3.1K Views
April 30, 24
スライド概要
データ活用を支えるチームトポロジー型組織の現在
株式会社ディー・エヌ・エー ソリューション事業本部データ統括部データ基盤部ヘルスケア・メディカルデータグループ シニアデータエンジニア・マネージャー 城谷信一郎さん
DeNAのデータエンジニア組織を、2022/10に大きくアップデートしました。 約8月程度チームトポロジーの組織を運営する中で、得られた効果・メリットや新たな課題などについてお伝えします。 組織をアップデートした背景は以下で語られています。 https://techplay.jp/event/873773
---------
デタマネFES・夏2023
https://japan-dmc.org/fes2023/
DeNA が社会の技術向上に貢献するため、業務で得た知見を積極的に外部に発信する、DeNA 公式のアカウントです。DeNA エンジニアの登壇資料をお届けします。
データ活用を支えるチームトポロジー型 組織の現在 城谷 信一郎(Shinichiro Joya) ソリューション事業本部データ統括部データ基盤部 ヘルスケア・メディカルデータグループ 株式会社ディー・エヌ・エー © DeNA Co., Ltd. 1
自己紹介 城谷 信一郎 DeNA ソリューション事業本部データ統括部データ基盤部 ヘルスケア・メディカルデータグループ シニアデータエンジニア 兼 アルム研究開発部データ分析グループ 2019/9 〜:DeNA Join. ゲームデータエンジニア 2020/10〜:ゲーム・ライブストリーミングのマネジメント 2022/4 〜:データエンジニア統括 2022/10 〜:ヘルスケアドメインのストリームチームを担当 [email protected] © DeNA Co., Ltd. 2
CORPORATE [ 会社概要 ] © DeNA Co., Ltd. 商号 株式会社ディー・エヌ・エー 本社 東京都渋谷区 設立 1999年3月 事業内容 ゲーム事業、ライブストリーミング事業、スポーツ事業、ヘルスケア・メディカル 事業、新規事業・その他 代表者 岡村 信悟 (代表取締役社長兼CEO) 代表者(創業者) 南場 智子 (代表取締役会長) 従業員数 連結:2,194名(単体:1,264名) 株式 東証プライム上場 (証券コード:2432) 2015年10月より日経225銘柄 売上収益 1,349億円 (2023年3月期、IFRS) 営業利益 42億円 (2023年3月期、IFRS) 3
MISSION [ 企業使命 ] 一人ひとりに 想像を超えるDelightを 夢中になって遊ぶ愉しさ、日々実感する確かな便利さ かけがえのない健やかさ、そして世界があっと驚く新しさ 私たちがつくるDelightは、さまざまな形で生活に寄り添い 人生を彩り豊かにします 技術と情熱をもって、挑戦と変化を楽しみ 世界にひろがる、未来につながるDelightを届け続けます © DeNA Co., Ltd. 4
BUSINESS PORTFOLIO [ 事業ポートフォリオ ] GAME SPORTS © DeNA Co., Ltd. LIVE STREAMING HEALTHCARE オートモーティブ MEDICAL 新領域 5
今日お伝えしたいこと 多角的事業のデータ活用組織に幾つかの課題が発生したため、 チームトポロジー型組織に進化 チームトポロジーの基礎と具体的な取り組みを紹介 © DeNA Co., Ltd. 6
チームトポロジー型組織に 進化した背景 © DeNA Co., Ltd. 7
DeNAのデータ活用組織に起きていたこと 1 全社横断のデータ人材専門組織を開発し各事業のデータ活用を支える ● 様々な依頼に対して、リソースとアサインを調整し事業へ貢献 事業組織 A 事業組織 B ● データエンジニアリング ○ ● データアナリティクス ○ 依頼 ● ● MLモデルの開発 MLエンジニアリング ○ © DeNA Co., Ltd. 定常レポートの開発・分析、示唆の提供 データサイエンス ○ データ人材組織 データ基盤のとデータパイプラインの開発 MLパイプラインの提供 8
1 チームトポロジー型組織への進化 事業が増加しデータ活用のニーズが増加・多様化した事で様々な課題が発生 LS: ライブストリーミング事業 組織改編前 ゲーム事業 H/M: ヘルスケア/メディカル事業 LS事業 H/M 事業 バックオフィ ス データエンジニア チーム ・事業コンテストの増加し、個人の切り替え負荷が発生 ・複数のProjectが同時並行し、属人化。モチベーションの低下 ・データ活用基盤のクオリティにも影響 © DeNA Co., Ltd. スポーツ 事業 事業横断 活動 事業/利用部 門 データエンジニ ア組織 9
1 チームトポロジー型組織への進化 DeNAデータエンジニア組織ではチームトポロジー型組織に進化 LS: ライブストリーミング事業 最新の組織 BO: バックオフィス H/M: ヘルスケア/メディカル事業 LS 事業 BO/ス ポーツ事 業 H/M 事業 ゲーム 事業 データ利活 用の支援 LS BO/ス ポーツ H/M ゲーム 横断機能の提供・ プロダクト 技術支援 開発・提供 プラットフォーム/ イネイブリング © DeNA Co., Ltd. データプロダクト 事業/利用部 門 データエンジニ ア組織 10
過去の登壇にて背景を詳細に紹介 1 ● Tech Play: DeNAのデータエンジニアが語る、事業プロダクトを横断するデータドリブンな組織設 計、社内データの利活用、データマネジメントとは ○ ● https://techplay.jp/column/1626 Tech Plus: DeNAの事例から見る、エンタープライズなデータ利活用プラットフォーム構築と人材・ 組織育成のヒント ○ © DeNA Co., Ltd. https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230621-2699506/ 11
DeNAデータエンジニア組織と チームトポロジー © DeNA Co., Ltd. 12
チームトポロジーとは? 2 顧客への価値提供のフローを最大化させるためのの組織設計論 ● マシュー・スケルトン氏、 マニュエル・パイス氏の著書 ● チームの認知負荷・コミュニケーション負荷を改善し以下を狙う ● ○ 顧客への価値提供を高速化 ○ チームファーストでの責任境界の明確化 ○ 非効率な開発フローを改善しメンバーのモチベーションを高める リーン、Dev/Ops、OKRのモダンな開発プロセスを持続可能に強化する © DeNA Co., Ltd. 13
2 4つのチームと3つのコミュニケーションを組み合わせる 顧客へ高速に価値を届ける為に最適なチーム編成とチーム間のコミュニケーションを設計 4つのチーム 3つのコミュニケーション ストリームアラインドチーム コラボレーション イネーブリングチーム ファシリテーション プラットフォームチーム × X-as-a-Service コンプリケイテッド・サブシ ステムチーム © DeNA Co., Ltd. 14
2 4つのチーム ストリームアラインドチーム ● 職能横断チーム ● ビジネスの変更フローにした がって配置される ● チームで、フローの全てを担え ることを目指す ● 外部チームとは弱い依存関係を 持つ コンプリケイテッド・サブシ ステムチーム イネーブリングチーム プラットフォームチーム ● ストリームチームが自律性を ● ストリームチームをプラット 持って活動出来るように支援 フォームから支援するチーム は、複雑すぎる課題が発生す ● ストリームチームに抽象的な る場合のみ結成されるチーム を行うチーム ● 学習期や転換期など新たな技 術の導入支援も行う ● ストリームチームが扱うに サービスを利用してもらうこ ● 専門家で構成されるチーム とで、ストリームの変更フ ● 機械学習、数理モデル、動画 ローを向上させる コーデックなど ● ストリームチームが利用する サブシステムの開発に注力 顧客に価値を届ける 主要なチーム © DeNA Co., Ltd. 15
2 4つのチーム ストリームアラインドチーム ● 職能横断チーム ● ビジネスの変更フローにした がって配置される ● チームで、フローの全てを担え ることを目指す ● 外部チームとは弱い依存関係を 持つ イネーブリングチーム プラットフォームチーム ● ストリームチームが自律性を ● ストリームチームをプラット 持って活動出来るように支援 フォームから支援するチーム 早い価値提供を実現できるチームの摂理面を考える を行うチーム ● ストリームチームに抽象的な ● 学習期や転換期など新たな技 サービスを利用してもらうこ 例えば 術の導入支援も行う とで、ストリームの変更フ ・事業ドメイン ・リージョン/ロケーション ローを向上させる ・変更のケイデンス コンプリケイテッド・サブシ ステムチーム ● ストリームチームが扱うに は、複雑すぎる課題が発生す る場合のみ結成されるチーム ● 専門家で構成されるチーム ● 機械学習、数理モデル、動画 コーデックなど ● ストリームチームが利用する サブシステムの開発に注力 顧客に価値を届ける 主要なチーム © DeNA Co., Ltd. 16
3つのコミュニケーション 2 チームの状況に併せて適切なコミュニケーションを選択 1. 2. コラボレーションモード a. チーム間で責任境界を曖昧にし、密にコミュニケーションを行う b. イノベーションの発見に活用 ファシリテーションモード a. 3. 一方のチームが別のチームに技術・ノウハウを得るための支援 X-as-a-Serviceモード a. 責任境界やコミュニケーションインタフェースをAPIとして明確化し、 疎結合なコミュニケーションを行う b. © DeNA Co., Ltd. アウトカムの期待値・スケジュールが明確 17
3つのコミュニケーション 2 チームの状況に併せて適切なコミュニケーションを選択 1. 2. コラボレーションモード a. チーム間で責任境界を曖昧にし、密にコミュニケーションを行う b. イノベーションの発見に活用 ファシリテーションモード a. 3. 一時的なコミュニケーション 一方のチームが別のチームに技術・ノウハウを得るための支援 X-as-a-Serviceモード a. 一時的なコミュニケーション 定常的なコミュニケーション 責任境界やコミュニケーションインタフェースをAPIとして明確化し、 疎結合なコミュニケーションを行う © DeNA Co., Ltd. 18
2 DeNAのチームトポロジー組織 事業ドメイン単位でチームを区切ることでフローを完結する組織に進化 LS: ライブストリーミング事業 BO: バックオフィス H/M: ヘルスケア/メディカル事業 LS 事業 BO/ス ポーツ事 業 H/M 事業 ゲーム 事業 LS BO/ス ポーツ H/M ゲーム ストリーム アラインドチーム 事業/利用部 門 プラットフォーム データエンジニ ア組織 イネーブリング チーム © DeNA Co., Ltd. プラットフォーム/ イネイブリング データプロダクト チーム 19
データエンジニアのストリームアラインドチーム 2 統合し集計されたデータもしくはレポートを顧客提供価値として広範囲に対応 データ収集・統合 データ収集機能の開発 ・ログ収集機能 ・データベース収集機能開発 データインフラ ・データプラットフォームインフラ ・セキュリティ、監査・脆弱性対応 データ加工・流通 データパイプライン開発 ガイドライン ・データ流通共有方法 ・データモデリング ・匿名化、仮名化処理 ベストプラクティス ・ワークフロー開発 ・データモデリング、パイプライン、品質 チェック方法 データシェアリング ・データシェアリングのカタログ化 ツール・SDK提供 ・データ利用者へのデータ提供 ・データモデリング環境の提供 データ利用 レポーティング ・BIレポート開発 データ提供 ・データ提供 ・バッチアプリケーションの開発 ・APIエンドポイント開発 データマネジメント ・マスターデータマネジメント ・メタデータ、データクオリティ など 共通・横断 © DeNA Co., Ltd. 20
2 イネーブリングによるストリームアラインドの強化 ストリームアラインドチームが不足する経験・スキルをイネーブル ストリームアラインドチーム マネジメント担当 データモデル担当 インフラ 未経験 インフラ担当 ● ● © DeNA Co., Ltd. OJTを中心とした terraform レクチャー イネイブリングチーム 短期的にストリームアラインドに参画し ファシリテーション CICD,インフラ有識者 有識者に一部業務を委託するのでは無く、ストリームアラインドが自律し 全ての業務を行える事を目指す 一時的に有識者からファシリテーションを受けフローの実現を行う 21
共通機能によるストリームアラインドの強化 2 LS: ライブストリーミング事業 多くのストリームアラインドが利用する機能をプラットフォームが提供 LSストリーム アラインドチーム BO/スポーツストリーム アラインドチーム BO: バックオフィス H/M: ヘルスケア/メディカル事業 ゲームストリーム アラインドチーム H/Mストリーム アラインドチーム X-as-a-Serviceモード 申請フォームから依頼 ワークフローエンジン環境 BI/ダッシュボード環境 Google Kubernetes Engine 内製BI Argus Looker + 内製BI Argus2 ワークフローエンジン環境をストリームアラ プラットフォーム チーム インドチームに提供 ・Kubernetes 実行環境 ・digdag コンテナイメージ © DeNA Co., Ltd. データプロダクト チーム BI/ダッシュボード環境を ストリームアラインドチームに提供 22
2 ストリームアラインド同士のコラボレーション ストリームアラインド同士がコラボレーションし知識・ナレッジを集約 データモデリングを探索する会 ゲーム事業 ストリームアラインドチーム スポーツ事業 ストリームアラインドチーム ストリームアラインドチームがコラボレーション ● データパイプラインアーキテクト ● データパイプライン開発プロセス ● データモデリング手法 ● データクオリティの手法 メディカル事業 ストリームアラインドチーム © DeNA Co., Ltd. 23
2 全ては顧客価値に向かうためのチームとコミュニケーション 顧客=データ利用者の価値最大化のためにストリームアラインドチームを強化する LS: ライブストリーミング事業 ゲーム事業 データ活用 基盤の提供 ゲームストリーム アラインドチーム ファシリテーションによる 技術を注入 イネイブリング チーム © DeNA Co., Ltd. LS事業 横のナレッジシェア 協働Project データ活用 基盤の提供 LSストリーム アラインドチーム 共通機能・共通システムの提 供 プラットフォーム チーム 24
チームトポロジーをもっと知りたい方は 2 書籍や他の方の発信を併せて把握してください ● チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計 ○ ● https://pub.jmam.co.jp/book/b593881.html チームトポロジーを成功させる実践方法の探求 - Team Topologies Study ○ © DeNA Co., Ltd. https://www.youtube.com/watch?v=uJL3M7R8MLc 25
現在までの総括と課題 © DeNA Co., Ltd. 26
振り返り 4 ドメイン毎にチームを分離する事で認知の負荷低減に成功 ● 開発者個人の事業・Projectの切り替えコストを低減出来た事が最大の効果 ○ モチベーション向上、パフォーマンス向上の効果も ● 自律性の観点で当初懸念はあったが、効果的にイネーブリングすることで解消 ● チーム・組織の箱以外にも、チーム組成に向けた各施策が成功の鍵と振り返る ○ チームトポロジーの概念、組織変化の背景を全体にレクチャーし展開 ○ マネージャー同士でチーム組成の定例を設け、メンバーの受け入れ状況を チェックし課題をシューティング ○ © DeNA Co., Ltd. 自律性に課題がある場合は、チーム間のコミュニケーションを随時開始 27
今後の課題 4 ● 常に横の繋がりを意識した組織運営が必要。セクショナリズムを打破する施策 ● チームトポロジーがエンジニア職種に閉じているため、真に変更フローを完結出来る 状態とは言えない ○ 現在は、データエンジニア・MLエンジニアで導入 ○ 一部のチームではデータアナリスト/データエンジニアの混成チームで、 素早い変更フローの実現を目指しておりそのノウハウを組織に伝播 ● 一部ストリームアラインドチームでは、ドメインの中で複数の事業・会社を含んでお り、認知負荷が除々に高まっている © DeNA Co., Ltd. ○ 絶えずチームをアップデートする必要性 ○ アップデートに必要な体制・メンバー育成も平行で実施 28
© DeNA Co., Ltd. 29