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February 28, 25
スライド概要
WSSIT2025で発表した国内の正面衝突事故と道路曲率との関係を分析した研究です。
愛知工業大学でマルチエージェントシステムや空間分析を活用した減災に関する研究をしています。
〇 安藤 圭祐1 岩田 内種 員典3 岳詞1 伊藤 向 暢浩1 1愛知工業大学 2椙山女学園大学 3愛知大学 社会システムと情報技術研究ウィーク 2025 直人2
日本における正面衝突事故 正面衝突事故の典型例 死亡事故件数 令和5年 2,618件 正面衝突事故 829 件 歩行者横断中 595 件 出会い頭衝突 274件 相対速度が高く危険 死亡事故のなかで最も多い 死亡事故につながりやすく対策が課題 2
関連研究 道路曲率の強さに 応じて注視点がばらつく 道路曲率のパターンにより 横すべりが発生し 事故リスクにつながる 尾杉ら(2021) 地方部の湾曲した道路に 正面衝突事故が集中 安藤ら(2022) 赤羽ら(2022) 3
正面衝突事故の発生場所に関する不明瞭な点 道路が湾曲していると正面衝突事故が 発生しやすくなるのか? 正面衝突事故が湾曲した道路へ集中することは さまざまな地域においてもいえることか? 発生要因を道路形状のみで絞り込んでいるが ほかの要因との関係はないのか? 警戒すべき対象を明確化する必要あり 4
本研究の目的 湾曲した道路 正面衝突事故 関係があるか? を日本全国のデータから明らかに 死亡リスクの高い正面衝突事故を防ぐ知見 5
調査のモチベーション 愛知県で正面衝突事故が湾曲した道路に 集中することを確認 正面衝突事故は道路の曲がり具合と関係? → 愛知県のみではデータ数が少ない 警察庁が提供する全国のデータを利用 → 愛知県の傾向は全国にも共通するか? (愛知県に限定された傾向ではないか?) 6
二つの異なるアプローチによる調査 集中箇所の調査 道路曲率との関係分析 愛知県では地形に沿う 湾曲した道路に集中 関連研究では道路曲率が 運転者の認知やリスクに影響 全国的にも正面衝突事故の 集中箇所は湾曲した道路に 集中しているか? 道路曲率は正面衝突事故の 発生にも影響しているか? 7
DBSCANによる集中箇所の検出 密度ベースのクラスタリング手法 正面衝突事故の 地点 10mの範囲 集中箇所(クラスタ): 10mの範囲内に4件以上 という密度をもつ領域 パラメータを変えながらどこにどの程度集中しているかを調査 8
正面衝突事故と道路曲率との関係分析 正面衝突事故/ そのほかの事故 カーブ カーブ + 曲率 カーブ カーブ + 曲率 抽出された データ カーブ・屈折での 発生データを抽出 2群の検定から 曲率の違いを確認 比較 曲率を計算した データ OpenStreetMapの 道路データから曲率を評価 決定木から曲率やほかのどのような要因から 正面衝突事故が発生しているかを分析 事故の要素 曲率大 あり 正面衝突事故 なし そのほかの事故 9
正面衝突事故の要因分析 事故に関する要素(10項目) 決定木 事故の要素 あり 道路曲率 正面衝突事故 交通事故データがもつ 識別子を除く項目9つ • 天候 • 地形(市街地かどうか) • 中央分離帯施設 • 歩車道区分(縁石など) • 時間帯 なし そのほかの事故 各要素の重要度を算出 • 曜日 • 祝日 • 運転者の年齢 • 車両の種別 正面衝突事故を 誘引する要素として どの要素が重要か? 10
正面衝突事故が集中している場所 クラスタの中心点の分布 (4件 / 10m) 大阪市のクラスタ クラスタは 95%以上が交差点 いくつかのパラメータ で調査するも湾曲した 道路への集中傾向なし 地方部や湾曲した道路への 集中はみられず(愛知県にもみられず) クラスタは東京・大阪・ 福岡などの都市部に集中 期間のずれや⾧さに起因? 対策された可能性がある (従来研究とは対象時期が異なる) 11
正面衝突事故と道路曲率との関係 正面衝突事故以外 正面衝突事故 検定から有意に差が あることを確認 (2群は同じ 母集団であるとはいえない) 湾曲した道路ではほかの事故よりも 正面衝突事故が発生しやすい 12
正面衝突事故を誘因する要因 決 定 木 中央分離帯あり Y N 正 / そ 正面衝突事故/そのほかの事故の 割合が高い 市街地 Y N 曲率 > 0.0104 Y N そ 要 素 の 重 要 度 そ 正 市街地 道路 高 曲率 道路形状 そ 中央 分離帯 そのほかの 要素 低 重要 運転者からの見え方 道路曲率は 時間帯・年齢・車両種別・ 天候などよりも重要 正面衝突の要因の明確化に はほかの要素の検討が必要 13
湾曲した道路と正面衝突事故との関係 ? 全国的な傾向としては 「正面衝突事故が湾曲した道路に集中する」とはいえない 正面衝突事故の湾曲した道路への集中はみられず 道路曲率は正面衝突事故の発生に関係する 統計的検定より有意な差を確認 決定木分析において高い重要度を提示 14
まとめ 湾曲した道路と正面衝突事故の関係を分析 正面衝突事故が湾曲した道路に集中するとはいえない クラスタ分析から湾曲した道路への集中は確認できず 道路曲率は正面衝突事故の発生に関係 そのほかの事故が発生した道路の曲率に対し 統計的検定から有意な差を確認 道路曲率は決定木分析において高い重要度を提示 今後の課題 正面衝突事故の発生条件を明確化するための 分析に有効なほかの要素を検討 15