[DL輪読会]“Highly accurate protein structure prediction with AlphaFold”

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September 10, 21

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2021/09/10
Deep Learning JP:
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1 DEEP LEARNING JP “Highly accurate protein structure prediction with AlphaFold” [DL Papers] Kensuke Wakasugi, Panasonic Corporation. http://deeplearning.jp/

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書誌情報 2 紹介論文 タイトル:Highly accurate protein structure prediction with AlphaFold 著者:Jumper, J., Evans, R., Pritzel, A., Green, T., Figurnov, M., Ronneberger, O., ... & Hassabis, D. 合計33人. 所属:DeepMind、ソウル大学校 その他: Nature掲載(2021/07/15公開),引用82件(2021/09/06時点) https://www.nature.com/articles/s41586-021-03819-2 選書理由 AlphaFoldの原型は昨年時点で公開されていたが,その進化版としてAlphaFold2が話題に なっていたため ※本資料の図表は,特に記載がない限り紹介論文より引用したものです Wakasugi, Panasonic Corp.

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概要 3 タンパク質に特化した作りこみを行い、CASP14圧勝 CASP14のランキング 正解(緑)と予測(青) ※点線は便宜的に追加 データの前処理 メインのNN 構造の出力 Wakasugi, Panasonic Corp.

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CASPとは 4 ■CASP:The Critical Assessment of protein Structure Prediction[1] →タンパク質構造予測のコンペティション.1994年から2年おきに開催.CASP14は2020年開催. タンパク質のフォールディング[2] 入力 出力 ヒトの場合、 20種のアミノ 酸の配列が入力 CASPカテゴリ[1] メイン [1]CASP:https://predictioncenter.org/index.cgi 訪問日2021/09/06 [2]フォールディング 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』訪問日2021/09/06 カテゴリ 内容 テンプレートベース 既知構造を用いて,構造予測 テンプレートフリー いちから構造予測 接触予測 部分構造の接触を予測 構造生物学への応用 未知構造への応用 精密化 後処理による構造の精緻化? 実験とのハイブリッド 低解像度の実験計測との組み合わせ Wakasugi, Panasonic Corp.

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CASP14@2020 5 AlphaFold2が実験精度に到達 実験精度 全体の2/3 ➢ CASP14にてAlphaFold2が大幅に精度向上 ➢ 約90%のタンパク質の構造を正確に予測 高精度 全体の90% [1]より引用 [1]CASP HP:https://predictioncenter.org/index.cgi 訪問日2021/09/06 Wakasugi, Panasonic Corp.

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学習データ 6 構造特定されているタンパク質で学習.データのサンプル、アミノ酸残基のクロップなどを前処理多数 ■データベース・検索ツール: • タンパク質立体構造データベース:Protein Data Bank(PDB)、 UniRef90 . PDBのHP上では181969件 https://www.rcsb.org/ (21/09/08) • タンパク質配列データベース:Uniclust30、 MGnify、BFD(2.5 billion protein) • 類似たんぱく質検索ツール:JackHMMER、 HHBlits ■学習(補助)データ: PDB seqs seqs seq→ seqs クラスタリング Template UniRef90 ・・・ Multiple sequence alignment (MSA) 256 124 256 seq→ ・・・ 4 類似度順 学習データとしてはPDBがそのまま使われるが、 MSA、Templateも訓練時に利用される Wakasugi, Panasonic Corp.

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学習データ 主に,sequence数 × residue数 × [アミノ酸onehot or 正解構造座標] その他として,該当アミノ酸残基より 左にある欠失の数等が含まれる 7

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Self-distillation 8 自己蒸留を使い、2段階で学習。2段階目では3/4が自己蒸留データ Uniclust30 立体構造 ・・・ 立体構造なし seq PDBで学習し 構造予測 予測の自信が 高いものを学習 データとする Wakasugi, Panasonic Corp.

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入力データ概観 9 MSA repr. とpair repr.に集約させる ➢ MSA repr. とpair repr.に集約 ➢ Main Evoformerは上記二つを入出力 に持つ→Cycle計算する ➢ extra_MSAはCluteringで外れたも の?とりわけ長い配列などへの対応 Wakasugi, Panasonic Corp.

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Evoformer 10 MSA repr.に対するrow/column-wiseの更新と,pair repr.に対する接続関係に基づく更新から構成 • • • • • 基本的にresidualに接続 MSA repr.は row/column-wiseに更新 pair repr.はグラフベース で更新 更新はtransformer方式 +gatingを利用 48block(no shared) で一単位とし,Recycling iterations(shared)を 回す. Wakasugi, Panasonic Corp.

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Evoformer row-wise 11 MSA repr. の更新 • row-wiseの更新は途中でpair repr.を加算 column-wise Wakasugi, Panasonic Corp.

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Evoformer 12 MSA repr.のtransitionとpair repr.への伝達 transition pair repr.への伝達 Wakasugi, Panasonic Corp.

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Evoformer 13 pair repr.の更新 三角形に基づく更新 グラフの始点に基づく更新 Wakasugi, Panasonic Corp.

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Evoformer 14 再掲 Wakasugi, Panasonic Corp.

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Structure module 15 MSAから、アミノ酸残基とその枝の位置座標を推定 • • • • Single repr.はMSAの一行目. Backborn frameの初期値は原点. 位置座標は原点からの回転と移動で表現 sharedでRecycling iterationsを回す • Frame aligned point error (FAPE). Wakasugi, Panasonic Corp.

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Invariant Point Attention 16 グローバルな剛体変位に対し、不変な更新方法を設計 • • アミノ酸残基の位置座標として,回転+移動で表 現したが,この時,物理的にはタンパク質全体の 並進などに対し,不変であってほしい. 更新の際も上記不変性を満たすように設計 Wakasugi, Panasonic Corp.

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概要 再掲 17 タンパク質に特化した作りこみを行い、CASP14圧勝 CASP14のランキング 正解(緑)と予測(青) ※点線は便宜的に追加 データの前処理 メインのNN 構造の出力 Wakasugi, Panasonic Corp.

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Loss functions 18 位置座標の誤差の他、maskのLossなども利用.fine-tuning時のみ、不正接続を考慮 • • • • • • • FAPE:アミノ酸残基+側鎖の誤差 aux:Structure moduleの途中の構造の誤差など dist:アミノ酸残基間の距離に関する誤差 msa:MSAのマスクした部分に対する予測誤差 conf:予測の自信に関する誤差.(残基個別の誤算由来?) exp resolved:実験的に同定されているかの予測 viol:アミノ残基内の原子間距離、角度、接触に対するペナルティ Wakasugi, Panasonic Corp.

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学習パラメータ 19 合計学習時間11日 ※一つの学習データに対し,templateは固定、MSAはresample.推論時にMSAはアンサンブルする Wakasugi, Panasonic Corp.

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学習パラメータ 20 CASP14向けの学習.蒸留データ生成を除き約2週間 Wakasugi, Panasonic Corp.

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その他 21 全体を通して、細々と工夫がなされている • 学習データの90%と側鎖に関して,誤差を10Åでクリップ • 学習時,活性化関数の出力値を記憶せず,誤差逆伝搬時に再計算することで,メモリーを圧縮. 20.25 GiB → 0.4GiB + 1.7GiB.学習時間は33%増. • 推論時,アミノ酸残基数2180個だと,154.4GiB必要. mini-batch likeなchunkを考慮し0.3 GiBに. Wakasugi, Panasonic Corp.

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概要 再掲 22 タンパク質に特化した作りこみを行い、CASP14圧勝 CASP14のランキング 正解(緑)と予測(青) ※点線は便宜的に追加 データの前処理 メインのNN 構造の出力 Wakasugi, Panasonic Corp.

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Ablation results・Cycleの効果 23 self-distillationの効果が少し大きいか ■性能値: GDT(Global Distance Test) 正解値に対し予測値が, 所定のカットオフ半径位以内に収まっている割合 ←recycle中の挙動. recycleの進行とともに,正解に近づいている. Wakasugi, Panasonic Corp.

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残課題 24 一部のたんぱく質の予測に難あり • • • MSA depthが30以下の場合,性能低下.100くらいで収束. その他,鎖内結合が少ない場合に弱いとのこと templateによるカバー範囲?が少ないと性能低下 Wakasugi, Panasonic Corp.

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Discussion 25 暗黙的な物理制約を自然に獲得できている • • • バイオインフォと物理的観点から手法を構築することで,最小限のマニュアル特徴量でも、うまく構造の性質をつかむことができた →水素の結合長などは,陽に含んでいないが,うまく予測できている 欠落した物理的背景もうまく推論できており,intertwined homomers(アミノ酸配列が同一単位の繰り返しで構成され、全体が絡み 合ったもの?)もうまく予測できている(下図) たんぱく質の必須解析ツールになることを期待.※github公開.有志によるブラウザ経由のツールもある 同じグループから,解析よりの論文もすでに発表されている Highly accurate protein structure prediction for the human proteome https://www.nature.com/articles/s41586-021-03828-1 Wakasugi, Panasonic Corp.

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感想 26 • Transformerなどを利用しつつ,細部にわたって工夫を凝らしている印象. Lossの組合せ、各種crop、データの前処理・選定、Recycle • ゲノム解析 → タンパク質構造同定 → 機能分析 の流れが加速することが期待される 余談: web記事[3]によると,AlphaFold2のファイル容量は2.2TBらしい RoseTTAFoldという手法もワシントン大学から発表されているとのこと [3]https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2107/20/news136.html 訪問日2021/09/09 Wakasugi, Panasonic Corp.