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June 07, 26
スライド概要
機械系メカトロニクス講義の続きとして、新たに機械回路をはじめます。今回は熱解析です。機械・電子回路・制御システムは必ず熱を発生し、その温度管理が性能・寿命・安全性を決定するため、熱設計はメカトロニクス設計の重要な要素です。
今回この熱設計を回路シミュレータを用いて解析を行います。part1では、熱の伝導、対流、放射への熱抵抗の導入と、集中定数系で熱容量を取り扱うための方法について解説します。
電気回路アナロジーの復習
熱回路における
流通量と位差量
対応する変数と素子
1.伝熱の3つの基本メカニズム
1.1 熱伝導(conduction)
1.2 対流(convention)
1.3 熱放射(radiation)
1.4 熱の伝わり方(まとめ)
2.熱抵抗による回路アナロジー
2.1 熱抵抗(熱伝導のとき)
2.2 熱抵抗(対流伝導のとき)
2.3 熱抵抗(放射伝導のとき)
2.4 熱抵抗例題
① 工業用炉の熱損失
② ガラス窓からの熱損失
③ 複層ガラス窓からの熱損失
④ 2つの複合壁モデル(等温or断熱)
⑤ シリコンチップの放熱
3.熱伝導の方程式
3.1 一次元熱伝導方程式(平板)
・熱流量と熱抵抗
3.2 一次元熱伝導方程式(円筒)
・熱流量と熱抵抗
3.3 一次元熱伝導方程式(球)
・熱流量と熱抵抗
3.4 一次元熱伝導方程式(まとめ)
4. 熱抵抗による回路アナロジー(円筒、球)
① 配管を通る蒸気からの熱損失
② 球形容器からの熱損失
③ 断熱された蒸気配管を通る熱損失
④ 冷却タンクの熱伝導と放射
5. 集中定数系解析(熱容量)
5.1 Biot number(無次元数)
5.2 熱容量の集中定数系解析
5.3 熱容量の集中定数系解析(例題)
5.4 熱容量の集中定数系解析(LTspice)
6. 熱容量の RC等価回路
6.1 Cauer型 RC等価回路
6.2 三層平板モデル:RC等価回路
① LTspiceモデル
② Pythonモデル
6.2 九層平板モデル:RC等価回路
① LTspiceモデル
6.3三層球モデル:RC等価回路
① LTspiceモデル
② Pythonモデル
つづく
補足:中田孝氏について、私の卒論修論
参考文献
これまでに主に,ロボティクス・メカトロニクス研究,特にロボットハンドと触覚センシングの研究を行ってきました。現在は、機械系の学部生向けのメカトロニクス講義資料、そしてロボティクス研究者向けの触覚技術のサーベイ資料の作成などをしております。最近自作センサの解説を動画で始めました。https://researchmap.jp/read0072509 電気通信大学 名誉教授
2026.6.7 機械回路の記号解析 その9 --- 熱伝導回路 part1 --機械系のためのメカトロニクス 下 条 電気通信大学名誉教授 Cauer型 RC等価回路 二重窓ガラス 誠 壁三層モデル 球三層モデル 九層モデルもあり The University of Electro-Communications Department of Mechanical Engineering and Intelligent System
内 電気回路アナロジーの復習 I. 熱回路における a. 流通量と位差量 b. 対応する変数と素子 1.伝熱の3つの基本メカニズム 1.1 熱伝導(conduction) 1.2 対流(convention) 1.3 熱放射(radiation) 1.4 熱の伝わり方(まとめ) 2.熱抵抗による回路アナロジー 2.1 熱抵抗(熱伝導のとき) 2.2 熱抵抗(対流伝導のとき) 2.3 熱抵抗(放射伝導のとき) 2.4 熱抵抗例題 ① 工業用炉の熱損失 ② ガラス窓からの熱損失 ③ 複層ガラス窓からの熱損失 ④ 2つの複合壁モデル(等温or断熱) ⑤ シリコンチップの放熱 3.熱伝導の方程式 3.1 一次元熱伝導方程式(平板) ・熱流量と熱抵抗 3.2 一次元熱伝導方程式(円筒) ・熱流量と熱抵抗 3.3 一次元熱伝導方程式(球) ・熱流量と熱抵抗 3.4 一次元熱伝導方程式(まとめ) 容 4. 熱抵抗による回路アナロジー(円筒、球) ① 配管を通る蒸気からの熱損失 ② 球形容器からの熱損失 ③ 断熱された蒸気配管を通る熱損失 ④ 冷却タンクの熱伝導と放射 5. 集中定数系解析(熱容量) 5.1 Biot number(無次元数) 5.2 熱容量の集中定数系解析 5.3 熱容量の集中定数系解析(例題) 5.4 熱容量の集中定数系解析(LTspice) 6. 熱容量の RC等価回路 6.1 Cauer型 RC等価回路 6.2 三層平板モデル:RC等価回路 ① LTspiceモデル ② Pythonモデル 6.2 九層平板モデル:RC等価回路 ① LTspiceモデル 6.3三層球モデル:RC等価回路 ① LTspiceモデル ② Pythonモデル つづく 補足:中田孝氏について、私の卒論修論 参考文献 2
はじめに 3 機械の振動系と電気回路が同じように取り扱えると、知ったのは中田孝氏の書籍「工 学解析」でした。同書は、Lagrange運動方程式、Fourie解析、変分法、テンソル解 析など物理学者の数学的道具を機械工学を学ぶ学生に分かり易く解説したものです。 その中に機械回路の記号解析がありました。これがアナロジーというものに関心を 持った始めでした。 機械系と電気系のアナロジーについて学ぶに従い、「物理量の捉え方」の一つとして 流通量と位差量があること、これにより機械と電気系の物理変数の対応関係ができる こと、さらに流体系、熱回路、音響工学など広い分野の物理現象の解析にアナロジー の考え方が使えることに興味を覚えたものです。また双対性の概念は、各種物理現象 への新たな視点を得るきっかけとなりました。 さて、機械系メカトロニクス講義の続きとして、新たに機械回路をはじめます。今回 は熱解析です。機械・電子回路・制御システムは必ず熱を発生し、その温度管理が性 能・寿命・安全性を決定するため、熱設計はメカトロニクス設計の重要な要素です。 今回この熱設計を回路シミュレータを用いて解析を行います。part1では、熱の伝導、 対流、放射への熱抵抗の導入と、集中定数系で熱容量を取り扱うための方法について 解説します。 参考文献 https://github.com/m4881shimojo/heat 中田孝:工学解析(技術者のための数学手法),オーム社,1972. https://github.com/m4881shimojo/TTanaka_Eng/
解 題 4 ⚫ 今回は熱解析です。コンピュータ、電子機器、モータなど各種メカトロ機器は熱の問題を 抱えています。機器の破壊は熱によるものがほとんどでしょう。特に近年は、小型化、高 出力化、高密度実装が進んでおり、熱設計がその機器の性能を決めると言っても過言では ないと思います。 ⚫ 昔、ロボットハンドで高速動作をさせるため、駆動電流をギリギリまで流して実験をして いました。もちろんモータは高温、限界は手で触って一寸でも触れられればOK、時間制限 動作ですね。電流制限を解除したモータは本当に凄い高性能です。これは熱が性能上限を 決めている一例です。 ⚫ さて、回路アナロジーは集中定数系ですので、容量は空間を分割して扱う必要があるため 面倒です。したがって、熱抵抗を用いた定常状態の簡易解析・アタリ付けとして導入する のが効果的であり、過渡応答については3D CAEと棲み分けるのが一般的でしょう。 ⚫ ただし、最近ツールを使ってRC等価回路に変換し、回路シミュレータで電気・制御と連成 させて高速に過渡解析を行うという形へ進化してる例もあるようです。 ⚫ そのため今回熱解析をpart1, part2に分けて解説することにしました。少々付け焼刃の解 説ですがご容赦ください。 本編でのLTspice, pythonはここからDLできます https://github.com/m4881shimojo/heat
復習 電気回路アナロジーの復習 5 1. 機械振動系と電気回路のアナロジーとは何か、 2. なぜ機械振動系と電気回路の間にはアナロジーが成り立つのか、 3. 流通量と位差量という物理量の観点から説明します 4. そして、力ー電流、力ー電圧のアナロジーを電気回路の双対性から説明します 5. また、電気・機械系の物理変数の対応関係を説明し、対称性と保存則との関係をみます 6. 機械系、電気回路、流体系、熱回路などへの展開について簡単に示します I. 熱回路における a. 流通量と位差量 b. 対応する変数と素子 についての復習です 機械回路の記号解析 その1「電気回路アナロジーによる解析手法」 https://www.docswell.com/s/m_shimojo/57REQ7-2024-11-05-140854 機械回路の 記号解析 その1 参照ください
復習 a. 流通量と位差量 6 量 内 容 例 流通量 要素を通過する量 電流,流量,熱流量,力など 要素に加わる差の量 電圧,圧力,温度,速度など Through quantity 位差量 Across quantity 流通量と位差量は、電気回路、機械系、熱回路、流体などであります 電気 機械 直進系 回転系 流通量 電流 i[A] 力 f[N] トルク τ[N・m] 位差量 電圧 e[V] 速度 v[m/s] 角速度 ω[rad/s] 熱 流体 熱流量 流量 q[m3/s] q[J/s]or[W] 温度 θ[K] or[℃] 圧力 p[Pa]
復習 b. 熱回路で対応する変数と素子 7 この熱ー電気回路アナロジーで用いる、対応する変数と受動素子を示します 熱系 変数 熱流量 q [J/s] or [W] 電流 I [A] 温度 T [K] or[℃] 電圧 V [V] 熱容量 定数 電気系 熱抵抗 Cth [𝐽Τ𝐾] Rth [K/W]or[℃/W] ------- キャパシタンス C [F] 電気抵抗 R [Ω] インダクタンス L [H] 注釈: ⚫ 温度は、絶対温度 [K](ケルビン)セルシウス温度 [℃]が あります。使い分けのポイントは「温度の変化(差)を 見たいのか」それとも「エネルギーの絶対量として扱い たいのか」にあります。 𝑇 𝐾 = 𝑡 ℃ + 273.15 ⚫ ワット[W]、ジュール[J]、カロリ[cal]の単位系の換算 1 𝐽 = 1 𝑁 ∙ 𝑚 = 1 𝑊 ∙ 𝑠 ≒ 0.2389 𝑐𝑎𝑙 [W]=[J/s]=[V・A] 1 𝑘𝑐𝑎𝑙 = 4184 𝐽 = 1.160 𝑊ℎ
伝熱の3つの基本メカニズム 8
1.熱の伝わり方 9 熱エネルギーの移動には次の3つの現象があります 流れによる wall 対流熱伝達 ① 熱伝導(conduction) ② 対流(convention) 輻射による 熱放射 ③ 熱放射(radiation) 壁を伝わる 熱伝導
1.1 熱伝導(conduction) 1. 熱伝導(conduction) 10 物質内の、粒子間の相互作用によってエネルギー が伝達される現象です wall 𝑇 ⚫ 熱伝導による伝熱 𝐴 𝑞𝑥′′ = 𝑘 𝑇1 𝑞𝑥 𝑞𝑥 𝑇 𝑥 𝑇2 𝑇1 − 𝑇2 ∆𝑇 =k 𝑊 Τ𝑚 2 𝐿 𝐿 𝑞𝑥 = 𝑞𝑥′′ ∙ 𝐴 = 𝑘𝐴 ∆𝑇 𝑊 𝐿 熱流束 heat flux 熱流量 𝑘 ∶ 熱伝導率 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 𝑇 ∶ 温度 𝐾 𝐴: 面積 𝑚2 𝐿 支配法則: フーリエの法則 𝑞𝑥′′ 𝑊 Τ𝑚2 𝑞𝑥 𝑊 熱流束 heat flux 熱流量 表記の約束:「 ‘’ 」は単位面積当たり表現します
1.2 対流(convention) 2. 対流(convention) 11 固体表面とその隣接する流体との間で、流体の運動 を伴いながら行われるエネルギー伝達のモードです wall 𝑇 温度 A ⚫ 対流熱伝達による伝熱 𝑇∞ 𝑞𝑥′′ = ℎ 𝑇𝑠 − 𝑇∞ = h∆𝑇 𝑊 Τ𝑚2 𝑇𝑠 𝑞𝑥 𝑞𝑥 = ℎ𝐴 𝑇𝑠 − 𝑇∞ = ℎ𝐴∆𝑇 𝑊 温度 境界層 𝑥 壁に入る熱流量 ℎ ∶ 熱伝達率 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝑇∞ ∶ 流れから離れた所の温度 𝐾 ℎ 流れ 𝑇∞ 支配法則: ニュートンの冷却法則 𝑇𝑠 ∶ 表面温度 𝐾
1.3 熱放射(radiation) 物質から、電磁波の形で放出される 3. 熱放射(radiation) 𝑇 wall 12 ′′ 𝑞𝑟𝑎𝑑 𝑇𝑠𝑢𝑟 エネルギーです ⚫ 放射による伝熱(放射と吸収) A ′′ 4 𝑞𝑟𝑎𝑑 = 𝜀𝜎 𝑇𝑠4 − 𝑇𝑠𝑢𝑟 𝑊 Τ𝑚 2 ′′ 𝑞𝑟𝑎𝑑 = 𝑞𝑟𝑎𝑑 ∙𝐴 𝑊 𝑇𝑠 𝜎: Stefan–Boltzmann constant 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 4 𝑥 𝜀: 輻射率, 0≤𝜀≤1 𝑇 ∶ 温度 𝐾 絶対温度 𝜎 = 5.67 × 10−8 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 4 支配法則:シュテファンーボルツマンの法則 自らの放射と外界からの吸収との差 として表せます
1.4 熱の伝わり方(まとめ) 特徴 ①熱伝導 エネルギー輸送の 粒子同士の相互作用(接触) 仕組み 13 ②熱対流 ③熱放射 熱伝導 + 流体の運動 電磁波の放出 必要な媒体 固体・液体・気体 流動する液体・気体 不要(真空でも可) 主な支配法則 フーリエの法則 ニュートンの冷却法則 ステファン・ボルツマン の法則 伝達速度 比較的遅い 流速に依存する 極めて速い(光速)
1.4 熱の伝わり方(まとめ) 熱伝導率 (𝑘)と熱伝達率 (ℎ)の違い 特徴 熱伝導率 (𝑘) 熱伝達率 (ℎ) 対象となる 現象 物質内部での熱の移動(伝導) 固体表面と流体間の熱の移動(対流) 性質 材料固有の物性値 流動条件に依存する実験的数値 単位 𝑊/𝑚 ⋅ 𝐾 𝑊/𝑚2 ⋅ 𝐾 支配法則 フーリエの法則 ニュートンの冷却法則 例 銅: 401、水: 0.608 空気の強制対流: 25〜250 14
1.4 熱の伝わり方 𝑇𝑠𝑘𝑦 15 1. 内壁境界条件 太陽 −𝑘 放射 (radiation) 太陽 𝑇 𝑥 内壁 対流熱伝達 (convention) 外壁 対流熱伝達 (convention) 𝑘 ℎ1 𝑇∞,1 流れ 流れ 0 𝐿 2. 外壁境界条件 −𝑘 熱伝導 (conduction) 𝑑𝑇 = ℎ1 𝑇∞,1 − 𝑇 0 𝑑𝑥 𝑥=0 ℎ2 𝑑𝑇 = ℎ2 𝑇 𝐿 − 𝑇∞,2 𝑑𝑥 𝑥=𝐿 4 + 𝜀2 𝜎 𝑇(𝐿)4 − 𝑇𝑠𝑘𝑦 𝑇∞,2 ′′ − 𝛼𝑞𝑠𝑜𝑙𝑎𝑟 𝑥 𝑘 ∶ 熱伝導率 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 ℎ ∶ 熱伝達率 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 Cengel, Yunus A., Sanford Klein, and William Beckman. Heat transfer: a practical approach. Vol. 141. Boston: WBC McGraw-Hill, 1998.
2.熱抵抗による回路アナロジー ⚫ 熱伝達解析において定常状態における物体温度などは、電気 回路の問題と同様に熱抵抗の概念を導入することで、微分方 程式を用いることなく容易に解くことができます ⚫ この場合、熱抵抗は電気抵抗に、温度差は電圧に、熱伝達速 度は電流に対応します。 16
2.1 熱抵抗(熱伝導のとき) 熱伝導による伝熱量 ⚫ 壁を通過する熱流量 𝑇1 − 𝑇2 𝑞𝑥 = kA 𝐿 wall 𝑇 17 𝑊 ⚫ 熱抵抗 𝐴 𝑇1 𝑞𝑥 = 𝑇1 − 𝑇2 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑑 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑑 = 𝑇 𝑥 𝑇2 𝐿 kA 𝑊 𝐾 Τ𝑊 k ∶ 熱伝導率 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 𝑞𝑥 𝐿 𝑇1 熱伝導回路 電気回路 熱流量𝑞𝑥 [W] 電流 i [A] 位差量 温度 T [K] or[℃] 電位v [V] 𝑞𝑥 𝑇2 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑑 流通量
2.2 熱抵抗(対流伝導のとき) 18 ⚫ 壁に入る熱流量 𝑇 温度 𝑞𝑥 = ℎ𝐴 𝑇𝑠 − 𝑇∞ wall ⚫ 熱抵抗 𝑇∞ 𝑇1 𝑇∞ − 𝑇1 𝑞𝑥 = 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 A 𝑞𝑥 𝑥 𝑞𝑥 電気回路モデル 𝐾 Τ𝑊 ℎ ∶ 熱伝達率 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 熱伝導回路 電気回路 熱流量𝑞𝑥 [W] 電流 i [A] 位差量 温度 T [K] or[℃] 電位v [V] 𝑇1 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 𝑊 1 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 = ℎ𝐴 𝑇 𝑥 𝑇∞ 𝑊 流通量
2.3 熱抵抗(放射伝導のとき) 19 ⚫ 放射による伝熱(放射と吸収) 4 𝑞𝑟𝑎𝑑 = 𝜀𝜎𝐴 𝑇𝑠4 − 𝑇𝑠𝑢𝑟 𝑇 2 = 𝜀𝜎𝐴 𝑇𝑠2 + 𝑇𝑠𝑢𝑟 𝑇𝑠 + 𝑇𝑠𝑢𝑟 𝑇𝑠 − 𝑇𝑠𝑢𝑟 wall 𝑞𝑟𝑎𝑑 𝑇𝑠 A 𝑊 𝑇𝑠𝑢𝑟 𝑅𝑟𝑎𝑑 𝜎 = 5.67 × 10−8 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 4 𝜎: Stefan–Boltzmann constant 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 4 𝜀: 輻射率 𝑇 ∶ 温度 𝐾 絶対温度 ⚫ 熱抵抗 𝑞𝑟𝑎𝑑 = Ts と Tsur の両方が絶対温度[K] 単位でなければならないことに 注意してください。 0≤𝜀≤1 𝑅𝑟𝑎𝑑 = ℎ𝑟𝑎𝑑 = 𝑇𝑠 − 𝑇𝑠𝑢𝑟 𝑅𝑟𝑎𝑑 1 ℎ𝑟𝑎𝑑 𝐴 𝑊 𝐾 Τ𝑊 𝑞𝑟𝑎𝑑 𝐴 𝑇𝑠 − 𝑇𝑠𝑢𝑟 2 = 𝜀𝜎 𝑇𝑠2 + 𝑇𝑠𝑢𝑟 𝑇𝑠 + 𝑇𝑠𝑢𝑟 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾
2.4 熱抵抗の例題 熱抵抗を用いた熱解析の例題 ① 業用炉の熱損失 ② ガラス窓からの熱損失 ③ 複層ガラス窓からの熱損失 ④ 複合壁(直列or並列構成) ⑤ シリコンチップの放熱 20
① 工業用炉の熱損失(例題) 21 工業用炉の壁は、熱伝導率が k の厚さ0.15 mの耐火レンガで構成されている。定常運転中 の測定によると、内面と外面の温度はそれぞれ1400Kおよび1150Kであることがわかった。 一辺が0.5 m × 1.2 mの壁を通る熱損失はどれくらいか。 𝑘 = 1.7 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 wall 𝑇 𝑞𝑥′′ ⚫ 壁を通過する熱流束(heat flux) 0.5m 1.2m 𝑞𝑥′′ = 𝑘 1400K 𝑇1 𝑞𝑥 𝑞𝑥′′ = 1.7 𝐴 𝑇 𝑥 𝑇1 − 𝑇2 𝐿 1400 − 1150 = 2833 𝑊 Τ𝑚2 0.15 𝑇2 1150K 0.15𝑚 ⚫ 壁を通過する熱流量 [W] 𝑥 𝑞𝑥 = 𝑞𝑥′′ ∙ 𝐴 = 2833 ∙ 1.2 × 0.5 = 1700W F. P. Incropera, A. S. Lavine, and D. P. DeWitt, Fundamentals of heat and mass transfer. John Wiley & Sons, 2017. example 1.1
② ガラス窓からの熱損失(例題) 高さ0.8 m、幅1.5 m、厚さ8 mm、熱伝導率k のガラス窓を考える。 室外温度が-10°Cである一方、室内温度が20°Cに保たれている。こ のガラス窓を通る熱伝達率およびその内表面の温度を求めよ。窓の 内面および外面の熱伝達係数を、それぞれ h1 および h2 する。 20℃ glass 𝑇𝑠,1 ⚫ 熱抵抗 𝑇𝑠,2 𝑞𝑥 −10℃ 8𝑚𝑚 ℎ2 ℎ1 𝑞𝑥 𝑇𝑠,1 𝑅1 1 ℎ1 𝐴 22 1 1 = = 0.08333 𝐾Τ𝑊 ℎ1 𝐴 10 × 11.2 1 1 𝑅2 = = = 0.00855 𝐾Τ𝑊 𝑘𝐴 0.78 × 1.2 1 1 𝑅3 = = = 0.02083 𝐾Τ𝑊 ℎ2 𝐴 40 × 1.2 𝑅1 = 𝑅𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 = 𝑅1 + 𝑅2 + 𝑅3 = 0.0833 + 0.00855 + 0.02083 = 0.1127 𝐾Τ𝑊 𝑇𝑠,2 𝑅3 1 ℎ2 𝐴 𝑅2 𝐿 𝑘𝐴 𝐴 = 0.8 × 1.5 = 1.2 𝑚 ℎ1 : 10 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 ℎ2 : 40 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 k ∶ 0.78 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 2 ⚫ 熱流量 𝑞𝑥 = 𝑇∞,1 − 𝑇∞,2 20 − −10 = 𝑅𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 0.1127 = 266 𝑊 ⚫ 表面温度 𝑞𝑥 = 𝑇∞,1 − 𝑇𝑠,1 𝑅1 𝑇𝑠,1 = 𝑇∞,1 − 𝑞𝑥 𝑅1 = 20 − 266 × 0.0833 = −2.2 ℃ 𝑞𝑥 = 𝑇𝑠,2 − 𝑇∞,2 𝑅3 𝑇𝑠,2 = 𝑇∞,2 − 𝑞𝑥 𝑅3 = −10 + 266 × 0.002083 = −9.45 ℃ Cengel, Yunus A., Sanford Klein, and William Beckman. Heat transfer: a practical approach. Vol. 141. Boston: WBC McGraw-Hill, 1998. EXAMPLE 3–2
③ 𝑘1 複層ガラス窓からの熱損失(例題) 高さ0.8 m、幅1.5 mの複層ガラス窓を考える。この窓は、厚さ4 mm のガラス層(熱伝導率 k1)2枚が、幅10 mmの静止空気層(熱伝導率 k2)によって隔てられた構造となっている。室外温度が 20°C、室内 温度が 10°C に保たれている 1 日間について、この複層ガラス窓を通 る定常熱流量と、その内面の温度を求めよ。窓の内面および外面にお ける対流熱伝達係数を、それぞれ h1 および h2 と仮定する。 𝑘1 𝑘2 𝑇∞,1 20 ℃ 𝑇2 𝑇1 ℎ1 ℎ2 𝑇4 𝑇3 𝑞𝑥 𝑇∞,2 −10 ℃ 4 𝑚𝑚 10 𝑚𝑚 ⚫ 熱抵抗の計算 4 𝑚𝑚 𝑇∞,1 𝑇∞,2 𝑅𝑖 𝑅1 𝑅2 𝑅3 𝑅𝑜 𝑘1 = 0.78 𝑊 Τ 𝑚 ∙ ℃ ℎ1 = 10 𝑊 Τ 𝑚 ∙ ℃ 1 1 = = 0.08333 ℃Τ𝑊 ℎ1 𝐴 10 × 1.2 𝐿1 1 𝑅1 = 𝑅3 = = = 0.00427 ℃Τ𝑊 𝑘1 𝐴 0.78 × 1.2 𝐿2 0.01 𝑅2 = = = 0.3205 ℃Τ𝑊 𝑘2 𝐴 0.026 × 1.2 1 1 𝑅𝑜 = = = 0.02083 ℃Τ𝑊 ℎ2 𝐴 40 × 1.2 𝑅𝑖 = ⚫ 熱流量の計算 𝑅𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 = 𝑅𝑖 + 𝑅1 + 𝑅2 + 𝑅3 + 𝑅𝑜 = 0.4332 ℃Τ𝑊 𝑘2 = 0.026 𝑊 Τ 𝑚 ∙ ℃ 2 23 𝑞𝑥 = 𝑇∞,1 − 𝑇∞,2 20 − (−10) = = 69.2 𝑊 𝑅𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 0.4332 ℎ2 = 40 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ ℃ Cengel, Yunus A., Sanford Klein, and William Beckman. Heat transfer: a practical approach. Vol. 141. Boston: WBC McGraw-Hill, 1998. EXAMPLE 3–3
④ 𝐿1 2つの複合壁モデル(等温or断熱) 𝐿2 = 𝐿3 𝑇𝑖 𝐿4 𝑘1 𝑘3 複合壁は、図に示すような直列・並列構成になる。 熱流は多次元だが、一次元と仮定することが妥当 な場合が多い。この仮定の下では、2つの異なる 熱回路を用いることができる。ケース(a)では、x 方向に垂直な表面は等温であると仮定し、ケース (b)では、x方向に平行な表面は断熱であると仮定 する。結果として、Rtotalは異なる値になる。 𝑇𝑜 𝑘2 𝑘4 𝑥 𝑅1 = 𝐿1 𝑘1 𝐴 𝑅2 = 𝑇𝑖 𝑅3 = 𝐿3 𝑘 3 𝐴 Τ2 𝑅4 = 𝐿4 𝑘4 𝐴 𝑅1 𝑅2 𝑅3 case (b) 𝑞𝑥 𝑅4 𝑇𝑜 x方向に平行な表面は断熱 𝑅1 Τ2 𝑅2 𝑅4 Τ2 𝑇𝑜 𝑇𝑖 𝑅1 Τ2 𝑅𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 = 𝑅1 + 𝑅2 ∥ 𝑅3 + 𝑅4 ∆𝑇 = 𝑇𝑖 − 𝑇𝑜 𝑞𝑥 = 𝑅𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 ∆𝑇 x方向に垂直な表面は等温 case (a) 𝑞𝑥 𝐿2 𝑘 2 𝐴 Τ2 24 𝑅3 𝑅4 Τ2 𝑅𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 = 𝑅1 Τ2 + 𝑅2 + 𝑅4 Τ2 ∥ 𝑅1 Τ2 + 𝑅3 + 𝑅4 Τ2 F. P. Incropera, A. S. Lavine, and D. P. DeWitt, Fundamentals of heat and mass transfer. John Wiley & Sons, 2017.
⑤ シリコンチップの放熱( 1/2 ) 25 薄いシリコンチップと厚さ8 mmのアルミニウム基板は、厚さ0.02 mmのエポキシ樹脂層に よって分離されている。チップと基板はそれぞれ一辺が10mmであり、その露出面は25°Cの空 気によって冷却され、対流熱伝達率はhである。通常条件下でチップが104 W/m²の熱を放散す る場合、最大許容温度である85°C以下で動作するだろうか。 ℎ 𝑇∞ = 25℃ air シリコンチップ air 𝑞𝑐′′ ′′ 𝑞𝑐 ′′ 𝑅𝑡,𝑐 𝑞2′′ 𝑘 𝑇∞ = 25℃ ℎ 𝑅1′′ = 𝑅4′′ = 𝑞1′′ 𝑇𝑐 エポキシ樹脂 (0.02mm) アルミ基板 𝑞1′′ 1 2 𝑚 Τ 𝐾Τ𝑊 ℎ 𝑘 = 239 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 ℎ = 100 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝑇∞ 𝑅1′′ 𝑇𝑐 𝑅2′′ 𝑅3′′ 8 mm 絶縁体 𝑞2′′ 𝑅4′′ 𝑇∞ ′′ 𝑅2′′ = 𝑅𝑡,𝑐 = 0.9 × 104 𝑚2 Τ 𝐾Τ𝑊 = 0.01 𝑚2 Τ 𝐾Τ𝑊 F. P. Incropera, A. S. Lavine, and D. P. DeWitt, Fundamentals of heat and mass transfer. John Wiley & Sons, 2017. ′′ 𝑅𝑡,𝑐 :接触熱抵抗 thermal contact resistance ′′ 𝑅𝑡,𝑐 = 0.2 − 0.9 × 104 𝑚2 Τ 𝐾 Τ𝑊 Silicon chip/aluminum with 0.02mm epoxy 𝑅1′′:単位面積あたりの熱抵抗 𝑅3′′ = 𝐿 2 𝑚 Τ 𝐾Τ𝑊 𝐾 = 0.033 𝑚2 Τ 𝐾Τ𝑊 example 3.2
シリコンチップの放熱(2/2) 26 ⚫ 熱流量のバランスから 𝑞1′′ 𝑞𝑐′′ = 𝑞1′′ + 𝑞2′′ 𝑇𝑐 − 𝑇∞ 𝑇𝑐 − 𝑇∞ 𝑞1′′ = = 𝑅1′′ 1Τℎ 𝑞2′′ = ⚫ 上式からTcを求めると 1 𝑅2′′ + +𝑅3′′ + 𝑅4′′ 𝑞𝑐′′ 𝑇𝑐 𝑇𝑐 − 𝑇∞ 𝑇𝑐 − 𝑇∞ = 𝑅2′′ + 𝑅3′′ + 𝑅4′′ 𝑅2′′ + 𝐿Τ𝑘 + 1Τℎ 𝑇𝑐 = 𝑇∞ + 𝑞𝑐′′ ℎ + 𝑞1′′ 𝑇∞ −1 𝑇𝑐 𝑅2′′ 𝑅3′′ 8 mm 𝑇∞ 𝑞2′′ ⚫ 通常条件下でチップが104 W/m²の熱を放散する条件から 𝑅4′′ 𝑇∞ 電子機器の放 熱は次回予定 しています 𝑞𝑐′′ = 104 𝑊 Τ𝑚2 −1 1 𝑇𝑐 = 25 + 104 100 + = 25 + 50.3 = 75.3℃ 0.9 + 0.33 + 100 × 10−4 したがって、このチップは許容最高温度以下で動作することになる F. P. Incropera, A. S. Lavine, and D. P. DeWitt, Fundamentals of heat and mass transfer. John Wiley & Sons, 2017. 𝑅1′′ ′′ 𝑅𝑡,𝑐 𝑞2′′ 𝑘 𝑞𝑐′′ 𝑇∞ example 3.2
3.熱伝導の方程式 27 熱伝導の方程式について簡単に解説します ⚫ 一次元熱伝導方程式 1. 平板 2. 円筒 ➢ 一次元解析とは、温度勾配が単一の座標方向のみに存在 し、熱移動もその方向のみに限定されます ✓ 温度Tは1つの空間座標だけの関数として表されます(例:厚さ方向の xのみに依存するT(x))。 ✓ 熱流は、温度勾配が存在するその単一の方向にのみ発生します 3. 球 ➢ 無限平板: 壁の厚さに比べて表面積が十分に大きい場 合、端の効果を無視して厚さ方向(x)のみの一次元と して解析します。 ➢ 円筒・球: 半径方向(r)のみに温度勾配がある場合、 円筒座標や球座標系における一次元解析が行われます。
3.1 一次元熱伝導方程式(平板) Element ⚫ エレメント区間でのenergyの釣合い 𝑞𝑥 − 𝑞𝑥+∆𝑥 + 𝑔𝐴∆𝑥 ሶ = ∆𝐸𝑒𝑙𝑒𝑚𝑒𝑛𝑡 ∆𝑡 ∆𝐸𝑒𝑙𝑒𝑚𝑒𝑛𝑡 = 𝜌𝑐𝑝 𝐴∆𝑥 𝑇𝑡+∆𝑡 − 𝑇𝑡 エネルギの 釣合い 𝐴 𝑞𝑥 𝑞𝑥+∆𝑥 𝑔ሶ Δt時間でのエ ネルギ増加 𝑥 𝑞𝑥 − 𝑞𝑥+∆𝑥 + 𝑔𝐴∆𝑥 ሶ = 28 𝜌𝑐𝑝 𝐴∆𝑥 𝑇𝑡+∆𝑡 − 𝑇𝑡 ∆𝑡 𝑥 + ∆𝑥 𝐴: 面積 𝑚2 平板らしくないです が、その一部です 𝑔ሶ ∶ 発生energy 𝑊 Τ𝑚3 𝑘 ∶ 熱伝導率 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 − 1 𝑇𝑡+∆𝑡 − 𝑇𝑡 𝑞𝑥+∆𝑥 − 𝑞𝑥 + 𝑔ሶ = 𝜌𝑐𝑝 𝐴∆𝑥 ∆𝑡 ∆𝑥 → 0, ∆𝑡 → 0 1 𝜕 𝜕𝑇 𝜕𝑇 𝑘𝐴 + 𝑔ሶ = 𝜌𝑐𝑝 𝐴 𝜕𝑥 𝜕𝑥 𝜕𝑡 𝜕 𝜕𝑇 𝜕𝑇 𝑘 + 𝑔ሶ = 𝜌𝑐𝑝 𝜕𝑥 𝜕𝑥 𝜕𝑡 ℎ ∶ 熱伝達率 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝑐𝑝 ∶ 定圧比熱 𝐽Τ 𝑘𝑔 ∙ 𝐾 𝜌 ∶ 密度 𝑘𝑔Τ𝑚3 熱伝導率kが場所によっ て変化する場合はこの 式になります
3.1 一次元熱伝導方程式(平板) 𝜕 𝜕𝑇 𝜕𝑇 𝑘 + 𝑔ሶ = 𝜌𝑐𝑝 𝜕𝑥 𝜕𝑥 𝜕𝑡 𝜕 2 𝑇 𝑔ሶ 1 𝜕𝑇 + = 𝜕𝑥 2 𝑘 𝛼 𝜕𝑡 𝛼= 𝑘 𝜌𝑐𝑝 熱伝導方程式 1. 定常状態 𝜕Τ𝜕t = 0 𝑑 2 𝑇 𝑔ሶ + =0 𝑑𝑥 2 𝑘 2. 発熱なし 𝑔ሶ = 0 𝜕 2 𝑇 1 𝜕𝑇 = 𝜕𝑥 2 𝛼 𝜕𝑡 3. 定常状態& 発熱なし 𝜕Τ𝜕t = 0 𝑔ሶ = 0 𝑑2𝑇 =0 𝑑𝑥 2 29 k が一定とすると 𝛼 ∶ 熱拡散率 𝑚2 Τ𝑠 thermal diffusivity 熱拡散率と熱拡散係数、温度伝導率は、 同じ意味(物理量)です。 熱拡散率・熱拡散係数: 物質内を「熱が拡散 していく速さ」に注目した呼び方です。 温度伝導率: 「温度の変化(伝わりやす さ)」に注目した呼び方です。熱そのものよ りも、温度変化がどう伝播するかに重きを置 く建築環境工学などの分野で見かけることが 多いです。
・平板の熱流量と熱抵抗 30 平板での定常状態での熱伝導方程式を境界条件の下で解く 定常状態& 発熱なし 𝑑2 𝑇 =0 𝑑𝑥 2 境界条件: 𝑇 0 = 𝑇1 𝑇 𝐿 = 𝑇2 1. 微分方程式を解く 𝑑𝑇 = 𝐶1 𝑑𝑥 𝑇 𝑥 = 𝐶1 𝑥 + 𝐶2 境界条件を入れて定数C1, C2 を求める 𝑇 0 = 𝑇1 𝑇 0 = 𝐶2 = 𝑇1 𝑇 𝐿 = 𝑇2 𝑇 𝐿 = 𝐶1 𝐿 + 𝐶2 = 𝑇2 𝐶1 = 𝑇2 − 𝑇1 𝐿 𝑇∞,1 wall 𝑇1 𝑇2 𝑞𝑥 𝑇∞,2 𝐶2 = 𝑇1 よって、平板の温度変化は次のようになる 𝑥 𝑇 𝑥 = 𝑇2 − 𝑇1 𝑥 + 𝑇1 𝐿 𝑥=𝐿
・平板の熱流量と熱抵抗 31 2. 熱流量qrは、熱伝導から次のように求められる 𝑞𝑥 = −𝑘𝐴 𝑑𝑇 𝑘𝐴 = 𝑇 − 𝑇2 𝑑𝑟 𝐿 1 𝑇∞,1 wall 3. 平面の熱抵抗を求める 𝑇1 熱流量qxと温度の関係は下記のようになる 𝑇2 𝑞𝑥 = 𝑘𝐴 𝑇 − 𝑇2 𝐿 1 𝑞𝑥 𝑇∞,2 熱抵抗Rrをこの関係から求める 𝑥 hot fluid 𝑇∞,1 , ℎ1 ∆𝑇 𝑘𝐴 𝑞𝑥 = = ∆𝑇 𝑅𝑟 𝐿 𝑇∞,1 𝑅𝑥 = 𝐿 𝑘𝐴 𝑥=𝐿 cold fluid 𝑇∞,2 , ℎ2 𝑇1 𝑅1 𝑇∞,2 𝑇2 𝑅𝑥 𝑅3
3.2 一次元熱伝導方程式(円筒) 円筒の場合 です 𝐿 𝑞𝑟 𝑟1 𝑟2 𝑇1 𝑇2 𝑞𝑟 熱流量 𝑅𝑟 熱抵抗 32
3.2 一次元熱伝導方程式(円筒) 𝐿 ⚫ エレメント区間でのenergyの釣合い 𝑞𝑟 − 𝑞𝑟+∆𝑟 + 𝑔𝐴∆𝑟 ሶ = ∆𝐸𝑒𝑙𝑒𝑚𝑒𝑛𝑡 ∆𝑡 ∆𝐸𝑒𝑙𝑒𝑚𝑒𝑛𝑡 = 𝜌𝑐𝑝 𝐴∆𝑟 𝑇𝑡+∆𝑡 − 𝑇𝑡 𝑞𝑟+∆𝑟 エネルギの 釣合い Δt時間でのエ ネルギ増加 𝐴 = 2𝜋𝑟𝐿 𝑞𝑟 − 𝑞𝑟+∆𝑟 + 𝑔𝐴∆𝑟 ሶ = 33 𝑔ሶ 𝑞𝑟 𝑟 𝑞𝑟 𝑟 + ∆𝑟 𝑟 𝑞𝑟+∆𝑟 Cylinder 𝜌𝑐𝑝 𝐴∆𝑟 𝑇𝑡+∆𝑡 − 𝑇𝑡 ∆𝑡 𝑔ሶ ∶ 発生energy 𝑊 Τ𝑚3 − 1 𝑇𝑡+∆𝑡 − 𝑇𝑡 𝑞𝑟+∆𝑟 − 𝑞𝑟 + 𝑔ሶ = 𝜌𝑐𝑝 𝐴∆𝑟 ∆𝑡 ∆𝑟 → 0, ∆𝑡 → 0 1 𝜕 𝜕𝑇 𝜕𝑇 𝑘𝐴 + 𝑔ሶ = 𝜌𝑐𝑝 𝐴 𝜕𝑟 𝜕𝑟 𝜕𝑡 1𝜕 𝜕𝑇 𝜕𝑇 𝑟𝑘 + 𝑔ሶ = 𝜌𝑐𝑝 𝑟 𝜕𝑟 𝜕𝑟 𝜕𝑡 𝑘 ∶ 熱伝導率 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 ℎ ∶ 熱伝達率 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝑐𝑝 ∶ 定圧比熱 𝐽Τ 𝑘𝑔 ∙ 𝐾 𝜌 ∶ 密度 𝑘𝑔Τ𝑚3 𝐴 = 2𝜋rLでrの関数 になるため
3.2 一次元熱伝導方程式(円筒) 1𝜕 𝜕𝑇 𝜕𝑇 𝑟𝑘 + 𝑔ሶ = 𝜌𝑐𝑝 𝑟 𝜕𝑟 𝜕𝑟 𝜕𝑡 1𝜕 𝜕𝑇 𝑔ሶ 1 𝜕𝑇 𝑟 + = 𝑟 𝜕𝑟 𝜕𝑟 𝑘 𝛼 𝜕𝑡 𝛼= 𝑘 𝜌𝑐𝑝 k が一定とすると 𝛼 ∶ 熱拡散率 𝑚2 Τ𝑠 thermal diffusivity 熱伝導方程式 1. 定常状態 𝜕Τ𝜕t = 0 1𝑑 𝑑𝑇 𝑔ሶ 𝑟 + =0 𝑟 𝑑𝑟 𝑑𝑟 𝑘 2. 発熱なし 𝑔ሶ = 0 1 𝜕 𝜕𝑇 1 𝜕𝑇 𝑟 = 𝑟 𝜕𝑟 𝜕𝑟 𝛼 𝜕𝑡 3. 定常状態& 発熱なし 𝜕Τ𝜕t = 0 𝑔ሶ = 0 𝑑 𝑑𝑇 𝑟 =0 𝑑𝑟 𝑑𝑟 𝑑 2 𝑇 𝑑𝑇 𝑟 2+ =0 𝑑𝑟 𝑑𝑟 34
・中空円筒での熱流量と熱抵抗 35 円筒での定常状態での熱伝導方程式を境界条件の下で解く 定常状態& 発熱なし 𝑑 𝑑𝑇 𝑟 =0 𝑑𝑟 𝑑𝑟 境界条件: 𝑇 𝑟1 = 𝑇1 𝑇 𝑟2 = 𝑇2 1. 微分方程式を解く 𝑟 𝑑𝑇 = 𝐶1 𝑑𝑟 𝑑𝑇 𝐶1 = 𝑑𝑟 𝑟 𝑇 𝑟 = 𝐶1 ln 𝑟 + 𝐶2 境界条件を入れて定数C1, C2 を求める 𝑇 𝑟1 = 𝑇1 𝑇 𝑟1 = 𝐶1 ln 𝑟1 + 𝐶2 = 𝑇1 𝑇 𝑟2 = 𝑇2 𝑇 𝑟2 = 𝐶1 ln 𝑟2 + 𝐶2 = 𝑇2 𝐶1 = 𝑇2 − 𝑇1 ln 𝑟2 Τ𝑟1 𝐶2 = 𝑇1 − 𝑇2 − 𝑇1 ln 𝑟1 ln 𝑟2 Τ𝑟1 よって、配管内の温度変化は次のようになる 𝑇 𝑟 = ln 𝑟Τ𝑟1 ln 𝑟2 Τ𝑟1 𝑇2 − 𝑇1 + 𝑇1 𝐿 𝑇2 𝑞𝑟 𝑇1 𝑟1 𝑟2 𝐴 = 2𝜋𝑟𝐿
・中空円筒での熱流量と熱抵抗 36 2. 熱流量qrは、熱伝導から次のように求められる 𝑞𝑟 = −𝑘𝐴 𝑑𝑇 𝐶1 𝑇1 − 𝑇2 = −𝑘 2𝜋𝑟𝐿 = −2𝜋𝑘𝐿𝐶1 = 2𝜋𝑘𝐿 𝑑𝑟 𝑟 ln 𝑟2 Τ𝑟1 3. 中空円筒の熱抵抗を求める 熱流量qrと温度の関係は下記のようになる 𝑞𝑟 = 2𝜋𝑘𝐿 𝑇1 − 𝑇2 ∆𝑇 = 2𝜋𝑘𝐿 ln 𝑟2 Τ𝑟1 ln 𝑟2 Τ𝑟1 熱抵抗Rrをもの関係から求める 𝑞𝑟 = 𝐿 𝑞𝑟 ∆𝑇 ∆𝑇 = 2𝜋𝑘𝐿 𝑅𝑟 ln 𝑟2 Τ𝑟1 ln 𝑟2 Τ𝑟1 𝑅𝑟 = 2𝜋𝑘𝐿 𝑟1 𝑟2 𝑇1 𝑇2 𝑞𝑟 熱流量 𝑅𝑟 熱抵抗
3.3 一次元熱伝導方程式(球) 球の場合 です 𝑞𝑟 𝑇2 𝑟2 𝑇1 𝑟1 𝑘 球 𝑅𝑟 𝑞𝑟 熱流量 𝑅𝑟 熱抵抗 37
3.3 一次元熱伝導方程式(球) ⚫ エレメント区間でのenergyの釣合い 𝑞𝑟 − 𝑞𝑟+∆𝑟 + 𝑔𝐴∆𝑟 ሶ = ∆𝐸𝑒𝑙𝑒𝑚𝑒𝑛𝑡 ∆𝑡 𝑔ሶ エネルギの 釣合い 𝑟 𝑟 + ∆𝑟 Δt時間でのエ ネルギ増加 ∆𝐸𝑒𝑙𝑒𝑚𝑒𝑛𝑡 = 𝜌𝑐𝑝 𝐴∆𝑟 𝑇𝑡+∆𝑡 − 𝑇𝑡 𝑞𝑟 𝐴 = 4𝜋𝑟 2 𝑞𝑟 − 𝑞𝑟+∆𝑟 + 𝑔𝐴∆𝑟 ሶ = 38 𝜌𝑐𝑝 𝐴∆𝑟 𝑇𝑡+∆𝑡 − 𝑇𝑡 ∆𝑡 半径rの球 の表面積 𝑞𝑟+∆𝑟 sphere 𝑔ሶ ∶ 発生energy 𝑊 Τ𝑚3 − 1 𝑇𝑡+∆𝑡 − 𝑇𝑡 𝑞𝑟+∆𝑟 − 𝑞𝑟 + 𝑔ሶ = 𝜌𝑐𝑝 𝐴∆𝑟 ∆𝑡 ∆𝑟 → 0, ∆𝑡 → 0 1 𝜕 𝜕𝑇 𝜕𝑇 𝑘𝐴 + 𝑔ሶ = 𝜌𝑐𝑝 𝐴 𝜕𝑟 𝜕𝑟 𝜕𝑡 1 𝜕 𝜕𝑇 𝜕𝑇 2 𝑟 𝑘 + 𝑔 ሶ = 𝜌𝑐 𝑝 𝑟 2 𝜕𝑟 𝜕𝑟 𝜕𝑡 𝑘 ∶ 熱伝導率 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 ℎ ∶ 熱伝達率 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝑐𝑝 ∶ 定圧比熱 𝐽Τ 𝑘𝑔 ∙ 𝐾 𝜌 ∶ 密度 𝑘𝑔Τ𝑚3 A = 4𝜋r2でrの関数 になるので 𝑟
3.3 1 𝜕 𝜕𝑇 𝜕𝑇 2 𝑟 𝑘 + 𝑔 ሶ = 𝜌𝑐 𝑝 𝑟 2 𝜕𝑟 𝜕𝑟 𝜕𝑡 一次元熱伝導方程式(球) 1 𝜕 𝜕𝑇 𝑔ሶ 1 𝜕𝑇 2 𝑟 + = 𝑟 2 𝜕𝑟 𝜕𝑟 𝑘 𝛼 𝜕𝑡 𝛼= 𝑘 𝜌𝑐𝑝 k が一定とすると 𝛼 ∶ 熱拡散率 𝑚2 Τ𝑠 thermal diffusivity 熱伝導方程式 1. 定常状態 𝜕Τ𝜕t = 0 1 𝑑 𝑑𝑇 𝑔ሶ 2 𝑟 + =0 𝑟 2 𝑑𝑟 𝑑𝑟 𝑘 2. 発熱なし 𝑔ሶ = 0 1 𝜕 𝜕𝑇 1 𝜕𝑇 2 𝑟 = 𝑟 2 𝜕𝑟 𝜕𝑟 𝛼 𝜕𝑡 3. 定常状態& 発熱なし 𝜕Τ𝜕t = 0 𝑔ሶ = 0 𝑑 𝑑𝑇 𝑟2 =0 𝑑𝑟 𝑑𝑟 𝑑2𝑇 𝑑𝑇 𝑟 2 +2 =0 𝑑𝑟 𝑑𝑟 39
・中空球での熱流量と熱抵抗 40 球での定常状態での熱伝導方程式を境界条件の下で解く 定常状態& 𝑑 𝑟 2 𝑑𝑇 = 0 𝑑𝑟 発熱なし 𝑑𝑟 境界条件: 𝑇 𝑟1 = 𝑇1 𝑇 𝑟2 = 𝑇2 1. 微分方程式を解く 𝑟2 𝑑𝑇 = 𝐶1 𝑑𝑟 𝑞𝑟 𝑑𝑇 𝐶1 = 𝑑𝑟 𝑟 2 𝑇 𝑟 =− 𝐶1 + 𝐶2 𝑟 境界条件を入れて定数C1, C2 を求める 𝑇 𝑟1 = 𝑇1 𝑇 𝑟1 = −𝐶1 Τ𝑟1 + 𝐶2 = 𝑇1 𝑇 𝑟2 = 𝑇2 𝑇 𝑟2 = −𝐶1 Τ𝑟2 + 𝐶2 = 𝑇2 𝑇1 − 𝑇2 𝐶1 = 1Τ𝑟2 − 1Τ𝑟1 𝑟2 𝑇1 − 𝑇2 𝐶2 = 𝑇1 − 1 − 𝑟1 Τ𝑟2 1 1 1 + 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 𝑟 1 − 𝑟2 Τ𝑟1 𝑇2 𝑇1 𝑅𝑟 𝑘 よって、球内の温度変化は次のようになる 𝑇 𝑟 = 𝑟1 𝑇2 − 𝑇1 + 𝑇1 sphere 𝐴 = 4𝜋𝑟 2
・中空球での熱流量と熱抵抗 41 2. 熱流量qrは、熱伝導から次のように求められる 𝑞𝑟 = −𝑘𝐴 𝑑𝑇 𝐶1 𝑇1 − 𝑇2 = −𝑘 4𝜋𝑟 2 2 = −4𝜋𝑘𝐶1 = 4𝜋𝑘 𝑑𝑟 𝑟 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 3. 中空球の熱抵抗を求める 𝑞𝑟 熱流量qrと温度の関係は下記のようになる 𝑞𝑟 = 4𝜋𝑘 𝑇1 − 𝑇2 ∆𝑇 = 4𝜋𝑘 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 熱抵抗Rrをこの関係から求める 𝑟2 𝑟1 𝑇2 𝑇1 𝑅𝑟 𝑘 𝑞𝑟 = ∆𝑇 ∆𝑇 = 4𝜋𝑘 𝑅𝑟 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 𝑅𝑟 = 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 2𝜋𝑘 sphere 𝐴 = 4𝜋𝑟 2
3.4 まとめ(一次元熱伝導方程式) 42 熱方程式の定常解(熱生成がない場合) Table 3.3 平板(壁) 円 筒 球 方程式 𝑑2𝑇 =0 𝑑𝑥 2 𝑑 𝑑𝑇 𝑟 =0 𝑑𝑟 𝑑𝑟 𝑑 𝑑𝑇 2 𝑟 =0 𝑑𝑟 𝑑𝑟 熱流量 𝑾 ∆𝑇 kA 𝐿 ∆𝑇 2𝜋𝑘𝐿 ln 𝑟2 Τ𝑟1 ∆𝑇 4𝜋𝑘 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 熱抵抗 𝑲Τ𝑾 𝐿 kA ln 𝑟2 Τ𝑟1 2𝜋𝑘𝐿 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 4𝜋𝑘 A:面積 𝑚2 F. P. Incropera, A. S. Lavine, and D. P. DeWitt, Fundamentals of heat and mass transfer. John Wiley & Sons, 2017.
4.熱抵抗による回路アナロジー(円筒、球) 43
① 配管を通る蒸気からの熱損失(中空円筒) 図に示すように、L=20 m、r1=6 cm、r2=8 cm、熱伝 導率kの蒸気管を考える。管の内面と外面は、それぞれ平 均温度T1=150°CおよびT2=60°Cに保たれている。定常 44 𝐿 𝑞𝑟 状態において、配管を通る蒸気からの熱損失を求めよ。 𝑘 = 20 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 𝑇1 = 150℃ 𝑇2 = 60℃ 配管壁内の ln 𝑟Τ𝑟1 𝑇 𝑟 = ln 𝑟2 Τ𝑟1 温度変化 𝑇2 𝑇1 𝑟1 𝑟2 𝑟 Cylinder 𝑇2 − 𝑇1 + 𝑇1 1. 蒸気からの熱損失は、次のように求められる 𝑑𝑇 𝐶1 𝑇1 − 𝑇2 = −𝑘 2𝜋𝑟𝐿 = −2𝜋𝑘𝐿𝐶1 = 2𝜋𝑘𝐿 𝑑𝑟 𝑟 ln 𝑟2 Τ𝑟1 150 − 60 𝑞𝑟 = 2𝜋 × 20 × 20 = 786 𝑘𝑊 ln 0.08Τ0.06 𝑞𝑟 = −𝑘𝐴 2. 配管の熱抵抗は次のように求められる 𝑅𝑟 = ln 𝑟2 Τ𝑟1 ln 0.08Τ0.06 = = 0.11446 × 10−3 ℃Τ𝑊 2𝜋𝑘𝐿 2𝜋 × 20 × 20 Cengel, Yunus A., Sanford Klein, and William Beckman. Heat transfer: a practical approach. Vol. 141. Boston: WBC McGraw-Hill, 1998. EXAMPLE 2–15
② 球形容器からの熱損失(球形容器) 45 図に示すように、内半径 r1 ≈ 8 cm、外半径 r2 ≈ 10 cm、熱伝導率 k の球形容器を考える。容器内部で何らかの化学反応が起こっているため、 容器の内面と外面はそれぞれ定温 T1 ≈ 200°C および T2 ≈ 80°C に保 たれている。定常状態における、容器からの熱損失を求めよ。 𝑇1 = 200℃ 𝑇2 = 80℃ 𝑞𝑟 𝑘 = 45 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 𝑇1 𝑟1 容器壁内の 温度変化 𝑅𝑟 𝑟2 𝑇 𝑟 = 1 1 1 + 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 𝑟 1 − 𝑟2 Τ𝑟1 𝑘 𝑇2 − 𝑇1 + 𝑇1 1. 容球形器からの熱損失は、次のように求められる 𝑇2 𝐴 = 4𝜋𝑟 2 球 𝑑𝑇 𝐶1 𝑇1 − 𝑇2 = −𝑘 4𝜋𝑟 2 2 = −4𝜋𝑘𝐶1 = 4𝜋𝑘 𝑑𝑟 𝑟 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 200 − 80 𝑞𝑟 = 4𝜋 × 45 = 27.140 𝑊 1Τ0.08 − 1Τ0.10 𝑞𝑟 = −𝑘𝐴 2. 球形容器壁の熱抵抗は次のように求められる 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 1Τ0.08 − 1Τ0.10 𝑅𝑟 = = = 8.842 × 10−3 ℃Τ𝑊 2𝜋𝑘 2𝜋 × 45 Cengel, Yunus A., Sanford Klein, and William Beckman. Heat transfer: a practical approach. Vol. 141. Boston: WBC McGraw-Hill, 1998. EXAMPLE 2–18
③ 対流と熱伝導(中空円筒) ここで、図に示すように、両面がそれぞれ温度T1およ びT2の流体による対流にさらされ、熱伝達係数がh1お よびh2である円筒状の層を通る定常一次元熱流につい て考察する。この場合の熱抵抗ネットワークは、1つ の伝導抵抗と2つの対流抵抗が直列に接続された構成 となっており、定常状態における熱伝達率は次のよう に表すことができる。 𝐿 𝑇2 1 2𝜋𝑟1 𝐿 ℎ1 :対流による熱抵抗 𝑅2 = ln 𝑟2 Τ𝑟1 2𝜋𝑘𝐿 :熱伝導による熱抵抗 𝑅3 = 1 2𝜋𝑟2 𝐿 ℎ2 𝑟1 𝑟2 𝑇∞,1 ℎ1 𝑇∞,2 ℎ2 cold 𝑞𝑟 𝑇2 :対流による熱抵抗 𝑇1 𝑇∞,2 𝑇∞,1 𝑟2 𝑞𝑟 = 𝑞𝑟 𝑇1 hot 𝑅1 = 46 𝑟1 hot 𝑇∞,1 − 𝑇∞,2 𝑅1 + 𝑅2 + 𝑅3 cold 𝑅1 𝑅2 𝑅3
③ 断熱された蒸気配管を通る熱損失 1/2 温度 320°C の蒸気が、内径 D₁ = 5 cm、外径 D₂ = 5.5 cm の鋳鉄製配管(熱伝導率 k1 )内を流れる。この配管 は、熱伝導率 k 2の厚さ 3 cm のグラスウール断熱材で覆 われている。熱は、自然対流と放射により、周囲温度 5°C へ失われ、その合計熱伝達係数は h₂ である。管内部の熱 伝達係数を h1 とすると、管の単位長さあたりの蒸気から の熱損失を求めよ。また、管殻と断熱材の両側における温 度降下も求めよ。 𝑇∞1 𝑇∞2 = 5℃ 𝑇∞1 = 320℃ 𝑘1 = 80 𝑊 Τ 𝑚 ∙ ℃ 𝑘2 = 0.05 𝑊 Τ 𝑚 ∙ ℃ ℎ1 = 60 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ ℃ 𝐿 = 1𝑚 𝑟3 𝐿 𝑞𝑟 𝑟2 𝐴2 𝑟1 ℎ1 𝑇1 2 ℎ2 = 18 𝑊 Τ 𝑚 ∙ ℃ 47 𝑘2 𝑇∞2 ℎ2 𝑇2 𝑇3 ⚫ 対流にさらされる表面の領域面積 𝑇∞1 𝑇1 𝑇2 𝐴1 = 2𝜋𝑟1 𝐿 = 2𝜋 × 0.025 × 1 = 0.157𝑚2 𝑅𝑖 𝑅1 𝐴2 = 2𝜋𝑟3 𝐿 = 2𝜋 × 0.0275 + 0.03 × 1 = 0.361𝑚2 1 ℎ1 𝐴 ln 𝑟2 Τ𝑟1 2𝜋𝑘1 𝐿 𝑇3 𝑇∞2 𝑅2 𝑅𝑜 ln 𝑟3 Τ𝑟2 2𝜋𝑘2 𝐿 1 ℎ2 𝐴 Cengel, Yunus A., Sanford Klein, and William Beckman. Heat transfer: a practical approach. Vol. 141. Boston: WBC McGraw-Hill, 1998. EXAMPLE 3-8
③ 断熱された蒸気配管を通る熱損失 2/2 ⚫ 各熱抵抗(単位長さあたり)の計算 1 1 = = 0.106 ℃Τ𝑊 ℎ1 𝐴1 60 × 0.157 ln 𝑟2 Τ𝑟1 ln 2.75Τ2.5 𝑅1 = = = 0.0002 ℃Τ𝑊 2𝜋𝑘1 𝐿 2𝜋 × 80 × 1 ln 𝑟3 Τ𝑟12 ln 5.75Τ2.75 𝑅2 = = = 2.35 ℃Τ𝑊 2𝜋𝑘2 𝐿 2𝜋 × 0.05 × 1 1 1 𝑅𝑜 = = = 0.154 ℃Τ𝑊 ℎ2 𝐴2 18 × 0.361 𝑅𝑖 = 48 (単位長さ当たりの値を求めるため L=1mとした) 𝐿 = 1𝑚 𝑟3 𝐿 𝑞𝑟 𝑟2 𝐴2 𝑟1 𝑘2 𝑅𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 = 𝑅𝑖 + 𝑅1 + 𝑅2 + 𝑅𝑜 = 2.61 ℃Τ𝑊 𝑇1 ⚫ 管の熱損失(単位長さあたり) 𝑇2 𝑇∞1 − 𝑇∞2 320 − 5 𝑞𝑟 = = = 121 W 𝑅𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 2.61 ⚫ 配管全体での温度降下および断熱効果 ∆𝑇𝑝𝑖𝑝𝑒 = 𝑇1 − 𝑇2 = 𝑞𝑟 𝑅1 = 121 × 0.0002 = 0.02℃ ∆𝑇𝑖𝑛𝑠𝑢𝑙𝑎𝑡𝑜𝑟 = 𝑇2 − 𝑇3 = 𝑞𝑟 𝑅2 = 121 × 2.35 = 284℃ 𝑇3 = 320 − 0.002 − 284 ≈ 36℃ 𝑇∞2 ℎ2 𝑇3 𝑇∞1 𝑇1 𝑇2 𝑅𝑖 𝑅1 1 ℎ1 𝐴 ln 𝑟2 Τ𝑟1 2𝜋𝑘1 𝐿 𝑇3 𝑇∞2 𝑅2 𝑅𝑜 ln 𝑟3 Τ𝑟2 2𝜋𝑘2 𝐿 1 ℎ2 𝐴 (パイプの内面と外面の温度差は0.02°Cであるのに対し、断熱材の内面と外面の温度差は284°Cである) Cengel, Yunus A., Sanford Klein, and William Beckman. Heat transfer: a practical approach. Vol. 141. Boston: WBC McGraw-Hill, 1998. EXAMPLE 3-8
④ 冷却タンクの熱伝導と放射 1/2 内径3m、厚さ2cmのステンレス鋼(熱伝導率 k)製の球形タンク を用いて、温度T1 = 0°Cの氷水を貯蔵する。このタンクは、温度 T2 = 22°Cの室内に設置されている。部屋の壁の温度も22°Cであ る。タンクの外表面は黒色であり、タンクの外表面と周囲との間 の熱伝達は自然対流および放射によって行われる。タンクの内面 および外面における対流熱伝達係数は、それぞれ h1 および h2 で ある。タンク内の氷水への熱伝達を求めよ。 2 ℎ1 = 80 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 𝑇∞,1 = 0℃ 2 ℎ2 = 10 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 𝑇∞,2 = 22℃ 𝑟1 = 1.5 𝑚 𝑇∞,2 𝑞𝑟 𝑘 = 15 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 ℎ1 𝐴1 = 4𝜋 × 𝑟1 2 = 4𝜋 × 1.52 = 28.3 𝑚2 𝐴2 = 4𝜋 × 𝑟2 2 = 4𝜋 × 1.522 = 29.0 𝑚2 ⚫ 熱抵抗を求める 𝑅1 = 1 1 = = 0.000442 ℃Τ𝑊 ℎ1 𝐴1 80 × 28.3 𝑅2 = 𝑟2 − 𝑟1 1.52 − 1.5 = = 0.000047 ℃Τ𝑊 4𝜋𝑘𝑟1 𝑟2 4𝜋 × 15 × 1.52 × 1.50 𝑅3 = 1 1 = = 0.00345 ℃Τ𝑊 ℎ2 𝐴2 10 × 29.0 𝑅4 𝑇2 𝑇1 𝑟2 𝑟1 iced water 𝑘 𝑇∞,2 𝑇∞,2 𝑇∞,1 𝑟2 = 1.52 𝑚 ⚫ 対流にさらされる表面の領域面積 49 𝑅1 𝑅2 𝑅3 𝑇∞,2 ℎ2 球形タンク Cengel, Yunus A., Sanford Klein, and William Beckman. Heat transfer: a practical approach. Vol. 141. Boston: WBC McGraw-Hill, 1998. EXAMPLE 3–7
④ 冷却タンクの熱伝導と放射 2/2 50 ⚫ 放射の熱抵抗を求める ただし、タンクの外表面温度 T2 が不明であるため、 ℎ𝑟𝑎𝑑 を計算することができません。 したがって、ここでは T2の値を仮定し、後でこの仮定の正確性を確認する必要があります。 仮に T2を5°C(278 K)とすると、放射熱伝達係数は次のように求められます。 2 ℎ𝑟𝑎𝑑 = 𝜀𝜎 𝑇22 + 𝑇∞,2 𝑇2 + 𝑇∞,2 = 1.0 × 5.67 × 10−8 × 2952 + 2782 × 295 + 278 = 5.338 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝑅4 = 1 ℎ𝑟𝑎𝑑 𝐴2 = (タンク表面が黒のためε=1とした) 1 = 0.00646 ℃Τ𝑊 5.338 × 29.0 𝑇∞,2 ⚫ 合計熱抵抗を求め、熱流量を求める 𝑅𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 = 𝑅1 + 𝑅2 + 𝑅3 ∥ 𝑅4 = 0.000442 + 0.000047 + = 0.002738 ℃Τ𝑊 0.00345 × 0.00646 0.00345 + 0.00646 𝑞𝑟 ℎ1 𝑅4 𝑇2 𝑇1 𝑇∞,2 𝑇∞,1 𝑇∞,2 − 𝑇∞,1 22 − 0 𝑞𝑟 = = = 8035 𝑊 𝑅𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 0.002738 𝑟2 𝑟1 iced water 𝑘 𝑇∞,2 𝑅1 𝑅2 𝑅3 ℎ2
④ 冷却タンクの熱伝導と放射(確認) 51 ⚫ 当初の仮定の妥当性を確認するため、以下の式を用いて外表面温度T2を求める。 𝑇∞,2 − 𝑇2 𝑞𝑟 = 𝑅3 ∥ 𝑅3 𝑇2 = 𝑇∞,2 − 𝑞𝑟 𝑅3 ∥ 𝑅3 = 22 − 8035 × 0.00345 × 0.00646 0.00345 + 0.00646 = 3.93℃ これは、放射熱伝達係数の算出において仮定された5°Cに十分近い値である。したがって、 T2に4°Cを用いて計算をやり直す必要はない。 ⚫ 当初の仮定の妥当性を確認するため、因み に放射がないとしてT2を計算してみた 放射なし 3.9 2.7 LTspiceで回路を作成して、放射がない場 合のT2を計算したところ2.7℃であった。 注)R4抵抗を外気温度に相当する電圧 V2に接続しない。すると電流が流れな い。このことは熱流量がない。すなわ ち放射による影響はない、となる。
④ 冷却タンクの熱伝導と放射(確認) 52 因みに、LTspiceで回路を作成して、放射がない場合のT2を計算したところ2.7℃であった。 そこで、放射熱伝達係数の算出において仮定された2.7°Cを、T2に用いて計算をやり直して みた。 2.7°C やり直し1回め やり直し2回め 𝑇2 = 275.7 𝐾 𝑇2𝑛𝑒𝑤1 = 276.9 𝐾 ℎ𝑟𝑎𝑑 = 5.276 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 ℎ𝑟𝑎𝑑 = 5.308 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝑅4 = 0.006536 ℃Τ𝑊 𝑅4 = 0.006496 ℃Τ𝑊 𝑞𝑟 = 8008 𝑊 𝑞𝑟 = 8022 𝑊 𝑇2𝑛𝑒𝑤1 = 276.9 𝐾 𝑇2𝑛𝑒𝑤2 = 276.9 𝐾 やり直し2回目の、3.9℃で平衡した。放射無しでT2を求め、その値から計算してもそれほど 不都合はないかもしれない結果となった。今回だけの結果かもしれないが例示しておきます。
5.集中定数系解析(熱容量) 回路アナロジーでは集中定数系として扱います しかし 熱容量 集中定数系 可能か? ビオ数とは 53
集中定数系解析(熱容量) 54 回路アナロジーでは集中定数系としてとして扱います 熱容量は集中定数系に 置き換えられるの? 集中定数系、すなわ ち物体の温度が均一 とみなせるかだね 熱系 電気系 熱流量 q [J/s] or [W] 電流 I [A] 温度 T [K] or[℃] 電圧 V [V] 変数 定数 熱容量 C [𝐉Τ𝐊] 熱抵抗 Rth [K/W]or[℃/W] キャパシタンス C [F] 電気抵抗 R [Ω] 集中定数系解析の可否判定 ビオ数( Biot number ) このビオ数 について述 べます
5.1 Biot number(無次元数) 55 集中定数系解析では、物体全体に温度分布が均一であることを前提としています。これは 物体の熱伝導に対する熱抵抗(伝導抵抗)がゼロである場合にのみ成立します。したがっ て、Biが0でない場合には近似となります。 1. 対流の熱抵抗 2. 伝導の熱抵抗 𝑇∞ 130℃ 対流による熱伝達 1 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 = ℎ𝐴𝑠 𝐿𝑐 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑑 = 𝑘𝐴𝑠 𝑒𝑥) 𝐿𝑐 = 𝑉 Τ𝐴𝑠 特徴的な長さ 70 85 110 130℃ fluid 𝑇∞ , ℎ 伝導による熱伝達 3. Biot number 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑑 𝐿𝑐 Τ𝑘𝐴𝑠 ℎ𝐿𝑐 𝐵𝑖 = = = 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 1Τℎ𝐴𝑠 𝑘 Bi(Biot number) : 50 対流の熱抵抗 𝐵𝑖 = 伝導の熱抵抗 これがわかり 易い 固体表面の熱伝達と固体内部の熱伝導の比を表す無次元数 一般に Bi≤0.1 の場合キャパシタで置き換え可能
5.1 Biot number(無次元数) 56 ビオ数(Biot number, Bi)は、固体内部の熱伝導抵抗に 対する表面の熱対流抵抗の比を表します。 ℎ𝐿𝑐 𝐵𝑖 = 𝑘 ℎ ∶ 熱伝達率 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝐿𝑐 :特徴的な長さ 𝑚 𝑘 ∶ 熱伝導率 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 𝑒𝑥) 𝐿𝑐 = 𝑉 Τ𝐴𝑠 (通常、物体の体積Vを表面積Asで割った値) ⚫ 物理的な意味 ビオ数は「物体の表面における熱対流」と「物体内部の熱伝導」の相対的な強さを比較する指標です ➢ ビオ数が小さい場合: この状態では、物体内部の温度差はほとんど生じず、温度分布はほぼ一様(均一)にな ります。 ➢ ビオ数が大きい場合: 内部の熱伝導が表面の対流に追いつかず、物体内部に大きな温度勾配が生じます ⚫ 置換容量法の判定基準 非定常熱伝導の解析で、ビオ数は置換容量法が適用可能かの判断基準として使われます。 1. 一般に Bi≤0.1 の場合、物体内部の温度差が無視できるほど小さいため、温度が場所によらず時間のみに依存す るとみなす「置換容量法」を用いて、非常に簡便に計算を行うことができます 2. 例えば、熱伝導率が高く、サイズが小さく、周囲の対流が弱い(静止した空気中など)物体は、ビオ数が小さく なりやすく、この手法の良好な候補となります 一般に Bi≤0.1 の場合キャパシタ で置き換え可能 集中定数系でOK のこと
5.2 熱容量の集中定数系解析 図のように、質量 m、表面積 As、比熱 Cp の任意形状の物体が均一 な温度 Ti にあるとします。この物体を温度 T∞の媒体中に置くと、物 体とその周囲との間で熱伝達係数 h による熱伝達が生じます。ここで、 物体の内部温度は常に一様であると仮定します。時間間隔 dt におい て、物体の温度は dT だけ上昇すると、時間間隔 dt における固体の エネルギー収支は、次のように表すことができます。 ⚫ 物体へ流入する熱流量は 𝑞𝑖𝑛 = ℎ𝐴𝑠 𝑇∞ − 𝑇 𝑑𝑡 ⚫ 物体の温度変化は 𝑚𝑐𝑝 𝑑𝑇 = ℎ𝐴𝑠 𝑇∞ − 𝑇 dt 𝑇∞ 𝐴𝑠 𝑇∞ > 𝑇𝑖 𝑇 𝑡 𝑞𝑖𝑛 𝑚, 𝑐𝑝 𝑞𝑖𝑛 ∶ 熱流量[𝐽Τ𝑠] 𝐴𝑠 ∶ 表面積 𝑚2 𝑐𝑝 ∶ 定圧比熱 𝐽Τ 𝑘𝑔 ∙ 𝐾 ここで、温度差をθとする 𝜃 𝑡 ≡ 𝑇 𝑡 − 𝑇∞ 𝑡 𝑚𝑐𝑝 𝜃 𝑑𝜃 න = − න 𝑑𝑡 基礎方程式: 𝑚𝑐𝑝 𝑑𝜃 = −ℎ𝐴𝑠 𝜃𝑑𝑡 ℎ𝐴𝑠 𝜃𝑖 𝜃 0 初期条件から 57 𝑚 ∶ 質量 𝑘𝑔 ℎ ∶ 熱伝達率 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝑘 ∶ 熱伝導率 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 𝑇 0 = 𝑇𝑖 𝜃(𝑡) = 𝜃𝑖 𝑒𝑥𝑝 − ℎ𝐴𝑠 𝑡 𝑡 = 𝜃𝑖 𝑒𝑥𝑝 − 𝑚𝑐𝑝 𝜏𝑡 𝜏𝑡 = 1 ℎ𝐴𝑠 𝑚𝑐𝑝 = 𝑅𝑡 𝐶𝑡 𝜏𝑡 :熱時間定数 電気回路での、対流熱伝達の抵抗Rtと、固体の集中熱容量Ctに対応します。
5.2 熱容量の集中定数系解析 𝑇∞ 𝐴𝑠 𝑞𝑖𝑛 ∶ 熱流量[𝐽Τ𝑠] 58 ℎ ∶ 熱伝達率 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝑇∞ > 𝑇𝑖 𝑘 ∶ 熱伝導率 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 𝐴𝑠 ∶ 表面積 𝑚2 𝑇 𝑡 𝑞𝑖𝑛 𝑚 ∶ 質量 𝑘𝑔 𝑚, 𝑐𝑝 𝜏𝑡 = 𝑐𝑝 ∶ 定圧比熱 𝐽Τ 𝑘𝑔 ∙ 𝐾 1 ℎ𝐴𝑠 𝑚𝑐𝑝 = 𝑅𝑡 𝐶𝑡 𝜏𝑡 :熱時間定数 Bi≤0.1ならば 𝑞𝑖𝑛 等価電気回路 𝑇∞ 𝑇 𝑡 1 𝑅𝑡 = ℎ𝐴𝑠 熱抵抗 𝐾Τ𝑊 𝐶𝑡 𝐶𝑡 = 𝑚𝑐𝑝 熱容量 [𝐽Τ𝐾] 𝑅𝑡 1 𝐽 =1 𝑊∙𝑠 =1 𝑁∙𝑚
5.3 熱容量の集中定数系解析(例題) 59 球体と近似できる熱電対接合部を、気流中の温度測定に使用する。接合部 表面と気体との間の対流熱伝達率は h であり、接合部の熱物理的特性は Thermocouple wire k , cp , ρで ある。熱電対の時間定数が1秒となるために必要な接合部の 𝑇𝑖 = 25℃ 直径を求めよ。接合部の温度が25°Cで、200°Cの気流中に置かれた場合、 接合部が199°Cに達するまでにはどれくらいの時間がかかるか。 熱電対 Gas Junction 𝑇∞ , ℎ 𝑇∞ = 200℃ D ρ = 8500 𝑘𝑔Τ𝑚3 𝑐𝑝 = 400 𝐽Τ 𝑘𝑔 ∙ 𝐾 k = 20 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 ℎ = 400 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 ⚫ 時間定数を求める ⚫ 時間定数𝜏𝑡 =1秒か らDを計算する ⚫ ビオ数を計算する 1 𝜏𝑡 = ℎ𝐴𝑠 𝐷= 𝑚𝑐𝑝 1 𝜌𝜋𝐷3 = × 𝑐 ℎ𝜋𝐷2 6 6ℎ𝜏𝑖 6 × 400 × 1 = = 7.06 × 10−4 𝑚 𝜌𝑐 8500 × 400 1 𝜋𝐷3 𝐷 𝐿𝑐 = 𝑉 Τ𝐴𝑠 = × = 𝜋𝐷2 6 6 ℎ𝐿𝑐 400 × .06 × 10−4 𝐵𝑖 = = = 2.35 × 10−3 𝑘 6 × 20 ⚫ ビオ数 <0.1から、集中定数回路解析が適用可能である。 𝜃 𝑡 ≡ 𝑇 𝑡 − 𝑇∞ 𝑡 𝜃(𝑡) = 𝜃𝑖 𝑒𝑥𝑝 − 𝜏𝑡 𝜏𝑡 = 1 𝑠 199 = 25𝑒𝑥𝑝 − 𝑡 1 𝑡 = 𝜏𝑡 ln 𝜃𝑖 25 − 200 = 𝜏𝑡 ln = 5.2𝜏𝑡 = 5.2 𝑠 𝜃 199 − 200 F. P. Incropera, A. S. Lavine, and D. P. DeWitt, Fundamentals of heat and mass transfer. John Wiley & Sons, 2017. example 5.1
5.4 熱容量の集中定数系解析(LTspice) 1 1 1 𝑅𝑡 = = = = 1.60 × 103 ℎ𝐴𝑠 ℎ𝜋𝐷2 400 × 𝜋 7.06 × 10−4 2 𝜌𝜋𝐷3 𝑐 8500 × 𝜋 7.06 × 10−4 3 𝐶𝑡 = 𝑚𝑐𝑝 = = × 400 = 6.26 × 10−4 6 6 LTspiceによるシミュレーション 𝜏𝑡 = 1 ℎ𝐴𝑠 𝑇 𝑡 thermocoupleEx5-1.asc 𝑞𝑟 𝑡 60 𝑚𝑐𝑝 = 𝑅𝑡 𝐶𝑡
集中定数系解析(熱容量) 一般に Bi≤0.1 の場合キャパシタで置き換え可能 対象物の寸法が小さ い場合だけかな? そうなると使える 場面は少ないな~ 次では、 物体をいくつかの部分に分割して 集中定数系とする方法を述べます 61
6.熱容量のRC等価回路 熱容量 集中定数系へ分解 62
6.熱容量のRC等価回路 Biot数の条件から、 熱回路では集中定数 系でシミレーション できる例は非常に少 ない? LTspiceで電子回路の 発熱や建築の熱設計 を行いたいと思たが、 無理そうだな 大丈夫です。物体を小さな要 素に分割すれば、その要素ご との「局所的な Biot 数」は 十分に小さくなります。 各nodeに熱容量Cを持たせ、node間を熱抵抗Rでつ なぐことで、複雑な形状や内部温度分布を持つシステ ムもシミュレーションできるようになります 63
6.1 Cauer型 RC等価回路 熱伝導方程式を直接解く代わりに、LTspiceなどを使って熱の移動をシミュレーションす る手法は、パワー半導体の熱設計や建築の断熱計算などで非常によく使われています。 その「Cauer型 熱RC等価回路」について、仕組みと特徴を解説します。 1. 熱と電気の「アナロジー」 この手法は、「熱の伝わり方」と「電気の流れ方」が全く同じ数式で表せるという 性質を利用しています。右のようにパラメーターを対応させます。 熱システム 電気システム 温度差 ΔT [K] 電圧 V [V] 熱流 q [W] 電流 I [A] 熱抵抗 Rth [K/W] 電気抵抗 R [Ω] 熱容量 Cth [J/K] 静電容量 C [F] 64
6.1 Cauer型 RC等価回路 65 2. Cauer型回路の構造 Cauer型熱等価回路は、対象物(この例では木材の壁)の内部構造をそのまま 忠実に回路へ落とし込んだ構造をしています。 1 𝑇∞1 2 1 3 𝑇0 2 3 モデル化 𝑇1 𝑇4 𝑇2 𝑇3 𝑞𝑥 𝑇∞2 𝑇∞1 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 𝑅𝑒𝑑𝑔𝑒 𝑇1 𝑅12 𝑇2 𝐶1 ℎ1 𝑅23 𝐶2 𝐿 例として、3つに分割した 𝑅𝑒𝑑𝑔𝑒 𝑅 𝑐𝑜𝑛𝑣 𝑇∞2 𝐶3 node nodeは各パート の中間に置く ℎ2 一枚板の壁 𝑇3 𝐿 三層モデル例 連続体である木材を3つのRC段に区切ることは、空間の微分を差分に置き換える「有限差分法」そのものです。 分割数を増やせば増やすほど、熱伝導方程式の理論解(厳密解)に近づいていきます。
6.1 Cauer型 RC等価回路 3. Cauer型のメリット 「Cauer RC-Ladder」は、厚みのある材料をいくつかの層に分割したとき、各層の「熱抵抗𝑹𝒕𝒉 」 を直列に繋ぎ、その層自体が持つ「熱容量𝑪𝒕𝒉 」をグランド(基準温度、多くは外気や周囲温度)に 対して並列に接続します。材料の内部で「熱が伝わりながら(𝑹)、同時にそこへ蓄熱される ( 𝑪 )」という物理的な実態が、そのまま回路の見た目と一致しているのが特徴です。 • 内部の温度分布がわかる 各ノード(𝑁1 , 𝑁2 , …)の電圧を測定すれば、それがそのまま「材料の内部の温度」を意味しま す。これにより、壁の表面だけでなく「木材の内部が今何度になっているか」が時系列でわ かります。 • 異なる材料の結合(多層構造)が簡単 例えば「木材の表面に断熱材を貼り付けた」という場合、Cauer型なら断熱材のRC回路をそ のまま後ろに直列につなぎ合わせるだけでシミュレーションできます。 • 物理的な意味が破綻しない 各コンデンサの片側がすべて共通のグランド(基準温度)に接地しているため、熱が空間に 蓄えられるという概念を正しく表現できています。 熱等価回路には、Cauer型のほかに数学的なフィッティングから導出される「Foster型」と いうモデルもあります。 66
6.2 平板モデル:RC等価回路 平板モデル 3層モデル n層でも可能です。今回は3層、9層を行いました 67
6.2 平板モデル:RC等価回路 1. 熱回路網法(Cauerモデル)の基本設計ルール 物体をいくつかの層に分割したとき、幾何学的寸法と物性値から、RとCを決定す る方法は以下の通りです。 ① 熱容量𝐶𝑡ℎ の計算 熱容量は、分割した各層の「体積」に依存します。電気回路のコンデンサとして 機能し、熱をプールする役割を持ちます。 𝐶𝑡ℎ = 𝜌 ⋅ 𝑐𝑝 ⋅ 𝑉 = 𝜌 ⋅ 𝑐𝑝 ⋅ 𝐴 ⋅ Δ𝑥 𝐽 Τ𝐾 𝜌: 密度 [kg/m3 ]、 𝑐𝑝 : 比熱容量 [J/(kg·K)] A: 熱が通過する断面積 [m2 ]、 Δ𝑥: その層の厚み [m] ② 内部熱抵抗𝑹thの計算 平板の場合、場所によって断面積 A が変化しないため、隣り合う層の「中心ノード 間」の熱抵抗は以下のシンプルな式で定義されます。 𝑑 𝑅th = 𝐾 Τ𝑊 𝑘⋅𝐴 68 𝑘: 材料の熱伝伝導率 [W/(m·K)] 𝑑: ノード間の距離 [m] (等分割の場合、層の厚みΔ𝑥と等しくなります)
6.2 平板モデル:RC等価回路 69 図の「壁のような平板」を例に、RC等価回路の具体的な計算方法を解説します 対象とする壁は、1m × 1m、厚さ9cmの針葉樹の木材です。木材には「熱を伝える(熱抵抗)」と 「熱を蓄える(熱容量)」という2つの性質があります。通常、このような壁の断熱特性を評価するに は、境界条件を設定して複雑な「伝熱方程式」を解く必要があります。しかし、この方法は数式の解析 にかなりの手間がかかります。そこで今回は、電気回路シミュレータであるLTspiceを活用し、近似的 にサクッと解を求める方法をとります。 具体的には、9cmの板材を3つの層に分割し、3段のRC等価回 路に置き換えて具体的な数値を計算してみましょう。 (1次元熱伝導) 𝑇𝑒𝑛𝑣 𝑇𝑒𝑛𝑣 𝑇∞1 𝑇𝑒𝑛𝑣 𝑅𝑠𝑖𝑑𝑒 𝑇∞1 𝑇0 𝑇1 𝑇3 𝑞𝑥 1 ℎ1 𝐴 𝑇4 𝑇2 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 𝑅𝑒𝑑𝑔𝑒 𝑇0 ∆𝑑 2𝑘𝐴 𝑇1 𝑅12 𝐶1 ∆𝑑 𝑘𝐴 𝑅𝑠𝑖𝑑𝑒 𝑇2 𝐶2 木材の厚み方向辺の 熱抵抗を入れてみた 𝑇𝑒𝑛𝑣 𝑅𝑠𝑖𝑑𝑒 𝑅23 𝑇3 ∆𝑑 𝑘𝐴 𝐶3 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 𝑅𝑒𝑑𝑔𝑒 ∆𝑑 2𝑘𝐴 𝑇4 𝑇∞2 1 ℎ2 𝐴 𝑇∞2 三層モデル例 ℎ1 ℎ2 𝐴 = 1.0 × 1.0 = 1.0 𝑚2 ℎ1 : 30 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝑐𝑝 = 1380 𝐽 Τ 𝑘𝑔 ∙ 𝐾 ℎ2 : 60 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 ρ = 510 𝑘𝑔Τ𝑚3 k ∶ 0.12 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾
6.2 平板モデル:RC等価回路 【具体例】厚さ9cm板の3分割モデリング 寸法: 厚み𝐿 = 0.09 m (9cm)、 主断面積𝐴 = 1.0 m2 (1m×1m) 物性値(針葉樹):𝑘 = 0.12 𝑊 Τ 𝑚 ∙ 𝐾 , 𝜌 = 510 kg/m3 , 𝑐𝑝 = 1380 𝐽Τ 𝑘𝑔 ∙ 𝐾 分割:厚み方向に等間隔に3分割(1層の厚みΔ𝑥 = 0.03 m) ① 熱容量(𝐶1 = 𝐶2 = 𝐶3 ): 𝐶 = 510 × 1380 × 1 × 0.03 = 21114 𝐽Τ𝐾 ② 内部熱抵抗 (𝑅12 = 𝑅23 ): 中心ノード間の距離は3𝑐𝑚 = 0.03𝑚 なので、 0.03 𝑅= = 0.25 𝐾Τ𝑊 0.12 × 1 ③ 端部熱抵抗 (𝑅𝑒𝑑𝑔𝑒 ): 各端のノード(node1,node3)から、それぞれの最表面(左表面・右表面) までの距離は、層の厚みの半分(0.5cm = 0.005m)となります。 0.015 𝑅𝑒𝑑𝑔𝑒 = = 0.125 𝐾Τ𝑊 0.12 × 1 ④ 板表面と空気との放熱抵抗 (𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 ): 板の表面積( 1 m2 )と、空気の熱伝達率 それぞれ室内ℎ𝑖𝑛 と屋外ℎ𝑜𝑢𝑡 から、 ℎ𝑖𝑛 = 30 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 ℎ𝑜𝑢𝑡 = 60 𝑊 Τ 𝑚2 ∙ 𝐾 𝑅𝑖𝑛_𝑐𝑜𝑛𝑣 = 1Τ 30 × 1 = 0.0333 𝐾Τ𝑊 𝑅𝑜𝑢𝑡_𝑐𝑜𝑛𝑣 = 1Τ 60 × 1 = 0.0167 𝐾Τ𝑊 70
6.2 平板モデル:RC等価回路 71 ⚫ 境界条件の厳密なモデル化 現実の有限な平板では、「主熱流方向の端部(左右)」と「無限に広いとは言えない側面」の双方に境界条件が存在しま す。これをモデル上で等価回路としました。 ① 蓄熱と漏れ熱の「並列化」 各ノードにおいて、「側面放熱抵抗 𝑅side」はノードから直接GND(0V)へ落とします。これにより、板を温 めるための熱量(𝐶への充電)とは別に、側面から空気へ熱がダイレクトに漏れ出る現象が表現されます。 ② 主熱流方向の境界(左右の端部) 1 左右表面(放熱環境): 最表面から周囲の空気へ逃げる熱伝達抵抗 𝑅conv = ℎ⋅𝐴 を直列に繋ぎ、その先を周囲温 度の電圧源 に接続します ⚫ このモデルが持つ工学的な強み ① 物理と数理の一致 この回路のキルヒホフの電流法則(ノード方程式)を書き下すと、「偏微分方程式の空間差分式」と全く同じ数式 が出現します。 ② 多層壁(複合材料)への拡張性 もしこの鉄板の右側に「厚さ1cmのゴムシート」が接着されているなら、ゴムの物性から求めた R_rubber と C_rubber のラダー回路を、右表面のノードの先にそのまま直列につぎ足すだけで、異種材料の複合伝熱も容易に シミュレーションできます。 ③ 境界条件による解の変化を瞬時に再現 側面断熱なら 𝑅side = ∞ (開放)、空気むき出しなら 𝑅side = 有限値。この切り替えだけで、境界条件が解(温 度分布)に与える劇的な変化を、LTspice等のシミュレータ上で一瞬で計算・視覚化できます。 熱伝導という一見複雑な物理現象を、使い慣れた「電気回路」のアナロジーに翻訳して 解くこのアプローチは、現代のパワーエレクトロニクスや構造熱設計の現場において、 最前線で使われている強力な手法です。
① LTspice平板モデル 72 壁(平板)の3層RC等価回路モデル 室内温度:50℃ 屋外温度: 0℃ 木材初期温度: 20℃ Rsideは板端辺からの 熱抵抗です。ここでは ほぼ絶縁としました wall3Lay.asc
① LTspice平板モデル 73 壁(平板)の3層 RC等価回路モデル シミュレーション 温度 [℃] T0 室内壁表面温度 室内温度:50℃ 屋外温度: 0℃ 木材初期温度: 20℃ T1 pytonモデルとの結果比較 では壁表面の温度立上り が一寸違うが、大体は妥当 なレベルと思われる。 T2 T3 T4 時間 [s] 屋外壁表面温度
② Python平板モデル 平板モデルの熱伝導方程式からのシミュレーション結果 検証のためpythonで熱伝導方程式を解くプログラムを作り値を比べてみた T0 室内壁表面温度 T1 T2 T3 T4 屋外壁表面温度 74
6.3 九層平板モデル:RC等価回路 壁(平板)の9層RC等価回路モデル 室内温度:50℃ 屋外温度: 0℃ 木材初期温度:20℃ 3層のRC等価回路モデルだと壁表面温度変化が少し外れるので9層モデルとしてみた wall9Lay.asc 75
① 平板モデル:LTspice 1/2 76 壁(平板)の9層 RC等価回路モデル シミュレーション T0 室内壁表面温度 室内温度:50℃ 屋外温度: 0℃ T1 温度 [℃] T2 木材初期温度: 20℃ T3 T4 T5 T6 T7 T8 T9 屋外壁表面温度 T10 3層モデルより 良くなった
① 平板モデル:LTspice 2/2 77 温度 [℃] 壁(平板)の9層 RC等価回路モデル シミュレーション 室内温度:50℃ 屋外温度: 0℃ 木材初期温度: 20℃ 熱流量 [W] 室内壁へ流入する熱流量 壁を通過する熱流 量を表示してみた 屋外壁から流出する熱流量 定常状態での 値に収束する
平板モデルの熱伝導方程式(python) 78 1. 平板の熱伝導方程式(微分方程式) 厚み方向( 𝑥方向)のみに熱が伝わる平板の温度𝑇 𝑥, 𝑡 は、次のような熱伝導方程式 で表されます。 𝝏𝑻 𝝏𝟐 𝑻 =𝜶 𝟐 𝝏𝒕 𝝏𝒙 𝛼 = 𝑘Τ𝜌𝑐𝑝 は熱拡散率 今回は、以下のように境界条件を設定します。 初期条件: 最初は板全体が 20℃(𝑇 = 20.0) 断熱 𝑻𝒆𝒏𝒗_𝒍𝒆𝒇𝒕 𝑇∞1 左表面 (𝑥 = 0):対流境界条件 周囲温度𝑇𝑒𝑛𝑣_𝑙𝑒𝑓𝑡 の空気から熱が侵入 𝝏𝑻 −𝒌 = 𝒉𝟏 𝑻𝒆𝒏𝒗_𝒍𝒆𝒇𝒕 − 𝑻 𝝏𝒙 𝑇0 𝑇 𝑥, 𝑡 𝝏𝑻 = 𝒉𝟐 𝑻 − 𝑻𝒆𝒏𝒗_𝒓𝒊𝒈𝒉𝒕 𝝏𝒙 𝑇4 𝑇𝑻 ∞2 𝒆𝒏𝒗_𝒓𝒊𝒈𝒉𝒕 𝑞𝑥 右表面 (𝑥 = 𝐿):対流境界条件 周囲温度𝑇𝑒𝑛𝑣_𝑟𝑖𝑔ℎ𝑡 の空気に熱が逃げる −𝒌 𝑇𝑒𝑛𝑣 𝐿 ℎ1 断熱 ℎ2
平板モデル:壁(針葉樹)の熱伝導方程式program(1/2) heatWallNew_v2.py PDFからcopy&past可脳 import numpy as np dt = (dx**2) / (2.5 * alpha) import matplotlib.pyplot as plt total_time = 3600 # 計算する全時間 [秒] (1時間) # 20260524 shimojo & Gemini Nt = int(total_time / dt) # ========================================== # 1. 形状・物性値・計算条件の設定 # ========================================== L = 0.09 # 壁の厚み [m] (9cm) A = 1.0 # 断面積 [m²] (1m x 1m) T_init = 20.0 # 壁の初期温度 [°C] # 観測したい「左表面からの深さ [cm]」を5点指定 target_depths_cm = [0.0, 1.5, 4.5, 7.5, 9.0] # 0cm(左表面) 〜 9cm(右表面) # 指定された深さに最も近い格子のインデックスを検索 target_indices = [] # 左右それぞれの周囲環境温度 actual_depths_cm = [] T_env_left = 50.0 # 左側の周囲温度 [°C] (温風などを想定) T_env_right = 0.0 # 右側の周囲温度 [°C] (冷風・室温などを想定) for d in target_depths_cm: target_x = d / 100.0 # 木材の物性値(壁の木材;針葉樹) idx = np.argmin(np.abs(x - target_x)) k = 0.12 # 熱伝導率 [W/(m·K)] target_indices.append(idx) rho = 510.0 # 密度 [kg/m³] actual_depths_cm.append(x[idx] * 100.0) cp = 1380.0 # 比熱容量 [J/(kg·K)] alpha = k / (rho * cp) # 熱拡散率 [m²/s] # 左右壁表面の対流境界条件 # 各観測点の温度履歴を保存する辞書と時間履歴リスト h1 = 30.0 # 左表面の熱伝達率 [W/(m²·K)] temperature_history = {idx: [] for idx in target_indices} h2 = 60.0 # 右表面の熱伝達率 [W/(m²·K)] time_history = [] # 空間と時間の分割 # 温度配列の初期化 Nx = 60 # 空間分割数 dx = L / Nx # 空間格子間隔 [m] x = np.linspace(0, L, Nx + 1) T = np.full(Nx + 1, T_init) T_new = T.copy() # 左端(0)から右端(L)までの座標配列 # ========================================== # 安定条件を考慮して時間刻みを決定 79
平板モデル:壁(針葉樹)の熱伝導方程式program (2/2)
heatWallNew_v2.py
PDFからcopy&past可脳
temperature_history[idx].append(T[idx])
# ==========================================
# 2. タイムステップを進めるループ(差分法)
# ==========================================
# ==========================================
current_time = 0.0
# 3. 結果の可視化(時間変化プロット)
# ==========================================
plt.figure(figsize=(11, 6))
for step in range(1, Nt + 1):
current_time += dt
# 各位置の温度変化をプロット
# ① 内部ノードの計算 (i = 1 から Nx-1)
for i in range(1, Nx):
d2T_dx2 = (T[i+1] - 2*T[i] + T[i-1]) / (dx**2)
T_new[i] = T[i] + alpha * dt * d2T_dx2
for idx, depth in zip(target_indices, actual_depths_cm):
if idx == 0:
label_text = f"Left Surface (0.0 cm) [h1={h1}]"
elif idx == Nx:
label_text = f"Right Surface (3.0 cm) [h2={h2}]"
# ② 左表面 (x = 0, i = 0) -> 対流境界条件 (h1 = 30)
# 数式: -k * dT/dx = h1 * (T_env_left - T)
else:
label_text = f"Depth: {depth:.2f} cm"
T_new[0] = T[0] + alpha * dt * (2.0 * T[1] - 2.0 * T[0] + (2.0 * dx * h1 *
(T_env_left - T[0]) / k)) / (dx**2)
plt.plot(time_history, temperature_history[idx], label=label_text,
linewidth=2)
# ③ 右表面 (x = L, i = Nx) -> 対流境界条件 (h2 = 60)
# 数式: -k * dT/dx = h2 * (T - T_env_right)
T_new[Nx] = T[Nx] + alpha * dt * (2.0 * T[Nx-1] - 2.0 * T[Nx] + (2.0 * dx * plt.title("Temperature Transient Response (h1=30 at Left, h2=60 at Right)",
h2 * (T_env_right - T[Nx]) / k)) / (dx**2)
fontsize=14)
plt.xlabel("Time [seconds]", fontsize=12)
# 配列の更新
plt.ylabel("Temperature [°C]", fontsize=12)
T = T_new.copy()
plt.grid(True, linestyle=":", alpha=0.6)
plt.legend(loc="upper right", fontsize=11)
# 10ステップに1回、指定した位置の温度を記録
plt.xlim(0, total_time)
if step % 10 == 0 or step == Nt:
time_history.append(current_time)
for idx in target_indices:
plt.show()
80
集中定数系へ分解 81 要素分割は、円筒や球でも可能です Table 3.3 平板 方程式 𝑑2 𝑇 =0 𝑑𝑥 2 熱流量 𝑾 kA 熱抵抗 𝑲Τ𝑾 ∆𝒙 𝐤𝑨 ∆𝑇 𝐿 円 筒 𝑑 𝑑𝑇 𝑟 =0 𝑑𝑟 𝑑𝑟 2𝜋𝑘𝐿 ∆𝑇 ln 𝑟2 Τ𝑟1 𝒍𝒏 𝒓𝟐 Τ𝒓𝟏 𝟐𝝅𝒌𝑳 球 𝑑 𝑑𝑇 𝑟2 =0 𝑑𝑟 𝑑𝑟 4𝜋𝑘 ∆𝑇 1Τ𝑟1 − 1Τ𝑟2 𝟏Τ𝒓𝟏 − 𝟏Τ𝒓𝟐 𝟒𝝅𝒌 A:面積 𝑚2 𝑅0 𝑟1 𝑟2 次では、球を例に説明します 熱抵抗の計算を表の ように取るだけです 球の3層モデル POINT
6.4 三層球モデル:RC等価回路 鉄球の 3層モデル n層でも可能です。今回は簡単に3層としました 82
6.4 三層球モデル:RC等価回路 1. 1. Cauer型熱等価回路のモデル構成 今回は鉄球を半径方向に等しい厚みで3つの同心球殻 (層)に分割します。鉄球の全半径を 𝑅0 とすると、 各境界の半径は以下のようになります。 83 𝑅0 𝑟2 𝑟1 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 1 第1層(中心側)外殻: 𝑟1 = 𝑅0 3 2 第2層(中間層)外殻: 𝑟2 = 𝑅0 3 C1 第3層(表面側)外殻: 𝑟3 = 𝑅0 C3 1 𝑟 = node: 𝑚1 6 𝑅0 3 1 𝑟𝑚2 = 𝑅0 = 𝑅0 6 2 node 𝑟𝑚2 𝑅1 𝑅2 𝑅3 C2 5 𝑟𝑚3 = 𝑅0 6 緑色の一点鎖線 ℎ 3層モデル 各層の体積全体が持つ熱容量 𝐶𝑖 を中央に配置し、その間を熱抵抗 𝑅𝑖 で繋ぎます。 ✓ 𝐶1 , 𝐶2 , 𝐶3 : 各層の全熱容量。 ✓ 𝑅1 : 中心(𝑟 = 0)から第1層の中心付近(実際にはnode1からnode2への伝導抵抗) ✓ 𝑅2 : 第1層のnodeから第2層のnodeへの熱抵抗。 ✓ 𝑅3 : 第2層のnodeから第3層のnodeへの熱抵抗。 ✓ 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 : 最外殻表面から周囲空気への対流熱抵抗。
6.4 三層球モデル:RC等価回路 2. 具体的なパラメータ計算式 球殻の熱抵抗と球体の体積(熱容量)からパラメータを導出します。 ① 熱容量 𝑪𝒊 の計算 4 半径 𝑟𝑎 から 𝑟𝑏 までの球殻の体積 𝑉 は𝑉 = 𝜋 𝑟𝑏3 − 𝑟𝑎3 です。熱容量は𝐶 = 𝜌𝑐𝑝 𝑉 3 となります。 第1層(中心~𝒓𝟏 ): 4 4 1 3 1 𝐶1 = 𝜌𝑐𝑝 ⋅ 𝜋 𝑟13 − 03 = 𝜌𝑐𝑝 ⋅ 𝜋 𝑅0 = 𝐶 3 3 27 27 𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 第2層( 𝒓𝟏 ~𝒓𝟐 ): 4 4 8 3 1 3 7 𝐶2 = 𝜌𝑐𝑝 ⋅ 𝜋 𝑟23 − 𝑟13 = 𝜌𝑐𝑝 ⋅ 𝜋 𝑅0 − 𝑅0 = 𝐶 3 3 27 27 27 𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 第3層( 𝒓𝟐 ~𝒓𝟑 ): 4 4 27 3 8 19 𝐶3 = 𝜌𝑐𝑝 ⋅ 𝜋 𝑟33 − 𝑟23 = 𝜌𝑐𝑝 ⋅ 𝜋 𝑅0 − 𝑅03 = 𝐶 3 3 27 27 27 𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 4 𝐶𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 = 𝜌𝑐𝑝 ⋅ 𝜋𝑅03 3 1 【物理的な考察】 中心に近い C1 は体積が小さいため、わずか27 𝐶𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 ですが、 19 外側の C3は 27 𝐶𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 もあります。中心部は熱を蓄える容量が非常に小さい(温 まりやすく冷めやすい)ことが分かります。 84
6.4 三層球モデル:RC等価回路 ② 熱抵抗 𝑅𝑖 の計算 球座標系における、半径𝑟𝑎 から 𝑟𝑏 までの熱伝導 抵抗の理論式は次式で与えられます。 𝑅= 85 1 1 1 − 4𝜋𝑘 𝑟𝑎 𝑟𝑏 代表点は、各層の境界(または体積の中心)の間をつなぐ殻の抵抗として計算します。 簡易的に、 各層の厚みの中点(𝑟𝑚1 , 𝑟𝑚2 , 𝑟𝑚3 )をnode位置とし、node間の抵抗を計算します。 node: 1 𝑟𝑚1 = 𝑅0 6 3 1 𝑟𝑚2 = 𝑅0 = 𝑅0 6 2 5 𝑟𝑚3 = 𝑅0 6 これに基づき、隣り合うノード間の熱抵抗を求めます。 第1抵抗 𝑹𝟏 : ノード1からノード2)への抵抗: 第2抵抗 𝑹𝟐 : ノード2からノード3への抵抗: 第3抵抗 𝑹𝟑 : ノード3から表面までの抵抗: 1 1 1 1 6 2 1 − = − = ⋅4 4𝜋𝑘 𝑟𝑚1 𝑟𝑚2 4𝜋𝑘 𝑅0 𝑅0 4𝜋𝑘𝑅0 1 1 1 1 2 6 1 4 𝑅2 = − = − = ⋅ 4𝜋𝑘 𝑟𝑚2 𝑟𝑚3 4𝜋𝑘 𝑅0 5𝑅0 4𝜋𝑘𝑅0 5 1 1 1 1 6 1 1 1 𝑅3 = − = − = ⋅ 4𝜋𝑘 𝑟𝑚3 𝑅0 4𝜋𝑘 5𝑅0 𝑅0 4𝜋𝑘𝑅0 5 𝑅1 = ③ 対流熱抵抗 𝑹𝒄𝒐𝒏𝒗 の計算 表面(半径 𝑅0 、表面積𝐴 = 4𝜋𝑅02)における外気への対流熱抵抗は 次の通りです。 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 = 1 1 = ℎ𝐴 4𝜋𝑅02 ℎ
6.4 三層球モデル:RC等価回路 86 3. 数値を用いた具体的な計算例 • 鉄球の寸法: 半径 𝑅0 = 0.06 m (直径12cm) • 熱伝導率 𝑘 = 50 W/ m ⋅ K • 密度𝜌 = 7800 kg/m3 • 比熱 𝑐𝑝 = 460 J/ kg ⋅ K • 境界条件: 対流熱伝達率 ℎ = 100 W/ m2 ⋅ K パラメータ 容量 C1 (中心層) 容量 C2 (中間層) 容量 C3 (表面層) 抵抗 R1 抵抗 R2 抵抗 R3 対流抵抗 Rconv 計算式 4 𝐶𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 = 𝜌𝑐𝑝 ⋅ 𝜋𝑅03 3 4 = 7800 × 460 × 𝜋 × 0.063 = 3246.3 3 1 1 = = 0.02653 4𝜋𝑘𝑅0 4𝜋 × 50 × 0.05 計算値 単位 120.2 J/K 841.6 J/K 2284.4 J/K 4𝜋𝑘𝑅0 ×4 1 0.1061 K/W 0.0212 K/W 4𝜋𝑘𝑅0 ×0.2 1 0.0053 K/W 0.2210 K/W 1 × 𝐶𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 27 7 × 𝐶𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 27 19 × 𝐶𝑡𝑜𝑡𝑎𝑙 27 1 4𝜋𝑘𝑅0 ×0.8 1 4𝜋𝑅02 ℎ
① 鉄球モデル:LTspice(600s) 鉄球の3層RC等価回路モデル 87 シミュレーション時間: 600s 環境温度:200℃ 初期温度:20℃ 𝑅0 𝑟2 node1 node2 node3 C1 𝑅1 𝑅2 𝑟1 C2 C3 shpere_ladar_v3.asc 𝑅3 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣
① 鉄球モデル:LTspice(600s) 88 シミュレーション時間: 600s 環境温度:200℃ 初期温度:20℃ 温度 [℃] T3 表面温度 T T1 0 T2 𝑅0 𝑟2 𝑇3 𝑇2 𝑇1 𝑇0 𝑟1 C1 𝑅1 𝑅2 𝑅3 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣 C2 C3 node番号と温度番号が 逆転してすいません
① 鉄球モデル:python (600s) 89 鉄球モデルの熱伝導方程式からのシミュレーション結果 検証のためpythonで熱伝導方程式を解くプログラムを作り値を比べてみた 表面温度 T T1 T2 T3 0 表面から の深さ
① 鉄球モデル:LTspice(120s) 鉄球の3層RC等価回路モデル 90 シミュレーション時間: 120s 𝑅0 𝑟2 𝑇3 𝑇2 𝑇1 𝑇0 𝑟1 C1 C2 C3 T1 表面温度 T T3 0 T2 𝑅1 𝑅2 𝑅3 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣
① 鉄球モデル:python (120s) 91 鉄球モデルの熱伝導方程式からのシミュレーション結果 検証のためpythonで熱伝導方程式を解くプログラムを作り値を比べてみた T1 表面温度 T 0 T3 T2 表面から の深さ
① 鉄球モデル:LTspice(2000s) 鉄球の3層RC等価回路モデル 92 シミュレーション時間: 2000s 𝑅0 𝑟2 𝑇3 𝑇2 𝑇1 𝑇0 𝑟1 C1 C2 C3 𝑅1 𝑅2 𝑅3 𝑅𝑐𝑜𝑛
① 鉄球モデル:python (2000s) 93 鉄球モデルの熱伝導方程式からのシミュレーション結果 検証のためpythonで熱伝導方程式を解くプログラムを作り値を比べてみた 表面から の深さ
① 鉄球モデル:LTspice(熱流量) 鉄球の3層RC等価回路モデル 94 シミュレーション時間: 2000s 温度 [℃] 環境温度:200℃ 初期温度:20℃ 𝑅0 𝑟2 𝑟1 熱流量 [W] C1 𝑇3 𝑇2 𝑅1 𝑅2 C2 C3 定常状態での 値に収束する 𝑇1 𝑇0 𝑅3 𝑅𝑐𝑜𝑛𝑣
鉄球モデル(方程式:python) 95 1. 鉄球の熱伝導方程式(微分方程式) 厚み方向( 𝑥方向)のみに熱が伝わる平板の温度𝑇 𝑥, 𝑡 は、次のような熱伝導方程式 で表されます。 𝜕𝑇 1 𝜕 𝜕𝑇 2 𝜌𝑐𝑝 = 𝑘𝑟 𝜕𝑡 𝑟 2 𝜕𝑟 𝜕𝑟 k:定数 𝜕𝑇 𝜕 2 𝑇 2 𝜕𝑇 =𝛼 + 𝜕𝑡 𝜕𝑟 2 𝑟 𝜕𝑟 𝛼 = 𝑘Τ𝜌𝑐𝑝 熱拡散率 今回は、以下のように境界条件を設定します。 初期条件: 最初は板全体が 20℃(𝑇 = 20.0) ⚫ 中心(r=0): 対称性より、熱流束はゼロ。 𝜕𝑇 ቤ =0 𝜕𝑟 𝑟=0 ⚫ 表面(𝑟 = 𝑅0 ): 外気(温度 𝑇∞ )との対流 熱伝達境界条件)。 𝑅0 𝑇∞ 𝑟 𝑟 + ∆𝑟 𝑟 𝑞𝑟 𝑞𝑟+∆𝑟 ℎ −𝑘 𝜕𝑇 ቤ = ℎ 𝑇 𝑅0 , 𝑡 − 𝑇∞ 𝜕𝑟 𝑟=𝑅 0
鉄球モデルの熱伝導方程式program(1/2) import numpy as np import matplotlib.pyplot as plt #20260602 shimojo &gemini # ========================================== # 1. 物性値と計算条件の設定 # ========================================== R = 0.06 # 鉄球の半径 [m] (6cm) T_init = 20.0 # 鉄球の初期温度 [°C] T_env = 200.0 # 周囲の温度 [°C] # 鉄の物性値 k = 50.0 # 熱伝導率 [W/(m·K)] rho = 7800.0 # 密度 [kg/m³] cp = 460.0 # 比熱容量 [J/(kg·K)] alpha = k / (rho * cp) # 熱拡散率 [m²/s] # 表面の熱伝達率 h = 100.0 # 熱伝達率 [W/(m²·K)] # 空間と時間の分割 Nx = 100 # 空間分割数(精度向上のため少し細かくしています) dx = R / Nx # 空間格子間隔 [m] r = np.linspace(0, R, Nx + 1) # 中心(0)から表面(R)までの座標配列 # 安定条件を考慮して時間刻みを決定 dt = (dx**2) / (4.0 * alpha) total_time = 600 # 計算する全時間 [秒] (10分) #total_time = 2000 # 計算する全時間 [秒] (10分) heatshpereV4.py PDFからcopy&past可脳 # -----------------------------------------# 観測したい「表面からの深さ [cm]」を5点指定 # -----------------------------------------#target_depths_cm = [0.0, 1.0, 2.0, 3.0, 5.0] # 0cm(表面) 〜 6cm(中心) target_depths_cm = [0.0,1.0, 3.0, 5.0] # 0cm(表面) 〜 6cm(中心) # 深さを「中心からの半径 r [m]」に変換し、最も近い格子のインデックスを検 索 target_indices = [] actual_depths_cm = [] for d in target_depths_cm: target_r = R - (d / 100.0) # 半径 = 全体半径 - 深さ idx = np.argmin(np.abs(r - target_r)) # 最も近い格子の番号 target_indices.append(idx) actual_depths_cm.append((R - r[idx]) * 100.0) # 実際に計算される正確な 深さ # 各観測点の温度履歴を保存する辞書 temperature_history = {idx: [] for idx in target_indices} time_history = [] # 温度配列の初期化 T = np.full(Nx + 1, T_init) T_new = T.copy() 96
鉄球モデルの熱伝導方程式program(2/2)
i# ==========================================
# 2. タイムステップを進めるループ(差分法)
# ==========================================
current_time = 0.0
for step in range(1, Nt + 1):
current_time += dt
# 内部ノードの計算
for i in range(1, Nx):
d2T_dr2 = (T[i+1] - 2*T[i] + T[i-1]) / (dx**2)
dT_dr = (T[i+1] - T[i-1]) / (2*dx)
T_new[i] = T[i] + alpha * dt * (d2T_dr2 + (2.0 / r[i]) * dT_dr)
# 境界条件1: 中心 (r = 0, i = 0)
T_new[0] = T[0] + 3.0 * alpha * dt * (2.0 * (T[1] - T[0]) / (dx**2))
# 境界条件2: 表面 (r = R, i = Nx)
T_new[Nx] = (k * T_new[Nx-1] + h * dx * T_env) / (k + h * dx)
# 配列の更新
T = T_new.copy()
# 【新規】1秒ごと(または全ステップ)に指定した点の温度を記録
# 計算軽量化のため、10ステップに1回記録
if step % 10 == 0 or step == Nt:
time_history.append(current_time)
for idx in target_indices:
temperature_history[idx].append(T[idx])
heatshpereV4.py
PDFからcopy&past可脳
# ==========================================
# 3. 結果の可視化(時間変化プロット)
# ==========================================
plt.figure(figsize=(10, 6))
# 各深さの温度変化をプロット
for idx, depth in zip(target_indices, actual_depths_cm):
# 中心(半径0)の場合は「中心」とラベル表示
label_text = "Center (5.0 cm)" if idx == 0 else f"Depth: {depth:.1f} cm"
plt.plot(time_history, temperature_history[idx], label=label_text,
linewidth=2)
plt.title("Temperature Transient Response at Different Depths", fontsize=14)
plt.xlabel("Time [seconds]", fontsize=12)
plt.ylabel("Temperature [°C]", fontsize=12)
plt.grid(True, linestyle=":", alpha=0.6)
plt.legend(loc="lower right", fontsize=11)
plt.xlim(0, total_time)
plt.ylim(T_init - 10, T_env + 10)
#plt.ylim(20, 200)
plt.show()
97
つづく 98 ⚫ 今回は熱解析です。コンピュータ、電子機器、モータなど各種メカトロ機器は熱の問題を抱えています。 機器の破壊は熱によるものがほとんどでしょう。特に近年は、小型化、高出力化、高密度実装が進んで おり、熱設計がその機器の性能を決めると言っても過言ではないと思います。 ⚫ 昔、ロボットハンドで高速動作をさせるため、駆動電流をギリギリまで流して実験をしていました。も ちろんモータは高温、限界は手で触って一寸でも触れられればOK、時間制限動作ですね。電流制限を解 除したモータは本当に凄い高性能です。これは熱が性能上限を決めている一例です。 ⚫ これは、モータドライバに手を加えてですので、もちろん禁じ手です。ちなみに、MRIでは直径1mm 程度の電線に数百Aの電流を流してるとのこと。超電導コイルでモータを作ればすごいでしょね。 ⚫ さて、回路アナロジーは集中定数系ですので、容量は空間を分割して扱う必要があるため面倒です。し たがって、熱抵抗を用いた定常状態の簡易解析・アタリ付けとして導入するのが効果的であり、過渡応 答については3D CAEと棲み分けるのが一般的でしょう。 ⚫ ただし、最近ツールを使ってRC等価回路に変換し、回路シミュレータで電気・制御と連成させて高速に 過渡解析を行うという形へ進化してる例もあるようです。 ⚫ そのため今回熱解析をpart1, part2に分けて解説することにしました。少々付け焼刃の解説ですがご容 赦ください ⚫ アナロジーは形式的なもので、物理的意味はない、という意見もあります。どうなのでしょうか、私も 知りたいところです。
参考文献 99 中田孝:工学解析(技術者のための数学手法),オーム社,1972、総頁572.
参考文献 教科書的に大変参考にさせてもらいました ⚫ F. P. Incropera, A. S. Lavine, and D. P. DeWitt, Fundamentals of heat and mass transfer. John Wiley & Sons, 2017. ⚫ Cengel, Yunus A., Sanford Klein, and William Beckman. Heat transfer: a practical approach. Vol. 141. Boston: WBC McGraw-Hill, 1998. 今回利用したpythonおよびLTspice schematicファイル(.asc) は下記に置きました https://github.com/m4881shimojo/heat .ascファイルが正しくDLできない問題 GithubをZIPファイルとしてdownloadするのをお勧めします。 GitHubリポジトリ全体をダウンロードする場合は、 緑の 「Code」→「Download ZIP」 を選び、 展開すれば正しい形式の.ascファイルが含まれています。 100
補足:中田孝氏について 101 中田 孝(1908- 2000):日本の機械工学者。東京工業大学名誉教授。 元日本機械学会会長。元計測自動制御学会会長。元日本学士院会員。日本 学士院賞受賞。 https://ja.wikipedia.org/wiki/中田孝 中田孝先生は、大学院時代に私が所属した研究室の前教授でした。著書「転位歯車」は 修論では大変お世話になりました。しかし、いろいろな逸話などは聞くことはありまし たが、中田先生にはお会いしたことは残念ながらありませんでした。先日、同期で研究 室を引き継いだ北條さん(東工大名誉教授)に会った時、その話をしたところ、中田先 生の講義ビデオを送って頂き、初めてその肉声に触れることができました。感謝します。 そのビデオを見ながら、中田先生は、歯車の研究で日本学士院賞を45歳で受賞したのを はじめ、自動制御、NC工作機などの分野も手掛けた非常にエンジニアリングセンスの高 い方であり、また数学や電気電子工学に対する造詣も大変深い方だと認識を新たにしま した。またビデオの中で“歯型理論にはあまり手を付けたくなかったが電気回路理論の 応用に興味を持っていたので研究を進めた”とのあたりは、非常に親近感を感じました。 中田孝先生の紹介記事です【日本の工作機械を築いた人々】 大河出版「応用機械工学」1988年4~5月号掲載、 https://www.sme-japan.org/library5.pdf 中田先生のNC工作機械を開発したのときの開発談が語られています。大変面白い内容ですのでお勧めです。
補足(私の卒論・修論) 102 【卒研】私は卒業研究では電通大の梶谷誠先生の研究室で歯車を加工するホブ盤の制御回路を作成しました。但し、装置は東 工大石川研にありました。開発する制御回路は、ホブ盤主軸の回転角度を計測して、切削工具を駆動する電気油圧パルスモー タを制御するものです。この電気油圧パルスモータは、電気パルスモータの出力をプランジャー形油圧モータでトルク増幅す るという仕組みでした。初めてホブ盤を見たときの印象は巨大な鉄の塊で、制御ミスでパワフルな油圧モータなどを暴走させ たらどうなるかと、恐れを抱いたものです。 試作した回路は、単純な論理素子(TTL)を組合わせた回路です。当時は論理素子の黎明期で、詳しい書籍など無い時に初 歩の初歩から学び始め、TI社の分厚いハンドブックで論理素子の細かな仕様をチェックしながら、連日連夜、回路を試作して はオシロスコープなどを使い動作を確認して、回路を設計していました。本当に充実した楽しい時間でした。ご指導頂いた梶 谷先生には心から感謝しています。 しかし、実機実験では散々で、必死で改良を重ね何とか動作させました。やっと加工できた歯車を見たときの感激は今も忘 れません。しかし、歯すじ誤差に問題がありました。その原因は切削加工力の増加に伴うモータ回転遅れです。これは電気油 圧パルスモータの最大の長所でもある、開ループ制御の限界だったのでしょう。(後に中田先生が電気油圧パルスモータの開 発にも深く関与していたと知りました。奇妙な縁を感じます) 【就職】卒業後はX社に就職しました。理由はX社の子会社であるF社でのロボット開発に関心があったためです。当時F社へ はX社に就職する必要がありました。そして、入社時実習は希望先のF社でした。ところが、本配属では全く違うX社部署だっ たため、すぐに退職して東工大院の石川研(中田研の後継研究室)へ進学することにしました。人生にifはつきものですが、F 社に入っていたら全く違う人生を送ったようにも思います。 【修論】修論では習得した論理回路の設計技術を用いて、自動歯車精度測定機の開発に係り、歯形計算回路と測定機の制御回 路の開発を行いました。また修士2年の中頃、当時の先進機器であるミニコン(HP-21MX)が納入されたので、データ処理 (Fourier解析など)に利用することにしました。それからは、ミニコンと歯車測定機とのinterface回路設計から始めて、各 種プログラム作りと正月もない日々でした。またなんと、ミニコンは紙テープベースの開発システムで、コンパイラもライブ ラリもリンカも、全て毎回毎回、そのsoftwareを紙テープから読込ませる必要があり、コンパイル結果なども紙テープで TTY(110 baud rates)出力という、本当に気が狂うようなシステムでした(これと比べるとDOSは凄い)。実は、修論にはミ ニコンを利用する必要は全くなかったのですが、好奇心から無理にお願いして利用したのが真実です。これらの成果は機械学 会誌に論文として掲載できました。そして修了後は、国の研究機関に就職することに致しました。 大学時代に、昼夜を忘れて一心不乱に学んだ論理回路設計、計算機の経験は私の一つの財産になったように思います。 (DOS: Disk Operating System)
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