価値提供を続けるチームはマインドセットに支えられていた

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August 26, 23

スライド概要

Scrum Fest Sendai 2023 登壇資料です。

このセッションでは、ビジネスやチームへの期待、メンバーのキャリア、ライフステージなど、チームの環境や状況は良くも悪くも変化し続けることを伝えました。変化をコントロールすることよりも、変化に適用して価値提供を続けることが大事であることを強調しました。そのためには、スキルやプラクティスの前に、チームのマインドセットが醸成されていることが肝要であり、ビジネスや顧客のニーズなど、チーム外の大抵の変化に対しては、コントロールできないということも述べました。また、チームの1年間の変化を挙げ、アウトカム思考なチームづくりと変化に強いチームづくりのポイントについて説明しました。

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温泉旅館でゆっくりしたいスクラムマスター。

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

価値提供を続けるチームは マインドセットに支えられていた 2023.08.26 Scrum Fest Sendai 2023 Asato Takahashi

2.

自己紹介 ● 髙橋 朝人(asato) ● 𝕏: @at_946 ● スクラムマスター || プロダクトマネージャー @ カオナビ ● 💖 プロダクト開発、温泉・旅行、個人開発 ● 😖 はじめまして(人見知りです)、うなぎ、あんこ ● 僕と仙台 ○ 大学・大学院の6年間は仙台で暮らしてました! ○ でも、山(研究室) にこもっていたので仙台全然詳しくないです... 2

3.

このセッションで伝えたいこと ● ビジネスやチームへの期待、メンバーのキャリア、ライフステージなど、チームの環 境や状況は良くも悪くも変化し続ける ● 大事なことは、変化をコントロールしようとするのではなく、 チームが変化に適用して価値提供を続けられること ● そのためにはスキルやプラクティスの前に チームのマインドセットが醸成されていることが肝要 3

4.

Learning Outcome ● 明日からチームのマインドセットを醸成したくなります ● マインドセットをチームに浸透させていく方法のヒントを得られます 4

5.

第一章 価値提供を続けるチームは 変化に強いチーム 5

6.

価値提供 > 顧客が価値を認めるのは、自分たちの問題が解決したり、 > 要望やニーズが満たされたりしたときだけです。 — ● アウトプット思考の先、アウトカム思考を! a. チームがプロダクト・機能を利用可能にする b. 顧客がプロダクト・機能を利用する c. 顧客がプロダクト・機能に価値を感じる 6

7.

価値提供を続けられるチーム = アウトカム思考なチームづくり + チームに起こる変化を排除(=安定) 7

8.

大抵の変化はコントロールできない ● ● チーム外 ○ 顧客の課題やニーズは、変化し続ける ○ 会社のビジネスの方針も、変化し続ける ○ 社内のステークホルダーからのチームへの期待も、変化し続ける チーム内 ○ メンバーのキャリアビジョンやライフステージは、変化し続ける ■ メンバーの加入・異動・休職・退職 ■ メンバーの役割・関係性 8

9.

チームの1年間の変化 年月 イベント 人数 体制 2022.07 チーム発足 11 1スクラムチーム 2022.08 1名加入 12(+1) 1スクラムチーム 2022.09 コンテキストスイッチ対策で体制変更 12 3スクラムチーム 2022.10 1名脱退 11(-1) 3スクラムチーム 2022.11 新PJ始動に伴い体制変更 1名のOJTを開始 12(+1) 2スクラムチーム 2022.12 1名加入、OJT終了 12(+1 -1) 2スクラムチーム 9

10.

チームの1年間の変化 年月 イベント 人数 体制 2023.01 1名他チーム支援で脱退 支援チームが合流 13(+2 -1) 2スクラムチーム + 1支援チーム 2023.02 1名加入 支援チームが解散、内 1名が離脱 13(+1 -1) 2スクラムチーム 2023.03 1名加入 14(+1) 2スクラムチーム 2023.04 2名加入 チーム全体での価値提供を より意識するために LeSS体制に変更 16(+2) 3チームLeSS 2023.05 1名他チーム支援で脱退 1名育休取得 14(-2) 3チームLeSS 2023.06 チームバランスを鑑みて体制変更 14 2チームLeSS 10

11.

チームの1年間の価値提供 ● 価値提供 a. チームがプロダクト・機能を利用可能にする ■ b. 顧客がプロダクト・機能を利用する ■ c. デプロイ頻度が右肩上がり フォーカスしている機能の利用率が右肩上がり 顧客がプロダクト・機能に価値を感じる ■ 肯定的であったり期待感を示すVoCが多く寄せられている 11

12.

価値提供を続けられるチーム = アウトカム思考なチームづくり + チームに起こる変化を排除(=安定) 変化に適応できるチームづくり 12

13.

第一章 まとめ ● 大抵の変化はコントロールできない ● 価値提供を続けるチーム = アウトカム思考 + 変化への適応 13

14.

第二章 変化に適応するために マインドセットが肝要 14

15.

なぜ僕たちは変化に適応できたのか? X 超絶すごいスキルを持ったメンバー達だったから X 変化に強いベストプラクティスを取り入れたから X スクラムで開発したから O 適切なマインドセットを共有し合えていたから 15

16.

マインドセット > A mindset is an established set of attitudes of a person or group concerning culture, values, philosophy, frame of mind, outlook, and disposition. — > マインドセットとは、文化、価値観、哲学、心構え、展望、気質などに関する、個人や集 団の確立された一連の態度のことである。 Mindset - Wikipedia 16

17.

マザーテレサの言葉 > 思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。 > 言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。 > 行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。 > 習慣に気をつけなさい、それはいつか人格になるから。 > 人格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。 17

18.

思考はマインドセットに由来する マインドセットに気をつけなさい、それはいつか思考になるから。 思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。 言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。 行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。 習慣に気をつけなさい、それはいつか人格になるから。 人格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。 — マインドセット → 思考 → 言葉 → 行動 → 習慣 → 人格 → 運命 18

19.

主語がチームでもしっくりくる チームのマインドセットに気をつけなさい、それはいつかチームの思考になるから。 チームの思考に気をつけなさい、それはいつかチームの言葉になるから。 チームの言葉に気をつけなさい、それはいつかチームの行動になるから。 チームの行動に気をつけなさい、それはいつかチームの習慣になるから。 チームの習慣に気をつけなさい、それはいつかチームの人格になるから。 チームの人格に気をつけなさい、それはいつかチームの運命になるから。 — チームのマインドセット → … → チームの運命 19

20.

アイスバーグモデル 20

21.

アイスバーグモデル ● 周りから見えるのは「成果(結果)」のみ ● 「成果(結果)」を得るためには 「能力・スキル」が必要 ● 「能力・スキル」を身につけるためには 「ふるまい・習慣・行動」の継続が必要 ● 「ふるまい・習慣・行動」は 「意識・想い・人生哲学」が影響する 21

22.

逆にいえば ● 適切なマインドセットを持てば、 自然と効果的なふるまいをとりやすくなる ● 効果的なふるまいをとっていれば、 効果的なスキルが身につきやすくなる ● 効果的なスキルが身についていれば、 望ましい成果を得やすくなる 22

23.

主語がチームでもしっくりくる ● チームが適切なマインドセットを持てば、 自然と効果的なふるまいをとりやすくなる ● チームで効果的なふるまいをとっていれば、 効果的なスキルが身につきやすくなる ● チームに効果的なスキルが身についていれば、 チームは望ましい成果を得やすくなる 23

24.

価値・原則・プラクティス @ XP > 価値とは、目にするものや考えていることなどを > 判断するための大きな基準である。 > プラクティスとは、XPチームが日常的に行うものである。 > だが、プラクティスだけでは味気ない。価値によって > 目的を与えなければ、機械的な作業になってしまう。 > > > > 価値は普遍的なものである。 仕事で大切にしている価値は、普段の生活で 大切にしている価値と同じであることが理想的だ。 一方、プラクティスは状況によって大きく異なる。 24

25.

価値・原則・プラクティス @ XP > 価値とプラクティスのギャップを埋めるのが原則だ。 > 原則は、その分野に特化した活動の指針である。 25

26.

アイスバーグモデルとXP 具体 依存 ≒ プラクティス コン テ キ スト に = 原則 = 価値 抽象 非依存 (マインドセット) 26

27.

第二章 まとめ ● 変化に適応 ↑ コンテキストに適合したプラクティスの選択・創造 ↑ コンテキストに依存しない効果的なマインドセットの共有 ● チームのマインドセットは、いつかチームの運命になる 27

28.

第三章 スクラムマスターとして 効果的なマインドセットを チームに浸透させていく 28

29.

第三章 スクラムマスターとして 効果的なマインドセットを チームに浸透させていく 29

30.

効果的なマインドセットの参考になるもの ● アジャイルなマインドセット ● 会社のPurposeやMVV(Mission/Vision/Value) ● メンバー個人個人の大切にしたいこと 30

31.

アジャイルなマインドセット ● アジャイルマニフェスト ● モダンアジャイル ● スクラムの理論・三本柱・価値基準 ● XPの価値・原則 ● リーンソフトウェア開発の原則・ムダ ● HRT @ Team Geek ● テストマニフェスト ● LeSSの原理原則 ● … 31

32.

第三章 スクラムマスターとして 効果的なマインドセットを チームに浸透させていく 32

33.

インナーブランディング ● 会社の理念や価値を社員に浸透させる活動 未認知 認知 共感 理解 行動 習慣化 浸透プロセス インナーブランディングを推進するために知っておくべき、企業理念浸透の5ステップ 33

34.

「認知」のアプローチ ● 未認知 認知 理解 共感 行動 習慣化 浸透させたいマインドセットとの頻繁な接点をつくる ○ 👀 slackのカスタム絵文字を作成 ○ 👀 slackカスタムレスポンスを作成し毎朝の出社連絡で利用 ○ 👂 意識的に自分の発言の中で利用 ○ … 34

35.

「理解」のアプローチ ● 未認知 認知 理解 共感 行動 習慣化 マインドセットの背景や意味をしっかり伝える ○ 原典の読み合わせ(スクラムガイド、LeSSガイド、など) ○ 社内やチームの勉強会でじっくり解説 ○ 雑談やtimesチャンネルで雑に紹介 ○ プラクティスを取り入れる前に マインドセットとのつながりを説明 35

36.

「共感」のアプローチ ● ● 未認知 認知 理解 共感 行動 習慣化 大前提 ○ 共感は強制するものではない ○ チームに合わないなら選択しない その上で ○ 共感している言動があれば、気づきを与える ■ 「今の言葉って、〇〇のマインドセットを背後に感じますね〜」 ■ 「その行動って、〇〇のマインドセットとも相性良いですね〜」 36

37.

「行動」のアプローチ ● 未認知 認知 理解 共感 行動 習慣化 チームが行動に迷ったときにマインドセットに立ち戻れる問いを投げかける ○ 「チームが勇気を出せるようになるために、どんな行動が必要ですか?」 ○ 「次はどんな実験をすると効果的だと思いますか?」 37

38.

「習慣化」のアプローチ 未認知 認知 理解 共感 ● 「行動」のアプローチを繰り返す ● 問いのタイミングを遅らせたり頻度を少なくし、 チームが自主的にマインドセットに沿った行動を選択できるようになる支援を 行動 習慣化 38

39.

ふりかえりでマインドセットを浸透させる ● Lean Coffee ○ ● Fun/Done/Learn ○ ● ラフにコミュニケーションできる関係性や姿勢が大事 楽しいという感情や、学びが大事 象・死んだ魚・嘔吐 ○ 自分の気持ちを伝えることや、先を見据えて改善することが大事 39

40.

マインドセットもJust In Time ● 効果的なマインドセットはたくさんある ● 人は選択肢が多いほど、選択をしない可能性が高くなる ○ ● 選択のパラドックス 必要なマインドセットを、必要な時に、必要なだけ ○ スクラムマスターはチームの状態や状況を俯瞰して、 適切なタイミングで適切なマインドセットが浸透するよう支援する 40

41.

Just In Timeの例 チーム立ち上げ ● ● スクラムの理論・三本柱・価値基準 アジャイルマニフェスト 開発の見通しに 課題があるな 🤔 ● ● XPの価値・原則 アジャイルな見積もりと計画づくり テストのサイロ化が 課題だな🤔 ● ● テストマニフェスト アジャイルテスティング チームが同じ価値に 向き合えてない 🤔 ● LeSSの原理原則 … 41

42.

第三章 まとめ ● スクラムマスターは効果的なマインドセットをチームへ浸透させていく ● 効果的なマインドセット ○ ● アジャイル開発界隈のマインドセットはおすすめ チームへ浸透させていく ○ インナーブランディングのプロセスは有効 ○ ふりかえりは絶好の浸透機会 ○ 一度に多くは浸透しないのでJust In Timeが大事 42

43.

最終章 僕たちのマインドセットを 紹介します 43

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僕から見たチームのマインドセット ● 素早く価値を提供しよう ● 動くプロダクトで議論しよう ● わからないなら実験しよう ● 学習して成長しよう 44

45.

僕たちが取り組んだプラクティス ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● LeSS VoCを眺める会 みんなでユーザーヒアリング CSメンバーと顧客フィードバック深堀会 シナリオベーススプリントレビュー FeatureToggles モブプロ・モブワーク 単体テストを職能横断ペアプロ 探索的テスト会 リアルに近いデータのテスト環境 社内メンバーとドッグフーディング デモ用環境に先行リリース 職能横断デザインレビュー ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 防災訓練(障害対応の練習) Undone work to DoD 提案「一回実験しよう」 問い「何があれば勇気湧くかな?」 受入基準はQAメンバーがリード エピックレベルのリファインメント マンスリーポジティブふりかえり 社内勉強会の積極登壇 朝のLT会 みんなでデブサミ JSTQBシラバス輪読会 雑談・雑相・居室ハドル … 45

46.

共有されたマインドセットを軸に 適切なプラクティスを選択・創造し 価値提供を続けてこれた 46

47.

しかしこれは あくまで僕の観察内の話! 47

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ザッポスのコアバリュー > > > > > > > > > > 「バリュー」は社員の日常行動につながるものなので、 全社参加型でじっくり創りあげられるとベストだろう。 例えばザッポスのコアバリューは 「ザッポスらしさってなんだろう。 ザッポス社員らしさってなんだろう?」という トニー・シェイのメールでの問いかけをきっかけとし、 一年もの期間をかけ、全社員が参加して創りあげた 価値の高いものだ。 そのため社員にとって「自分ごと」となり、 社内浸透にも大いにプラスとなった。 48

49.

チーム開発心得 ● 顧客に価値を素早く届けるために なにができるかを常に考える ● 改善しながら開発する ● スプリントゴールを達成するために協力する ● テストはチームみんながいつでもできる権利 ● 積極的に自分の意見を発言しよう ● 困ったら得意な人に相談しよう ● 今できなくてもちょっとずつできるようになっていこう 49

50.

これからもっと楽しみ 😊 50

51.

まとめ ● 価値提供を続けるチーム = アウトカム思考 + 変化への適応 ● 変化に適応 ↑ コンテキストに適合したプラクティスの選択・創造 ↑ コンテキストに依存しない効果的なマインドセットの共有 ● スクラムマスターは、効果的なマインドセットをチームに浸透させていく ● チームのマインドセットは、いつかチームの運命になる 51

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ご清聴ありがとうございました 👏