before initiation of an antipsychotic. In addition to hospital characteristics (teaching, urban), the covariates included patient characteristics and conditions that were plausibly associated with the choice of antipsychotic and the risk of in-hospital death (see supplementary table S1 for the list of covariates). Park Y et al: BMJ. 2018 Mar 28;360:k1218. 45

46.

記載例②共変量リスト Pasternak B et al: BMJ. 2018 Mar 8;360:k678. 46

47.

傾向スコアの推定

48.

傾向スコアとは 正式な理解 観測した共変量が与えられた条件下で,ある 処置を受ける条件付き確率 直感的な理解 ある⼈の処置前の共変量を考慮したときに, ある⼈が処置を受ける確率 Trojano M et al: Int MS J 16: 90-7, 2009. 48

49.

傾向スコア推定の統計モデル ロジスティック回帰(logistic regression) 正規化回帰モデル(penalized/regularized regression) 分類⽊・回帰⽊(Classification and Regression Trees: CART) ランダムフォレスト(random forest) サポートベクターマシーン(support vector machine) ブースティング(boosting) スーパーラーナー(super learner) ニューラルネットワーク(neural networks) Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. 49

50.

統計モデルの⽐較研究① Logistic regression vs. CART vs. Bagging vs. Random Forest vs. Neural Network vs. naive Bayes[1] Random Forestがベスト Logistic regressionとNeural Networkも良い Logistic regression vs. boosted CART vs. Covariate-balancing propensity score(CBPS)[2] CBPSが良い バランス評価をすればLogistic regressionも良い [1] Cannas M, Arpino B: Biom J. 2019 Jul;61(4):1049-1072. [2] Wyss R et al: Am J Epidemiol. 2014 Sep 15;180(6):645-55. 50

51.

統計モデルの⽐較研究② Logistic regression vs. CART vs. pruned CART vs. bagged CART vs. Random Forest vs. boosted CART[1] ⾮線形性あるいは⾮加法性のいずれかの条件では,す べての⼿法は許容可能な⽔準 ⾮線形性かつ⾮加法性の条件では,boosted CARTと random forestを推奨 Logistic regression vs. CART vs. pruned CART vs. Neural Network[2] Logistic regressionの頑健性は⾼い [1] Lee BK et al: Stat Med. 2010 Feb 10;29(3):337-46. [2] Setoguchi S et al: Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2008 Jun;17(6):546-55. 51

52.

傾向スコア推定の変数役割 従属変数 処置変数 (Z) (処置群/対照群) 独⽴変数 共変量 (X) 傾向スコアの推定値 ( êi ) 予測値: 処置群 特徴 得点可能範囲: 0〜1 サイズ: 標本サイズと同じ 共変量 (X) 処置変数 (Z) Austin PC et al: Analysis of observational health care data using SAS (pp51-84). SAS press. 2010. 52

53.

観察研究における傾向スコア ⼈により異なる ID 処置変数 (Zi) 傾向スコア (ei) 1 対照 0.2 2 処置 0.2 3 対照 0.3 4 処置 0.3 ・ ・ ・ N 対照 0.4 Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. 傾向スコアが近い⼈同⼠ は共変量パターンが類似 する可能性が⾼い 53

54.

RCTにおける傾向スコア 研究法で規定される ID 処置変数 (Zi) 傾向スコア (ei) 1 対照 0.5 2 処置 0.5 3 対照 0.5 4 処置 0.5 ・ ・ ・ N 対照 0.5 Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. 54

55.

傾向スコア推定前の評価 処置/⾮処置の可能性をほぼ説明する ⽔準は適格基準とする(e.g. 成⼈に限る) 年齢 ⾷道拡張術の 実施 (n=177) ⾷道拡張術の ⾮実施 (n=597) 0-9 0% 28% 10-17 6% 26% 18-29 28% 13% 30-39 21% 13% 40+ 45% 21% Yang JY et al: Gastrointest Endosc. 2019 Sep;90(3):360-369. 55

56.

傾向スコア推定後の評価 共通領域(common support) が狭いと⽐較できない 患 者 数 ステロイド使 必ずステロイ 必ずステロ ⽤と⾮使⽤が ド⾮使⽤ イド使⽤ ありえる ステロイド使⽤の傾向スコア Leisman DE: Crit Care Med. 2019 Feb;47(2):176-185. 56

57.

共通領域が狭い場合*の対処法 *⾮共通領域を除くと対象者の多くがいなくなる場合 対照群の定義を変える 適格基準の定義を変える Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. 57

58.

記載例①傾向スコア推定後の評価  The largely overlapping distributions of propensity scores (see supplementary figure S2) suggest that haloperidol and atypical antipsychotics were used interchangeably in many instances, judged by the measured covariates. ⾮定型薬 Park Y et al: BMJ. 2018 Mar 28;360:k1218. ハロペリドール 58

59.

記載例②ロジスティック回帰  The propensity score for fluoroquinolone exposure was estimated by a logistic regression model, including 47 covariates as predictors, covering demographic information, medical history, prescription drug use, and healthcare use (web table 2). Pasternak B et al: BMJ. 2018 Mar 8;360:k678. 59

60.

記載例③boosted CART  Because of the observational nature of the present study and to minimize confounding, we modeled the probabilities of developing high ESs at 11 and 15 years old using the PS weighting (PSW) method, which used generalized boosted modeling (GBM) to calculate PSs, in twang package in R.[ref] GBM has been made popular in the machine learning community as one of the latest prediction methods, allowing researchers to powerfully estimate exposure probability (PS) on the basis of many predicting covariates. It fits several models, both linear and nonlinear, using a regression tree and then merging predictions computed by each model.[ref] Regression trees do not require researchers to specify functional forms of variables (ie, they handle continuous, nominal, ordinal, and missing independent variables, as well as nonlinear and interaction effects).[ref] Covariables used to compute PS at 11 years old and PS at 15 years old using GBM were chosen considering previous work on ESs and CVD risk2 and can be found in the Figure. Number of interaction trees was set on 5000, shrinkage in 0.01 and level of interactions in 2, which were basically set to minimize prediction errors by means of subsampling strategies.[ref] Belem da Silva CT et al: J Am Heart Assoc. 2019 Jan 22;8(2):e011011. 60

61.

傾向スコアの利⽤①概要 61

62.

傾向スコアの利⽤法 傾向スコアマッチング(propensity score matching) 傾向スコアの逆確率重み付け(inverse probability of treatment weighting using the propensity score) 傾向スコアの層化/層別 (stratification/subclassification on the propensity score) 傾向スコアの共変量調整(covariate adjustment using the propensity score) Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. 62

63.

傾向スコアマッチング 処置群 対照群 傾向スコア の推定 マッチする相 ⼿がいない 傾向スコア マッチング Kuss O et al: Dtsch Arztebl Int. 2016 Sep 5;113(35-36):597-603. アウトカム の評価 63

64.

傾向スコアの逆確率重み付け 処置群 対照群 ⼤きく 重み付け 傾向スコア の推定 アウトカム の評価 重み付け 傾向スコア (PS) 重み (1/PS) 傾向スコア (PS) 重み (1/[1-PS]) 0.49 2.04 0.21 1.27 0.61 1.64 0.49 1.96 0.89 1.12 0.61 2.56 0.95 1.05 0.89 Kuss O et al: Dtsch Arztebl Int. 2016 Sep 5;113(35-36):597-603. 9.09 処置群 対照群 64

65.

傾向スコアの層化 処置群 対照群 傾向スコア の推定 層化 (五分位など) Kuss O et al: Dtsch Arztebl Int. 2016 Sep 5;113(35-36):597-603. アウトカム の評価 65

66.

傾向スコアの共変量調整 処置群 対照群 傾向スコア の推定 回帰モデルに処置変数と傾向スコア を独⽴変数として投⼊してアウトカ ム評価 Kuss O et al: Dtsch Arztebl Int. 2016 Sep 5;113(35-36):597-603. 66

67.

マッチングの特徴 強み サブグループ分析が容易 弱み アウトカム評価において対応を考慮すべきか 合意がない マッチングの過程で対象者が除外されると, 精度と⼀般化可能性が下がる Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. 67

68.

重み付けの特徴 強み 時間依存共変量に拡張できる 弱み 極端な重みと⾮共通領域の存在が課題 アウトカム評価においてブートストラップ法 やロバスト分散の使⽤が必要 サブグループ分析は複雑 Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. 68

69.

層化の特徴 強み アウトカム評価の⽅法が明瞭 弱み 傾向スコアの層による効果修飾があると解釈 が複雑になる 残余交絡が⽣じやすい Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. 69

70.

共変量調整の特徴 強み 実施が容易 弱み モデル依存性が⾼い 傾向スコアとアウトカムとの関連が線形であ り,傾向スコアと処置変数との交互作⽤がない という仮定が必要 アウトカムが質的変数の場合,効果の解釈が 複雑になる Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. 70

71.

マッチングと重み付けの標的集団 マッチング ⺟集団から標本抽出された構成員のうちマッ チングをできた⼈すべてが,ある処置を受けた 場合 vs. もう⼀⽅の処置を受けた場合,どうな るか︖ 重み付け ⺟集団から標本抽出された構成員すべてが, ある処置を受けた場合 vs. ある処置を受けな かった場合,どうなるか︖ Thomas L et al: JAMA. 2020 Jan 10. doi: 10.1001/jama.2019.21558. 71

72.

マッチング後は年齢と受診回数の 分散が⼩さい マッチング前の特性 マッチング後の特性 マッチング された群 処置群 処置群 受 診 回 数 受 診 回 数 対照群 年齢 Thomas L et al: JAMA. 2020 Jan 10. doi: 10.1001/jama.2019.21558. 対照群 年齢 72

73.

75歳以上+受診16回以上の対照群の⼈は 過剰な重みになる 重み付け前の特性 重み付け後の特性 過剰 処置群 処置群 受 診 回 数 受 診 回 数 対照群 年齢 Thomas L et al: JAMA. 2020 Jan 10. doi: 10.1001/jama.2019.21558. 対照群 年齢 73

74.

傾向スコアの利⽤法の選択割合 84 68 マッチング 75 69 5 6 重み付け 5 7 1 9 層化 4 14 10 10 共変量調整 [1] 手術 2016-2018 (303編) [2] がん手術 2014-2015 (306編) [3] 手術 2013-2014 (129編) [4] 全体 2011-2012 (296編) 16 21 0 20 40 60 80 100 選択割合 (%) [1] Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. (不明1編) [2] Yao XI et al: J Natl Cancer Inst. 2017 Aug 1;109(8). (併⽤21編) [3] Lonjon G et al: Ann Surg. 2017 May;265(5):901-909. [4] Ali MS et al: J Clin Epidemiol. 2015 Feb;68(2):112-21. (不明3編,併⽤26編) 74

75.

傾向スコアの利⽤②マッチング法

76.

マッチングの設定 ①アルゴリズム ②構成⽐ ③抽出法 76

77.

アルゴリズムの種類 Traditional matching Greedy matching Complex matching Exact Nearest neighbor Subclassification Mahalanobis Caliper Optimal Radius Full Interval Mahalanobis with PS Mahalanobis caliper Kernal Difference-indifferene Genetic Bai H, Clark MH: Propensity score methods and applications. Sage. 2019 77

78.

Nearest neighbor matching ①処置群から無作為に1⼈選択 ②対照群から,①で選択した⼈の傾向ス コアと,最も類似の傾向スコアの⼈をペ アとする ③上記の①~②を反復 処置群の傾向スコア eˆi  0 eˆi  1 対照群の傾向スコア Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. 78

79.

Nearest neighbor matching 距離が近いペアを作る ID t1 t2 t3 t4 t5 t6 c1 c2 c3 c4 c5 c6 PS 0.48 0.97 0.69 0.68 0.96 0.34 0.31 0.00 0.74 0.02 0.52 0.29 処置群 対照群 ID PS1 ID PS2 |PS1-PS2| t1 0.48 c5 0.52 0.04 t2 0.97 c3 0.74 0.23 t3 0.69 c1 0.31 0.37 t4 0.68 c6 0.29 0.39 t5 0.96 c4 0.02 0.93 t6 0.34 c2 0.00 0.34 Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. 距離のレンジは 0.04~0.93 距離の合計は 2.31 2.31 79

80.

Nearest neighbor matchingの課題 ID t1 t2 t3 t4 t5 t6 c1 c2 c3 c4 c5 c6 PS 0.48 0.97 0.69 0.68 0.96 0.34 0.31 0.00 0.74 0.02 0.52 0.29 処置群 対照群 ID PS1 ID PS2 |PS1-PS2| t1 0.48 c5 0.52 0.04 t2 0.97 c3 0.74 0.23 t3 0.69 c1 0.31 0.37 t4 0.68 c6 0.29 0.39 t5 0.96 c4 0.02 0.93 t6 0.34 c2 0.00 0.34 Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. ⼀部 距離が⼤きい 80

81.

Caliper matching* *アルゴリズムではなく設定の⼀種と分類することもある ID t1 t2 t3 t4 t5 t6 c1 c2 c3 c4 c5 c6 PS 0.48 0.97 0.69 0.68 0.96 0.34 0.31 0.00 0.74 0.02 0.52 0.29 処置群 対照群 ID PS1 ID PS2 |PS1-PS2| t1 0.48 c1 0.31 0.17 t2 0.97 c3 0.74 0.23 t3 0.69 c5 0.52 0.16 c6 0.29 0.05 距離が0.3以上の 処置群を除外 t4 0.68 t5 0.96 t6 0.34 Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. 81

82.

キャリパーの指定 指定法 ⼀定の傾向スコアの距離 (キャリパー) に収ま る⼈をマッチングの対象とする 推奨値 傾向スコアの推定値をロジット変換した値の 標準偏差に0.2を乗じた値が推奨 Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. 82

83.

Optimal matching 距離の合計が最⼩になるペアを作る ID t1 t2 t3 t4 t5 t6 c1 c2 c3 c4 c5 c6 PS 0.48 0.97 0.69 0.68 0.96 0.34 0.31 0.00 0.74 0.02 0.52 0.29 処置群 対照群 ID PS1 ID PS2 |PS1-PS2| t1 0.48 c6 0.29 0.19 t2 0.97 c4 0.02 0.95 t3 0.69 c5 0.52 0.16 t4 0.68 c2 0.00 0.68 t5 0.96 c3 0.74 0.21 t6 0.34 c1 0.31 0.03 Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. 距離のレンジは 0.03~0.95 距離の合計は 2.22 2.22 83

84.

Full matching 1名の処置群と複数名の対照群,1名の対 照群と複数名の処置群でマッチングの組 み合わせ 処置群の傾向スコア eˆi  0 eˆi  1 対照群の傾向スコア 84

85.

構成⽐の種類 One-to-one/pair matching 1名の処置群と1名の対照群でマッチング Fixed ratio matching 1名の処置群とM名の対照群でマッチング One-to-many (1:M)/variable ratio matching 1名の処置群と1~M名の対照群でマッチング Leite W: Practical propensity score methods using R. Sage, 2016. 85

86.

One-to-many (1:M) matching 処置群1⼈に,対照群を複数(⼈により対照群 の数が変動) 処置群の傾向スコア eˆi  0 eˆi  1 対照群の傾向スコア 86

87.

抽出法の種類 ⾮復元抽出(without replacement) 処置群のペアとして同⼀の対照群の⼈を,複 数回使⽤できない 復元抽出(with replacement) 処置群のペアとして同⼀の対照群の⼈を,複 数回使⽤できる Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. 87

88.

復元抽出 同⼀の対照群を復元使⽤ ID t1 t2 t3 t4 t5 t6 c1 c2 c3 c4 c5 c6 PS 0.48 0.97 0.69 0.68 0.96 0.34 0.31 0.00 0.74 0.02 0.52 0.29 処置群 対照群 ID PS1 ID PS2 |PS1-PS2| t1 0.48 c5 0.52 0.04 t2 0.97 c3 0.74 0.23 t3 0.69 c3 0.74 0.06 t4 0.68 c3 0.74 0.07 t5 0.96 c3 0.74 0.21 t6 0.34 c1 0.31 0.03 対照群の c3は4回使⽤ 88

89.

典型的なマッチングの設定 ①アルゴリズム Caliper matching ②構成⽐ One-to-one ③抽出法 Without replacement [1] Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. [2] Yao XI et al: J Natl Cancer Inst. 2017 Aug 1;109(8). [3] Lonjon G et al: Ann Surg. 2017 May;265(5):901-909. [4] Ali MS et al: J Clin Epidemiol. 2015 Feb;68(2):112-21. 89

90.

サブグループ分析 傾向スコアの推定とマッチングは どうする︖ Park Y et al: BMJ. 2018 Mar 28;360:k1218. 90

91.

5つのサブグループ分析① 要素 解説 ⽅法 標本全体で傾向スコアを算出して,全体でのマッチ ングを⾏う。同じ傾向スコアを使ってサブグループ 内で再度マッチングを⾏う(標本全体でマッチングされた か否かは無視) 利点 主解析の標本サイズは最⼤化される ⽋点 サブグループは,主解析の集団と対応しているとは 限らない Wang SV et al: Am J Epidemiol. 2018 Aug 1;187(8):1799-1807. 91

92.

5つのサブグループ分析② 要素 解説 ⽅法 標本全体で傾向スコアを算出して,全体でのマッチ ングを⾏う。同じ傾向スコアを使ってサブグループ 内で再度マッチングを⾏う(標本全体でマッチングされた ⼈に限定) 利点 サブグループは,主解析の集団と対応する ⽋点 ①と⽐較して,サブグループの標本サイズが⼩さく なる Wang SV et al: Am J Epidemiol. 2018 Aug 1;187(8):1799-1807. 92

93.

5つのサブグループ分析③ 要素 解説 ⽅法 サブグループ内で傾向スコアを算出してマッチング を⾏う。主解析のためにサブグループを統合する。 利点 サブグループは,主解析の集団と対応する ⽋点 事後的にサブグループ分析を⾏う場合,主解析の集 団と対応しない。事後的なサブグループが主解析の 集団と対応するためには,主解析のために新たにサ ブグループを統合する必要がある。傾向スコア推定 の際に,収束の問題が⽣じやすい。 Wang SV et al: Am J Epidemiol. 2018 Aug 1;187(8):1799-1807. 93

94.

5つのサブグループ分析④ 要素 解説 ⽅法 標本全体で傾向スコアを算出して,サブグループ内 でマッチングを⾏う。主解析のためにサブグループ を統合する。 利点 サブグループは,主解析の集団と対応する ⽋点 事後的にサブグループ分析を⾏う場合,主解析の集 団と対応しない。事後的なサブグループが主解析の 集団と対応するためには,主解析のために新たにサ ブグループを統合する必要がある。 Wang SV et al: Am J Epidemiol. 2018 Aug 1;187(8):1799-1807. 94

95.

5つのサブグループ分析⑤ 要素 解説 ⽅法 標本全体で傾向スコアを算出して,全体でのマッチ ングを⾏う。追加の調整をせずに,サブグループ内 で効果を推定する。 利点 サブグループ内で,⼆度⽬のマッチングをする必要 がない。 ⽋点 統計学的特性は,すべての⼿法の中で最も悪い Wang SV et al: Am J Epidemiol. 2018 Aug 1;187(8):1799-1807. 95

96.

記載例①Caliper matching/1:1/⾮復元抽出  We applied a 1:1 nearest-neighbor risk-set matching algorithm on the propensity score without replacement, with a maximum caliper width of 0.1 of the SD of the logit of the propensity score. Henriquez DDCA et al: JAMA Netw Open. 2019 Nov 1;2(11):e1915628. 96

97.

記載例②Optimal matching/1:M/⾮復元抽出  After deriving a propensity score for each patient, variable optimal matching for each hypothermia-treated patient was performed, with up to 4 controls without replacement for each treated patient, using an algorithm match with a caliper width no greater than 0.2 times the standard deviation of the logit of the propensity score. Chan PS et al: JAMA. 2016 Oct 4;316(13):1375-1382. 97

98.

記載例③Full matching/M:M/⾮復元抽出  In the next step, patients were matched on estimated propensity scores using a combination of exact and full matching.[ref] The matching was exact concerning calendar quarter and in-hospital PCI. Full matching means that a patient treated with fondaparinux could be matched to several patients treated with LMWH and vice versa. The caliper (upper limit to the allowed difference in propensity score between matched patients treated with LMWH and fondaparinux) was 0.002 (except for eGFR >15-30, for which the caliper was 0.005, and eGFR ≤15, for which the caliper was 0.01). Unmatched patients were removed in the subsequent analysis. Szummer K et al: JAMA. 2015 Feb 17;313(7):707-16. 98

99.

記載例④サブグループ分析  We tested for the presence of effect modification in several relevant subgroups. First, we restricted the analysis to patients without evidence of antibiotic use, disease-modifying antirheumatic drug use, or infections in the baseline period (defined as 180 days before cohort entry). Second, we stratified the analysis by sex to reflect the differences in incidence and severity of UTIs[Urinary Tract Infections][ref]. ...(中略)...  Within each subgroup, the propensity score was reestimated and patients were rematched on the newly estimated score using 1:1 nearest-neighbor matching within a caliper width of 0.01. Dave CV et al: Ann Intern Med. 2019 Jul 30. doi: 10.7326/M18-3136. 99

100.

傾向スコアの利⽤③重み付け法

101.

確率抽出調査における重み付け法 全住⺠から⼀部の集団 を多く確率抽出 特性 ⺟集団 確率抽出 調査対象 疑似的 全住⺠ 全住⺠ Non-Hispanic Black 25% 12% 13% Mexican Americans 28% 9% 9% 12-19 years old 24% 12% 12% 標本 重み付け 擬似集団 重みを考慮して分布を 求めると全住⺠に近似 Centers for Disease Control and Prevention (https://www.cdc.gov/nchs/tutorials/NHANES/SurveyDesign/Weighting/OverviewExamples.htm) 101

102.

傾向スコア分析における重み付け法 共変量と処置変数が独⽴な 擬似集団(pseudo-population)を作る 調査対象 疑似集団 特性 処置群 対照群 処置群 対照群 男性 88% 44% 80% 80% ⼥性 12% 56% 20% 20% Robins JM et al: Epidemiology. 2000 Sep;11(5):550-60. 共変量と処置変数が独⽴ な⺟集団から重み付けて 確率抽出されたとみなす 標本 重み付け 擬似集団 102

103.

数値例①標本と共変量の分布 共変量の分布 標本 性別 処置変数 アウトカム イベント n ⼥性 処置群 なし 30 ⼥性 処置群 あり 男性 処置群 男性 調査対象 特性 処置群 対照群 20 男性 88% 44% なし 252 処置群 あり 12% 56% 108 ⼥性 ⼥性 対照群 なし 10 ⼥性 対照群 あり 40 男性 対照群 なし 16 男性 対照群 あり 24 Robins JM et al: Epidemiology. 2000 Sep;11(5):550-60. 103

104.

数値例②傾向スコアの推定 ロジスティック回帰 分析の予測値 性別 処置変数 アウトカム イベント n 傾向 スコア ⼥性 処置群 なし 30 0.5 ⼥性 処置群 あり 20 0.5 男性 処置群 なし 252 0.9 男性 処置群 あり 108 0.9 ⼥性 対照群 なし 10 0.5 ⼥性 対照群 あり 40 0.5 男性 対照群 なし 16 0.9 男性 対照群 あり 24 0.9 Robins JM et al: Epidemiology. 2000 Sep;11(5):550-60. 共変量が同⼀の⼈は 傾向スコアも同⼀ 104

105.

数値例③重みの計算 逆確率重み付け法 性別 アウトカム 処置変数 イベント n 傾向 スコア(e) 重み ⼥性 処置群 なし 30 0.5 2.0 ⼥性 処置群 あり 20 0.5 2.0 男性 処置群 なし 252 0.9 1.1 男性 処置群 あり 108 0.9 1.1 ⼥性 対照群 なし 10 0.5 2.0 ⼥性 対照群 あり 40 0.5 2.0 男性 対照群 なし 16 0.9 10.0 男性 対照群 あり 24 0.9 10.0 Robins JM et al: Epidemiology. 2000 Sep;11(5):550-60. 処置群は 1/e 対照群は 1/(1-e) 105

106.

数値例④疑似集団の作成 重みの数だけ コピーを作る(N×重み) 性別 処置変数 アウトカム イベント ⼥性 処置群 ⼥性 n 傾向 スコア 重み 疑似 集団 なし 30 0.5 2.0 60 処置群 あり 20 0.5 2.0 40 男性 処置群 なし 252 0.9 1.1 280 男性 処置群 あり 108 0.9 1.1 120 ⼥性 対照群 なし 10 0.5 2.0 20 ⼥性 対照群 あり 40 0.5 2.0 80 男性 対照群 なし 16 0.9 10.0 160 男性 対照群 あり 24 0.9 10.0 240 Robins JM et al: Epidemiology. 2000 Sep;11(5):550-60. 106

107.

数値例⑤疑似集団と共変量の分布 共変量の分布 疑似集団 性別 処置変数 アウトカム イベント 疑似 集団 ⼥性 処置群 なし 60 特性 処置群 ⼥性 処置群 あり 40 男性 80% 80% 男性 処置群 なし 280 男性 処置群 あり 120 ⼥性 20% 20% ⼥性 対照群 なし 20 ⼥性 対照群 あり 80 男性 対照群 なし 160 男性 対照群 あり 240 Robins JM et al: Epidemiology. 2000 Sep;11(5):550-60. 疑似集団 対照群 107

108.

⼤きな重みの直感的理解 処置群において傾向スコアの値が⼩さい⼈ は,⼤きい⼈と⽐べて,対照群の⼈と共変量 が似るため,⼤きな重みとする 対照群において傾向スコアの値が⼤きい⼈ は,⼩さい⼈と⽐べて,処置群の⼈と共変量 が似るため,⼤きな重みとする Stuart EA et al: Psychiatr Ann. 2009 Jul 1;39(7):41451. Kuss O et al: Dtsch Arztebl Int. 2016 Sep 5;113(35-36):597-603. 108

109.

極端な重み 1⼈の外れた⼈が 8⼈分の影響を持つ 処置群 受 診 回 数 対照群 年齢 Thomas L et al: JAMA. 2020 Jan 10. doi: 10.1001/jama.2019.21558. 109

110.

極端な重みがある場合の対処法① モデル誤設定の検討(model misspecification)[1] 傾向スコア推定におけるモデルの誤設定により異常に ⼤きな重みになっているかを検討する トリミング(trimming)[2] 傾向スコアの分布の⾮共通領域の患者,つまり,処置 群か対照群となる可能性がゼロの患者を除外する トランケーション(truncation)[1,2] 傾向スコアの分布の下端あるいは上端(例: 1パーセンタイ ル以下/99パーセンタイル以上)になる患者を除外する [1] Leite W: Practical propensity score methods using R. Sage, 2016. [2] Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. 110

111.

極端な重みがある場合の対処法② 安定化した重み付け(stabilized weights)[1,2] 傾向スコアによる重みの値が極端にならないように安 定化された重みを使う その他の重み付け法[2] 層化による重み付け(marginal mean/fined stratification weights) マッチングした重み付け(matching weights) オーバーラップした重み付け(overlap weights) [1] Leite W: Practical propensity score methods using R. Sage, 2016. [2] Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. 111

112.

統計モデルと極端な重みの関係 Boosted CARTは極端な 重みが⽣じにくい 重み≥10 モデル 加法・線形 弱い程度1)の 中程度2)の ⾮加法・⾮線形 ⾮加法・⾮線形 ロジスティク回帰 0.37% 0.42% 0.52% CART 0.16% 0.13% 0.48% Random forest 0.25% 0.15% 0.48% Boosted CART 0.004% 0.005% 1) 2要因の交互作⽤項が3個+⼆次項が1個 2) 2要因の交互作⽤項が10個+⼆次項が3個 Lee BK et al: PLoS One. 2011 Mar 31;6(3):e18174. 0.01% 112

113.

4つの重み①逆確率重み付け 要素 解説 名称 逆確率重み付け (Inverse probability weighting) 効果の種類 集団全体のATE 特徴  効果の種類が明瞭  極端な重みが⽣じやすい  重みのトリミングが必要 ATE =平均処置効果 Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. 113

114.

4つの重み①’安定化した重み stabilized weights 定義[1] 𝑠𝑤     𝑧 𝒑𝒓 𝒛 𝑒 𝟏 1 𝑧 𝒑𝒓 𝒛 1 𝑒 𝟎 z: 処置変数 (処置群=1; 対照群=0) pr(z=1): 処置群の割合 e: 傾向スコア pr(z=0): 対照群の割合 問題[2] 極端な重みが減らないことが結構ある [1] Austin PC, Stuart EA et al: Stat Med. 2015 Dec 10;34(28):3661-79. [2] Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. 114

115.

4つの重み②層化による重み付け 要素 解説 名称 層化による重み付け (Marginal mean/Fine stratification weights) 効果の種類 集団全体のATE 特徴  効果の種類が明瞭  極端な重みが⽣じにくい  処置群の割合が低い場合に強い ATE =平均処置効果 Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. 115

116.

4つの重み②層化による重み付け 定義 ⾮共有領域の重みを  ns = 層別の⼈数 ゼロとし,共有領域  pr(Z=z): 処置変数の割合 の⼈で層化する  nzs: 処置変数×層ごとの⼈数 処置群の ⼈数 (n1) 対照群の ⼈数 (n0) 合計 (n) 1 121 1473 1594 2 196 1397 1593 3 236 1357 1593 4 355 1238 1593 5 451 1142 1593 1359 6607 7966 傾向スコア により層化 (s) 合計 Linden A: J Eval Clin Pract. 2014 Dec;20(6):1065-71. 処置群の第1層 の重み 116

117.

4つの重み③マッチングした重み付け 要素 解説 名称 マッチングした重み付け (Matching weights) 効果の種類 下位集団のATE 特徴  重みは0~1に収まる  処置変数が3⽔準以上に⾃然に拡張できる  傾向スコアの共通領域が広く,処置群と 対照群の構成⽐が近似するとき,効果の 種類は集団全体のATEに近づく  傾向スコアの共通領域が広いが,処置群 と対照群の構成⽐が近似しないとき,効 果の種類はATTに近づく ATE=平均処置効果; ATT=処置群の平均処置効果 Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. 117

118.

4つの重み③マッチングした重み付け 定義  ei: 傾向スコア  zi : 処置変数 (処置群=1; 対照群=0) 傾向 スコア (e) 1-傾向 スコア (1-e) ⼩さい⽅ の値 [min(e,1-e)] mw 1 0.84 0.16 0.16 0.19 1 0.40 0.60 0.40 1.00 0 0.03 0.97 0.03 0.03 0 0.53 0.47 0.47 1.00 処置変数 1⼈⽬の重み 𝑚𝑤 𝑚𝑖𝑛 0.84,0.16 1 0.84 𝑚𝑤 𝑚𝑖𝑛 0.03,0.97 1 0.03 3⼈⽬の重み Li L, Greene T: Int J Biostat. 2013 Jul 31;9(2):215-34. 118

119.

4つの重み④オーバーラップした重み付け 要素 名称 解説 オーバーラップした重み付け (Overlap weights) 効果の種類 オーバーラップした集団のATE 特徴  重みは0~1に収まる  共変量バランスが正確になる  患者が処置群と対照群のいずれかになる可能性が 現実的である場合,効果の種類はATEと解釈できる  解析対象集団は,処置の決定が臨床的に均衡する 集団となる  傾向スコアの共通領域が限定されている場合は, 通常診療で処置を受ける患者を代表しないことに なる ATE=平均処置効果 Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. 119

120.

4つの重み④オーバーラップした重み付け 定義  ei: 傾向スコア  zi : 処置変数 (処置群=1; 対照群=0) 傾向 スコア (e) 1-傾向 スコア (1-e) ow 1 0.84 0.16 0.16 1 0.40 0.60 0.60 0 0.03 0.97 0.03 0 0.53 0.47 0.53 処置変数 Li F et al: Am J Epidemiol. 2019 Jan 1;188(1):250-257. 1⼈⽬の重み 3⼈⽬の重み 120

121.

処置群の平均処置効果のための重み付け Sandardised mortality ratio weights 定義  z: 処置変数 (処置群=1; 対照群=0)  e: 傾向スコア [1] Austin PC, Stuart EA et al: Stat Med. 2015 Dec 10;34(28):3661-79. [2] Desai RJ, Franklin JM: BMJ. 2019 Oct 23;367:l5657. 121

122.

記載例①逆確率重み付け  Inverse probability of treatment weighting on the propensity score was used to balance comparison groups on recorded indicators of baseline health, including known indications for baclofen use (including off-label indications).[ref] Muanda FT et al: JAMA. 2019 Nov 9. doi: 10.1001/jama.2019.17725. 122

123.

記載例②マッチングした重み付け  Comparison of OS[overall survival] between patients who underwent a second PM[pulmonary metastasectomy] and patients who did not required attention to factors associated with selection. To address this, we used the matching weights method [ref]. This approach is a weighting analogue to the 1:1 pair-matching method, although shown to be more efficient, that provides better balance across covariates. Unlike 1:1 pair matching, which excludes any unmatched patients, the matching weights approach never discards any patients; instead, it only down-weights some of the patients. The matching weights approach is a variant of the inverse probability weights method; the matching weights can be considered the probability of being selected to the matched data set. With the application of the patient-level matching weights, each patient contributes a fraction of itself to the overall cohort used in the analyses. Chudgar NP et al: Ann Thorac Surg. 2017 Dec;104(6):1837-1845. 123

124.

記載例③処置群の平均処置効果のための 重み付け  We used propensity score weighting because it could produce one interpretable overall treatment effect and would not diminish our sample size. To estimate the average effect of treatment on individuals using SGLT-2[sodium-glucose cotransporter 2] inhibitors, the average treatment effect of the treated (ATT) weighting was applied; that is, we compared the hazards of outcomes among individuals using SGLT-2 inhibitors with the hypothesized situation had they taken DPP-4[dipeptidyl peptidase 4] inhibitors, GLP-1[glucagon-like peptide 1] agonists, or older agents instead of SGLT-2 inhibitors. This approach is specifically useful when systematic differences likely occur between the study sample and the overall population.[ref] Chang HY et al: JAMA Intern Med. 2018 Sep 1;178(9):1190-1198. 124

125.

バランスの評価

126.

バランスの評価法 標準化差の絶対値[1,2] 推奨される⽅法   分散⽐[2]  図⽰[1,2]  統計的検定[1,2]  C統計量[1,2]  適合度検定[1,2]  オーバーラップ係数[1]  コルモゴロフ–スミルノフ距離[2]  レヴィ距離[2] [1] Ali MS et al: J Clin Epidemiol. 2015 Feb;68(2):112-21. [2] Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. 126

127.

標準化差の絶対値 absolute Standardized Difference in means or proportions 定義  Mt: 処置群の平均値  Mc: 対照群の平均値  sdt: 処置群の標準偏差  sdc: 対照群の標準偏差  Mt: 処置群の割合  Mc: 対照群の割合 注意 SDに100を乗じて%表記する流派もある Austin PC: Stat Med. 2009 Nov 10;28(25):3083-107. 127

128.

標準化差の利⽤法 共変量ごとに標準化差を算出[1] 許容可能なバランスの判断基準として,0.10 あるいは0.25未満を利⽤[1,2] 共変量全体のバランス評価のために,個々の 共変量の標準化差の平均値を算出[1] [1] Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. [2] Jackson JW et al: Curr Epidemiol Rep. 2017 Dec;4(4):271-280. 128

129.

分散⽐ Variance ratio 定義[1]  sdt: 処置群の標準偏差  sdc: 対照群の標準偏差 許容範囲[2] 厳しい基準: 0.8~1.2 緩い基準: 0.5~2.0 [1] Austin PC: Stat Med. 2009 Nov 10;28(25):3083-107. [2] Leite W: Practical propensity score methods using R. Sage, 2016. 129

130.

バランスが悪いときの対処法 共変量を増やす[1] 共変量間の交互作⽤項を追加[1] 量的変数の共変量の⾮線形性を検討[1] ⼆重ロバスト推定法を使う[2] [1] Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. [2] Jackson JW et al: Curr Epidemiol Rep. 2017 Dec;4(4):271-280. 130

131.

記載例①標準化差の⽅法と結果 ⽅法  Covariate balance between the two groups was assessed after matching, and we considered an absolute standardized difference less than 0.1 as evidence of balance.[ref] 結果  We matched 99.5% of the haloperidol initiators to atypical antipsychotic initiators (n=1659), and all covariates included in the propensity score were well balanced after matching. Park Y et al: BMJ. 2018 Mar 28;360:k1218. 131

132.

記載例②標準化差の表 マッチング前 マッチング後 Park Y et al: BMJ. 2018 Mar 28;360:k1218. 132

133.

記載例③判断基準の変更理由  We calculated standardised differences to evaluate the balance of variables in each predicted propensity score matched cohort. We first regarded standardised differences less than 0.1 as having well matched balance,[ref] but we could not achieve the value for the variable of “defibrillation before matching” in the shockable cohort even with a very narrow calliper width (0.001). When we attempted to achieve better balancing of standardised differences (<0.1) by setting the calliper width much narrower (<0.001), we lost a large number of patients. In the end, we decided to avoid losing these patients by using a tight range of target and chose a value of 0.25 rather than 0.1 of standardised differences, as some statisticians have suggested,[ref] before doing our final analyses. Izawa J et al: BMJ. 2019 Feb 28;364:l430. 133

134.
[beta]
記載例④分散⽐の⽅法と結果
⽅法
 A standardised difference with an absolute value less than 0.10 and a
variance ratio between 4/5 and 5/4 was considered sufficient to
support the assumption of balance of the covariate between the
treatment groups [ref].

結果
 The absolute standardised differences were as high as 0.89, with 79% of
the covariates having an absolute standardised difference >0.10. The most
extreme variance ratio was 10.1 and 68% of the covariates had a variance
ratio <4/5 or >5/4. After matching, the largest absolute standardised
difference was 0.12 and only 11% of the covariates had an absolute
standardised difference >0.10. The most extreme variance ratio was 1.34
and only 7% of the covariates had a variance ratio <4/5 or >5/4. Thus,
the propensity score matching largely removed the imbalances in the
covariates (Figs. 1 and 2).
Jakobsen CJ et al: Eur J Cardiothorac Surg. 2009 Nov;36(5):863-8.

134

135.

効果の推定

136.

マッチング法における効果推定法 対応を考慮すべきか︖ アウトカム 対応なし[1-2] 対応あり[3-4] 量的変数 独⽴な2群のt検定 U検定 ⼀般化線形モデル 対応のある2群のt検定 ウィルコクソンの符号順位検定 ⼀般化線形混合モデル ⼀般化推定⽅程式 質的変数 χ⼆乗検定 ⼀般化線形モデル マクネマー検定 AgrestiとMinの⽅法 条件付きロジスティック回帰分析 ⼀般化線形混合モデル ⼀般化推定⽅程式 イベント発⽣ ⽐例ハザードモデル までの時間 層別⽐例ハザードモデル ロバスト推定 [1] Stuart EA: Stat Med. 2008 May 30;27(12):2062-5;[2] Stuart EA: Stat Sci. 2010 Feb 1;25(1):1-21. [3] Austin PC: Stat Med. 2008 May 30;27(12):2037-49.; [4] Austin PC: Stat Med. 2011 May 20;30(11):1292-301. 136

137.

Elizabeth A. Stuartの主張 マッチング後の2群は,すべての共変量 において,良好にマッチングされている ことが保証されないため,対応を考慮し なくて良い Stuart EA: Stat Med. 2008 May 30;27(12):2062-5 Stuart EA: Stat Sci. 2010 Feb 1;25(1):1-21 137

138.

Peter C. Austinの主張 マッチング後の2群は独⽴ではないた め,対応を考慮すべき Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. Austin PC: Stat Med. 2011 May 20;30(11):1292-301. 138

139.

マッチング法で対応を考慮すべきかは未決着  Although there is still some debate as to whether accounting for the matched nature of the data is necessary, Austin and colleagues[ref] advocate that accounting for the matched nature of the sample when estimating the precision or significance of the treatment effect is necessary, as matching was done after exposure.[1]  Whether or not to account for the matched nature of the data in estimating the variance of the treatment effect, for example, using paired t-test for continuous outcome or McNemar’s test for binary outcome, is an ongoing discussion.[ref][2] [1] Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. [2] Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. 139

140.

重み付け法における効果推定法 重みを考慮する 標準誤差の推定には,ロバスト分 散かブートストラップ法を使う アウトカム 統計モデル 量的変数 ⼀般化線形モデル (重回帰分析) 質的変数 ⼀般化線形モデル (ロジスティック回帰分析) イベント発⽣ ⽐例ハザードモデル までの時間 Linden A, Adams JL: J Eval Clin Pract. 2010 Feb;16(1):175-9. 140

141.

傾向スコアによるマッチング後に 統計モデルで残余交絡を調整︖ 質的変数/イベント発⽣までの時間 従属変数 アウトカム の場合,効果の解釈が困難になる 独⽴変数 処置変数 (Z) (処置群/対照群) 共変量 (X) 処置変数 (Z) アウトカム (Y) 共変量 (X) Austin PC: Stat Methods Med Res. 2017 Feb;26(1):201-222. 141

142.

マッチング法の⼆重ロバスト推定法① Doubly robust estimation/Double-adjustment ステップ①マッチング後の対照群において 共変量注とアウトカムの回帰モデルを推定 注共変量ではなく傾向スコア投⼊することがある 残余交絡対策のため標準化差0.1以上の共変量調整が推奨 処置変数 =対照群 共変量 (X) アウトカム (Z) Austin PC et al: Stat Methods Med Res. 2017 Feb;26(1):201-222. Nguyen TL et al: BMC Med Res Methodol. 2017 Apr 28;17(1):78. 142

143.

マッチング法の⼆重ロバスト推定法② ステップ②処置群において 全員が対照群の場合の予測値を推定 処置変数 =処置群 共変量 (X) 予測値 ( ) Austin PC et al: Stat Methods Med Res. 2017 Feb;26(1):201-222. Nguyen TL et al: BMC Med Res Methodol. 2017 Apr 28;17(1):78. 143

144.

マッチング法の⼆重ロバスト推定法③ ステップ③アウトカムを推定 処置群のアウトカム 対照群のアウトカム Austin PC et al: Stat Methods Med Res. 2017 Feb;26(1):201-222. Nguyen TL et al: BMC Med Res Methodol. 2017 Apr 28;17(1):78. 144

145.

重み付け法における⼆重ロバスト推定法① ステップ①標本全体で傾向スコアの推定 (e) 共変量 (X) 処置変数 (Z) Funk MJ et al: Am J Epidemiol. 2011 Apr 1;173(7):761-7. Li X, Shen C et al: Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2020 Jan;13(1):e006065. 145

146.

重み付け法における⼆重ロバスト推定法② ステップ②処置変数の群ごとに 共変量*とアウトカムの回帰モデルを推定 注共変量ではなく傾向スコア投⼊することがある モデル1 モデル0 処置変数 =処置群 共変量 (X) アウトカム (Z) 処置変数 =対照群 共変量 (X) アウトカム (Z) Funk MJ et al: Am J Epidemiol. 2011 Apr 1;173(7):761-7. Li X, Shen C et al: Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2020 Jan;13(1):e006065. 146

147.

重み付け法における⼆重ロバスト推定法③ ステップ③標本全体において 全員が処置群の場合の予測値をモデル1 全員が対照群の場合の予測値をモデル0で推定 モデル1 処置変数 =処置群 共変量 (X) モデル0 予測値 ( ) 処置変数 =対照群 共変量 (X) Funk MJ et al: Am J Epidemiol. 2011 Apr 1;173(7):761-7. Li X, Shen C et al: Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2020 Jan;13(1):e006065. 予測値 ( ) 147

148.

重み付け法における⼆重ロバスト推定法④ ステップ④アウトカムを推定 処置群のアウトカム 対照群のアウトカム Funk MJ et al: Am J Epidemiol. 2011 Apr 1;173(7):761-7. Li X, Shen C et al: Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2020 Jan;13(1):e006065. 148

149.

マッチング法の感度分析① Rosenbaumの⽅法(1:1/⾮復元抽出) 未測定の共変量 (U) 未測定の共変量により処置変数の アウトカムへの効果がなくなるか︖ 処置変数 (Z) アウトカム (Y) 測定された共変量 (X) Liu W et al: Prev Sci. 2013 Dec;14(6):570-80. 149

150.

マッチング法の感度分析② 未測定の共変量による処置変数への 効果 (Γ) を数パターン想定注 注Γ ≥1 未測定の共変量 (U) 未測定の共変量によるアウト カムへの効果を無限⼤と仮定注 注 この仮定は理論上は緩められる 処置変数 (Z) アウトカム (Y) 測定された共変量 (X) Liu W et al: Prev Sci. 2013 Dec;14(6):570-80. 150

151.

マッチング法の感度分析③ 未測定の共変量の影響を考慮した場合にお ける,処置変数によるアウトカムへの効果 のp値の上限値 (と下限値) を求める 未測定の共変量 (U) 処置変数 (Z) アウトカム (Y) 測定された共変量 (X) Liu W et al: Prev Sci. 2013 Dec;14(6):570-80. 151

152.

マッチング法の感度分析④ 原発性胆汁性胆管炎に対するペニシリンによる死亡抑制効果 未測定の共変量の効果がな い場合は有意 未測定の共変量により処置 群になるオッズが20%上が ると,有意でなくなる Γ p値の下限値 p値の上限値 1.0 0.008 0.008 1.1 0.003 0.023 1.2 < 0.001 0.050 1.3 < 0.001 0.092 1.4 < 0.001 0.151 Lu B et al: Stat Med. 2018 May 20;37(11):1846-1858. 152

153.

重み付け法の感度分析① Carenegieの⽅法 未測定の共変量 (U) 処置変数 (Z) 未測定の共変量により処置変数の アウトカムへの効果がなくなるか︖ アウトカム (Y) 測定された共変量 (X) Carnegie NB et al: Journal of Research on Educational Effectiveness, 9:3, 395-420, 2016 153

154.

重み付け法の感度分析② 未測定の共変量による処置変数への 効果 (ζz) を数パターン想定 未測定の共変量 (U) 処置変数 (Z) 未測定の共変量によるアウトカムへ の効果 (ζy) を数パターン想定 アウトカム (Y) 測定された共変量 (X) Carnegie NB et al: Journal of Research on Educational Effectiveness, 9:3, 395-420, 2016 154

155.

重み付け法の感度分析③ 未測定の共変量の影響を考慮した場合にお ける,処置変数によるアウトカムへの効果 と標準誤差を求める 未測定の共変量 (U) 処置変数 (Z) アウトカム (Y) 測定された共変量 (X) Carnegie NB et al: Journal of Research on Educational Effectiveness, 9:3, 395-420, 2016 155

156.

重み付け法の感度分析④ 未測定の交絡変数の影響がないときの効果 (ζy=0 [偏回帰係数]) Carnegie NB et al: Journal of Research on Educational Effectiveness, 9:3, 395-420, 2016 156

157.

重み付け法の感度分析⑤ 統計的有意性がなくなる範囲 測定された共変量のうち処置 変数とアウトカムへの影響が 最も⼤きい Carnegie NB et al: Journal of Research on Educational Effectiveness, 9:3, 395-420, 2016 157

158.

記載例①マッチング法の⽅法と結果 ⽅法  Relative risk (RR) was estimated as the ratio of the probability of the outcome event in patients treated using the transcarotid approach compared with patients treated using the transfemoral approach. The 95% CIs were constructed using methods that accounted for the matched nature of the cohorts.[ref] 結果 Schermerhorn ML et al: JAMA. 2019 Dec 17;322(23):2313-2322. 158

159.

記載例②重み付け法の⽅法と結果 ⽅法  For each outcome, 3 separate Cox proportional hazards regression models with propensity score ATT weighting were constructed to examine the association between the use of SGLT-2[sodium-glucose cotransporter 2] inhibitors (relative to 3 reference groups) and the outcome. We calculated robust estimates of SEs for all variables in the models. [ref] 結果 Chang HY et al: JAMA Intern Med. 2018 Sep 1;178(9):1190-1198. 159

160.

記載例③⼆重ロバスト推定法の⽅法  To address potential for selection bias, we used augmented inverse probability weighting (AIPW) propensity score methods to estimate the average effect of drug benefit user group and PUM[potentially unsafe medication] exposure. We used the teffects aipw command in STATA, version 13 (StataCorp). Augmented inverse probability weighting combines 2 models: inverse probability weighting in the drug benefit user group selection propensity model with regression adjustment in the outcomes model (PUM exposure) [ref]. When these 2 approaches are combined, AIPW is called “doubly robust estimation” because only 1 of the 2 models needs to be correctly specified to obtain an unbiased estimator. Specifically, logistic regression was used in the propensity model to estimate the probability of belonging to either user group, and weighted logistic regression and weighted linear regression were used to model PUM exposure and the number of days of PUM exposure, respectively [ref]. All covariates described here were included in both the drug benefit user group selection and PUM exposure models. To account for the highly skewed nature of the days of PUM exposure variables, we estimated SEs and 95% CIs using a bias-corrected bootstrap approach [ref]. Thorpe JM et al: Ann Intern Med. 2017 Feb 7;166(3):157-163. 160

161.

記載例④感度分析の⽅法と結果 ⽅法  In addition, we performed a sensitivity analysis to evaluate the impact of an unmeasured confounder as previously described.[ref] Sensitivity analysis was implemented using the R package Rbounds available at http://cran.r-project.org/web/packages/rbounds/. 結果  Furthermore, in a sensitivity analysis, the association between bivalirudin use and vascular complications and GI bleed was robust enough to the effect of an unmeasured confounder. The association with transfusion was moderately robust, whereas the results corresponding to CABG were only mildly robust (Table I in the online-only Data Supplement). Perdoncin E et al: Circ Cardiovasc Interv. 2013 Dec;6(6):688-93 161

162.

記載例⑤感度分析の考察と付録 考察  However, our sensitivity analysis suggested that the antibleeding efficacy estimates were fairly robust to the presence of an unmeasured confounder and are likely extant. 付録 Perdoncin E et al: Circ Cardiovasc Interv. 2013 Dec;6(6):688-93 162

163.

落ち葉拾い

164.

⽬次 傾向スコア分析の4つの仮定 共変量の⽋測値処理 慣例 発展的なモデル 164

165.

4つの仮定①Conditional exchangeability 定義      : 参加者 が対照群の場合に得られるアウトカム : 参加者 が処置群の場合に得られるアウトカム 参加者 の処置変数 参加者 の共変量 共変量 が同じ値であるとき,処置変数の値と,得られ るアウトカムは独⽴である 条件付き独⽴ 仮定の逸脱例 未測定の交絡変数がある Pan W, Bai H: Propensity score analysis: fundamental and development. Guilford. 2015. 165

166.

4つの仮定②Consistency 定義   :参加者 の観測されたアウトカム : 参加者 の処置変数が による である場合 に得られるアウトカム 仮定の逸脱例 ある参加者への処置( ) が「アスピリンの使⽤」 である場合に,未測定の交絡変数である⾷事とと もに服⽤するか否か ( ) により,アウトカムが異 なる Cole SR, Frangakis CE: Epidemiology. 2009 Jan;20(1):3-5 166

167.

4つの仮定③Positivity 定義 観測された共変量が取りうる全ての組み合わせに おいて,処置群と対照群の双⽅に参加者がいる。 決定論的な仮定の逸脱例 男性は⼦宮がないため,⼦宮摘出術の死亡率への 影響に関する研究で,処置群にならない。 確率的な仮定の逸脱例 31~35歳 36~40歳 41~45歳 46~50歳 アスピリン使⽤ 0 2 0 3 アスピリン⾮使⽤ 9 7 9 6 Westreich D, Cole SR et al: Am J Epidemiol. 2010 Mar 15;171(6):674-7 167

168.

4つの仮定④No interference 定義 ある患者の処置は,他の患者のアウトカムに影響 しない 仮定の逸脱例 ある患者のワクチン接種が,他の患者の感染症発 症を予防する Hernán MA: Stat Methods Med Res. 2012 Feb;21(1):3-5. 168

169.

共変量の⽋測値処理① 完全ケース分析(complete case analysis) ⽋測値のない症例に限って分析する。 ⽋測指標(missing indicator) ⽋測値のある共変量に1つの値 (例えば0) を代⼊する。 さらに,その⽋測の有無を⽰す⽋測指標を作成する。 共変量と⽋測指標の両者を傾向スコア推定のモデルに 含める。 単⼀代⼊法(single imputation) ⽋測値のある共変量に1つの値 (平均値や最頻値) を代 ⼊して分析する。 Choi J et al: Eur J Epidemiol. 2019 Jan;34(1):23-36. 169

170.

共変量の⽋測値処理② 多重代⼊法(multiple imputation) ⽋測値 を含む データ セット 代⼊されたデータ セットを複数作成 傾向スコアの推定 とマッチング 効果の推定 データセット1 マッチング後の データセット1 効果の推定値1 データセット2 マッチング後の データセット2 効果の推定値2 データセットm マッチング後の データセットm 効果の推定値m Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. 効果の統合 統合された 効果の推定値 170

171.

共変量の⽋測値処理③ 多重代⼊法と⽋測指標の併⽤(multiple imputation together with missing indicator) 多重代⼊法により代⼊されたデータセットを複数作成 する。共変量の⽋測の有無を⽰す⽋測指標を作成す る。代⼊された共変量と⽋測指標の両者を傾向スコア 推定のモデルに含める。 Choi J et al: Eur J Epidemiol. 2019 Jan;34(1):23-36. 171

172.

⽋測値処理の選択基準① 未測定の交絡=なし; 効果修飾=なし タイプ MCAR MAR MNAR 完全ケース分析 ◎ ◎ ◎ ⽋測指標 ✕ ✕ ✕ 多重代⼊法注) ◎ ◎ ◎ 多重代⼊法と⽋測 定指標の併⽤注) ◎ ◎ ◎ 注) ⽋測値の代⼊⽣成モデルにアウトカムも含める MCAR = missing completely at random MAR = missing at random MNAR = missing not at random Choi J et al: Eur J Epidemiol. 2019 Jan;34(1):23-36. 172

173.

⽋測値処理の選択基準② 未測定の交絡=なし; 効果修飾=あり タイプ MCAR MAR MNAR 完全ケース分析 ◎ ✕ ✕ ⽋測指標 ✕ ✕ ✕ 多重代⼊法注) ◎ ◎ ✕ 多重代⼊法と⽋測 定指標の併⽤注) ◎ ◎ ✕ 注) ⽋測値の代⼊⽣成モデルに,処置変数と共変量との交互作⽤項,共変量 とアウトカムの交互作⽤項,処置変数とアウトカムの交互作⽤項を含める MCAR = missing completely at random MAR = missing at random MNAR = missing not at random Choi J et al: Eur J Epidemiol. 2019 Jan;34(1):23-36. 173

174.

⽋測値処理の選択基準③ 未測定の交絡=あり; 効果修飾=なし タイプ MCAR MNAR 完全ケース分析 ✕ △ ⽋測指標 ✕ ✕ 多重代⼊法注) ✕ ✕ 多重代⼊法と⽋測 定指標の併⽤注) ✕ △ 注) ⽋測値の代⼊⽣成モデルにアウトカムも含める MCAR = missing completely at random MAR = missing at random MNAR = missing not at random Choi J et al: Eur J Epidemiol. 2019 Jan;34(1):23-36. 174

175.

⽋測メカニズム①MCAR* *missing completely at random ⽋測発⽣は観測・⾮観測変数と独⽴ (例: X2の⽋測は,他の変数と無関係) X1 X2 X2* R Z Y ⽋測のある 共変量 ⽋測指標 Choi J et al: Eur J Epidemiol. 2019 Jan;34(1):23-36. 175

176.

⽋測メカニズム②MAR* *missing at random ⽋測発⽣は観測変数に依存 (例: X1の値が⾼い場合にX2が⽋測) X1 X2 X2* R Z Y ⽋測のある 共変量 ⽋測指標 Choi J et al: Eur J Epidemiol. 2019 Jan;34(1):23-36. 176

177.

⽋測メカニズム③MNAR* *missing not at random ⽋測発⽣は⾮観測変数に依存 (例: X2の値が⾼い場合にX2が⽋測) X1 X2 X2* R Z Y ⽋測のある 共変量 ⽋測指標 Choi J et al: Eur J Epidemiol. 2019 Jan;34(1):23-36. 177

178.

慣例①標本サイズ 研究 第1四分位 中央値 第3四分位 [1] ⼿術 2016-2018 (303編) 503 1803 6658 [2] がん⼿術 2014-2015 (306編) 307 699 2783 [3]⼿術 2013-2014 (129編) 904 4133 348 [1] Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. [2] Yao XI et al: J Natl Cancer Inst. 2017 Aug 1;109(8). [3] Lonjon G et al: Ann Surg. 2017 May;265(5):901-909. 178

179.

慣例②共変量の数 研究 第1四分位 中央値 第3四分位 [1] 集中治療 2006-2009 (47編) 9 15 22 [2] 全体 1983-2003 (177編) 10 17 28 [3] 全体 2001 (47編) 8 17 27 [4] ⼿術 2013-2014 (129編) 7 12 18 [1] Gayat E et al: Intensive Care Med. 2010 Dec;36(12):1993-2003. [2] Stürmer T et al: J Clin Epidemiol. 2006 May;59(5):437-47. [3] Weitzen S et al: Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2004 Dec;13(12):841-53. [4] Lonjon G et al: Ann Surg. 2017 May;265(5):901-909. 179

180.

発展的なモデル 3⽔準以上の処置変数 連続的な処置変数 時間依存性の処置変数 複雑な標本抽出法 マルチレベルなデータ構造 ⾼次元傾向スコア アウトカムの誤分類バイアス 180

181.

報告ガイドライン 181

182.

報告ガイドライン 182

183.

Groseの提案①統計モデル 解説(報告率) 傾向スコア推定の統計モデル (79%) 記載例  Propensity scores for each patient were obtained from a multivariable logistic regression model based on patient characteristics, year of surgery, comorbidities, and hospital volume and location. Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. 183

184.

Groseの提案②共変量 解説(報告率) 傾向スコア推定に含めた共変量 (91%) 記載例  The model included the following variables with pretreatment characteristics: sex (male or female), age (≤17 years, 18-64 years, or ≥65 years), witness (witnessed or unwitnessed), bystander CPR (any CPR or no CPR), first rhythm (ventricular fibrillation, ventricular tachycardia, pulseless electrical activity, asystole, or others), and response time (<10 minutes or ≥10 minutes). Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. 184

185.

Groseの提案③共変量の選択根拠 解説(報告率) 傾向スコア推定に含めた共変量の選択根拠 (10%) 記載例  The 2 mesh groups were propensity-score matched using factors that have been shown previously to be associated with increased risk of 30day wound events after ventral hernia repair.  Variables were selected from an initial univariate analysis comparing the surgery and chemotherapy groups, and variables that differed significantly between the 2 groups were chosen for propensity matching. Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. 185

186.

Groseの提案④マッチング後の標本サイズ 解説(報告率) マッチング後の標本サイズ (94%) 記載例  After co-variable adjustment, 31 of the 37 patients in the hepatectomy+ RFA group were matched 1:3 with 93 of the 516 patients in the hepatectomy-alone group. Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. 186

187.

Groseの提案⑤マッチング法の詳細 解説(報告率) ①アルゴリズム (74%) ②構成⽐ (97%) ③抽出法 (30%) 記載例  Patients were matched (1:1) using the nearest neighbor method without replacement and a caliper width of 0.2 of the standard deviation of the logit of the estimated propensity score.  After score calculation, we performed 1:1 matching using a greedy nearest-neighbor algorithm without replacement of the remaining 88 GDP patients to 88 control patients using a caliper of 20% of the logit of the score’s standard deviation. Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. 187

188.

Groseの提案⑥バランスの評価 解説(報告率) 共変量バランスの評価 (52%) 記載例  Standardized differences were estimated before and after matching to evaluate the balance of covariates; small absolute values <0.10 SD indicated balance between the cohorts.  Standardized differences greater than 0.2 were considered to indicate large imbalance among covariates used in the propensity score for matching. Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. 188

189.

Groseの提案⑦効果の推定法 解説(報告率) 対応を考慮した効果の推定法 (56%) 記載例  The analysis compared matched pairs using McNemar test for categorical variables, paired t tests for symmetrically distributed variables, and Wilcoxon signed-rank test for skewed continuous variables. Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. 189

190.

Groseの提案⑧予測の精度 解説(報告率) 傾向スコア推定モデルの予測精度 (21%) 記載例  We tested discrimination of the propensity model with the c-statistic. Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. 190

191.

Groseの提案⑨代表性の評価 解説(報告率) マッチングできなかった症例の特性 (15%) 記載例  Details of outcome data for the overall and unmatched population are presented in TABLE E2. Grose E et al: J Am Coll Surg. 2020 Jan;230(1):101-112.e2. 191

192.

Lonjonの提案①共変量の選択根拠 解説 ①すべてのベースライン特性を投⼊する ②領域固有の知識や統計量により変数選択する 記載例  Preoperative risk factors and demographic and operative variables were entered in the propensity models irrespective of their significance (all factors in Table 1).  The factors considered to be the most important confounders also contributing to deep-infection risk were chosen for the propensity-score algorithm. [. . .] These factors were chosen, based on consensus among the investigators, as the factors most important for predicting later infection but also as those most divergent between the immediate and delayed-closure groups (Table II). Lonjon G et al: Ann Surg. 2017 May;265(5):901-909. 192

193.

Lonjonの提案②ITT分析 解説 RCTと同様に,効果推定値を過⼤評価しないために, ITT分析が望ましい 記載例  Every unplanned extension of an incision for any task other than retrieving the specimen was considered to be a conversion. Laparoscopic operations that had to be converted to open surgery were analyzed according to the intention-to-treat principle. Lonjon G et al: Ann Surg. 2017 May;265(5):901-909. 193

194.

Lonjonの提案③⽋測値処理 解説 ①⽋測のある症例を除外 ②⽋測をカテゴリ化 ③多重代⼊法 記載例  Consistent with previously established methods specific to addressing missing data in propensity score calculations, a separate category for ’unknown’ was created for missing data for nominal variables.  Missing data were infrequent (5% on any variable). We performed additional analyses using various missing data statistical approaches including multiple imputation and weighted estimating equations. Lonjon G et al: Ann Surg. 2017 May;265(5):901-909. 194

195.

Lonjonの提案④マッチング法の詳細 解説 ①アルゴリズム ②構成⽐ ③抽出法 記載例  A 1:1 match on the propensity score, without replacement, was performed using the psmatch2 procedure, with a conservative caliper width of 20% of the standard deviation of the log of propensity score. Lonjon G et al: Ann Surg. 2017 May;265(5):901-909. 195

196.

Lonjonの提案⑤バランスの評価法 解説 標準化差が10%未満であることが望ましい 記載例  We estimated standardised differences for all covariates before and after matching, with a standardised difference of 10% or more considered indicative of imbalance. Lonjon G et al: Ann Surg. 2017 May;265(5):901-909. 196

197.

Lonjonの提案⑥効果の推定法 解説 対応のある効果の推定法が望ましい 記載例  Continuous outcomes were compared in the PS-matched groups using paired t-tests or Wilcoxon signed rank test as appropriate; differences in proportions were compared using the McNemar’s test. Lonjon G et al: Ann Surg. 2017 May;265(5):901-909. 197

198.

Lonjonの提案⑦代表性の評価 解説 代表性を評価するために,マッチング前後の共変 量を報告すべきである 記載例 Lonjon G et al: Ann Surg. 2017 May;265(5):901-909. 198

199.

Yaoの提案① 報告すべき点 標題・要旨 傾向スコアを利⽤していることを記載する ⽅法 バイアスに対処法するために,どのように傾向スコア分析を利⽤ したかを記載する マッチング法など傾向スコアの利⽤法を記載する ロジスティック回帰分析など傾向スコアの推定法を記載する 傾向スコアの推定に⽤いた変数を記載する 共変量選択の⼿続きを説明する Yao XI et al: J Natl Cancer Inst. 2017 Aug 1;109(8). 199

200.

Yaoの提案② 報告すべき点 ⽅法 マッチング法の場合,①アルゴリズムとキャリパー,②構成⽐, ③抽出法,④対応のあるデータの分析法,⑤バランスの評価法を 記載する 重み付け法の場合,バランスの評価法を記述する 層別化の場合,①層の数,②バランスの評価法を記述する 傾向スコア分析の前提条件の評価法を記述する 傾向スコアの推定の際に,⽋測値をどのように扱ったかを説明す る Yao XI et al: J Natl Cancer Inst. 2017 Aug 1;109(8). 200

201.

Yaoの提案③ 報告すべき点 結果 マッチング法の場合,マッチング前後の処置変数ごとに標本サイ ズを報告する 傾向スコアの利⽤前の共変量の分布を記述する 傾向スコアの利⽤後の共変量の分布と⽐較可能性を記述する 関⼼のある変数ごとに⽋測値の数を報告する 傾向スコア分析の推定値と精度を報告する 調整前後の効果推定値と精度を報告する Yao XI et al: J Natl Cancer Inst. 2017 Aug 1;109(8). 201

202.

Yaoの提案④ 報告すべき点 考察 共変量バランスが取れていたか否かを議論し,慎重に解釈するこ と マッチング法の場合,マッチング後の標本サイズ減少による影響 を議論すること (特に減少率が50%を超える場合) Yao XI et al: J Natl Cancer Inst. 2017 Aug 1;109(8). 202

203.

Stuartの提案① 報告すべき点 記載箇所 介⼊群,対照群,アウトカムと標本の単位 (例: 患者や I, M, D 病棟) の定義を含めることにより,関⼼のある因果的 疑問を明瞭に述べること。 関⼼のある効果の種類 (平均処置効果/処置群の平均処 I, M, R, D 置効果) と共に,アウトカムの対⽐ (リスク⽐/オッズ ⽐/リスク差など) を明瞭にすること。 解析対象集団に⾄るまでの適格基準と除外理由を明記 M すること。なお,適格基準は,処置前変数により定義 しなければならない。 I = introduction; M = methods; R= results; D =discussion Stuart EA: Propensity scores and matching methods. “The Reviewer’s Guide to Quantitative Methods in the Social Sciences“ Routledge. 2018. 203

204.

Stuartの提案② 報告すべき点 記載箇所 共変量選択の合理性と共に,すべての共変量の定義を M 明瞭にすること。処置後変数の調整に関⼼がある場合 は,それに合致した統計⼿法を使うこと。 傾向スコア分析の重要な仮定として,未測定の交絡変 M, D 数がないということを⽅法で述べ,その仮定の尤もら しさについて考察で述べること。 傾向スコア推定のモデルを明瞭にすること。パラメト M リック⼿法では交互作⽤項などの指定,ノンパラメト リック⼿法では中⽌基準などの指定を明記すること。 I = introduction; M = methods; R= results; D =discussion Stuart EA: Propensity scores and matching methods. “The Reviewer’s Guide to Quantitative Methods in the Social Sciences“ Routledge. 2018. 204

205.

Stuartの提案③ 報告すべき点 記載箇所 マッチング法,重み付け法,層化法の詳細など,傾向 M スコアの利⽤法を,その合理性と共に明瞭にすること。 特定の共変量を,正確なマッチング法など標準的では M ない⽅法で扱った場合,それを明記すること。 傾向スコア分析と効果の推定に使った,ソフトウェア M の名称とバージョンを⽰すこと。 関係する場合,その他の傾向スコアの利⽤法の試みと,M, R 主解析選択の合理性を議論すること。なお,共変量バ ランスが最も良好な傾向スコアの利⽤法を主解析とす ることは,頻繁に⽤いられている。 I = introduction; M = methods; R= results; D =discussion Stuart EA: Propensity scores and matching methods. “The Reviewer’s Guide to Quantitative Methods in the Social Sciences“ Routledge. 2018. 205

206.

Stuartの提案④ 報告すべき点 記載箇所 すべての項⽬の⽋測値の量と処理法を報告すること。 M 効果の推定⽅法を報告すること。なお,効果の推定に M おいて,共変量調整をしているか否か,該当する場合 は,その共変量を明記すること。 処置群と対照群ごとに,傾向スコア分析による調整前 R 後の標本サイズを報告すること。 I = introduction; M = methods; R= results; D =discussion Stuart EA: Propensity scores and matching methods. “The Reviewer’s Guide to Quantitative Methods in the Social Sciences“ Routledge. 2018. 206

207.

Stuartの提案⑤ 報告すべき点 記載箇所 傾向スコア分析による調整前後における,傾向スコア R の共通領域を図⽰すること。 傾向スコア分析による調整前後における共変量のバラ R ンスを,それが許容⽔準にあるかと共に⽰すこと 未測定の交絡変数に対する感度分析の⽅法と結果を記 M, R, D 述し,考察すること。 I = introduction; M = methods; R= results; D =discussion Stuart EA: Propensity scores and matching methods. “The Reviewer’s Guide to Quantitative Methods in the Social Sciences“ Routledge. 2018. 207

208.

Aliの提案① 報告すべき点 共変量の選択 共変量の選択法 実証的知⾒を考慮したか否か 処置変数またはアウトカムとの関連を考慮したか否か 傾向スコアの推定法 傾向スコアの推定法(例: ロジスティック回帰分析) 傾向スコアの推定に含めた変数または交互作⽤項 Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. 208

209.

Aliの提案② 報告すべき点 マッチング法 マッチングのアルゴリズム,構成⽐,キャリパーの指定 復元抽出か否か,対応を考慮した分析か否か マッチング前後の標本サイズ マッチングされなかった標本サイズと特性 マッチング前後の処置群と対照群のベースライン特性 マッチング後の共変量のバランス Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. 209

210.

Aliの提案③ 報告すべき点 重み付け法 逆確率重み付けと安定化した重みの範囲 (平均値,最⼤値, 最⼩値) 重みの定義 重みをトランケーションしたか否かと,その⽅法 重み付けられた集団における共変量のバランス Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. 210

211.

Aliの提案④ 報告すべき点 バランスの評価 共変量バランス評価の指標 傾向スコアの利⽤後にバランスが保てているか否か 効果の推定 統計⼿法 追加の共変量調整をしたか否か 感度分析を⾏ったか否か 効果の解釈 効果の種類(平均処置効果/処置群の平均処置効果)に即した解釈 Ali MS et al: Am J Clin Nutr. 2016 Aug;104(2):247-58. 211

212.

Austinの提案 報告すべき点 (1)-① 共変量の選択根拠 (1)-② 傾向スコアの推定 (2) マッチング法の記述 (3) バランスの確認 (4) 効果の推定 報告率[1] 報告率[2] 報告率[3] ―― ―― 48% (29/60) 0% (0/60) 13% (8/60) ―― ―― 55% (24/44) 0% (0/44) 25% (11/44) 96% (45/47) ―― 68% (32/47) 4% (2/47) 28% (13/47) [1] Austin PC: J Thorac Cardiovasc Surg 134:1128-35, 2007. [2] Austin PC: Circ Cardiovasc Qual Outcomes 1: 62-7, 2008. [3] Austin PC: Stat Med 27:2037-49, 2008. 212

213.

データ解析環境R①マッチング法 213

214.

マッチング法の流れ ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ データの読み込み マッチング前のバランス評価 傾向スコアの推定 傾向スコアの利⽤ 傾向スコアの分布 マッチング後のバランス評価 マッチング後のデータ作成 効果の推定 ⼆重ロバスト推定法 感度分析 214

215.

マッチング法関係のパッケージ パッケージ名 主な関数 利⽤⽬的 Matching Match 傾向スコアの利⽤ twang ps 傾向スコアの推定 (Generalized Boosted Regression) cobalt bal.plot bal.tab love.plot 傾向スコアの分布 バランスの評価 バランスの評価 rbounds psens 感度分析 215

216.

説明⽤データセット data(lalonde) 職業訓練プログラムの有効性 変数名 説明 コード 役割 treat 職業訓練プログラム 1=処置群; 0=対照群 処置変数 age 年齢 連続量 共変量 educ 教育年数 連続量 共変量 race ⼈種 ⿊⼈; ヒスパニック; ⽩⼈ 共変量 married 婚姻形態 1=既婚; 0=その他 共変量 nodegree 学位 1=学位なし; 0=その他 共変量 re74 1974年の所得 (処置前) 連続量 共変量 re75 1975年の所得 (処置前) 連続量 共変量 re78 1978年の所得 (処置後) 連続量 アウトカム 216

217.

①データの読み込み 217

218.

②マッチング前のバランス評価: 関数 bal.tab(formula, data, disp.mean=T, disp.sd=T, binary="std", continuous="std", disp.v.ratio=T) formula: 処置変数~共変量 data: データフレーム disp.mean=T: 平均値の表⽰ disp.sd=T: 標準偏差の表⽰ binary=“std“: ⼆分変数について標準化差の表⽰ continuous=“std“: 連続変数について標準化差の表⽰ disp.v.ratio=T: 分散⽐の表⽰ 218

219.

②マッチング前のバランス: アウトプット 標準化差 対照群の 平均値と標準偏差 処置群の 平均値と標準偏差 分散⽐ 219

220.

③傾向スコアの推定: 関数 glm(formula, data, family=binomial) formula: 処置変数~共変量 data: データフレーム family=binomial: ロジスティック回帰分析 glm()の返り値 fitted.values: 予測値 (傾向スコア) 220

221.

③傾向スコアの推定: アウトプット ロジスティック回帰により 傾向スコアを推定 傾向スコアの推定値を ロジット変換 221

222.

③傾向スコアの推定: 関数 ps(formula, data, n.trees, interaction.depth, shrinkage, stop.method=“es.mean”, verbose=F) formula: 処置変数~共変量 data: データフレーム n.trees: ⽊の推定回数 警告が出る場合は,n.treesを増やす, あるいは,shirinkageを⼩さくする interaction.depth: 交互作⽤項の次数 shirinkage: 学習速度のパラメータ (0.001~0.1の範囲に指 定することが多い) stop.method=“es.mean”: 標準化差の平均値の最⼩化を 基準とした,反復計算中⽌法 verbose=F: 計算過程を表⽰しない 222

223.

③傾向スコアの推定: アウトプット Boostingにより 傾向スコアの推定 傾向スコアの推定値を ロジット変換 223

224.

④傾向スコアの利⽤: 関数 Match(Y, Tr, X, replace=F, caliper=0.2, M=1, ties=F) Y: アウトカムのベクトル Tr: 処置変数のベクトル (1=処置群; 0=対照群) X: 距離 (ロジット変換した傾向スコア) のベクトル replace=F: ⾮復元抽出 caliper=0.2: 距離の標準偏差に0.2を乗じた値 M=1: 処置群1 vs. 対照群1のマッチング ties=F: 同⼀の傾向スコアの対照群がいる場合に,1名を ランダムに選択 224

225.

④傾向スコアの利⽤: アウトプット マッチング法の利⽤ (キャリパー0.2/1:1/⾮復元抽出) 効果の推定 マッチング前後 の標本サイズ 225

226.

⑤傾向スコアの分布: 関数 bal.plot(obj, treat, covs, var.name, which="both", type="histogram", mirror=T) obj: Match()で返されるオブジェクト treat: 処置変数のベクトル (1=処置群; 0=対照群) covs: 傾向スコアのデータフレーム var.name: 傾向スコアの変数名 which=“both”: 調整前後の分布 type=“histogram”: ヒストグラムを表⽰ mirror=T: 処置群と対照群を対⾯に表⽰ 226

227.

⑤傾向スコアの分布: アウトプット マッチング前の分布 マッチング後の分布 227

228.

⑥マッチング後のバランス評価: 関数  bal.tab(M, formula, data, disp.mean=T, disp.sd=T, binary="std", continuous="std", disp.v.ratio=T)  M: Match()で返されるオブジェクト  formula: 処置変数~共変量  data: データフレーム  disp.mean=T: 平均値の表⽰  disp.sd=T: 標準偏差の表⽰  binary=“std“: ⼆分変数について標準化差の表⽰  continuous=“std“: 連続変数について標準化差の表⽰  disp.v.ratio=T: 分散⽐の表⽰ 228

229.

⑥マッチング後のバランス: アウトプット 標準化差 対照群の 平均値と標準偏差 処置群の 平均値と標準偏差 分散⽐ 229

230.

⑥マッチング後のバランス評価: 関数 love.plot(x, formula, data, binary="std", abs=T, threshold=0.1) x: Match()で返されるオブジェクト formula: 処置変数~共変量 data: データフレーム binary=“std“: ⼆分変数について標準化差の表⽰ abs=T: 絶対値の表⽰ threshold=0.1: カットオフとして0.1にハイライト 230

231.

⑥バランス評価: アウトプット マッチング前後の 標準化差 231

232.

⑦マッチング後のデータ作成: 返り値 Match()の返り値 index.treated: 処置群の⾏番号 index.control: 対照群の⾏番号 232

233.

⑦マッチング後のデータ作成: アウトプット マッチング後の処置群と 対照群のアウトカム (横持ちデータ) 233

234.

⑦マッチング後のデータ作成: アウトプット マッチング後の処置群と 対照群のアウトカム (縦持ちデータ) 234

235.

⑧効果の推定: 関数 t.test(x, y, paired, var.equal = T) x: 数値ベクトル (処置群のアウトカム) y: 数値ベクトル (対照群のアウトカム) paired=T: 対応のある検定 =F: 独⽴な2群の検定 var.equal=T: t検定 235

236.

⑧効果の推定: アウトプット 信頼区間 平均値差 236

237.

⑨⼆重ロバスト推定法: オリジナル関数 dr.att(data, idx, yvar, tvar, covar, family) data: マッチング後のデータフレーム idx: ブートストラップ法のためのインデックス (信頼 区間を求めない場合は,1:nrow(data)と指定) yvar: アウトカムの変数名 tvar: 処置変数の変数名 covar: 共変量の変数名 family=“binomial“: アウトカムが⼆分変数 =“gaussian”: アウトカムが量的変数 237

238.

⑨⼆重ロバスト推定法: アウトプット ⼆重ロバスト推定法 による平均値差 238

239.

⑨⼆重ロバスト推定法: 関数 boot(data, statistic, R) data: データフレーム statistic: 関数 R: ブートストラップ・サンプル数 boot.ci(boot.out, type=“perc”) boot.out: boot()で返されるオブジェクト type=“perc”: パーセンタイル法 239

240.

⑨⼆重ロバスト推定法: アウトプット ブートストラップ法による 平均値差の信頼区間 240

241.

⑩感度分析: 関数 psens(x, Gamma, GammaInc=.2) x: Match()で返されるオブジェクト Gamma: 未測定の共変量による処置変数への影響の最 ⼤値 (オッズ⽐) GammaInc=.2: オッズ⽐を増やす幅 241

242.

⑩感度分析: アウトプット 未測定の共変量の影響が ない場合は有意でない 未測定の共変量により処 置群になるオッズが20% 上がると,有意になる 242

243.

データ解析環境R②重み付け法 243

244.

重み付け法の流れ ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ データの読み込み 重み付け前のバランス評価 傾向スコアの推定 重みの計算 傾向スコアの分布 重み付け後のバランス評価 効果の推定 ⼆重ロバスト推定法 感度分析 マッチング法と同じ 244

245.

重み付け法関係のパッケージ パッケージ名 主な関数 利⽤⽬的 WeightIt weightit 傾向スコアの推定と利⽤ cobalt bal.plot bal.tab love.plot 傾向スコアの分布 バランスの評価 バランスの評価 survey svyglm 重みを考慮した線形モデル treatSens* treatSens 感度分析 注) CRANではなく,github上で⼊⼿する remotes::install_github("vdorie/treatSens") 245

246.

④重みの計算: 計算式の使⽤ 傾向スコアを変数に加える 重み付け法 246

247.

④重みの計算: 関数 weightit(formula, data, method="ps", estimand) formula: 処置変数~共変量 data: データフレーム method=“ps”: ロジスティック回帰 estimand=“ATE”: 逆確率重み付け =“ATM”: マッチングした重み付け =“ATO”: オーバーラップした重み付け =“ATT”: 処置群の平均処置効果のための重み付け 247

248.

④重みの計算: アウトプット 計算式を使⽤ 関数を使⽤ 248

249.

⑤傾向スコアの分布: 関数 bal.plot(obj, var.name=“prop.score”, which="both", type="histogram", mirror=T) obj: weightit()で返されるオブジェクト var.name=“prop.score”: 傾向スコアの推定値 which=“both”: 調整前後の分布 type=“histogram”: ヒストグラムを表⽰ mirror=T: 処置群と対照群を対⾯に表⽰ 249

250.

⑤傾向スコアの分布: アウトプット 重み付け前の分布 重み付け後の分布 250

251.

⑥重み付け後のバランス評価: 関数 bal.tab(weightit, disp.mean=T, disp.sd=T, binary="std", continuous="std", disp.v.ratio=T) weightit: weightit()で返されるオブジェクト disp.mean=T: 平均値の表⽰ disp.sd=T: 標準偏差の表⽰ binary=“std“: ⼆分変数について標準化差の表⽰ continuous=“std“: 連続変数について標準化差の表⽰ disp.v.ratio=T: 分散⽐の表⽰ 251

252.

⑥重み付け後のバランス: アウトプット 標準化差 対照群の 平均値と標準偏差 処置群の 平均値と標準偏差 分散⽐ 252

253.

⑥重み付け後のバランス評価: 関数 love.plot(x, formula, data, binary="std", abs=T, threshold=0.1) x: weightit()で返されるオブジェクト formula: 処置変数~共変量 data: データフレーム binary=“std“: ⼆分変数について標準化差の表⽰ abs=T: 絶対値の表⽰ threshold=0.1: カットオフとして0.1にハイライト 253

254.

⑥重み付け後のバランス評価: アウトプット 重み付け前後の 標準化差 254

255.

⑦効果の推定: 関数 svydesign(ids=~1, data, weights=~) ids=~1: クラスターがない data: データフレーム weights=~: 重みのベクトル svyglm(formula, design) formula: アウトカム~処置変数 design: svydesign()で返されるオブジェクト 255

256.

⑦効果の推定: アウトプット 平均値差 信頼区間 (ロバスト分散) 256

257.

⑧⼆重ロバスト推定法: オリジナル関数 dr.ate(data, idx, yvar, tvar, covar, family) data: データフレーム idx: ブートストラップ法のためのインデックス (信頼 区間を求めない場合は,1:nrow(data)に指定) yvar: アウトカムの変数名 tvar: 処置変数の変数名 covar: 共変量の変数名 family=“binomial“: アウトカムが⼆分変数 =“gaussian”: アウトカムが量的変数 257

258.

⑧⼆重ロバスト推定法: アウトプット ⼆重ロバスト推定法 による平均値差 258

259.

⑧⼆重ロバスト推定法: アウトプット ブートストラップ法による 平均値差の信頼区間 259

260.

⑨感度分析: 関数 treatSens(formula, data, weights trt.family=binomial("probit")) formula: アウトカム~処置変数+共変量 data: データフレーム weights=: 重みのベクトル trt.family=binomial(“probit”): プロビット回帰 260

261.

⑨感度分析: アウトプット 261

262.

⑨感度分析: アウトプット 統計的有意性がなくなる範囲 測定された共変量のうち処置 変数への影響が最も⼤きい 測定された共変量のうちアウ トカムへの影響が最も⼤きい 262

263.

おわりに 263

264.

⼊⾨書 264

265.

導⼊論⽂ [1] Stuart EA: Stat Sci 25:1-21, 2010 . [2] Austin PC: Multivariate Behav Res 46: 399-424, 2011. 265

266.

導⼊論⽂ [1] Ali MS et al: Front Pharmacol. 2019 Sep 18;10:973. [2] Jackson JW et al: Curr Epidemiol Rep. 2017 Dec;4(4):271-280. 266

267.

配布資料URL  http://blue.zero.jp/yokumura/workshop/psws2020.zip ファイル名 ps2020.pdf Response.pdf propensity_matching.R propensity_weighting.R 説明 配布資料のPDF版 質問への回答 マッチング法のRプログラム 重み付け法のRプログラム 再配布はご遠慮下さい 267

268.

REQUIRE研究会へのお誘い  http://blue.zero.jp/yokumura/workshop.html 268

269.

臨床疫学研究の推進のために法⼈設⽴* *2020年4⽉1⽇オープン予定 研究疑問の構築から 執筆まで総合的に⽀援 セミナー等の実施 普及啓発 研究⽀援 研究開発 受託研究や ⾃主研究の推進 269