スマートフォンが変えた学習者の学習観

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February 19, 13

スライド概要

2013年2月19日に大阪大学吹田キャンパスで行われた第6回専門日本語教育研究協議会のプレセッションでの角南北斗の発表スライド。

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

W or ks ho p スマートフォンが変えた 学習者の学習観 2013.02.19 @CIEE Osaka University Sunami Hokuto Web Designer #2

2.

発表者紹介 ๏ 角南 北斗(すなみ ほくと) Blog: http://withcomputer.jp Twitter: @shokuto ๏ フリーランスのWebデザイナー 日本語教育関連のサイトや教材の制作を 多く手がけています W or ks ho p #2

3.

これまでの経歴など ๏ 大阪大学で日本語教育学専攻(修士) ๏ 日本語学校で非常勤講師 ๏ 国際交流金関西国際センターで 教材開発スタッフ(約10年) 調理師専門学校で飲食店開業支援講座、 大学でプレゼンテーション実践講座なども担当 W or ks ho p #2

4.

日本語でケアナビ W or ks ho p http://nihongodecarenavi.jp 看護・介護に関わる人たちのための 日本語学習リファレンス #2

5.

介護の漢字サポーター http://kaigo-kanji.com 介護福祉士国家試験のための 二漢字語から学ぶ漢字学習サイト W or ks ho p #2

6.

W or ks ho p NIHONGO eな http://nihongo-e-na.com 日本語学習サイトの紹介や 学習スタイル別の活用術を提案 #2

7.

W or ks ho p スマートフォンが変えた 学習者の学習観 #2

8.

本日のテーマ ๏ いまの時代の学習者の学習観とは? ๏ いまの時代に必要な教材とは? W or ks ho p #2

9.

W or ks ho p “ 日本語教育にITは必要ですか? ” #2

10.

日本語教育にITは必要か? W or ks ho p ๏ 教材開発系の発表をすると よくこのような質問をされます ๏ それこそ10年前から変わりません ๏ みなさんなら、どう考え、答えますか? #2

11.

W or ks ho p “ 日本語教育にITは不要だよ ” #2

12.

ITが必要かどうかを決める要素 ๏ 学びの場で何をしたいか? これは教師や現場による ๏ 教師だけでなく学習者の希望は? 10年前と違いITは日常に普通に存在している いまの学習者はこう思ってるのでは...? W or ks ho p #2

13.

W or ks ho p “ ITを使わないなんて、不自然 ” #2

14.

ITに対する私見 ๏ もはやITは 必要かどうか ではなく いかに活用するか を考える段階 ๏ 本日は その活用の仕方 を いっしょに考えていきましょう W or ks ho p #2

15.

W or ks ho p IT教材にまつわる3つの変化 #2

16.

ITの変化が教材に与えた影響 1. テープからディスクへ 2. 物理メディアからWebへ 3. デスクトップからモバイルへ W or ks ho p #2

17.

1. テープからディスクへ ๏ カセットテープからCD ๏ VHSからDVD ๏ 教材を配布する箱が変化した W or ks ho p #2

18.

2. 物理メディアからWebへ ๏ DVDからYouTubeへ ๏ ディスクを入れて始めるのではなく URLを入力してサイトに行く ๏ 利用条件が「メディアの所有」から 「ネットがあること」に変化した W or ks ho p #2

19.

3. デスクトップからモバイルへ W or ks ho p ๏ 利用機器がPCからスマホへ これは単純な「利用機器の変化」ではない ๏ スマホは常時携帯&常時ネット接続 ずっとPCルームにいるのと同じ状態 ๏ 教材の「実質PCルームでしか使えない」 という制約がなくなった #2

20.

W or ks ho p なぜ、こうした変化に 注目すべきなのか? #2

21.

変化とは教師側の視点である ๏ 学生は毎年入れ替わるが 教師は次の年も同じことをする ๏ 教師は継続して見ているので ITの状況を「変化」だと捉えられる W or ks ho p #2

22.

学習者にとっては常識でしかない ๏ 学習者にとって、そんなITの現状は 普通であり常識にすぎない ๏ 学習者は昔のことは知らない いまの現状を見て適切さを判断する W or ks ho p #2

23.

変化を感じて常識を書き換えよう ๏ 教師の時間が止まっていたとしても 学習者は常にいまを生きている ๏ 学習支援は「いま」が基準ではないか? ๏ 状況の変化は教師にとって 自分が変わるための契機 W or ks ho p #2

24.

ITの変化が教材に与えた影響 W or ks ho p 1. テープからディスクへ 2. 物理メディアからWebへ 3. デスクトップからモバイルへ 本日の焦点は、この3番目の変化。 教師にとって最も重要な変化。 #2

25.

W or ks ho p モバイルといえば、スマホ #2

26.

W or ks ho p スマホが変えた ITとのつきあいかた #2

27.

スマホの急速な普及 ๏ デスクトップからモバイルへの変化の 原動力は、スマホの急速な普及 ケータイのニューモデルは、ほとんどスマホ 選択しなくてもスマホ、理由がないかぎりスマホ スマホはどんどん生活に入り込んでいる W or ks ho p #2

28.

スマホはPCを置き換える存在 ๏ ほとんどのことはスマホで事足りる ๏ レポート(=長文)を書くときだけ 学校のPCルームを利用する ๏ 家にはPCもネットの固定回線も不要 だってお金がもったいないし W or ks ho p #2

29.

ネットはいつでもつながっている ๏ つなぐ操作が不要だから 回線は空気のような当たり前の存在 ๏ コンテンツはオンラインにある SNS、通話、メッセージ、地図、動画、ゲーム... オフラインじゃ何にもできないよね W or ks ho p #2

30.

スマホを手足のように使う ๏ いつも持ち歩いている =いつでも使えるしネットにつなげる ๏ 小さくてサッと取り出せる =必要だと思ったら躊躇なく使う =隙間時間にも使える ๏ デジタルの塊でもアナログの使い勝手 というか、デジタルとかアナログとか意識しない W or ks ho p #2

31.

W or ks ho p そんな変化にどう対処すべき? #2

32.

変化をポジティブに捉えよう ๏ 変化に対応しなきゃ・・と思うと大変 ๏ これは考えようによってはチャンス! W or ks ho p #2

33.

ITの変化が教材に与えた影響 1. テープからディスクへ ☞ デジタルだから複製も編集も容易に 2. 物理メディアからWebへ ☞ 教材の表現力は増して直接配布も不要に 3. デスクトップからモバイルへ ☞ いつでもどこでも使ってもらえるように W or ks ho p #2

34.

教材制作側にとって良い時代 W or ks ho p ๏ より価値のあるものが作りやすくなった ๏ 学習者にとって価値あるものを作れば 使ってもらえる環境になった みんながスマホを持っているということは みんなが常にPCルームにいるようなもの #2

35.

日本語でケアナビ W or ks ho p http://nihongodecarenavi.jp 看護・介護に関わる人たちのための 日本語学習リファレンス #2

36.

日本語でケアナビとは W or ks ho p ๏ 看護や介護の仕事をする人たちのための 日本語学習リファレンス 言葉の意味や使い方、その関連語などを調べられる 国際交流基金関西国際センターとの開発 ๏ ターゲットはフィリピンやインドネシア 2007年公開開始(利用者は約12,000人/月) #2

37.

W or ks ho p #2

38.

設計思想 ๏ 職場だけでなく日常生活でも 気軽に使ってもらえるツールを目指す さっきの患者さんの言葉、どんな意味だろう? こういうとき、なんて言えばいいのかな? 今度の飲み会では、みんなとこんな話がしたい W or ks ho p #2

39.

直面した現実 ๏ 実際は期待通りには使ってもらえず ๏ そもそも使える環境がない 職場には自由に使えるPCやネットがない 学習者の自宅にPCはなく携帯は通話専用 ๏ サイトを使った勉強への理解の薄さ 職場のスタッフにパンフレットを配ったりも... W or ks ho p #2

40.

W or ks ho p 学習者が使える状況にないのなら その教材は存在しないのと同じ... #2

41.

W or ks ho p 悲嘆に暮れること数年... 図らずもスマホブーム到来! #2

42.

一気に利用環境が整った W or ks ho p ๏ 学習者に急速にスマホが普及 ๏ 学習者が好きなときに好きなだけ ケアナビにアクセスできるようになった 端末と回線と利用権限の問題はすべて解決 ๏ 2012年春にはスマホ専用版も公開 2000人/月 程度はスマホからの利用者 #2

43.

W or ks ho p #2

44.

環境の変化は教材開発を後押し W or ks ho p ๏ スマホを意識して教材を作ることで 学習者に使ってもらいやすくなる ๏ 日常生活まで含めた利用機会の拡大 ๏ より大きな枠組みでの学習支援が可能に 授業の前後や、コースの前後などに使うなど 既存の授業と絡めた教材開発も現実的になった #2

45.

W or ks ho p 学習者の学習観の変化 #2

46.

W or ks ho p NIHONGO eな http://nihongo-e-na.com 日本語学習サイトの紹介や 学習スタイル別の活用術を提案 #2

47.

NIHONGO eな とは ๏ 既存のWeb教材や学習ツールを 紹介する情報ポータルサイト 各教材サイトの対象レベルや内容、 利用方法などをやさしく解説 国際交流基金関西国際センターとの開発 2010年公開開始(利用者は約23,000人/月) W or ks ho p #2

48.

W or ks ho p #2

49.

W or ks ho p #2

50.

設計思想とその背景 ๏ 海外の学習者の個人学習の支援 ๏ 新しく教材を1つ開発するより 既存の有用な教材の活用を支援しよう ๏ Web教材は見つけにくいという現状 検索力や何かのコミュニティ経由でないと大変 初見では使い方がわかりにくいサイトが多い 初心者はWeb教材の活用の見当もつかない W or ks ho p #2

51.

W or ks ho p 一定の支援はできているものの 自分に合った教材を探し出すのは 依然なかなか難しい #2

52.

W or ks ho p そんな難しい状況も スマホが変えつつある #2

53.

スマホの普及とアプリの広がり ๏ 教材はWebサイトからアプリ*の形へ ここではスマホサイトもアプリに含めています ๏ 内容がシンプルで明快なものが多く、 スマホ向けに使いやすくしている ๏ サイトに比べ収益化もしやすい 有料アプリ、コンテンツ課金、広告モデルなど W or ks ho p #2

54.

アプリは情報が流通しやすい ๏ FacebookやTwitterの普及 オンラインの友人から教材をすすめてもらえる アプリも情報シェアがしやすいよう対応している ๏ アプリはサイトよりも説明がしやすく 他人にも勧めやすい これいいよ、とホーム画面を指で示せる W or ks ho p #2

55.

W or ks ho p “ 教材は自分で見つけられる 自分好みの教材で勉強できる ” #2

56.

教材を知る手段の変化 ๏ 教材の紹介ルートは、これまでは 実質的に教師(学校)がほとんどだった ๏ いまはソーシャルメディアで 世界中の友達が投稿&評価してくれる W or ks ho p #2

57.

教材選びも学習者が主体的に ๏ 教材や学習スタイルの選択肢が いろいろあることを学習者は実感 いろんなアプリが次々生まれている ๏ 与えられるものに縛られないで、 好きなものを好きなように使いたい ๏ 教材は「自分にとって役立つか」で シビアに評価される時代 W or ks ho p #2

58.

W or ks ho p あなたのその教材は 学習者から選ばれますか? #2

59.

W or ks ho p まとめ #2

60.

使わせるものから選ばれるものへ ๏ これまでの教材は 授業で使わせるもの ๏ スマホの普及によって教材は PCルームや授業から自由になった 教材の可能性が大きく広がった ๏ これからの教材は 学習者が選ぶもの 授業外では教師による強制力は働かない 学習者に選ばれる教材を目指す必要がある W or ks ho p #2

61.

これが日本語教育の生きる道 W or ks ho p ๏ ITを教師都合でなく学習者都合で考える 学習者のニーズや日常を考えた教材設計を ๏ 教材も、授業も、教師も、日本語も これからは学習者から「選ばれる」時代 ๏ 目の前の学習者に支持される教材は 世界中の学習者も支援できる アプリは世界に公開できる。世界を変えていける。 #2

62.

W or ks ho p スマートフォンが変えた 学習者の学習観 #2

63.

W or ks ho p さぁ、いっしょに 価値ある教材を作りましょう! #2