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November 20, 25
スライド概要
AI/DT時代におけるシミュレーションの構造変化を見据え、箱庭の立ち位置と今後の方向性を示した2025年版のマニフェスト資料です。
MuJoCo の OSS 化に象徴される「AIが顧客になる時代」、
Unity/Epic の B2B 参入に代表される「デジタルツイン化」、
そして OpenUSD による「3Dデータの共通インフラ化」など、
2025年に加速した大きな潮流を整理しながら、
箱庭が“水平統合”として目指すべきモデルを明確化しています。
本資料では、以下を中心に構成しています:
* 箱庭とは何か(Simulation Hubとしての構造)
* 箱庭のアーキテクチャ(Core/PDU/Bridge の役割)
* 見て・触れて・わかるデモ集(PX4・MuJoCo・DT・AI連携)
* MuJoCo/ゲームエンジン/OpenUSD に見る時代の潮流
* 垂直統合 vs 水平統合という“構造の分岐”
* 箱庭の立ち位置(民主化・相互運用を軸としたアプローチ)
* これからの箱庭の進み方(教育・研究との連携、PROの方向性)
「シミュレーションが産業構造のOSになる時代」へ。
AI・デジタルツイン・ロボティクスの大変革の中で、
箱庭がどのように “つなぐ技術” として進化していくのかを
わかりやすくまとめた内容です。
TOPPERS/箱庭WG活動でUnityやらAthrillやらmROSやら触ってます。 最近は仕事の関係でWeb系の技術に注力しつつ、箱庭への転用を模索しています。 2023年8月1日:合同会社箱庭ラボに移動しました
2025年度版 箱庭マニフェスト 〜 AI/DT時代におけるシミュレーション構造の再編からみた箱庭の今後の方向性〜 TOPPERS/箱庭WG 主査 森崇
アジェンダ 1. 箱庭とは 2. 箱庭のアーキテクチャ 3. 見て・触れて・わかる。箱庭のデモ集 4. AI/DT時代の潮流を見る • MuJoCo、ゲームエンジン、OpenUSD 5. 箱庭の立ち位置 6. これからの箱庭の進み方 2
箱庭とは 多様なシミュレーションを統合するプラットフォーム →分散シミュレーションハブ - 単一のシミュレータではありません - 異なる機能やプログラム、シミュレータなどを統合します 環境 モデ ル 3Dモデル コントローラ Unity等 3Dシミュレータ 制御アプリケーション 通信ミドル 箱庭 ランタイム 箱庭 アセット アセット管理・制御 アセット間通信 スケジューリング・時間管理 シミュレーション制御 3
箱庭のアーキテクチャ [Legend] External System Hakoniwa Component Cloud Hakoniwa API Hakoniwa Asset Hakoniwa Asset Hakoniwa Conductor Simulation Time Load Balancing Computer Hakoniwa PDU Data Hakoniwa time Hakoniwa Core Personal Computer Hakoniwa PDU Communication existing simulators and programs Hakoniwa Core Real System Hakoniwa Bridge
見て・触れて・わかる。箱庭のデモ集 PX4 & QGC & Unity 生成AI(Claude) / MCP連携 物流&ドローン (MuJoCo) バーチャルドローン観光 デジタルツイン MacBook Pro Virtual Real TurtleBot3 Virtual & Real Ubuntu 22.0.4
PX4 & QGC & Unity https://www.youtube.com/watch?v=IEYTQkZcwB0
バーチャルドローン観光
物流&ドローン(MuJoCo) https://www.youtube.com/watch?v=O0LY4j9NN9k
生成AI(Claude) / MCP連携 https://www.youtube.com/watch?v=hbdJr-2zLBs
デジタルツイン https://www.youtube.com/watch?v=N-kUh9P_jvI URG-04LX-UG01 (北陽電機) QUEST3 MacBook Pro
アジェンダ 1. 箱庭とは 2. 箱庭のアーキテクチャ 3. 見て・触れて・わかる。箱庭のデモ集 4. AI/DT時代の潮流を見る • MuJoCo、ゲームエンジン、OpenUSD 5. 箱庭の立ち位置 6. これからの箱庭の進み方 11
AI/DT時代の潮流を見る 2025年、箱庭開発を通して印象に残ったこと: AI/DTの新しい時代の流れに翻弄されながら楽しんできました! MuJoCo ゲームエンジン NVIDIA/Omniverse 12
MuJoCo の OSS化:AIが顧客になった MuJoCo MuJoCo利用者 --利用者交代-- 研究者 AI利用者 利用 【AIが求めた条件】 AI 精度 速度 並列性 利用料(クラウド/研究支援費) Google Deep Mind OSS化:ビジネスモデルの転換 強化学習実績 ※OSS化=無料化ではなく、AI研究エコシステムへの投資モデル転換 13
AI/DT時代の潮流を見る MuJoCo ゲームエンジン NVIDIA/Omniverse AIが顧客になった 研究者から一般利用者への民主化 14
ゲームエンジンの産業界参入:デジタルツインへ 利用 ゲーム業界 産業界の需要 GPU レンダリング性能 効率化 × 最適化 × 新価値創造 ニーズ 産業界 ライセンス利用料 (B2C) ゲームエンジン 利用 AI 画像認識 ライセンス利用料 (B2B) ゲームエンジン提供企業 (Unity/Epic) DX DT DXは業務を変え、DTは現実を再構成する 【産業界が求めた条件】 可視化 体験 訓練 リアルタイム3D ※B2CからB2B/DTライセンスモデルへ移行 15
AI/DT時代の潮流を見る MuJoCo ゲームエンジン AIが顧客になった DT/産業へ 研究者から一般利用者への民主化 B2B課金という新たな重み NVIDIA/Omniverse 16
OpenUSDの台頭:AI/DT時代の共通データ “3D世界”の再統合: 設計・運用・学習をつなぐ共通データ OpenUSD 3Dシーン構造化 利用 【映画産業】 巨大企業のプラットフォーム戦略 (再利用と組み合わせの自由化) Pixar 3Dデータの意味・関係性 ニーズ NVIDIA/ Omniverse Siemens/ Xcelerator (AIが理解できる3D世界へ) 【産業DT】 NVIDIA/ Simens/ Autodesk 利用 物理+3Dモデルの統合 【データサイロの解消】 (AIがシミュレーションしやすい) CAD 標準化・OSS推進 OpenUSDを中核に据えたDT基盤戦略 OpenUSDアライアンス CAE/ PLM DCC 相互運用性 OpenUSDは「3DのHTML」として、異なる世界(設計/AI/DT)を結ぶ共通インフラになりつつある 17
AI/DT時代の潮流を見る MuJoCo ゲームエンジン NVIDIA/Omniverse AIが顧客になった DT/産業へ AI/DT時代の共通データ 研究者から一般利用者への民主化 B2B課金という新たな重み 3DコンテンツのHTML化・共通インフラ 【共通点】 シミュレーションが「インフラ」になる時代 【対立点】 垂直統合(プラットフォーム支配) vs 水平統合(オープン/相互運用) 18
垂直統合 vs 水平統合:独占か民主化か 協調領域のインセンティブ 企業論理ではなく“共益の原理” Sim asSimulation Infrastructure 異なるベンダのツール群 共有・透明性 (アプリ層) 利用 垂直統合 共通データ交換 ニーズ (ミドル層) 水平統合 利用 シミュレーション・ハブ 競合ツール の接続性 データ 相互運用性 【AIがもたらす価値】 (OS層) オープン 価値の再集中 (独占) 共有 自律 価値の共有 (民主化) 現実を再現・理解する 知の民主化 環境・制約・データを与える AI AIが協調領域を育てる役割を担う 19
水平統合の実装(箱庭の場合) ROS 2は階層的な関数呼び出しで通信の複雑さを隠蔽する 箱庭は共有メモリを介してシミュレーションと通信の役割を完全に分離する 箱庭アセット msgクラス インタスタンス 箱庭PDU変換 ライブラリ (バイナリ変換) 箱庭アセット ロボット制御 プログラム 箱庭ブリッジ (WebSocket) 箱庭アセットAPI 箱庭ブリッジ (Zenoh) ・・・ 箱庭ブリッジ (Mqtt) 箱庭アセットAPI (C/C++, Python..) (C/C++, Python..) 箱庭アセットライブラリAPI 箱庭アセットライブラリAPI (箱庭アセット時刻管理、状態管理, ...) (箱庭アセット時刻管理、状態管理, ...) 箱庭PDUデータ (共有メモリ) 箱庭のシミュレーション・ランタイム 箱庭の通信ランタイム 20
AI/DT時代におけるシミュレーション構造の再編 AIが顧客になった DT/産業へ MuJoCoのOSS化:AIが顧客になった Why OSS? ■顧客の交代 → 人間からAIへ ■AIが求めた条件 → 軽量・高精度・即試行可能 ■商用では速度が足かせに → OSS化で“摩擦ゼロ”へ ■OSS化は“無料化”ではなく、“ビジネスモデルの転換” → エコシステム(人材・データ・研究成果)で回収 →研究者から一般利用者への民主化 ゲームエンジンの産業界参入:デジタルツインへ Why Industry Joined? ■産業界のリアルタイム3D需要 →DX/DT/トレーニングなどでリアルタイム性が必須に ■GPU/AIの進化 →物理・視覚・行動を統合的に再現したい ■ビジネス:収益構造の変化 →B2CからB2B/DTライセンスモデルへ移行 →B2B課金という新たな重み AI/DT時代の共通データ OpenUSDの台頭:AI/DT時代の共通データ Why Standardized? ■シミュレーションとAI訓練の実現 →AIがシミュレーションしやすいデータ (物理と3Dモデルの統合) ■データサイロの解消 →CAD/PLM/DCCツールの相互運用性 ■エコシステムの標準化 →3Dコンテンツの標準エコシステムの中心的なインフラへ 垂直統合 vs 水平統合:独占か民主化か Why Conflict? ■AIは知の民主化を推進する →オープン・共有・自律 ■産業界は価値の再集中を図る →垂直統合・プラットフォーム支配 ■その接点で生まれるのが「Sim as Infrastructure」 → シミュレーションが産業構造のOSになる時代へ 21
アジェンダ 1. 箱庭とは 2. 箱庭のアーキテクチャ 3. 見て・触れて・わかる。箱庭のデモ集 4. AI/DT時代の潮流を見る • MuJoCo、ゲームエンジン、OpenUSD 5. 箱庭の立ち位置 6. これからの箱庭の進み方 22
箱庭の立ち位置 • 【箱庭の位置:水平統合側】 ├─ 部品化・疎結合による透明性 ├─ 箱庭PDU・時刻同期による標準化 └─ ユーザが選択・理解できる構造 • 【AIの可能性】 • AIが学習曲線を緩やかにする「緩衝材」になり得る • 難しさと透明性を両立する新しいモデル 23
これからの箱庭の進み方 高尚な理想とデモ中心の活動から 思想を継続して育てる施作へ! 1. 教育・研究・実証などの現場と箱庭をつなぐ 2. 箱庭PROシリーズを通じて「課題解決型の共同実装」を進める 24