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August 08, 17
スライド概要
2017PCカンファレンス分科会(2017.08.06@慶応大学湘南藤沢キャンパス)で角南北斗が発表した内容のスライドです。教材開発という題材で、教師は教室外とどのように向きあったらよいかについて述べています。
教育系ウェブデザイナー
Blog: withcomputer.jp Site: sunamihokuto.com Twitter: @shokuto
教育系Webデザイナー 専門は日本語教育学 ✴ 日本語学校などで教師・授業補助を行なう 教師 から 教材開発者 へと軸足をシフト ✴ 技術者と教師をつなぐディレクターとして ✴ 情報教育やプレゼンの分野で講師業は継続
発表者と教材開発プロジェクト 日本語学習に関するサイトやアプリを 研修機関や大学教員などと共同開発。 ✴ 辞書ツールや教材紹介サイトなど ✴ 制作そのものの技術的サポートだけでなく、 研究費の申請書や論文を書いたり、 授業やイベントの設計もしたりします。
教室の外の学習? A. 教室以外の場所での授業 B. 授業前後の学習(予習復習など) C. 教室に通わない人の学習
教室に行かなくても学べる現実 コンテンツの種類は様々 ✴ テキストだけでなく、音声や動画やゲームも ✴ YouTuberやPodcastで人を感じられる 一人で学ぶ必要はない ✴ Skypeでの対話、SNSでのコミュニティ ✴ AIとチャットなら24時間話ができる
学習の難しさ 1. 学習を自身で管理することが難しい 2. 選択肢の存在を知る機会が少ない 3. 環境が学習スタイルを許容しない
1. 学習管理が困難 そもそも学習管理は大きな要素 ✴ どんな教材で、何を、いつ、どう学ぶか ✴ 目標は?成果測定は?軌道修正したいときは? 通学という強制力のメリット ✴ 自由と引き換えに得られるものも大きい ✴ 誰もがスムーズに自律学習できるわけではない
2. 選択肢を知る機会が少ない ウェブの情報は口コミ中心の伝達 ✴ 情報ポータル的なメディアが少ない ✴ SNSに親しむ度合いが情報収集力に大きく影響 教師がボトルネックになっている ✴ ITが苦手な教師は活用しないし紹介しない ✴ 教師から提案されたいタイプの学習者は…
2. 選択肢を知る機会が少ない ウェブの情報は口コミ中心の伝達 ✴ 情報ポータル的なメディアが少ない ✴ SNSに親しむ度合いが情報収集力に大きく影響 教師がボトルネックになっている ✴ ITが苦手な教師は活用しないし紹介しない ✴ 教師から提案されたいタイプの学習者は…
3. 学習スタイルを制限する環境 遊ぶから授業中のスマホは一律禁止! ✴ 授業の内容やスタイルにもよるが、 ITへの理解が足りなくてそうしている場合も 学習者の権利を奪ってはいないか? ✴ 学習者がITを理解するチャンスが遠のく ✴ 学習者が自分の学習スタイルを確立しているなら それを最大限サポートするのも教師の役目
教材が有効な選択肢になるには いくら良い教材を開発しても、 現場や学習者に届かなければ意味がない。 学習環境まで含めてデザインすることが 教材開発者(教師)として重要。 ✴ 作れば出版社が広めてくれた書籍と違い いかに使ってもらうかも教師が腐心することに。
サービスの内容と対象 EPA介護福祉士候補者向けの日本語教材 ✴ インドネシアやフィリピンからの来日 ✴ 介護施設で働きながら国家試験の合格を目指す 介護用語に焦点を当てた漢字学習教材 ✴ 介護用語はとりわけ難しい漢字が多い ✴ 試験対策や専門分野学習のベースに
サービスの特徴 介護用語辞書+4択で意味を選ぶクイズ 学習記録を保存しグラフ化 記録を学習仲間や支援者と共有 ✴ 学習仲間:全国の施設にいるEPA候補者たち ✴ 支援者:同じ施設で働く日本人スタッフなど
なぜ記録を施設スタッフと共有? 施設には日本語教育の専門家がいない ✴ 施設スタッフはどう教えていいかわからない ✴ 学習管理は候補者の能力に依存しがち 施設スタッフも学習記録を見ることで 学習状況の把握や声かけにつなげてもらう
学習方法の理解 → 環境づくり 介護施設でのスマホに対する印象は… ✴ 教材提供者:いつでもどこでも使ってほしい ✴ 施設スタッフや入居者:スマホで遊んでるの? 学習する姿への関心を第一歩に ✴ アプリの存在を候補者以外の人にも認識させる ✴ みんなを巻き込むことで学習環境が作られる
他の現場にも通じること 介護施設と似た状況の教育現場は? ✴ 教育の専門家が十分に配置されていない現場 ✴ 授業カリキュラムが十分に組まれてない現場 授業外学習・独学の質の向上は共通課題 学習管理の基礎データとしての記録
これで十分とは言えないが… 理想的には語彙以外の学習記録も重要 総合的なサービスの開発はなかなか困難 ✴ 記録しやすい学習要素とそうでない要素 ✴ コンテンツやアプリの固定化による不自由さ ✴ 開発の大規模化によるコスト負担
小さく始めて検証する 2017年秋から試験運用開始 関係者の認識を変えていくのに 何が必要かを進めながら確かめていく。 ✴ 取り組みの結果は定期的に学会発表します
教材開発から教育と教師を考える 教材開発=学習環境のデザイン ✴ 多様な現場に教材がきちんと合わせていく 学習環境における教師の役割の再考 ✴ 教室離れ=学習スタイルの多様化が進むなかで 教師とは何であるのかを考える材料にもなる