【CEDEC2023】プロジェクトだけでなく組織もアジャイルに~課を越え相互理解から連携を強化する組織づくり~

6.7K Views

October 13, 23

スライド概要

CEDEC2023の講演資料となります。
https://cedec.cesa.or.jp/2023/session/detail/s642955ea9a66c
noteにて補足記事もアップロードしております。
https://note.com/hexadrive/n/n3361392e84b0

profile-image

株式会社ヘキサドライブの資料共有用アカウントです。 公式ブログ:https://hexadrive.jp/hexablog/ note   :https://note.com/hexadrive

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

(ダウンロード不可)

関連スライド

各ページのテキスト
1.

プロジェクトだけでなく組織もアジャイルに ~課を越え相互理解から連携を強化する組織づくり~ 株式会社ヘキサドライブ 研究開発課 森田 和則

2.

まず最初に • 本講演の資料はすぐに共有します • 様々な外部の情報を活用し考え取り組んだ事例です • 皆さんの現場だったら何が試せるか? そう言った視点で聞いてもらえると良いかと思います • ちょっとした勇気や、試すきっかけとなれば幸いです

3.

自己紹介 森田 和則 大阪開発部 研究開発課 課長 社内コーチ / QAエンジニア 社外活動・コミュニティ スクラム道関西 運営メンバー, スクラムフェス大阪実行委員 CEDEC企画委員 PRD分野担当 キーワード コーチング, ファシリテーション, サーバントリーダーシップ アジャイル, スクラム, 心理的安全性, チームビルディング 略歴 2005 2018 2021 2022 2023 ゲームプログラマーとして業界へ ㈱ヘキサドライブにQAエンジニアとして入社 R&Dグループ(現 研究開発課)立ち上げに伴い, ヘッド(現 課長)に就任 新たに情報システム課課長も兼務。社内コーチ、アジャイルコーチとして活動 情報システム課 課長から 課長補佐となる

4.

過去の講演歴 2016 GAME CREATORS CONFERENCE '16, CEDEC 2016, CEDEC+KYUSYU 2016 『ベヨネッタ2』におけるゲーム品質を上げる為の自動化 〜オートプレイと継続的なパフォーマンス計測〜 2018 Regional Scrum Gathering Tokyo 2018 ゲーム開発現場の中心で心理的安全性を叫ぶ 2019 CEDEC 2019 心理的に安全な状況を作り出し, すべてをかき混ぜる方法 プロダクションラウンドテーブル 2021 CEDEC 2021 プロダクションラウンドテーブル 2022 Game Developers Meeting Vol.53 Online 「私たちのチームは心理的安全性が高いです!」それホント? 東京国際工科専門職大学 (2022/5, 2023/4) チームビルディングに関する話(心理的安全性, チームについて) 2023

5.

社内での活動 • メンタリング / コーチング – 部下以外に、年間230~250回程度実施 (週に30分*6~7セッション程 ) • チームビルディング支援 – アジャイルコーチ、ふりかえりのファシリテート等 • 社内研修実施 – 新入社員受け入れ準備研修、コミュニケーション基本研修

6.

過去の経験(2013年~) • ”チーム”として協働を意識し、メンバーの関係性に興味 – 自身が +10 になるよりも, チーム全員が +1になる事の方が価値があると考えるように • 現場で起きている多くの問題が、 人間関係に起因しているのではないかと感じ始める • アジャイル、スクラム、Management 3.0に出会い 体験、感覚としてあったものが明確に

7.

過去の経験(~現在) • 提案は出来るが、選択を行うのは現場 – チームでの課題を聞き相談を受けるが、選択し実施するのは現場 • 上手く変化するチームとそうでないチーム – 主要メンバー、トップが変えようと、思えているチームは変わる – 変わらないのは”誰かに変えてもらおう”と思っているチーム • 何かを実施するには、組織として、 一定のトップダウンが出来る状況が必要だと考えていた

8.

過去の経験 自身が想いを伝えられ 責任を持ち、実施できる環境を欲していた

9.

全体の取り組みについて

10.

全体の取り組み • 情報システム課&研究開発課 合同 – 昼礼・終礼・週ふりかえり・定例 • 情報システム課 単独 – カンバン、デイリースタンドアップ(朝礼)、週ふりかえり • 研究開発課 単独 – スクラム • スプリントプランニング、デイリースクラム(朝礼)、レビュー、ふりかえり – カンバン • デイリースタンドアップ

11.

全体の取り組み • とある1日の流れ 研究開発課 デイリースクラム 両課合同 昼礼 情報システム課 デイリースタンドアップ 両課合同 終礼 情報システム課 終礼(ふりかえり)

12.

全体の取り組み 情報システム課 ・デイリースタンドアップ:~15分 ・合同昼礼 :~5分 ・課終礼(ふりかえり) :~5分 ・合同終礼 :~5分 • とある1日の流れ 研究開発課 デイリースクラム 両課合同 昼礼 情報システム課 デイリースタンドアップ 両課合同 終礼 情報システム課 終礼(ふりかえり)

13.

全体の取り組み • とある1日の流れ 研究開発課 ・デイリースクラム ・合同昼礼 ・合同終礼 研究開発課 デイリースクラム 両課合同 昼礼 情報システム課 デイリースタンドアップ :~15分 :~5分 :~5分 両課合同 終礼 情報システム課 終礼(ふりかえり)

14.

全体の取り組み • とある1日の流れ – 金曜日 研究開発課 デイリースクラム 研究開発課 レビュー&ふりかえり 両課合同 昼礼 情報システム課 デイリースタンドアップ 両課合同 ふりかえり 情報システム課 ふりかえり 両課合同 終礼 情報システム課 翌週作業の計画

15.

情報システム課の取り組み • カンバンを用いて作業の見える化 – デイリースタンドアップ • 毎朝、全員で状況を共有し確認する習慣作り • 終礼で、一日のふりかえり • 週末に、一週間のふりかえりと、翌週の作業計画 UnsplashのTim van der Kuipが撮影した写真

16.

情報システム課の取り組み • 取り組みの効果 – WIP制限 • 並列作業を抑え、着実にタスクを完了させる – スタッフの急な休みによる、引継ぎや対応処理 – プロジェクトからの回答待ち等、停滞したタスクの見える化 • リマインドを実施したり、タスクを切り上げる判断を行う – 割り込みを予測し、一週間に出来る作業を見積もる習慣 – レーン整理含め、カイゼンする事の習慣化

17.

研究開発課の取り組み • 検査・適応の習慣づくり – 見える化、検査、適応を継続して行う – 社内ツールの開発を主としている時期はスクラム スクラム未経験者が居た為、体験しながら少しずつカイゼン。 最初は、木・金のみの一か月のスプリントからスタート。 最終的に、1週間スプリントとなり全部で31スプリント実施 – 多様な取り組みを行っている時期はカンバン 2023年にメンバーが増え、1つに集中できなくなった。 情報の偏りをなくすため一時的に。

18.

合同の取り組み • 週末 ふりかえり(30分) – この中でのカイゼンは行わない – 現場の情報の差が少しでも埋まる事を期待 • 昼礼・終礼(15分確保しているが, ほとんど~5分程度) – 連絡や確認、相談が無いか確認 – 終礼では、終了後に雑談等 • 課定例(30分前後) – コミュニケーションを基本とし、雑談が多いのが特徴 – 課定例がある日は、昼礼無し

19.

合同で行いたい理由 • 課をまたぎ、相談したり協力する案件が多いから • 非開発である情シスが開発の情報を得るため • 単純接触機会を増やし言える化を促すため

20.

合同実施の背景

21.

組織の状況 東阪の開発部毎に R&Dグループが新設 研究開発課に名称変更 2022年 2021年 デベロップメントサポート 大阪:2名 東京:1名 研究開発課 3名所属 5名所属 2022年 情報システム課に名称変更 大阪:2名(1名退職+1名入社) 東京:0名 情報システム課 大阪:3名(1名入社) – 2021年のR&Dグループ発足後、デベロップメントサポートと連携開始 – 1時間/週の定例実施(部長への報告の場30分 + 現場レベルの相談30分) – 停滞していた案件に着手。未来を見据えた計画の相談も – 2022年の組織改編時に、課長を兼務する事に

22.

組織の状況 • 2022年 研究開発課 主任 TA 情報システム課 課長 主任 未経験入社したて

23.

リモートワーク下の影響 • オフィス中心の場合のイメージ 会社 プロジェクトB プロジェクトA プロジェクトC

24.

リモートワーク下の影響 • オフィス中心からリモートに変わった場合のイメージ – プロジェクトが主となり、それ以外の情報が入りづらい – 会社という単位での動きが見えづらくなる プロジェクトB プロジェクトA 会社 プロジェクトC

26.

Agile Japan 2017 大阪サテライト Araratakeshi, 会社の文化をアジャイルに変えたい?キミにもできるよ!, https://speakerdeck.com/araitakeshi/hui-she-falsewen-hua-woaziyairunibian-etai-kiminimodekiruyo

28.

組織の状況 • 2023年 研究開発課 TA D PG 情報システム課 課長 業界未経験 中途入社したて PG 課長 未経験入社したて

29.

合同の取り組み • 週末 ふりかえり(30分) – この中でのカイゼンは行わない – 現場の情報の差が少しでも埋まる事を期待 • 昼礼・終礼(15分確保しているが, ほとんど~5分程度) – 連絡や確認、相談が無いか確認 – 終礼では、終了後に雑談等 • 課定例(30分前後) – コミュニケーションを基本とし、雑談が多いのが特徴 – 課定例がある日は、昼礼無し

30.

合同のふりかえり Good & Moyatto、 Mad,Sad,Glad、 Fun, Done, Learn + 全ワーク「やっちゃった」

31.

合同ふりかえりの目的 • 問題解決の場ではない – お互いの課で起きた事の共有 – 個人の気持ち、感情の共有 – 失敗、やらかしてしまった事の共有 • その場にいるメンバーがお互いの状況を知る – 直接の作業がわからずとも、何があったかを知るきっかけ – 何をしているのか、何に困っているのか? – 相手を理解しようとする気持ちが重要

32.

ふりかえりで気を付けた事 • 感情をさらけ出す – 課でふりかえりをしたりしているので、合同ではより楽しく • プライベートな事OK(むしろ歓迎) • その場に上長がいても失敗を共有する • もちろん上長も失敗した事を共有 森田 〇〇大学に行くときに、電源ケーブ ルもっていくの忘れた。 省電力 モード&TeamsやSlackとか落として 乗り切った 2h -> 9h に!

33.

カイゼンだけが ふりかえりじゃない

34.

ふりかえりと言えば • 本日 8/24 14:50〜 森さんのセッションが! 森 一樹著 アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセット 翔泳社, 2021年.

35.

合同の取り組み • 週末 ふりかえり(30分) – この中でのカイゼンは行わない – 現場の情報の差が少しでも埋まる事を期待 • 昼礼・終礼(15分確保しているが, ほとんど~5分程度) – 連絡や確認、相談が無いか確認 – 終礼では、終了後に雑談等 • 課定例(30分前後) – コミュニケーションを基本とし、雑談が多いのが特徴 – 課定例がある日は、昼礼無し

36.

あ〜 確認したいけど 明日の朝礼でいいか ぱくたそ勤務中に株の暴落を知った会社員投資家の無料写真素材 https://www.pakutaso.com/20190503127post-20752.html

37.

しまった! 忘れてた ぱくたそ 5分と持たない記憶力。反比例する速記力の無料写真素材 https://www.pakutaso.com/20141231343post-4920.html

38.

リモートワークになって • 会議室の移動時間が無くなった 会議室への移動中や会議後に ちょっとした質問や確認ができた ビデオ会議集まったら即会議 終わったらすぐ切断

39.

リモートワークになって • 気軽に声をかけづらくなった 「これみてもらっていいですか?」 見かけた際に声かけが出来た 返信が無い…(既読かもわからない) 今、連絡していいものか…

40.

1日の同期について 相手の事を気にしすぎず、 気軽に声かけが出来る状態を作る

41.

1日の同期について • 朝礼は課毎で行い、連携が必要な物を昼礼で確認 – アポ取りの時間が不要 • 終礼は業務終了に向けたフェードアウト時間 – その日の締めくくりとして、作業しながら雑談を実施 • 単純接触効果 – 何度も顔を合わせる事で、話しやすくなる事を期待

42.

合同の取り組み • 週末 ふりかえり(30分) – この中でのカイゼンは行わない – 現場の情報の差が少しでも埋まる事を期待 • 昼礼・終礼(15分確保しているが, ほとんど~5分程度) – 連絡や確認、相談が無いか確認 – 終礼では、終了後に雑談等 • 課定例(30分前後) – コミュニケーションを基本とし、雑談が多いのが特徴 – 課定例がある日は、昼礼無し

43.

課定例 • 実施内容 – 雑談 • Good & New、週末あったことを共有 – 組織伝達 • 毎週各課へ、開発部、業務部、 その他、組織運営上の連絡を行う 相談 組織 伝達 雑談 – 相談 • 相互相談、確認 例)ライセンスの利用確認 そろそろWindows11が… 課定例 30分の内訳

44.

雑談の内容 • 最近みつけた美味しい物 • 趣味 – 映画 – 推し活 – ゲーム • やっちゃった話 • ...

45.

課定例 • 1分間スピーチをヒントに実施 – CEDEC2019の Tigerspike㈱ (現 コンセントリクス・カタリスト㈱) – 組織内で心理的安全性を高める取り組みの一つ • 1分間スピーチのやり方 ① 数名のグループに分かれる ② テーマ発表後、1分間のシンキングタイム ③ 一人ずつ、1分テーマに沿ったお話をする 根岸さんの講演で紹介

47.

Management 3.0 Japan Conference 開催日時 2020/09/12 Online 『リモートワークーーチームワークが結束する次世代型メソッド』 著者 リセット・サザーランド 氏の講演にて リモートワークにおいて、 非同期で出来る事は非同期で行う。 集まっているから出来る事をする

48.

課定例 • 全員がいるから出来る事は何か? • 情報伝達はしっかりする必要はあるが、 先に公開されているなら読めばいい • わからなければ確認すればいい • お互いを知るための場として最小コストで活用

49.

課よりもっと大きな場所での取り組み

50.

リモートワーク下の影響 • 先ほど、こんな話もしました

51.

大阪の組織全体で、 部署や課も越えやってみた!

52.

大阪オフィス内全員で! • 大阪オフィス所属社員・役員全員で実施! – 2021年7月より、毎月の組織共有会の朝に実施 – 開発部、情報システム課、業務部、社長含め実施 • Zoomで開始しブレイクアウトルームでランダム! – 中途入社、新卒入社の方にとって、様々な方と話せる機会 – 在籍する社員にとっても、プロジェクト外の方との接点となる • 4〜5名にわかれ、全体で15分ほどの時間を用意 – 一人1分の為、各グループ7分程度で終わる想定ではあるが、 多くのグループが終了ギリギリまで会話

54.

まとめ • やりたい事をやるなら、偉くなろう。 そしてあなたの想いを伝えよう • 良いものを作るために、全力で雑談しよう。 素の自分をさらけ出そう • 仲がいい組織ではなく、相互理解からその先へ

56.

参考文献 【Webサイト】 • Google, 「効果的なチームとは何か」を知る, re:Work, 閲覧日 2023-08-19, https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/ . 【書籍】 • エイミー・C・エドモンドソン著, 野津智子訳, チームが機能するとはどういうことか ― 「学習力」と 「実行力」を高める実践アプローチ, 英治出版, 2014年. • Brian W. Fitzpatrick著, Ben Collins-Sussman著, 角 征典訳, Team Geek ―Googleのギークたちはい かにしてチームを作るのか, オライリージャパン, 2013年. • Marcus Hammarberg著, Joakim Sunden著, 原田 騎郎訳, 安井 力訳, 吉羽 龍太郎訳, 角 征典訳, 高木 正弘訳, カンバン仕事術―チームではじめる見える化と改善, オライリージャパン, 2016年. • Mary Lynn Manns著, Linda Rising著, 川口 恭伸監訳, 木村 卓央訳, 高江洲 睦訳, 高橋 一貴訳, 中込 大祐 訳, 安井 力訳, 山口 鉄平訳, 角 征典訳, Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるた めの48のパターン,丸善出版, 2014年. • 森 一樹著,アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マイ ンドセット, 翔泳社, 2021年.