定期購入(サブスク)の「最終確認画面」表示義務と取消・ステマ規制の実務(2025年版ー伊藤憲和)

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October 25, 25

スライド概要

サブスクの申込み直前で何を必ず見せ、どこまで記録すれば法的に堅いのか――本稿は、特定商取引法12条の6(2022/6/1施行)を中心に、最終確認画面での必須表示と、取消リスク(消費者契約法)、ステマ規制(景表法・2023/10/1施行)を一次資料ベースで実装手順に落とし込んだ実務ガイドです。
核となる要件は「6項目+サブスク特有の3点」。すなわち、①分量、②価格・送料(総支払額を含む)、③支払時期/方法(各回請求時期)、④引渡/提供時期(次回発送時期等)、⑤申込期限(ある場合)、⑥申込撤回/解除(解約方法・連絡先)。さらに定期購入では総額・各回価格・各回請求時期を明瞭に表示することが肝。UI制約やマーケットプレイス事情があっても、事業者責任で直前画面に可視化します。
取消については、不実告知・不利益事実の不告知・断定的判断の提供など消費者契約法4条の類型へ接続できる設計と苦情フローを提示。上流の広告表示はステマ規制の対象で、UGC風でも対価・関係性があれば**「広告/PR」表示必須**。最終確認が適正でも、集客段階の不適切表示があればリスクは残ります。
監査に強い運用を支えるのが台帳×ログ。本稿は、UI版管理(スクショ/DOMスナップショット/版・時刻)、6要件チェック、総額自動計算テスト、PR表記の審査ログ、取消対応ログ(起点表示→類型→是正)を最小集合として定義。各UI要件に条番号・GLページをメタ付番する方法も示します。
「初回だけ激安」「解約は問い合わせ経由」「全部は1画面に載らない」等の典型的誤解を一次資料で是正し、代替設計(分割表示の条件、送料不確定時の合理的表示、解約導線の固定)を具体化。さらに、自動テストでの可視性判定、アクセシビリティ(フォーカス順・ARIA)、日英表現の同等性といった“品質の底上げ”策も付記しました。
この1本で、要件確認→UI差し替え→台帳整備→監査までを一気通貫で進められます。目的はシンプル――消費者が損をしないUIを作ること。それが、苦情・行政対応・返金コストの抑制と、LTV・信頼の同時最適につながります。最終判断は最新の法令・ガイドラインに照らし、自社法務・DPO・顧問弁護士と行ってください。
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https://itounorikazu.hatenablog.com/entry/2025/10/23/100000?_gl=1*16ivw5p*_gcl_au*MTkyMjYyNTY1OC4xNzYxMzkzMzYx
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伊藤憲和(いとう・のりかず/Norikazu Ito)。かつて、契約トラブルに遭いながら法律を知らず何もできなかった当事者でした。そこで痛感したのは「正しい手順と証拠があれば、同じ失敗は繰り返さない」という事実。今は、法律・行政・契約・消費者保護・個人情報・AI倫理を横断し、“不安や後悔を、制度理解と実務行動でプラスに転換する”ことを仕事にしています。 焦点は三つ。第一に誤情報で損をしない導線設計(定義→判定条件→例外→証跡)。第二に最低限守る線と、余裕があればやる線の二層運用。

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1.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 定期購入(サブスク)の「最終確認画面」表示義 務と取消・ステマ規制の実務(2025年版ー伊 藤憲和) 先に結論(1文):2022年6月1日施行の特定商取引法12条の6により、EC・アプリの最終 確認画面には定期購入の総支払額・各回の代金と請求時期・解約方法まで明瞭に出す義 務があり、誤認させる表示で申込みさせた場合は取消の可能性、さらに2023年10月1日 施行のステマ規制(景品表示法)によって広告の識別性も必須です。**「定義→趣旨→来 歴→適用条件→例外→証跡」**の順で、今日から動ける実装手順とログ設計を示します。 (e-Gov 法令検索) 作成:伊藤憲和 / Norikazu Ito(本稿は一般情報であり、法律相談ではありま せん。個別案件は弁護士・士業へ) 0. 前提(読者の条件を先置き) ●​ 対象:B2C EC/D2Cサブスク/アプリ内課金(定期)/デジタルコンテンツ/会員 制サービス​ ●​ データ・表示:最終確認画面(申込直前の画面)/注文書面(事業者が定める様式)​ ●​ 運用差:ショッピングカート、アプリSDK、決済代行UI、マーケットプレイスの仕様差 は事業者責任で補正(本稿テンプレで吸収)​ ●​ 監査ログ:誰が/いつ/何を表示し承諾させたかを再現可能に(スクショ・DOM差 分・版管理)​ 1. 定義(条文で足場を固める) ●​ 特定申込み:事業者が定める様式(申込書面・最終確認画面)により消費者が申込 む形態。ここで表示義務が発生(特定商取引法12条の6)。(e-Gov 法令検索)​ 1

2.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 ●​ 最終確認画面:インターネット通販の申込確定直前画面。分量・価格(送料含む)・ 支払時期/方法・引渡/提供時期・申込期限・申込撤回/解除を簡単に最終確認でき るように表示(ガイドライン)。定期購入は「各回の代金」「総支払額」「各回の請求時 期」も明示。(ノートラブル)​ ●​ 取消:誤認を生じさせる表示で申込みがされた場合、契約取消が可能(具体的には 消費者契約法4条の取消類型が実務上の拠り所)。(内閣府)​ ●​ ステルスマーケティング(ステマ):広告であるにもかかわらず広告であることを隠す 表示。2023年10月1日から不当表示として規制(景品表示法)。(内閣府)​ 2. 趣旨(立法目的を実務に翻訳) ●​ 12条の6は、申込ボタン直前の情報非対称を解消し、サブスクの総額・請求タイミン グ・解約導線を見える化する狙い。誤認誘導を事前規制で抑え、取消・行政処分の 後始末を減らす。(ノートラブル)​ ●​ ステマ規制は、広告の識別性を確保し、表示全体の実質的理解(誰の訴求か)を担 保する役割。最終確認画面が適正でも、上流の集客表示がステマならリスク。(内 閣府)​ 3. 来歴(改正経緯) ●​ 2022年6月1日施行:特商法12条の6(最終確認画面の表示義務)ほか通販の申込 み段階の表示が明確化。消費者庁が事業者向けガイドラインとチラシを公表。(ノー トラブル)​ ●​ 2023年10月1日施行:ステマ規制(景品表示法の指定告示)。広告識別性の欠如 が不当表示となる。(内閣府)​ ●​ 2023年6月1日施行:消費者契約法改正(取消権の拡充、努力義務等)。誤認誘導 の取消リスクが実務的に増加。(内閣府)​ 2

3.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 4. 適用条件(Yes/Noの芯) 4-1 最終確認画面の表示義務(特商法12条の6) Q:どの画面が対象?​ A:「申込確定」直前の最終確認画面。事業者が定める様式であること(特定申込み)が前 提。(e-Gov 法令検索) Q:定期購入で必ず出す内容は?​ **A:**①分量(各回の回数/容量含む)②価格・送料(総支払額を含む)③支払時期/方法 (各回の請求時期)④引渡/提供時期(次回発送時期など)⑤申込期限(ある場合)⑥申込 撤回・解除(解約方法・連絡先)。(ノートラブル) Q:複数商品やバンドルの扱いは?​ A:****支払総額の併記、送料は実際負担額で表示。商品名に「500ml」「5個入り」等の判 別子を付す。(ノートラブル) 4-2 取消リスク(消費者契約法) Q:誤認させる表示で押し切ったら?​ A:取消の可能性。不実告知・不利益事実の不告知・断定的判断の提供等の取消類型に 該当し得る。(e-Gov 法令検索) 4-3 ステマ規制(景表法) Q:UGC風の紹介は?​ **A:**広告である以上、広告表示の識別(「広告」「PR」等)が必要。隠せば不当表示。(内 閣府) 5. 例外・但し書き(落とし穴) ●​ 画面遷移での分割表示:1画面に全事項を詰め込めない場合、消費者が明確に認 識できる参照方法を示して分割可能。ただし要件の核(総額・解約方法等)は最終 確認画面で可視に。(ノートラブル)​ ●​ 送料の確定困難:実際負担額での表示が原則。不確定なら確定条件と最大想定額 等の合理的表示で誤認回避。(ノートラブル)​ 3

4.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 ●​ マーケットプレイス:プラットフォームUIの制約があっても、表示義務は出品者側の 責任から逃れられない(契約主体の把握と連絡先表示)。(ノートラブル)​ 6. 証跡(監査可能性の設計図) **台帳(監査ログ一体)**に最低限これを持つ: ●​ UI版管理:最終確認画面のスクリーンショット・HTMLスナップショット(DOM・CSS 版・タイムスタンプ)​ ●​ 表示項目チェック:6要件の有無・文言・参照先URL・料金・総額自動計算の正否 (テストケース含む)​ ●​ ステマ対策ログ:PR表記ルール/審査チェックリスト/指摘・修正履歴(媒体別)​ ●​ 取消対応ログ:苦情→起点表示(広告・LP・最終確認画面)→類型(不実/不告知/断 定 等)→是正の流れ​ ●​ 根拠紐づけ:各UI要件に**条番号・ガイドラインp.**をメタデータで付番(例: APPLY-12-6-②価格・送料|GL 2024-11-19 p.○○)。(ノートラブル)​ 7. 今日から実践できる最小行動(迷わず着手) 1.​ 棚卸し:商品/プラン×UI版(最終確認画面)で6要件の有無と定期の総額・各回請求 時期・解約方法の明示を点検。(ノートラブル)​ 2.​ 文言差し替え(丸ごと貼れる例)​ ○​ 「定期購入の内容:初回¥、2回目以降¥/月(総額目安:○か月利用で¥___ )。請求時期:初回注文時、以降毎月__日。解約:マイページ→定期管理→[ 解約する](締切:次回発送__日前まで/電話不要/手数料¥0)。」​ 3.​ 総額ロジック:初回割引+縛り有無で総額が変動する場合、縛り終了までの最小総 額を自動算出・表示。(ノートラブル)​ 4

5.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 4.​ カート改修:送料の実額表示、バンドル時の支払総額、次回発送時期をUIに追加。 (ノートラブル)​ 5.​ 広告識別:PR投稿・アフィリエイト・インフルエンサーに**「広告」「PR」タグ義務と審 査ログ**を導入。(内閣府)​ 8. よくある誤解を一次資料で訂正 ●​ 「初回だけ安ければOK」 → 各回の代金と総額を最終確認画面で明示。初回と2回 目以降の価格差は要可視化。(ノートラブル)​ ●​ 「解約は問い合わせフォームで受付」 → 解約方法・連絡先を明示し、見つけやすい 位置に常設表示。電話限定や過度の手間はトラブルの温床。(ノートラブル)​ ●​ 「1画面に全部は無理」 → 明確な参照方法を示せば分割可。ただし核情報(総額・ 各回時期・解約)は直表示が安全。(ノートラブル)​ ●​ 「UGCなら広告表示不要」 → 対価や関係性があれば広告。広告識別なし=不当 表示。(内閣府)​ 9. 区別表(定期購入の最終確認×取消×ステマ) 論点 最終確認画面(特商法12条の 6) 取消(消契法4条) ステマ(景表法) 基本要 件 6項目+定期の総額/各回請 求時期/解約導線 誤認・困惑の類型 該当 広告識別(PR表記 等) 5

6.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 監督/ 制裁 行政処分・罰則 申込取消・原状回 復 措置命令・課徴金対象 化の議論余地 典型 NG 初回強調で2回目以降を隠す 不利益不告知 事業者関与を隠すPR 実務策 UIに総額と解約を直置き 苦情導線→取消 判定フロー 媒体別PRルールと監査 (根拠:消費者庁ガイドライン・特商法・消費者契約法・景表法)(ノートラブル) 10. 証跡テンプレ(コピペで台帳化) ●​ 列セット:商品/プラン/UI版ID/画面URL/6要件(有/無)/定期の総額(自動)/ 各回請求時期/解約導線(URL/手順/締切)/送料(実額)/最終更新日/承認者​ ●​ 広告ログ:媒体/投稿URL/広告識別の有無/レビュー〆切/修正履歴​ ●​ 取消対応:申出日/契約ID/起点表示(LP/記事/最終確認)/取消類型/返金完 了日​ ●​ 監査:毎四半期にUIスクショ・DOM差分を保存(Git/Notion/監査フォルダ)​ 11. 失敗パターンと回避のコツ 最低限守る線 6

7.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 ●​ 最終確認:6要件+定期の総額・各回時期・解約を1タップ/1クリックで見える位置 に。(ノートラブル)​ ●​ 広告:PR明示の運用ルール・監査ログを媒体別に常設。(内閣府)​ ●​ 取消:苦情→取消類型チェック→返金・停止のSOP化。(内閣府)​ 余裕があればやる線 ●​ 自動テスト:E2Eテストで総額・次回請求日・解約導線の可視性判定を自動化​ ●​ アクセシビリティ:キーボード操作で同等可視性(フォーカス順・ARIAラベル)​ ●​ 多言語:日本語版と英語版で金額と締切の表現を同等レベルに固定​ 12. Q→Aショート(検索耐性) ●​ 「どこまで出せば足りる?」 → 6要件+定期の総額/各回請求/解約。送料は実額。 (ノートラブル)​ ●​ 「同意前に別ページ参照でOK?」 → 明確な参照方法前提で可。ただし核情報は 直表示。(ノートラブル)​ ●​ 「広告っぽいけどUGCです」 → 対価や関係性があれば広告表示必須。(内閣府)​ ●​ 「いつから?」 → 特商法表示義務:2022年6月1日施行/ステマ規制:2023年10 月1日施行。(内閣府)​ 13. 公共的価値(なぜやるか) 苦情・事故の減少/監査時間の短縮/取消・返金のコスト抑制/誤情報の減衰に直結。 消費者が損をしないUIは、事業者のLTVと社会的信頼の同時最適になる。 7

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作成:伊藤憲和 2025年10月25日 14. 責任と限界 本記事は一般情報であり法律相談ではありません。業態・媒体・自治体の運用差がありま す。最終判断は自社法務・DPO・顧問弁護士と行ってください。 作成:伊藤憲和 / Norikazu Ito 参考・リンク(一次資料中心・年次付き) ※はてなブログでは以下をそのまま貼り付け可。リンクは一次情報を優先。 【法令(e-Gov)】 - 特定商取引に関する法律(12条の6:最終確認画面の表示) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057/20230616_505AC0000000063 - 特定商取引に関する法律施行規則(広告・総額表示の細目 等) https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=351M50000400089 - 消費者契約法(取消権:4条 等) https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061 【消費者庁(ガイド・解説)】 - 通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン(2024-11-19 PDF) https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20241119la02_09.pdf - 通販の“最終確認画面”について(チラシ、2023-06-28 PDF) https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20230628ac01.pdf 8

9.

作成:伊藤憲和 2025年10月25日 - 通販事業者の皆さんへ(ガイドライン・通達等のリンク集) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/amendment/2021/notice0 2/ - 令和4年6月1日から最終確認画面の表示がより明確に(消費者向け案内) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/amendment/2021/notice0 3/ - 通信販売(特商法ガイド:制度解説) https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/ - ガイドライン(特商法ガイド:総合ページ) https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/guidelines.html 【景品表示法(ステマ規制)】 - 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景表法違反 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing - 景品表示法とステルスマーケティング(解説PDF) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/assets/representatio n_cms216_200901_01.pdf 【消費者契約法(改正情報)】 - 令和4年法律第59号 改正の概要(施行:2023-06-01、消費者庁) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/ame ndment/2022 9

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作成:伊藤憲和 2025年10月25日 更新履歴(追記方式で記録) ●​ v1.0(2025-10-20):初版。特商法12条の6の6要件+定期の総額/各回請求/解 約、取消(消契法)、ステマ規制(景表法)を一次資料に基づき統合。ガイドライン最 新版(2024-11-19)を反映。(ノートラブル)​ 付録:最終確認画面の表示チェックリスト(貼って使える) ●​ 分量(各回の数量/容量)​ ●​ 販売価格・対価(総額・送料実額を含む)​ ●​ 支払時期/方法(各回の請求時期)​ ●​ 引渡/提供時期(次回発送時期)​ ●​ 申込期限(ある場合)​ ●​ 申込撤回/解除(解約方法・連絡先が見つけやすい位置)​ ●​ PR表記(集客~LP~最終確認まで一貫)​ この1ページで、損をしない/誤情報で迷わない/再発を防げるサブスク運用に着地でき ます。次の拡張は、解約・返品の受付要件テンプレと**広告審査ログ(媒体×投稿別のPR 表記チェック)**です。 10