0.9K Views
July 22, 23
スライド概要
WSSIT2022で発表した交通事故データを地理空間分析した内容になります。
愛知工業大学でマルチエージェントシステムや空間分析を活用した減災に関する研究をしています。
地理空間データによる 交通事故の要因分析 安藤 圭祐 1 國吉 佑輔 1 清水 和彦 1 伊藤 暢浩 1 岩田 員典 2 内種 岳詞 2 向 1 愛知工業大学 2 3 愛知大学 椙山女学園大学 直 人3 蒋 湧2
2 地理空間分析を活用した交通安全研究 交通事故の 地理空間情報 交通事故状況 属性情報 空間情報 複雑に関係する全ての要素から 交通事故の原因を解明 気象 交通 建物 道路 原因の排除 交通事故のない安全な交通社会を実現 交通事故発生地点
3 愛知県における交通事故の現状 交通事故の件数・死者者ともに年々減少傾向 16年間続いた交通事故死者数ワースト1位を3年連続回避 昨年2021年は交通事故死者数ワースト7位 愛知県: 117人 とはいっても… 全国的には 交通事故死者数の多い県 継続的な交通安全対策が必要 データ分析による対策を重視 2021年の 交通事故死者数(人) 50 100
事故地点の周辺環境に注目した研究 2016 塩見ら 道路幾何構造と事故リスクの関係を統計的に分析 交差点規模の縮小が事故を低減することを発見 2017 兵頭ら 追突事故と沿道環境の関係を統計的に分析 交通事故の要因における地域差を確認 2020 向ら 畳み込みニューラルネットワークを用いた学習 道路構造から発生しやすい事故種別を判別 事故地点に基づく地理空間分析は交通事故に関する新知見の獲得に有効 4
5 本研究の目的 交通事故の発生にどのような 要素が強く影響しているかは不明瞭 交通事故の特徴は地域に依存 時間帯 天候 当事者状態 車両速度 車種 関連研究で有効性が示されている 事故地点に基づく 地理空間情報を用いた分析 道幅 道路形状 地域 事故要因となる要素に関する新たな知見の獲得を目指す
6 3つのトピックに注目した分析 交通事故データ分析システム 要因を3つのトピックから分析 正面衝突事故 地域別の事故傾向 交通量 このうちの2つのトピックに関する分析内容について発表
7 事故傾向の類似する地域の分析 事故要因の地域差 事故傾向に基づくクラスタリングにより 交通事故状況と地域の関係は不明瞭 事故の発生した基準 地域メッシュを抽出 約1km 四方 交通事故の特徴が類似する地域を抽出 区画内で発生した 事故の特徴の集計 天候 事故種別 車種 車両挙動 地域の特徴量の傾向から 交通事故の要因を考察 クラスタリング により抽出 さらに この地域の 交通量を推定 特定の地域に類似する特徴から「事故と地域の関係」の解明の手掛かりを獲得
8 事故傾向を表す特徴量 愛知県の交通事故 事故低減の鍵となる情報獲得に期待 交通事故の特徴の変化 低減傾向 天候 100% 道路形状 車種 車両挙動 二つの期間の間のある特徴に該当する 交通事故の割合の差 75% 50% 割合とすることで事故件数の多い 都市部に依存したクラスタリング結果となることを回避 25% 0% 2009 2019 変化の表現に比を用いた場合には特徴量に極端な偏りが発生 抽出される地域は二期間の間の変化が類似する区画の集合
クラスタリング手法 自己組織化マップ ニューラルネットワークのモデルの一つ 地理空間情報に適用した研究事例が報告されている k-means法 データ・クラスタ中心間の距離に基づく手法 非階層型クラスタリングにおける代表的手法 自己組織化マップから抽出されたクラスタの方が特徴量の偏りが強い 9
クラスタリングから抽出された地域 事故に伴う 違反内容が変化した地域 車両発進時の 交通事故が増加した地域 広い道路から狭い道路へ 事故地点が移った地域 同じクラスタの区画が隣り合い空間的に集中することを期待したがそうはならなかった 使用したデータセットでは狭い地域でしか事故傾向が類似しない 10
11 車両発進時の交通事故が増加した地域 抽出された地域 車両発進時の事故 40% 30% 20% 10% 0% 全体 平日13時の推定交通量 対象地域 平均 732 台/時間 標準偏差 171 2009 2019 台/時間 2009 2019 全体と比較して増加傾向が 強いことから抽出されたことを確認 他地域より交通量が若干少ない 対象地域は停止・発進を繰り返す渋滞流中の交通事故が多い箇所である可能性がある 抽出された地域と事故との関係から事故要因を考察可能となった
まとめ 事故要因に関する情報獲得に向け交通事故の地理空間分析を実施 地域と要因の関係を明らかとすべく事故傾向の類似する地域を抽出 車両発進時の事故が増加した地域などの 事故要因を考察可能にする地域と事故傾向の組み合わせを獲得 今後の課題 抽出した各地域の事故要因を裏付ける地理的な側面の調査 空間的に集中した地域の交通事故の傾向を示す方法の検討 12