ニューラルネットワークって何だろう

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May 26, 26

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高専1年生用の講演資料です

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1.

ニューラルネットワーク って何だろう 伊藤彰則 1

2.

自己紹介 • Akinori Ito 伊藤彰則 • 東北大学(博士)→(就職)→東北大学→山形大学→東 北大学→茨城高専 • 学部時代(1980年代)に人工知能を志して夢破れる • 気を取り直して音声認識の研究に従事 • これまでの主な専門分野 ➢ ➢ ➢ ➢ ➢ 音声認識・音声合成 音声・マルチモーダル対話システム 音声・オーディオ符号化 音声による言語学習 音楽情報処理 2024/2/2 at Shenzhen, China 2

3.

現代のさまざまなAIシステム AIチャット(ChatGPTなど) 画像認識 音声認識 音声合成 Generated by Copilot • これらはすべて「ニューラルネットワーク」(ニューラルネット)という技術に基づいて作ら れています • ニューラルネットとは何?なぜこんなことができるの? 3

4.

本日のねらい ◦ 「AIチャットはどうやって動いているのか」という内容にしようと思ったが、 内容が難しすぎるので受講生に伝わらない可能性が高い ◦ AIチャットなどの基礎になっている「ニューラルネットワーク」の原理につ いて、1年生にもわかる難易度で説明する ◦ AIチャットそのものの話は、また次回に・・・ 4

5.

本日の目標 ◦ 「ニューラルネットワーク」(ニューラルネット)とは何なのかがわかる。 ◦ ニューラルネットとは「計算のしくみ」(計算モデル)。 ◦ ニューラルネットがどのような構造なのかがわかる。 ◦ 1次関数と「スイッチ」のようなしくみを1つの「ユニット」(ニューロン)として、それをたくさん組み 合わせることで計算をする。 ◦ ユニットを並べて「層」を作り、それを積み重ねることでネットワークの規模を大きくしていく。 ◦ ネットワークの「学習」とは何かがわかる。 ◦ ニューラルネットに何かをさせるときには、やり方を直接プログラムするのではなく、処理の例を たくさん与えて、自動的にその処理ができるようにネットワークを調整する。 ◦ 与えられたデータがうまく処理できるように、各ユニットの変数(パラメータ)を少しずつ調整す ることを「学習」と呼ぶ。 5

6.

AIは数学の世界 数学 発明・理解 インスピレーション システム開発 AI技術 情報科学 ビジネス 応用 人文学 生物学 物理学 工学 6

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前提知識 1次関数 𝑦 ◦ 1変数の1次関数 𝑧 = 𝑎𝑥 + 𝑏 ◦ 2変数の1次関数 𝑧 = 𝑎𝑥 + 𝑏𝑦 + 𝑐 絶対値 |𝑥| 一般的な関数とグラフ 値xに対してyが 1つ決まればよい 𝑥 𝑂 統計とグラフ ◦ 折れ線グラフ ◦ 箱ひげ図 ◦ 3次元グラフ(ヒートマップ) プログラミング(Pythonなど) z = 𝑓(𝑥, 𝑦) 7

8.

1次関数 (1変数)1次関数 𝑦 = 𝑓 𝑥 = 𝑎𝑥 + 𝑏 1次関数の「1次」って何? → 関数の定義に変数の1次の項(𝑥 1 = 𝑥)だけを含む ◦ 𝑥 2 が入ってると「2次関数」たとえば 𝑦 = 𝑎𝑥 2 + 𝑏𝑥 + 𝑐 変数は1個でなくてもよい ◦ 𝑧 = 𝑓 𝑥, 𝑦 = 𝑎𝑥 + 𝑏𝑦 + 𝑐 ◦ 変数の1次の項だけを含んでいるので、これも1次関数 ◦ 2つの数字の組(𝑥, 𝑦)に対して、𝑧が一つ決まる関数 𝑧 𝑧 = 𝑓(𝑥, 𝑦) 𝑦 (𝑥, 𝑦) 𝑥 8

9.

絶対値 中学では「数直線上の原点からの距離」と習う 𝑥 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 𝑦 𝑦 = |𝑥| 5 𝑥の絶対値 5 4 3 2 1 0 1 2 3 4 5 𝑥 𝑂 𝑥の絶対値を|𝑥|と書く ◦ 0 = 0, 1 = 1, … ◦ −1 = 1, −2 = 2, … 場合分けで書くこともできる もし𝑥 ≥ 0なら 𝑥 𝑥 =ቊ 𝑥 < 0なら −𝑥 −1 = − −1 = 1 9

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アヤメの仲間 ドイツアヤメ キショウブ (Iris germanica) (Iris pseudacorus) 馬渡はにわ公園で撮影 10

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簡単なAI(?)システム 簡単なものから始めてみましょう 花の形から、何の花かを当てる • 花弁の長さや幅が花の種類で異なる ブルーフラッグアイリス (Iris versicolor) バージニアアイリス (Iris virginica) がく片 (外花被片) 花弁 (内花被片) From Wikipedia. Photo by Danielle Langlois From Wikipedia. Photo by Frank Mayfield 11

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元ネタ 12

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花弁の長さ 2つの種で花弁の長さに違いがあるが、一部重なっている ここからどうやって 花を当てるか? 13

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長さから花を当てる 例えば 「花弁の長さ 𝑥 がある値 𝐿 よりも長ければバージニアアイリス (virginica)、そうでなければブルーフラッグアイリス(versicolor)」 Pythonを知っている人なら def iris(x,L): if x > L: return “virginica” else: return “versicolor” 14

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ちょっとだけ違うやり方 「値が正ならバージニアアイリス(virginica)、そうでなければブ ルーフラッグアイリス(versicolor)」という値を作る Pythonを知っている人なら def iris(x,L): z = x-L if z > 0: return “virginica” else: return “versicolor” 15

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何が違うのか? 「値が正か負か」を計算するところはもっと工夫することができ る そのあとの判断の部分は共通 def iris(x,L): z = 何かめんどくさい計算 if z > 0: return “virginica” else: return “versicolor” 16

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めんどくさい計算の部分 1次関数 𝑧 = 𝑥 − 𝐿 ◦ 1次関数は「観測値から何かを当てる」ことに使える ◦ 𝐿は「しきい値」(それより大きいか小さいかで判断を変える値) 𝐿はどうやって決めるのか ◦ データを用意して、そのデータから最もよく花が当てられる値 にする 17

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余談:敷居(しきい) 民家の入り口の扉やふすまの下の部分。戸をすべら せる溝が付いていて、床よりも一段高い。 慣用句 ◦ 敷居が高い ◦ 敷居をまたぐ 英語: threshold Generated by Copilot Generated by Copilot 18

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Lを決めたときにどれだけ当たるか 例えば 𝐿 = 4.5 としてみると… 番号 花弁の長さx x-L 推定 正解 1 5.0 0.5 Virginica Virginica 2 3.3 -1.2 Versicolor Versicolor 3 6.0 1.0 Virginica Virginica 4 6.1 1.1 Virginica Virginica 5 4.3 -0.2 Versicolor Versicolor 6 5.1 0.6 Virginica Versicolor 7 5.1 0.6 Virginica Virginica 8 3.8 -0.7 Versicolor Versicolor 𝑥 − 𝐿が正なら virginica、負なら versicolor と判断する 全データ数 8 推定と正解が合った個数 7 正解率 7/8=0.875 (87.5%) 19

20.

データからしきい値Lを決める 2種類の花について、各50のデータから正解率を求めた 93% 20

21.

1つの数字では足りない 番号 花弁の長さx 正解 1 5.0 Virginica 2 3.3 Versicolor 3 6.0 Virginica 4 6.1 Virginica 5 4.3 Versicolor 6 5.1 Versicolor 7 5.1 Virginica 8 3.8 Versicolor 長さxの値が同じなのに違う種類! 何かそれ以外の要素を考えないと区別ができな い 21

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2つ以上の数字を考慮する 花弁の 幅y 花弁の 長さ x 番号 花弁の長さx 花弁の幅y 正解 1 5.0 2.0 Virginica 2 3.3 1.0 Versicolor 3 6.0 2.5 Virginica 4 6.1 2.3 Virginica 5 4.3 1.3 Versicolor 6 5.1 1.6 Versicolor 7 5.1 2.4 Virginica 8 3.8 1.1 Versicolor 22

23.

1次関数を組み合わせる 2変数の1次関数 𝑧 = 𝑥 + 𝑎𝑦 − 𝐿 ◦ 𝑎と𝐿に適切な値を入れる ◦ 𝑧 = 𝑎𝑥 + 𝑏𝑦 − 𝐿 でもよい 図ではこんな感じで書く 𝑥 𝑦 1 ×1 ×𝑎 + 𝑧 こんな感じの1次関数による判定方法を 「単純パーセプトロン」と呼ぶ × (−𝐿) 23

24.

1次関数を組み合わせる 2変数の1次関数 𝑧 = 𝑥 + 𝑎𝑦 − 𝐿 ◦ 𝑎と𝐿に適切な値を入れる ◦ 𝑧 = 𝑎𝑥 + 𝑏𝑦 − 𝐿 でもよい 図ではこんな感じで描く 𝑥 𝑦 1 ×1 ×𝑎 × −𝐿 + 𝑧 図を描くときは定数入力を 省略することが多い 𝑥 𝑧 𝑦 24

25.

「めんどくさい計算」の部分 2変数の1次関数 𝑧 = 𝑥 + 𝑎𝑦 − 𝐿 ◦ 𝑎と𝐿を変えながら正解率を測ってみる 2種類の花について、各50の データから正解率を求めた 𝑎 = 0.7, 𝐿 = 6.0 正解率96% 93% この行はさっきのグラフと同じ L 25

26.

「モデル」とは このような「めんどくさい計算」の部分を「モデル」と呼ぶことが多い 「モデル」とは? モデル(プラモデル) • 本物ではない • 本物と似ている • 本物を知るために参照で きる 本物 Generated by Copilot 26

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「モデル」とは 入力 自然界での謎の過程 (人間の知覚や言語 能力など) 出力 本物の現象 入力 数式で表した入出力の関係 コンピュータで再現できる 自然界の近似になっている 出力 モデル (数理モデル) • 本物ではない • 本物と似ている • 本物を知るために参照できる 1次関数も「モデル」の一種 27

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1次関数だとできないこと 右図のように赤い点と青い点があるとき、赤い点のほうが青い 点より値が大きくなるような式 𝑧 = 𝑎𝑥 − 𝐿 は構成できるか? 答:できない 𝑥 0 1 3 5 ◦ 𝑧 = 𝑎𝑥 − 𝐿は直線なので、青い点から計算した z は必ず2つの赤い 点から計算した値の中間の値になるから 𝑧 1次関数では原理的に解けない問題がある ◦ 最初期のAI(第1次AIブーム、1960年前後)では、判断のための関 数として1次関数が使われていた(単純パーセプトロン) ◦ パーセプトロンの発明者ローゼンブラットは、「(将来のパーセプトロ ンは)文字認識や音声認識だけでなく、自らを複製し、自分の存在 を意識するようになるだろう」のような話をしていた (NYT, 1958) ◦ 1960年終わりごろに単純パーセプトロンで解けない問題があるこ とが指摘され、第1次AIブームは終わる 0 𝑥 28

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余談:AIの冬 AI(人工知能)に関して、熱狂的ブーム(夏)とその反動(冬)が何度か繰り返された ◦ 第1次ブーム(1950年代後半~1960年代) ◦ 1956年に「人工知能」(Artificial Intelligence)という言葉が発明される ◦ パーセプトロン、数学の定理証明など ◦ 冬の時代(1970年代) ◦ 第2次ブーム(1980年代) ◦ ニューラルネットワーク ◦ エキスパートシステム この辺りまでは、知能の実 現のために、「ルールによる 記号の処理」と「ニューラル ネットワーク」のどちらが適 しているかの論争があった ◦ 冬の時代(1990年代) ◦ 第3次ブーム(2000年代~) ◦ 機械学習の手法の発達 ◦ 深層学習の発展 29

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余談:かつてAIだったもの ◦ 最短経路問題(カーナビ等で出発地と到着地の最短経路を求める) ◦ 文字認識(OCR) ◦ かな漢字変換 ◦ 数式処理(数式の展開や因数分解などのプログラム) ◦ データベース 技術が一般化するとAIと呼ばれなくなっていくが、いまの対話AIはどうなるか? 30

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なんとかなりませんか 「スイッチ」のような関数を使う ◦ 𝑅 𝑥 =ቊ 𝑥 0 こう書くこともできる 𝑥 + |𝑥| 𝑅 𝑥 = 2 𝑥≥0 𝑥<0 𝑧 = 𝑅 𝑥 − 3 + 𝑅 −𝑥 + 3 = 𝑧 𝑥 − 3 + |𝑥 − 3| −𝑥 + 3 + | − 𝑥 + 3| + 2 2 𝑥 − 3 + | − 𝑥 + 3| = 2 = 𝑥−3 𝑅(𝑥) 𝑥×1−3 𝑥 赤の点の値のほうが 大きい! 𝑥×1 + 𝑥 × (−1) + 3 𝑅(𝑥) 𝑧 0 𝑥 𝑥×1 31

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1次関数よりも複雑に ◦ 𝑅(𝑥)のような関数を「活性化関数」(アクティベーション)という ◦ 入力の数字に係数をかけて、すべて足したものに活性化関数を適用するのが「基本単位」 (ユニット、人工ニューロン) 𝑥1 𝑎1 𝑥2 𝑎2 𝑎3 𝑅(𝑎1 𝑥1 + 𝑎2 𝑥2 + 𝑎3 𝑥3 + 𝑏) 𝑦 𝑥3 32

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ニューロン 生物の神経細胞 ◦ 感覚器官から中枢神経系に信号を送り、また末梢神経系に信号を送る ◦ 人工ニューロンはニューロンの働きを簡略化してシミュレーションしている 樹状突起 軸索末端 軸索 ミエリン鞘 核 シナプス 33

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3層パーセプトロン 入力層からいったん1次関数と活性化関数を適用して(中間層)、その結果をまた1次関数に かけて最終的な値(出力層)を計算する「3層パーセプトロン」 ◦ 3層パーセプトロンでは、中間層のユニットの数をいくつでも増やして良くて、かつ掛けたり足した りする値を適切に設定すれば、原理的にはどんな関数でも近似できることが知られている 入力層 中間層 出力層 「原理的に可能」と「実際 に実現可能」は同じとは 限らない 34

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層を重ねる 本物のニューロンは複雑にからみあっているが、人工ニューロンでそれをやると設計が難し いので、「層」を重ねて複雑度を上げる 入力層 中間層 出力層 中間層と出力層のニューロン には、決めなければいけない 値(𝑎1 , 𝑎2 , 𝑎3 , 𝑏)がある (モデル)パラメータ この例ではニューロン11個×4で44の パラメータがある 𝑅(𝑎1 𝑥1 + 𝑎2 𝑥2 + 𝑎3 𝑥3 + 𝑏) 35

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パラメータを決める 複雑なニューラルネットでは数万~数千億ものパラメータがある →どうやって決める? ◦ 先ほどのように「パラメータを少しずつ変えて、一番よい値を探す」という方法は実質的 に不可能 ◦ 1つのパラメータを5通り試したとして、パラメータが100個あれば組み合わせは5100 ≈ 1070 通り ◦ 1通りの計算に1𝜇𝑠 = 10−6 秒かかるとすると、全探索に1064 秒=2.50 × 1056 年(2.5阿僧祇年) ◦ 万→億→兆→京→垓→秭→穰→溝→澗→正→載→極→恒河沙→阿僧祇→那由他→不可思議→無量大数 ◦ 入力データと、それに対して出力してほしい出力データの組をたくさん用意する (学習データ) ◦ 最初はパラメータを適当に決める ◦ 入力データをニューラルネットに入れたとき、出力が用意した出力データに近くなるよう に、少しずつパラメータを修正する(学習) ◦ ニューラルネットの出力が用意した出力に十分近くなるか、あるいはこれ以上出力が改 善しなくなったら学習を止める 36

37.

パラメータを決める 学習方法(アルゴリズム)の概要(誤差逆伝播法、バックプロパゲーション、BP法) 学習データ 入力 パラメータを 適当に決める 出力 正解 入力 出力が正解に近づくように パラメータをちょっとだけ変える 37

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誤差逆伝播法(BP法) BP法を普及させたのはジェフリー・ヒントン氏(2024ノーベル物理学賞)だ が、BP法をニューラルネットに初めて適用したのは東京工業大学(現東京科 学大学)名誉教授の甘利俊一氏。 問題点 ◦ パラメータの多いニューラルネットを学習するには大量の学習データが必要 ◦ 学習データが多いと学習に時間がかかる ◦ 学習データに対しては正確な出力が得られても、学習データに含まれない同種のデータ に対しては出力がおかしくなる場合がある(過学習) 38

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ニューラルネットの学習の様子 z 𝑅(𝑥) 𝑥 1 𝑅(𝑥) 𝑅(𝑥) 𝑧 -1 O x 1 39

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ニューラルネットの学習の様子 40

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ニューラルネットの学習の様子 41

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深層学習モデル (ディープニューラルネットワーク) 3層パーセプトロンを使うと、理論的にはどんな関数でも近似できる しかし実際には、学習をしても性能が上がらず、ほかの機械学習モデルに後れを取っていた 中間層を多くしたモデルも使われていたが、 層を深くすると学習が進まなくなり、性能が上がらなかった 42

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深層学習モデル (ディープニューラルネットワーク) 2010年ごろに、活性化関数の工夫やネットワーク構造、学習アルゴリズムの工夫によって、 非常に層が多いモデルでもうまく学習ができるようになった →ディープニューラルネットの誕生 Google による画像認識モデルの例 (GoogLeNet) 43

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深層学習モデル ResNet ResNet-34は34層からなる画像認識モデル [He et al., 2016] ◦ 画像に適した「畳み込みニューラルネットワーク」という構造 ◦ 「残差接続」という特殊なネットワークを多数積み重ねる ResNetにはほかにも18,50,101,152層のモデルがある 44

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深層学習モデル Transformer 現在の大規模言語モデル(LLM)の基礎になるモデ ル ◦ アテンション(入力の系列間の関係を出力に反映させ る仕組み)を導入 ◦ 長い文章を入れたときに、内容全体が出力にどう反映 するかを考慮できる ◦ Transformerの論文 Vaswani, Ashish, et al. “Attention is all you need.” Advances in neural information processing systems 30 (2017) は 24万回以上引用されている Layer Normalization + FC×2 Layer Normalization + Multi-Head Attention Key Value Query 45

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アテンション(注意機構) 入力文の中の各単語同士 の類似関係を調べ、それを 出力に反映させる仕組み 入力 × × × + 出力 それぞれの入力は配列(中身 は数値)で、単語の意味を表現 したもの(単語埋め込み) 入力 46

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GPT Transformerをベースにした大規模言語モデルの 一種 ◦ Generative Pretrained Transformer (事前学 習済み生成トランスフォーマー)の略 ◦ Transformerブロックをたくさん積み重ねた構造を基 本とする ◦ さまざまなデータと学習方法による学習 モデル 発表年 パラメータ数 学習データ量 GPT-1 2018/6 0.117×109 4.5GB GPT-2 2019/2 1.50×109 40GB GPT-3 2020/6 175×109 570GB GPT-3.5 2022/3 非公開 非公開 GPT-4 2023/3 非公開 非公開 単語系列(2048) Transformerブロック ×96層 単語埋め込み層 単語系列(2048) GPT-3の構造 47

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おまけ 48

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茨城高専生成AI利活用ガイドライン 生成AI(主にAIチャット)を「思考時間を増やすための道具」として利用する 現代社会は多様化し複雑化し続けています。そのような社会で生き抜くためには、「自分の頭を使って考 えること」が重要となってき ます。自分の頭を使って考えるには、多くの時間が必要です。場合によって は「答え」が出ず、一見すると「無駄な」時間が過ぎてしまう かもしれません。しかし、そのような時間 はけっして「無駄」ではありません。自分の頭を使って答えを求めようとする時間にこそ「学び」 の本質 があるのです。 では、生成 AI をどのように利用すれば、私たちの「学び」に役立つのでしょうか。それは、生成 AI を 私たちの思考時間を増やすため の道具として利用することです。生成 AI を利用して私たちの思考時間を増 やすには、たとえば次のような方法が考えられます。 生成 AI を利用して私たちの思考時間が増える場合(=生成 AI の適切な使用方法): • アイデアの精緻化を促進するためのブレインストーミングパートナーとして使う • 別のアイデアを生み出すための情報収集や整理に活用する • 自分の偏った考え(バイアス)の補正に必要となる多角的なヒントを受け取る 上のような場合には、私たちの思考時間は増えていきます。しかし、下のような場合には、私たちの思 考時間が減ってしまいます。 • 生成 AI を使うことで私たちの思考時間が減ってしまう場合(=生成 AI の不適切な使用方法): • 自分の頭で考えるべき問題をすべて生成 AI に考えさせる • 自分の思考過程をスキップして生成 AI から結論だけを得る 生成 AI から与えられた情報を吟味することなく、すべて自分の考えにしてしまう これらは、生成 AI を使うことで私たちの思考時間が減ってしまう例です。このような使用法は絶対に避 けなければなりません。 では、生成 AI の使用法が適切かどうか判断するために、私たちは何をすればよいのでしょうか。それ は、《生成 AI を利用すること で私たちの思考時間が増えていくかどうか》を自分で考えることです。生成 AI を利用することで私たちの思考時間が増えていく場合 は、生成 AI を適切に使用していると考えてよいで しょう。一方、生成 AI を使ったことで私たちの思考時間が減ってしまう場合には、 生成 AI を適切に使用 していないと考えられますので、そのような使用法はやめるべきでしょう。 Generated by Copilot 49

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参考:国際高専 1. 推奨される活用方法 推奨される活用方法として、以下のものがあげられます 。 ブレインストーミング ◦ アイデアの壁打ち、多角的な視点の獲得、構成案の検討など。. 学習・プログラミング支援 ◦ 語学学習における例文作成や文法チェック、プログラミングにおける エラー原因の究明や改善案の提示(ただし、コードの丸写しは禁止)。 2. 利用上の注意と責任 AIを利用して作成された成果物に関する一切の責任は、作成者である学 生本人にあります 。 出典の明記 ◦ 生成AIを何らかの形で利用した場合は、使用したAIの名称、プロン プト(指示文)、使用箇所などを明記するようにしてください。 事実確認と技術的な限界の理解 ◦ 生成AIはもっともらしい嘘(ハルシネーション)を出力することがあり ます。常に事実確認(ファクトチェック)をおこなうようにしてくださ い。 著作権・知的財産権の尊重 ◦ 生成AIの利用にあたっては、他者の著作権、肖像権、商標権などの知 的財産権を侵害しないよう十分注意してください 。AIが生成した成 果物を利用する際、既存の著作物に係る権利を侵害しないか、自ら確 認・判断する責任があります。 AI生成物のそのままの提出 ◦ レポート、エッセイ、プログラムコード、これらをAIに作成させ、自分の 成果物として提出することは剽窃(盗用)に当たります。一部を改変・ 翻訳した場合でも、主要なアイデアや構成がAIに依存している場合は 不正とみなされます 。 機密情報・個人情報の入力 ◦ 他者の氏名・住所などの個人情報、および研究データなどの機密情報 をAIに入力してはいけません 。AIサービス提供事業者の利用規約に よっては、入力されたデータがAIの学習や改善に利用され、意図せず 第三者と共有されたり、他のユーザーの出力に反映されたりするリス クがあるためです 。 倫理的な利用と有害なコンテンツの生成禁止 ◦ 差別、偏見、ハラスメント、誹謗中傷など、他者の権利や尊厳を侵害す るコンテンツの生成・拡散を目的としてAIを利用してはいけません。 4. 授業における対応 授業や課題における生成AIの利用可否、許容範囲は、各科目の担当教員 が定めます。科目や課題の性質によってルールが異なるため、必ず担当教 員の指示に従ってください 。指示がない場合は、原則として使用を控え るとともに事前に確認してください。 3. 禁止事項(不適切な利用) 以下の行為は、学業と情報セキュリティの観点から禁止します 。 50

51.

参考:和歌山高専 (1) 「AIの利用は、憲法および国際的な規範の保証する基本的人権を侵 すものであっては ならない。AIは、人々の能力を拡張し、多様な人々の多 様な幸せの追求を可能とするために開発され、社会に展開され、活用され るべきである。」という「人間中心の原則」があり、和歌山工業高等専門学 校においても同様である。生成AIと人間との関係を対立的に 捉えたり、 必要以上に不安に思ったりするものではない。生成AIは、人間の道具を 補助、 拡張し、可能性を広げてくれる有用な道具になり得るが、その出力 があくまでも「参考の ひとつ」であることを認識する必要があり、出力そ のものが誤った情報で作成されるリスク、懸念を踏まえつつ、最後は人間 が判断し、責任を持つことが重要である。 (2)学生の学びにおいて、生成AIが高専教育の向上に寄与する可能性が 示されている半面、 生成AIが利活用されることにより教育効果が下がる 可能性もあり、教育活動の目的を達成する観点から吟味をした上で利活 用するべきである。そのためには、適切な課題設定と 指示文により自ら 求める成果物につながる出力をさせ、その審議や適切性を的確に判断で きることが前提となる。このため、各教科等で学ぶ知識や文章を読み解く 力、物事を批判 的に考察する力、問題意識を常に持ち、問いを立て続ける ことや、その前提としての「学 びに向かう力、人間性等」の涵養がこれまで 以上に重要となる。 学生諸君には、課題・レポートの作成に当たって生成AIを使用して「作業」 をするのではなく、「学び」のサポートして利活用することを期待する。 ま た、学生諸君には、授業、課題によって学習内容を身につけなければなら ないことを理解してほしい。他のツールや情報源(ホームページ、ウィキペ ディア等)と同様に生成AIを乱用しないことを意識してほしい。 (3) 生成AIが、社会インフラ化する時代となった現在、和歌山工業高等専 門学校は、教育 活動において教員と学生との間に人格的な触れ合いを通 じて行い、適切な指導計画や学習 環境の設定等により古き良き高専教育 の流れは継続する。学校現場における生成AIの活用にあたって、教職員 は生成AIの仕組みや特徴を理解する等一定のAIリテラシーを身に付け、 この新たな技術に慣れ親しみ利便性や懸念点、賢い付き合い方を知るこ ととする。 51

52.

参考:慶應義塾大学 各種AIサービス(法人契約内外を含める)の利用にあたっては、以下の事項を必ず遵守してください。 2.1. 情報の取り扱い 個人情報、プライバシーにかかわる情報、機密情報等の取り扱いには十分注意してください。義塾が契約する法人向けサービス(後述の3章「C」)を利用する場合でも 慎重な扱いが必要であり、特に法人契約外のサービスに対しては、プロンプトやファイル添付による個人情報・機微情報の入力は行わないでください。 2.2. 適切な利用のための基本原則 ファクトチェックの徹底: 生成AIは、事実に基づかない情報(ハルシネーション)を生成することがあります。生成された情報については、必ず一次情報(元の論文や信 頼できる資料など)に基づいて裏付けを取り、事実確認(ファクトチェック)を行うことが強く推奨されます。 独自性・独創性の確保: 生成AIが提供する情報は、あくまで参考資料として位置づけられるべきものであり、最終的な成果物は、利用者自身の思考に基づいた内容の 構築が求められます。生成された情報に対しては、自らの見解を加え、独自性・独創性を確保することが重要です。授業課題等における生成AIの利用については、「慶 應義塾におけるChatGPT等生成AIの利用について (2023年5月15日)」を必ず確認し、授業科目担当教員の方針に従って適切に利用してください。 研究の透明性と再現性の確保: 生成AIを活用することで、画像やデータの編集・加工、要約等が容易になりますが、生成された情報をそのまま用いると意図せず研究 不正に該当するおそれがあるため、十分な注意が必要です。研究の透明性や再現性を確保し、研究成果に対する責任は研究者自身が負うことを十分に理解してくだ さい。 各研究活動におけるルールの遵守: 生成AIを用いた成果物を研究に含める場合は、使用したAIツールやモデル、プロンプト、生成内容の出典を明示するなど、投稿先 の学術誌や学会の方針に従うことが求められます。また、各研究活動においては、関係するすべての研究者が共通の生成AI利用方針を共有し、統一的な対応を図る よう努めてください。 著作権への配慮: 著作権で保護された論文や記事等を扱う際は、著作権法で認められた範囲(例:学習・研究目的での利用)を逸脱しないよう注意してください。利用 するAIサービスによっては、取り扱った著作物が意図に反して目的外利用されるリスクが生じる可能性があります。 生成物の確認: 意図せず既存の著作物と酷似した表現が生成される可能性があり、既存の著作物と類似性のある生成物を著者権者から許諾を得ずに利用すると著作 権侵害となります。生成された情報の利用前に類似の表現がないか確認するよう努めてください。 倫理的利用: 差別や偏見を助長したり、他者の名誉を毀損したり、公序良俗に反したりする目的で利用してはいけません。 52

53.

参考:東北大学 教育・学習における生成系AIに関する留意事項 ◦ AIの出力をレポート等の解答にそのまま利用することは自身の勉強にならない ◦ 授業によってはAIの利用を禁止しており、場合によっては剽窃とみなされる場合がある ◦ 調べ学習等で使用する場合も、AIの出力には誤りが混ざっていることも少なくなく、AIの出力が 正しい内容か、誤った内容なのか、自身でしっかり確認する必要がある ◦ 未発表の論文や秘密にすべき情報(個人情報やプライバシー情報等)を生成系AIに入力してしまう と、それらの情報が意図せず流出・漏えいしてしまう可能性がある点に気をつける 東京大学と大阪大学も調べたが長すぎるので省略 京都大学は面白いので調べてみてほしい 53