政治資金界隈エンジニアから見た2025年版政治資金デジタル化のこれまでの動きと今年のハイライト

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December 30, 25

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Omotesando.rb #116 のLTで使用したスライドです

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政治資金界隈エンジニアから見た 2025年版 政治資金デジタル化のこれまでの動きと 今年のハイライト 小林 ノエル Omotesnado.rb#116

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■ 小林 悟史(小林 ノエル) @free_world21 ■ 本業:ブルーモ証券株式会社 取締役CTO – 米国株・米国ETF専業の長期資産形成特化型 の投資アプリを提供するFintechスタートアッ プ https://bloomo.co.jp/ ■ 10年+ ほどフリーランスエンジニア – 途中事業会社の中の人もやった ■ 2022〜:ブルーモ証券株式会社を創業 ■ 趣味1:旅行・世界のコワーキングスペースめぐり (ワーケーション的な何か) THE FARM@NY ■ 趣味2:趣味プロ=政治資金データベースの開発 (本日のお題) CARR WORKPLACE@Chicago

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おさらい:こんなことしてます AI(画像処理、OCR等)による政治資金収支報告書の分析・解析 Python & Django 日本全国の選挙管理委員会の HPをクロールして政治資金 収支報告書を取得 (インターネット公開されて いるもののみ) Rails 解析結果をWEBサービスとし て公開 オープンソースOCRエンジンな どをもとに政治資金収支報告書 の読み取りAIを開発

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おさらい: こんなの作りました【政治資金データベース】 https://political-money-db.com/ Ruby も 使って開発してるのでRubyの周辺技術の話でもある!

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今日の話: 2025年は政治資金のデジタル化に大きな波が来た1年だった ■ 政治資金のデジタル化に関する問題は長らく硬直していた ■ 2020年代に入ってから動きが活発化してきた ■ 2025年は特に動きの多い年だった ■ 年末だし、政治資金界隈エンジニア(*) としていったんまとめておきたかった ■ (*)そのような界隈が存在するかは知りません

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政治資金収支報告書に関する歴史と流れ ■ 1948(昭和23)年:政治資金規正法が制定 – 政治資金収支報告書は作成・提出は当初から義務化されていた – 当然ながら紙 ■ 1994(平成6)年:平成の政治改革四法 – 衆議院が中選挙区制から小選挙区制に変更 ■ ■ ■ – – 政党交付金(原資は税金)の交付を開始 企業・団体献金の原則禁止 ■ ■ – 中選挙区時代は同じ選挙区で同じ政党の候補者が競合してた 政党(政策)本位の競争に軸足を移すのが狙い なお参議院は今でもいわゆる中選挙区制 政治家個人に対しての直接寄付は禁止 ただし抜け穴が山程ある状態だった 政治資金収支報告書の作成・提出は依然として紙 ■ 2004(平成16)年:総務省が収支報告書のインターネット公表を呼びかけ始める ■ 2010年代:都道府県の選挙管理委員会のHPで収支報告書のネット公表が徐々に広がる – 紙をスキャンしただけのPDF ■ 2024(令和6)年:すべての都道府県が収支報告書のネット好評するようになる – 引き続き紙スキャンPDF

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参考情報:最後までネット公表しなかった都道府県 参考URL: Wikipedia【政治資金収支報告書】 https://ja.wikipedia.org/wiki/政治資⾦収⽀報告書

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政治資金収支報告書の届出オンラインシステム ■ 2005年から総務省が開発・提供するシステム 参考URL:朝日新聞『進まぬ政治とカネのデジタル化 36億円投じて利用1%』 https://digital.asahi.com/articles/ASNDC75JJNCTUTIL024.html ■ 全然利用されてない – 収支報告書を作成できる専用ソフト(excel)を提供 – そのexcelファイルをアップロード ■ ただし、あくまで 提出が オンライン化されただけ – 従来:収支報告書を作成&印刷→選管の窓口で提出 – 届出オンラインシステム:excelで作ったものをそのままアップロード – おそらくだが、提出を受け付けた選管内部では紙に印刷してチェックしたりしてる んだと思う – 事実として、最終的に公表される形式は【紙をスキャンしたPDF形式】

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政治資金収支報告書のデジタル化をめぐる流れ ■ 国も一応は努力してきたが、大きな進展はなかった – 唯一最大の成果:20年かけて紙をスキャンしたPDFが公開されるようになったこと ■ 公表されたものをデジタル化・集計作業は民間の有志に依っていた – 代表例:政治資金センター ■ – https://www.openpolitics.or.jp/ OCR機能付きのスキャナでスキャンして再公開 ■ 技術的なハードル – 実用的で精度の良い日本語OCRがない or 高価 – 手書きも多い – OCRした結果の検証 ■ 結局『人手でやるのが一番確実』が長く続いた – 当然ながら膨大なお金と時間がかかる手法 ■ 金になる領域ではない(市場がない or 極めて小さい) ■ 継続的な活動は困難、八方塞がりだった ■ 政治資金収支報告書のデジタル化は絶望視されていた・・・🥲 参考URL:朝日新聞『政治資金収支報告書、公 開団体が苦境 桜を見る会で注目』 https://www.asahi.com/articles/ASM CR5H2MMCRUJUB004.html

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絶望視されていた 政治資金 デジタル化に

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大きな変革が 訪れる

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小林ノエル 参入! 参考URL:NEWSポストセブン『【「政治とカ ネ」にAIで斬り込む】政治資金収支報告書「ア ナログすぎるPDFの1000ページ超」を一晩でデ ジタル化する技術 開発者に聞いた』 https://www.newspostseven.com/archives/20240404_1953 489.html

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すいません、調子乗りました ■ 実際、政治資金収支報告書のデジタル化に関する問題をIT・AI技術で解決しようとしてい る人はほぼいなかった – 個人がちょっと頑張って作りましたレベルでニュースになるくらい ■ 2021年(衆議院選挙):【政治資金データベース】を公開 ■ 2022年(参議院選挙):機能拡張&公開団体を増やした – この年にブルーモ創業&あまり開発できなくなる – 機能拡張公開日にまさかの安倍元総理銃撃事件🥲 – 以降は本業が忙しくなり、あまり開発できてない ■ 2023年:不記載問題勃発&表面化で再び世間の関心と不満が強まる ■ 2024年:衆議院選挙で与党大敗、政治資金のデジタル化の法制化が少しすすむ – オンラン提出とネット公表の義務化(←いまさら) – 収支報告書のデータベース化(データでの公表)も法制化。2027年施行。

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2025年 ビッグウェーブ が起きる Made by チャッピー

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2025年の大変革:新規プレイヤーの参入その1 ■ 政治資金収支報告書データベース – https://political-financedatabase.com/ – 一般社団法人政策推進機構 – 西田尚文 氏 ■ 小林の政治資金データベースと同じアプローチ – 紙で公表されている収支報告書をIT技術で データ化 ■ 2025年の夏にクラウドファンディングも実施 – https://campfire.jp/projects/854626/view – 600人の支援者、1200万円の支援額 ■ お知らせ欄は 2025/7/15 以降は大きな動きな し 参考URL:ReHacQ YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/watch?v=3Hfp r-_7Ykg&t=8s

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2025年の大変革:新規プレイヤーの参入その2 ■ まる見え政治資金 – 2025年の参議院議員選挙を経て国政政党に なった【チームみらい】が開発したツール ■ OSSとして公開済み – https://github.com/team-miraivolunteer/marumie ■ 政治団体側に導入するシステム – 政治団体の会計システム(MF、freee等)と 連携 – そのデータを外部公開用に整えて公開できる というもの ■ 政治団体側に導入させるものなので道のりは長そ う – 問題の根本を解決しに行ってる姿勢はさすが – 国政政党だからできるムーブ 参考URL:新党「チームみらい」公式チャンネル https://www.youtube.com/watch?v=D48k1uXHa Fk

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2025年版(IT技術を基盤とした) 政治資金デジタル化プレイヤーまとめ 政治資金データベース 政治資金収支報告書 データベース https://political-financedatabase.com/ まる見え政治資金 URL https://political-moneydb.com/ 運営 小林ノエル 一般社団法人 政策推進機構 (代表:西田尚文) チームみらい (党首:安野貴博) 主な財源 ない クラウドファンディング等 政党交付金(原資は税金) アプローチ 公開されたPDFを デジタル化 公開されたPDFを デジタル化 政治団体内部の会計データをデジタル化 ソースコード 非公開 非公開 https://github.com/team-miraivolunteer/marumie 使用言語 Python & Ruby ? TypeScript OCR基盤技術 OSS OCRエンジン →LLMベースに書き換えたい ? N/A https://marumie.team-mir.ai/o/team-mirai プレイヤー側も大きく動いた1年だったので今後の展望は明るい!

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相談:政治資金データベースどうしよう・・・? ■ 当然ながら、本業のブルーモ証券の仕事が忙しいので開発する時間はほとんど持ててま せん ■ このままだと開発再開できるの数年後になりそう ■ 趣味でやってるし、ランニングコスト(S3 & CloudFrontで静的ホスティング)も数十 〜数百円なので別にそれまで放置でもいい ■ 一方で、思い切ってOSS化とかしてコミュニティーベースへの活動にさせるのもあり? – ク◯コードなので恥ずかしい🫣 ■ チームみらいとはアプローチが違うので活動のコンフリクトはしない – 政治資金収支報告書データベースとはおもいっきりバッティングする ■ 懇親会のネタとして是非ご意見ください

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ブルーモ証券のほうも引き続きよろしくお願いします🙏 We are Hiring! https://bloomo.co.jp/careers