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February 28, 25
スライド概要
WSSIT2024で発表した交通事故特徴の偏りを分析した研究です。
愛知工業大学でマルチエージェントシステムや空間分析を活用した減災に関する研究をしています。
〇 安藤 圭祐1 岩田 内種 員典3 岳詞1 伊藤 向 暢浩1 1愛知工業大学 2椙山女学園大学 3愛知大学 社会システムと情報技術研究ウィーク 2024 直人2
交通安全についての研究 重軽傷事故 死亡事故 交通事故の発生位置 集中危険箇所の検出 [1] 重大危険箇所の検出 [2] 事故リスク の推定・検出 交通事故がどこで発生するか?についての研究は盛んであるが なぜ発生しているか?はあまり研究されていない [1] 鳥居ほか(2022) [2] M. Effatiほか(2015) 2
本研究の目的 どのような環境(地域)で どのような交通事故が 誘引されるか?を明らかにする 各地域の交通安全対策において (場所だけでなく)何に対処すべきかが明確化 そもそも環境と交通事故には関係があるのか? という大前提を踏まえた仮説を設定 3
仮説:環境と当事者の行動 環境 当事者 交通事故 単調な道路(風景) 眠たくなる 交差点に集中発生 曲がりくねった道路 見づらい・走りづらい 山の斜面に沿って発生 交通事故へつながる当事者の行動は 環境から影響を受けているものがある 4
仮説を確かめるためのアプローチ ある地域の交通事故地点 人的要因α 人的要因β 交通事故の 内容ごとに 分解 空間分布の 傾向 空間分布に 対する解釈 集まっている (凝集度が高い) ばらばら (凝集度が低い) 当事者の行動は 当事者の行動は 環境とは関係なく 各箇所の環境から 影響を受けたもの 自身によるもの 5
交通事故の人的要因 交通事故の当事者自身に認められる事故の発生要因のうち最も主要なもの 交通事故につながる当事者の行動を表現するデータ 対象:合計90%で以上の件数を占める上位11種 • • • • • • • • • • • 安全確認が不十分であった(車両等) その他,考え事等の漫然運転(車両等) 安全確認をしなかった(車両等) その他の脇見(車両等) その他特に具体的危険性がないとして注視を怠った(車両等) 風景,地物等に脇見(車両等) 他の車,歩行者に脇見(車両等) ブレーキの踏みが弱い,踏み遅れ(車両等) 安全確認が不十分であった(自転車) 交通規制に対する認識を誤った(車両等) 物を落とした,物を取ろうとした(車両等) 6
空間的な偏りの定量的評価方法 道路上の事象についてのMoranの測度 Moranの測度:事象の空間的自己相関や凝集度を測れる指標 ランダム 0 均一 -1 Moranの測度の一般的な測り方 と の それぞれの中で発生した 事象の数から求める 凝集 +1 道路セグメントで空間集計 2 1 道路の接続性も考慮して空間的傾向(偏り)があるかを評価 7
ランダム化試験による検証 地域Xにおける 人的要因αの 交通事故の 空間分布 事故を同じ件数 ランダムに 配置した 疑似的な分布 有意に高いか? Moranの測度を 算出 𝐼 = 6.363 × 10 複数作成 疑似的な測度 𝐼′の 分布を作成 検定により 有意性を確認 𝐼′ 「事故地点がランダムに分布する」という仮説を棄却する 8
分析方法 行政区域 69地区 人的要因 11種 空間分布を 作成 Moranの 測度を算出 1 2 空間分布 759個 Moranの測度 3 疑似的な 分布のもと で検定 ランダムな 分布を生成 20個の標本 さまざまな地域における多様な人的要因について分析 9
各条件における結果(一部抜粋) ある程度の件数が存在するほぼすべての地域と人的要因(717/759個)で 値は小さいものの環境と統計的有意に関係 #. ### × 10 有意に高い値(有意水準1%) 安 行政区域 事故件数 不 全 十 確 認 風 分 へ 景 の #. ### × 10 地 脇 物 交 見 認 それ以外 通 識 規 誤 制 り 豊 橋 市 33,787 1.005 × 10 3.63 × 10 1.839 × 10 一 宮 市 29,112 9.19 × 10 3.27 × 10 2.55 × 10 岡 崎 市 24,982 1.081 × 10 2.49 × 10 8.07 × 10 豊 田 市 23,518 8.08 × 10 春日井市 23,283 名古屋のなかで最も件数の多い 6.87 × 10 1.422 × 10 1.349 × 10 中区を例に実際の分布を次頁で紹介 2.06 × 10 1.078 × 10 中 16,433 1.572 × 10 区 6.36 × 10 8.04 × 10 −1.889 × 10 − … 豊 根 村 49 8.85 × 10 10
空間的自己相関の高い空間分布の例 中区:風景,地物等に脇見による事故 幹線道路沿いに集中 付近の風景に原因か? 名古屋市科学館など特徴的な建物 地域と人的要因から交通事故の要因について分析可能 11
まとめ • 環境と交通事故との関係を明らかにするために 環境と当事者の行動との関係を 交通事故の空間分布の傾向から分析 • 件数の多い代表的な人的要因による交通事故について その当事者の行動は環境から誘引されていることを 統計的に確認 • Moranの測度の値が有意に高い空間分布では 実際に交通事故地点が偏っていることを確認 今後の課題 各地域の地理的な情報を考慮したより詳細な分析 12