次世代プラットフォームのセキュリティモデル考察(前編)

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August 12, 16

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セキュリティキャンプ2016 講義資料

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各ページのテキスト
1.

次世代プラットフォームの セキュリティモデル考察 (前編) (株)セキュアスカイ・テクノロジー (株)リクルートテクノロジーズ 長谷川陽介 西村 宗晃 SECURITY CAMP 2016

2.

講義紹介 HTML5やJavaScriptを利用したアプリケーション開発 技術、HTTPによる機器間の通信技術はWebという枠を 超え様々な分野で応用されつつあります。この講義では、 ElectronやCordova、Chromeアプリを題材に、これら 新世代のプラットフォームに備わっているセキュリティ上 の保護機構や、プラットフォームの使用により発生が予見 される問題点などについて考察し、アプリケーション開発 者がどういった点に気を付けなければいけないかの指標 を示せるような技術を身につけることを目的とします。 SECURITY CAMP 2016

3.

はせがわようすけ @hasegawayosuke (株)セキュアスカイ・テクノロジー 常勤技術顧問 セキュリティキャンプ講師 (2008年~) OWASP Kansaiチャプターリーダー OWASP Japanボードメンバー CODE BLUEカンファレンス レビューボード http//utf-8.jp/ jjencodeとかaaencodeとか Black Hat Japan 2008, 韓国 POC 2008、POC 2010、OWASP AppSec APAC 2014他講演多数

4.

WebアプリケーションのJSへのシフト ブラウザの高機能化  HTML5による表現力の向上  JavaScriptの実行速度の向上 JavaScriptプログラミング効率の向上  言語仕様の充実化  プログラミング環境の改善 実行コードのブラウザ上へのシフト  ネイティブアプリからWebアプリへ  従来サーバ側で行っていた処理がクライアントの JavaScript上へ SECURITY CAMP 2016

5.

Webを超えてのHTML+JavaScript Webアプリ以外でもHTML+JavaScriptで開発  HTML,CSS,JavaScriptという標準化された規格  マルチプラットフォームへの移植性  Webアプリで培われた資産や開発環境  開発者の「新しいもの好き」の満足感 新旧さまざまなアーキテクチャ  Microsoft HTML Application  Firefox OS  Apache Cordova / Adobe PhoneGap  Electron / NW.js  Chrome Apps SECURITY CAMP 2016

6.

Webを超えてのHTML+JavaScript Microsoft HTML Application  おそらくもっとも古い(1999年)HTMLによるアプリケーション作成の仕組 み Firefox OS  ブラウザをOSとしてしまうことで、HTML+JSをアプリケーションとして動作 させる Apache Cordova / Adobe PhoneGap  主にスマートフォン向けアプリをHTML+JSで作成可能にするフレーム ワーク Electron / NW.js  node.js+Chromiumでマルチプラットフォームなデスクトップアプリを開 発可能にするフレームワーク Chrome Apps  Chromeを意識させずに利用することで動作するデスクトップアプリ環境 SECURITY CAMP 2016

7.

Webを超えてのHTML+JavaScript 本講義では以下の3種類を対象として取り扱いま す  Electron  Chrome Apps  Apache Cordova SECURITY CAMP 2016

8.

Electronアプリ SECURITY CAMP 2016

9.

Electronアプリ node.jsとChromiumを内包 メインプロセス  アプリケーション全体を統括。node.jsそのもの。 レンダラプロセス  ブラウザ+node.js Electronアプリ メインプロセス IPC レンダラプロセス SECURITY CAMP 2016

10.
[beta]
Electronアプリ
メインプロセス内でレンダラプロセスを生成
package.json
{

}

"name"
: "Application name",
"version" : "0.1",
"main"
: "main.js"

main.js - メインプロセス
let win = new BrowserWindow( {width:840,height:700} );
win.loadURL( `file://${__dirname}/index.html` );

index.html - レンダラプロセス
<html>
<head>...</head>
<body>...</body>
</html>
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11.
[beta]
Electronアプリ
レンダラではブラウザ内でnode.jsが動く

 nodeを無効にすることもできる(デフォルトで有効)
<script>
function foo(){
let fs = require( "fs" );
fs.readFile( "./test.txt", { encoding: "utf-8" },
(err, data)=>{
document.getElementById("main").textContent = data;
}
);
}
</script>
<div id="main">
</div>

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12.

Electronアプリ - WebView 他のサイトをレンダラ内に埋め込む <webview src="http://example.jp/"></webview> iframeと異なりwebview内から外側は完全に 見えない (window.topとか) webviewごとにnode機能の有無を指定可能 <webview src="http://example.jp/" nodeintegration></webview> https://github.com/electron/electron/blob/master/docs/api/web-view-tag.md SECURITY CAMP 2016

13.

Electronアプリのセキュリティ Electronの倒し方 (2016-03-07) http://utf-8.jp/public/2016/0307/electron.pdf Electronのセキュリティその後 (2016-06-29) http://utf-8.jp/public/2016/0629/electron.pdf Electronのセキュリティは難しい? — Mobage Developers Blog (2016-04-28) http://developers.mobage.jp/blog/electron-security SECURITY CAMP 2016

14.

演習 Electronアプリの調査 SECURITY CAMP 2016

15.

演習 : Electronアプリの調査 Electronアプリを調査し、脆弱性や潜在的な脅 威を調べる  Webアプリとして動作しているSNSをパッケージ化し たもの  Electronアプリ、SNSアプリ(WebView内)それぞれ を調べる  具体的な脆弱性でなくてもOK 「こういう条件のときに危険かも知れない」というレベ ルでOK SECURITY CAMP 2016

16.

演習 : Electronアプリの調査 Electronをインストール C:¥foo¥bar¥>npm -g install electron-prebuilt Electronアプリをダウンロード  http://utf-8.jp/camp2016/electron.zip ZIPを展開後、以下のようにするとElectronアプ リが起動する C:¥foo¥bar¥electron>electron . 参考:配布されているElectronアプリの場合  通常はasar形式で 配布される C:¥foo>npm install -g asar C:¥foo>asar e app.asar app C:¥foo>cd app C:¥foo¥app>notepad main.js C:¥foo¥app>electron . SECURITY CAMP 2016

17.

演習 - 答え合わせ Electronアプリの調査 SECURITY CAMP 2016

18.

演習 : Electronアプリの調査 レンダラ(WebView外)でnode機能が有効に なっている  Electronアプリ部分にXSSが存在すると、攻撃者は 何でもできる WebViewでnode機能が有効になっている  SNS内にXSSが存在していると何でもできる  広告が悪意を持つと何でもできる リンククリックで外部コマンドが起動 node-integrationが無効なときにどこまででき る? SECURITY CAMP 2016

19.

演習 : Electronアプリの調査 レンダラ(WebView外)でnode機能が有効に なっている  Electronアプリ部分にXSSが存在すると、攻撃者は 何でもできる WebViewでnode機能が有効になっている  SNS内にXSSが存在していると何でもできる  広告が悪意を持つと何でもできる リンククリックで外部コマンドが起動 node-integrationが無効なときにどこまででき る? SECURITY CAMP 2016

20.

レンダラでnode機能が有効 メインプロセスでBrowserWindow生成時、明 示的に無効にしなければレンダラ内でnode機 能が有効になる // main.js win = new BrowserWindow( {width:840,height:700} ); win.loadURL( `file://${__dirname}/index.html` ); // main.js win = new BrowserWindow( {width:840,height:700, webPreferences:{nodeIntegration:false} } ); win.loadURL( `file://${__dirname}/index.html` ); SECURITY CAMP 2016

21.
[beta]
レンダラでnode機能が有効
レンダラ内にXSSがあれば攻撃者は任意コード
実行が可能になる


<html>
DOM-based XSS
<script>
elm.innerHTML = fs.readFileSync( file, {encoding:"utf8"} );
</script>
....
<webview src="http://example.jp/">
<html>
Content of http://example.jp
</html>
</webview>

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22.
[beta]
レンダラでnode機能が有効
レンダラ内にXSSがあれば攻撃者は任意コード
実行が可能になる
 演習用アプリにも実際にXSSがある
// index.js
wv.addEventListener( "page-title-updated", function( e ){
document.getElementById("info").innerHTML = e.title +
" / electron v." + process.versions.electron +
" node v." + process.versions.node;
document.title = e.title;
}, false );

 デモ: XSSを使って攻撃者が任意コード実行

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23.
[beta]
レンダリングでnode機能が有効
出来る限り{nodeIntegration:false}を指定し
てレンダラでのnodeを無効にする
レンダラ内でnode機能が使いたい場合は
 IPC経由でメインプロセスに処理を任せる
 preload機能を使う

 http://utf-8.jp/public/2016/0629/electron.pdf
 ただし現状(v1.2.5)ではうまく動かない
// main.js
win = new BrowserWindow( {width:840,height:700,
webPreferences : {
nodeIntegration : false,
preload : './preload.js'
}
} );
win.loadURL( `file://${__dirname}/index.html` );

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24.

演習 : Electronアプリの調査 レンダラ(WebView外)でnode機能が有効に なっている  Electronアプリ部分にXSSが存在すると、攻撃者は 何でもできる WebViewでnode機能が有効になっている  SNS内にXSSが存在していると何でもできる  広告が悪意を持つと何でもできる リンククリックで外部コマンドが起動 node-integrationが無効なときにどこまででき る? SECURITY CAMP 2016

25.

WebViewでnode機能が有効 WebView内でnode機能が有効になっている  明示的に指定しない場合は無効 // index.html <webview src="..." id="wv" nodeintegration></webview> // index.html <webview src="..." id="wv"></webview> ※レンダラのnode機能が無効の場合は、レンダラ内 のWebViewのnodeは有効にはできない SECURITY CAMP 2016

26.
[beta]
WebViewでnode機能が有効
WebView内のWebアプリにXSSがあれば攻撃
者は任意コード実行が可能になる

<html>
....
<webview src="http://example.jp/" nodeintegration>
<html>
DOM-based XSS
<script>
elm.innerHTML = xhr.responseText;
</script>
</html>

</webview>
</html>

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27.

WebViewでnode機能が有効 WebView内のWebアプリにXSSがあれば攻撃 者は任意コード実行が可能になる  演習用のSNSにも実際にXSSがある  デモ:XSSを使って攻撃者が任意コード実行 SECURITY CAMP 2016

28.

WebViewでnode機能が有効 WebView内からnode機能が呼び出せる  Webアプリ部分にXSSがなくても、広告提供者に悪 意がある or 広告が汚染されればPC上で任意コー ドの実行が可能 SECURITY CAMP 2016

29.
[beta]
WebViewでnode機能が有効
XSSがなくても広告が汚染されれば任意コード
実行が可能になる


<html>
<webview src="http://example.jp/" nodeintegration>
<html>
<iframe src="広告サイト">
<html>
悪意のある広告
<script>
require("child_process").exec( "calc.exe", null );
</script>
</html>
</iframe>
</html>
</webview>
</html>

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30.

WebViewでnode機能が有効 出来る限りwebviewタグでnode機能を有効に しない webview内でnode機能が使いたい場合は preload機能を使う <webview src="..." preload="./preload.js"></webview>  BrowserWindowのpreloadは動作しないが、 WebViewのpreloadは動作する SECURITY CAMP 2016

31.

演習 : Electronアプリの調査 レンダラ(WebView外)でnode機能が有効に なっている  Electronアプリ部分にXSSが存在すると、攻撃者は 何でもできる WebViewでnode機能が有効になっている  SNS内にXSSが存在していると何でもできる  広告が悪意を持つと何でもできる リンククリックで外部コマンドが起動 node-integrationが無効なときにどこまででき る? SECURITY CAMP 2016

32.
[beta]
リンククリックで外部コマンドが起動
URLクリック時にOSのブラウザを起動させたい
// index.js
const {shell} = require('electron');
wv.addEventListener( "new-window", function( e ){
shell.openExternal( e.url );
}, false );

URLとしてfile://C:/windows/notepad.exeな
どが与えられるとそれが起動する

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33.
[beta]
リンククリックで外部コマンドが起動
shell.openExternalにはhttp、httpsのみを与
えるようにする
// index.js
const {shell} = require('electron');
wv.addEventListener( "new-window", function( e ){
if( /^https?:¥/¥//.test( e.url ) ){
shell.openExternal( e.url );
}
}, false );

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34.

演習 : Electronアプリの調査 レンダラ(WebView外)でnode機能が有効に なっている  Electronアプリ部分にXSSが存在すると、攻撃者は 何でもできる WebViewでnode機能が有効になっている  SNS内にXSSが存在していると何でもできる  広告が悪意を持つと何でもできる リンククリックで外部コマンドが起動 node-integrationが無効なときにどこまででき る? SECURITY CAMP 2016

35.

node機能が無効なとき レンダラでnodeが無効なときはどこまで安全?  XSSがあればアプリ内の機能は自由に呼び出せる  画面に偽情報の表示は可能  偽ログイン画面など WebViewでnodeが無効なときはどこまで安全?  XSSがあればWebアプリとしては通常のXSSと同じ だけの脅威  XSSがなくても広告が悪意を持てば偽情報の表示 は可能  偽ログイン画面など SECURITY CAMP 2016

36.

Chrome Apps SECURITY CAMP 2016

37.

Chrome Apps Chromeを意識させることなくHTML+JSをアプ リのように実行 https://developer.chrome.com/apps/about_apps 使いたい機能を事前にmanifest.jsonで定義 { ..., "permission" : [ "clipboardRead", "fileSystem" ], ...} Content Security Policyがデフォルト有効  インラインのスクリプトやevalなどは使えない https://developer.chrome.com/apps/contentSecurityPolicy XSSが発生しても被害が限定的 SECURITY CAMP 2016

38.

Apache Cordova SECURITY CAMP 2016

39.

Apache Cordova …は西村さんにバトンタッチ SECURITY CAMP 2016

40.

質問? [email protected] [email protected] @hasegawayosuke http://utf-8.jp/ SECURITY CAMP 2016