初めて生成AIを使うときのプロンプトの書き方

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October 24, 25

スライド概要

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10年の米国留学とアメリカ、インド、シンガポール、ネパールなど異文化環境で実務経験を経て、グローバルネットワークを構築。文系と理系、組織経営とIT技術、リアルとネットといった一見対極な領域を巧みに融合しながら、ゼロから複数の事業を立ち上げ、先進的なシステム構築、組織改革、資金調達を成功へ導く。さらに、震災で大きな打撃を受けた能登の復興を中核に、日本の伝統と先端技術の魅力を内外に発信しつつ、地域活性化と新たな価値創造に挑む。国内外で培った多面的な知見を基に、イノベーターとして現在も精力的に活動中。

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各ページのテキスト
1.

LLM初心者のための Prompt Engineering実践講座 ビジネス効率化のための実践ガイド 基本から実務活用まで - 測定可能な成果を出すために 発表者: [氏名 / 部署] 作成日: 2025年10月24日

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アジェンダ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 Prompt Engineeringの今日的価値 ビジネス効果:実例と数値 良いPrompt vs 悪いPrompt Promptの黄金テンプレート(5要素) 各要素の詳細解説 ビジネスシーン別実践例 • 営業メール • カスタマーサポート • 市場分析 よくある失敗パターンと対策 Hallucination(幻覚)防止のコツ フィードバックループと精度向上 効果測定とPDCA 次のステップ:高度な活用法と実践アクション  今日のゴール 明日から使える Prompt設計スキルの習得

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なぜPrompt Engineeringが今必須なのか?  プロンプト品質で結果が5〜10倍変わる  知識労働全般でサイクル時間の短縮  一貫性のある監査可能な意思決定支援  自動化の基盤(チェーン、ツール、連携)  競争優位性:より速く、より多く、より少ないエラーで 的確な指示と曖昧な指示では、AIパフォーマンスに劇的な差が生じます 従来3日かかっていた企画が半日で完了、営業資料作成が50-60%短縮 判断基準を明確化し、プロセスの透明性と再現性を確保 単発タスクから複雑な業務フローまで、自動化の礎となる技術 チーム全体での標準化と共有が組織力を高める LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 3

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ビジネスインパクト:事例で見る劇的効果  営業メール返信業務 従来:顧客メール受信 → 過去確認 → 1〜2時間かけて 返信作成 → 上司確 認 50時間/月 +40% AI活用後(60%削減) 営業資料(提案資料)作成 従来:企画→市場調査→競合分析→設計→デザイン→修正→完成( 3〜5 日) 3-5日  受注率向上 AI活用:データ+情報をPrompt集約→初版完成( 30分 )→細部調整(1〜 2時間) 1.5-2.5時間 従来の所要時間 その他の業務での効果例  カスタマーサポート AI活用:顧客メール+過去履歴+製品情報 → 数秒で 返信案完成 15時間/月 従来の工数(50件×1時間)   50-60% AI活用後 時間削減効果  対応時間60%短縮、満足度向上 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座  契約書レビュー チェック漏れ30%削減  市場分析レポート 作成時間75%短縮 4

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良いPrompt vs 悪いPrompt  悪いPrompt  例: "製品について営業メールを書いて。" 対象が曖昧(誰に対するメールか不明)  背景情報なし(製品の特徴や差別化ポイントの記載なし)  制約条件の欠如(文字数、トーン、形式の指定なし)  目的不明確(何を達成したいのか?) 結果: 一般的で使えない回答、何度も書き直し要求が必要 例: "あなたはB2Bセールスマネージャーです。製造業(従業員50100名)向けにAI検査システム導入の初回営業メールを書いてく ださい。品質管理コスト削減と不良品率30%減を強調し、150 字以内、丁寧な敬語で作成してください。最後にウェビナー案 内のCTAを含めること。"  LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 良いPrompt 役割と対象を明確化(B2B、製造業、規模)  具体的な価値提案(コスト削減、不良品率30%減)  制約条件を明記(150字以内、敬語、CTA)  目的が明確(初回接触、ウェビナー誘導) 結果: 一発でターゲットに刺さる回答、すぐに使用可能  5

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Promptの黄金テンプレート:5要素 効果的なPromptを構築するための5つの重要要素。すべての業務用Promptに組み込むことで質と一貫性が向上します。  1. 役割(Role)  2. 背景(Background)  3. 指示(Instruction)  4. 形式(Format)  5. 制約(Constraints) AIに演じてもらう専門家のペルソナ設定 例:「B2Bセールスマネージャー」 明確で検証可能なタスクの提示 例:「120-150語のメールを作成、価値提案1つと成功事例 を含む」 状況、制約条件、既知の事実 例:「ターゲットは製造業SME、課題は品質管理コスト」 出力の構造、セクション、スタイル 例:「件名+本文、丁寧で簡潔な文体」 文字数制限、禁止事項、幻覚防止策 例:「提供された情報のみを使用し、不確実な情報には 『要確認』と明記」 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 6

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役割と背景の詳細解説 役割(Role)   背景(Background)  ドメイン専門性の設定  対象者と課題状況  トーンと判断基準の調整  利用可能な情報源  目標と成功基準 業界・職種・経験レベルを明確に指定 フォーマル/カジュアル、慎重/革新的など 実例: 「あなたはSaaS業界で10年の経験を持つB2B営業マネージャーです。ROIを 重視し、顧客課題解決を第一に考えるスタイルで対応してください。」 顧客属性、ペルソナ、直面している問題 与えられた情報と不足している情報を区別 達成すべきビジネス目標と評価方法 実例: 「製造業のIT部門長向け(年間予算3億円規模)。現在、生産管理システム の老朽化で計画外停止が月2回発生。ROI重視の提案が求められています。 当社製品概要資料とコスト削減事例は提供済。」 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 7

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Deep Dive: 指示(Instruction)  明確で検証可能なタスクを設定する 具体的な行動動詞を使用: × "メールを書いて" → ○ "以下の要点を含む営業メールを作成してください"  範囲・スコープを明確に指定する ターゲットセグメント、地域、時間軸などの境界線: × "市場分析" → ○ "東京都の20-30代女性向けアパレルEC市場(過去3年間)の分析"  必要なステップを列挙する プロセスを分解して順序付ける: ① データ分析 → ② 課題抽出 → ③ 解決策提案 → ④ 実装プラン  代替案と理由付けを求める 複数の選択肢と根拠の提示: "最適案とその理由、そして2つの代替案とそれぞれのメリット/デメリットを提示" LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 8

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形式と制約の詳細解説 出力形式(Format)  構造を明確に指定 制約(Constraints)  明確な境界設定  例示で模倣させる  幻覚対策ガードレール 箇条書き数、セクション、表、JSON、トーンなど具体的に 理想的な構成サンプルを提示し、同じスタイルを踏襲させる 「以下のように、項目ごとに【】で括り、重要点は太字にしてくだ さい: 【概要】本サービスは...」 「提供した情報のみ使用すること」「推測や想像は行わないこ と」 「不明な点があれば『要確認』と明記し、憶測で埋めないこと」  LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 文字数制限、専門用語レベル、ブランドトーンを明記 マーク付けルール 確信度表示、情報源区別、不確実情報のフラグ付け 9

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営業メールPrompt例 B2B営業の初期接触メール作成のためのPrompt全文 このPromptを使用すると、製造業向けSaaS製品の効果的な営業メールを効率的に作成できます      役割 あなたはB2B SaaS企業の営業マネージャーです。製造業向けAI品質検査システムを販売しています。 背景 ターゲットは製造業の中小企業です。彼らの課題は高いQAコストと検査精度です。私たちの製品はAIによる外観検査システムで、先日のウェビナーに 参加していただきました。 指示 120〜150文字のメールを作成してください。パーソナライズされたフック、1つの価値提案、1つの事例指標、1つのCTAを含めてください。 形式 件名と本文を含めてください。丁寧で簡潔な文体を使用してください。 制約 与えられた事実のみを使用し、データを超える主張は避けてください。不確実な情報には「〜かもしれません」などの表現を使ってください。 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 10

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カスタマーサポートPrompt例 クレーム対応のための実践的テンプレート 役割(Role) サブスクリプションアプリのシニアカスタマーサポートエージェント  背景(Background) 二重請求に関する課金トラブル。ユーザーは2022年からの利用者。現在の感情状態:不満・イライラ。  指示(Instruction) 共感的な謝罪応答を作成。問題解決の3ステップを明示し、解決までのタイムライン、選択肢を提示。  形式(Format) 挨拶 → 謝罪と状況認識 → 解決ステップ → 時間枠と保証 → 質問受付と署名  制約(Constraints) ポリシー範囲を超える約束はしない。法的専門用語は使用せず、平易な言葉で説明する。  このテンプレートを使うと、問題解決に焦点を当てた共感的かつ明確な対応ができます。顧客満足度向上と解決時間短縮の両方に効果があります。 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 11

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市場分析Prompt例 エグゼクティブサマリー作成の実践的なPrompt 役割 市場分析アナリスト。  背景 地域=日本、セクター=物流テクノロジー、対象期間=過去12ヶ月。  指示 TAM/SAM市場規模の動向、トップ3競合企業の分析、市場促進要因とリスク、実行可能な3つのアクションポイントを含むエグゼクティブサマリーを作 成してください。  形式 セクションごとに5つの箇条書き、不確実な情報には「要確認」と明記。見出し→要点→結論の構造で作成。  制約 提供されたデータのみを使用すること。仮定を置く場合は明示的に記載すること。競合情報は直近の公開データに基づくこと。   効果測定:このPromptパターンで市場分析レポート作成時間が75%短縮され、意思決定の質が向上しています。 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 12

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よくある失敗パターンと対策  失敗パターン  対策  曖昧な指示  5要素を必ず含める  一般的すぎる回答  情報範囲を制限する  事実の創作(Hallucination)  段階的に依頼する  無限修正ループ  成功指標を設定する  制約条件の不足  参考例を示す 対象者、目的、背景情報の欠如 具体性に欠け、すぐに使えない内容 AIが実在しない情報を作り出す 何度も書き直しを依頼し時間を浪費 文字数、トーン、形式などの指定なし LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 役割・背景・指示・形式・制約を明確に 「提供した情報のみで回答してください」と明記 構造→内容→細部調整の順で作業を分解 具体的な数値目標や評価基準を明示 理想の出力形式や文体のサンプルを提供 13

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Hallucination防止のコツ  情報ソースを明示する  推測禁止と未知情報の明示  引用と証拠の要求 % 確信度レベルの表示  チェックリスト活用 「提供された情報のみを使用して回答してください」と明記し、推測を禁止 「推測せず、不明な点は『要確認』と明記してください」と指示 「各主張には引用または根拠タグを付けてください」と指定 「各情報に対する確信度(高/中/低)を明記してください」 「含めた事実/明示した仮定」のチェックリストを最後に追加させる LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 14

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フィードバックループで精度向上  出力が期待と異なる場合 不足している情報を特定  過剰な内容や不要な部分を明確化  曖昧な表現や不確かな部分を列挙 1 問題点を具体的に指摘 「第2段落の情報が不正確です」「数値データが不足していま す」など具体的に   改善のためのフィードバック方法 1 追加情報の注入 「以下の情報も考慮してください:[具体的データ]」  2 段階的な依頼 ①全体構成→②各パーツの詳細→③視覚要素→④文体調整の順   2 改善依頼を具体化 「製品Aの導入効果を%で示してください」など明確に 3 参考例の提示 「以下のような表現/構成にしてください:[良い例]」   3 段階的なフィードバック 全体を一度に修正せず、部分ごとに改善 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 4 チームでの共有・蓄積 効果的だったPromptを社内ライブラリ化して再利用 15

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効果測定とPDCA  測定指標(KPI)   タスク所要時間  Plan:計画 反応率・効果  Do:実行 品質・精度  Check:検証  Act:改善 メール作成:−60%、分析:−75%、資料作成:−50〜60%  エラー率:−30%、修正回数、適合度評価 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 対象KPIとベースラインの設定、改善目標の明確化 プロンプトの試験運用、プレイブック作成と展開 メール返信率:+25%、商談化率、満足度スコア  PDCAサイクル ベースラインと比較、改善効果の定量測定 テンプレート化、教育展開、自動化推進 16

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高度な活用法とまとめ 高度な活用法  プロンプトチェーン化  ツール連携(Zapier/n8n) 企画→プレゼン→営業資料→分析まで、複数のAIタスクを連結して業務全体を自動化 外部ツールとAPI連携し、顧客情報検知→AI分析→メール自動送信の完全自動化を実現 今日から始める3つのアクション  1つのユースケースを選択、5要素テンプレートで構築  2つのKPIを設定して効果測定を開始  チーム内でテンプレートを共有、定期的に改善レビュー 最も効果が見込める日常業務を選び、役割・背景・指示・形式・制約を明確に設定 時間短縮率、成功率、顧客満足度など、具体的な指標で効果を可視化 Promptライブラリを作成し、チーム全体のAI活用スキル向上を促進 参考資料  社内Promptライブラリとスタイルガイド  本レクチャー資料とPromptチェックリスト 業務別テンプレート集、ベストプラクティス、事例集 各業務別のPrompt設計チェック項目、失敗防止ガイド LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 17

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営業部門のワークフロー比較:AI活用前後  AI導入前(手動)  AI導入後(LLM活用)  顧客メールを受信して読み込み  スレッド自動要約+履歴統合  CRMシステムで履歴検索  返信案を自動生成  返信を1から作成  提案資料の初期ドラフト自動生成  提案資料を最初から作成  最終確認・微調整のみ 過去の履歴を確認する必要あり 複数システムの行き来が必要 1件あたり1時間程度必要 デザイン担当者の手配が必要 所要時間: ・メール対応:月50件に50時間必要 ・提案資料作成:3〜5日/件 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 瞬時にコンテキスト把握 複数の選択肢から選択・微調整 ブランドスタイル適用済み 内容確認と微修正に集中 削減効果: ・メール対応:15時間/月(−60%) ・提案資料:1.5〜2.5時間/件(−80%) ・浮いた時間で新規営業 → 受注率+40% 18

19.

カスタマーサポート部門のワークフロー比較 AI活用による対応時間60%削減と品質向上  Before(マニュアル対応)  After(AIサポート) 1 問い合わせ振り分け 担当者が手動でトリアージ、優先度付け 1 自動トリアージ AI分類、緊急度判定、感情分析の自動化 2 顧客履歴確認 複数システムから情報収集・確認が必要 2 情報集約 顧客履歴、過去対応、関連情報を自動集約 3 対応案作成 過去事例を検索・参考にしながら一から作成 3 対応案自動生成 ポリシーに基づく一貫した対応、感情を考慮 4 確認・送信 上長確認が必要なケースが多い 4 レビュー・送信 担当者による微調整のみ、迅速な対応 課題: 担当者によるバラツキ 対応時間が長い(平均25分/件) エスカレーション率が高い 疲労・ストレス大 成果: 対応時間60%削減(平均10分/件) 顧客満足度(CSAT)向上 一貫性のある対応品質 担当者の心理的負荷軽減 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 19

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企画・分析部門のワークフロー比較  従来のワークフロー プロセス: 市場調 査  競合分 析  アウトライ ン   プロセス: レポート作 成 情報入力 複数の情報ソースを手動で収集・整理  競合情報の収集に時間がかかる  分析と文章化に専門知識が必要  レビュー・修正サイクルが長い 課題: 意思決定の遅延、情報の断片化、統一性の欠如 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座  AI合成・分析  レビュー・調整 0.5日で完了 2〜3日要  AIを活用したワークフロー 複数ソースを瞬時に統合・要約  構造化されたエグゼクティブサマリー自動生成  仮説と確定情報の明確な区別  意思決定に必要なデータを即時提供 メリット: 迅速な意思決定、一貫性のある分析、確認すべき項目の明確化  20

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役割設定の良い例vs悪い例(B2B SaaS営業)  悪い例  Prompt: "あなたは営業担当者です。営業メールを作成してください。" 業界が未指定(SaaS? 製造業? 小売?)  顧客像(ICP)の不在(規模、役職、課題)  目的が不明確(初回接触? 商談? 提案?)  トーンや文体の指定なし(敬語? カジュアル?) 結果: 一般的で使えないメール、ターゲットに刺さらず、何度も書き直し 必要 Prompt: "役割: 日本のQA自動化SaaS企業のシニアセールスマネージャ ー 対象: 製造業中小企業(従業員50-300名)のQA部門責任者 目 的: 20分のディスカバリーコール予約 トーン: 丁寧、簡潔、デー タ重視の文体で営業メールを作成してください。"  LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 良い例 業界を明確に特定(QA自動化SaaS)  顧客像を詳細に設定(製造業、規模、部門、役職)  明確な目的(20分のディスカバリーコール予約)  トーンと文体の指定(丁寧、簡潔、データ重視) 結果: ターゲットに刺さる具体的なメール、すぐに使用可能、高い返信率  21

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役割設定の良い例vs悪い例(カスタマーサポート)  悪いPrompt  例: "あなたはサポート担当です。クレームに返信してください。" アカウント情報がない(顧客歴、問題の詳細なし)  ポリシー制限の指定なし(何が提供可能か不明)  感情対応の指針がない(顧客感情への配慮なし)  返信構造や形式の指定がない(一貫性の欠如) 結果: 感情に対応できない一般的な回答、顧客満足度低下リスク 例: "あなたはサブスクリプションアプリのシニアCSエージェント です。二重請求のクレーム対応をお願いします。顧客は2022年 からの利用者で、現在フラストレーションを感じています。ポ リシー3.2に従って返金またはクレジット提供の手続きを説明 し、共感的な対応と明確な3ステップでの解決策、タイムライン を含む返信を250字以内で作成してください。"  LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 良いPrompt 詳細な役割設定(シニアCSエージェント、アプリ種類)  顧客コンテキスト(二重請求、2022年からの利用者、感情状態)  ポリシー参照と対応範囲の明確化(返金またはクレジット)  トーンと構造の指定(共感的、3ステップ、タイムライン) 結果: 感情に配慮した実用的な回答、顧客満足度向上  22

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役割設定の良い例vs悪い例(市場アナリスト)  悪いPrompt  例: "市場レポートを作成して。" 地域指定なし(どの市場?国内?海外?)  期間設定なし(いつの市場データ?)  分析スコープ不明(業界、規模、競合、何を調査?)  出力形式の指定なし(どのような形式で必要?) 結果: 一般的で使えない市場分析、焦点の定まらない内容 例: "あなたは物流テック業界の市場アナリストです。日本市場にお ける過去12ヶ月の動向分析を行い、TAM/SAMトレンド、主要競 合3社、成長要因/リスク、実行可能な3つの戦略提案を含むエグ ゼクティブサマリーを作成してください。各セクション5項目の 箇条書き形式で、不確かな情報には「要検証」と明記してくだ さい。提供されたデータのみを使用し、仮定は明示的に記載す ること。"  LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 良いPrompt 地域を明確指定(日本市場)  期間を明示(過去12ヶ月)  分析スコープを定義(物流テック業界、競合3社、TAM/SAM)  出力形式と制約を明記(各セクション5項目、不確実情報の明 記) 結果: 意思決定に即使える市場分析、明確な焦点と実行可能な提案  23

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背景情報の詳細度比較:低い背景 vs 高い背景  低い背景詳細  例: "製品について資料を作成してください。" 対象者が不明(誰向けの資料か?)  課題・ペインポイントの記載なし  製品の特徴や差別化ポイントの説明なし  成功事例・実績データの欠如  過去のやり取り・状況の文脈なし 結果: 一般的すぎる内容、何度も修正が必要、時間のムダ 高い背景詳細 例: "対象:製造業(従業員50-100名)の品質管理部長。課題:検 査工数と不良品率。製品:AI画像検査システム(導入2ヶ月で 30%効率化)。過去:ウェビナー参加済み。目的:初回商談用 の提案資料、意思決定者への説得材料。制約:3スライド以 内、競合A社との差別化を含める。"  ターゲットの詳細(業種、規模、役職)を明記  具体的な課題と現状の痛点を提示  製品の特徴と実績データ(30%効率化)  コンテキスト(過去のウェビナー参加)を含める  背景情報チェックリスト  対象者(業種・規模・役職・課題)  製品・サービス情報(機能・価値・価格帯)  実績・証拠(事例・数値データ)  過去の経緯・コンテキスト  目的・成功基準・制約条件  LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 24

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指示の明確性:Before vs After  Before:曖昧な指示  指示例: "提案書を書いてください" ステップの欠如(どういう順序で作成するか不明)  スコープ未定義(対象、製品、規模などの情報なし)  成功基準なし(何をもって完成とするのか不明)  制約条件の欠如(長さ、形式、トーンの指定なし) 問題点: 何度も書き直し要求が必要、期待と異なる成果物、時間の無駄 After:明確なステップ 指示例: "日本の製造業SME向けのAI検査モジュール(3モジュール)の 提案書を作成してください。構成→ドラフト→洗練→品質チェ ックの順で進め、ROI計算、事例指標1つ、リスクと対策を含め てください。600語以内、丁寧な文体で、すぐに送付可能な品 質に仕上げてください。"   タスクの明確化: 1 2 3 4 構成設計 初稿作成 内容洗練 品質チェック スコープ定義(日本、製造業SME、3モジュール、2-3ページ)  成果物要件(ROI計算、事例指標、リスク対策)  成功基準(600語以内、丁寧な文体、送付可能品質) 効果: 検証可能なタスク、すぐに使える成果物、修正回数の減少  LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 25

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形式と制約のパターンライブラリ 出力フォーマット:  メール 件名 + 本文(120〜150語) 簡潔な挨拶、背景、価値、具体的なアクション   レポート エグゼクティブサマリー → 調査結果 → 推奨アクション (各セクション5項目) データ可視化の指定(グラフ形式など) 表/JSON 制約パターン:  トーン 丁寧/フォーマル、ブランドボイス指定 業界・対象に適した専門性レベル  長さ  ガードレール  エビデンス フィールド事前定義(ID、名称、評価、次アクション等) 構造化データの出力(APIリクエスト対応) LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 最大箇条書き数(8項目まで) 文字数制限(≤120語、≤600語など) 「提供された情報のみ使用すること」 不明点は「要確認」と明記する 主張ごとに確信度タグを付ける 情報ソースを明記(データ、専門家意見等) 26

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実践演習:5要素Prompt作成ドリル 演習内容:ウェビナーフォローアップメール作成 ウェビナー参加者へのフォローアップメールを作成するためのPromptを5要素で構築してください。  提供する情報  要件  制約条件 ・対象者:製造業QA責任者、50-100名規模、検査コスト高 ・課題:人的ミスによる検査漏れ30% ・実績値:AI検査導入で不良品検出率40%向上 ・CTA:20分無料デモ依頼 ・期限:ウェビナーから3日以内に送付 ・件名+本文130字程度 ・丁寧なビジネス敬語 ・ウェビナー内容を1つ引用 ・具体的なCTAと次のステップを明記 ・提供情報以外の新たな主張はしない ・不明点は「要確認」と明記 提出物:5要素Prompt 以下の要素を含むPromptを作成してください: 1. 役割(Role) 2. 背景(Background) 3. 指示(Instruction) 4. 形式(Format) 5. 制約(Constraints) LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 27

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人事:求人票(JD)作成Promptテンプレート 役割(Role) HRリクルーター、中級バックエンドエンジニア採用担当者  背景(Background) 日本市場向け / Go言語+PostgreSQL必須 / ハイブリッド勤務(週2出社) / 給与レンジ:600-900万円  技術スタック 勤務体制 給与範囲 地域特性 指示(Instruction) 以下を含む求人票(JD)を作成してください:主な責務、必須/歓迎スキル、福利厚生、当社の魅力(EVP)  形式(Format) 以下のセクション構成で作成: タイトル(ポジション名) 会社概要(1段落) 職務内容(3-5項目) 応募要件(必須/歓迎に分類) 福利厚生(3-5項目) 応募方法  制約(Constraints) ブランドトーンを維持すること / インクルーシブな表現を使用 / 全体で250-300語程度  ※「若い方歓迎」などの表現は避け、「経験年数不問」などの表現を使用 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 28

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人事:面接評価レポートPrompt  役割(Role)  背景(Background)  指示(Instruction)  形式(Format) 採用パネルリード担当者 バックエンド開発者の候補者面接結果。評価基準:コーディングスキル、システム設計力、チームワーク 各評価基準について、1〜5のスコアと具体的な根拠(発言・行動)を含む面接評価レポートを作成 概要、評価スコア表、強み、リスク、採用/不採用の推奨と根拠 概要: [候補者の総合評価] 評価スコア: - コーディングスキル: [1-5] - [具体例] - システム設計: [1-5] - [具体例] - チームワーク: [1-5] - [具体例] 強み: [3点] リスク: [1-2点] 推奨: [採用/不採用] - [根拠]  制約(Constraints) 証拠に基づく評価のみ、推測禁止、不明点は「要確認」と明記、250語以内 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 29

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法務:契約書レビューチェックリストPrompt 役割(Role) 社内法務担当者(In-house counsel) 背景(Background) SaaS基本契約書(MSA)、24ヶ月期間、自動更新条項あり、日本法準拠 指示(Instruction) 責任条項、SLA、データプライバシー、解約条項におけるリスクを特定する 形式(Format) 条項、リスク、影響、推奨文言を含む表形式 制約(Constraints) 提供された条項のみを使用し、外部弁護士の確認が必要な項目はマーク 条項 リスク 第8条:損害賠償上 上限が直接損害のみで年間料金の 限 100% 第12条:データ処 再委託先監督責任の不明確さ 理 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 影響 推奨文言 重大インシデント時に損害補償が不十分 「上限を年間料金の200%に引き上げ、重過失による場合は上限を適用 しない」 GDPR/改正個人情報保護法への不適合リ 「再委託先に対する適切な監督義務を明記」 スク  外部確認推奨 30

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法務:NDAドラフト作成Prompt 相互NDAの構造化テンプレート作成  システム連携検討のための秘密保持契約書、簡潔かつ法的に有効なドラフト 役割(Role): 法務文書作成担当者 背景(Background): 相互NDA作成、目的:システム連携可能性の検討、準拠法:日本法 指示(Instruction): 以下の要素を含むNDAをドラフトせよ:適用範囲、秘密情報の定義、除外事項、契約期間、違反時の救済措置 形式(Format): セクション分けされたアウトラインと簡潔な条項 制約(Constraints): 平易な言葉使い、当事者名や日付はプレースホルダーで表示  成功ポイント • 法的要件を満たしつつ簡潔な文言で記載 • 両社の権利・義務を明確かつバランス良く規定 • 必要に応じて法務レビュー箇所を明示 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 31

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マーケティング:LinkedInポストPrompt B2B向けSNS投稿のテンプレート  役割(Role)  背景(Background)  指示(Instruction)  形式(Format)  制約(Constraints) B2Bマーケター 新しいQA自動化ケース:作業時間60%削減、受注率40%向上 フック、インサイト、実績データ、ソフトCTAを含むLinkedInポストを作成 3〜4の短い段落 + 3つのハッシュタグ 120文字以内、機密情報は含めない 投稿構造サンプル: 📈 フック:注目を集める冒頭文(業界課題や驚きの数字) 💡 インサイト:課題解決のアプローチや気づき 📊 データ:具体的な成果や実績(数値で) 🔍 CTA:次のステップ(押し付けがましくない) #ハッシュタグ1 #ハッシュタグ2 #ハッシュタグ3 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 32

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マーケティング:プレスリリースPrompt  役割(Role)  背景(Background)  指示(Instruction)  形式(Format)  制約(Constraints) PR担当マネージャー/広報担当者 新製品「AI検査システムv2」の日本市場ローンチ、パートナー企業:ABC社、主な特徴:検査精度30%向上 見出し、サブ見出し、本文、引用、発売時期、企業概要を含むプレスリリースの草案を作成する 見出し、サブ見出し、本文(3段落)、引用、企業概要、報道関係者連絡先の構成 事実確認済みの主張のみ使用、企業ブランドのスタイルガイドに準拠、専門用語は最小限に LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 33

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マーケティング:広告コピーA/Bテスト用Prompt  役割(Role)  背景(Background)  指示(Instruction)  形式(Format) パフォーマンスマーケター。Google広告とLinkedIn広告の効果を最大化するコピーライター。 ターゲット:品質管理マネージャー。主要ベネフィット:AIによる30%の不良品検出率向上。 競合との差別化:リアルタイム検出とアラート機能。必須アクション:デモ予約。 各プラットフォーム向けに3つのバリエーションを生成: ・Google広告:見出し(30文字以内)+ 説明文(90文字以内) ・LinkedIn広告:見出し(50文字以内)+ 本文(80〜120文字) 表形式で出力:バリエーション | プラットフォーム | 見出し | 本文 | CTA バリエーシ プラットフォ ョン ーム A1 Google A2 LinkedIn  制約(Constraints) 見出し 本文 CTA 不良品率を 30%削減 品質管理の新 基準 AIによる品質検査で人的ミスを削減。リアルタイムアラートで即時対応を実現しま 無料デモを す。 予約 製造業の品質管理者の悩みを解決。AIが不良品を30%削減し、コスト効率を向上。リ 事例を見る アルタイム監視でミスを見逃しません。 裏付けのない主張は避ける。テスト可能な明確なCTAを含める。 業界用語は最小限に。感情的価値と論理的価値のバランスを取る。 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 34

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財務:予算分析Prompt  役割(Role)  背景(Background)  指示(Instruction)  形式(Format)  制約(Constraints)  活用ポイント FP&Aアナリスト(財務計画・分析担当) 2025年度Q1とQ4の比較分析、原価(COGS)と営業販売費(S&M)の差異に注目 前年同期比および前四半期比の差異とその要因を分析し、3つの改善アクションを提案 エグゼクティブサマリー(5箇条)、差異表、アクション(担当者/期日) 提供された元帳データのみを使用。異常値は監査用にフラグ付け データのパターン認識と根本原因の特定に優れ、 具体的なアクション 責任者 期日 まで含めた実行可能な提案が得られる LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 35

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財務:経費レビューPrompt 役割(Role): 財務オペレーション担当者 背景(Background): 経費ポリシーに閾値あり(交通費上限、食事代制限など)。通常パターンから外れた支出項目の疑いあり。 指示(Instruction): 経費を3分類(準拠、境界線、非準拠)に区分し、疑わしい項目には具体的な確認事項を示す。 形式(Format): 項目、理由、ステータス、次のステップを含む表形式 制約(Constraints): ポリシーに基づく判断のみ。個人的な意見や主観的判断は含めない。 出力例: 項目 タクシー利用 (12,500円) 会食費 (8,000円/人) 出張宿泊費 (15,000円)  理由 上限10,000円超過、深夜帯利用 上限5,000円超過 指定地域内、上限内 ステータス 境界線 非準拠 準拠 次のステップ 利用理由と時間の確認 承認者と目的の確認 自動承認 自動化効果 経費審査時間の70%削減、例外検出率35%向上、承認サイクル2日間短縮 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 36

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企画:新規事業提案Prompt 市場参入戦略の1ページャー作成のためのPromptテンプレート 役割(Role) 戦略企画担当者 背景(Background) 日本の物流技術市場への参入検討。自社の強み = コンピュータービジョン技術、エンタープライズ営業チーム。既存顧客基盤あり(製造業)。 指示(Instruction) 以下を含む1ページの新規事業提案書を作成: • 市場の課題(物流業界の痛点) • ソリューション概要と差別化要因 • TAM/SAM(市場規模と想定シェア) • Go-to-Market戦略(初期顧客、販売チャネル) • リスク要因と対策案 形式(Format) 6セクション構成、各3〜4箇条書き。Executive Summary、課題、ソリューション、市場規模、GTM戦略、リスク対策の順で構成。 制約(Constraints) • 前提条件は明示すること(「前提:〇〇」と記載) • 検証が必要な項目には「要検証」と明記 • 全体で600単語以内、経営層向けの簡潔な表現 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 37

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企画:競合分析Prompt 役割(Role): 競合情報分析担当者 背景(Background): 日本市場におけるAI検査ソリューション分野の競合3社を比較する必要がある 指示(Instruction): 機能、価格帯、ポジショニング、競争優位性(参入障壁)を含む比較表を作成し、当社の強み・弱みをまとめる 形式(Format): マトリックス形式の表+サマリーポイント(強み・弱み各3-5点) 出力例: 比較項目 AI精度 価格帯 拡張性 自社 98% 強み 中〜高 API対応 競合A 95% 高 閉鎖的 競合B 94% 低 課題 一部API 競合C 97% 中 To verify 制約(Constraints): 公開情報のみを使用し、不確かな情報は「To verify」と明記する。推測せず、事実に基づく比較のみ。 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 38

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プロジェクト管理:進捗報告Prompt、RAGステータス管理  役割(Role)  背景(Background)  指示(Instruction)  形式(Format)  制約(Constraints) ロールアウトプロジェクトのプロジェクトマネージャー フェーズ2実施中、データ移行に関するリスクあり、ステークホルダーへの週次報告が必要 RAGステータスを含む週次進捗報告書を作成。達成事項、リスク、次のステップを含める サマリー、RAGステータス表( 遅延、 注意、 順調) リスク一覧(R/A/M/O形式)、次週の計画 簡潔に記述、アクションには必ず担当者を明記、主観的評価は避ける サンプル出力: 【サマリー】前週はAPIテストを完了。データ変換に課題あり、解決策を実施中。 【RAGステータス】スケジュール: / 品質: / 予算: 🟡 🟢 🟢 【リスク】サーバー容量不足 (P:中/I:高) → 田中氏が増設を10/28までに実施 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 39

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プロジェクト管理:リスク管理Prompt 役割(Role) PMOアナリスト 背景(Background) 統合プロジェクト進行中。外部ベンダー依存あり。期限厳守要件。 指示(Instruction) 以下の構造でリスク台帳を生成:①確率(低/中/高)②影響度(低/中/高)③対策案④担当者⑤期限 形式(Format) 表形式+トップ3リスクの詳細説明。各リスクにIDを振り、優先度を明示。 制約(Constraints) 事実と仮定を明確に区別すること。「要検証」タグを使用。対策は具体的かつ実行可能に。 出力例(一部) リスクID: R001 リスク概要: ベンダーAPI納品遅延 確率: 高(過去2回の遅延実績あり) 影響: 高(全体スケジュール2週間遅延) 対策: 1) 週次進捗会議の増設 2) バックアッププラン策定 担当者: 山田PM 期限: 7/15までに対策実施 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 40

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エンジニアリング:技術仕様書Prompt  役割(Role)  背景(Background)  指示(Instruction)  形式(Format) 技術リードエンジニア - API設計とSLA定義を主導する立場 画像品質評価モジュール追加、応答時間<300ms、API v2準拠、既存アーキテクチャへの統合 以下を含む技術仕様書を作成:スコープ定義、API設計(エンドポイント、パラメータ、レスポンス)、スキーマ、SLA要件(可用性、レイテン シ)、非機能要件 セクション化されたドキュメント構造 1. 概要 2. スコープと目的 3. API仕様(RESTful設計) 4. データモデル/スキーマ 5. SLA定義(パフォーマンス指標) 6. 非機能要件 7. 実装上の注意点  制約(Constraints) 既存アーキテクチャとの互換性を維持、未解決の技術的質問に「要確認」とマーク、主要な技術的決定には根拠を記載 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 41

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エンジニアリング:バグ分析Prompt、根本原因の仮説検証  役割(Role)  背景(Background)  指示(Instruction)  形式(Format)  制約(Constraints) QAアナリスト、デプロイ後に断続的に500エラーが発生している状況 デプロイ後のエラーログ、発生パターン、影響範囲、再現性に関する情報提供 バグをクラスタリングし、根本原因の仮説を立て、検証方法を提案する クラスタテーブル、原因仮説リスト(確率評価付き)、次のステップ(検証方法) 証拠に基づく分析のみ、ログや課題への具体的リンク、推測は明示的に表示 仮説例:「高負荷時にコネクションプール枯渇の可能性 [確率:中] → 検証:負荷テストで同時接続数を段階的に増加させ閾値を特定」 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 42

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失敗事例1:一般的すぎる回答  失敗ケース  問題のあるPrompt例: "マーケティング戦略について教えてください" 対象業界・顧客層が未指定  予算・期間・目標の制約がない  専門知識レベルの指定なし  出力形式や長さの指示がない 影響: 教科書的な一般論のみの回答 採用率低下・何度も書き直し要求 具体的なアクションにつながらない 改善Prompt例: "あなたはB2B SaaS向けマーケティングディレクターです。予 算500万円、3ヶ月で見込み顧客20%増が目標の中小製造業向け リードジェネレーション戦略を、ROI重視で3つ提案してくださ い。各戦略は実施ステップ、予算配分、期待効果を含む表形式 で、合計800字以内でまとめてください。"  LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 改善策 5要素を完備(役割・背景・指示・形式・制約)  具体的な成功基準を明記(ROI、数値目標)  比較可能な選択肢を要求(3つの戦略)  表形式・文字数など出力構造を指定 効果: 実行可能で具体的な提案が得られる 業界・状況に適した回答で修正回数減少 意思決定や次のアクションに直結  43

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失敗事例2:事実の創作(Hallucination)  失敗例:根拠のない事実創作  AIの回答例: "当社の品質管理システムは、 架空データ 業界平均と比較して 98.7%の精度を達成しています。2023年の導入企業352社のう ち、89%が導入後6ヶ月以内にROIを達成したと報告していま す。" 存在しない具体的数値を創作(98.7%、352社、89%)  裏付けのない主張(「6ヶ月以内にROI達成」)  実際には提供していないデータを使用 影響:  信頼性の喪失 - 顧客からの信用を失う  法的リスク - 誤った情報に基づく意思決定  リソース浪費 - 検証・修正の追加工数  LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 防止策:具体的な制約設定 改善Prompt例: "与えた情報のみを使用して回答してください。不明な点や確信 が持てない情報には必ず「要確認」と明記してください。数値 データには確信度(高/中/低)を付記してください。推測は避 け、情報がない場合は「情報なし」と明記してください。" 「与えた情報のみ使用」の明示的指示  確信度タグの要求 確信度:高 確信度:低  未確認情報の明示 要確認 情報なし  情報ソースの引用・参照を強制する  ファクトチェックリストの組み込み チェック項目:  「情報の出所は?」「数値の根拠は?」の自問  特定数値・統計・日付・固有名詞にタグ付け  44

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失敗事例3:無限修正ループ  失敗パターン 典型的なフィードバック例: "もっと良くして" "しっくりこないので修正して" "何か違う気がする…" 具体的な修正ポイントが不明確  AIは推測で対応するため、的外れな修正を繰り返す  一度に完璧を求めすぎている 影響: 時間の浪費、双方のフラストレーション増大、成果物の質が一向に 向上しない   段階的アプローチによる解決 ステップ1: アウトライン承認 「まずは構造だけ確認したいので、目次レベルのアウトライン を作成してください」 ステップ2: 下書き作成 「承認済みの構造に従って、各セクションを箇条書きとプレース ホルダーで埋めてください」 ステップ3: 洗練化 「具体的なデータ、トーン、フォーマットを適用して洗練させて ください」 ステップ4: 最終QA 「事実/前提/制約条件のチェックリストに照らして確認してくだ さい」 ポイント: 修正依頼時は「〜が不足/過剰/曖昧」と具体的に指摘し、変更履歴 とプロンプトライブラリを保存する LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 45

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段階的改善プロセス実演 AIとの効果的なフィードバックループには、段階的なアプローチが効果的です。一度に完璧を求めるのではなく、以下の4ステップで改善 していきます。 1 2 アウトライン 全体構造の承認を先に取る 章立て・見出しレベルの構成 主要なポイントをリスト化 内容の過不足をチェック プロンプト例:「まずは〇〇の 構成案を作成してください」 3 ドラフト  承認された構造に沿って内容充 填 箇条書きやプレースホルダー活 用 データポイントを明記 情報の確実性を評価 プロンプト例:「承認された構 成に沿って、各セクションを箇 条書きで埋めてください」 4 洗練  データ・数値の追加 トーンや表現の調整 形式面の磨き上げ 具体例や事例の挿入 プロンプト例:「以下のトー ン・表現で統一し、データポイ ントを強調してください」 QA  事実/仮定/制約のチェック 不確実な情報のマーク 情報源の確認 トーン・長さの最終調整 プロンプト例:「以下の品質チ ェックリストに基づいて検証し てください」 重要ポイント:変更履歴とプロンプトライブラリを保持し、効果的なパターンを蓄積・共有しましょう LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 46

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チーム運用のベストプラクティス  集中管理型プロンプトライブラリ  ユースケース別標準チェックリスト  週次レトロスペクティブ  ガバナンス体制  メトリクスボード バージョン管理機能付きの共有プロンプト集で知見を蓄積・改善。部門別・用途別にカテゴライズ。 営業・サポート・分析など用途別に必須要素をリスト化し、品質の標準化と抜け漏れ防止。 成功事例、失敗事例、改善点を共有し、継続的にプロンプトを更新・洗練。 データプライバシー保護、機密情報取扱いルール、承認フローの明確化と運用。 時間削減率、品質スコア、エラー率などの指標を可視化し、ROIを明確に示す。 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 47

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Function Calling実装例:顧客履歴検索とメール自動化 シナリオ  顧客履歴検索 → 提案メール作成 → CRMログ記録 過去購入情報をもとにパーソナライズした提案を自動生成 プロンプトとツール定義 tools = [ { "type": "function", "function": { "name": "get_customer_history", "parameters": { "customer_id": "string" } } }, { "type": "function", "function": { "name": "log_interaction", "parameters": { ... } } } ]  関数スキーマの定義  モデルへの指示 出力例 { "action": "get_customer_history", "customer_id": "C123456", "email_draft": { "subject": "前回のご購入から1年、最新モデルのご案内", "greeting": "山田様", "body": "昨年ご購入いただいたAI検査システムの...", "offer": "新バージョンでは検出精度が30%向上し...", "cta": "15分のデモセッションはいかがでしょうか" } } ガードレール設計  IDが見つからない場合のフェイルセーフ  すべての関数呼び出しのログ記録  重要アクションの人間による承認 エラー処理と人間へのエスカレーション機能 トレーサビリティと監査のため全操作を追跡 自動送信前に確認ステップを挿入 get_customer_history, log_interactionの入出力形式 「必要情報がない場合はツールを呼び出す」ように指示 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 48

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ReActパターン実践: Think-Act-Observe-Reflect  使用シーン 複雑な意思決定(戦略立案、トラブルシューティング、多段階分析)が必要な場合に有効  思考 (Think)   問題を分析し推論  Promptテクニック  成果 行動 (Act)   ツール使用や計算実行 観察 (Observe) 結果を確認・検証   省察 (Reflect) 次のステップを判断 ・思考過程を箇条書きで強制的に要約させる ・ツール呼び出し回数を制限し、基準を満たしたら停止 ・各ステップで明示的に「Think:」「Act:」「Observe:」「Reflect:」と表記 ・思考プロセスの透明化:AIの判断根拠が可視化され検証可能 ・エラー削減:段階的検証によりミスを早期発見 ・複雑な意思決定:営業戦略立案などの複雑な判断を構造化 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 49

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2025年最新AI動向:N8N、Dify、GPT Agentsの特徴と選定ポイント  N8N:柔軟なAIワークフロー自動化 セルフホスト/クラウド両対応、視覚的設計と精密なコード指定の両立、4000以上のAIワークフローテンプレートを提供 • 技術チームに最適、精度重視のドラッグ&ドロップ操作 • API連携と拡張性に優れたエンタープライズ向け自動化基盤  Dify:オープンソースのエージェントワークフロービルダー ノーコードでのAIアプリケーション構築、複数LLM対応、RAGパイプライン、ビジュアル操作 • 直感的なビジュアルインターフェース、高品質RAGエンジン • 柔軟なAIエージェントフレームワーク、50以上の内蔵ツール対応  GPT Agents/Custom GPTs:特化型AIアシスタント コード不要でのカスタムAI構築、プライベートナレッジ活用、素早いデプロイ • 特定業務向けに最適化された回答、ブランドボイス統一 • 組織知識の活用とアクセス制御、データプライバシー考慮が必要  選定ポイント 目的とチーム特性に合わせた選択、ガバナンスとモニタリングの確保 • 迅速さ重視:ビジュアルビルダー(Dify、Custom GPTs) • 精度・柔軟性重視:コード連携可能(N8N、Dify) • スケール時に重要:ガバナンス、データ管理、監視機能の充実度 LLM初心者のためのPrompt Engineering実践講座 50