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入試問題解説 第 23 回:何を固定して考えるか 1995 東 京 大 学 後 期 第 2 問

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入試問題解説 問題 平面上に 2 点 P; Q があり,P と Q の距離は 1 であるとする。このとき,次の(条 件)を満たす三角形 ABC の面積 S の最大値を求めたい。 (条件)三角形 ABC は与えられた平面上にあり,各頂点 A; B; C から P までの距離 または Q までの距離のうち,少なくとも一方は 1 以下である。 (1) P を中心とする半径 1 の円周を E,Q を中心とする半径 1 の円周を F とする。上 の(条件)の下で最大面積をもつ三角形の頂点 A; B; C はそれぞれ E または F の 上にあることを示せ。 (2) この二つの頂点 A; B は円周 E 上にあるとして,この円の中心 P から弦 AB にお ろした垂線の長さを p とする。p を固定したとき,(条件)を満たす三角形 ABC の面積 S が最大となるならば,直線 AB と直線 PQ は直交することを示せ。 (3) (条件)を満たす三角形 ABC の面積 S の最大値を求めよ。 (1995 東京大学・後期 第 2 問) ■ 本問の学習テーマ・目的 3 つの頂点が自由に動くため,そのままでは面積の最大値を考えにくい問題です。そこ で,まずは中心から底辺までの距離 p を固定して底辺の長さを決め,高さの最大値を考 えます。そのうえで p を動かし,全体の面積が最大となる場合を調べます。 指針 / アプローチ ▼ 最大面積と頂点の位置 ▼ 距離 p と底辺の長さ ▼ p と面積の最大値 円の内部にある頂点を対辺から遠 ざけると面積が大きくなります。 最大となる三角形の頂点は円周上 にあります。 距離 p を固定すると弦の長さが 決まります。底辺の向きと頂点 C の位置を変え,高さを比べます。 各 p に対する最大面積を p の式 で表します。その関数の増減を調 べ,面積の最大値を求めます。 各頂点が動けるのは右図の色を付けた範囲です。条件が課さ れているのは 3 つの頂点の位置だけなので,三角形の辺や内 E C A 1 Q 部までこの範囲に収まっている必要はありません。 (1) より最大となる三角形の少なくとも 2 頂点は同じ円周上 F P にあります。(2) ではこの 2 点を結ぶ弦を底辺に選びます。 距離 p を固定すると底辺の長さが決まるので,高さの大小 で面積を比べられます。 B 各頂点が動ける範囲 --- 1 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 解答 (1)(*1) (*1) 移動先の A0 は円 最大面積をもつ三角形の頂点 A が E; F のいずれの上にもな 周 E 上にあるので条件 を満たします。 E いと仮定する。対称性から A は E の内部にあるとしてよい。 B 右図のように,点 A を直線 BC と垂直な方向に,直線 BC か A0 A ら遠ざかる向きへ動かし,円周 E と交わる点を A0 とする。 三角形 A0 BC は条件を満たし,底辺が同じで高さが大きくな るから面積は大きくなる。これは面積が最大であることに反す C る。よって A は E または F の上にある。B; C も同様であ る。 (証明終わり) (2) P から AB におろした垂線の足を H,C から直線 AB までの距離を h とする。PH = p, 0 ≦ p < 1 であり, C AB = 2 1 ¡ p2 ; C S= 1 ¡ p2 h ÝÝ ① CP ≦ 1 のときは h ≦ CH ≦ CP + PH ≦ 1 + p,CQ ≦ 1 のときは h ≦ CH ≦ CQ + QP + PH ≦ 2 + p ÝÝ ② となるので,常に h ≦ 2 + p である。(*2) (*2) どの p に対して また,右図の配置をとれば実際に h = 2 + p となるか も本文の図のような配 置が可能です。p = 0 では H と P が一致し ます。 ら,h の最大値は 2 + p である。したがって①より,面 A 積 S が最大となるのは②のすべての不等号で等号が成り 立つときである。 F E p H 1 P 1 Q C よって CH ? AB であり,H; P; Q; C が一直線上にあ るから AB ? PQ である。 (証明終わり) B (3) (1) より,面積が最大となるとき,3 頂点のうち少なくとも 2 つは同じ円周上にある。対 称性から C A; B が E 上にある場合を考えればよい。(2) より各 p に対する最大面積は (2 + p) 1 ¡ p2 である。(*3) (*3) 面積は正なので, B f(p) = (2+p)2 (1¡p2 ) とおくと,f0 (p) = 2(2+p)(1¡2p¡2p2 ) である。® = 3¡1 2 とおけば,0 ≦ p < ® で f0 (p) > 0,® < p < 1 で f0 (p) < 0 であるから,p = ® のとき f(p) は最大となる。 B B 2 B 9+6 3 3 3+ 3 = = f(®) = % 2 2 4 C したがって,求める最大値は B 9+6 3 である。 2 --- 2 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 その 2 乗の最大値を求 めてから正の平方根を 取ります。

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入試問題解説 答案記載上の注意点 ▼ ポイント 1:移動後の条件の確認 (1) では移動先の A0 が円周 E 上にあると明記します。移動後も条件を満たし,面積が大きく なることを示せば,元の面積が最大であるという仮定に矛盾します。 ▼ ポイント 2:最大値と等号成立条件 不等式 h ≦ 2 + p を示しただけでは,2 + p が最大値であるとは言い切れません。実際に h = 2 + p となる配置が存在することを示して初めて最大値が 2 + p と確定し,面積が最大 のときに途中の不等号で等号が成り立つと言えます。 ▼ ポイント 3:p の範囲 p = 0 は直径を底辺とする場合です。p = 1 では弦の両端が一致して三角形にならないため, (3) では 0 ≦ p < 1 の範囲で調べます。 解説 1. 頂点を動かす向き B; C を固定すると,面積は A から直線 BC までの距離で決 まります。そこで A を通り BC に垂直な直線を引きます。 右図では A を円周上の A0 へ動かすと高さが大きくなり, E A00 B A P A00 へ動かすと高さが減ります。円周上ならどこでもよいわ A0 けではなく,BC から遠ざかる向きに動かします。 この向きに円周まで動かせば,条件を満たしたまま面積を大 C きくできます。 2. 距離 p と弦の長さ 円の中心から弦におろした垂線は弦を二等分します。右図で C 1C¡ p2 です。 p を固定すると底辺の長さ AB = 2 1 ¡ p2 は決まります 三平方の定理を用いると,AH = E A 1 が,弦の向きは変えられます。右図の灰色とピンクの弦は中 P 心からの距離が等しく,同じ長さです。 底辺の長さを保ったまま向きを変え,頂点 C の位置も動か H p して高さが最大となる配置を探します。 B --- 3 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 3. 高さの上限と等号成立条件 右図は CQ ≦ 1 の場合です。C から直線 AB におろした垂線 E の足を T とすると,高さは h = CT です。 F A 点から直線へ引いた線分のうち,垂線が最も短いので CT ≦ CH です。また,線分 CH の長さは折れ線 CQPH の長さ以下です。 C Q P H h CQ ≦ 1,QP = 1,PH = p なので,解答の②が成り立ちます。 T B 各不等号で等号が成り立つ条件を図で確かめます。(*4) (*4) 折れ線が途中で折 h = CH T と H が一致し,CH ? AB CH = CQ + QP + PH H; P; Q; C がこの順に一直線上に並ぶ CQ = 1 C が円周 F 上にある り返すと,線分より長 くなります。4 点が一 直線上にあるだけでな く,表の順に並ぶこと も必要です。 この三つの条件をすべて満たすのが解答 (2) の配置です。最初の二つの条件から AB ? PQ となります。 4. 底辺の長さと面積の大小 p = 0 のとき底辺は直径となり,長さは 2 で最大です。p を増やすと底辺は短くなりますが,高さの最大値 2 + p は P 大きくなります。 Q B 5 3 1 右図で p を 0 から に増やすと,面積は 2 から に 2 4 C 増えます。底辺が最長のときに面積も最大になるとは限りま せん。 p= 1 2 p=0 C (3) では底辺の長さと高さの両方を用いて面積を表し,(2 + p) 1 ¡ p2 の増減を調べます。 5. 面積の式と固定する量 何を固定するか迷ったときは,まず求める量を式で表してみるのが有効です。三角形の面積は 『底辺と高さ』で決まるため,本問では底辺の長さを決める量として p を固定しました。この ように一部の変数を固定して最大となる配置を調べ,最後に固定していた変数を動かして全体 の最大値を求めます。 --- 4 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 ■ 復習のポイント ★★★★★ 頂点の位置:条件を満たしたまま面積を大きくできるなら,元の面積は最 大ではありません ★★★★★ 固定する量:p を固定すると底辺の長さが決まります ★★★★★ 高さの比較:p を固定しても,底辺の向きと頂点 C の位置を動かして高 さを最大化できます ★★★★★ 等号成立条件:上限を求めたら,等号が成り立つ配置も示します ★★★★☆ 全体の最大値:各 p に対する最大面積を p の式で表し,その関数の最大 値を求めます --- 5 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止