日本の生成系 AI 発展における現状とその課題

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2023 年度 課題研究Ⅱ論文 日本の生成系 AI 発展における現状とその課題 ―政府の規制と企業の研究費に着目して― 神戸大学附属中等教育学校 12 回生 4 年 2 組 20 番 竹内 (指導教員 宏 森田 1 育志)

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2023 年度 課題研究Ⅱ論文 日本の生成系 AI 発展における現状とその課題 ―政府の規制と企業の研究費に着目して― 神戸大学附属中等教育学校 12 回生 (指導教員 森田 4 年 2 組 20 番 竹内 宏 育志) 要旨 本研究は日本の生成系 AI 発展における現状とその課題について、他国と相違点を比較 することで明らかにしたものである。生成系 AI は昨今、急速に発展を遂げており社会が 追いつけていない状況にある。そのため、各国政府は生成系 AI を含む AI に対する規制 案の検討を行なっている。規制の方針は主に 2 つあり、アメリカや日本のように生成系 AI の発展を目指した規制案を取っている。一方、EU などは AI のリスクを最大限注意 し、安全を第 1 に考えた規制案を取っている。規制面では日本は生成系 AI に適している と考えられる。しかし、研究開発費や研究力の面ではアメリカや EU、他の AI の先進国 と比べると劣っている。これらの現状が明らかになった。 2

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目次 要旨 ................................................................................................................................................... 1 第 1 章 序論 ............................................................................................................................... 1 第 1 節 研究の背景 ................................................................................................................ 1 第 2 節 研究の目的と方法 .................................................................................................... 1 第 3 節 本論文の構成 ............................................................................................................ 1 第 2 章 先行研究 生成系 AI..................................................................................................... 2 第 1 節 生成系 AI とは何か.................................................................................................. 2 第 2 節 深層学習と生成系 AI の関係 .................................................................................. 2 第 3 節 生成系 AI が生まれた要因 ...................................................................................... 2 第 4 節 生成系 AI が生まれる前と生まれた後の比較 ...................................................... 3 第 5 節 日本と他国の生成系 AI に対する規制の現状 ...................................................... 4 第 3 章 問題に対する検討 ........................................................................................................ 5 第 1 節 インタビュー調査の概要 ........................................................................................ 5 第 2 節 インタビューの結果 ................................................................................................ 5 第 4 章 結論 ............................................................................................................................. 10 第 1 節 本研究で明らかになったこと .............................................................................. 10 第 2 節 今後の展望 .............................................................................................................. 10 謝辞 ................................................................................................................................................. 11 付録 A 杉山氏のインタビュー全文 ...................................................................................... 12 参考文献 ......................................................................................................................................... 23 3

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第1章 序論 第1節 研究の背景 昨今、生成系 AI の発展は凄まじく、今後も発展していき社会の一角を担うようになる 技術だろう。現在、生成系 AI はアメリカを筆頭に開発・リリースが進んでいるが日本発 の生成系 AI で世界的に有名なものは現状無い。今後、日本が生成系 AI を発展させてい くためにまずは、現在の日本の置かれている状況を理解する必要がある。そのため、本研 究では生成系 AI に関する日本の状況について整理を行なった。 第2節 研究の目的と方法 本研究では、日本の生成系 AI 発展における現状の課題点を明らかにすることを目的と する。課題点を明らかにすることは、今後の日本の在り方を考えるにあたって重要なもの になるからだ。 本研究は、以下の①と②を組み合わせて分析し、生成系 AI をめぐる日本での発展に向 けての問題を明らかにするものである。 ① 生成系 AI または広く AI について論じた人文社会科学系統の文献を中心に分析して いく。具体的には西垣通『デジタル社会の罠 生成 AI は日本をどう変えるか』や東 京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻 教授の 松尾豊の講演会の内容などである。また、適宜、総務省が発行した各種調査につい ても参照し、分析に用いる。 ② 生成系 AI に関して第 1 線で活躍されている、産総研人工知能技術コンソーシアム の杉山邦洋氏にインタビューを行い、生成系 AI に関する現状の論点を浮かび上がら せる。 第3節 本論文の構成 本論文ではまず、生成系 AI に関する基本的に先行研究を調べたのちにリサーチクエス チョンを設定し、その解決のために行なったインタビュー調査についての結果についてま とめた。また、インタビュー調査によって新たに明らかになった生成系 AI に関する問題 点について根拠の裏付けを行った。最後に考察として本研究でリサーチクエスチョンに関 して明らかになったこととまだ現状では不明なところをまとめた。 1

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第2章 先行研究 生成系 AI 第1節 生成系 AI とは何か まずは、本研究の中心である「生成系 AI」とは何か、その定義について確認する。生成 系 AI(Generative AI)は 2022 年 11 月に OpenAI 社が ChatGPT をリリースしたのち に生まれた言葉であると言われている。一般的には機械学習の一分野である深層学習のう ち、複雑なテキスト、画像、音声又は映像のようなコンテンツを生成すること得意とする AI のことを指している[1]。 第2節 深層学習と生成系 AI の関係 先ほども触れたように、生成系 AI は深層学習のうち、新しいコンテンツやアイデアを 作成できるような AI である。生成系 AI の位置付けについては図 1 のようになってい る。 図1 人工知能、機械学習、深層学習、生成 AI の関係 出典:みずほ銀行 産業調査部(2023)『生成 AI の動向と産業影響 【総合編】 〜生成 AI は産業をどのように変えるか〜』P.7 より引用 第3節 生成系 AI が生まれた要因 今、生成系 AI を筆頭に AI について世界的に研究や議論が行われている。これを第 3 次 AI ブームと言われていたりするが、第 3 次 AI ブームを支える要因にはいくつかある。 本説ではそれらについて軽く触れていく。なお、第 1 項以外は『CDLE All Hands 2

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2023』において松尾豊教授が登壇した時の内容をレポートした記事を参考にまとめた [2]。 第1項 深層学習の発展 生成 AI の元となる技術についてはある程度昔から開発されてきていた。例えば、外国語 の翻訳文を作る機会(自動)翻訳技術や文章だけでなく画像や映像などを各種データをも とに作成する技術などである[3]。そもそも ChatGPT などの文章生成 AI の基本技術は、深 層学習(DeepLearning)によるパターン認識である。文章を単語記号による一種のパターン とみなすことで、膨大な文章データをパターンに分類し、統計的に処理することで確率の 高いパターンを抜き出し出力すれば、我々が違和感を持たない文章を作ることができると いうわけである[4]。 第2項 トランスフォーマー(Transformer) 2017 年に Google の研究者が『Attention is All You Need』という論文を発表した。この論 文で『トランスフォーマー(Transformer)』という機械学習モデルが確立された。これは、 アテンションというニューラルネットワーク中のどこの情報をどのように使うか自体を学 習できるものであり、簡単に言い換えると、機械学習方法を学習できるということである。 トランスフォーマーはこのアテンションを繰り返し行うことで、自然言語処理との相性が よく、精度がとても高い AI を制作することに成功した。 第3項 自己教師あり学習 自己教師あり学習とは与えられたデータ自体から AI が事前に学習することができ、次 の単語の予測に生かせる技術のことである。これを用いることで、文を途中まで生成した 時に、それまでの文から次の単語を生成するという繰り返しを行えるようになった。 第4節 生成系 AI が生まれる前と生まれた後の比較 生成系 AI は今までの AI とは一線を画す勢いで広がり、2023 年 11 月には OpenAI 社 が ChatGPT 週当たりのユーザー数が 1 億人になったと発表した[5]。それくらい多くの 人が使う生成系 AI の誕生によってどのような変化があったのかをまとめていく。 第 4 節で述べたように、ChatGPT のような生成系 AI が公開される前にも AI 技術は多く の場面で使われていた。しかし、これらは個別のタスクに基づいた AI を作ることが基本 であった。例えば生成系 AI 以前は、翻訳したいのであれば翻訳のモデルを個別に作って いたが、生成系 AI に変わると、大量のデータによって事前学習をさせておけば、翻訳から 要約、読解といったタスクに合わせて自動学習するというように変わった[2]。 3

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このように、大量のデータを事前に学習さえさせておけば、精度が向上する点が生成系 AI の強みである。 第5節 日本と他国の生成系 AI に対する規制の現状 現在進行形で規制に関する議論が行われているため、極端な話、明日には状況が変わっ ているかもしれないが、2024 年 1 月時点での規制(案)の状況について本節ではまとめ る。 日本では、AI 事業者ガイドライン制定に向けて現在も議論を進めている。AI 事業者ガ イドラインは広島 AI プロセスでとりまとめられた高度な AI システム(生成系 AI など) に関する国際指針及び国際行動規範を反映しつつ、一般的な AI を含む(想定され得る全 ての)AI システム・サービスを広範に対象として考えられており、実際の AI 開発・提 供・利用においては、本ガイドラインを参照し、各事業者が指針遵守のために適切な AI ガバナンスを構築するなど、具体的な取組を自主的に推進することが重要と考えられてい る。[6] アメリカは 2023 年 10 月 30 日に大統領令を発令し、米国で初めて法的拘束力のある AI 規制を導入すると公表した。具体的には、高度な AI を開発する企業は安全性のテスト を受け、政府に開発情報を含めて共有することを求められる。また、本規制はこれから新 しく作られる AI にのみ適用されるため、ChatGPT や Midjourney などの既にリリースさ れている生成系 AI には適用されない 。これには、過度な規制でアメリカ国内の企業の 発展を妨げると、中国との技術競争に不利になるとの危機感を抱いているからだとも言わ れている。[7] 一方、EU では 2023 年 12 月 9 日に AI に関する規制案で大筋合意したと公表した。本 規制案の対象は AI の「開発者」と「利用者」で、それぞれが果たす責務を明確に定めて いる。AI のリスクを①容認できない②高い③限定的④最小限――の 4 段階に分け、段階 ごとに義務を課す。教育や企業の採用活動での利用は高リスクとみなし、リスク管理の仕 組みの導入を義務付ける。市場投入前には EU 加盟国の管轄当局が事前評価する。また、 「Chat(チャット)GPT」など生成 AI を手がける企業に対し、AI に外部の情報を読み 込ませて訓練する手順について、文書での開示を求める。業務と関係ない個人の AI 利用 は規制の対象外とする。これらの対応を怠った企業には、最も重い違反の場合「3500 万 ユーロ(約 54 億円)」か「年間世界売上高の 7%」を上限に制裁金を科す。[8] 4

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第3章 問題に対する検討 第1節 インタビュー調査の概要 インタビュー調査に関する詳細は以下の通りである。 対象:杉山 邦洋 氏 所属:産総研人工知能技術コンソーシアム 方法:Google meet を用いたオンラインによる半構造化インタビュー 日時:2024 年 1 月 24 日(水)17 時 30 分〜18 時 15 分 内容:生成系 AI に対する日本と他国での政府機関の動向の違いに関して、筆者が用意 した質問に回答していただいた。また、適宜、回答に応じて質問を追加した。以下、質 問リストである。 ・生成系 AI と生成 AI で違いはあるのか ・生成系 AI の厳格な定義はどこかにあるのか ・現状のアメリカ・日本・EU の規制の認識の確認 ・なぜ EU とアメリカ、日本で生成系 AI に対する規制の方向が違うのか? ・EU は制限の方向で生成系 AI は伸びるのか また、インタビューの流れで新たに思いついて、追加で聞いた質問は以下の通りである。 ・中国はどのような規制をかけているのか ・生成系 AI の登場によりコンテンツの二極化が進むとはどういうことなのか ・日本政府の生成系 AI に対する行動に対しての評価 ・日本はなぜ大規模な LLM を作らないのか ・ 第2節 インタビューの結果 本節インタビューの内容から、生成系 AI に関する問題をピックアップした問題を表 2 に整理した。また、その論点が本当に起こっているのかを文献調査で裏付ける。なお、イ ンタビューの全文については付録 1 に添付する。 表1 生成系 AI に関して取り上げるべきポイント 番号 質問内容 ① 日本と他の先進国では生成系 AI にかけている予算に差がある ② 日本と EU では規制の厳しさに差がある インタビュー調査により筆者作成。 5

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① 日本と他の先進国では生成系 AI にかけている予算に差がある 杉山氏は日本の生成系 AI に対しての投資の現状を次のように述べている。 『そういうの(Microsoft や Google などの IT グローバルカンパニー)に比べて、当然 政府ってのはもうそういう規模でいうと我々から見ると政府の予算ってすごく大きく見え ますけど、今やグローバルカンパニーが扱ってる金融の規模に比べたら全然話にならない よって話になるわけです。』 ここで、日本企業の研究費の状況についての資料を提示する。 図2 企業の研究費の割合(2021 年度) 図3 企業研究費の推移 出典:総務省「令和 4 年科学技術研究調査」およびその各年度版を基に総務省が作成 図 2 からは、日本がどの程度、情報通信産業に研究開発費をかけているかがわかる。な お、情報通信産業とは、情報通信機械器具製造業、電気機械器具製造業、電子部品・デバ イス・電子回路製造業、情報通信業(情報サービス業、通信業、放送業、インターネット 附随・その他の情報通信業)のことをここでは指す。また、図 3 からは日本企業の研究 費の推移がわかり、ここ 10 年は横ばいか、やや右肩下がりであることがわかる。 一方、他国の研究開発費は図 4 のように推移している。 6

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図4 主要国の研究開発費の総額の推移 出典:国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター「研究開発の俯瞰報告 書(2022 年)」を基に総務省が作成 2019 年時点で研究開発費は上位から米国、中国、EU である。日本は 1800 億ドル程度 だが、1 位の米国は 6500 億ドル程度であり大きな差があるのが現状だ。また、資金調達 を受けている企業数にも大きな差がある。スタンフォード大学が公表した報告書 「Artificial Intelligence Index Report 2023」によれば 2022 年に新たに資金調達を受け た AI 企業数は、米国が 542 社で 1 位、日本が 32 社で 10 位となっている。[9] 金銭的な要因だけが日本の生成系 AI の発展を阻害しているわけではない。日本では広 く AI の研究が先進国に比べて遅れている。Thundermark Capital は論文数などを基に AI に関する研究のランキングを算出し公開している。2020〜2022 年の各国の論文出版 指数の変遷は表 2 の通りである。 表2 2020 年〜2022 年のトップ 10 の国々の論文出版指数 ランキング 2020 年 2021 年 2022 年 1位 アメリカ(1260.2) アメリカ(1677.8) +33% アメリカ(1801.3) +7% 2位 中国(184.5) 中国(281.2) +52% 中国(431.1) +53% 3位 イギリス(126.1) イギリス(161.0) +28% イギリス(189.0) +17% 4位 フランス(94.3) カナダ(114.5) +42% ドイツ(131.8) +44% 5位 カナダ(80.3) フランス(102.9) +9% カナダ(123.4) +8% 6位 ドイツ(64.5) ドイツ(91.5) +42% フランス(116.3) +13% 7位 スウェーデン(59.3) スウェーデン(86.7) +59.3 韓国(101.1) +32% 8位 日本(49.4) 韓国(76.6) +64% スウェーデン(100.2) +16% 9位 韓国(46.8) 日本(57.8) +17% イスラエル(73.1) +27% 10 位 イスラエル(43.3) イスラエル(57.7) +33% 日本(62.1) +7% +nn%は前年度と比べて増えた割合 出典:Thundermark Capital『AI Research Ranking 2022』を基に筆者作成[10] 7

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日本は他国と比べ、ここ近年の成長率が乏しいことがわかる。一方、中国やドイツ、韓 国などは成長率の前年度比が 30%以上であり、世界の AI 発展に合わせて自国の研究力 を伸ばしていることがわかる。 このように、日本は企業の AI にかける研究費やそもそもの研究内容が他の先進国と比 べて劣っているため、現時点で他国と比べて生成系 AI に関する技術発展が遅れていると 考えることができる。この研究開発費が少ないことと研究が進んでいないことは独立した 事項ではなく、深く関連して日本の生成系 AI の技術力が低いことを示しているのではな いかと考える。 ② 日本と EU では規制の厳しさに差がある インタビュー内において筆者が杉山氏に生成系 AI に関する各国の規制の違いについて伺 った。筆者の事前の調べで日本政府の規制は欧米諸国と比べるとかなり寛容的でまだ本格 的な規制とまでは至っていないような状況だが、一方 EU はかなり厳しい規制をかけてい ることがわかり、まずその確認を杉山氏に行うと次のような返答を得られた。 『一般論としてはそのような傾向が見られるでしょうね。細かくはいろいろあると思いま すけれども、一般論としてはそういう捉え方で間違いない。一番厳しいのは EU より中国 だと思います』 筆者はそれまで EU が最も規制が厳しい地域だと考えていたが、中国も別の方向で厳し い国家だということを知った。まずは、中国の規制内容についてまとめた。 中国では 2023 年 7 月 10 日に国家インターネット情報弁公室(CAC) など中央 7 部門 (省庁)は、共同で、「生成人工知能サービス管理暫定弁法(生成式人工智能服务管理暂 行办法)」を制定・公布した[11]。同法の内容としては、例えば「サービス提供の原則」 に関して、国家イメージを損なうコンテンツや、暴力コンテンツやポルノコンテンツのよ うな法律で禁止されているコンテンツの生成を禁止している。また、世論操作や大衆の動 員を可能とするフォーラム等を「世論属性サービス」と定め、これに生成系 AI を活用す る場合、関係省庁へのアルゴリズムの届け出を義務づけている。[12] 第 2 章第 5 節でまとめたように、日本と EU では規制案の具体度合いが違う。日本では あくまで検討段階という色が強いが、EU では規制案に関する概要は定まりつつあり、今 後は 2026 年の施行に向けてより具体的な法案を決める段階に移りつつある。また、AI に対する許容度にも違いがあり、日本では AI などの新技術を活発的に取り入れてより発 展させていこうという方針だが、EU では発展よりもどの程度 AI が危険かというのを重 視しており、アメリカや日本など AI の発展を目指している国と比べると規制が厳しい傾 向にある。このような考え方の違いに関して杉山氏はこのように意見を述べている。 8

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『だから別に今回初めてその EU がそういう動き(他国と比べて厳しい規制をかける) をしているわけではなくて、EU ってのは、ヨーロッパ、特に西ヨーロッパってのは、文 化的にそういった傾向をとりやすい、その文化圏なんだろうなと思いますね。』 日本やアメリカは EU と比べ規制が緩く、生成系 AI などの発展に適している環境である ように捉えられる。そのため、日本は政府による規制面においては生成系 AI の発展を著 しく阻害している現状はないと判断できる。 9

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第4章 結論 第1節 本研究で明らかになったこと 今回明らかになったことは 2 つある。 ① 日本は現状、AI に関する開発力が乏しい。 日本は情報通信産業の研究のためにかけている費用が、他の AI 先進国に比べてか なり低いことが明らかになった。ここ近年で他国は研究開発費を増額し、研究をよ り一層促進させている国もある中で日本の増額比は、そこまで大きいと言えるもの ではない。また、AI についての研究量も先進国に比べ成長率も低い。 これら 2 つの要因から日本は他の先進国に追いつくためには、巨額の投資と研究の 推進が必要であると考えられる。 ② 日本の規制の方針は、AI 開発には適していると考えられる。 日本は EU のような発展より安全をとる規制案ではなく、アメリカのような発展を 重視した規制案の方針を取っている。そのため、今後発展させていくことには問題 にはならない方向で現在進んでいると考えられる。 第2節 今後の展望 今後の展望として、前節の明らかになったことに対応して 2 つある。 ① 巨額の投資と研究の推進を行うためにはどのようにしたらよいか。 日本には AI に関するグローバルカンパニーは存在しない。Google や Microsoft な どのような真似事はできないように思う。そのため、どのように資金を確保するの かは大きな問題だ。また、研究自体の促進も必要である。何か新しい技術を開拓す るためには研究をすることは不可欠であり、軽視されると発展をすることは難しく なる。そのため、研究を促進させることも重要な問題である。 ② 規制に関する議論が進んで、実際にどのような規制内容になるか。 本研究ではあくまで、規制の検討段階の案を用いて議論を行なった。今後も引き続 き生成系 AI に関する規制についての議論は続き、実際に法が施行されることにもな ると考えられる。各国での生成系 AI の規制に関する共通認識などができるのであれ ば、それは日本・アメリカと EU で対立が起こるようなことはないのかなど、改め てもう 1 度検討し直すと良いように思う。 10

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謝辞 本研究を進めるにあたり、産総研人工知能技術コンソーシアムの杉山邦洋氏にはインタビ ュー調査において多大な支援を賜りました。杉山氏とのインタビューは本研究を進める上 で必要不可欠でした。この場を借りて、心より感謝申し上げます。 11

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付録 A 杉山氏のインタビュー全文 自動文字起こしサービス「Notta」を用いて録音データを文字起こしした。 https://www.notta.ai 杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 はい。 なるほど、生成系 AI と生成 AI には特に違いは そう、そうですね私の知る限りはないと思いますね。 わかりました。ありがとうございます。 はい、 では次に生成系 AI の定義っていうものは何かどこか、非常に何かすごいと ころが定めてたりするんでしょうか? うん、定めるってことは多分ないと思うんですけど、ちょっとですねそれは さすがにちょっと調べないと何とも言えないですけど、確か最初に出したの 杉山氏 は、ですね確かに明確にこれまでのいわゆる深層学習って言われたものか ら、生成系 AI ってなんかいつの間にか呼ばれ始めたのは、確かにあるんで すよ。うん。 杉山氏 竹内 ただそれは、ちょっとその辺はちょっと歴史の話なんで記憶が不確かですけ れども、やっぱり ChatGPT が登場した後だったような気がしますね。 なるほど、明確に定義する必要はあんまそこまでないってことですよね。 定義する場所もないですから、別に誰かが決めてるわけでもないので。少な くとも去年(2023 年)の 5 月ぐらいには生成系 AI って言葉があって、チャ ット GPT が出てきたのが(2022)11 月なので、そのときにはまだなかった 杉山氏 気がしますね。確か 9 月に、一昨年(2022 年)の 9 月にミッドジャーニー が登場したので、一番最初に今言う、生成系 AI だって言っているものを、 一番何て言うんすかね、コンシューマーが触れるようになったんで、なった のはミッドジャーニーなんですよ。 ミッドジャーニーが、確か記憶では(2022 年)9 月だったと思うんですよ。 杉山氏 9 月か 10 月かどっちかだったと思うんです。確か 9 月だった記憶があるん ですけど、2022 年ですね。そのときは確か生成系 AI なんて言葉はなかった ですね。 竹内 杉山氏 竹内 なるほど。 (2022 年)11 月に ChatGPT が出てきたときもまだなくて、だと思います ね。だからそのあと 3 ヶ月ぐらいの間に、誰かが言い出したの なるほど。 だと思いますアメリカ、当然アメリカだと思うんすけども、ジェネレーティ 杉山氏 ブ AI っていう名前が出てくるそれが生成系 AI っていう、訳語は割り当てら れたんだったと思いますけれども、 竹内 杉山氏 なるほど。 去年の 5 月末の時点ではもう生成 AI っていう名前を使ってました。 12

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竹内 杉山氏 なるほどなるほど。 はい。 論文の中である程度その生成 AI って何を指すかってことを定義したいと考 竹内 えてるんですけど、それは世の中に多く広まってる新聞記事であったり、と かが、生成 AI って何のことでありみたいなところを引用すれば問題はなさ そうってことですよね そうですね別に誰かが決めてるわけではないので、そうだと思います多分そ の最初の、一番最初に出てきた誰が言い出したかを調べるんであれば、いわ 杉山氏 ゆる海外の論文サイトをジェネレイティブ AI っていう変換ジェネレーティ ブっていう単語を検索して、それの一番古いアーカイブで、どういう論文伺 ってる方とかが、例えば考えられれば、 竹内 杉山氏 竹内 杉山氏 なるほど、ありがとうございます。 はい。開封とかご存知ですかね大学や 何かはい、神戸大学から論文アーカイブは多分入れるはずです外国の論文ち ょっと見たことないですけど。 なるほど。アーカーブで generative って調べたら何か出てくるかもしれない ですね、はい。 ありがとうございます。続きまして、EU とかのアメリカであったりとか、 比較研究を進める中でいろいろと比較するために、情報を調べたんですけ 竹内 ど、そうですね。まず、まず僕の捉えたことが間違ってないかってことをお 聞きしたいんですけど、日本は著作権法に置いたりして、第 30 条の 4 であ ったりとか、もう非常に広く慣用的に機械学習することが認められていて、 政府としてもどんどん推し進めていこうっていう意向であると。 竹内 杉山氏 竹内 杉山氏 一方、EU はと言ったら、なんか、つい先日、EU 内で生成 AI に関する規制 案が世界で初めて合意されてみたいな話じゃないですか。 うん、うん なので、これはもう完全にもうむちゃ圧力を集めるというかその規制をかけ て、というある意味日本とは真逆とも取れる立場じゃないですか。 はい。 アメリカは、アメリカはニューヨーク・タイムズとかは、何て言うんです か、使われる側のデータのデータを持ってる企業、クリエイターもそうです 竹内 し、ニュース新聞とかそういうメディアは、あの生成 AI に対する主張に対 して、反発をしてるっていうのは、記事にもいただいた通りだと思うんです けど、一方で何かオープン AI 社とかマイクロソフトとか Google とか、名だ たる IT 企業をホワイトハウスに呼んで、 杉山氏 はい。 13

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バイデン大統領とかと話した中で、何か生成 AI に関してある一定の努力義 務を求めるよみたいな感じのことを言って、結構アメリカ政府としては何か 竹内 規制をかけようとは現状としてはしていないみたいな、なんか日本と EU な んか真ん中みたいな感じな気がするんですけど、認識自体は、どうですか何 か間違ってるところとかありますでしょうか? 一般論としてはそのような傾向が見られるでしょうね。細かくはいろいろあ 杉山氏 ると思いますけれども、一般論としてはそういう捉え方で間違いない。一番 厳しいのは EU より中国だと思います 竹内 中国はもうあれですか、そもそも何も生成 AI の機械学習で情報を使うなっ て感じですか? いやいや、そういうことは全然ないですよ。実際中国の企業で生成 AI つく 杉山氏 いわゆるモデルを作ってる会社って結構、確かいくつかいくつかっていうか ちょっと小さいのは私もよく存じ上げないんですけども、一つ大きなユニコ ーンがあるのは知ってます。 ちょっと今すぐはぱっとは出てこないですけどどっかの情報圏で読んだとこ ろだと、中国の規制はかなり厳しくて、何か、何をっていうのがちょっと目 杉山氏 的語が、対象がちょっと私も記憶が曖昧ですけど、そのモデル自体政府に提 出しなきゃいけないのかな、何かそんな事前のチェックが入るとかなんかそ んな気がします。 杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 うん なるほど だからその学習が本当に実務上可能なのかってのはちょっと、懐疑的な部分 があるんですね そうですよね。持ってモデルを見る側もそれ相応の知識がいるわけで がいるわけだからでもその私が見た情報によると、何らかのチェックが入る 杉山氏 んですよね、やっぱりそのセンシティブなワードとかがあったり、するの で、そういったものに対しても、ブラックボックステストぐらいはするんじ ゃないかなっていうふうに思いますなるほど。 杉山氏 ええ。 中国の生成 AI の規制はあれですね、その生成 AI が生成するものに関してう 竹内 ん。何か、まずいことを生成するもんものを作ってないかってことを、チェ ック、監査している そうです私の認識だとやっぱりその表現規制の問題とか、絡み合うので、そ 杉山氏 こなんじゃないかなとは思ってますけど他にも広がって、その単にアウトプ ットがそれセンシティブワードを出さないとかだけじゃなかったような気も しますけれども、 竹内 杉山氏 わかりました。 広範囲に何かあったのはあった気がしますけど少なくともそれはあったと思 います。はい、 14

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竹内 杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 杉山氏 わかりました。ありがとうございます。中国についても調べてみます。 はい。なんかどっかに誰かがまとめた気がしますね国際比較みたいな。EU アメリカ日本、中国、に それは何か論文か何かニュース記事みたいな感じですか。 なんか私が記憶では何かシンクタンクの何かレポーティングとかなんかそん なんだったような気がしますね。 すいません、地震タンク内ですか?シンクタンクですか。 はい、いわゆるその産総研とかそういう研究所みたいな、要するに情報研究 所みたいなのがあったりする んです。 はい。そういうとこは確か何かレポートで入ってた記憶があります。確か Web 記事だったか。 ありがとうございます。 はい。 うん。ちょっと中国はちょっと今初めて知ったので、中国の規制内容がちょ 竹内 っとまだわからないので、これはちょっとまた調べて見て、何か疑問があれ ば来週の月曜日に少しお聞きするかもしれないです 杉山氏 そうですか。はい。 EU の生成 AI の規制案を見たのですけど、例えば生成物に全部 AI が作った 竹内 ってのなんか、何か印をつけるというか、デジタル的に印をつけてあった り、 杉山氏 はい。 あとは、リスク別に何か政府の公的に関わる事項だったり何か弱い人につけ 竹内 こむ AI の使い方駄目みたいな、その次に学校教育であったりとかはちょっ と高いレベルで危ないよねみたいな感じのリスクマネジメントというか、を 押しているじゃないですか。 杉山氏 うん。 リスクを考えるってこと大事だと思うんですけど、政府の公的機関とかはち ょっとすぐに変え、すぐにっていうかそんな、なんですかまずいかも知れん ちょっと言葉があやふやですね申し訳ないんですけど、けど、学校教育とか 企業とかだったら、どんどん使っていって促進していった方が、生成 AI 側 もそれに対応したものがどんどんできていくでしょうし、学校とかあったら 竹内 実際、それを僕らとかは使いこなせるようになったら将来、おそらく今後生 成 AI が何がなくなる何かもっと上位互換が出たらなくなるかもしれないで すけど、その衰退という意味でなくなることはないと思うんで、ってなった ときに、学校や企業にかなり強い学校や企業での使用に対して強い制限をか けるっていうことは、何か EU 内での生成 AI の発展に支障をきたしたりする 何か問題を起こしたりするんじゃないかなって思うんですけど、その辺はど うなんでしょうか? 15

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これも一般論になりますけども、ご認識の通りなんじゃないかなと思います ね。ある程度、やっぱりそれは別に AI に関わらず、テクノロジーの何て言 杉山氏 うんですかね、フリーハンドで開発するのか、規制をかけるのかってのはト レードオフというかそのバランスの問題なので、やっぱそれだけ規制が多い とその開発速度が遅くなったりとか、自由に開発できないことで実現するこ とができないことがあったりとか、そういう側面はそれはあるでしょうね。 竹内 その中でも、その EU は規制を選んでるっていうのはどういう理由からなん ですかね この辺はどんどん話が反れていますけれどもこれは一 EU の文化の側面が大 きいでしょうね。例えば、その話が出る前にもう一つ話題になったのが普 通、もう 10 年ぐらい前ですかね、この個人情報の取り扱いで、GDPR って いう枠組みがあるんですけれども、はい個人情報、はい、どの程度フリーハ ンド企業が扱っていいかとか、その事前通知義務、義務であるとか、そうい 杉山氏 うのを定める枠組みがあるんですね。その枠組みは各各国いろいろ法律を定 めてるんですけども、EU は GDPR っていうフレームワークを片付けてい て、これが非常に厳しいです。だから別に今回初めて EU がそういう動きを しているわけではなくて、EU ってのは、ヨーロッパ、特に西ヨーロッパっ てのは、文化的にそういった傾向をとりやすい、その文化圏なんだろうなと 思いますね。 竹内 なんていうか文化的というか人の思考的というか、なんかそういう感じって いうわけですね。 杉山氏 そうですね。はい。 竹内 なるほどなるほど。 杉山氏 竹内 権利意識が強いですよね。 権利意識ですか はい。例えば労働組合にしても、ヨーロッパは非常に力が強いですし、日本 例えば日本と比べたときに、例えば今回のこの AI の話になれば、当然その 杉山氏 著作権との絡み合いっていうのがあって、著作権者のその政治的な発言力っ ていうのは、日本とは全く異なるでしょうね。そういったのがやっぱり政治 的な、その動きに当然反映されるので。 発言力ってあれですよね、メールでお答えいただいたときに日本のフリーク 竹内 リエイターの人たちは、その政治的な発言力があの低いよねって話ですよ ね。 杉山氏 竹内 杉山氏 そうですね。 なるほど、少しちょっと考えるお時間いただいてもよろしいですか。 どうぞ。 ありがとうございます。メールで、回答していただいたときに、私が挙げた 竹内 質問 4 にあたるところですね生成 AI の著作権に関する規制と緩和の折衷案 についてのご意見を伺ったところの最後の段落というかあの文の塊のところ 16

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杉山氏 はい 生成 AI の登場と進化によりクリエイティブ発想のハードルは下がり続ける 竹内 と同時に、コンテンツの消費のスタイルの変化が相まって、コンテンツせざ る二極化が進むと思いますと、書かれていたんですけど、2 極化っていうの は、 杉山氏 竹内 はい。 どういう二極化ですか。 つまり何て言うんですかね。端的には予算でしょうか?コンテンツにかけら れてるお金のなんつった、たかが。規模でしょなんていう、要するに非常に 予算をかけたコンテンツと、そのクイックに作られるようなコンテンツって いうのに二極化がどんどん進むんだろうなと思います。 杉山氏 その、何て言うんですかね。その時代の潮流、そうなってると思うんですけ ども、例えばその昔からある映画とか、例えば映画とかだと、なんですか ね。その 1 パッケージングされてるのが 2 時間っていうのがあったりするわ けじゃないですか。はい。ざっくり言うと、うん。例えば CD か CD フォー マットって 69 分っていうのがあったんですよね。 うんなんて、技術的なその理由で決まってたりするんですよ。CD をこなす 74CD っていうのがあって昔はメディアがあって、そこに 74 分っていうの があって、その音楽のアルバムっていう文化があったんですよ。CD のパッ ケージングを入れて、要するに 74 分間集められるから 74 分に合うように本 がいくつかその曲を詰め込んでるっていうスタイルがあったわけですよね。 これは要するに技術が CD っていう、その枠組みっていうかなんていう技術 的制限のもとに生まれた文化だったんですけど、その要するに、例えば音楽 映画とかでもフィルムのコンテンツの長さとかとかその機材がどうしたみた いな話により 2 時間っていうのがあったりとか、テレビとかも全部そうなん ですけど、要するに技術があって、コンテンツが規定されるっていうところ 杉山氏 が非常にあるんですね。その中で、例えばその、ここで私が何を言ってるか っていうと、このパソコン、これは時代の潮流の中にあって、例えば YouTube であったりとか、ベンチャーになったときに、その映画みたいな 巨大なコンテンツを有する巨大ってのは要するに時間を使うようなコンテン ツっていうのは凋落しつつあって、よりアイスピックになんていうかな、そ のコンテンツを消費することによる欲求中枢を刺激できるだけの部分のコン テンツ消費っていうのがどんどん進んでるっていうのが私の認識して実際こ れは一般的なコンテンツの流れっていうか一般的にはそう思ってますし、実 際そういう協力があると、その中で例えば、より短いコンテンツとかはその 生成 AI の登場によって、より手軽に作れたりするようになると思うんです よ。 杉山氏 うんそっちの方には、要するに、例えば 1 人とか、本当 1 人とかで作れるわ けじゃないですか。コストは非常にかからないですよね。でも、だからとい 17

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ってそれが、その場合は映画文化が今すぐなくなるわけではないんで、要す るにより何て言うの。 予算をかけたプロチームとか何とかフィーリングをして作るようなコンテン ツっていうのは、ある程度時間を拘束してお金を投下させて、成り立たない とそもそもチームが維持できないので、100 人集まって 15 秒のコンテンツ 杉山氏 作っても絶対売れないじゃないですか。短いコンテンツのは 1 人で作ればい い話で、ここの二つの方向にわかれる中でも、生成系 AI の登場によって特 に影響を受けやすいのはそういうパスとコンテンツ消費側にされていたされ たコンテンツだろうなと思います当然その映画コンテンツなんかも変わって いくと思いますよ。 杉山氏 竹内 杉山氏 確か、その後のメールに何か、確か私例をお送りしたと思うんですけど、 あの Twitter のですよね そうです。あれはゼンツーを使って J2 っていうそのテキストという、 ムービー動画ですね。ゼンツーのサービスっていくつかあるんですけどゼン 杉山氏 ツーがやってる確かゼンツーだったと記憶してますけど、ゼンツーがやって る、いわゆるそのプライズくらいだったとにかくそのプロみたいな人が頑張 って作りましたみたいなクオリティかなり上げるっていう。 方法はあるんで、当然その分クリエイターの仕事もだいぶ変わるでしょうけ 杉山氏 ど、一番の影響を受けるのはそのファーストコンテンツのだろうな。ていう 意味がこの最初に書いた意図です。 なるほど。すっきりしました。ありがとうございます。そのあとに、最後の 締めで現状は日本はよくやってると思いますってところあると思うんですけ 竹内 ど、その日本がよくやっているっていうのは、僕も記事で読んだんですけ ど、生成 AI に関する何か政府の戦略チームを立てられたじゃないですか。 たしか 5 月か 6 月ぐらいに 杉山氏 はい。 だからそれが立てられてから、何かその報告が出るのが政府にしたように速 竹内 かったりであったりとかその他各省庁とかがしっかり声明を出してるってい うような点、鑑みて日本はよくやってるとお考えそうですね 個人の感想のレベルでしかないんですけども、一般論として、日本はこれま で結構そういう特に IT 関係のイノベーションには乗り遅れてきた実はこれ はあると思うんです。例えばいわゆる仮想通貨とかも然り。いわゆる P2P と かもしっかり例えばその仮想通貨で言ったら、そもそも破綻してしまいまし 杉山氏 たけどボックスっていう巨大な当時大きかった仮想通貨の取引所があったん ですけども東京と日本が国内、それも政府の規制が曖昧で、かつ、非常に遅 くて、厳しいものが出てきたのでシンガポール、確かシンガポールかな、シ ンガポールに移ってしまったとか、実際仮想通貨はそうでしたし、もっと前 で言うと P2P なんかご存知の通り、Winny を作った金子さんを逮捕してみ たりとか、なんかもはやよくわかんないことがあったりするんでそういうな 18

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ければ、多分街というか足どころか、今のこの世界の情勢の中でも、日本、 中国、EU、アメリカって並べられるぐらいにはやってるんじゃないかなって いうふうな意味でよくやってるんじゃないですか。 杉山氏 竹内 これで失敗したらもう何もないですから、何もまだ失敗するのかみたいな話 でちょっとそこは一応なんか認識があるみたいな やってほしいところですよね、生成 AI で そうですね実際仮想通貨にしてもいわゆる P2P にしても、出てきたときは非 常にグレーな感じだったので、政府としてなかなかやりづらいだろうなって いうのはあったと思いますけれども、今回グレーな部分って、唯一コンテン 杉山氏 ツライト、要するにコピーライトの話だけだというふうに思ってますね大き な意味で言うとね、その他にもあるとは思うんすけど Copyright ってのは大 きな話になるんですけども、それに比べたら政府も動きやすいんじゃないか なと思います。 日本も生成 AI 頑張って欲しいよって話先していたと思うんですけど、その 政府側はその規制をかける側がいろいろ体制なんていうんですか、日本には 竹内 よくやってるっていう評価を一般的に得られてる部分もあったりするかもし れないんですけど、環境が揃ったってなった上で、それを生かして何か企業 が作らないといけない企業が大学研究機関が作らないといけないわけじゃな いですか、コンテンツを 杉山氏 竹内 杉山氏 うん、 うん日本は今はどちらか世界は、この GPT3.5 から GPT4 になったり単位忘 れましたけど知識量とか機械学習した量で競ってるわけじゃないですか。 うん、うん けど日本はどちらかというと、何かそれの機械学習の量は下げるけど、それ 竹内 を例えばその会社内だけに限定したりして、その生成 AI を動かすのにかか るコストも下げてみたいな感じで動いてるわけ、動いてる会社もあるわけじ ゃないですか。 その方針っていうのは、日本の生成 AI に、の発展、においては悪くはない と思うんですよある方針も大事だと思うんですけど、日本がなぜ大規模なう 竹内 ん、生成 AI の構築、大規模言語モデル LLM の本当に大規模なの構築にいか ないのは、うん、なんでなのかなとはちょっとふと疑問に思ったんですけ ど、 いくつかあるとは思いますけれども、まず 1 つにおいて、別に日本国内でい わゆる AI ベンダーがないわけではないのでよくご存知だと思うんですよ 杉山氏 ね。例えば NEC さんとか NEC さんとかは作ったりとかしてるし、いくつか 大学の研究機関とかでもちょっとやったりとかしますけど、ユースケースは 多分あると思う。 19

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ユースケースって何かって言うと要するに日本語っていうハードルでもう ん、だから日本より日本語に最適化してるんだみたいなそのところっていう のは国内ベンダーができる、まぁでも微妙ですねその辺はインテグレーショ 杉山氏 ン所詮インテグレーションの話になるんだと思うんですけど、何かちょっと 話を戻そう何がその、その、日本国内だと、開発が海外に比べて、いまいち だなっていうふうに思う、要するに感想個人の感想レベルで思うのは別にそ れはあんまり外れてなくて、だからやってないですし、まず一つには、やっ ぱり一つはコンピューティングリソースでしょ。 竹内 それは機械的な制限というかなんせスペックの制限によるもの スペックっていうか多分日本国内でそんないっぱい GPU を持ってる人いな 杉山氏 いですよね。結局、例えば今現状やるとしたら、NVIDIA の GB を買うって いうことが重要であって、先般、いつだっけな、線今週読んだ記事だとネタ が確か、今一番新しい NVIDIA の H100 かな。 杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 とき機械学習に使うやつを何か 3 万 8000 機ぐらい買うとか言ってるし、 3 万 8000 機、なるほど 確か 3 万 8000 円から 38 万買わせない、おっしゃること なるほど、すごい量 杉山氏 からもうとにかく 竹内 すごいすごい両方 そうそう、要するにそういう GPU ファンも持ってない要するにそれだけ儲 かってないっていうそれだけお金使ってないっていう端的に言えば、Google だってそれだけのお金を使ってますよ。だって、うん。確か、ちょっと記憶 杉山氏 が曖昧なんですけど、その産総研が持ってる今だと日本で一番早いって言わ れる機械、GPU ファームというか、機械学習が使える今、スーパーコンピュ ーティング並列コンピューティングって ABCI っていうやつがあるんです よ。はい。 試合って施設があるんですね。確か ABCI の建設費というか、その予算がい 杉山氏 くら NBC は 6、70 億なるほどなるほど、60 億ぐらいあって、なんですっ て。AI 専用スパコン。でも、Google がいくら年間費やしてるんだって話に なるわけですよね。うん。 はいそういうことだから、うんだから正直グローバルカンパニーに来るの 杉山氏 を、資金投入額、要するに R&D への投資額に比べると、まず日本は政府が やるのって今基本もう全然桁が違う話で、全然太刀打ちできないんですよほ とんど 60、70 億なんて、多分 Google だったら、っていう話なわけ 竹内 杉山氏 竹内 ですよ。なるほど。 はいはい。確かに Google のデータセンターの投資額って、なんぼだったか な、やっぱりすごい巨大な、すごい額なんですよ。 なるほど 20

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杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 60 億ドルに比べたらもう全然、例えば広島に Google のデータセンターを作 るっていう話があるらしくて今ぐったり なるほど 去年の末に広島に Google 系のデータセンターを作るらしいんですけど、そ れ 1000 億なんですって、 1000 億 1 ヶ所で 1000 億ですか。イギリスでは Google10 億ドルぐらい、データセ ンターに投資したりとか、それも 1500 億じゃ ないですか。うん。 その中で世界中に展開してるわけですよね。だから認証がいくつあるんだ。 杉山氏 123456701012 かなんか、それぐらいビジョンが確かあったっていいます か、気がしますけど。なるほど。だから当然町は超えるし、みたいな。 そういうのに比べて、当然政府ってのはもうそういう規模でいうと我々から 杉山氏 見ると政府の予算ってすごく大きく見えますけど、今やグローバルカンパニ ーが扱ってる金融の規模に比べたら全然話にならないよって話になるわけで す。 日本日本が使ってるかね。技術科学投資予算っていくらなんですかって話と 杉山氏 比べると、みたいな話になるので、日本国内に Google と競うぐらいのグロ ーバルカンパニーがあんのかっていったら、これないんですよ。 杉山氏 竹内 うん。ていう、 ですよね。 そういうことです。だからそこの一般的に日本企業が目立たないのは単にお 杉山氏 金がないからだとこれだけのビジネスモデルが作れてないっていうことで、 だから、 竹内 お金がないから難しいですね。 はい。多分そうだと思いますよ。単に日本の企業がそれだけを AI の本当の 杉山氏 コアのコアを作ってるところに、あまり名前が出てこないのはそこだと思い ます。なるほど。要するはお金がないから計算量確保できないっていうのが 一番大きい。 杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 うん、 ありがとうございます。 違う、もう一つの側面でいうと、論文数の数のサービス あ、最近国語でやりました 研究者のその分厚さの差じゃないですか。それで今アメリカが一番多く出し てて、2 番目が中国で 3 番目が多分 EU 圏です。日本は全然です。もう だいぶ落ちましたよね、昔とかに比べて 21

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そういう意味でいうとそういう、単にパワーなんていうか、GPU、機械計算 量ってのは言うたら、筋肉みたいなもんで、どれだけそのね、そのデータ学 杉山氏 習させられるかっていう根本の部分からの部分ですけど、ちょっと頭の部分 は大丈夫なのっていうと、そっちは端的に言えば論文数見れば何となくは想 像がつくかな。 杉山氏 この日本でちょっとシュッ、日本はしんどいかなっていうのが感じられちゃ う。 そうですねちょっと政府の規制の面では、確かに過去と比べたらよくやって 竹内 るのかもしれませんけど、そういう点で日本の先生以外の発展に関しては問 題が問題というか課題は、十分にあるのかっていう感じですか。 でも、日本より規模が小さい経済圏も、目立ってるとこありますよね。例え ば韓国なんかはそうです。韓国は、大きなモデルではなくて特化型モデルみ 杉山氏 たいなのを作ろうとしていて、結構それなりに性能出るやつやってるんです ね。特にあそこはデバイスが強いのでしてますっていうかパーソナルデバイ スっていうんでその場で動くような SAI を作るっていう明確な目標があると 竹内 ありがとうございます。 日本もだからもっと他にもいろいろあると思いますけどねその、例えば素材 とかは日本はまだ強いですから、制御機器とか、うん。そういうのに特化し たようなものを作るとかはあり得ると思いますけど、あんまり日本人ってい 杉山氏 うか日本の企業ケチくさいんで、その他が出してきたやつをちょっとやれば いいかなぐらいな感じなんじゃないかなと思いますねそこに先行投資という か、自ら RMT する価値をあんまり認識してないんじゃないですか、認識し てないというか見いだせないっていう。 杉山氏 竹内 ビジネスモデルも含め それをするより今やってることである一定程度お金儲けてるからそれでいい かみたいな そうですね、ビジネスモデルの開発ができてないと、仮にやるとしても別に 杉山氏 それはそこら辺にあるやつ使ってやればいいんじゃないのぐらいの発想だと 思います。 なるほど、ありがとうございます。時間も間も近づいてきていることですの で、はい。私から聞きたいことは概ね聞けたんですけど、さっき広島の 竹内 Google の話が出てたんでちょっと話ずれるんですけど、神戸でマイクロソ フトのなんかあれができたってのは、あれはなんですか。多分その Google と同じような感じのものをマイクロソフトが候補に立てたんですか。 ですねそれは何でだったかな確かさ、神戸市さんのあれに行ったときに何か 聞いた気がするんですけど、そもそも MS のなんか、なんていうんすか MS 杉山氏 さんの AI ラボというもの自体が、全世界にちょこちょこ作っていくってい う話があって、これは非常にソース、地政学的な話になりますけど、中国に も確か上海かどうかにもあった気がするんですよ。 22

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ありがとうございます。はい。予定していた 30 分から 45 分ぐらいに 45 分 竹内 がそのたちそうですので、今回のインタビューはこれにて終了とさせていた だいくですけど、 杉山氏 はい、 竹内 はい、本日はどうもありがとうございました 杉山氏 はいありがとうございます。また何かあれば 竹内 杉山氏 竹内 杉山氏 竹内 杉山氏 そうですね来週の月曜日によろしくお願いします。すいませんお忙しい時間 にありがとうございました。 ありがとうございました。よろしくお願いいたします よろしくお願いいたします。 はい、 失礼いたします。 はい。 参考文献 [1] AWS『生成系 AI とはなんですか?』https://aws.amazon.com/jp/whatis/generative-ai/ (2024 年 1 月 30 日最終閲覧) [2] ITmedia ビジネス『松尾豊東大教授が明かす 日本企業が「ChatGPT で DX」すべき 理由』https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2311/10/news042.html (2024 年 1 月 30 日最終閲覧) [3] 西垣通『デジタル社会の罠 生成 AI は日本をどう変えるか』毎日新聞出版,2023 年 (224 ページ) [4] 西垣通『デジタル社会の罠 生成 AI は日本をどう変えるか』毎日新聞出版,2023 年 (225 ページ) [5] ITmedia ビジネス『ChatGPT ユーザーは毎週 1 億人 著作権侵害防止の「Copyright Shield」追加』https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2311/07/news081.html (2024 年 2 月 1 日最終閲覧) [6] 総務省・経済産業省『AI 事業者ガイドライン案 概要』ページ番号 2 https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai̲senryaku/7kai/12gaidoraingaiyou.pdf (2024 年 2 月 6 日最終閲覧) [7] 日本経済新聞『米 AI 規制、既存サービスは対象外 企業配慮で EU と差』 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN290EN0Z21C23A1000000/ (2024 年 2 月 6 日最終閲覧) [8] 日本経済新聞『EU、AI 包括規制案で大筋合意 対応怠れば巨額制裁金』 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0619H0W3A201C2000000/ 終閲覧) 23 (2024 年 2 月 7 日最

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[9] Stanford University『Artificial Intelligence Index Report 2023』193 ページ https://aiindex.stanford.edu/wp-content/uploads/2023/04/HAI̲AI-IndexReport̲2023.pdf (2024 年 2 月 4 日最終閲覧) [10] Thundermark Capital『AI Research Rankings 2022: Sputnik Moment for China?』https://thundermark.medium.com/ai-research-rankings-2022-sputnikmoment-for-china-64b693386a4 (2024 年 2 月 4 日最終閲覧) [11] 企業法務ナビ by PASONA『中国「生成人工知能サービス管理暫定弁法」の制定と その解説』https://www.corporate-legal.jp/matomes/5362 (2024 年 2 月 6 日最終閲 覧) [12] AINOW『【2023 年 12 月版】世界各国の AI 規制とガイダンスの動向まとめ』 https://ainow.ai/2023/12/26/275465/#i-2 (2024 年 2 月 6 日最終閲覧) 24