機械回路の記号解析 その6

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December 02, 25

スライド概要

機械系メカトロニクス講義の続きとして新たに機械回路をはじめます。今回は機械ー電気混成系であるDCモータです。電気回路モデルに変換してモータ特性をLTspiceで再現します。本編は他励式です。永久磁石型と比べて疑問に思っていた励磁・電機子巻線の相互インダクタンスについて言及してみました。また、電動ブレーキ、回生ブレーキについて少し詳しく踏み込んでみました。プログラムはGithubで公開しています。関心のある方は様々なパラメータを変更してその特性の変化を自身で確かめてみることをお勧めします。

DC motorの復習
電磁石型DCモータ
磁束Φが基本
永久磁石と電磁石
磁束と励磁電流の関係
電気回路モデル
電気回路と基礎式
電気回路モデルへの変換
DC-モータ+慣性負荷モデル

電磁石界磁型DCモータ(序論 )
 1.1 DCモータの種類
 1.2 DCモータの種類別パラメータ例(表1)
 
他励式と永久磁石式DC-モータ
 2.1 永久磁石式と同じ?
 2.2 電機子巻線と励磁巻線の相互誘導
①電機子巻線への影響(Q1)
②励磁巻線への影響(Q2)
 2.3 結果まとめ

3.他励式 DC-モータ基礎方程式
 3.1 電気回路モデル
 3.2 ω‐τ特性方程式
 3.3 モータ特性のシミュレーション
①他励式 DC-モータ 特性
 3.4永久磁石式と他励式のDCモータ

4.モータ制動(ブレーキ)
 4.1モータ制動の種類

5. 電気ブレーキ(Dynamic Braking)
 5.1 電気ブレーキの基礎式
 5.2 シミュレーション
 5.3 ω‐τ相面表示
5.4 パラメータの違いによるω‐τ相面

6. 回生制動(坂道model)
 6.1 回生制動の坂道モデルについて
 6.2 回生制動の基礎式
 6.3 シミュレーション
 6.4 ω‐τ相面表示

7.回生制動(電圧制御model)
 7.1 電圧制御modelについて
 7.2 回生制動の基礎式
 7.3 シミュレーション
 7.4 ω‐τ相面表示
 7.5 パラメータの違いによるω‐τ相面
 7.6 低下電圧の違いによるω‐τ相面

つづく
補足:中田孝氏について、私の卒論修論
参考文献

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これまでに主に,ロボティクス・メカトロニクス研究,特にロボットハンドと触覚センシングの研究を行ってきました。現在は、機械系の学部生向けのメカトロニクス講義資料、そしてロボティクス研究者向けの触覚技術のサーベイ資料の作成などをしております。最近自作センサの解説を動画で始めました。https://researchmap.jp/read0072509 電気通信大学 名誉教授 

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各ページのテキスト
1.

2025.12.2 機械回路の記号解析 その6 ---モータモデルと特性計測-part2 (他励式) --機械系のためのメカトロニクス 回生制動シミュレーション 下 条 誠 電気通信大学名誉教授 ω‐τ相面図 The University of Electro-Communications https://researchmap.jp/read0072509/ https://www.docswell.com/user/m_shimojo Department of Mechanical Engineering and Intelligent System

2.

内 DC motorの復習 I. II. 電磁石型DCモータ a. 磁束Φが基本 b. 永久磁石と電磁石 c. 磁束と励磁電流の関係 電気回路モデル a. 電気回路と基礎式 b. 電気回路モデルへの変換 c. DC-モータ+慣性負荷モデル 1. 電磁石界磁型DCモータ(序論 ) 1.1 DCモータの種類 1.2 DCモータの種類別パラメータ例(表1) 2. 他励式と永久磁石式DC-モータ 2.1 永久磁石式と同じ? 2.2 電機子巻線と励磁巻線の相互誘導 ①電機子巻線への影響(Q1) ②励磁巻線への影響(Q2) 2.3 結果まとめ 3.他励式 DC-モータ基礎方程式 3.1 電気回路モデル 3.2 ω‐τ特性方程式 3.3 モータ特性のシミュレーション ①他励式 DC-モータ 特性 3.4永久磁石式と他励式のDCモータ 容 2 4.モータ制動(ブレーキ) 4.1モータ制動の種類 5. 電気ブレーキ(Dynamic Braking) 5.1 電気ブレーキの基礎式 5.2 シミュレーション 5.3 ω‐τ相面表示 5.4 パラメータの違いによるω‐τ相面 6. 回生制動(坂道model) 6.1 回生制動の坂道モデルについて 6.2 回生制動の基礎式 6.3 シミュレーション 6.4 ω‐τ相面表示 7.回生制動(電圧制御model) 7.1 電圧制御modelについて 7.2 回生制動の基礎式 7.3 シミュレーション 7.4 ω‐τ相面表示 7.5 パラメータの違いによるω‐τ相面 7.6 低下電圧の違いによるω‐τ相面 つづく 補足:中田孝氏について、私の卒論修論 参考文献 LTspice program https://github.com/m4881shimojo/DCmotor

3.

はじめに 3 機械の振動系と電気回路が同じように取り扱えると、知ったのは中田孝氏の書籍「工学 解析」でした。同書は、Lagrange運動方程式、Fourie解析、変分法、テンソル解析な ど物理学者の数学的道具を機械工学を学ぶ学生に分かり易く解説したものです。その中 に機械回路の記号解析がありました。これがアナロジーというものに関心を持った始め でした。 機械系と電気系のアナロジーについて学ぶに従い、「物理量の捉え方」の一つとして流 通量と位差量があること、これにより機械と電気系の物理変数の対応関係ができること、 さらに流体系、熱回路、音響工学など広い分野の物理現象の解析にアナロジーの考え方 が使えることに興味を覚えたものです。また双対性の概念は、各種物理現象への新たな 視点を得るきっかけとなりました。 さて、機械系メカトロニクス講義の続きとして新たに機械回路をはじめます。今回は機 械ー電気混成系であるDCモータです。電気回路モデルに変換してモータ特性をLTspice で再現します。本編は他励式です。永久磁石型と比べて疑問に思っていた励磁・電機子 巻線の相互インダクタンスについて言及してみました。また、電動ブレーキ、回生ブ レーキについて少し詳しく踏み込んでみました。プログラムはGithubで公開しています。 関心のある方は様々なパラメータを変更してその特性の変化を自身で確かめてみること をお勧めします。 参考文献 https://github.com/m4881shimojo/DCmotor 中田孝:工学解析(技術者のための数学手法),オーム社,1972.

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ねらい 4 DCモータについて、3つの方程式と電気回路シミュレータだけで、 その基本特性を説明してみます。 (1)モータの働き 𝑇 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 ⋯ (1′ 𝑎) (2)発電機の働き 𝐸𝑐 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 ⋯ (2′ 𝑎) (3)回路方程式 𝑣𝑎 = 𝑅𝑎 𝑖𝑎 + 𝐸𝑐 ⋯ (3′ 𝑎) + この方法でモータ特性 を可視化するぞ 駆動電源系は理想電圧/電流源です 電気回路シミュレータ (LTspice)

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復習 DC motorの復習 DC-motorの基本構造、基本数式、基本特性は既に解説しました。 この章では、簡単な復習を行います。スキップしてもかまいません。 I. 電磁石型DCモータ a. 磁束Φが基本 b. 永久磁石と電磁石 c. 磁束と励磁電流の関係 II. 電気回路モデル a. 電気回路と基礎式 b. 電気回路モデルへの変換 c. DC-モータ+慣性負荷モデル メカトロニクス 「アクチュエータpart1 直流モータ」 https://www.docswell.com/s/m_shimojo/KNGDLZ-2022-04-16-144507 5

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a. 磁束Φが基本 I. 電磁石型DCモータ 磁束Φの作り方には二通りがあります 1. 永久磁石型 (前回のテーマ) 2. 電磁石型 Φ 𝑩 S N Φ = ඵ 𝑩 𝑑𝑨 𝑆 (今回のテーマ) 6

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I. 電磁石型DCモータ b. 永久磁石と電磁石 ①永久磁石 7 ②電磁石 i Φ ∝ 𝑖𝑓 f 界磁コイル Φ N Φ S S N ①永久磁石界磁型DCモータ ②電磁石界磁型DCモータ permanent-magnet DC motor winding-field DC motor モーター型 主な用途 特徴的な要件 永久磁石型 小型ファン、プリンター、電動玩具、 小型・軽量が重要、コスト・効率重視 車用パーツ(ワイパーなど) 制御がシンプル 電磁石型 電車・産業用モーター、クレーン、 電動工具、自動車のスターター トルク制御が重要、強起動・高出力、 界磁制御で可変特性が必要

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b. 電磁石による界磁型DCモータ I. 電磁石型DCモータ ⚫ 磁束は電磁石で発生できる if Φ Φ ∝ 𝑖𝑓 ⚫ Φ 磁束 (Magnetic Flux) :ある表面を貫く磁力 線の総量を表すスカラー量、単位はウェーバ (Wb) です 界磁コイル Field winding Φ ⚫ B 磁束密度 (Magnetic Flux Density) :磁場の強 さを表すベクトル量、単位はテスラ (T) です Φ N 8 B S 鉄心 鉄心 1. 鉄心は磁束の通路として機能し磁力 を高める 2. 鉄心にはケイ素鋼板などの電磁鋼板 を用いる 3. 鉄心を積層構造にすることで渦電流 損を低減する 整流子 電機子

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c. 磁束と励磁電流の関係(例) 磁束密度[T] B 𝐻 9 磁束Φと励磁電流ifは、比例関係である程度 近似できます。ただし、励磁電流が大きく なると飽和します。 また、左図のような履歴特性があります。 磁界 [A/m] 下図にはある論文に示されたその関係を示します。 𝑛 Φ 電流 I 𝐻 = 𝑛𝐼 n:コイルの単位長さ当たり巻数[n/m] 電流から磁束が発生します。この時、 コイルの単位長さ当たり巻数が関係す るため[A/m]となります。 [A] S. Mehta and J. Chiasson, "Nonlinear control of a series DC motor: theory and experiment," in IEEE Transactions on Industrial Electronics, vol. 45, no. 1, pp. 134-141, Feb. 1998,

10.

a. モータの電気回路と基礎式 II. 電気回路モデル 永 久 𝑉 磁 石 型 𝑅𝑎 𝑖𝑎 𝐿𝑎 𝐸𝑐 emf τ 𝐽 ω (1)発生トルク 𝜏 = 𝐾𝑇 𝑖𝑎 …(1) (2)逆起電力 𝐸𝑐 = 𝐾𝐸 𝜔 …(2) (3)電気回路 𝑉 = 𝑅𝑎 𝑖𝑎 + 𝐸𝑐 …(3) 𝐵𝑜 : 粘性係数 Laの影響は少ないので省略 力ー電流analogy 機械系部分 電気系部分 10 電圧 → 回転速度 𝑈𝑐 ⟺ 𝜔 電流 → トルクτ 𝐾𝑇 𝑖𝑎 ⟺ 𝜏 𝜔 等 価 回 路 𝑅𝑎 𝑉 𝐿𝑎 𝑖𝑎 + 𝐽[𝑘𝑔𝑚2 ] → 𝐶𝐽 [𝐹] 𝜏 𝑬𝒄 𝐾𝐸 𝑈𝑐 𝐾𝑇 𝑖𝑎 − 𝐾𝑇 𝑖𝑎 𝑈𝑐 𝐶𝐽 𝑅𝑜 𝐵𝑜 [𝑁 ∙ 𝑠Τ𝑚] → 𝑅𝑜−1 [Ω−1 ] (𝐾𝐸 = 𝐾𝑇 )

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b. 電気回路モデルへの変換 II. 電気回路モデル 𝜔 symbol unit J [kg・m2] 𝑈𝑐 symbol unit ⟺ C [F] [H-1] 回転体系の電気回路analogy 𝐽𝐿 𝑘𝑔𝑚2 𝐶𝐿 [𝐹] 𝑅𝐿−1 [Ω−1 ] 𝜏 𝐾𝑇 𝑖𝑎 K [N・m/rad] ⟺ L-1 𝐵𝑜 𝑅𝑜−1 B [𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑/𝑠 ] ⟺ R-1 [Ω-1] 𝐵𝐿 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑/𝑠 Τ [N・m] ⟺ I [A] 𝐾𝑠 𝑁𝑚Τ𝑟𝑎𝑑 ω [Rad/s] ⟺ E [V] J 𝐶𝐽 𝑖𝑎 𝑅𝑎 𝐿𝑎 𝑉 emf 𝐸𝑐 τ 𝐾𝑠 𝐽𝐿 𝐽 ω 𝐵a 𝐵𝐿 モータ 11 𝜃𝐿 𝑡 𝜔𝐿 𝑡 等価電気回路 −1 𝐿−1 𝑠 [𝐻 ]

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II. 電気回路モデル 12 c. DC-モータ+慣性負荷モデル 機械系物理量は電気回路から求められます 𝑖𝑎 𝑅𝑎 𝐿𝑎 𝑉 𝜔 𝑈𝑐 + 𝑖𝑆 𝐿𝑠 𝑖𝑐 𝜏 𝑬𝒄 𝐾𝐸 𝑈𝑐 𝐾𝑇 𝑖𝑎 𝜔𝐿 𝑈𝐿 − 𝐾𝑇 𝑖𝑎 𝑖𝑅 𝑈𝐿 𝐶𝐽 𝐶L 𝑅𝐿 慣性負荷を駆動するDC モータの等価モデル Ro:省略 力ー電流analogy回路での機械ー電気系量の対応 𝑉 :入力電圧 𝑖𝑎 :電機子電流 𝐾𝐸 𝑈𝑐 :逆起電力(emf) 𝐾𝑇 𝑖𝑎 :発生トルク 𝑖𝑆 :シャフトの捩じりトルク 𝑖𝑐 :慣性体回転トルク 𝑖𝑅 :粘性抵抗トルク 𝑈𝑐 :モータ回転速度 𝑈𝐿 :慣性体回転速度 機械 ⟺ 電気 𝜔 ⟺ 𝑈𝑐 ωL ⟺ 𝑈L τ ⟺ 𝐾𝑇 𝑖𝑎 J𝐿 ⟺ 𝐶𝐿 𝐾𝑠 ⟺ 𝐿−1 𝑠 𝐵L ⟺ 𝑅𝐿−1 負荷(例) ✓ BL:粘性抵抗 0.00001 [Nm/(rad/s)] 𝑅𝐿 : 1.0 × 105 Ω ✓ Ks:ねじれ剛性20 [Nm/rad ] 𝐿𝑠 : 0.05 𝐻 ✓ JL:慣性モーメント 0.001 [kg m2 ] 𝐶𝐿 : 1.0 × 10−3 𝐹

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II. 電気回路モデル 等価電気回路モデルでは 電気系と機械系がきれい に分離されているね グランドを明示す ると、独立だとわ かり易いね 機械系部分 電気系部分 ω 𝑈𝑐 𝑉 𝑅𝑎 𝑖𝑎 13 c. DC-モータ+慣性負荷モデル 𝐿𝑎 𝑬𝒄 𝐾𝐸 𝑈𝑐 + − 𝐾𝑇 𝑖𝑎 𝝉 𝐾𝑇 𝑖𝑎 𝜔𝐿 𝐿𝑠 𝜏 = 𝐾𝑇 𝑖𝑎 …(1) 𝑈𝐿 𝐶𝐽 𝑅𝑜 𝐶𝐿 𝐸𝑐 = 𝐾𝐸 𝜔 …(2) 𝐾𝐸 = 𝐾𝑇 𝑅𝐿 機械回路では ⚫ 機械系部分の物理量は電気回路analogyによって、 電圧と電流で表現されます。 ⚫ 当然、機械系での電流、電圧の意味する内容は異な ります!!!! [V]→[rad/s] [I]→[Nm] を意味します 本編では!

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今回のテーマ 機械ー電気AnalogyでのDC-モータのモデル化を行います 今回は、他励式DCモータについてです 1. 序論(スキップ可) ① DCモータの種類 ② DCモータの種類別パラメータ例(表1 ) メカトロニクス 「アクチュエータpart1 直流モータ」 https://www.docswell.com/s/m_shimojo/KNGDLZ-2022-04-16-144507 14

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1. 電磁石界磁型DCモータ(序論) 機械ー電気AnalogyでのDC-モータのモデル化を行います 今回は、他励式DCモータについてです if 𝑣𝑎 𝑖𝑎 𝑣𝑓 𝑅𝑓 𝐿𝑓 𝑅𝑎 𝐿𝑎 Φ (1)他励型 1. 序論(スキップ可) ① DCモータの種類 ② DCモータの種類別パラメータ例(表1 ) 15

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1.1 DCモータの種類 DCモータは、主に界磁の方式によっていくつかの種類に分類されます。 電磁石で界磁を作るタイプは、電機子巻線と界磁巻線の接続方法により分類さ れます。これらの分類は、ブラシ付きDCモータの主要な分け方です。 1. 永久磁石型・・ part1で解説済 2. 他励方式(Separately Excited)今回のテーマ 3. 分巻(shunt巻線)方式 4. 直巻(series巻線)方式 5. 複巻(compound巻線)方式 16

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1.1 電磁石型DCモータの種類 17 電機子巻線と界磁巻線の接続方法により分類 if 𝑣𝑎 𝑖𝑎 𝑣𝑓 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑖𝑎 + 𝑖𝑓 𝐿𝑎 𝑅𝑓 𝑣𝑎 Φ 𝐿𝑓 𝐿𝑓 if 𝑖𝑎 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝐿𝑎 Φ 𝑣𝑎 𝑖𝑎 if 𝐿𝑎 𝑅𝑓 𝐿𝑓 𝑅𝑎 Φ (4a)複巻型(compound) (外分巻) 𝑖𝑎 + 𝑖𝑓 𝑣𝑎 𝑖𝑎 𝑅𝑎 𝐿𝑎 𝑣𝑎 (1)他励型(Separately Excited) (2)分巻型(shunt) 𝑖𝑎 + 𝑖𝑓 𝐿𝑓 Φ (3)直巻(series) 𝑖𝑎 if 𝑅𝑎 𝐿𝑎 Φ (4b)複巻型(compound) (内分巻)

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1.2 DCモータの種類別パラメータ例(表1 ) 表1.DCモータの種類別パラメータ例 1.Separately Excited 2. Shunt 3. Series Armature voltage (Va) 170 V -- -- Field voltage (Vf) 210 V -- -- Line voltage (VL) -- 170 V 230 V Nominal armature current 12.4 A 17 A 12.5 A Nominal field current 1.1 A 0.9 A 12.5 A Nominal velocity 1000 rpm 1100 rpm 2000 rpm Nominal electric torque 15.5 Nm 17.8N m 10.7Nm Armature inductance (La) 17.8 mH 17.8 mH 0.12 mH Field inductance (Lf) 1 uH 10 H 30 mH Mutual inductance (Laf) 1.136 H 1.1634 H 68.5 mH Armature resistance (Ra) 3.1533 Ω 2.9051 Ω 3.3576 Ω Field resistance (Rf) 190.909 Ω 188.889 Ω 0.7 Ω Inertia (J) 0.0142 kg m2 0.0142 kg m2 0.015 kg m2 Arévalo, E.; Herrera Hernández, R.; Katselis, D.; Reusser, C.; Carvajal, R. On Modelling and State Estimation of DC Motors. Actuators 2025, 14, 160. https://doi.org/10.3390/act14040160 18

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本 編 19

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2. 他励式と永久磁石式DC-モータ ◼ はじめに他励式 DC-モータについて解説を行います。 ◼ 磁界を電磁石で作ることの、疑問点をちょっと深堀します。 ◼ スキップしても構いません。 20

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2.1 永久磁石式と同じ? 21 永久磁石型と異なり、界磁コイル(電磁石)で磁束Φを作ります if (1)モータの働き 界磁コイル 𝑇 = 𝐾𝑡 Φ 𝑖𝑎 ⋯ (1′) Φ (2)発電機の働き 𝑩 S N 𝐸𝑐 = 𝐾𝑒 Φ𝜔 ⋯ (2′) (3)電機子回路 𝑉 = 𝑅𝑎 𝑖𝑎 + 𝐸𝑐 ⋯ (3) 𝑖𝑎 𝑅𝑎 𝑉 if 磁束Φが陽に出てき ただけで、永久磁石 型と同じじゃない 𝐿𝑎 𝐸𝑐 通常はLaの影響が 少ないため省略 Φ

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2.1 永久磁石式と同じ? 他励式DCモータと永久磁石型DCモータ if 𝑣𝑎 𝑖𝑎 𝑣𝑓 𝑅𝑓 𝐿𝑓 𝑅𝑎 𝐿𝑎 Φ ⚫ 他励式DCモータと永久磁石型DCモータは、基本的 なトルク-回転速度特性が類似しているといわれて います。 ⚫ 大きな相違は、励磁電流を調整することで、磁束Φ を制御できることだそうです。 (1)他励型 (永久磁石と同じ) Φが固定で 同じじゃな 定格電機子電流:12.4 A 定格界磁電流:1.1 A 定格トルク:15.5 N m 定格回転数:1000 rpm いの? ちょっと気 (104.7rad/s) になること 𝑣𝑎 = 170 𝑉 , 𝐾𝑏 = 1.136 𝐻 があるな 𝑅𝑎 = 3.1533Ω. 𝑅𝑓 = 190.909Ω (モデルパラメータは表1) ~? 22

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2.1 永久磁石式と同じ? 23 「永久磁石型と他励型のDC-モータは同じ」 ということをよく聞くが、どうなんだろう? if 磁束Φ を作る Φ 𝑣𝑓 𝑅𝑓 Φ 𝐿𝑓 永久磁石 ✓ 結論からすると特性は、 ほぼ同じなのだが、いろ いろ疑問がわいてくる ✓ ここではその議論を ちょっと深堀したい 電磁石 やはり 同じじゃ ないの? そうか な~?

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2.1 疑問点 if 𝑣𝑎 𝑖𝑎 𝑣𝑓 𝑅𝑓 𝐿𝑓 永久磁石式と同じ? 𝑅𝑎 𝐿𝑎 Φ 電機子巻線と界磁巻線の間 には、相互インダクタンス があるので干渉しないの? (1)他励型 相互インダクタンス? この問題をちょっと考察します skipしてもよいです 24

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2.2 電機子巻線と励磁巻線の相互誘導 電機子巻線と励磁巻線の相互誘導 𝐿𝑎𝑓 はどう影響するのでしょう? if 𝑣𝑎 𝑣𝑓 𝐿𝑓 𝑖𝑎 界磁巻線 𝑅𝑎 電機子巻線 𝑅𝑓 𝐿𝑎𝑓 𝐿𝑎 Φ 𝐸𝑎 emf 相互インダクタンス :𝑳𝒂𝒇 電機子巻線と界磁巻線の間 には、相互インダクタンス があるはず! 干渉しないの? 25

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2.2 電機子巻線と励磁巻線の相互誘導 26 電機子巻線と励磁巻線の相互誘導 𝐿𝑎𝑓 はどう影響するのでしょう? if 𝑣𝑎 𝑣𝑓 𝐿𝑓 𝑅𝑓 𝑖𝑎 𝐿𝑎𝑓 Φ 𝑅𝑎 𝐿𝑎 相互インダクタンス について調べます 𝜔 ✓ モータの電機子巻線と界磁巻線は、磁束結合によって相互作用します。 ✓ これは電気的に相互インダクタンス 𝑳𝒂𝒇 を持つ2つのコイルの関係として表せます。 ⚫ 電圧方程式(一般形) 𝑑𝑖𝑓 𝑑𝑖𝑎 + 𝐿𝑎𝑓 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑑𝑖𝑓 𝑑𝑖𝑎 𝑣𝑓 = 𝑅𝑓 𝑖𝑓 + 𝐿𝑓 + 𝐿𝑎𝑓 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑣𝑎 = 𝑅𝑎 𝑖𝑎 + 𝐿𝑎 𝑀:相互インダクタンス 𝑑Φ1 𝑑𝑡 𝑑i1 =𝑀 𝑑𝑡 𝑣2 = 𝑖1 𝑣2 𝛷1 = 𝑀𝑖1

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① 電機子巻線への影響(Q1) 疑問点 他励式 DC-モータの電気回路&運動の方程式(疑問その1) if 𝑣𝑎 𝑣𝑓 𝑅𝑓 𝐿𝑓 𝑖𝑎 𝑅𝑎 𝐿𝑎𝑓 𝐿𝑎 Φ Φ = 𝐿𝑎𝑓 𝑖𝑓 𝜔 𝑅𝑎 :電機子巻線抵抗 𝐿𝑎 :電機子巻線インダクタンス 𝑅𝑓 :界磁巻線抵抗 𝐿𝑓 :界磁巻線インダクタンス 𝐿𝑎𝑓 :相互インダクタンス 𝑇𝑙 他 励 式 の 方 程 式 𝑑𝑖𝑎 + 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 𝑑𝑡 𝑑𝑖𝑓 𝑣𝑓 = 𝑅𝑓 𝑖𝑓 + 𝐿𝑓 𝑑𝑡 𝑑𝜔 𝑇𝑒 = 𝑇𝐿 + 𝐵𝜔 + 𝐽 𝑑𝑡 𝑣𝑎 = 𝑅𝑎 𝑖𝑎 + 𝐿𝑎 𝑇𝑒 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 3.1 電気回路モデルを参照 𝑑𝑖𝑎 𝑑 𝐿𝑎𝑓 𝑖𝑓 𝑣𝑎 = 𝑅𝑎 𝑖𝑎 + 𝐿𝑎 + 𝑑𝑡 𝑑𝑡 電気回路としては、これだよね なんで左式に なるの? 相互インダクタンスは どこ? 27

28.

① 電機子巻線への影響(Q1) 以下は、ChapGPT, Geminiを参考に、下条がまとめたものです。 正解かは分かりません! 参考意見としてください。 𝑑Φ 𝑣𝑒𝑚𝑓 = 𝑑𝑡 ⋯ (1) 1. 電機子の誘導起電力は回路を貫く磁束Φの 変化による Φ= 𝐿𝑎𝑓 𝜃 𝑖𝑓 ⋯ (2) 2. 磁束Φは相互インダクタンスを 𝐿𝑎𝑓 𝜃 とすると(2)式となる。当然 𝐿𝑎𝑓 𝜃 は電機 子の回転θによって変化する 𝑣𝑒𝑚𝑓 = 𝑑 𝐿 𝜃 𝑖𝑓 𝑑𝑡 𝑎𝑓 ⋯ (3) 3. よって、回転しているコイルでの誘導起電 力は(3)式となる (3)式を計算すると 𝑑𝑖𝑓 𝑑𝐿𝑎𝑓 𝜃 𝑣𝑒𝑚𝑓 = 𝐿𝑎𝑓 𝜃 + 𝑖𝑓 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑣𝑒𝑚𝑓 = 𝐿𝑎𝑓 𝜃 𝑑𝑖𝑓 𝑑𝐿𝑎𝑓 + 𝑖𝑓 𝜔 𝑑𝑡 𝑑𝜃 𝑣𝑒𝑚𝑓 = 𝐿𝑎𝑓 𝜃 ⋯ (4) 𝑑𝑖𝑓 𝑑𝐿𝑎𝑓 𝜃 𝑑𝜃 + 𝑖𝑓 ∙ 𝑑𝑡 𝑑𝜃 𝑑𝑡 𝜔= 𝑑𝜃 𝑑𝑡 emf 第1項:静止時の普通の誘導電圧→定常状態ではゼロ 第2項:回転による誘導電圧(逆起電力) 28

29.

① 電機子巻線への影響(Q1) 29 第2項:回転による誘導電圧(逆起電力)について 𝑣𝑒𝑚𝑓 = 𝐿𝑎𝑓 𝜃 𝑑𝑖𝑓 𝑑𝐿𝑎𝑓 𝑑𝐿𝑎𝑓 + 𝑖𝑓 𝜔 = 𝑖𝑓 𝜔 𝑑𝑡 𝑑𝜃 𝑑𝜃 𝐿𝑎𝑓 𝜃 = 𝐿𝑚 cos 𝜃 ⋯ (𝑎) 𝑑𝐿𝑎𝑓 𝑣𝑒𝑚𝑓 = 𝑖𝑓 𝜔 = 𝑖𝑓 𝜔 𝐿𝑚 sin 𝜃 𝑑𝜃 ⋯ (b) 4. 第1項は界磁電流が定常状態ではゼロとなります 5. 相互インダクタンス Laf はモータの回転角度θに 従い (a)式のように正弦的に変化するとします 6. よって誘導電圧は(b)式となります 7. また整流機能のため整流子ブラシ電圧は正とな ります 電機子巻線 整流作用によ り正となる V 整流子ブ ラシ電圧 電気子巻線電圧 𝑒𝑎 𝑒𝑎 if 2極モータ t 誘導電圧 emf フィルタリング で平均化される

30.

① 電機子巻線への影響(Q1) 30 第2項:回転による誘導電圧(逆起電力)について 8. そして、電機子巻線のインダクタンスにより巻線に流れる電流の変化は小さく抑えら れます。また巻線は回転方向にも複数の配線がありますので平均化されます 9. また、下右図のように極数の増加とともにリップル成分は非常に小さく抑えられます 10.この結果、逆起電力EcはDC電圧として、(2′)のような式で表せるのではと考えます V 整流機能によ り正となる V 整流子ブラシ電圧 整流子ブ ラシ電圧 𝑒𝑎 電気子巻線電圧 𝑒𝑎 電機子巻線電圧 t 誘導電圧 t フィルタリング で平均化される 2極モータ 4極モータ

31.

② 励磁巻線への影響(Q2) 疑問点 31 他励式 DC-モータの電気回路&運動の方程式(疑問その2) ⚫ 電圧方程式(一般形) 𝑣𝑎 = 𝑅𝑎 𝑖𝑎 + 𝐿𝑎 𝑣𝑓 = 𝑅𝑓 𝑖𝑓 + 𝐿𝑓 ⚫ 他励式DCモータ電圧方程式 𝑑𝑖𝑎 𝑣𝑎 = 𝑅𝑎 𝑖𝑎 + 𝐿𝑎 + 𝐾𝑒 𝐿𝑎𝑓 𝑖𝑓 𝜔 𝑑𝑡 𝑑𝑖𝑓 𝑣𝑓 = 𝑅𝑓 𝑖𝑓 + 𝐿𝑓 𝑑𝑡 𝑑𝑖𝑓 𝑑𝑖𝑎 + 𝐿𝑎𝑓 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑑𝑖𝑓 𝑑𝑖𝑎 + 𝐿𝑎𝑓 𝑑𝑡 𝑑𝑡 これ if 𝑣𝑎 𝑣𝑓 𝐿𝑓 𝑅𝑓 𝑖𝑎 𝑅𝑎 𝐿𝑎𝑓 𝐿𝑎 𝑒𝑎 = 𝐾𝑒 Φ𝜔 = 𝐾𝑒 𝐿𝑎𝑓 𝑖𝑓 𝜔 何故、磁界回路方程式には 相互作用項がないの? Φ 𝑒𝑎 なぜ?

32.

② 励磁巻線への影響(Q2) 32 励磁側に影響が出ない理由  界磁コイル(固定側)でも同様に計算すると 𝑣𝑓 = 𝑅𝑓 𝑖𝑓 + 𝐿𝑓 𝑑𝑖𝑓 𝑑 𝐿𝑎𝑓 𝑖𝑎 𝑑𝑖𝑓 𝑑𝐿𝑎𝑓 𝜃 𝑑𝑖𝑎 + = 𝑅𝑓 𝑖𝑓 + 𝐿𝑓 + 𝐿𝑎𝑓 𝜃 𝐿𝑓 + 𝑖𝑎 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑑𝑡 𝑑𝑡 電機子電流のリプルによる誘導電圧 vfが界磁回路に与える影響が無視される 主な理由は、以下の通りです 1. 界磁巻線インダクタンス Lf が大きい:界磁巻線は、十分な磁束を発生させるために巻数が多く、 結果としてインダクタンス が非常に大きくなり、高周波成分に対する抵抗が非常に大きくなり ます。この結果。誘導電圧が発生しても、この大きなインピーダンスにより、界磁回路に流れ る電流の変化は非常に小さく抑えられます 2. 相互インダクタンス Laf が小さい:DCモーターの磁気回路は、界磁磁束と電機子磁束の磁路が 概ね直交するように設計されています。この設計により、相互インダクタンス Laf は構造的に 小さくなっており、誘導電圧の発生自体も比較的小さい傾向があります 3. 時間平均で正負が打ち消される:回転による変化成分 𝑑𝐿𝑎𝑓 𝜃 Τ𝑑𝑡 は、電機子が均等に回転し ています。また電機子側と比べ整流機能がないため、界磁側では時間平均では正負が打ち消さ れます

33.

2.3 結果まとめ 結果まとめ 33 電機子巻線と励磁巻線の相互誘導 𝑳𝒂𝒇 はどう影響するのでしょう? 項 目 相互インダクタンス 𝐋𝐚𝐟 誘導電圧の実体 結 果 電機子側 界磁側 回転角 θ に依存して周期的に 変化 固定巻線なので、変化は平均 化される 𝑒𝑎 =𝑖𝑓 𝑑𝐿𝑎𝑓 𝑑𝜃 平均的にゼロ 𝜔(逆起電力) 回転による電圧が観測される (モータの発電機動作) 無視できる小信号のみ 1. 他励式DC-モータは永久磁石型とほぼ同じ。 2. 基本的な電気回路モデルを次に示します ということで、これまでモヤモヤしていた疑問点について述べました。 正しいかは分かりませんが私の中では区切りをつけて、他励式DCモー タについて解説を進めます。 としましょう

34.

2.3 結果まとめ 当たり前だけど、相互誘導が逆起電力 の原因だよな。それに整流効果と、イ ンダクタンスによるフィルタ効果が加 わって、DC成分として表されてい るってことかな。 表1で相互インダクタンスLaf [H]となって いるのは最大値となる位置での値のこと? 本当にそうかな~~? 整流とかフィルタ効果とかの総合したも の?相互インダクタンスと明記しているの は、まだ納得がいかないかな~。 34

35.

他励式 DC-モータ 本篇 他励方式 本編 35

36.

3.他励式DC-モータ 基礎方程式 if 固定: 36 Φ = 𝛼𝑖𝑓 𝑖𝑎 if Φ Φ 𝑣𝑎 𝑣𝑓 𝑅𝑓 Φ if Φ = 𝐿𝑎𝑓 𝑖𝑓 (1)モータの働き (2)発電機の働き 𝑇 = 𝐾𝑡 Φ 𝑖𝑎 ⋯ (1′) 𝐸𝑐 = 𝐾𝑒 Φ𝜔 ⋯ (2′) 𝑇 = 𝐾𝑡 𝛼𝑖𝑓 𝑖𝑎 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 ⋯ (1′𝑎) 𝐸𝑐 = 𝐾𝑒 𝛼𝑖𝑓 𝜔 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 ⋯ (2′ 𝑎) 𝑖𝑓 : constant 𝐾𝑡 𝛼 = 𝐾𝑒 𝛼 = 𝐾𝑏 とした 𝑅𝑎 𝐿𝑎 𝐿𝑓 𝑖𝑎 𝑖𝑎 (Kbは表1のLaf とした)

37.

他励式 DC-モータ基礎方程式 (Kbは表1のLaf とした) 37 表1でLaf の物理単位 はヘンリー[H]だよね。 トルクは次式となるので? ホントなの? 𝑇 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 ⋯ (1′𝑎) ⚫ ヘンリー[H]の単位を変換してみましょう 𝑉∙𝑠 𝐽∙𝑠 𝑁∙𝑚∙𝑠 𝑁∙𝑚 𝐻 = = = = 𝐴 𝐶∙𝐴 𝐴∙𝑠∙𝐴 𝐴2 𝑁∙𝑚 K𝑏 = 𝐴2 となりますね (1’a)式にあてはめてみると、合ってます ただし 𝑉 = 𝐽 𝑁∙𝑚 = 𝐶 𝐴∙𝑠

38.

3.1 電気回路モデル 38 ⚫ 電気系回路方程式 if ia 𝑅𝑎 𝑣𝑓 電 機 子 𝐿𝑎 𝑣𝑎 𝑑𝑖𝑎 + 𝐸𝑐 𝑑𝑡 𝑑𝑖𝑓 𝑣𝑓 = 𝑅𝑓 𝑖𝑓 𝑡 + 𝐿𝑓 𝑑𝑡 𝑣𝑎 = 𝑅𝑎 𝑖𝑎 𝑡 + 𝐿𝑎 𝑇𝑚 𝑅𝑓 E𝒄 𝐿𝑓 Φ 𝐸𝑐 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 𝐽 𝑇𝑙 ⚫ 機械系回路方程式 𝜔𝑚 𝑑𝜔𝑚 + 𝐵𝑎 𝜔𝑚 + 𝑇𝑙 𝑑𝑡 𝑇𝑚 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 𝑇𝑚 = 𝐽 𝐵𝑎 : 粘性係数 𝑅𝑓 𝑣𝑓 if ia 𝐿𝑎 𝑣𝑎 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 E𝒄 𝜏 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 𝐿𝑓 電気系 Tlは定トルク 負荷とします ω 𝑅𝑎 𝑈𝑐 𝐶𝐽 𝑅𝑜 𝑇𝑙 機械系の電気回路analogy

39.

3.2 ω‐τ特性方程式 39 トルクと回転速度特性は 永久磁石型と同じになるの? 磁束Φは分離電源なの で同じかな? これ 𝜔 V 𝐾 if 𝑉 𝑅𝑎 𝜔 = − 2𝜏 𝐾 𝐾 𝐾 𝑉 𝑅𝑎 0 永久磁石型DC-モータ:ω‐τ 特性 𝑣𝑎 𝑖𝑎 𝑣𝑓 𝑅𝑓 𝐿𝑓 𝑅𝑎 𝐿𝑎 Φ 𝜏 分巻DCモータ

40.

3.2 ω‐τ特性方程式 40 他励式DCモータのトルク・回転速度特性を求めてみます ⚫ モータと発電機の特性は次式となります if 𝑣𝑎 𝑖𝑎 𝑣𝑓 𝑅𝑓 𝐿𝑓 𝑅𝑎 𝐿𝑎 Φ 𝐸𝑐 (1)モータの働き 𝑇 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 ⋯ (1′ 𝑎) (2)発電機の働き 𝐸𝑐 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 ⋯ (2′ 𝑎) ⚫ モータに電圧を加えた時の回路方程式は次式となります (3)回路方程式 インダクタンスが計算で省略される理由 1. 定常状態での解析を行うため、電流の変化率はゼロ になります 2. モータの応答には、電気系と機械系の2つの応答があ ります。機械系の挙動に比べて、電気系の過渡現象 は瞬間的に終わってしまうため、回路を抵抗のみで 表現します 3. ただし、過渡応答解析などでは省略できない場合が あります 𝑣𝑎 = 𝑅𝑎 𝑖𝑎 + 𝐸𝑐 ⋯ (3′ 𝑎) 𝑖𝑓 = 𝑣𝑓 ⋯ (3′ 𝑏) 𝑅𝑓 定常状態での値

41.

3.2 𝑣𝑎 𝐾1 他励式DCモータ 𝜔= 𝑅𝑓 1 = 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾1 ω‐τ 特性 V 𝐾 参 考 𝜔 基礎式からの導出 𝜏 𝑏 𝑓 3. (3’b)を用いて次の式になる 𝑣𝑎 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝜔= − 2 2 𝑇 ⋯ (4′ 𝑎) 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 永久磁石DCモータ 𝑉 𝑅𝑎 𝜔 = − 2𝜏 𝐾 𝐾 𝐾 𝑉 𝑅𝑎 0 41 1. (3’a)式に(1’a),(2’a)を代入 𝑇 𝑣𝑎 = 𝑅𝑎 𝑖𝑎 + 𝐸𝑐 = 𝑅𝑎 + 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 𝐾𝑏 𝑖𝑓 2. これをωについてとくと 𝑣𝑎 𝑅𝑎 𝜔= − 2𝑇 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝐾 𝑖 𝑣𝑎 𝑅𝑎 − 𝜏 𝐾1 𝐾12 𝐾1 𝑣 𝑅𝑎 𝑎 0 ω‐τ特性方程式 定数だからまとめて 𝜔= 𝜏 𝑅𝑓 1 = 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾1 𝑣𝑎 𝑅𝑎 − 2 𝑇 ⋯ (4′ 𝑎) 𝐾1 𝐾1 永久磁石型 と同じだね

42.

3.3 モータ特性のシミュレーション 他励式 DC-モータ+負荷トルクモデル 42 モータ特性をシミュレー ションで求めます 定格電機子電流:12.4 A 定格界磁電流:1.1 A 定格トルク:15.5 N m 表 1 定格回転数:1000 rpm 𝐾𝑏 = 1.136 𝐻 (104.7rad/s) 𝑣𝑎 = 170 𝑉 , 𝑅𝑎 = 3.1533 Ω 𝑣𝑓 = 210[𝑉], 𝑅𝑓 = 2.9051 Ω 負荷トルク 計測コマンド separately-exited2025.asc 負荷トルクを 変化させて計 測します 界磁インダクタンス1μHは疑問です。小さ すぎるように思えます。ただし、シミュ レーション結果に与える影響はほぼないと 思えます。

43.

3.3 モータ特性のシミュレーション 43 応答特性 負荷トルクTLをパラメータ として実行 ① 回転速度Uc 計測値 ① 回転速度Uc ② 電機子電流L2 ② 電機子電流L2 ③ 発生トルクB2 ④ 界磁電流L1 ③ 発生トルクB2 ③ 界磁電流L1 複数の線は、負荷トルク の違いによるものです 測定した値は excelで表に しました

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シミュレーション結果(他励式 DC-モータ特性) 負荷トルクに対する、回転速度、電流のモータ特性 定格電機子電流:12.4 A 200 100 定格界磁電流:1.1 A 180 90 定格トルク:15.5 N m 80 定格回転数:1000 rpm ω 160 power Ia 140 ia 回転速度[rad/s] 120 定格回転数 100 60 50 80 40 Power 60 30 40 20 定格電流 20 10 0 -10 -20 -40 -60 表1 定格トルクでの 定格電流、定格回転 OK すべてが 重なる 0 0 10 20 定格トルク -20 (104.7rad/s) 70 電機子電流 [A] ω 44 30 40 50 負荷トルク [N・m] 60 70 80 -10 -20 -30 -80 -40 -100 -50 測定値をExcelで図にまとめました Excelでは3軸以上の多軸表示がで きないため、powerの値は傾向を 示しています 参考文献では、モーターはLenze社のもので、 私が探した中ではMGFRK 112-22あたりのも のかと思います。ただし完全に当てはまる ものは見つけられませんでした。 Lenze. DC Motors Catallogue. Available online: https://www.tecnicaindustriale.it/lenze_catalogues/CAT_DC_motors_en.pdf

45.

3.4 永久磁石式と他励式のDCモータ 特徴 他励式DCモータ(分巻式) 45 永久磁石型DCモータ(PMモータ) 界磁の構成 電磁石(界磁巻線) を使用。 永久磁石 を使用。 磁束制御 可能。界磁電流の調整により磁束 Φ を制 御できる。 不可能。磁石の磁束は固定。 高速運転 弱め界磁制御が可能なため、定格回転速度 弱め界磁制御ができないため、高速域の運 以上の**高速域(定出力運転)**での運転 転範囲拡大は困難。 範囲を拡大できる。 構造・サイズ 界磁巻線が必要なため、大型化しやすく、 永久磁石で界磁を構成するため、小型・軽 複雑。 量化しやすい。 効率 界磁巻線での電力損失(界磁損)があるた め、永久磁石型に比べて効率は劣る傾向が 界磁損がないため、効率が良い傾向がある。 ある。 用途 広範囲な速度制御(特に高速域)が必要な 小型機器、OA機器、ロボット、家電製品 など、小型・高効率が求められる用途。 産業機械、EVの一部など。 By Gemini

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他励式 DC-モータ特性 例題 46 モータ情報:1500kW, 600V, 定格: Iar=2650A, 600rpm, 励磁電力:50kW ブラシ電圧降下:Vbr=2V Ra=0.003645Ω, La=0.1mH, B=15N・m(rad/sec) 摩擦トルク: 2𝜋𝑁 2𝜋 ∗ 600 𝜔= = = 62.83 𝑟𝑎𝑑Τ𝑠 60 60 𝑃𝑚 1500 ∗ 103 𝑇𝑠 = = = 23.873 𝑁 ∙ 𝑚 𝜔 62.83 𝑇𝑓 = 𝐵1 𝜔 = 15 ∗ 62.83 = 942.45 𝑁 ∙ 𝑚 合計トルク: 𝑇𝑒 = 𝑇𝑠 + 𝑇𝑓 = 23.873 + 942.45 = 24815.45 𝑁 ∙ 𝑚 motor定数: 𝐾𝑇 = 回転速度: 機械的トルク: 𝑇𝑒 24815.45 = = 9.964 𝑁 ∙ 𝑚/𝐴 𝐼𝑎𝑟 2650 𝐾𝐸 = 9.964 𝑉/ 𝑟𝑎𝑑/𝑠𝑒𝑐 入力電圧: KE=KT 𝑉 = 𝑅𝑎 𝐼𝑎𝑟 +𝐾𝑏 𝜔 + 𝑉𝑏𝑟 𝑉 = 0.003645 ∗ 2650 + 9.364 ∗ 62.82 + 2 = 600 𝑉 入力電力: 𝑃𝑖 = 𝑉𝐼𝑎 + 𝑓𝑖𝑒𝑙𝑑 𝑝𝑜𝑤𝑒𝑟𝑖𝑛𝑝𝑢𝑡 𝑃𝑖 = 600 ∗ 2650 + 50000 = 1640 𝑘𝑊 機械的出力: 𝑃𝑚 = 1500 𝑘𝑊 効率: 𝜂 = 𝑃𝑚 Τ𝑃𝑖 = 1500 ∗ 103 Τ1640 ∗ 103 = 91.46 % R. Krishnan, Electric motor Drives modeling, Analysis, and control. upper saddle river, New Jersey: Prentice Hall,, p.25, 2001. 前の結果とは別のモータ モータ情報から、 このような特性が 算出できます

47.

4.モータ制動(ブレーキ) モータの制動(ブレーキ)とは、モータの発電機能 を用いて運動エネルギーを吸収すること if ia 𝑅𝑎 𝐿𝑎 𝑣𝑎 𝑣𝑓 電 機 子 𝑇𝑚 𝑅𝑓 E𝒄 𝐿𝑓 Φ 𝐽 𝑇𝑙 𝜔𝑚 𝐵𝑎 : 粘性係数 (1)モータの働き 𝑇 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 ⋯ (1′ 𝑎) (2)発電機の働き 𝐸𝑐 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 ⋯ (2′ 𝑎) 電気 エネルギ 慣性体回転 エネルギ 電気 エネルギ 慣性体回転 エネルギ 47

48.

4.1 モータ制動の種類 モータの制動方式には、次の2つがあります 1.電気ブレーキ Dynamic Braking 熱として消費 (廃棄) 2.回生ブレーキ Regenerative Braking 電力として再利用 (回収) 抵抗器で熱として消費するため、 バッテリー残量や電圧などのシス 安定して強い制動力が得やすい。 テム状況に制約されることがある。 48

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4.1 モータ制動の種類 49 その2つについて、まとめてみました 項目 電気ブレーキ (Dynamic Braking) 回生ブレーキ (Regenerative Braking) 発電エネルギの 使い道 熱として消費 (廃棄) 電力として再利用 (回収) エネルギー変換 運動エネルギ → 電気エネルギ → 熱エネルギ 運動エネルギ → 電気エネルギ 主な用途 産業機械の非常停止、鉄道の減速 電気自動車 (EV) やハイブリッド車 (HV)、鉄 道の省エネ減速 構成要素 モーター、電力消費用抵抗器 (ヒー ター) モーター、バッテリーまたは架線 (送電設備) 環境性能 熱を放出するため、 エネルギ効率は低い。 エネルギを回収するため、 エネルギ効率が高い。 ブレーキ力 抵抗器で熱として消費するため、安定 バッテリー残量や電圧などのシステム状況に制 して強い制動力が得やすい。 約されることがある。

50.

4.1 モータ制動の種類 機械式ブレーキでも摩擦 熱に変えるね。機械式が なくても良いのかな? モータとして回転していな いとブレーキ機能は働かな い。列車などを完全に止め るのは無理? ブレーキ機能はど の程度なの 次からは、モータによる制 動について、基礎式から解 説します。シミュレーショ ンモデルも示して、各自で 確認できるようにしてみま すね 50

51.

機械式ブレーキと電気式ブレーキの比較 51 参考に機械式と電気式ブレーキの比較を示します 特徴 機械式ブレーキ 電気ブレーキ 制動原理 摩擦力 電磁力(逆起電力など) エネルギー効率 低い (熱として放出) 高い (回生により回収可能) 初期コスト 低い 高い メンテナンス 頻繁に必要 (摩耗部品が多い) 少ない (摩耗部品が少ない) 制動力の安定性 環境(熱、水濡れ)に影響 を受けやすい 安定している 電源依存性 不要 必要 低速時の効き 良い 低速で低下しやすい By Gemini

52.

5.電気ブレーキ(Dynamic Braking) 電気ブレーキ Dynamic Braking 52

53.

5.電気ブレーキ(Dynamic Braking) 電気ブレーキとは、主に電気モーターを速やかに減速・停止させるための電気的な ブレーキ機能です。 ⚫ 駆動電源を切った後、慣性で回転しているモーターを発電機として機能させ、 発生した電気エネルギーを抵抗器で熱として消費することで、逆方向の強い制 動力を発生させます。 ⚫ 発電した電力を架線に戻す回生ブレーキとは異なり、熱として消費します。 𝑅𝑎 ib Motor Brake ia 𝑅𝑏 𝑣𝑎 𝑣𝑓 慣性負荷を取付, 制動のようすを 確認します 𝐿𝑎 if 𝑅𝑓 E𝒄 𝐿𝑓 Φ τ 𝐾𝑠 𝐽𝐿 𝐽 ω 𝐵𝑎 𝐵𝐿 𝜃𝐿 𝑡 𝜔𝐿 𝑡 53

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5.電気ブレーキ 54 駆動電源を切った後、慣性で回転しているモーターを発電機として機能させ、 発生した電気エネルギーを抵抗器で熱として消費することで、逆方向の強い制 動力を発生させます 抵抗器Rbに回路を切替ると 1. モータへの電力供給がなく なる これが切替 SW 𝐿𝑎 if ib 熱に変える 抵抗器 𝑣𝑎 𝑣𝑓 2. しかし、慣性のため回転は 急に変化できずモータは回 転を続ける τ 3. このためモータは、その発 電機能により逆起電力Ec を発生する 𝑅𝑎 ia 𝑅𝑏 回転エネルギを蓄 積する慣性質量 𝑅𝑓 E𝒄 𝐿𝑓 Φ 𝐾𝑠 𝐽𝐿 𝐽 ω 𝐵𝑎 Raも同じく発熱 する。駆動時で も同様だよね 𝐵𝐿 𝜃𝐿 𝑡 𝜔𝐿 𝑡 4. この発電電力は、抵抗器 Rbにより熱として消費さ れる 5. 発電中は、モータから電流 ib が流れ出し、この電流に よるブレーキトルクが発生 する

55.

5.電気ブレーキ 𝐿𝑎 if 𝑅𝑏 抵抗器 ib 𝑣𝑎 他励式DCモータ で電気ブレーキ 方式の等価電気 回路を示します 𝑅𝑎 ia 𝑣𝑓 𝑅𝑓 E𝒄 𝐿𝑓 Φ τ 55 𝐾𝑠 𝐽𝐿 𝐽 ω 𝐵𝑎 𝐵𝐿 𝜃𝐿 𝑡 𝜔𝐿 𝑡 Rb=0で、ブ レーキ最大ね? if 𝑅𝑏 ib 𝐿𝑎 𝜔𝐿 ω 𝑅𝑎 ia 𝐿𝑠 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 Raで熱に変換 𝑅𝑓 𝑣𝑎 𝑣𝑓 𝐿𝑓 E𝒄 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 モータ電気回路部分 𝜏 𝑈𝐿 𝐶𝐽 𝑅𝑜 𝐶𝐿 𝑅𝐿 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 モータ機械部分の電気回路analogy

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5.1 電気ブレーキの基礎式 𝑇 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 モータの基礎式 𝐸𝑐 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 ⋯ (1′ 𝑎) ′ ⋯ (2 𝑎) 𝑖𝑓 = 𝑣𝑎 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝜔= − 2 2 𝑇 ⋯ (4′ 𝑎) 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 他励式DCモータ のω‐τ特性 ⚫ 抵抗器Rbに回路を切替る ① Ecは(2’a)式となるから電流ibは 𝐸𝑐 = 𝑅𝑎 + 𝑅𝑏 𝑖𝑏 ⋯ (𝑎) 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 = 𝑅𝑎 + 𝑅𝑏 𝑖𝑏 ⋯ (𝑏) ② モータブレーキトルクは(1’a)式から 𝜏𝑙 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑏 ⋯ 𝑐 ③ (a), (b), (c)式から、ブレーキ トルクは次式となる 2 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜏𝑙 = − 𝜔⋯ 𝑑 𝑅𝑎 + 𝑅𝑏 56 𝑣𝑓 ⋯ (3) 𝑅𝑓 抵抗器Rbに回路を切替る(電気ブレーキ) ✓ 回転速度ωは急に変化できないため、モータは発電 機となり、逆起電力Ecを供給する ✓ そしてRb によりPowerを消費する(Ra も同様) ✓ モータは、電流 ibによるブレーキトルクを発生する

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5.1 電気ブレーキの基礎式 𝜔 傾き:− 𝑅𝑎 + 𝑅𝑏 𝐾𝑏 𝑖𝑓 1. 負荷トルクτl1のとき、抵抗器Rbに回路 が切り替わる(a) 𝑣𝑎 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝜔= − 𝑇 ⋯ (4′ 𝑎) 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾𝑏2 𝑣𝑓2 2 𝜔0 b ω‐τ 相面図 2. その時の回転速度はω1とする 3. すると、Rbに対応するω‐τ特性線のω1 でのトルクτl2に状態が移る (b) a 𝜔1 57 4. そして、Rbで電力を消費しながら回転 速度ωを下げていく (c) 𝜏 𝜏𝑙2 ib 2 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜏𝑙 = − 𝜔⋯ 𝑑 𝑅𝑎 + 𝑅𝑏 𝜔𝐿 ω 𝑈𝑐 𝑅𝑎 if 𝑅𝑏 𝜏𝑙1 c ia となる 𝐿𝑎 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 E𝒄 𝜏 𝐿𝑠 𝑅𝑓 𝑣𝑎 𝑣𝑓 𝐿𝑓 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 𝐶𝐽 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 𝑅𝑜 𝐶𝐿 𝑈𝐿 負荷トルク 𝜏𝑙3 5. また電流によるブレーキトルクは以下 𝑅𝐿 𝜏𝑙

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5.2 シミュレーション(回路) 他励式 DC-モータ+慣性負荷モデル 58 定格電機子電流:12.4 A 定格界磁電流:1.1 A 定格トルク:15.5 N m 表 1 定格回転数:1000 rpm 𝐾𝑏 = 1.136 𝐻 (104.7rad/s) 𝑣𝑎 = 170 𝑉 , 𝑅𝑎 = 3.1533 Ω 𝑣𝑓 = 210[𝑉], 𝑅𝑓 = 190.91 Ω 抵抗器Rb=30Ω シミュレーション 1. SWの切替はパルス電源 (V4)で行う 2. 始めの3秒間は、S1:ON。 モータが回転開始。定常速 度になる 切替SW 粘性抵抗BL:0.01Nm/(rad/s) 𝐾𝑏 𝑖𝑓 = 1.136 × 210 = 1.2496 190.91 170V ねじれ剛性Ks:20Nm/rad 𝑣𝑎 慣性質量JL:0.001kgm2 separately-dynamiv braking.asc 3. 3秒以降S2:ON。抵抗器Rb に切替り、発電機となった モータからの電流をRbで消 費する 0.5𝑠 2.5𝑠 SWでRbに切替

59.

5.2 シミュレーション(結果) 59 1. 0~3秒:モータ始動 SW切替 逆起電力 170V Brake-mode 𝑣𝑎 5.01 𝐴 電機子電流 iR Rb電流 0.5𝑠 電 機 子 電 流 2.5𝑠 0A ia 逆流電流 𝐵𝐿 = 0.01 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 𝐽𝐿 = 0.001 𝑘𝑔𝑚2 回転速度 ω 3. 回転速度ωは低下し、そ れに伴い逆起電力も減少 する 4. 電機子電流iaはモータか ら抵抗器Rb へ流れ出す 5. モータに流れる電流iaは 負のため、逆トルクを派 生してブレーキとなる emf 発電機 2. 3秒以降:外部抵抗Rb に回路が切り替わる 2 発 生 ト ル ク 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜏𝑙 = 𝜔 𝑅𝑎 + 𝑅𝑏 1.2496 2 133.2 3.1533 + 30 = 6.273 𝑁𝑚 𝜏𝑙 = 0A 逆トルク ブレーキ τ 発生トルク ブレーキトルクは 6.27 [Nm] −6.27 𝑁𝑚 粘性抵抗がすごく小 さいからか?

60.

5.3 ω‐τ相面表示 60 ω‐τ 相面図 𝑣𝑎 0.5𝑠 136.0 rad/s 回転速度[rad/s] b a 𝑣𝑎 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝜔= − 𝑇 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾𝑏2 𝑣𝑓2 傾き: −21.23 vaの立ち上 がり時間で も相面図は だいぶかわ るね ω‐τ特性線 𝑅𝑎 + 𝑅𝑏 𝐾𝑏 𝑖𝑓 − 抵抗器Rb=30Ω 𝐾𝑏 𝑣𝑓 2.5𝑠 慣性質量、粘 性抵抗が小さ いのでトルク も小さくなる のね 𝐽𝐿 = 0.001 𝑘𝑔𝑚2 𝑣𝑎𝑅𝑓 SWでRbに切替 − 𝐵𝐿 = 0.01 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 𝜔 170V 2 3.1533 + 30 = −21.23 1.2496 2 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 c 67.4 Nm 0 トルク [Nm] 𝜏

61.

5.4 パラメータの違いよるω‐τ相面 慣性質量や粘性抵抗が大きく なるとどうなるの 抵抗器の値が変わると どうなるか見たいな 𝑅𝑎 ia 𝐿𝑎 if 𝑅𝑏 抵抗器 ib 𝑣𝑎 𝑣𝑓 𝑅𝑓 E𝒄 𝐿𝑓 Φ τ 𝐾𝑠 𝐽𝐿 𝐽 ω 𝐵𝑎 𝐵𝐿 𝜃𝐿 𝑡 𝜔𝐿 𝑡 61

62.

5.4 パラメータの違いよるω‐τ相面 62 ω‐τ相面図 𝜔 170V 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 負荷線 𝑣𝑎 0.5𝑠 𝑣𝑎𝑅𝑓 2.5𝑠 SWでRbに切替 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 𝐾𝑏 𝑣𝑓 負荷線を入れました。a点 は粘性負荷とモータの発生 トルクが平衡した点ですね 𝐽𝐿 = 0.1 𝑘𝑔𝑚2 抵抗器Rb=30Ω 136.0 rad/s a 回転速度[rad/s] b 慣性負荷が10倍に なっているけど 粘性抵抗は 100倍! 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 c 0 67.4 Nm トルク [Nm] 𝜏 慣性負荷が小さい と運動エネルギ蓄 積も少ないの で・・

63.

5.4 パラメータの違いよるω‐τ相面 63 慣性質量JLをパラメータ 𝜔 170V 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 𝑣𝑎 0.5𝑠 𝑣𝑎𝑅𝑓 2.5𝑠 SWでRbに切替 慣性負荷を幾 つかか変化さ せたシミュ レーションを 行いました 抵抗器Rb=30Ω 負荷線 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 𝐾𝑏 𝑣𝑓 136.0 rad/s 粘性抵抗についても チェックしてみたら a 回転速度[rad/s] b 慣性負荷は変 わっても、 ω‐τ特性線に 沿って変化す るね 0.001 𝑘𝑔𝑚2 0.01 𝑘𝑔𝑚2 0.1 𝑘𝑔𝑚2 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 𝐽𝐿 = 0.3 𝑘𝑔𝑚2 c 0 67.4 Nm トルク [Nm] 𝜏 ω‐τ特性線 に達するま では違うけ どね

64.

5.4 パラメータの違いよるω‐τ相面 64 慣性質量JLをパラメータ 回転速度ω 𝐽𝐿 = 0.3 𝑘𝑔𝑚2 前のグラフ を時間軸で 描いてみま した 𝐽𝐿 = 0.3 𝑘𝑔𝑚2 0.01 𝑘𝑔𝑚2 0.001 𝑘𝑔𝑚2 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 0.1 𝑘𝑔𝑚2 慣性質量が 大きくなる と振動して るのがよく わかる 電機子電流 ia 170V 𝐽𝐿 = 0.3 𝑘𝑔𝑚2 発生トルク τ 𝑣𝑎 0.5𝑠 2.5𝑠 SWでRbに切替 ω‐τ 相面図だ けからは分か らないね

65.

5.4 パラメータの違いよるω‐τ相面 65 抵抗器Rbをパラメータ 𝜔 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 負荷線 回転速度[rad/s] 170V線 𝑣𝑎𝑅𝑓 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 𝐾𝑏 𝑣𝑓 136.0 rad/s b 170V 𝑣𝑎 a 0.5𝑠 30Ω 抵抗器を幾つ かか変化させ たシミュレー ションを行い ました 𝐽𝐿 = 0.1 𝑘𝑔𝑚2 抵抗値を小さく しても制動力は あまり大きくな いような? 2.5𝑠 100Ω 10Ω SWでRbに切替 5Ω 𝑅 + 𝑅𝑏 傾き: − 𝑎 𝐾𝑏 𝑖𝑓 2 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 c 0 67.4 Nm トルク [Nm] Raが3Ωある ね、そうする と発熱も大き いのかな? 𝜏 取上げた数値が妥当かの筆者 の感覚は怪しいです

66.

電気系と機械系の相互変換 𝐿𝑎 if 𝑅𝑏 ib 𝑣𝑎 𝑣𝑓 電気系と機械系の物 理量の相互変換には 注意が必要です 𝑅𝑎 ia 𝑅𝑓 E𝒄 𝐿𝑓 Φ τ 𝐾𝑠 𝐽𝐿 𝐽 ω 𝐵𝑎 𝐵𝐿 機械系 電気系 𝜃𝐿 𝑡 𝜔𝐿 𝑡 ✓ 等価電気回路モデルではすべての変 数が電圧と電流になります ✓ ただし、電気系と機械系の物理量を 相互変換するときには相互変換係数 が必要になります 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜏 𝒊𝒂 回路モデル では 電流 1Τ𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑇 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 ⋯ (1′ 𝑎) 電気系の電流を機械系のトルクに変換する 1Τ𝐾𝑏 𝑖𝑓 回路モデル では 電圧 𝜔 E𝒄 𝐾𝑏 𝑖𝑓 66 𝐸𝑐 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝜔 ⋯ (2′ 𝑎) 電気系の電圧を機械系の角速度に変換する

67.

6. 回生制動 回生制動 Regenerative Braking 67

68.

6. 回生制動(Regenerative Braking) 1. 回生ブレーキ(坂道model) 2. 回生制動(電圧制御model) この2つの回生ブレーキ についてやるぞ~ 68

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6.1 回生ブレーキ(坂道model) 回生ブレーキについて a b 登坂 電車で登りは 車輪のモータ には正トルク、 下は負トルク ということね c 下坂 坂道model c 𝜔2 𝜔 b 𝜔0 ω‐τ 特性 a 𝜔1 𝜏 𝜏𝑙2 𝜏𝑙1 負トルク 正トルク 他励式DCモータのω‐τ 特性 特に、 下り坂では速度が 上がり、発電しな がらのブレーキ動 作をシミュレート してみる 69

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6.2 回生制動の基礎式(坂道model) c 𝜔2 𝜏 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 ⋯ (1′𝑎) 𝜔 𝑣𝑎 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝜔= − 2 2 𝜏 ⋯ (4′ 𝑎) 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 b 𝜔0 表1 𝐾𝑏 = 1.136 𝐻 𝑣𝑎 = 170 𝑉 , 𝑅𝑎 = 3.1533 Ω 𝑣𝑓 = 210[𝑉], 𝑅𝑓 = 190.91 Ω a 𝜔1 𝜏 𝜏𝑙2 70 𝜏𝑙1 トルクτと回転速度ωの関係は (4’a)式から求まり、その時の 電流iaは(1’a)式から求まるね 理論値 (1’a), (4’a) 式より計算した値 (τを与えたとき) l1 l2 τ [Nm] ω [rad/s] ia [A] 𝜏𝑙1 5 125.9 4.001 𝜏𝑙2 -20 176.4 −16.005 𝜏0 0 136.0 0 ( 粘弾性抵抗: BL≃0 )

71.

6.2 回生制動の基礎式(坂道model) 71 粘性抵抗によるトルク変化Δτと、それによる回転速度変化Δωの 関係は(4’)式から求まります 𝜔 𝑣𝑎𝑅𝑓 𝑣𝑎 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝜔= − 2 2 𝜏 ⋯ (4′ 𝑎) 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 Δ𝜔 Δ𝜔 = − 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 0 Δ𝜏 ω‐τ 特性 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 ′ 2 2 Δ𝜏 ⋯ (5 𝑎) 𝐾𝑏 𝑣𝑓 今回のケースの数値を入れると 𝜏 Δ𝜔 = −2.0194Δ𝜏 Δτは粘性抵抗から簡単に計算できます。また 等価電気回路モデルでは電流iRLに相当します 粘性抵抗によるトルク 𝜏𝐵𝐿 = 𝐵𝐿 × 𝜔𝐿 𝑖𝑅𝐿

72.

72 DC-モータ+慣性負荷モデル 𝑈𝑐 𝑖𝑆 電気系 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑈𝑐 :逆起電力(emf) 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 :発生トルク 𝑖𝑆 :シャフトの捩じりトルク 𝑖𝑐 :慣性体回転トルク 𝑖𝑅𝐿 :粘性抵抗トルク 𝑖𝜏𝑙 :外部負荷トルク 𝑈𝑐 :モータ回転速度 𝑈𝐿 :慣性体回転速度 𝑖𝑐 𝑖𝑅𝐿 力ー電流analogyでの機械回路 力ー電流analogy 電圧 → 回転速度 電流 → トルク 𝑈𝑐 ⟺ 𝜔 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 ⟺ 𝜏 機械回路では [V]→[rad/s] [I]→[Nm] を意味します 𝑖𝜏𝑙

73.

6.3 シミュレーション(坂道model) 73 他励式 DC-モータ+慣性体+負荷トルクモデル 定格電機子電流:12.4 A 定格界磁電流:1.1 A 定格トルク:15.5 N m 定格回転数:1000 rpm (104.7rad/s) 170V 𝑣𝑎 表1 電源電圧の立ち上が りを0.5秒とした 0.5𝑠 回生ブレーキ 実験します separately-exited2025LoadKaisei-regene-v2.asc 負荷トルクパターン

74.

6.3シミュレーション(坂道model) c 𝐵𝐿 = 0.01 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 173.1 𝑟𝑎𝑑/𝑠 a ω 123.3 𝑟𝑎𝑑/𝑠 5.01 𝐴 回転速度 133.7 𝑟𝑎𝑑/𝑠 ia シミュレーション結果を 理論値と比較してみる 電 機 子 電 流 電機子電流 0A シミュレー ション値と ちょっとず れている ね? 発 生 ト ル ク これは粘性 抵抗による 損失トルク が原因です 1.27 𝐴 発電 逆流電流 −14.6 𝐴 ωL τ 発生トルク 5𝑁𝑚 0A 0 𝑁𝑚 逆トルク ブレーキ −20 𝑁𝑚 τL 外部負荷トルク 74 次にそのことを 確認します

75.

6.3シミュレーション(坂道model) 75 粘性抵抗の影響 c 123.3 𝑟𝑎𝑑/𝑠 173.1 𝑟𝑎𝑑/𝑠 a 133.7 𝑟𝑎𝑑/𝑠 ω 回転速度 1.5-3.0秒間について検算 発生トルク: 𝜏 = −18.28[𝑁𝑚] 外部負荷トルク: 電機子電流 ia 5.01 𝐴 電 機 子 電 流 𝜏𝑙 = −20[𝑁𝑚] 1.27 𝐴 −14.6 𝐴 その差: Δ𝜏 = 1.72[𝑁𝑚] 粘性抵抗によるトルク ωL τ 5 𝑁𝑚 外部負荷 トルク 発生トルク ブレーキ 0 𝑁𝑚 τL 18.28 𝑁𝑚 −20 𝑁𝑚 発 生 ト ル ク 発電に及ぼす影響 Δ𝜏 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 Δ𝑖𝑎 Δ𝜏 Δ𝑖𝑎 = 𝐾𝑏 𝑖𝑓 Δ𝑖𝑎 = 1.73Τ1.25 = 1.34 𝐴 14.6 + 1.34 = 15.94 ≅ 16.0 粘性抵抗によるトルク 1.72 Nm Δτ 1.23 Nm 1.34 𝑁𝑚 𝐵𝐿 = 0.01 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 1.5s 3.0s 理論値の電流値と同じ 理論値とのズレ は粘性抵抗によ る発生トルク

76.

機械回路で観察する 1.5秒まで ① 5Nmの負荷トルクが加わる ② 発生トルクは負荷トルクを上回る トルクを発生する ③ 両者の差分は、主に粘性トルク損 (iRL)によることがわかる 0A 𝐾𝑏 𝑖𝑓 𝑖𝑎 発生トルク 5 𝑁𝑚 0 𝑁𝑚 ブレーキ 𝑖𝜏𝑙 負荷トルク 機械系 −20 𝑁𝑚 1.5-3.0秒まで ① -20Nmの負荷トルクが加わる。これ は回転を加速する方向である。 ② このため、回転が高まり逆起電力 Ec が電源電圧(170V)を上回る。すな わち発電機となる。 ③ すると、電機子電流は負となり、 これまでの逆回転方向にトルクを 発生する。 ④ これが回生ブレーキである。 3.0秒以降 ① 外部負荷トルクが0となり、発生 トルクは粘性トルク損(iRL)と同じに なる 0A 発電機 E𝒄 𝑖𝑎 電気系 粘性トルク 𝑖𝑅𝐿 0A 𝑖c 機械系 1.5s 3.0s トルクを電流の流れ と見ると、どのよう にトルクが変化して いるかよくわかるね 各自シミュレータで簡単に確かめられます 76

77.

6.4 ω‐τ相面表示(坂道model) 77 ω‐τ相面図 𝜔 𝐵𝐿 = 0.01 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 𝐽𝐿 = 0.001 𝑘𝑔𝑚2 c 𝑣𝑎𝑅𝑓 170V 𝐾𝑏 𝑣𝑓 136.0 rad/s b a 𝑣𝑎 回転速度[rad/s] 0.5𝑠 170V線 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 0 67.4 Nm トルク [Nm] 𝜏 予想のω‐τ特性 とおりだね。 負荷パラメータ でだいぶ変化し そう。また電源 電圧の立上り時 間の影響はあり そう

78.

6.4 ω‐τ相面表示(坂道model) 78 ω‐τ相面図 𝜔 𝐵𝐿 = 0.01 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 𝐽𝐿 = 0.001 𝑘𝑔𝑚2 c 𝑣𝑎𝑅𝑓 170V 𝐾𝑏 𝑣𝑓 136.0 rad/s 回転速度[rad/s] b 𝑣𝑎 a これは 電源電圧の立ち 上がり時間をゼ ロとした結果。 170V線 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 0 67.4 Nm トルク [Nm] 𝜏 Laの影響が明ら か。過渡応答で はインダクタン スの影響がある な.. これはダメなやつかな

79.

7. 電圧制御modelについて 79 回生ブレーキ 電源電圧を 下げてみる 79

80.

7. 電圧制御modelについて 坂道modelは積極的に ブレーキをかけてない よね? 坂道model 受動的 ブレーキング 能動的 ブレーキング ペダルを踏むと動作 するブレーキじゃな いと困るな 80

81.

7.1 モータの回生制動(電圧制御model) 運転中にva を変えると どうなるなかな? 81 電圧制御model va を変えると動作線 𝜔 𝑣𝑎 𝐾1 が平行移動するね。 すると動作はどうな るかな? 𝑣𝑎 𝑅𝑎 𝜔= − 2 𝜏 ⋯ (4′ 𝑎) 𝐾1 𝐾1 𝑅𝑓 1 = 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾1 va動作線 𝐾1 𝑣 𝑅𝑎 𝑎 0 ω‐τ 特性 他励式DCモータ 𝑅𝑎 ia 𝜏 𝐿𝑎 if 𝑣𝑎 𝑣𝑓 𝑅𝑓 E𝒄 𝐿𝑓 Φ τ 𝐾𝑠 𝐽𝐿 𝐽 ω 𝐵𝑎 𝐵𝐿 𝜃𝐿 𝑡 𝜔𝐿 𝑡

82.

7.1 モータの回生制動(電圧制御model) 回生制動 𝜔 va線 𝑣𝑎 𝐾1 負荷線 𝜔𝑎 vb線 b まず、モータ回転 は負荷線とω‐τ線 との交点が平衡点 a点になるね a 𝑣𝑏 𝐾1 𝜏0 𝐾1 𝑣 𝑅𝑎 𝑎 𝐾1 𝑣 𝑅𝑎 𝑏 c 𝜏 電圧va→vbなら、フ ライホイールの速度 は急に変化しないか ら、a点→b点かな 0 𝑅𝑎 ia 𝐿𝑎 if 𝑣𝑎 𝑅𝑓 𝑣𝑓 𝐿𝑓 フライホイール E𝒄 Φ τ 𝐾𝑠 𝐽𝐿 𝐽 ω 𝐵𝑎 𝐵𝐿 𝜃𝐿 𝑡 𝜔𝐿 𝑡 その後は、新たな 平衡点cに向けて 変化するかな.. 82

83.

7.2 回生制動の基礎式 (電圧制御model) 粘性抵抗負荷がある場合の平衡点 を求めてみます 𝜔 回生制動 負荷線 𝑣𝑎𝑅𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 va動作線 ωーτ特性から、負荷直線との 交点、すなわち平衡点を計算 してみる 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 a 𝑣𝑎 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝜔= − 𝜏 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾𝑏2 𝑣𝑓2 𝜔𝑎 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 0 83 𝜏𝑙 𝜏 𝑣𝑎 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝜔= − 2 2 𝜏 ⋯ (4′ 𝑎) 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 この2直線の 交点を計算 すると、 𝜔𝑎 = 𝑅𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣𝑎 𝐾𝑏2 𝑣𝑓2 + 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝐵𝐿 ⋯ (𝑎) 𝜏𝑙 = 𝐵𝐿 𝜔𝑎 ⋯ (𝑏) 次に、電圧vaからvbに 変わった場合計算して みよう

84.

7.2 回生制動の基礎式 (電圧制御model) 電源電圧vbとした特性曲線を描いてみる 𝜔 回生制動 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 vb動作線 𝜔𝑎 𝜔𝑐 0 2. そしてvb 動作での回転速度ωaでのトルクは a 𝑣𝑏 𝐾1 𝜏0 𝜏0 = c 𝐾1 𝑣 𝑅𝑎 𝑎 𝐾1 𝑣 𝑅𝑎 𝑏 𝜏𝑐 𝜏𝑙 va動作線 𝑣𝑎 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝜔= − 2 2 𝑇 ⋯ (4′ 𝑎) 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝜔𝑎 = 1. b点のトルクτ0を求めてみます 𝑣𝑏 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 vb 動作線: 𝜔 = 𝐾 𝑣 − 2 2 𝜏 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑏 𝑓 負荷線 𝑣𝑎 𝐾1 b 84 𝑅𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣𝑎 𝐾𝑏2 𝑣𝑓2 + 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝐵𝐿 ⋯ (𝑎) 𝜏 𝐾𝑏2 𝑣𝑓2 𝑣𝑏 𝑅 𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝐾𝑏 𝑣𝑓 − 𝜔𝑎 ⋯ (𝑐) 3. 次に、 vb動作での平衡点c点の座標は、 𝜔𝑐 = 𝑅𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣𝑏 𝐾𝑏2 𝑣𝑓2 + 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝐵𝐿 𝜏𝑐 = 𝐵𝐿 𝜔𝑐 次はこれらを まとめた結果 を示します (a)式から

85.

7.2 回生制動の基礎式 (電圧制御model) 電源電圧va →vbとした時の遷移 回生制動 𝜔 𝑅𝑓 1 = 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾1 𝑣𝑎 𝐾1 ① 一定回転になった状態aから電源電圧を 変化(Va→Vb)させます 負荷線 ② すると、動作特性はVb動作線(点線)と なります 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 𝜔𝑎 c 𝜏0 𝜏 va動作線 vb動作線 𝑅𝑓 𝐿𝑓 𝐿𝑎 E𝒄 Φ ④ これは、回生制動領域となり、負荷トル クτ0が発生して、同時に発電することに なります ⑤ そして、徐々に回転速度ωが下がり、 状 態が“bからc”へ動作線上を移動してcで 一定回転になり定常動作となります 𝜔𝑎 = 𝑅𝑎 if 𝑣𝑓 𝐾1 𝑣 𝑅𝑎 𝑎 𝜏𝑙 0 𝑣𝑎 ③ しかし、慣性があるため回転速度ωは急 に変化できないので状態は“aからb”に 移ります(理想状況で) a b ia 85 τ 𝐵𝐿 ⋯ (𝑎) 𝜏𝑙 = 𝐵𝐿 𝜔𝑎 ⋯ (𝑏) 𝐽𝐿 𝐵𝑎 𝐾𝑏2 𝑣𝑓2 + 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝐵𝐿 𝐾𝑠 𝐽 ω 𝑅𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣𝑎 𝜃𝐿 𝑡 𝜔𝐿 𝑡 𝜏0 = 𝐾𝑏2 𝑣𝑓2 𝑣𝑏 𝑅 𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝐾𝑏 𝑣𝑓 − 𝜔𝑎 ⋯ (𝑐)

86.

7.3 シミュレーション(電圧制御model) 他励式 DC-モータ+慣性体+負荷トルクモデル 86 回生ブレーキ (電圧低下方法) 電圧低下:170V→50V 170V 50V 𝑣𝑎 1𝑚𝑠 𝑣𝑏 20𝑚𝑠 電源の立上り/切替 時間は恣意的です 今回使わず Voltage-LoadKaisei-regene.asc 電圧制御による 回生ブレーキ実 験します

87.

7.3 シミュレーション(電圧制御model) 87 理論値 ia 170V 電 機 子 電 流 50V 141.4 𝑉 𝑣𝑎 20𝑚𝑠 1𝑚𝑠 8.96 𝐴 𝑣𝑏 電機子電流 逆起電力 発電 a 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 𝐽𝐿 = 0.1 𝑘𝑔𝑚 発 生 ト ル ク 2 ω τ 11.3 Nm 発生トルク 3.33 Nm 回転速度 33.29 𝑟𝑎𝑑/𝑠 0 逆トルク ブレーキ c 𝑎 11.32 113.2 𝑐 3.329 33.29 𝜏0 -36.24 -- a,c点では理 論値と同じ。 ただ、τ0は 違うね 41.6 𝑉 𝑬𝒄 113.2 𝑟𝑎𝑑/𝑠 ω [rad/s] 20ms:Va→Vb 2.95 𝐴 0 逆流電流 τ [Nm] さすがにフラ イホイールも 粘性抵抗で減 衰するよね あと電源の遷移 時間も短いね 電源の立上り/遷移時間は 恣意的です

88.

7.3 シミュレーション(電圧制御model) 𝜔 𝑣𝑎 負荷線 170V線 𝑣𝑎𝑅𝑓 3. 図のような曲線を経て動作 特性はVb特性線へ移る(粘性 抵抗と遷移時間などにより理想 から外れる) 170V 50V a b 回転速度[rad/s] 2. 状態aで(Va→Vb)すると 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 136.0 rad/s 𝑣𝑎 4. これは慣性があるため回転 速度ωは急に変化できない ためで、回生制動領域とな り負トルクが発生して、同 時に発電することになる 𝑣𝑏 20𝑚𝑠 1𝑚𝑠 40.0 rad/s 1. 原点から負荷線との交点a へ移行 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 𝐽𝐿 = 0.1 𝑘𝑔𝑚2 𝐾𝑠 = 20 𝑁𝑚/𝑟𝑎𝑑 𝐾𝑏 𝑣𝑓 5. そして、徐々に回転速度が 下がり、 状態cへ特性線上 を移動して定常動作となる c 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 0 88 19.8 Nm 67.4 Nm 50V線 トルク [Nm] 𝑣𝑏 𝜏 ω‐τ相面図 また電機子電流 はインダクタン スLaのため急激 な変化はできた いため左図のよ うな軌跡となる

89.

7.5パラメータの違いによるω‐τ相面 89 ω‐τ相面図 𝜔 負荷線 170V線 𝑣𝑎𝑅𝑓 𝐽𝐿 = 0.1 𝑘𝑔𝑚2 100ms:Va→Vb 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 𝐾𝑏 𝑣𝑓 50V線 電圧変化時間を変える 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 Va→Vb遷移 時間を長く してみる 170V 136.0 rad/s 50V a b 𝑣𝑎 100𝑚𝑠 回転速度[rad/s] 1𝑚𝑠 𝑣𝑏 40.0 rad/s a→bは変わっ たね。立上り はLaの影響だ ね。インダク タンスで電流 が遅れる c 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 0 19.8 Nm トルク [Nm] 67.4 Nm 𝜏 次では遷移 時間をもっ と長くして みる

90.

7.5 パラメータの違いによるω‐τ相面 90 ω‐τ相面図 電圧変化時間を変える 𝜔 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 負荷線 170V線 𝑣𝑎𝑅𝑓 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 𝐾𝑏 𝑣𝑓 50V線 136.0 rad/s a 回転速度[rad/s] b 立上り時間を変える 170V 𝑣𝑎 0.5𝑠 40.0 rad/s 0.5s:Va→Vb 𝐽𝐿 = 0.1 𝑘𝑔𝑚2 0.5s:0→ Va 50V 𝑣𝑏 電圧変化を ゆっくりにし たら、だいぶ 違った形に なった 0.5𝑠 a点からのvb c 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 0 19.8 Nm トルク [Nm] Voltage-LoadKaisei-regene-v2.asc 67.4 Nm 𝜏 動作線への移 行も緩やかに なった 外部負荷などによって変わる。 適切な値は状況による?

91.

7.5 パラメータの違いによるω‐τ相面 91 ω‐τ相面図 電圧変化時間を変える 𝜔 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 負荷線 170V線 𝑣𝑎𝑅𝑓 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 𝐾𝑏 𝑣𝑓 50V線 136.0 rad/s a b Δt:Va→Vb 𝐽𝐿 = 0.1 𝑘𝑔𝑚2 電圧遷移時間 によってすご く変わるね。 粘性抵抗の影 響ね 170V 50V 𝑣𝑎 0.5𝑠 𝑣𝑏 𝛥𝑡 回転速度[rad/s] 0.1s 遷移時間が長 0.5s 1.0s 引くにつれ、 2.0s 40.0 rad/s 負荷線の傾き c に沿った移動 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 0 19.8 Nm トルク [Nm] 67.4 Nm 𝜏 をするね ω‐τ相面表示は 特性がわかり易 いわ

92.

7.5パラメータの違いによるω‐τ相面 92 ω‐τ相面図 𝜔 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 慣性質量JLをパラメータ 負荷線 170V線 𝑣𝑎𝑅𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 回転速度[rad/s] 136.0 rad/s 170V 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 𝑣𝑎 a 0.5𝑠 50V JLが大きい ほど図形が 大きくなる ね。τ0も大 きくなる 𝑣𝑏 0.5𝑠 0.001 𝑘𝑔𝑚2 0.01 𝑘𝑔𝑚2 0.1 𝑘𝑔𝑚2 40.0 rad/s 𝐽𝐿 = 0.3 𝑘𝑔𝑚2 0 19.8 Nm トルク [Nm] 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 67.4 Nm 50V線 𝜏 フライホール がでかくなれ ば、粘性抵抗 に負けなくな るんだね

93.

7.5パラメータの違いによるω‐τ相面 93 ω‐τ相面図 𝜔 𝐽𝐿 = 0.1 𝑘𝑔𝑚2 170V線 170V 𝑣𝑎𝑅𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓 136.0 rad/s 𝑣𝑎 0.5𝑠 回転速度[rad/s] 粘性抵抗BLをパラメータ それぞれの BLでの負 荷線がある ので描いて ないね 50V 𝑣𝑏 0.5𝑠 0.001 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 0.005 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 0.01 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 40.0 rad/s 0.333 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 0 19.8 Nm 67.4 Nm 50V線 トルク [Nm] 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 𝜏 BL=0.333で は負トルク領 域に入らない ね。粘性抵抗 でだいぶ変わ るね

94.

7.5パラメータの違いによるω‐τ相面 94 慣性質量JLをパラメータ 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 𝐽𝐿 = 0.3 𝑘𝑔𝑚2 0.01 𝑘𝑔𝑚2 回転速度ω 0.1 𝑘𝑔𝑚2 0.001 𝑘𝑔𝑚2 170V 𝐽𝐿 = 0.3 𝑘𝑔𝑚2 0.1 𝑘𝑔𝑚2 𝑣𝑎 0.5𝑠 50V 𝑣𝑏 前のグラフ を時間軸で 描いてみま した 慣性質量が 大きくなる と変化に時 間がかかる 0.5𝑠 電機子電流 ia ω‐τ 相面図だ けからは分か らないね 𝐽𝐿 = 0.3 𝑘𝑔𝑚2 0.1 𝑘𝑔𝑚2 発生トルク τ

95.

7.6 低下電圧の違いによるω‐τ相面 95 ω‐τ相面図 電圧変化を変える 𝜔 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 負荷線 170V線 𝑣𝑎𝑅𝑓 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 𝐾𝑏 𝑣𝑓 136.0 rad/s 回転速度[rad/s] これは電気ブ レーキで Rb=0にした ことと同じ? 170V 𝑣𝑏 𝑣𝑎 a b Va→Vb :170V→0V 𝐽𝐿 = 0.1 𝑘𝑔𝑚2 0V 0.5𝑠 0.5𝑠 0V線 回路的にはそう だね。また (4’a)でy切片が 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 c 0 19.8 Nm トルク [Nm] 67.4 Nm 0の場合だね 𝜏 𝑣𝑎 𝑅𝑓 𝑅𝑎 𝑅𝑓2 𝜔= − 2 2 𝑇 ⋯ (4′ 𝑎) 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝐾𝑏 𝑣𝑓

96.

7.6 低下電圧の違いによるω‐τ相面 96 ω‐τ相面図 電圧変化を変える 𝜔 𝐵𝐿 = 0.1 𝑁𝑚Τ 𝑟𝑎𝑑 Τ𝑠 負荷線 170V線 𝑣𝑎𝑅𝑓 136.0 rad/s 回転速度[rad/s] 170V 𝜏 = 𝐵𝐿 𝜔 𝐾𝑏 𝑣𝑓 Va→Vb :170V→-50V 𝐽𝐿 = 0.1 𝑘𝑔𝑚2 𝑣𝑏 𝑣𝑎 a -50V 0.5𝑠 これはモータ を逆回転させ ること? 0.5𝑠 確かに。逆転ト ルクも大きく -50V線 なって実際に逆 40.0 rad/s 𝐾𝑏 𝑣𝑓 𝑣 𝑅𝑎 𝑅𝑓 𝑎 0 -19.8 Nm c 19.8 Nm -40.0 rad/s 67.4 Nm トルク [Nm] 𝜏 回転しだした!

97.

回生制動(電圧制御model) 発電した電力はどこ に行くのかな? 何か仮定をしてない。 このモデルでは発電した電 流を理想的に吸い込む理想 電源を仮定しているね。 実際に作るとなるとそれな やはり、そんなにうま りの仕掛けが必要かも くいくはずはないか。 エネルギー回収のため の電力システムが必要 例えば電車などでは送電 なのかな する場合、給電圧より少 し高い電圧にする必要が ある。そのための変換装 モータの制御で は電力制御回路 が重要です 置が必要だね 97

98.

つづく 98 ⚫ 今回は他励磁式のみの解説ですが、励磁・電機子巻線の相互インダクタンスの話や、新 たに用いたωーτ相面での表示など、分量的には多くなってしまいました。 ⚫ また他励磁式のため界磁一定としました。ただし界磁制御などの手法もあり今後時間が あれば言及してみたいと思っています。 ⚫ そして、モータの制御では電力制御回路が重要なことがよくわかりました。いつか時間 があれば制御回路までを含む電気回路シミュレータをつくるのも面白いと思いました。 ⚫ 今回シミュレーションをいろいろ行えたのは、表1のパラメータを示した文献のおかげ です。適当なパラメータ?を示してシミュレーションを行う文献はいくつか見つけまし たが、実際のモータとの紐づけに疑問を感じていました。 ⚫ また本編での利用について、例えば電源電圧の立上り時間、負荷パラメータの適当な値 などかなり恣意的なパラメータを私自身使っています。その点、忸怩たる思いです。た だし、LTspice ProgramをGitHubに置いておきましたので各人の利用環境でのパラ メータを設定して、動作挙動など確認いただければ幸いです。 ⚫ 次回は、分巻、直巻を解説予定です。事前のシミュレーションを行たところ、分巻、直 巻きでは暴走状態などの現象もあり、なかなか面白そうです。 ⚫ アナロジーは形式的なもので、物理的意味はない、という意見もあります。どうなので しょうか、私も知りたいところです。

99.

参考文献 99 中田孝:工学解析(技術者のための数学手法),オーム社,1972、総頁572.

100.

参考文献 100 ⚫ Arévalo, E.; Herrera Hernández, R.; Katselis, D.; Reusser, C.; Carvajal, R. On Modelling and State Estimation of DC Motors. Actuators 2025, 14, 160. https://doi.org/10.3390/act14040160 ⚫ Lenze. DC Motors Catallogue. Available online: https://www.tecnicaindustriale.it/lenze_catalogues/CAT_DC_motors_en.pdf 教科書的に大変参考にさせてもらった(Google scholarでFree-DLできた) ⚫ A. E. Fitzgerald,et,al, Electric Machinery, Sixth Edition, MacGraw Hill, 2003 今回利用したLTspice schematicファイル(.asc) は下記に置きました https://github.com/m4881shimojo/DCmotor Github (DCmotor)をZIPファイルとしてdownloadするのをお勧めします。 GitHubリポジトリ全体をダウンロードする場合は、 緑の 「Code」→「Download ZIP」 を選び、 展開すれば正しい形式の.ascファイルが含まれています。

101.

補足:中田孝氏について 101 中田 孝(1908- 2000):日本の機械工学者。東京工業大学名誉教授。 元日本機械学会会長。元計測自動制御学会会長。元日本学士院会員。日本 学士院賞受賞。 https://ja.wikipedia.org/wiki/中田孝 中田孝先生は、大学院時代に私が所属した研究室の前教授でした。著書「転位歯車」は 修論では大変お世話になりました。しかし、いろいろな逸話などは聞くことはありまし たが、中田先生にはお会いしたことは残念ながらありませんでした。先日、同期で研究 室を引き継いだ北條さん(東工大名誉教授)に会った時、その話をしたところ、中田先 生の講義ビデオを送って頂き、初めてその肉声に触れることができました。感謝します。 そのビデオを見ながら、中田先生は、歯車の研究で日本学士院賞を45歳で受賞したのを はじめ、自動制御、NC工作機などの分野も手掛けた非常にエンジニアリングセンスの高 い方であり、また数学や電気電子工学に対する造詣も大変深い方だと認識を新たにしま した。またビデオの中で“歯型理論にはあまり手を付けたくなかったが電気回路理論の 応用に興味を持っていたので研究を進めた”とのあたりは、非常に親近感を感じました。 中田孝先生の紹介記事です【日本の工作機械を築いた人々】 大河出版「応用機械工学」1988年4~5月号掲載、 https://www.sme-japan.org/library5.pdf 中田先生のNC工作機械を開発したのときの開発談が語られています。大変面白い内容ですのでお勧めです。

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補足(私の卒論・修論) 102 【卒研】私は卒業研究では電通大の梶谷誠先生の研究室で歯車を加工するホブ盤の制御回路を作成しました。但し、装置は東 工大石川研にありました。開発する制御回路は、ホブ盤主軸の回転角度を計測して、切削工具を駆動する電気油圧パルスモー タを制御するものです。この電気油圧パルスモータは、電気パルスモータの出力をプランジャー形油圧モータでトルク増幅す るという仕組みでした。初めてホブ盤を見たときの印象は巨大な鉄の塊で、制御ミスでパワフルな油圧モータなどを暴走させ たらどうなるかと、恐れを抱いたものです。 試作した回路は、単純な論理素子(TTL)を組合わせた回路です。当時は論理素子の黎明期で、詳しい書籍など無い時に初 歩の初歩から学び始め、TI社の分厚いハンドブックで論理素子の細かな仕様をチェックしながら、連日連夜、回路を試作して はオシロスコープなどを使い動作を確認して、回路を設計していました。本当に充実した楽しい時間でした。ご指導頂いた梶 谷先生には心から感謝しています。 しかし、実機実験では散々で、必死で改良を重ね何とか動作させました。やっと加工できた歯車を見たときの感激は今も忘 れません。しかし、歯すじ誤差に問題がありました。その原因は切削加工力の増加に伴うモータ回転遅れです。これは電気油 圧パルスモータの最大の長所でもある、開ループ制御の限界だったのでしょう。(後に中田先生が電気油圧パルスモータの開 発にも深く関与していたと知りました。奇妙な縁を感じます) 【就職】卒業後はX社に就職しました。理由はX社の子会社であるF社でのロボット開発に関心があったためです。当時F社へ はX社に就職する必要がありました。そして、入社時実習は希望先のF社でした。ところが、本配属では全く違うX社部署だっ たため、すぐに退職して東工大院の石川研(中田研の後継研究室)へ進学することにしました。人生にifはつきものですが、F 社に入っていたら全く違う人生を送ったようにも思います。 【修論】修論では習得した論理回路の設計技術を用いて、自動歯車精度測定機の開発に係り、歯形計算回路と測定機の制御回 路の開発を行いました。また修士2年の中頃、当時の先進機器であるミニコン(HP-21MX)が納入されたので、データ処理 (Fourier解析など)に利用することにしました。それからは、ミニコンと歯車測定機とのinterface回路設計から始めて、各 種プログラム作りと正月もない日々でした。またなんと、ミニコンは紙テープベースの開発システムで、コンパイラもライブ ラリもリンカも、全て毎回毎回、そのsoftwareを紙テープから読込ませる必要があり、コンパイル結果なども紙テープで TTY(110 baud rates)出力という、本当に気が狂うようなシステムでした(これと比べるとDOSは凄い)。実は、修論にはミ ニコンを利用する必要は全くなかったのですが、好奇心から無理にお願いして利用したのが真実です。これらの成果は機械学 会誌に論文として掲載できました。そして修了後は、国の研究機関に就職することに致しました。 大学時代に、昼夜を忘れて一心不乱に学んだ論理回路設計、計算機の経験は私の一つの財産になったように思います。 (DOS: Disk Operating System)

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