VRコンテンツ制作 2024年3月
アジェンダ 1.VRコンテンツとは 2.VRコンテンツの制作 3.VRコンテンツの体系 4.VRツアーズ(3Dモデル)の種類 5.フォトグラメトリーによるVRコンテンツの制作 5.1 必要な機材やソフトウェア 5.2 フォトグラメトリ用のソフトウェアの比較 6.3DスキャンによるVRコンテンツの制作 6.1 必要な機材やソフトウェア 6.2 マターポート © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 2
1.VRコンテンツとは 360度の映像や音響などによって、仮想の世界での出来事が現実に起こっているかのような感覚を与えるVR技術を用いた コンテンツがVRコンテンツです。 VRコンテンツはVRゴーグルやVR用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)などを頭部に装着して、聴覚、視覚に訴えつつ没入 感を高める手法が代表的ですが、これらの機器がなくても、スマートフォンや、タブレット、PCなどでも楽しめるコンテンツもたくさ んあります。 VRコンテンツの種類 VRコンテンツには、大きく分けて2種類あります。 ◆ 実写コンテンツ 現実世界の映像を360度撮影が可能なカメラで撮影し、編集によってVR化した動画や静止画のコンテンツを指します。 VRゴーグルがなくても楽しめ、その場所の景色や風景、建物の外観や内観などの映像を、実際にその場を訪れたかのような 臨場感とともに体験できます。 ◆ 3DCGコンテンツ 3DCGコンテンツは実際に撮影した実写映像ではなく、CG技術を使って現実世界には存在しない空間や映像を表現した VRコンテンツです。例えば、自分の分身であるアバターを使って交流するメタバース(仮想空間)は、3DCGで作られたVR コンテンツの一種です。現実にはないものをCGで作成することから、産業用では自動車や建物の完成イメージの作成や、医 療現場では研究・研修にも活用されています。 © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 3
2.VRコンテンツの制作 ◆ VR静止画 VR静止画としてHMD(ヘッドマウントディスプレイ)やPC、スマートフォンなどで体験できるVRコンテ ンツです。 VR空間内にアイコンを設置してポップアップで画像やテキストで説明を埋め込むことができます。 ◆ VR動画 VR動画としてHMD(ヘッドマウントディスプレイ)やYouTubeなどで体験できるVRコンテンツです。静 止画との違いはストーリーを紹介することができるため、実際のイベントを参加者目線で紹介するなどが できます。 VR空間内にアイコンを設置してポップアップで画像やテキストで説明を入れたり、動画を埋め込むことが できます。 ◆ VRツアー(バーチャルツアー/パノラマツアー) バーチャルツアーまたは、パノラマツアーと呼ばれるVRコンテンツで、コンテンツ内の矢印などを選択し ながら空間内を移動したり、アイコンを設置して画像や動画を埋め込むことができます。 © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 4
3.VRコンテンツの体系 VRコンテン ツの種類 説明 実写 3Dモデル 1 VR静止画 VR静止画とは、360度パノラマ画像をVR空間 内で閲覧できるコンテンツのことです。通常の2D 画像とは異なり、視点を自由に動かして周囲を 見渡すことができます。写真のように一瞬の風景 を切り取るのが特徴です。観光地の景観や商品 の360度ビューなどに活用されています。 〇 × 2 VR動画 VR動画は360度パノラマムービーのことを指しま す。VR空間内で視点を自由に動かしながら、周 囲の映像を時間経過とともに体験できます。物 語性のあるコンテンツから、コンサートやスポーツ 中継など、リアルな臨場感が楽しめます。特殊な VRカメラで撮影する必要があります。 〇 × 3 VRツアーズ VRツアーズとは、複数のスポットをバーチャルで移 動しながら体験するVRコンテンツのことです。移 動手段にもよりますが、一般的には360度画像 や3Dモデルで構築された仮想空間を、視点移 動により移動できるようになっています。施設内 覧や不動産の内見、観光ツアーなどに使われて います。 〇 〇 © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 備考 次の方法がある ・フォトグラメト リック ・3Dスキャン 5
4.VRツアーズ(3Dモデル)の種類 フォトグラメトリックと3Dスキャンは、VRコンテンツ制作において3Dモデルを作成する手法として使わ れています。 フォトグラメトリック 3Dスキャン フォトグラメトリックとは、複数の写真から3次元データを作 成する技術のことです。 具体的には以下の手順で行われます。 3Dスキャンは、対象物にスキャン用のレーザーやパターン光 を照射し、反射した光を検知することで3Dデータを作成す る手法です。 1. 対象物体を囲むように複数の角度から写真を撮影す る 2. 撮影した写真をフォトグラメトリックソフトウェアに読み込 む 3. ソフトウェアが写真間の共通点を見つけ、3D座標を算 出する 4. 点の集まりからメッシュ(ポリゴン)面を生成し、3Dモデル が作成される 1. スキャナを使って対象物をスキャンする 2. スキャンデータを3Dモデリングソフトで編集・修正する メリットは、実物そのものから3Dデータを取り込めること、専 門的な3Dモデリングスキルが不要なことです。一方、細か い部分のデータが欠落しがちなことがデメリットです。 3Dスキャンは非常に高精細な3Dデータが得られますが、 専用のスキャナが必要で設備コストが高額になるのが課題 です。 フォトグラメトリックと3Dスキャンは相互補完的に使われるこ とがあり、写真で大まかな形状を作り、3Dスキャンで細部 を補完する、といった使い分けがされています。VRコンテン ツでは、実在する物体を3Dモデル化する際に、これらの技 術が活用されています。 © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 6
4.VRツアーズ(3Dモデル)の種類 ◆ フォトグラメトリック 「フォトグラメトリー(Photogrammetry)」とは、被写体をさまざまなアングルから撮影し、そのデジ タル画像を解析、統合して立体的な3DCGモデルを作成する手法です。 フォトグラメトリーは3Dスキャナのような特殊な機器が不要で、通常の写真だけで生成できることが特徴 です。 フィギュアのような小さなものから、建築や都市といった大きなものまで3Dモデルにすることができます。 フォトグラメトリーは昔からある技術で、地形調査、測量、史跡保護などの分野にも使用されていますが、 近年では3DCGゲームなどの制作にも使用されています。その背景の1つとして、昨今のパソコンのスペッ クの向上により、精度の高いモデルを作成できるようになったということが挙げられます。昔はまだ精度 が低く、凸凹などの表現が難しかったため3Dスキャナとフォトグラメトリーの組み合わせの方が良いこと や、3Dスキャナ単体の方が綺麗にできるなどがありその点では劣っていました。しかし、新しいソフト ウェアの誕生とパソコン(ハードウェア)の性能アップにより、クオリティが飛躍的にアップしました。 ◆ 3Dスキャン 「3Dスキャン」とは、専用のスキャナ機器を使って対象物の三次元形状を計測し、デジタルデータとして 取り込む手法です。 3Dスキャナには、レーザー光を使うタイプや縞模様の光を使うタイプなどさまざまな種類がありますが、 いずれも対象物に光を照射し、その反射を検知することで三次元座標を算出しています。 スキャンした3D計測データは、ポイントクラウドデータとして取り込まれます。その後、3Dモデリングソ フトで編集・修正を行い、最終的な3DCGモデルを作成します。 3Dスキャンは、実物そのものから非常に高精細な3Dデータを取得できることが大きな利点です。小物から 建築物、自動車など、さまざまな対象物の3Dモデル化に活用されています。CGムービーやゲーム、VR/AR コンテンツなど、リアルな3DCGが求められる分野で多く使われています。 一方で、専用の3Dスキャナ機器が高価なことや、スキャン時の撮影環境などに制約があることが課題とさ れています。フォトグラメトリックと組み合わせて使うケースも多くあります。 3Dスキャンは産業分野でも活用が進んでおり、製造業での部品検査や、医療・美容分野での身体計測、文 化財の3Dデジタルアーカイブなど、さまざまな用途に利用が広がっています。 © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 7
5.フォトグラメトリーによるVRコンテンツの制作 フォトグラメトリーを活用してVRコンテンツを制作する手順は以下のようになります。 1. 対象物の撮影 VRコンテンツの制作対象となる物体や空間を、さまざまな角度から複数枚の写真で撮影します。重複する部分が多いほ ど精度が上がります。 2. フォトグラメトリーソフトによる3Dモデル作成 撮影した写真をフォトグラメトリーソフトウェア(Metashape、RealityCapture等)に読み込み、3Dモデルの作成を行い ます。 ソフトウェアが写真間の共通点を見つけ、3D座標とメッシュ面を算出して3Dモデルを自動生成します。 3. 3Dデータの修正・調整 生成された3Dモデルは、資材によっては穴が開いていたり、ノイズが乗ったりする場合があります。 3Dモデリングソフトで手作業によるデータの修正や、テクスチャリングによる質感調整を行います。 4. VR空間の構築と体験コンテンツ制作 完成した3Dモデルデータを使い、VR対応のゲームエンジンやミドルウェアでVR空間を構築します。物体配置や照明、背 景なども設定します。 更にインタラクション設計やUI組み込みにより、ユーザーがVR空間内を自由に動き回れる体験コンテンツを制作します。 5. VR機器でのビューイング 完成したVRコンテンツは、VRヘッドセットやVRゴーグル、スマートフォンVRなどのVR機器で体験できるようにビルドされます。 フォトグラメトリーは特殊な機材が不要で、撮影した写真から3Dモデルを作成できるのが大きな利点です。リアルな3DCGを VR空間に構築することで、製品のVR展示やバーチャル施設見学、観光地のVRツアーなどのコンテンツが可能になります。 © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 8
5.1 フォトグラメトリーによるVRコンテンツの制作 ◆ 必要な機材やソフトウェア フォトグラメトリーに必要な機材は、カメラ、パソコン、専用のソフトウェアです。 カメラはできればデジタル一眼レフなどの高性能なもの、パソコンも同じく処理能力の高いものが最適で すが、ない場合はスマートフォンのカメラ、現在発売中のものであればノートパソコンでも利用できます。 そのため、3DCG制作に関わったことのない一般の人でも行えるようになりました。 専用のソフトウェアはAutodesk社の「ReCap」、Agisoft社の「MetaShape」、CapturinRealityの 「Reality Capture (RC)」「3DF Zephyr」などが有名です。 © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 9
5.2 フォトグラメトリ用のソフトウェアの比較 製品 価格 対応OS 特徴 販売サイトのリンク 1 3DF Zephyr 33,999円 ※2024-0115の価格 ※価格は変動 します。 Windows 買い切り約34,000円という低価 格であり、50枚までの写真であ れば無料で3Dモデルを書き出す ことができます。お試しで使用する のであれば50枚までの写真で十 分です。 Steam : 3DF Zephyr https://store.steampowered.com/a pp/438450/3DF_Zephyr_Lite_Stea m_Edition/?l=japanese 3D zephyr free https://www.3dflow.net/3dfzephyr-free/ 2 Reality Capture 月々3,980円 ※価格は変動 します Windows 高価ですが、機能面でもハイエン ド向けフォトグラメトリ用ソフトで、 精度が高いソフトウェアです。 Steam : Reality Capture https://store.steampowered.com/a pp/489180/RealityCapture_Steam_ Edition/ 3 Agisoft Metashape (旧Photoscan) 27,000円前 後 ※販売代理店 での見積もりが 必要 Windows / Mac Macユーザーでも使用できるのが 可能。学術研究でも使用された 実績があり、精度面でも問題な い 株式会社オーク https://oakcorp.net/agisoft/ 4 Meshroom Windows Meshroomはオープンソースで 開発されているフォトグラメトリ用 ソフトウェアで、誰でも無料で使 用できます。機能面でも洗練され てきており、無料でフォトグラメトリ を行いたい場合はオススメです Meshroom https://alicevision.org/ 無料 © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 10
6.3DスキャンによるVRコンテンツの制作 3Dスキャンを活用してVRコンテンツを制作する手順は以下のようになります。 1. 3Dスキャンによる対象物の計測 専用の3Dスキャナ機器を使って、制作対象となる物体や空間をスキャンします。 レーザー光や構造化光パターンなどを照射し、反射を検知することで3D形状データを取得します。 2. 3Dデータの編集・修正 スキャンで得られた3Dデータ(ポイントクラウド)は、ノイズが含まれていたり欠損している部分があるので、3Dモデリングソフ トで手作業によるデータの修正・編集を行います。 メッシュ化して3Dモデルを作成したり、テクスチャリングでリアルな見た目に調整します。 3. VR空間の構築と体験コンテンツ制作 完成した3Dモデルデータを使い、VR対応のゲームエンジンやミドルウェアでVR空間を構築します。物体の配置や照明、 背景なども設定します。 さらにインタラクションの設計やUIなどを組み込み、ユーザーがVR空間内を自由に動き回れる体験型コンテンツを制作しま す。 4. VR機器でのビューイング 完成したVRコンテンツは、VRヘッドセットやVRゴーグル、スマートフォンVRなどのVR機器で体験できるようにビルドされます。 3Dスキャンを利用することで、実在する製品や建物、文化財などの3Dデータを非常に高精度で取得できます。そのリアルな 3DCGをVR空間に構築することで、まるで実物があるかのような臨場感あふれるVRコンテンツを実現できます。 製品のVR展示やショールーム、施設の仮想ツアーなどに活用されています。 © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 11
6.1 3DスキャンによるVRコンテンツの制作 ◆ 必要な機材やソフトウェア 3Dスキャンを利用してVRコンテンツを制作するには、以下の機材やソフトウェアが必要になります。 【機材】 ・3Dスキャナ 対象物の3D形状を計測するための専用機器です。レーザースキャナ、構造化光スキャナ、光学式スキャナ など、さまざまな種類があります。用途や対象物の大きさによって適した機種を選択します。 【ソフトウェア】 ・3Dスキャンソフトウェア スキャナの制御や、スキャンデータの取り込みに使用します。スキャナメーカーから提供されるものが一 般的です。 ・3Dモデリングソフトウェア スキャンデータの編集、修正、メッシュ化、テクスチャリングなどに使用します。代表的なものにZBrush、 3ds Max、Blenderなどがあります。 ・VR開発ソフトウェア VR空間の構築やVRコンテンツの制作に使用します。Unreal EngineやUnityなどのゲームエンジンが一般 的です。 ・ポイントクラウド処理ソフトウェア スキャンしたポイントクラウドデータの前処理や、ノイズ除去、欠損部位の補完などを行うソフトウェア です。CloudCompareなどがあります。 © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 12
6.2 3DスキャンによるVRコンテンツの制作(マターポート) マターポートは、3Dスキャンを活用したVRコンテンツ制作で有名な企業です。 マターポートは英国に本社を置く3Dキャプチャ専門企業で、高精細な3Dスキャンデータを活用したデジ タル3Dモデルの制作や、それらを使ったVR/AR体験コンテンツの制作で高い評価を得ています。 同社が使用している3Dスキャン機材は、高解像度の写真撮影と計測が可能な専用のカメラシステムです。 対象物を360度すべての角度から何十万枚もの写真を撮影し、それらの画像データからフォトグラメト リー手法で高精細な3Dモデルを作成しています。 この手法では通常の3Dスキャンよりも非常に高解像度の3Dデータが得られるため、細かい質感の再現が 可能となります。人物や動物、自動車、建物、芸術品など、さまざまな対象物のリアルな3Dモデル化に適 しています。 マターポートはこの3Dデータを活用し、ゲーム、VR/AR体験コンテンツ、メタバース空間の構築などを 行っています。特に文化財のデジタルアーカイブ化や、バーチャルミュージアム、観光地のVRツアーなど の分野で高い評価を受けています。 例えば、エジプトのツタンカーメン王墓の3Dデジタル化や、米国自然史博物館の恐竜化石の3Dアーカイ ブ化、オックスフォード大学の肖像画のVR体験コンテンツ化など、数多くの実績があります。 © 2024 Piyamaru Company All Rights Reserved. 13