なぜ脱OSSが増えているのか?

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September 03, 23

スライド概要

以下の動画で利用しているスライドです。
https://www.youtube.com/watch?v=QpIGExxsH0k

現在、ビジネスモデルに合わせて、ライセンスをプロプライエタリにする脱OSSする傾向がある。OSSはライセンスに制限がなく、共同開発でプロダクトの品質を向上することが期待されている。利用する企業は競合優位性や自社ビジネスツールとして活用することができる一方、OSSベンダは競合他社よりマネージドサービスを運用できるが、クラウドベンダーもOSSのマネージドサービスを提供しており、必要十分なことも多い。

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自称Webプログラマ兼テックポエマー。Youtube (youtube.com/@koduki)とかもやってます。

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各ページのテキスト
1.

テックポエマーと学ぼうシリーズ なぜ脱OSSが 増えているのか? @koduki

3.

TL;DR ElasticやHashiCorp, MongoDB, Redisなど脱OSSを 進めるプロダクトが増えている 従来通り、無料で利用でき、コードも変更できるが、 一部の利用方法に制限がある(=SAL) これらはOSSではないが、ビジネスモデルに合わせ るためにプロプライエタリなライセンスでありなが らOSSのエッセンスも含んでいる

4.

OSSとは? RMS達のフリーソフトウェアを源流とする、コード を無料で公開し、共同開発する開発モデル 単に無料でコードを公開すれば良いのではなく、 OSIの定義をきちんと満たしている必要がある コミュニティとして共同開発する事で、より素早く 品質の高いプロダクトを生みだせる事が期待される 単なる利用者としても無料だし、透明性も高い

5.

OSSの定義 1. 再頒布の自由 2. ソースコード(「ソースコード公開」も含む自由な利用) 3. 派生ソフトウェア(派生物の自由な利用) 4. 作者のソースコードの完全性(integrity) 5. 個人やグループに対する差別の禁止 6. 利用する分野(fields of endeavor)に対する差別の禁止 7. ライセンスの分配(distribution) 8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止 9. 他のソフトウェアを制限するライセンスの禁止 10. ライセンスは技術中立的でなければならない

6.

OSSと企業とマネタイズ 1. プロダクトは無償で提供し、サポートや フリーミアムで儲ける 2. プロダクトで直接儲けず自社ビジネスの ツールとして利用する 3. プロダクトを利用しやすくしたプラット フォームで儲ける

7.

なぜ、企業はプロダクトを OSSにするのか? 無料なので初手の利用間口を広げやすい コミュニティによるFB, 生産性と品質の向上 サードパーティの利用/参加のしやすさ

8.

マネージドサービス OSSベンダは「僕が一番この製品をうまく使えるん だ!」という観点で、競合他社より優位な立場でマ ネージドサービスを運用出来る 自分たちのマネージドサービスやEnterprise版に恣 意的な改修も出来るし、公式の知名度もある。 だが、強すぎる競合が現れたら?

10.

マネージドサービスとクラウド クラウドベンダーは顧客の利便性のために自社サー ビスと統合したOSSのマネージドサービスを提供 しばしば公式のマネージドサービスより機能は劣る が、簡単に導入でき、必要十分なことも多い OSSとしてコードが共有される部分ではないし、競 争力はそもそもそこでは無いので、OSSベンダーの ビジネスモデルが崩壊

11.

脱OSSへの道 メガクラウド等に競合ビジネスをされると問題なの で、一部の自由を制限したBSLやSSPLなどを採用 OSSと同様にコード公開/改変/再配布/派生物作成の 許可をするものが多いが利用方法に制限がある 具体的にはマネージドサービスなど用途の制限や、 競合企業や非営利のみなど特定組織への制限

12.

OSSの亜種ではなく商用ライセンス コードを公開しているし、OSSからの変更なので OSSの亜種と誤解しがちだが商用/プロプライエタリ なライセンスと考えた方が良い OSSの特性のうち、自由よりも開発モデルに注目し、 利用用途に制限のある商用ライセンスにOSSのエッ センスを入れている方がしっくりくる 良い悪いではなく、別ものとして理解

13.

OSSの定義 1. 再頒布の自由 2. ソースコード(「ソースコード公開」も含む自由な利用) 3. 派生ソフトウェア(派生物の自由な利用) 4. 作者のソースコードの完全性(integrity) 5. 個人やグループに対する差別の禁止 6. 利用する分野(fields of endeavor)に対する差別の禁止 7. ライセンスの分配(distribution) 8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止 9. 他のソフトウェアを制限するライセンスの禁止 10. ライセンスは技術中立的でなければならない

14.

Source-available License 非OSSのコードが公開されたライセンスの呼び方と してSALがある 非商用のOSSとか特定用途禁止のOSSはOSSの理念 の「自由」を真っ向から否定してるので不適切 すでに誤用が定着している部分もあるが、ここは敬 意をもって別の呼び方が望ましい

15.

商用 ライセンス SAL (source-available license) PolyForm Oracle DB Windows OTN 開発者ライセンス BSL ELv2 SSPL OSS GPL MPL BSD

16.

代表的な非OSSのSALの例 Business Source License (BSL) 競合は利用禁止とし提供範囲を管理可能なライセンス Elastic License v2(ELv2) マネージドサービス以外はおおむねOKなライセンス PolyForm CCのように制限の種類を明示できるライセンス

17.

PolyForm License Creative Commonsのように、単一のライセンス で「非営利」とか「競合不可」とか様々な条件を簡 単に表現可能 ライセンスの乱立を防ぐ ライセンスを作るのは大手にしか出来ないし、今後 この流れが加速するなら普及するかも

19.

OSSから変わる事の懸念 非OSSはビジネス上の選択であって悪ではない しかし、OSSからの移行には懸念もある 競合他社に突然なるリスクをCTOは敢えてのむか? 恣意的に制限されるリスクを法務部は敢えてのむか? 自分の貢献が利用できなくなるリスクを開発者はあえ てとるか?

20.

悪いことばかりではない? 企業とファンという形で自由とはまた別のコミュニ ティが醸造されるかも? 競合を気にせず、エンタープライズ系のコードも公開が 可能になる? 契約によりOSSよりもサードパーティと適切な関係を速 やかに作りやすくなる? そもそも儲からなければ、開発を継続できない

21.

まとめ マネージドサービスを強すぎる競合に行われないた めに非OSSなSALの採用が増えている コードは公開されてもOSSに重要な自由が含まれな いのでOSSではない OSSのエッセンスを含んだ商用のSALは、製品離れ のリスクもあるが、ビジネスモデルと柔軟性を両立 する方法になるかもしれない